説明

排気ガスターボ過給機のVTGディストリビュータのブレードを調整するための調整リング

本発明は、軸受リング(2)と前記軸受リング(2)に接続されたレバー係合リング(3)とを備えた、排気ガスターボ過給機のVTGディストリビュータのブレードを調整するための調整リング(1)に関するものであり、軸受リング(2)及びレバー係合リング(3)は、別個の接続装置(4)により互いに接続された、別々に製造された個々の部品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスターボ過給機のVTGディストリビュータ(VTG distributor)のブレードを調整するための調整リングに関する。
【背景技術】
【0002】
用語「VTGディストリビュータ」とは、排気ガスターボ過給機に可変タービン幾何学的形状を提供するための装置という意味であると理解されたい。請求項1の前文に記載されている種類の調整リングは、前記可変タービン幾何学的形状を調整するためのものであり、この調整リングは、軸受本体を保持するための軸受リングとレバー係合リングとを備えている。レバー係合リングには、VTGブレードのレバーが係合する溝が設けられる。
【0003】
このような公知の調整リングは、完全に切断加工された構成要素として形成されるが、これは、従来、旋削加工工程又はフライス加工工程で、又は組み合わせられた作業ステップで製造されている。このため、軸受リングとレバー係合リングとを備えた調整リングは、固体材料からなる一体部品として形成される。しかし、これは、比較的時間のかかるかつ高価な製造方法である。
【0004】
その後に切断機械加工を伴う、完全な調整リングの原料部品を鋳造することも、費用の点での利点をそれ程もたらすものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、請求項1の前文に記載されている種類の調整リングを作ることであり、この調整リングは、簡単かつ費用対効果の高い方法で製造され得る。
【0006】
本発明の目的はまた、前記の種類の調整リングを製造する方法を作り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的は、請求項1の及び請求項9の特徴によって達成される。
【0008】
本発明によれば、調整リングは、好適な接続装置により互いに接続された、複数の別々に製造された個々の部品、少なくとも2つの別々に製造された個々の部品から製造される。本明細書においては、個々の部品は、一次成形(精密鋳造又は焼結)、成形加工(プレス加工)、又は分離する方法、好ましくは打抜き加工により完全に製造され得る、又は旋削加工又はフライス加工などの、少しの切断仕上げ加工を必要とする。
【0009】
個々の部品は、軸受リングの特定の軸受機能又は調整リングの軸受区間に、またレバー係合リング又はレバー係合区間のブレードレバーの案内に適応された、異なる材料からなり得る。
【0010】
また、軸受リング及びレバー係合リングが、それらの幾何学的形状の点で容易に前記機能に適応され得るという利点もある。たとえば、必要な特性に従って、目標とする表面焼入れを行うことが可能である。
【0011】
従属請求項2〜6には、本発明による調整リングの好ましい改良形態が含まれている。
【0012】
請求項8〜11には、上記に説明した調整リングを製造するための、本発明による方法が定義されている。
【0013】
前記請求項によれば、軸受リング及びレバー係合リングは、それぞれ、別個の製造ステップにおいて別個の個々の部品として製造される。
【0014】
2つのリングは、その後、好適な接続装置により互いに接続される。
【0015】
基本的に、すべての好適な、粘着接続又は形状に合わせた(form−fitting)接続が、接続装置として考えられ得る。
【0016】
しかし、本発明による方法においては、フランジ加工工程又は逆転加工(overturning)工程が、さらに溶接加工又ははんだ付け加工も、軸受リング及び製造リングを接続するのに特に好ましいものである。
【0017】
基本的に、ねじ接続又はリベット接続も考えられよう。
【0018】
図面に基づく例示的実施形態についての以下の記述より、本発明のさらなる詳細、利点、及び特徴が見出されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、排気ガスターボ過給機のVTGディストリビュータのブレードを調整するための、本発明による調整リング1を例示している。
【0020】
調整リング1は、好適な軸受本体(回転体)を案内するよう設けられた軸受リング2を備える。
【0021】
さらに、調整リング1は、外周上に配置された複数の溝を有するレバー係合リング2を備え、その溝の1つが、参照符号5で表されている。
【0022】
図1に示されているように、2つの構成要素、即ち、軸受リングとレバー係合リング3とを備えた調整リングは、断面線A−Aに沿って図2にも例示されている円形の構成要素である。
【0023】
本明細書においては、図2は、軸受リング2及びレバー係合リング3が、個々の部品として製造された後、調整リング1全体を形成するよう、接続装置4により互いに接続されることを示している。接続装置4は、本明細書においては、軸受リング2とレバー係合リング3とを分離する線で示されており、導入部で説明した製造方法の1つによって生成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による調整リングを示す正面図である。
【図2】図1のラインA−Aに沿って、図1の調整リングを示す断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 調整リング
2 軸受リング
3 レバー係合リング
4 接続装置
5 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受リング(2)と、
前記軸受リング(2)に接続されたレバー係合リング(3)とを備えた、
排気ガスターボ過給機のVTGディストリビュータのブレードを調整するための調整リング(1)であって、
前記軸受リング(2)及び前記レバー係合リング(3)が、別個の接続装置(4)により互いに接続された、別々に製造された個々の部品であることを特徴とする調整リング。
【請求項2】
前記軸受リング(2)が、シートメタル部品として形成されることを特徴とする請求項1に記載の調整リング。
【請求項3】
前記レバー係合リング(3)が、シートメタル部品として形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の調整リング。
【請求項4】
前記軸受リング(2)及び前記レバー係合リング(3)が、同じ材料から又は異なる材料から製造されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の調整リング。
【請求項5】
前記軸受リング(2)及び/又は前記レバー係合リング(3)が、焼結部品として製造されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の調整リング。
【請求項6】
前記軸受リング(2)の及び/又は前記レバー係合リング(3)の幾何学的形状が、軸受機能及び/又は案内機能に適応されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の調整リング。
【請求項7】
前記接続装置(4)が、フランジ接続又は逆転(overturned)接続として形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の調整リング。
【請求項8】
前記接続装置(4)が、溶接接続又ははんだ付け接続として形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の調整リング。
【請求項9】
排気ガスターボ過給機のVTGディストリビュータのブレードを調整するための調整リングを製造する方法であって、
軸受リング(2)を別個の構成要素として製造するステップと、
レバー係合リング(3)を別個の製造ステップにおいて別個の構成要素として製造するステップと、
前記軸受リング(2)を前記レバー係合リング(3)に接続するステップとを含む方法。
【請求項10】
前記軸受リング(2)の及び前記レバー係合リング(3)の製造が、別個のシートメタル部品として、打抜きによって行われることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記軸受リング(2)の及び前記レバー係合リング(3)の製造が、別個のシートメタル部品として、焼結によって行われることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記軸受リング(2)の及び前記レバー係合リング(3)の接続が、フランジ加工、逆転加工、溶接加工、又ははんだ付け加工によって行われることを特徴とする請求項9又は10又は11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−540907(P2008−540907A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510423(P2008−510423)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2006/002233
【国際公開番号】WO2006/122596
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(500124378)ボーグワーナー・インコーポレーテッド (302)
【Fターム(参考)】