説明

排気装置およびこれを備えた画像形成装置

【課題】 排気装置の搭載された機器を壁等に近接設置しても、その排気効率を低下させ難くする。
【解決手段】 装置本体11を形成する筐体13の一部をなす側面部15には排気口21を形成する。この排気口21に面する位置には、排気口21に対して斜めに変位可能に送風ファン25を筐体13内に支持する。近接センサ37は、外部の壁41の近接を検出するもので、筐体13に配置する。ソレノイド33は、送風ファン25の端部に連結されたスライド棒35を有する。ソレノイド33は、近接センサ37が壁41の排気口21への近接を検出したときスライド棒35を後退動させて送風ファン25をその排気口21に対して斜めに変位させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排気装置およびこれを備えた画像形成装置に係り、例えば複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置に搭載して好適する排気装置およびこれを備えた画像形成装置自体の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置においては、動作時に発熱を伴う部品が多く搭載されており、装置内の温度上昇による部品性能劣化や寿命低下を防止するため、例えば図5に示すように、装置本体1内に送風ファン3を配置するとともに、この送風ファン3からの風流を外部に排出する排気口5を装置本体1の筐体7背面に形成してなる排気装置を搭載し、排気口5から筐体7内部の空気を外部へ送風して装置本体1内を冷却している。
【0003】
ところが、図6に示すように、筐体7の例えば背面側を壁9に近づけて装置本体1を設置すると、排気口5近くの壁9が障害物になるから、送風ファン3からの風流が壁9に当たって戻されたり乱され、送風ファン3からの風流がうまく外部へ流出せず、排気効率が著しく低下して装置本体1内の冷却効率が悪化し易い。
【0004】
そこで、例えば特許文献1(特開2002−248836号公報)のように、画像形成装置本体の内部で発生した熱気を強制的に外部へ排出するファンモータを有する排気装置において、上記ファンモータを固定する支持体に整流ルーバーを取り付け、その支持体を回転自在にすることにより、上記熱気の排出方向を変更可能とした構成が提案されている。
【特許文献1】特開2002−248836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す構成では、ファンモータを固定する支持体に整流ルーバーを取り付け、その支持体を回転自在とすることにより、単に排出方向を変更可能としたのみであり、図5のようにその画像形成装置本体を壁9に近接設置した場合、整流ルーバーからの風流が多少斜めに壁9に当たるものの、整流ルーバーからの風流がうまく外部へ流出し難く、排気効率が低下するから、改善が望まれている。
【0006】
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、装置本体を障害物に近接して使用しても、排気効率を低下させ難い排気装置およびこれを備えた画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのような課題を解決するために本発明に係る排気装置は、装置本体を形成する筐体と、この筐体の一部を形成する側面部に形成された排気口と、この排気口に面しこれに対して斜めに変位可能にその筐体内に支持された送風ファンと、その筐体に配置され筐体外部の被検出物のその排気口への近接を検出する近接センサと、その送風ファンの端部に連結された進退動部材を有する可変部材であってその近接センサが被検出物を検出したときその進退動部材を前進又は後退動させてその送風ファンをその排気口に斜めに変位させる可変部材とを具備している。
【0008】
そして、本発明では、上記送風ファンが、その側面部に連続する筐体の角部方向に斜めに変位させる構成も可能である。
【0009】
また、本発明では、上記送風ファンが、対向する両側部の中央部で支持されてなる構成も可能である。
【0010】
さらに、本発明では、上記可変部材が電磁的ソレノイドである構成も可能である。
【0011】
さらにまた、本発明では、上記近接センサがその被検出物を電子的に検出する構成も可能である。
【0012】
さらにまた、本発明では、上記送風ファンが伸縮性の良好なダクトを介してその排気口に連結されてなる構成も可能である。
【0013】
そして、本発明では、上記各排気装置を備えた画像形成装置も可能である。
【発明の効果】
【0014】
このような本発明に係る排気装置では、装置本体を形成する筐体の側面部に形成された排気口と、この排気口に対して斜めに変位可能にその筐体内に支持された送風ファンと、その筐体に配置され外部の被検出物の排気口への近接を検出する近接センサと、その送風ファンの端部に連結された進退動部材を有する可変部材であってその近接センサが被検出物を検出したときその進退動部材の前進又は後退動によってその送風ファンをその排気口に対して斜めに変位させる可変部材とを具備するから、装置本体を障害物に近接して使用しても、自動的にそれを検出して風流方向を可変させ、排気効率を低下させ難い。
