説明

排気ガス処理装置及び排気ガス処理方法

本発明の排気ガス処理装置1は、ケース体2と、ケース体2の内部にプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生手段3とを備え、プラズマによって排気ガスに含まれる被処理物質を処理する排気ガス処理装置1であって、プラズマ発生手段3が、ケース体2の内部に対向配置された一以上のパルス電極4及びアース電極5と、所定の時間間隔で異なる周波数及び/又は電圧値に切り替えてパルス電極4にパルス電流を供給することが可能なパルス電源6とを有し、パルス電極4とアース電極5との間に排気ガスに含まれる被処理物質に適した種類のプラズマが発生するように、所定の時間間隔で異なる周波数及び/又は電圧値に切り替えることにより、排気ガスに含まれる被処理物質を選択的に処理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス処理装置及び排気ガス処理方法に関する。さらに詳しくは、排気ガスに含まれる被処理物質を選択的に処理することが可能な排気ガス処理装置及び排気ガス処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二枚の電極間に誘電体を配置し高電圧の交流、あるいは周期パルス電圧をかけることにより、無声放電が発生し、これによりできるプラズマ場では活性種、ラジカル、イオンが生成され、気体の反応、分解を促進することが知られており、これをエンジン排気ガスや各種の焼却炉排気ガスに含まれる有害成分の除去に利用できることが知られている。
【0003】
例えば、エンジン排気ガスや各種の焼却炉排気ガスを、プラズマ場内を通過させることによって、このエンジン排気ガスや各種の焼却炉排気ガス中に含まれる、例えば、NO、カーボン微粒子、HC、CO等を処理するプラズマ排ガス処理システムが開示されている(例えば、特開2001−164925号公報参照)。
【発明の開示】
【0004】
しかしながら、排気ガスには複数種類の物質が含まれているが各物質毎に処理に適するプラズマの強度が異なるために、所定の物質を処理することを目的としたプラズマでは他の物質を処理することができず、複数の物質を含む排気ガスを処理する際には、それぞれに適したプラズマを発生させるための電極が必要になるという問題があった。また、一対の電極を用いて、複数の物質を一種類のプラズマで処理する場合には、高強度のプラズマを発生させなければならず、消費電力が増大するという問題があった。また、プラズマと併用して排気ガスの処理に用いられることがあるNO還元触媒は、その触媒反応に排気ガスに含まれる燃料(炭化水素)が必要であるが、高強度のプラズマと併用して用いた場合には、プラズマによって炭化水素が完全に酸化されてしまうために、その能力を十分発揮することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、排気ガスに含まれる被処理物質を選択的に処理することが可能な排気ガス処理装置及び排気ガス処理方法を提供する。
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明は、以下の排気ガス処理装置及び排気ガス処理方法を提供するものである。
【0007】
[1]被処理物質を含む排気ガスの流路となるケース体と、前記ケース体の内部にプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生手段とを備え、前記プラズマ発生手段で発生したプラズマによって前記排気ガスに含まれる前記被処理物質を処理する排気ガス処理装置であって、前記プラズマ発生手段が、前記ケース体の内部に対向配置された一以上のパルス電極及びアース電極と、所定の時間間隔で異なる周波数及び/又は電圧値に切り替えて前記パルス電極にパルス電流を供給することが可能なパルス電源とを有し、前記パルス電源から供給する前記パルス電流の周波数及び/又は電圧値を、前記パルス電極と前記アース電極との間に前記排気ガスに含まれる前記被処理物質に適した種類のプラズマが発生するように、前記所定の時間間隔で異なる周波数及び/又は電圧値に切り替えることにより、前記排気ガスに含まれる前記被処理物質を選択的に処理することが可能な排気ガス処理装置(以下、「第一の発明」ということがある)。
【0008】
[2]前記所定の時間間隔が、0.01〜500秒である前記[1]に記載の排気ガス処理装置。
【0009】
[3]前記パルス電源が、周波数が100〜1000Hzの第一のパルス電流と、周波数が500〜2500Hzの第二のパルス電流とに切り替えて供給することが可能なものである前記[1]又は[2]に記載の排気ガス処理装置。
【0010】
[4]前記パルス電源が、電圧値が2〜5kVの第三のパルス電流と、電圧値が3〜20kVの第四のパルス電流とに切り替えて供給することが可能なものである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の排気ガス処理装置。
【0011】
[5]前記パルス電極及び/又は前記アース電極が、誘電体となるセラミック体と、セラミック体の内部に配設された導電膜とから構成されたものである前記[1]〜[4]のいずれかに記載の排気ガス処理装置。
