説明

指示器システム

【課題】 指示器を操作する人の手ブレに起因する画面上の指示点のブレを軽減することができる指示器システムを提供する。
【解決手段】 この指示器システムは、互いの位置関係が既知の4つ以上の光源をもつ光源セットを有する指示器2と、指示器2が指し示す方向を横切って仮想的に設定される指示器2の操作範囲7と、光源を撮像するカメラ30と、撮像した画像から求めた指示器2の位置と角度に基づいて指示器2が操作範囲7内で指し示す第1の指示点位置8を算出し、第1の指示点位置8に基づいて表示装置で表示するための第2の指示点位置9を演算する演算装置4と、第2の指示点位置9を指示点1として画面50に表示する表示装置5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指示器で指し示した指示点を表示装置の画面に表示する指示器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術としては、例えば加速度センサを用いた市販の「ジャイロマウス」と呼ばれる空中で操作することができるマウスが存在する。この技術は、絶対角度でなく相対角度で計測を行うものであるため、事前に絶対角度のキャリブレーションを行ったとしても、数秒間使用する間に角度の累積誤差が増幅していく恐れがあり、指示器が指示している場所とカーソルの場所が大きく離れてしまうことが考えられる。
【0003】
したがって、指示器システムとしては、指示器の指示点を絶対角度の計測結果に基づいて画面上に表示することが必要となる。これには、例えば対象物の3次元位置や角度を計測可能な特許文献1に記載の技術を用いることができる。この技術は、互いの位置関係が判明している4個以上の光源と、各光源からの光を透過して球面収差により光リング像を形成する光学レンズ系と、光学レンズ系により形成された光リング像を検出する撮像素子と、撮像素子により検出された光リング像の検出情報および各光源の位置関係に基づいて各光源の位置を計測する演算装置とを備えて構成される。
【特許文献1】特開2008−58204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
指示器から離れた位置にある画面上のカーソル(指示点)を操作する場合、指示器を操作する人の手ブレに起因して、指示点にブレが生ずる。このブレは指示器から画面までの距離が遠くなればなるほど大きくなる。
本発明の目的は、指示器を操作する人の手ブレに起因する画面上の指示点のブレを軽減することができる指示器システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の指示器システムを提供する。
(1)自身の位置と角度を求めるための信号を送信する指示器と、前記指示器が指し示す方向を横切って仮想的に設定される前記指示器の操作範囲と、前記指示器からの信号を受信する受信器と、前記受信した信号から求めた前記指示器の位置と角度に基づいて前記指示器が前記操作範囲内で指し示す第1の指示点位置を算出し、前記第1の指示点位置に基づいて表示装置で表示するための第2の指示点位置を演算する演算装置と、前記第2の指示点位置を指示点として画面に表示する表示装置とを備えた指示器システム。
(2)前記操作範囲が前記画面上の予め決められた地点と前記指示器の先端部を結ぶ直線に垂直な平面領域を有し、かつ前記平面領域が前記指示器の前方の予め決められた位置に設定される上記(1)記載の指示器システム。
(3)前記画面および前記操作範囲が四角形であり、前記操作範囲の四隅が、前記画面の四隅と前記指示器の後方の予め決められた地点とを結ぶ線分上に位置する上記(2)記載の指示器システム。
(4)前記画面と前記指示器の間の距離が基準値よりも小さいときは、前記操作範囲が前記基準値における大きさよりも大きく設定され、または、前記距離が基準値よりも大きいときは、前記操作範囲が前記基準値における大きさよりも小さく設定される上記(1)〜(3)のいずれかに記載の指示器システム。
(5)前記操作範囲の設定時において前記操作範囲と前記指示器間の距離をゼロとする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の指示器システム。