【0015】
そして、上記送風ファンを、その筐体の角部方向に斜めに変位させる構成では、送風ファンからの風流が円滑に外部へ流れ出て良好な排気効果を得やすい。
【0016】
また、上記送風ファンが、対向する両側部の中央部で支持される構成では、小さい力で送風ファンを変位させることが可能である。
【0017】
さらに、本発明では、上記可変部材が電磁的ソレノイドである構成では、送風ファンを確実かつ円滑に変位可能である。
【0018】
さらにまた、上記近接センサがその被検出物を電子的に検出する構成では、上記可変部材としての電磁的ソレノイドとの連動が容易である。
【0019】
さらにまた、上記送風ファンが伸縮性の良好なダクトを介してその排気口に連結されてなる構成では、送風ファンからの風流を効率よく排気口から流出可能である。
【0020】
そして、上記各排気装置を備えた画像形成装置では、特にその冷却効果を期待可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1は本発明に係る排気装置の実施の形態を示す要部概略断面図である。
【0023】
図1において、装置本体11は、例えば複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置の本体を示すものであり、同図では、装置本体11を形成する外装カバーとしての筐体13において、背面側である側面部15から図中右側に連続する側面部17で形成される角部19付近が簡略化されて図示されている。以降の図でも同様である。
【0024】
筐体13内には、画像形成装置を形成する構成要素が多数配置されているが、本発明の要部ではないから図示および説明を省略する。
【0025】
角部19近傍において側面部15には、筐体13の内外を連通する排気口21が貫通形成されており、排気口21には図示しない従来公知のルーバやフィルタ等が適宜配置されている。
【0026】
筐体13内には、比較的扁平な送風ファン25が、排気口21近傍にてこれに送風するよう排気口21に面し側面部15とほぼ並行に配置され、排気口21に対して斜めに変位するよう変位可能に支持されるとともに、伸縮可能な蛇腹状の筒型ダクト27によって排気口21に連結されている。
【0027】
送風ファン25は、図2の破線で示すように、排気口21から覗ける位置に配置されるとともに、対向する両側部の中央部から突出する支持棒29を適当な支持手段(図示せず。)に支持させ、これら両側部方向と直交する方向の端部が丁度シーソーのように排気口21に対して接近又は遠ざかるように変移可能になっている。
【0028】
送風ファン25は、図1に示すように、それら両側部方向と直交する方向で、例えば角部19に近い端部から突設した係止部31に電磁型ソレノイド33が連結されている。
【0029】
ソレノイド33は、角部19近くで側面17に沿って筐体13内に適当な手段によって固定されており、予め突出するとともにその電磁動作によって後退動するスライド棒35の先端が送風ファン25の係止部31に連結されている。
【0030】
そのため、ソレノイド33が動作すると、スライド棒35が後退動し、送風ファン25の係止部31側がソレノイド33方向に引付けられ、側面部15にほぼ平行な定位置に位置する送風ファン25が角部19に面するように傾く(図4参照)。
【0031】
筐体13内側にあって、排気口21を間において角部19から遠い位置には近接センサ37が配置されている。
【0032】
この近接センサ37は、側面部15に形成された貫通孔39を介して発射した赤外線等の反射光を受光し、外部の例えば後述する壁41等の被検出物の排気口21への近接を電子的に検出するものであり、その検出中にわたって上記ソレノイド33を動作制御するようになっている。
【0033】
なお、近接センサ37が壁41を検出しなくなると、スライド棒35が元の位置に前進動するようソレノイド33が形成されていたり、送風ファン25が適当な付勢手段によって定位置に戻るようになっている。
【0034】
次に、上述した本発明に係る排気装置における動作を、図3および図4を参照して簡単に説明する。
【0035】
まず、送風ファン25が定位置にあり、筐体13内部から排気口21を介して風流が外部へ流出する状態の装置本体11が、図3に示すように、側面部15を背面として壁41に近接して設置されると、送風ファン25からの風流が壁41に当たって戻されたり乱されるものの、近接センサ37が壁41を検出してソレノイド33を起動させる。
【0036】
そのため、図4に示すように、ソレノイド33のスライド棒35が後退動し、送風ファン25の係止部31側がソレノイド33方向に引付けられ、送風ファン25が角部19側に面するように傾く。
【0037】
そのため、送風ファン25からの風流が角部19に寄った斜め方向に流下して排気口21を通り、壁41に当たるものの筐体13の角部19方向に偏向されて外部へ流れ出る。
【0038】
そして、装置本体11の側面部15を壁41から離すと、近接センサ37の検出が絶たれ、例えばソレノイド33のスライド棒35が元の位置に前進動し、送風ファン25が定位置に戻る。
【0039】
