排気浄化装置
【課題】排気の流れをフィルタの近傍に案内することにより、PMの捕集効率が向上し、排気の浄化が促進される排気浄化装置を提供する。
【解決手段】排気浄化装置10は、排気通路15において、排気の流れ方向において放電電極部12の上流側に排気流案内部14を備えている。排気流案内部14は、排気通路15における排気の流れを排気管部材11の内壁17に近い排気通路15の外周側へ案内する。これにより、排気通路15を流れる排気の流れは、排気流案内部14によって外周側すなわち排気管部材11の内壁17側へ案内される。その結果、放電電極部12におけるコロナ放電によって帯電したPMは、排気管部材11の内壁17に沿って流れ、捕集部13へ到達する。
【解決手段】排気浄化装置10は、排気通路15において、排気の流れ方向において放電電極部12の上流側に排気流案内部14を備えている。排気流案内部14は、排気通路15における排気の流れを排気管部材11の内壁17に近い排気通路15の外周側へ案内する。これにより、排気通路15を流れる排気の流れは、排気流案内部14によって外周側すなわち排気管部材11の内壁17側へ案内される。その結果、放電電極部12におけるコロナ放電によって帯電したPMは、排気管部材11の内壁17に沿って流れ、捕集部13へ到達する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関し、特に排気に含まれる粒子状物質(PM:Particulate matter)を除去する排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排気に含まれるPMを捕集して除去することにより、排気の浄化を図る排気浄化装置が公知である。例えば特許文献1は、排気通路を流れる排気中において発生させたコロナ放電によってPMを帯電させ、帯電したPMを捕集部で捕集することを開示している。この特許文献1の場合、捕集部は、排気通路を形成する排気管部材の内壁すなわち排気通路の外周側に設けられている。
しかしながら、排気通路を流れる排気の主流は、排気通路の中心付近に形成される。そのため、主流に多く含まれるPMは、排気管部材の内壁に設けられている捕集部との距離が大きくなる。その結果、PMの捕集効率の向上が困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−19583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、排気の流れをフィルタの近傍に案内することにより、PMの捕集効率が向上し、排気の浄化が促進される排気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明では、排気の流れ方向において放電電極部の上流側に排気流案内部を備えている。排気流案内部は、排気通路における排気の流れを排気管部材の内壁に近い排気通路の外周側へ案内する。これにより、排気通路を流れる排気の流れは、排気流案内部によって外周側すなわち排気管部材の内壁側へ案内される。その結果、放電電極部におけるコロナ放電によって帯電したPMは、排気管部材の内壁に沿って流れ、捕集部へ到達する。したがって、PMの捕集効率を向上することができ、排気の浄化を促進することができる。
【0006】
請求項2記載の発明では、排気の流れ方向において捕集部の下流側にSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒および還元剤添加ノズルを備えている。排気通路を流れる排気は、排気流案内部を通過することにより、流れに乱れが生じる。そのため、捕集部を通過した排気にも流れに乱れが生じている。この流れに乱れが生じている排気に還元剤添加ノズルから還元剤を添加することにより、添加された還元剤と排気との混合が促進される。したがって、SCR触媒における排気に含まれる窒素酸化物の還元が促進され、排気の浄化をより促進することができる。また、PMを捕集する捕集部と窒素酸化物を還元するSCR触媒とがユニット化され、搭載性の向上および機器の小型化を図ることができる。
【0007】
請求項3記載の発明では、排気流案内部は排気流方向変更部材を有している。そのため、排気は、動力を必要とすることなく、自身の流れによって排気流方向変更部材に沿って排気管部材の内壁側へ案内される。したがって、消費エネルギーの増大を招くことなく簡単な構造で排気の浄化を促進することができる。
【0008】
請求項4記載の発明では、排気流案内部は旋回力付与部材を有している。そのため、排気通路を流れる排気は、旋回力付与部材を通過することによって旋回力が付与される。これにより、排気通路を流れる排気は、自身の旋回によって排気管部材の内壁側へ案内される。したがって、簡単な構造で排気の浄化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態による排気浄化装置を示す模式図