【0012】
[6]前記排気ガスの流路における前記プラズマ発生手段の下流側に、触媒をさらに備えた前記[1]〜[5]のいずれかに記載の排気ガス処理装置。
【0013】
[7]被処理物質を含む排気ガスの流路にプラズマを発生させて、発生したプラズマによって前記排気ガスに含まれる前記被処理物質を処理する排気ガス処理方法であって、一以上のパルス電極及びアース電極を前記排気ガスの流路に対向配置し、前記パルス電極に、前記パルス電極と前記アース電極との間に前記排気ガスに含まれる前記被処理物質に適した種類のプラズマが発生するように、所定の時間間隔で異なる周波数及び/又は電圧値に切り替えてパルス電流を供給し、前記排気ガスに含まれる前記被処理物質を選択的に処理する排気ガス処理方法(以下、「第二の発明」ということがある)。
【0014】
[8]前記所定の時間間隔が、0.01〜500秒である前記[7]に記載の排気ガス処理方法。
【0015】
[9]前記パルス電流を、周波数が100〜1000Hzの第一のパルス電流と、周波数が500〜2500Hzの第二のパルス電流とに切り替えて供給する前記[7]又は[8]に記載の排気ガス処理方法。
【0016】
[10]前記パルス電流を、電圧値が2〜5kVの第三のパルス電流と、電圧値が3〜20kVの第四のパルス電流とに切り替えて供給する前記[7]〜[9]のいずれかに記載の排気ガス処理方法。
【0017】
[11]前記排気ガスが自動車のエンジンから排出される排気ガスであり、前記エンジンの回転数及び/又は負荷の変化に対応させて、前記所定の時間間隔で、異なる周波数及び/又は電圧値に段階的に切り替えて前記パルス電流を供給する前記[7]〜[10]のいずれかに記載の排気ガス処理方法。
【0018】
[12]前記排気ガスが自動車のエンジンから排出される排気ガスであり、前記エンジンの回転数及び/又は負荷の変化に対応させて、周波数及び/又は電圧値を切り替える前記所定の時間間隔を段階的に変化させる前記[7]〜[11]のいずれかに記載の排気ガス処理方法。
【0019】
[13]前記排気ガスの流路における前記プラズマを発生させた部位より下流側に触媒を配設し、前記プラズマを通過した排気ガスを前記触媒によってさらに処理する前記[7]〜[12]のいずれかに記載の排気ガス処理方法。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明(第一の発明)の排気ガス処理装置の一の実施の形態を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明(第一の発明)の排気ガス処理装置の他の実施の形態を示す模式図である。
【図3(a)】図3(a)は、本発明(第一の発明)の排気ガス処理装置の一の実施の形態において、煤をアース電極に捕集する過程を示す模式図である。
【図3(b)】図3(b)は、本発明(第一の発明)の排気ガス処理装置の一の実施の形態において、煤をアース電極に捕集する過程を示す模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の排気ガス処理装置及び排気ガス処理方法の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0022】
まず、本発明(第一の発明)の一の実施の形態の排気ガス処理装置について説明する。図1に示すように、本実施の形態の排気ガス処理装置1は、被処理物質を含む排気ガスの流路となるケース体2と、ケース体2の内部にプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生手段3とを備え、プラズマ発生手段3で発生したプラズマによって排気ガスに含まれる被処理物質を処理する排気ガス処理装置1であって、プラズマ発生手段3が、ケース体2の内部に対向配置された一以上のパルス電極4及びアース電極5と、所定の時間間隔で異なる周波数及び/又は電圧値に切り替えてパルス電極4にパルス電流を供給することが可能なパルス電源6とを有し、パルス電源6から供給するパルス電流の周波数及び/又は電圧値を、パルス電極4とアース電極5との間に排気ガスに含まれる被処理物質に適した種類のプラズマが発生するように、所定の時間間隔で異なる周波数及び/又は電圧値に切り替えることにより、排気ガスに含まれる被処理物質を選択的に処理することが可能なものである。
【0023】
また、本実施の形態の排気ガス処理装置は、例えば、図2に示すように、排気ガスの流路におけるプラズマ発生手段3の下流側に、触媒10をさらに備えた構成としてもよい。この触媒10としては、NOの分解反応を促進する触媒、例えば、NO還元触媒を用いることにより、プラズマでは処理が困難であるNO等を分解(還元)して処理することが可能となり、排気ガスをより清浄な状態にして外部に排出することができる。
【0024】