(6)前記指示器が予め決められた領域外に出たときは、前記操作範囲を前記指示器に追従させる上記(1)〜(5)のいずれかに記載の指示器システム。
(7)前記指示器の位置と角度を求めるための信号が、前記指示器に設けられた互いの位置関係が既知の4つ以上の光源をもつ光源セットから発生される上記(1)〜(6)のいずれかに記載の指示器システム。
(8)互いの位置関係が既知の4つ以上の光源をもつ光源セットを有する指示器と、前記指示器が指し示す方向を横切って仮想的に設定される前記指示器の操作範囲と、前記光源を撮像するカメラと、前記撮像した画像から求めた前記指示器の位置と角度に基づいて前記指示器が前記操作範囲内で指し示す第1の指示点位置を算出し、前記第1の指示点位置に基づいて表示装置で表示するための第2の指示点位置を演算する演算装置と、前記第2の指示点位置を指示点として画面に表示する表示装置とを備えた指示器システム。
(9)前記光源セットの4つ以上の光源のうち、少なくとも3つ以上の光源が同一平面上にあり、少なくとも1つ以上の光源がその平面上から離隔した地点にある上記(8)記載の指示器システム。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に係る指示器システムによれば、指示器を操作する人の手ブレに起因する画面上の指示点のブレを軽減することができる。
請求項2に係る指示器システムによれば、本構成を有しないものに比べ、指示器の操作範囲の設定が容易となる。
請求項3に係る指示器システムによれば、本構成を有しないものに比べ、指示器の操作範囲の設定が容易となる。
請求項4に係る指示器システムによれば、本構成を有しないものに比べ、指示器の操作範囲の設定が容易となる。
請求項5に係る指示器システムによれば、指示器の角度計測誤差による影響を軽減することができる。
請求項6に係る指示器システムによれば、いったん設定した操作範囲を出た場合であっても、特に意識することなく指示器を連続して操作することができる。
請求項7に係る指示器システムによれば、本構成を有しないものに比べ、指示器による指示点の位置精度が向上する。
請求項8に係る指示器システムによれば、指示器を操作する人の手ブレに起因する画面上の指示点のブレを軽減することができるとともに、指示器による指示点の位置精度が向上する。
請求項9に係る指示器システムによれば、複数の光源の配置の自由度を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施例を説明するが、その前に本発明を用いないシステムにおいて生ずる指示点のブレについて説明する。
【0008】
図1は、指示器から離れた位置にある画面上のカーソル(指示点)を操作可能な指示器システムの一例を示す図である。本システムでは、人が指示器2で表示装置5の画面50を指し示すと、その画面50上に指示点1が概略次のようにして表示される。まず、指示器2から送信される指示器2の位置と角度を求めるための信号が受信器3により受信される。演算装置4は、受信器3で受信した信号から指示器2の位置と角度を求め、指示器2が指し示すべき画面50上の指示点位置を演算する。表示装置5は、演算装置4により演算した指示点位置を画面50に指示点1として表示する。この場合、指示器2を操作する人の手ブレに起因して指示点1にブレ6が生ずる。このブレ6は指示器2から画面50までの距離が遠くなるにしたがって大きくなる。指示器システムとしては、このようなブレを軽減する必要がある。
【0009】
図2は、本発明に係る指示器システムの一実施例を示す図である。本実施例は、自身の位置と角度を求めるための信号を送信する指示器(ポインタ)2と、指示器2が指し示す方向を横切って仮想的に設定される指示器2の操作範囲(操作領域)7と、指示器2からの信号を受信する受信器3(カメラ30)と、この受信した信号から求めた指示器2の位置と角度に基づいて指示器2が操作範囲7内で指し示す第1の指示点位置8を算出し、第1の指示点位置8に基づいて表示装置で表示するための第2の指示点位置9を演算する演算装置4と、第2の指示点位置9を画面50に指示点1として表示する表示装置5とを備える。このように本実施例では、画面50と指示器2の間に仮想的な枠(操作範囲7)を作り、その操作範囲7内における指示器2の指示点位置9を画面50上に対応させて、指示点1として表示する。