【図2】第1実施形態による排気浄化装置の旋回力付与部材を示す模式図
【図3】図2の矢印III方向から見た矢視図
【図4】図1のIV−IV線における断面図
【図5】第1実施形態による排気浄化装置の旋回力付与部材の変形例を示す模式図
【図6】図5の矢印VI方向から見た矢視図
【図7】第1実施形態による排気浄化装置の旋回力付与部材の変形例を示す模式図
【図8】図7の矢印VIII方向から見た矢視図
【図9】第2実施形態による排気浄化装置の排気流方向変更部材を示す模式図
【図10】図9の矢印X方向から見た矢視図
【図11】第3実施形態による排気浄化装置を示す模式図
【図12】図11のXII−XII線における断面図
【図13】第4実施形態による排気浄化装置を示す模式図
【図14】図13のXIV−XIV線における断面図
【図15】第5実施形態による排気浄化装置を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の複数の実施形態による排気浄化装置を図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態による排気浄化装置を図1に示す。排気浄化装置10は、排気管部材11、放電電極部12、捕集部13および排気流案内部14を備えている。排気管部材11は、筒状に形成され、内側に排気通路15を形成している。排気通路15は、一方の端部が図示しない内燃機関に接続し、他方の端部が大気に開放されている。排気は、排気通路15において内燃機関側から大気側へ流れる。本明細書において、内燃機関側を排気通路15の上流側とし、大気に開放されている側を排気通路15の下流側とする。なお、一部の図において排気管部材11は、簡略化のために断面を線状に示している。
【0011】
放電電極部12は、排気管部材11に設けられている。放電電極部12は、排気管部材11を貫いており、図示しない電源から電力が供給されることにより、排気通路15を流れる排気中にコロナ放電を生じる。これにより、排気通路15を流れる排気に含まれるPMは、コロナ放電によって帯電する。捕集部13は、この放電電極部12よりも下流側に設けられ、内壁が排気通路15に面している。捕集部13は、例えば金属などの導電性の材料で形成されたフィルタであり、電気的に接地されている。そのため、帯電したPMは、凝集し、捕集部13との電位差によって捕集部13に捕集される。
【0012】
排気流案内部14は、放電電極部12よりも上流側に設けられている。排気流案内部14は、例えば図2および図3に示すように羽根状に形成された旋回力付与部材16を有している。旋回力付与部材16は、排気管部材11に固定されている。図2および図3に示す旋回力付与部材16は、円板状の部材に径方向の切れ目を形成し、この切れ目に沿って板状の部分を排気通路15の下流側へ折り曲げることにより、羽根状に形成されている。これにより、排気通路15を流れる排気は、排気流案内部14の旋回力付与部材16を通過するとき、排気通路15の中心側から外周側へ流れの方向が変更されるとともに、図4に示すように排気通路15の軸を中心とする周方向へ旋回力が付与される。旋回力が付与された排気は、自身の旋回力によって排気通路15の中心側から外周側、すなわち排気管部材11の内壁17側へ案内される。
【0013】
このように、排気流案内部14において排気通路15を流れる排気に旋回力を付与し、排気の流れ方向を排気通路15の内周側から外周側へ変更することにより、図1に示すように排気は排気通路15の外周側すなわち排気管部材11の内壁17側を流れる。そのため、排気に含まれるPMも排気の流れに沿って排気管部材11の内壁17側を中心に流れる。その結果、放電電極部12におけるコロナ放電によって帯電したPMは、捕集部13に近い排気管部材11の内壁17側を流れることとなり、捕集部13に捕集されやすくなる。
【0014】
第1実施形態では、排気の流れ方向において放電電極部12の上流側に排気流案内部14を備えている。排気流案内部14は、排気通路15における排気の流れを排気管部材11の内壁17に近い排気通路15の外周側へ案内する。これにより、放電電極部12におけるコロナ放電によって帯電したPMは、排気管部材11の内壁17に沿って流れ、捕集部13へ到達する。したがって、PMの捕集効率を向上することができ、排気の浄化を促進することができる。
【0015】