例えば、本実施の形態においては、パルス電源6を、所定の時間間隔で、排気ガスに含まれる被処理物質の一つである一酸化窒素(NO)を処理するのに適したプラズマを発生させることができる比較的周波数の低い、第一のパルス電流(以下、「低周波のパルス電流」ということがある)と、排気ガスに含まれる被処理物質の一つである煤を処理するのに適したプラズマを発生させることができる比較的周波数の高い、第二のパルス電流(以下、「高周波のパルス電流」ということがある)とを交互に切り替えて供給することが可能なものとすることが好ましい。このように構成することにより、低周波のパルス電流によって発生したプラズマ(以下、「低周波プラズマ」ということがある)によって一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO)に酸化して処理することができるとともに、排気ガスに含まれる炭化水素(HC)を適度に酸化して、NO還元触媒の能力を向上させる効果のあるアルデヒド等を良好に生成することができる。また、低周波プラズマは、排気ガスに含まれる煤を処理することはほとんど不可能であるが、静電捕集の効果によりアース電極5側に煤を捕集することができるために、煤が処理させずにケース体2の外部に排出されるのを防止することができる。
【0025】
上述した静電捕集は、図3(a)に示すように、煤11に電子12が付着して負に帯電し、電子12が付着した煤11が、正電極側、即ち、アース電極5側に引き寄せられることによって生じる。
【0026】
低周波のパルス電流から切り替えられた高周波のパルス電流によって発生したプラズマ(以下、「高周波プラズマ」ということがある)は、図3(b)に示すように、アース電極5側に捕集された煤11と、新たに流入した排気ガスに含まれる煤11とを、酸化力の強い高周波プラズマで一気に酸化処理することができる。もちろん、この高周波プラズマでは、一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO)に酸化して処理することができる。ただし、この高周波プラズマは酸化力が強いため、炭化水素(HC)の大部分が、二酸化炭素(CO)と水とに完全に酸化されてしまう。
【0027】
従来の排気ガス処理装置においては、プラズマを用いて被処理物質を処理する場合に一種のプラズマで処理を行っていたが、上述したように、比較的に強い酸化力が必要な煤を酸化処理することと、NO還元触媒の能力を向上させる効果のあるアルデヒド等を有効に生成することとは二律背反の関係にあるために両者を両立させることができなかった。
【0028】
本実施の形態の排気ガス処理装置においては、所定の時間間隔で異なる条件のプラズマを発生させることから、一方では、NOを処理しつつ、NO還元触媒の能力を向上させる効果のあるアルデヒド等を生成し、他方では、酸化力の必要な煤を処理することで、少なくとも一対の電極(パルス電極4とアース電極5)で選択的に被処理物質を処理することができる。
【0029】
図1に示すような本実施の形態の排気ガス処理装置1において、パルス電極4とアース電極5と間を通過する排気ガスに含まれる被処理物質を実際に酸化するものは、プラズマによって励起された励起状態の酸素であり、この励起状態の酸素の量が、プラズマの酸化力と密接に関係している。励起状態の酸素には、安定で酸化力の弱い三重項励起酸素(3P)と、不安定ではあるが酸化力の強い一重項励起酸素(1D)とがある。一重項励起酸素(1D)は高周波数プラズマの方が低周波数プラズマよりも多く存在する。このため、低周波プラズマはNOの酸化に適しており、高周波プラズマは煤の酸化に適しているといえる。
【0030】
もっとも、一重項励起酸素(1D)は不安定であり、その寿命が短いことから、高周波プラズマによって生成された一重項励起酸素(1D)が電極間に広く拡散せずに、十分な酸化力が発揮されないことがある。特に、電極に捕集された煤の近傍には、プラズマが発生し難い電子の帯(シース)が形成されるために酸化力がさらに低下することがある。
【0031】
このために、本実施の形態の排気ガス処理装置1は、高周波プラズマによって一重項励起酸素(1D)を直接生成するだけでなく、電極間に発生したプラズマによってオゾン(O)を生成し、得られたオゾンを、プラズマの発光で光解離してより多くの一重項励起酸素(1D)を生成することができるようなものとすることが好ましい。具体的には、オゾン(O)は310nm以下の波長の光によって、酸素分子(O)と一重項励起酸素(1D)とに解離されることから、パルス電源6を、オゾン(O)を有効に生成するのに適した低周波プラズマを得ることができる周波数のパルス電流と、310nm以下の波長の光を多く含むような発光を生じるのに適した高周波プラズマを得ることができる周波数のパルス電流とを切り替えて供給することが可能なものとすることにより、低周波プラズマによって生成したオゾン(O)を高周波プラズマによる発光で解離して、より多くの一重項励起酸素(1D)を生成することが可能となる。さらに、オゾン(O)を利用することによって、プラズマが発生し難い電子の帯(シース)内でも一重項励起酸素(1D)を有効に生成することができる。
【0032】
上述した作用、効果を効果的に得るためには、本実施の形態に用いられるパルス電源6が、周波数が100〜1000Hzの第一のパルス電流と、周波数500〜2500Hzの第二のパルス電流とに切り替えてパルス電流を供給することが可能なものであることが好ましい。
【0033】