【0010】
図2の実施例では、指示器2の位置と角度を求めるための信号は、指示器2に設けられた互いの位置関係が既知の4つ以上の光源をもつ光源セットから発生される。この場合、受信器3としては、指示器2に設けられた光源を撮像するための例えばCCDやCMOSセンサ等の2次元撮像素子を搭載したデジタルカメラ等のカメラ30を用いることができるが、これに限定されない。カメラ30を用いる場合、演算装置4は、カメラ30で撮像した画像から指示器2の位置と角度を求める。演算装置4としては、パーソナルコンピュータ(PC)等のコンピュータを用いることができるが、これに限定されない。表示装置5としては、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイのようなモニタ画面を有する表示装置あるいは画面をスクリーンに投影するプロジェクタ方式の表示装置等を用いることができるが、これに限定されない。
【0011】
操作範囲7は、指示器2と画面50の間の指示器2の近傍または指示器2の先端に設定される。この設定は自動でも手動でもよい。自動設定の場合、設定開始のタイミングは、例えば指示器2を画面50に対して特定時間以上向けた時とすることができる。特定時間は、例えば0.2〜1.5秒が望ましいが、これに限定されない。
【0012】
図3は、操作範囲の設定方法の一例を説明するための図である。操作範囲7は、各部の位置関係を基に、例えば演算装置4により仮想的に設定される。本例の操作範囲7は、画面50上の予め決められた地点と指示器2の先端部を結ぶ直線に垂直な平面領域を有し、この平面領域は指示器2の前方の予め決められた位置に設定される。また、本例の画面50および操作範囲7は四角形であり、操作範囲7の四隅は、画面50の四隅と指示器2の後方の予め決められた地点とを結ぶ線分上に位置する。操作範囲7は、具体的には、例えば次のようにして設定される。まず、操作範囲7の面の角度は、指示器2の先端部と画面50の中心を結ぶ直線33に垂直である。操作範囲7の四隅の位置は、例えばユーザ31の目の位置(仮定した値を用いる)と画面50の四隅を結ぶ線分34上に置く。操作範囲7と指示器2との距離は予め設定した距離とする。ここで、ユーザ31の目の位置は、例えば指示器2の位置の後方(指示器2の先端部と画面50の中心を結ぶ直線の方向)に300〜600mm、上方に200〜400mmとするのが望ましいが、これに限定されない。操作範囲7の四隅の位置は、上記線分上よりも広くすることも狭くすることもできる。操作範囲7と指示器2の距離は、例えば0〜100mmの間が望ましいが、これに限定されない。本例の画面50および操作範囲7は四角形としたが、これに限定されない。ユーザ31が前後に動いた場合でも、操作範囲7と指示器2の距離は一度設定された値で固定されることが望ましい。ユーザ31が横方向に移動し、指示器2が予め決められた領域外、例えば操作範囲7の外に出た場合は、操作範囲7を指示器2に自動的に追従させることにより円滑な操作が可能となる。ただし、操作範囲7の角度および操作範囲7と指示器2との距離は一度設定された値で固定されることが望ましい。操作範囲7の設定時における操作範囲7に対する指示器2および画面50の位置関係は既知である。以下、指示器2の構成例および指示器2の位置と角度の算出方法等について説明する。
【0013】
図4は、本実施例で使用可能な指示器の一構成例を示す図である。本例の指示器2は、画面を指し示す先端部41と、互いの位置関係が既知の4つの光源a1,a2,a3,a4をもつ光源セットaと、光源の発光を制御する発光制御装置42(配線は図示省略)とを有する。指示器2において、光源セット(各光源)の位置関係は既知であり、また先端部41の位置関係も既知なので、光源セットの位置と角度が分かれば、先端部41の位置と角度が特定される。光源a1,a2,a3,a4としては、例えば発光ダイオード(LED)を用いることができるが、これに限定されない。また、指示器2の位置と角度は、それに設置された光源セットの位置と角度を算出することで得られる。以下、その算出方法の一例を説明する。
【0014】