また、第1実施形態では、排気流案内部14は、旋回力付与部材16を有している。そのため、排気通路15を流れる排気は、旋回力付与部材16を通過することによって、排気通路15の軸を中心とした周方向への旋回力が付与される。これにより、排気通路15を流れる排気は、自身の旋回によって排気管部材11の内壁17側へ案内される。したがって、簡単な構造で排気の浄化を促進することができる。また、排気は、旋回力付与部材16を通過することにで自身の流れによって旋回力が付与される。そのため、排気に旋回力を付与するための動力は必要としない。したがって、消費エネルギーの増大を招くことなく簡単な構造で排気の浄化を促進することができる。さらに、旋回力付与部材16で排気流案内部14を構成することにより、旋回力付与部材16は排気管部材11から着脱可能となる。そのため、例えば旋回力付与部材16が汚れたり損傷した場合、旋回力付与部材16を容易に交換することができ、内燃機関や排気浄化装置10の各部の性能にあわせて旋回力付与部材16を容易に変更することができる。
【0016】
(変形例)
次に、上述の第1実施形態の変形例について説明する。排気流案内部14における旋回力付与部材16は、上述した図2および図3に示す形状に限定されない。例えば図5および図6に示す旋回力付与部材21は、一枚の平板をねじることにより、螺旋状に形成されている。また、図7および図8に示す旋回力付与部材22は、支持部23から外周側へ放射状に設けられた翼部24を有している。これらの構成により、排気通路15を通過する排気は、旋回力付与部材21または旋回力付与部材22を通過する際に排気通路15の中心を軸とする周方向へ旋回力が付与される。このように、旋回力付与部材21、22は、排気通路15を流れる排気に旋回力を付与可能な構成であれば形状を問わない。また、第1実施形態を含む各旋回力付与部材16、21、22は、いずれも排気管部材11に固定され、排気の流れによって排気に旋回力を付与する。したがって、消費エネルギーの増大を招くこともない。
【0017】
(第2実施形態)
第2実施形態による排気浄化装置を図9に示す。
第2実施形態による排気浄化装置10は、図9および図10に示すように排気流案内部14に排気流方向変更部材25を有している。排気流方向変更部材25は、第1実施形態にように排気に旋回力を付与して排気通路15の外周側へ案内するのに代えて、排気通路15を流れる排気の流れの方向を単に変更する。すなわち、図9に示すように排気通路15に円錐状の排気流方向変更部材25を設けることにより、排気の流れは排気流方向変更部材25に案内されて外周側へ変更される。これにより、排気に含まれるPMは、放電電極部12におけるコロナ放電によって帯電した後、排気通路15の外周側すなわち排気管部材11の内壁17側へ案内される。その結果、帯電したPMを含む排気の流れは捕集部13に接近し、PMの捕集効率が向上する。
【0018】
第2実施形態では、排気流案内部14は排気流方向変更部材25を有している。そのため、排気は、動力を必要とすることなく、自身の流れによって排気流方向変更部材25に沿って排気管部材11の内壁17側へ案内される。したがって、消費エネルギーの増大を招くことなく簡単な構造で排気の浄化を促進することができる。
【0019】
(第3、第4実施形態)
第3実施形態および第4実施形態による排気浄化装置を、それぞれ図11または図12に示す。
第3実施形態の場合、図11に示すように排気浄化装置10の排気管部材11は、内燃機関側が上流側排気管部材31に接続している。この上流側排気管部材31は、上流側排気通路32を形成している。第3実施形態の場合、この上流側排気管部材31は、排気管部材11の接線方向に接続している。そのため、上流側排気管部材31が形成する上流側排気通路32を流れる排気は、排気管部材11が形成する排気通路15へ排気管部材11の接線方向から流入する。その結果、上流側排気通路32の排気は、図12に示すように排気通路15の中心を軸とする周方向へ旋回しながら排気通路15へ流入する。すなわち、第3実施形態の場合、排気流案内部14は、排気管部材11と上流側排気管部材31との接続部分に形成される。
【0020】
第3実施形態の場合、上流側排気通路32から排気通路15へ流入する排気は、排気管部材11と上流側排気管部材31との接続部分に形成された排気流案内部14において旋回し、排気通路15の外周側すなわち排気管部材11の内壁17側へ案内される。そのため、排気は、自身の流れによって旋回流を形成し、排気通路15の外周側へ流れ方向を変更する。したがって、消費エネルギーの増大を招くことなく簡単な構造で排気の浄化を促進することができる。
【0021】
第4実施形態の場合、図13に示すように排気浄化装置10の排気管部材11は、内燃機関側が二本の上流側排気管部材33、34に接続している。この二本の上流側排気管部材33、34は、それぞれ上流側排気通路35、36を形成している。第4実施形態の場合、これらの上流側排気管部材33、34は、排気管部材11の接線方向に接続するとともに、二本が互いに180°ずれて接続している。そのため、上流側排気管部材33、34が形成する上流側排気通路35、36を流れる排気は、排気管部材11が形成する排気通路15へ180°ずれた位置で接線方向から流入する。その結果、上流側排気通路35および上流側排気通路36の排気は、図14に示すように排気通路15の中心を軸とする周方向へ旋回しながら排気通路15へ流入する。すなわち、第4実施形態の場合、排気流案内部14は、排気管部材11と上流側排気管部材33および上流側排気管部材34との接続部分に形成される。