また、本実施の形態に用いられるパルス電源6は、周波数は同じままで、所定の時間間隔で異なる電圧値に切り替えてパルス電流を供給することが可能なものであってもよい。また、所定の時間間隔で、異なる周波数と異なる電圧値とに切り替えてパルス電流を供給することが可能なものであってもよい。異なる電圧値に切り替えてパルス電流を供給する場合には、パルス電源6が、所定の時間間隔で、排気ガスに含まれる被処理物質の一つである一酸化窒素(NO)を処理するのに適したプラズマを発生させることができる比較的電圧値の低い、第三のパルス電流(以下、「低電圧のパルス電流」ということがある)と、排気ガスに含まれる被処理物質の一つである煤を処理するのに適したプラズマを発生させることができる比較的電圧値の高い、第四のパルス電流(以下、「高電圧のパルス電流」ということがある)とを交互に切り替え可能なものとする。このように構成することによって、前述した周波数を異ならせた場合と同様の作用、効果を得ることができる。特に、低周波のパルス電流を低電圧にして、低周波低電圧のプラズマでより多くのオゾンを生成し、さらに、高周波のパルス電流を高電圧にして、高周波高電圧のプラズマの発光量を増加させてオゾンの解離を増進させることで、排気ガスに含まれる煤の酸化効率をさらに向上させることができる。
【0034】
異なる電圧値のパルス電流を供給する場合には、それぞれのパルス電流の電圧値については特に限定されることはないが、例えば、自動車の排気ガスを処理する場合には、パルス電源6が、2〜5kVの第三のパルス電流(低電圧のパルス電流)と、3〜20kVの第四のパルス電流(高電圧のパルス電流)とに切り替えて供給することが可能なものであることが好ましい。第三のパルス電流(低電圧のパルス電流)の電圧値が2kV未満であると、NOの酸化を十分に行うことができないことがあり、また、第三のパルス電流(低電圧のパルス電流)の電圧値が5kVを超えると、炭化水素が完全に酸化されてしまうことがある。また、第四のパルス電流(高電圧のパルス電流)の電圧値が3kV未満であると、煤の酸化が不十分となることがあり、また、第四のパルス電流(高電圧のパルス電流)の電圧値が20kVを超えると、パルス電源6が過大になり搭載性の問題を生じるとともに、周囲への電磁障害の問題が生じることがある。
【0035】
また、周波数及び/又は電圧値の切り替えを行う時間間隔は、排気ガス処理装置1の大きさや、それぞれの周波数や電圧値等によっても異なるが、0.01〜500秒であることが好ましく、0.01〜10秒であることがさらに好ましい。また、上述した周波数の切り替えを行う時間間隔は、それぞれの条件におけるパルス数によって設定することもできる。例えば、パルス電流を、異なる二種類の周波数に切り替えて供給して自動車の排気ガスを処理する場合には、より周波数の高い高周波のパルス電流のパルス数1回に対して、低周波のパルス電流のパルス数が1〜50000回となるように周波数の切り替えを行う時間の間隔を設定することが好ましく、3〜50000回となるように設定することがさらに好ましい。高周波のパルス電流のパルス数1回に対して、低周波のパルス電流のパルス数が1回未満であると、NO還元触媒の能力を向上させる効果のあるアルデヒド等の生成が十分に行われないことがある。また、低周波のパルス電流のパルス数が50000回を超えると、アース電極5に煤を捕集している時間が長くなりすぎて、周波数を切り替えた後の高周波プラズマによって処理しきれないことがある。なお、電圧値についても同様である。
【0036】
また、本実施の形態に用いられるパルス電源6から供給されるパルス電流の1パルスの長さ(期間)としては、パルス電流を異なる二種類の周波数に切り替えて供給する場合には、高周波の1パルスの長さ(期間)については1パルスの最大電圧値の半値幅に対応する時間が、0.8〜200μ秒であることが好ましく、0.8〜50μ秒であることがさらに好ましい。パルス電流の1パルスの長さが0.8μ秒未満であると、煤の酸化効率が低下することがあり、50μ秒を超えると、電力の消費量が増大することがある。また、低周波の1パルスの長さ(期間)については1パルスの最大電圧値の半値幅に対応する時間が、1〜500μ秒であることが好ましく、1〜100μ秒であることがさらに好ましい。パルス電流の1パルスの長さが1μ秒未満であると、NOの酸化効率が低下することや、静電捕集の効果が不十分となることがあり、50μ秒を超えると、電力効率が悪化することがある。
【0037】
本実施の形態に用いられるパルス電源6については、これまでに説明したようなパルス電流を供給することができるものであれば、特に限定されることはないが、例えば、サイリスタを利用したパルス電源や、サイリスタ以外の他のトランジスタを用いたパルス電源等を好適に用いることができる。
【0038】
本実施の形態に用いられるパルス電極4及びアース電極5の構成については、特に限定されることはないが、その間に均等にプラズマを発生させることができるものが好ましく、例えば、負電極(パルス電極4)側の電極は誘電体となるセラミック体と、セラミック体の内部に配設された導電膜とから構成された電極を好適に用いることができる。正電極(アース電極5)側の電極は導電体とすることが静電捕集の維持性の観点から好ましいが、負電極と同じ構造の電極であってもかまわない。また、パルス電極4とアース電極5との間の距離については、特に限定されることはないが、対向配置された電極間に有効にプラズマを発生させることができるように、0.3〜5mmとすることが好ましい。また、5mmを超えると十分な集塵効果が得られないことがある。また、図1に示すように、パルス電極4及びアース電極5は、例えば、一つのパルス電極4の両面側に、それぞれアース電極5が対向するように、複数のパルス電極4及びアース電極5が順番に積層した状態で配置されていることが好ましい。また、パルス電極4及びアース電極5の数については、特に限定されることはない。