図5は、3つの光源を有する光源セットの3次元位置の演算方法の一例を示す図である。本例では、4つの光源を例えば正方形の角に配置し、そのうち3つの光源の組み合わせを2つ考える。各々の3点を用いて、以下の計算から2つの解を導出する。その2つの解の内一つは光源位置が全く同じ値を示すので、それを正解とする。これにより、光源セットの位置と角度を決定することができる。
まず、図において、光源a1,a2,a3の画像面51上の画像位置c1,c2,c3とカメラの光学中心52との関係から、カメラ座標系における光源位置の方向ベクトルdi(i=1,2,3)を算出する。diは規格化した単位ベクトルとする。
【0015】
光源a1,a2,a3の空間の位置ベクトルをp1,p2,p3とすると、これらはdiの延長線上に存在するので、その係数をt1,t2,t3として、
p1=t1・d1
p2=t2・d2 式1
p3=t3・d3
で表すことができる。
【0016】
三角形の形状は最初からわかっており、その長さを各々
p1p2=L1
p2p3=L2 式2
p3p1=L3
とすると次式が得られる。式中「^」は累乗を表す。
(t1x1-t2x2)^2+(t1y1-t2y2)^2+(t1z1-t2z2)^2=L1^2
(t2x2-t3x3)^2+(t2y2-t3y3)^2+(t2z2-t3z3)^2=L2^2 式3
(t3x3-t1x1)^2+(t3y3-t1y1)^2+(t3z3-t1z1)^2=L3^2
【0017】
整理すると
t1^2-2t1t2(x1x2+y1y2+z1z2)+t2^2-L1^2=0
t2^2-2t2t3(x2x3+y2y3+z2z3)+t3^2-L2^2=0 式4
t3^2-2t3t1(x3x1+y3y1+z3z1)+t1^2-L3^2=0
が得られ、次式となる。式中「sqrt」は平方根を表す。
t1=A1・t2±sqrt((A1^2-1)・t2^2+L1^2)
t2=A2・t3±sqrt((A2^2-1)・t3^2+L2^2) 式5
t3=A3・t1±sqrt((A3^2-1)・t1^2+L3^2)
ここで、A1,A2,A3は次式のとおりである。
A1=x1x2+y1y2+z1z2
A2=x2x3+y2y3+z2z3 式6
A3=x3x1+y3y1+z3z1
【0018】
実数解を持つために、式5の平方根の中が正になる。
t1≦ sqrt(L3^2/(1-A3^2))
t2≦ sqrt(L1^2/(1-A1^2)) 式7
t3≦ sqrt(L2^2/(1-A2^2))
【0019】
この条件を満たす実数t1、t2、t3を順次、式5に代入し、式5が成立するすべてのt1,t2,t3を算出する。次に上記の式1からp1,p2,p3を、即ち、光源の3次元位置を算出する。光源が3つの場合には二つの解ができるが、本例の場合は光源が4つあるので、他の3つの光源について上記と同様の計算を行い別の2つの解を導出する。その2つの解の内一つは光源位置が全く同じ値を示すので、それを正解とする。このように、光源が4点以上ある場合には、答えを一つに同定することができるので、4つの光源a1,a2,a3,a4を有する光源セットの位置と角度を決定することができる。
【0020】
図6は、本実施例で使用可能な指示器の他の構成例を示す図である。上記説明は4つ以上の光源が同一平面上にある場合であるが、4つ以上の光源のうち、少なくとも3つ以上の光源が同一平面上にあり、少なくとも1つ以上の光源がその平面上から離隔した地点にある場合も同様に演算することができる。本例の指示器2は、3つの光源a1,a2,a3が同一平面上にあり、1つの光源a4’がその平面上から離隔した地点にある。光源a4’は、例えば光源セットaの平面上から突出する突出部43の先端に設けられる。この突出部43の位置と高さは既知で、例えば3つの光源a1,a2,a3の重心に置くことができるが、これに限定されない。この場合も、同一平面上の3つの光源a1,a2,a3を用いて、前述と同様の計算を行い2つの解を導出する。そして、この2つの解の光源a1,a2,a3の位置から光源a4’のそれぞれの位置を計算する。この計算値とカメラで撮影した光源a4’の画像面上の位置の実際値とを比較し、この計算値と実際値とが対応する解を正解とする。このような方法を用いても、光源セットの位置と角度を決定することができる。光源セットの位置と角度の算出方法は上記方法に限定されるものではなく、例えば前述の特許文献1に記載の方法あるいはそれ以外の方法を用いてもよい。