【0022】
第4実施形態の場合、上流側排気通路35、36から排気通路15へ流入する排気は、排気管部材11と上流側排気管部材33、34との接続部分に形成された排気流案内部14において旋回し、排気通路15の外周側すなわち排気管部材11の内壁17側へ案内される。そのため、排気は、自身の流れによって旋回流を形成し、排気通路15の外周側へ流れ方向を変更する。したがって、消費エネルギーの増大を招くことなく簡単な構造で排気の浄化を促進することができる。
【0023】
(第5実施形態)
第5実施形態による排気浄化装置を図15に示す。
第5実施形態の場合、図15に示すように排気浄化装置10は、SCR触媒42および還元剤添加ノズル41をさらに備えている。SCR触媒42および還元剤添加ノズル41は、いずれも排気管部材11に設けられている。具体的には、SCR触媒42は、排気管部材11が形成する排気通路15において捕集部13の下流側に設けられている。また、還元剤添加ノズル41は、捕集部13とSCR触媒42との間に排気管部材11を貫いて設けられ、先端が排気通路15に露出している。還元剤添加ノズル41は、この排気通路15に露出する先端に還元剤を噴射する図示しない噴射口を有している。図示しない還元剤タンクに貯えられている還元剤は、還元剤添加ノズル41の噴射口から排気通路15を流れる排気に噴射される。還元剤としては、例えば尿素やアンモニア水などが適用される。還元剤添加ノズル41から噴射された還元剤は、排気通路15を流れる排気に混合された後、SCR触媒42へ流入する。排気に含まれる窒素酸化物は、SCR触媒42において還元剤添加ノズル41から供給された還元剤と反応し、窒素に還元される。
【0024】
第5実施形態では、排気の流れ方向において捕集部13の下流側に還元剤添加ノズル41およびSCR触媒42を備えている。排気通路15を流れる排気は、排気流案内部14を通過することにより、流れに乱れが生じる。そのため、捕集部13を通過した排気にも流れに乱れが生じている。この流れに乱れが生じている排気に還元剤添加ノズル41から還元剤を添加することにより、添加された還元剤と排気との混合が促進される。したがって、SCR触媒42における排気に含まれる窒素酸化物の還元が促進され、排気の浄化をより促進することができる。また、PMを捕集する捕集部13と窒素酸化物を還元するSCR触媒42とがユニット化され、搭載性の向上および機器の小型化を図ることができる。
【0025】
(その他の実施形態)
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
例えば上述の複数の実施形態では、放電電極部12においてコロナ放電を発生する例について説明した。しかし、放電電極部12は、コロナ放電に限らず、PMを帯電させることができる構成であれば他の放電を利用してもよい。
【符号の説明】
【0026】
図面中、10は排気浄化装置、11は排気管部材、12は放電電極部、13は捕集部、14は排気流案内部、15は排気通路、16、21、22は旋回力付与部材、17は内壁、21は旋回力付与部材、22は旋回力付与部材、25は排気流方向変更部材、41は還元剤添加ノズル、42はSCR触媒を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関し、特に排気に含まれる粒子状物質(PM:Particulate matter)を除去する排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排気に含まれるPMを捕集して除去することにより、排気の浄化を図る排気浄化装置が公知である。例えば特許文献1は、排気通路を流れる排気中において発生させたコロナ放電によってPMを帯電させ、帯電したPMを捕集部で捕集することを開示している。この特許文献1の場合、捕集部は、排気通路を形成する排気管部材の内壁すなわち排気通路の外周側に設けられている。