【0039】
本実施の形態に用いられるケース体2の材料としては、特に制限はないが、例えば、本実施の形態の排気ガス処理装置1を自動車に設置する場合には、ケース体2の材料として導電性を有する金属を用い、このケース体2の一部をアース電極5と接続し、さらに自動車等のアースに電気的に接続させた構成とすることが好ましい。
【0040】
また、図2に示す排気ガス処理装置1においては、排気ガスの流路の排気ガス発生側(上流側)に配設されたプラズマ発生手段3と、その排気側(下流側)に配設された触媒10とは、配管14を介して接続されている。なお、本実施の形態においては、プラズマ発生手段3の下流側に触媒10が直接接続した構成としてもよい。
【0041】
図2に示す排気ガス処理装置1は、例えば、酸素過剰雰囲気下における排気ガス中のNOを浄化することが可能な排気ガス処理装置である。即ち、プラズマ発生手段3で発生したプラズマによって、NOを下流側の触媒10で浄化しやすいように改質、又はNOと反応しやすいように排気ガス中のHC(炭化水素)等を改質して、触媒10によってNOを浄化する。
【0042】
この排気ガス処理装置1に用いられるプラズマ発生手段3は、プラズマにより、リーンバーン、ガソリン直噴エンジン又はディーゼルエンジン等の酸素過剰雰囲気下での燃焼による排気ガス中のNOをNOに変換するものである。また、プラズマ発生手段3は、排気ガス中のHC等から活性種を生成するものであり、図1に示したプラズマ発生手段3と同様に構成されたものを好適に用いることができる。
【0043】
触媒10は、その内部に排気ガスが流通する複数の細孔が形成された支持体を含む触媒部材を備えた触媒ユニット13として、排気系におけるプラズマ発生手段3の下流側に配設されている。触媒部材は、支持体と、支持体の複数の細孔を取り囲む内壁面を覆うように形成された触媒層を有している。この触媒ユニット13としては、従来公知のNO処理装置を挙げることができる。
【0044】
触媒層は、一般に、後記するように支持体をスラリー状の触媒(触媒スラリー)に含浸して製造されるため、「ウォッシュコート(層)」と呼ばれることもある。
【0045】
支持体の形状は、排気ガスが流通する空間を有していれば本発明では特に制限されず、本実施の形態では、複数の細孔が形成されたハニカム状のものを使用している。
【0046】
支持体は、耐熱性を有する材料から形成されることが好ましい。このような材料としては、例えば、コージェライト、ムライト、シリコンカーバイド(SiC)、シリコンナイトライド(Si)等の多孔質(セラミック)や、メタル(例えば、ステンレス)等が挙げられる。
【0047】
触媒層は、多孔質担体と、多孔質担体の表面に担持したPt、Pd、Rh、Au、Ag、Cu、Fe、Ni、Ir、Ga等から選択される一種又は二種以上の組合せを主要部として形成されている。触媒層の内部には支持体の細孔に連続する複数の連続細孔が形成されている。
【0048】
多孔質担体は、例えば、アルミナ、ゼオライト、シリカ、チタニア、ジルコニア、シリカアルミナ、セリア等から適宜選択して使用し、形成することができる。なお、触媒10は、NOの分解反応を促進する触媒を用いる。
【0049】
次に、本発明(第二の発明)の排気ガス処理方法の一の実施の形態について具体的に説明する。本実施の形態の排気ガス処理方法は、被処理物質を含む排気ガスの流路にプラズマを発生させて、発生したプラズマによって排気ガスに含まれる被処理物質を処理する排気ガス処理方法であって、一以上のパルス電極及びアース電極を排気ガスの流路に対向配置し、パルス電極とアース電極との間に排気ガスに含まれる被処理物質に適した種類のプラズマが発生するように、所定の時間間隔で異なる周波数及び/又は電圧値に切り替えてパルス電極にパルス電流を供給し、排気ガスに含まれる被処理物質を選択的に処理するものである。
【0050】
このように構成することによって、例えば、自動車のエンジンから排出される排気ガスを処理する場合に、排気ガスに含まれる一酸化窒素(NO)を処理するのに適した周波数の低いパルス電流(以下、「低周波のパルス電流」ということがある)と、煤を処理するのに適した周波数の高いパルス電流(以下、「高周波のパルス電流」ということがある)とを切り替えて供給することにより、排気ガスに含まれる被処理物質を選択的に処理することができる。
【0051】
低周波のパルス電流によって発生したプラズマ(以下、「低周波プラズマ」ということがある)は、排気ガスに含まれる被処理物質である一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO)に酸化して有効に処理することができるとともに、排気ガスに含まれる炭化水素(HC)を適度に酸化して、NO還元触媒の能力を向上させる効果のあるアルデヒド等を生成することができる。また、この低周波プラズマは、排気ガスに含まれる煤を処理することは不可能であるが、静電捕集の効果によりアース電極側に煤を捕集することができるために、煤が処理されずに外部に排出されるのを有効に防止することができる。