【0021】
演算装置4は、以上のようにして光源セット、すなわち指示器2の位置と角度を求める。上述のとおり、操作範囲7の設定時における操作範囲7に対する指示器2および画面50の位置関係は既知なので、これを基礎にして、演算装置4は、この求めた指示器2の位置と角度に基づいて指示器2が操作範囲7内で指し示す第1の指示点位置8を算出し、この第1の指示点位置8に基づいて表示装置で表示するための第2の指示点位置9を演算する。表示装置5は、この演算して求めた第2の指示点位置9を画面50に指示点1として表示する。
【0022】
図7は、本発明に係る指示器システムの他の実施例を示す図である。本実施例は、指示器2が画面50に近いほど操作範囲7を大きく設定し、指示器2が画面50から遠いほど操作範囲7を小さく設定する点で図2の実施例と異なるが、その他の点では図2の実施例と同様である。指示器2が画面50に近いか遠いかは、両者間の距離に段階的にまたは連続的に基準値を設けて、その基準値を基に指示器が画面に近い(距離が小さい)、または画面から遠い(距離が大きい)を判断する。図7の実施例は、ある基準値よりも指示器2が画面50に近い位置にある場合を示している。この場合、操作範囲7が当該基準値における大きさよりも大きく設定される。設定の方法は、例えば図3において、ユーザ31の目の位置を指示器2の位置の後方(指示器2の先端部と画面50の中心を結ぶ直線の方向)の当該基準値よりも遠い位置に置くことにより可能となる。これとは反対に、ある基準値よりも指示器2が画面50から遠い位置にある場合は、上記と逆の操作を行うことにより、操作範囲7が当該基準値における大きさよりも小さく設定される。
【0023】
図8は、本発明に係る指示器システムのさらに他の実施例を示す図である。本実施例は、操作範囲設定時の操作範囲7と指示器2の距離をゼロとする点で図2の実施例と異なるが、その他の点では図2の実施例と同様である。設定の方法は、上記図3において、例えば指示器2の先端部と画面50の中心を結ぶ直線33上の指示器2の先端部と垂直に接する面を操作範囲7の2次元平面とすることで可能である。本実施例では、操作範囲設定時の操作範囲7と指示器2の距離をゼロとするため、操作範囲設定時において指示器2の先端部の位置が操作範囲7内の第1の指示点位置8と同じになる。
【0024】
図9は、本発明に係る指示器システムのさらに他の実施例を示す図である。本実施例は、連続して操作しながら指示器2が大きく移動した際に操作範囲7を指示器2の移動方向に追従させる点で図2の実施例と異なるが、その他の点では図2の実施例と同様である。指示器2が大きく移動した場合、指示器2の指し示す位置が操作範囲7を外れるおそれがある。このような不都合を避けるため、指示器2が予め決められた領域(例えば操作範囲7)外に出たときに、操作範囲7を指示器2の移動方向に追従させる。指示器2の位置と角度は、受信器3(カメラ30)を介して演算装置4により常時計測されているので、この計測値をもって指示器2が予め決められた領域外に出たかどうかを判断することができる。指示器2の移動方向に追従する操作範囲7は、指示器2の移動した距離に応じて、当初設定した操作範囲の面に沿って平行移動する。演算装置4は、指示器2の移動方向に追従した操作範囲7内で指示器2が指し示す第1の指示点位置8を算出し、この第1の指示点位置8に基づいて第2の指示点位置9を演算し、表示装置5で表示する。
【0025】
このように本発明では、指示器の位置と角度を測定するための信号を計測器(受信器)に送信する位置と角度の送信手段(指示器)、指示器の位置と画面の位置を元にして操作範囲を自動設定する手段であって、操作範囲の2次元平面は指示器と画面を結ぶ直線に対して垂直であり、その四隅の位置はユーザの目の位置(仮定した値を用いる)と画面の四隅を結ぶ線分上に存在し、指示器との距離は予め設定した距離とする操作範囲の設定手段(演算装置)、指示器の延長線と操作範囲の交点を計算する計算手段(演算装置)、指示点をカーソルなどの目印の位置として画面に表示する表示手段(表示装置)、指示器の延長線または指示器先端が操作範囲から出た時に、操作範囲自体を移動する補正手段(演算装置)、指示器の位置と角度を計測器(受信器)に送信するLED発光手段(指示器上部に数個のLEDを配置して発光する光源セット)等を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】指示器から離れた位置にある画面上のカーソル(指示点)を操作可能な指示器システムの一例を示す図である。