しかしながら、排気通路を流れる排気の主流は、排気通路の中心付近に形成される。そのため、主流に多く含まれるPMは、排気管部材の内壁に設けられている捕集部との距離が大きくなる。その結果、PMの捕集効率の向上が困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−19583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、排気の流れをフィルタの近傍に案内することにより、PMの捕集効率が向上し、排気の浄化が促進される排気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明では、排気の流れ方向において放電電極部の上流側に排気流案内部を備えている。排気流案内部は、排気通路における排気の流れを排気管部材の内壁に近い排気通路の外周側へ案内する。これにより、排気通路を流れる排気の流れは、排気流案内部によって外周側すなわち排気管部材の内壁側へ案内される。その結果、放電電極部におけるコロナ放電によって帯電したPMは、排気管部材の内壁に沿って流れ、捕集部へ到達する。したがって、PMの捕集効率を向上することができ、排気の浄化を促進することができる。
【0006】
請求項2記載の発明では、排気の流れ方向において捕集部の下流側にSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒および還元剤添加ノズルを備えている。排気通路を流れる排気は、排気流案内部を通過することにより、流れに乱れが生じる。そのため、捕集部を通過した排気にも流れに乱れが生じている。この流れに乱れが生じている排気に還元剤添加ノズルから還元剤を添加することにより、添加された還元剤と排気との混合が促進される。したがって、SCR触媒における排気に含まれる窒素酸化物の還元が促進され、排気の浄化をより促進することができる。また、PMを捕集する捕集部と窒素酸化物を還元するSCR触媒とがユニット化され、搭載性の向上および機器の小型化を図ることができる。
【0007】
請求項3記載の発明では、排気流案内部は排気流方向変更部材を有している。そのため、排気は、動力を必要とすることなく、自身の流れによって排気流方向変更部材に沿って排気管部材の内壁側へ案内される。したがって、消費エネルギーの増大を招くことなく簡単な構造で排気の浄化を促進することができる。
【0008】
請求項4記載の発明では、排気流案内部は旋回力付与部材を有している。そのため、排気通路を流れる排気は、旋回力付与部材を通過することによって旋回力が付与される。これにより、排気通路を流れる排気は、自身の旋回によって排気管部材の内壁側へ案内される。したがって、簡単な構造で排気の浄化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態による排気浄化装置を示す模式図
【図2】第1実施形態による排気浄化装置の旋回力付与部材を示す模式図
【図3】図2の矢印III方向から見た矢視図
【図4】図1のIV−IV線における断面図
【図5】第1実施形態による排気浄化装置の旋回力付与部材の変形例を示す模式図
【図6】図5の矢印VI方向から見た矢視図
【図7】第1実施形態による排気浄化装置の旋回力付与部材の変形例を示す模式図
【図8】図7の矢印VIII方向から見た矢視図
【図9】第2実施形態による排気浄化装置の排気流方向変更部材を示す模式図
【図10】図9の矢印X方向から見た矢視図
【図11】第3実施形態による排気浄化装置を示す模式図
【図12】図11のXII−XII線における断面図
【図13】第4実施形態による排気浄化装置を示す模式図
【図14】図13のXIV−XIV線における断面図
【図15】第5実施形態による排気浄化装置を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の複数の実施形態による排気浄化装置を図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態による排気浄化装置を図1に示す。排気浄化装置10は、排気管部材11、放電電極部12、捕集部13および排気流案内部14を備えている。排気管部材11は、筒状に形成され、内側に排気通路15を形成している。排気通路15は、一方の端部が図示しない内燃機関に接続し、他方の端部が大気に開放されている。排気は、排気通路15において内燃機関側から大気側へ流れる。本明細書において、内燃機関側を排気通路15の上流側とし、大気に開放されている側を排気通路15の下流側とする。なお、一部の図において排気管部材11は、簡略化のために断面を線状に示している。
【0011】
放電電極部12は、排気管部材11に設けられている。放電電極部12は、排気管部材11を貫いており、図示しない電源から電力が供給されることにより、排気通路15を流れる排気中にコロナ放電を生じる。これにより、排気通路15を流れる排気に含まれるPMは、コロナ放電によって帯電する。捕集部13は、この放電電極部12よりも下流側に設けられ、内壁が排気通路15に面している。捕集部13は、例えば金属などの導電性の材料で形成されたフィルタであり、電気的に接地されている。そのため、帯電したPMは、凝集し、捕集部13との電位差によって捕集部13に捕集される。