【0052】
また、高周波のパルス電流によって発生したプラズマ(以下、「高周波プラズマ」ということがある)は、アース電極側に捕集された煤と、新たに流入した排気ガスに含まれる煤とを、酸化力の強いプラズマで一気に酸化処理することができる。もちろん、この酸化力の強いプラズマで一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO)に酸化して処理することができる。
【0053】
このため、本実施の形態の排気ガス処理方法によれば、排気ガスに含まれる煤を効率よく酸化して処理することができるとともに、NO還元触媒の能力を向上させる効果のあるアルデヒド等を生成することができることから、例えば、NO還元触媒を用いたNO処理装置に導入する前の排気ガスの処理として本実施の形態の排気ガス処理方法を行うことによって、効果的に排気ガスを処理することができる。
【0054】
本実施の形態の排気ガス処理方法においては、上述した作用、効果を効果的に得るために、周波数が100〜1000Hzの比較的周波数の低い、第一のパルス電流と、周波数が500〜2500Hzの比較的周波数の高い、第二のパルス電流とを切り替えて供給することが好ましい。
【0055】
また、本実施の形態においては、周波数は同じままで、所定の時間間隔で異なる電圧値に切り替えてパルス電流を供給してもよい。また、所定の時間間隔で、異なる周波数及び異なる電圧値に切り替えてパルス電流を供給してもよい。異なる電圧値に切り替えてパルス電流を供給する場合には、所定の時間間隔で、排気ガスに含まれる被処理物質の一つである一酸化窒素(NO)を処理するのに適したプラズマを発生させることができる比較的電圧値の低い、第三のパルス電流(以下、「低電圧のパルス電流」ということがある)と、排気ガスに含まれる被処理物質の一つである煤を処理するのに適したプラズマを発生させることができる比較的電圧値の高い、第四のパルス電流(以下、「高電圧のパルス電流」ということがある)とを交互に供給することが好ましい。このように構成することによって、前述した周波数を異ならせた場合と同様の作用、効果を得ることができる。特に、低周波のパルス電流を低電圧にして、低周波低電圧のプラズマでより多くのオゾンを生成し、さらに、高周波のパルス電流を高電圧にして、高周波高電圧のプラズマの発光量を増加させてオゾンの解離を増進させることで、排気ガスに含まれる煤の酸化効率をさらに向上させることができる。
【0056】
また、異なる電圧値のパルス電流を供給する場合には、それぞれのパルス電流の電圧値については特に限定されることはないが、例えば、自動車の排気ガスを処理する場合には、パルス電源が、2〜5kVの第三のパルス電流(低電圧のパルス電流)と、3〜20kVの第四のパルス電流(高電圧のパルス電流)とに切り替えて供給することが可能なものであることが好ましい。第三のパルス電流(低電圧のパルス電流)の電圧値が2kV未満であると、NOの酸化を十分に行うことができないことがあり、第三のパルス電流(低電圧のパルス電流)の電圧値が5kVを超えると、炭化水素が完全に酸化されてしまうことがある。また、第四のパルス電流(高電圧のパルス電流)の電圧値が3kV未満であると、煤の酸化が不十分となることがあり、第四のパルス電流(高電圧のパルス電流)の電圧値が20kVを超えると、パルス電源が過大になり搭載性の問題を生じるとともに、周囲への電磁障害の問題が生じることがある。
【0057】
また、周波数の切り替えを行う時間間隔は、パルス電極の大きさや、切り替えを行うそれぞれの周波数や電圧値等によっても異なるが、0.01〜500秒とすることが好ましく、0.01〜10秒とすることがさらに好ましい。また、上述した周波数の切り替えを行う時間間隔は、それぞれの条件におけるパルス数によって決定することもできる。例えば、パルス電流を異なる二種類の周波数に切り替えて供給して、自動車の排気ガスを処理する場合には、より周波数の高い高周波のパルス電流のパルス数1回に対して、低周波のパルス電流のパルス数が1〜50000回となるように周波数の切り替えを行う時間間隔を設定することが好ましく、3〜50000回となるように設定することがさらに好ましい。高周波のパルス電流のパルス数1回に対して、低周波のパルス電流のパルス数が1回未満であると、NO還元触媒の能力を向上させる効果のあるアルデヒド等の生成が十分に行われないことがある。また、低周波のパルス電流のパルス数が50000回を超えると、煤をアース電極5に捕集している時間が長くなりすぎて、周波数を切り替えた後の高周波プラズマによって処理しきれないことがある。なお、電圧値についても同様である。
【0058】
なお、本実施の形態の排気ガス処理方法に用いられる、パルス電極、アース電極、及びパルス電流を供給するための電源(パルス電源)は、第一の発明の実施の形態において説明したパルス電極、アース電極、及びパルス電源を好適に用いることができる。
【0059】