【図2】本発明に係る指示器システムの一実施例を示す図である。
【図3】操作範囲の設定方法の一例を説明するための図である。
【図4】本実施例で使用可能な指示器の一構成例を示す図である。
【図5】3つの光源を有する光源セットの3次元位置の演算方法の一例を示す図である。
【図6】本実施例で使用可能な指示器の他の構成例を示す図である。
【図7】本発明に係る指示器システムの他の実施例を示す図である。
【図8】本発明に係る指示器システムのさらに他の実施例を示す図である。
【図9】本発明に係る指示器システムのさらに他の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
1 指示点
2 指示器
3 受信器
4 演算装置
5 表示装置
7 操作範囲
8 第1の指示点位置
9 第2の指示点位置
30 カメラ
50 画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の位置と角度を求めるための信号を送信する指示器と、前記指示器が指し示す方向を横切って仮想的に設定される前記指示器の操作範囲と、前記指示器からの信号を受信する受信器と、前記受信した信号から求めた前記指示器の位置と角度に基づいて前記指示器が前記操作範囲内で指し示す第1の指示点位置を算出し、前記第1の指示点位置に基づいて表示装置で表示するための第2の指示点位置を演算する演算装置と、前記第2の指示点位置を指示点として画面に表示する表示装置とを備えた指示器システム。
【請求項2】
前記操作範囲が前記画面上の予め決められた地点と前記指示器の先端部を結ぶ直線に垂直な平面領域を有し、かつ前記平面領域が前記指示器の前方の予め決められた位置に設定される請求項1記載の指示器システム。
【請求項3】
前記画面および前記操作範囲が四角形であり、前記操作範囲の四隅が、前記画面の四隅と前記指示器の後方の予め決められた地点とを結ぶ線分上に位置する請求項2記載の指示器システム。
【請求項4】
前記画面と前記指示器の間の距離が基準値よりも小さいときは、前記操作範囲が前記基準値における大きさよりも大きく設定され、または、前記距離が基準値よりも大きいときは、前記操作範囲が前記基準値における大きさよりも小さく設定される請求項1〜3のいずれかに記載の指示器システム。
【請求項5】
前記操作範囲の設定時において前記操作範囲と前記指示器間の距離をゼロとする請求項1〜4のいずれかに記載の指示器システム。
【請求項6】
前記指示器が予め決められた領域外に出たときは、前記操作範囲を前記指示器に追従させる請求項1〜5のいずれかに記載の指示器システム。
【請求項7】
前記指示器の位置と角度を求めるための信号が、前記指示器に設けられた互いの位置関係が既知の4つ以上の光源をもつ光源セットから発生される請求項1〜6のいずれかに記載の指示器システム。
【請求項8】
互いの位置関係が既知の4つ以上の光源をもつ光源セットを有する指示器と、前記指示器が指し示す方向を横切って仮想的に設定される前記指示器の操作範囲と、前記光源を撮像するカメラと、前記撮像した画像から求めた前記指示器の位置と角度に基づいて前記指示器が前記操作範囲内で指し示す第1の指示点位置を算出し、前記第1の指示点位置に基づいて表示装置で表示するための第2の指示点位置を演算する演算装置と、前記第2の指示点位置を指示点として画面に表示する表示装置とを備えた指示器システム。
【請求項9】
前記光源セットの4つ以上の光源のうち、少なくとも3つ以上の光源が同一平面上にあり、少なくとも1つ以上の光源がその平面上から離隔した地点にある請求項8記載の指示器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−79459(P2010−79459A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245006(P2008−245006)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】