【0012】
排気流案内部14は、放電電極部12よりも上流側に設けられている。排気流案内部14は、例えば図2および図3に示すように羽根状に形成された旋回力付与部材16を有している。旋回力付与部材16は、排気管部材11に固定されている。図2および図3に示す旋回力付与部材16は、円板状の部材に径方向の切れ目を形成し、この切れ目に沿って板状の部分を排気通路15の下流側へ折り曲げることにより、羽根状に形成されている。これにより、排気通路15を流れる排気は、排気流案内部14の旋回力付与部材16を通過するとき、排気通路15の中心側から外周側へ流れの方向が変更されるとともに、図4に示すように排気通路15の軸を中心とする周方向へ旋回力が付与される。旋回力が付与された排気は、自身の旋回力によって排気通路15の中心側から外周側、すなわち排気管部材11の内壁17側へ案内される。
【0013】
このように、排気流案内部14において排気通路15を流れる排気に旋回力を付与し、排気の流れ方向を排気通路15の内周側から外周側へ変更することにより、図1に示すように排気は排気通路15の外周側すなわち排気管部材11の内壁17側を流れる。そのため、排気に含まれるPMも排気の流れに沿って排気管部材11の内壁17側を中心に流れる。その結果、放電電極部12におけるコロナ放電によって帯電したPMは、捕集部13に近い排気管部材11の内壁17側を流れることとなり、捕集部13に捕集されやすくなる。
【0014】
第1実施形態では、排気の流れ方向において放電電極部12の上流側に排気流案内部14を備えている。排気流案内部14は、排気通路15における排気の流れを排気管部材11の内壁17に近い排気通路15の外周側へ案内する。これにより、放電電極部12におけるコロナ放電によって帯電したPMは、排気管部材11の内壁17に沿って流れ、捕集部13へ到達する。したがって、PMの捕集効率を向上することができ、排気の浄化を促進することができる。
【0015】
また、第1実施形態では、排気流案内部14は、旋回力付与部材16を有している。そのため、排気通路15を流れる排気は、旋回力付与部材16を通過することによって、排気通路15の軸を中心とした周方向への旋回力が付与される。これにより、排気通路15を流れる排気は、自身の旋回によって排気管部材11の内壁17側へ案内される。したがって、簡単な構造で排気の浄化を促進することができる。また、排気は、旋回力付与部材16を通過することにで自身の流れによって旋回力が付与される。そのため、排気に旋回力を付与するための動力は必要としない。したがって、消費エネルギーの増大を招くことなく簡単な構造で排気の浄化を促進することができる。さらに、旋回力付与部材16で排気流案内部14を構成することにより、旋回力付与部材16は排気管部材11から着脱可能となる。そのため、例えば旋回力付与部材16が汚れたり損傷した場合、旋回力付与部材16を容易に交換することができ、内燃機関や排気浄化装置10の各部の性能にあわせて旋回力付与部材16を容易に変更することができる。
【0016】
(変形例)
次に、上述の第1実施形態の変形例について説明する。排気流案内部14における旋回力付与部材16は、上述した図2および図3に示す形状に限定されない。例えば図5および図6に示す旋回力付与部材21は、一枚の平板をねじることにより、螺旋状に形成されている。また、図7および図8に示す旋回力付与部材22は、支持部23から外周側へ放射状に設けられた翼部24を有している。これらの構成により、排気通路15を通過する排気は、旋回力付与部材21または旋回力付与部材22を通過する際に排気通路15の中心を軸とする周方向へ旋回力が付与される。このように、旋回力付与部材21、22は、排気通路15を流れる排気に旋回力を付与可能な構成であれば形状を問わない。また、第1実施形態を含む各旋回力付与部材16、21、22は、いずれも排気管部材11に固定され、排気の流れによって排気に旋回力を付与する。したがって、消費エネルギーの増大を招くこともない。
【0017】
(第2実施形態)
第2実施形態による排気浄化装置を図9に示す。
第2実施形態による排気浄化装置10は、図9および図10に示すように排気流案内部14に排気流方向変更部材25を有している。排気流方向変更部材25は、第1実施形態にように排気に旋回力を付与して排気通路15の外周側へ案内するのに代えて、排気通路15を流れる排気の流れの方向を単に変更する。すなわち、図9に示すように排気通路15に円錐状の排気流方向変更部材25を設けることにより、排気の流れは排気流方向変更部材25に案内されて外周側へ変更される。これにより、排気に含まれるPMは、放電電極部12におけるコロナ放電によって帯電した後、排気通路15の外周側すなわち排気管部材11の内壁17側へ案内される。その結果、帯電したPMを含む排気の流れは捕集部13に接近し、PMの捕集効率が向上する。