自動車のエンジンの排気ガスの成分はエンジンの運転条件の変化にともない大きく変化するため、これにともなって、排気ガス処理に適したプラズマを発生させる各種の条件、即ち、パルス電流の電圧値、及び周波数、また、これらの切り替えを行う時間間隔等の好適値は異なることがある。このため、本実施の形態においては、排気ガスが自動車のエンジンから排出される排気ガス場合には、そのエンジンの回転数及び/又は負荷の変化に対応させて、所定の時間間隔で、異なる周波数及び/又は電圧値に段階的に切り替えてパルス電流を供給することが好ましく、また、エンジンの回転数及び/又は負荷の変化に対応させて、周波数及び/又は電圧値を切り替える所定の時間間隔を段階的に変化させることが好ましい。例えば、周波数及び/又は電圧値や、これらの切り替えを行う時間間隔について、エンジンの回転数及び/又は負荷の変化に対応させて、あらかじめ二段階以上の所定の値をそれぞれ設定しておき、エンジンの運転条件に応じてこれらを変化させることが好ましい。
【0060】
エンジン運転条件としては、上述したように回転数と負荷とが重要であり、これらと関連のある種々の信号、例えば、回転数計の出力信号、吸気流量計の出力信号、燃料噴射量コントロール信号、アクセル開度信号、排気温度信号、及び排気NO濃度信号等の信号を制御することにより、例えば、周波数及び/又は電圧値や、これらの切り替えを行う時間間隔を、あらかじめ設定された二段階以上の値のいずれかにコントロールすることができる。このコントロールのための信号は上記に限らず、回転数と負荷とに関連のある他の信号を用いることも当然可能である。
【0061】
また、本実施の形態の排気ガス処理方法においては、図2に示すような、排気ガスの流路におけるプラズマを発生させた部位より下流側に触媒10を配設した排気ガス処理装置1を用いて、プラズマを通過した後の排気ガスをさらに処理するものとしてもよい。図2に示す排気ガス処理装置1は、上述したように、排気ガスの流路に配設されたプラズマ発生手段3と、このプラズマ発生手段3の下流側に配設された触媒10とを備えた排気ガス処理装置であり、触媒10としては、NOの分解反応を促進する触媒、例えば、NO還元触媒を用いている。このような排気ガス処理装置1を用いて排気ガス処理を行うことにより、プラズマでは処理が困難であるNO等のNOを分解(還元)して処理することが可能となり、排気ガスをより清浄な状態にして外部に排出することができる。
【0062】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0063】
(実施例1〜7)
アルミナから構成されたセラミック体の内部にタングステン導電膜を印刷して配設したパルス電極とアース電極を形成し、このパルス電極とアース電極を、ケース体の内部に、交互に五枚ずつ対向配置させ、さらに、このパルス電極に所定の時間間隔で周波数及び電圧値を切り替えられるパルス電源を接続して排気ガス処理装置(実施例1〜7)を製造した。
【0064】
パルス電極とアース電極の大きさは、90mm×50mm×厚さ1mmとした、また、各実施例の排気ガス処理装置における、対向配置させた電極間の距離(mm)を表1に示す。
【0065】


【0066】
実施例1〜7の排気ガス処理装置に、表1に示すように、期間Aと期間Bとの二つの時間間隔で異なる周波数及び電圧値のパルス電流を供給した。期間A及び期間Bにおける周波数(Hz)、電圧値(kV)、及び各期間におけるパルス電流のパルス数(回)を表1に示す。
【0067】
実施例1〜7の排気ガス処理装置に、エンジンから排出される排気ガス状態を模擬した排気ガスを通気した。この排気ガスとしては、酸素10体積%、CO10体積%、プロピレン133ppm、プロパン67ppm、NOガス200ppm、残りが窒素となるように混合された混合ガスに、煤を1000mg/hrで混合したものを用いた。排気ガス処理装置にて処理した後のガスに含まれる、炭化水素(HC)、一酸化窒素(NO)、及び二酸化窒素(NO)の濃度と、アルデヒドの有無と、処理後の煤の質量とを測定した。測定結果を表1に示す。なお、炭化水素の濃度は、炭化換算量(ppmC)によって示している。
【0068】
実施例1〜7の排気ガス処理装置にて処理された排気ガスは、一酸化窒素(NO)が減少しており、また、NO還元触媒の能力を向上させる効果のあるアルデヒドが含まれていた。また、煤も測定装置の検出限界よりも少ない量まで減少していた。
【0069】
(比較例1〜5)
排気ガス処理装置を構成する電源が、一種類の周波数及び電圧値のパルス電流しか供給することができないものであること以外は、実施例1の排気ガス処理装置と同様に構成された排気ガス処理装置(比較例1〜5)を製造した。各電極間の距離(mm)、周波数(Hz)、電圧値(kV)を表1に示す。
【0070】
比較例1〜5の排気ガス処理装置に実施例1と同様の方法で排気ガスを通気し、排気ガス処理装置にて処理した後の気体に含まれる、炭化水素(HC)、一酸化窒素(NO)、及び二酸化窒素(NO)の濃度と、アルデヒドの有無と、処理後の煤の質量とを測定した。測定結果を表1に示す。なお、炭化水素の濃度は、炭化換算量(ppmC)によって示している。
【0071】