このような本発明に係る排気装置では、装置本体11を形成する筐体13の一部をなす側面部15に排気口21を形成し、この排気口21に面しこれに対して斜めに変位可能にその筐体13内に送風ファン25を支持し、その側面部15外部から排気口21に近接する壁41を検出する近接センサ37を筐体13に配置し、その送風ファン25の端部にソレノイド33のスライド棒35を連結し、その近接センサ37が壁41を検出したときそのスライド棒35を後退動させて送風ファン25をその排気口21に斜めに変位させるよう構成した。
【0040】
そのため、その背面が壁41に近接するよう画像形成装置等の装置本体11を設置しただけで、自動的にその壁41の近接検出が可能となり、送風ファン25がその壁41に対して斜めに変位し、送風ファン25からの風流が壁41に斜めに当たって角部19方向に円滑に流れ出るから、良好な排気効率を確保可能である。
【0041】
しかも、電磁的ソレノイド33を可変部材として用いるから、送風ファン25を確実かつ円滑に変位可能である。
【0042】
さらに、近接センサ37が壁41を電子的に検出するから、電磁的ソレノイド33との電気的連動が容易で、起動停止も容易である。
【0043】
ところで、本発明の排気装置では、送風ファン25を角部19方向に傾ける構成に限定されないが、風流の円滑な流過を確保する観点から、角部19方向に面するよう斜めに傾ける構成が好ましい。
【0044】
なお、ソレノイド33を用いる構成においては、スライド棒35を前進動させて送風ファン25を角部19方向に斜ける構成も可能であり、それに合わせてソレノイド33と送風ファン25の連結位置等を変更すれば良い。
【0045】
さらにまた、送風ファン25が伸縮性の良好なダクト27を介して排気口21に連結されるから、送風ファン25からの風流を効率よく排気口21に導き流出させることが可能で、排気効率が良好である。
【0046】
また、本発明の排気装置では、装置本体11を形成する筐体13の側面部15、17のうち何れか一方の側面部において実施可能であり、それに合わせて近接センサ37等を形成すれば良い。
【0047】
そして、上述した画像形成装置には、例えば熱定着ローラその他、特に動作時に発熱を伴う部品が多く搭載されているから、上述した本発明に係る排気装置を搭載して構成すると、その良好な冷却効果が期待可能である。
【0048】
もっとも、本発明に係る排気装置は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置に限らず、種々の機器に搭載して好適する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る排気装置の実施の一形態を示す要部概略断面図(図2中のI−I間断面)である。
【図2】図1の排気装置に係る要部概略背面図である。
【図3】図1の排気装置に係る動作を説明する要部概略断面図である。
【図4】図1の排気装置に係る動作を説明する要部概略断面図である。
【図5】従来の排気装置を示す要部概略断面図である。
【図6】図5の排気装置に係る動作を示す要部概略断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1、11 装置本体
3、25 送風ファン
5 排気口
7、13 筐体
9、43 壁
15、17 側面部
19 角部
21 排気口
23 ルーバ
27 ダクト
29 支持棒
31 係止部
33 ソレノイド(可変部材)
35 スライド棒(進退動部材)
37 近接センサ
39 貫通孔
41 壁(被検出物:障害物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体を形成する筐体と、
この筐体の一部を形成する側面部に形成された排気口と、
この排気口に面しこれに対して斜めに変位可能に前記筐体内に支持された送風ファンと、
前記筐体に配置され、前記筐体外部の被検出物の前記排気口への近接を検出する近接センサと、
前記送風ファンの端部に連結された進退動部材を有する可変部材であって、前記近接センサが前記被検出物を検出したとき、前記進退動部材を前進又は後退動させて前記送風ファンを前記排気口に斜めに変位させる可変部材と、
を具備することを特徴とする排気装置。
【請求項2】
前記送風ファンは、前記側面部に連続する前記筐体の角部方向に斜めに変位される請求項1記載の排気装置。
【請求項3】
前記送風ファンは、対向する両側部の中央部が支持されてなる請求項1又は2記載の排気装置。
【請求項4】
前記可変部材は、電磁的ソレノイドである請求項1〜3のいずれか1項記載の排気装置。
【請求項5】
前記近接センサは、前記被検出物を電子的に検出するものである請求項1〜4のいずれか1項記載の排気装置。
【請求項6】
前記送風ファンは、伸縮性の良好なダクトを介して前記排気口に連結されてなる請求項1〜5のいずれか1項記載の排気装置。
【請求項7】
前記請求項1〜6のいずれか1項記載の排気装置を備えた画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−322645(P2007−322645A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151715(P2006−151715)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】