【0018】
第2実施形態では、排気流案内部14は排気流方向変更部材25を有している。そのため、排気は、動力を必要とすることなく、自身の流れによって排気流方向変更部材25に沿って排気管部材11の内壁17側へ案内される。したがって、消費エネルギーの増大を招くことなく簡単な構造で排気の浄化を促進することができる。
【0019】
(第3、第4実施形態)
第3実施形態および第4実施形態による排気浄化装置を、それぞれ図11または図12に示す。
第3実施形態の場合、図11に示すように排気浄化装置10の排気管部材11は、内燃機関側が上流側排気管部材31に接続している。この上流側排気管部材31は、上流側排気通路32を形成している。第3実施形態の場合、この上流側排気管部材31は、排気管部材11の接線方向に接続している。そのため、上流側排気管部材31が形成する上流側排気通路32を流れる排気は、排気管部材11が形成する排気通路15へ排気管部材11の接線方向から流入する。その結果、上流側排気通路32の排気は、図12に示すように排気通路15の中心を軸とする周方向へ旋回しながら排気通路15へ流入する。すなわち、第3実施形態の場合、排気流案内部14は、排気管部材11と上流側排気管部材31との接続部分に形成される。
【0020】
第3実施形態の場合、上流側排気通路32から排気通路15へ流入する排気は、排気管部材11と上流側排気管部材31との接続部分に形成された排気流案内部14において旋回し、排気通路15の外周側すなわち排気管部材11の内壁17側へ案内される。そのため、排気は、自身の流れによって旋回流を形成し、排気通路15の外周側へ流れ方向を変更する。したがって、消費エネルギーの増大を招くことなく簡単な構造で排気の浄化を促進することができる。
【0021】
第4実施形態の場合、図13に示すように排気浄化装置10の排気管部材11は、内燃機関側が二本の上流側排気管部材33、34に接続している。この二本の上流側排気管部材33、34は、それぞれ上流側排気通路35、36を形成している。第4実施形態の場合、これらの上流側排気管部材33、34は、排気管部材11の接線方向に接続するとともに、二本が互いに180°ずれて接続している。そのため、上流側排気管部材33、34が形成する上流側排気通路35、36を流れる排気は、排気管部材11が形成する排気通路15へ180°ずれた位置で接線方向から流入する。その結果、上流側排気通路35および上流側排気通路36の排気は、図14に示すように排気通路15の中心を軸とする周方向へ旋回しながら排気通路15へ流入する。すなわち、第4実施形態の場合、排気流案内部14は、排気管部材11と上流側排気管部材33および上流側排気管部材34との接続部分に形成される。
【0022】
第4実施形態の場合、上流側排気通路35、36から排気通路15へ流入する排気は、排気管部材11と上流側排気管部材33、34との接続部分に形成された排気流案内部14において旋回し、排気通路15の外周側すなわち排気管部材11の内壁17側へ案内される。そのため、排気は、自身の流れによって旋回流を形成し、排気通路15の外周側へ流れ方向を変更する。したがって、消費エネルギーの増大を招くことなく簡単な構造で排気の浄化を促進することができる。
【0023】
(第5実施形態)
第5実施形態による排気浄化装置を図15に示す。
第5実施形態の場合、図15に示すように排気浄化装置10は、SCR触媒42および還元剤添加ノズル41をさらに備えている。SCR触媒42および還元剤添加ノズル41は、いずれも排気管部材11に設けられている。具体的には、SCR触媒42は、排気管部材11が形成する排気通路15において捕集部13の下流側に設けられている。また、還元剤添加ノズル41は、捕集部13とSCR触媒42との間に排気管部材11を貫いて設けられ、先端が排気通路15に露出している。還元剤添加ノズル41は、この排気通路15に露出する先端に還元剤を噴射する図示しない噴射口を有している。図示しない還元剤タンクに貯えられている還元剤は、還元剤添加ノズル41の噴射口から排気通路15を流れる排気に噴射される。還元剤としては、例えば尿素やアンモニア水などが適用される。還元剤添加ノズル41から噴射された還元剤は、排気通路15を流れる排気に混合された後、SCR触媒42へ流入する。排気に含まれる窒素酸化物は、SCR触媒42において還元剤添加ノズル41から供給された還元剤と反応し、窒素に還元される。
【0024】
第5実施形態では、排気の流れ方向において捕集部13の下流側に還元剤添加ノズル41およびSCR触媒42を備えている。排気通路15を流れる排気は、排気流案内部14を通過することにより、流れに乱れが生じる。そのため、捕集部13を通過した排気にも流れに乱れが生じている。この流れに乱れが生じている排気に還元剤添加ノズル41から還元剤を添加することにより、添加された還元剤と排気との混合が促進される。したがって、SCR触媒42における排気に含まれる窒素酸化物の還元が促進され、排気の浄化をより促進することができる。また、PMを捕集する捕集部13と窒素酸化物を還元するSCR触媒42とがユニット化され、搭載性の向上および機器の小型化を図ることができる。