比較例1及び4の排気ガス処理装置によって処理された排気ガスは、煤は検出されなかったが、NO還元触媒の能力を向上させる効果のあるアルデヒド及び炭化水素(HC)も検出されなかった。また、比較例2、3及び5の排気ガス処理装置によって処理された排気ガスには、アルデヒドは検出されたが、大量の煤を含んでいた。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、本発明によって、排気ガスに含まれる被処理物質を選択的に処理することが可能な排気ガス処理装置及び排気ガス処理方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物質を含む排気ガスの流路となるケース体と、前記ケース体の内部にプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生手段とを備え、前記プラズマ発生手段で発生したプラズマによって前記排気ガスに含まれる前記被処理物質を処理する排気ガス処理装置であって、
前記プラズマ発生手段が、前記ケース体の内部に対向配置された一以上のパルス電極及びアース電極と、所定の時間間隔で異なる周波数及び/又は電圧値に切り替えて前記パルス電極にパルス電流を供給することが可能なパルス電源とを有し、前記パルス電源から供給する前記パルス電流の周波数及び/又は電圧値を、前記パルス電極と前記アース電極との間に前記排気ガスに含まれる前記被処理物質に適した種類のプラズマが発生するように、前記所定の時間間隔で異なる周波数及び/又は電圧値に切り替えることにより、前記排気ガスに含まれる前記被処理物質を選択的に処理することが可能な排気ガス処理装置。
【請求項2】
前記所定の時間間隔が、0.01〜500秒である請求項1に記載の排気ガス処理装置。
【請求項3】
前記パルス電源が、周波数が100〜1000Hzの第一のパルス電流と、周波数が500〜2500Hzの第二のパルス電流とに切り替えて供給することが可能なものである請求項1又は2に記載の排気ガス処理装置。
【請求項4】
前記パルス電源が、電圧値が2〜5kVの第三のパルス電流と、電圧値が3〜20kVの第四のパルス電流とに切り替えて供給することが可能なものである請求項1〜3のいずれかに記載の排気ガス処理装置。
【請求項5】
前記パルス電極及び/又は前記アース電極が、誘電体となるセラミック体と、セラミック体の内部に配設された導電膜とから構成されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の排気ガス処理装置。
【請求項6】
前記排気ガスの流路における前記プラズマ発生手段の下流側に、触媒をさらに備えた請求項1〜5のいずれかに記載の排気ガス処理装置。
【請求項7】
被処理物質を含む排気ガスの流路にプラズマを発生させて、発生したプラズマによって前記排気ガスに含まれる前記被処理物質を処理する排気ガス処理方法であって、
一以上のパルス電極及びアース電極を前記排気ガスの流路に対向配置し、前記パルス電極に、前記パルス電極と前記アース電極との間に前記排気ガスに含まれる前記被処理物質に適した種類のプラズマが発生するように、所定の時間間隔で異なる周波数及び/又は電圧値に切り替えてパルス電流を供給し、前記排気ガスに含まれる前記被処理物質を選択的に処理する排気ガス処理方法。
【請求項8】
前記所定の時間間隔が、0.01〜500秒である請求項7に記載の排気ガス処理方法。
【請求項9】
前記パルス電流を、周波数が100〜1000Hzの第一のパルス電流と、周波数が500〜2500Hzの第二のパルス電流とに切り替えて供給する請求項7又は8に記載の排気ガス処理方法。
【請求項10】
前記パルス電流を、電圧値が2〜5kVの第三のパルス電流と、電圧値が3〜20kVの第四のパルス電流とに切り替えて供給する請求項7〜9のいずれかに記載の排気ガス処理方法。
【請求項11】
前記排気ガスが自動車のエンジンから排出される排気ガスであり、前記エンジンの回転数及び/又は負荷の変化に対応させて、前記所定の時間間隔で、異なる周波数及び/又は電圧値に段階的に切り替えて前記パルス電流を供給する請求項7〜10のいずれかに記載の排気ガス処理方法。
【請求項12】
前記排気ガスが自動車のエンジンから排出される排気ガスであり、前記エンジンの回転数及び/又は負荷の変化に対応させて、周波数及び/又は電圧値を切り替える前記所定の時間間隔を段階的に変化させる請求項7〜11のいずれかに記載の排気ガス処理方法。
【請求項13】
前記排気ガスの流路における前記プラズマを発生させた部位より下流側に触媒を配設し、前記プラズマを通過した排気ガスを前記触媒によってさらに処理する請求項7〜12のいずれかに記載の排気ガス処理方法。

【図1】
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【図2】
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【国際公開番号】WO2005/000450
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【発行日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511058(P2005−511058)
【国際出願番号】PCT/JP2004/009016
【国際出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】