【0025】
(その他の実施形態)
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
例えば上述の複数の実施形態では、放電電極部12においてコロナ放電を発生する例について説明した。しかし、放電電極部12は、コロナ放電に限らず、PMを帯電させることができる構成であれば他の放電を利用してもよい。
【符号の説明】
【0026】
図面中、10は排気浄化装置、11は排気管部材、12は放電電極部、13は捕集部、14は排気流案内部、15は排気通路、16、21、22は旋回力付与部材、17は内壁、21は旋回力付与部材、22は旋回力付与部材、25は排気流方向変更部材、41は還元剤添加ノズル、42はSCR触媒を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に内燃機関の排気が流れる排気通路を形成する排気管部材と、
前記排気管部材に設けられ、前記排気通路においてコロナ放電を生じる放電電極部と、
前記排気通路における排気の流れ方向において前記放電電極部の下流側に設けられ、前記放電電極部における放電によって帯電した粒子状物質を捕集する捕集部と、
前記排気通路における排気の流れ方向において前記放電電極部の上流側に設けられ、前記排気通路における排気の流れを前記排気管部材の内壁に近い外周側へ案内する排気流案内部と、
を備えることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項2】
前記排気通路における排気の流れ方向において前記捕集部の下流側に設けられ、前記排気に含まれる窒素酸化物を還元するSCR触媒と、
前記捕集部と前記SCR触媒との間に設けられ、前記排気通路を流れる排気に還元剤を添加する還元剤添加ノズルと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の排気浄化装置。
【請求項3】
前記排気流案内部は、前記排気通路に設けられ、前記排気の流れ方向を変更して前記排気管部材の内壁側へ導く排気流方向変更部材を有することを特徴とする請求項1または2記載の排気浄化装置。
【請求項4】
前記排気流案内部は、前記排気通路に設けられ、前記排気通路を流れる排気に前記排気通路の軸を中心とする旋回力を付与する旋回力付与部材を有することを特徴とする請求項1または2記載の排気浄化装置。
【請求項1】
内側に内燃機関の排気が流れる排気通路を形成する排気管部材と、
前記排気管部材に設けられ、前記排気通路においてコロナ放電を生じる放電電極部と、
前記排気通路における排気の流れ方向において前記放電電極部の下流側に設けられ、前記放電電極部における放電によって帯電した粒子状物質を捕集する捕集部と、
前記排気通路における排気の流れ方向において前記放電電極部の上流側に設けられ、前記排気通路における排気の流れを前記排気管部材の内壁に近い外周側へ案内する排気流案内部と、
を備えることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項2】
前記排気通路における排気の流れ方向において前記捕集部の下流側に設けられ、前記排気に含まれる窒素酸化物を還元するSCR触媒と、
前記捕集部と前記SCR触媒との間に設けられ、前記排気通路を流れる排気に還元剤を添加する還元剤添加ノズルと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の排気浄化装置。
【請求項3】
前記排気流案内部は、前記排気通路に設けられ、前記排気の流れ方向を変更して前記排気管部材の内壁側へ導く排気流方向変更部材を有することを特徴とする請求項1または2記載の排気浄化装置。
【請求項4】
前記排気流案内部は、前記排気通路に設けられ、前記排気通路を流れる排気に前記排気通路の軸を中心とする旋回力を付与する旋回力付与部材を有することを特徴とする請求項1または2記載の排気浄化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−106423(P2011−106423A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264858(P2009−264858)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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