説明

排水用ポンプ装置

【課題】本発明は、排水に混入する微細なゴミがポンプ内に残留することがなく、ポンプ内も閉塞することがなく、吸引口にフィルタを装着するが、別の動力源を必要とせず、もって製作コストも安価にしうる排水用ポンプ装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、排出ポンプ装置であって、吸引口がポンプ本体の下部側に、吐出口がポンプ本体の上部側に設けられたポンプと、ポンプの吸引口を覆うフィルタと、フィルタへの付着物を収納するポンプの下方位置に設置された収納容器と、ポンプと収納容器との間に設けられポンプの作動時振動を許容する振動許容部材とを備え、フィルタへの付着物は、ポンプの作動時震動により離脱し収納容器へ収納される、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般工事に使用される排水用ポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工事に使用される排水用ポンプ装置は一般にレンタルされており、当該一般にレンタルされている排水用ポンプ装置で400W(120リットル/分)、市販されているもので50W(10リットル/分)が、低排水量となっている。
【0003】
そして、上記以下の小排水量では未だ商品化されてはおらず、よって上記以下の小排水量のときでも、前記の排水用ポンプをレンタルして使用しなければならなかった。
【0004】
しかし、このような従来の使用状況であると、排水量に見合った電力消費にはなっておらず、特に長時間の使用ではきわめて電力の使用コストが大きいものとなってしまう。
【0005】
また、50W(10リットル/分)未満の従来のポンプ装置を使用しようとすると、例えば以下のような課題が生じる。
【0006】
すなわち、
(1)排水に混入する微細なゴミが特にポンプ内に多く残留してしまい、これにより弁が詰まったりし、その結果ポンプ内が閉塞したり、ときには運転不能に陥ることさえあった。
(2)従来ポンプの吸込み側に、例えばポンプが連続運転するのに必要なフィルタを設けると、短期間で容量一杯となり、目詰まりを起こし、運転不能に陥ることがあった(特開2005−118696号公報参照)。
(3)振動式や圧縮空気等での逆洗方式によりフィルタの目詰まり防止が考えられるが、この場合には別の動力を必要とし、それを組み込んだ製作コストや省エネの点で経済的効果が発揮しにくい。
【特許文献1】特開2005−118696号公報 図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かくして、本発明は前記従来の課題に対処するために創案されたものであり、排水に混入する微細なゴミがポンプ内に残留することがなく、よって弁が詰まったりしないためポンプ内も閉塞することがなく、さらに吸引口にフィルタを装着するが、該フィルタの目詰まり防止につき、別の動力源を必要とせず、もって製作コストも安価にしうる排水用ポンプ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、吸引口がポンプ本体の下部側に、吐出口がポンプ本体の上部側に設けられたポンプと、
前記ポンプの吸引口を覆うフィルタと、該フィルタへの付着物を収納する、前記ポンプの下方位置に設置された収納容器と、
前記ポンプと収納容器との間に設けられ、ポンプの作動時振動を許容する振動許容部材と、
を備え、
前記フィルタへの付着物は、前記ポンプの作動時震動により離脱し収納容器へ収納される、
ことを特徴とし、
または、
吸引口がポンプ本体の下部側に、吐出口がポンプ本体の上部側に設けられたポンプと、
前記ポンプの吸引口を覆うフィルタと、該フィルタへの付着物を回収すると共に外部排水を貯留する、前記ポンプの下方位置に設置された収納容器と、
前記ポンプと収納容器との間に設けられ、ポンプの作動時振動を許容する振動許容部材と、
を備え、
前記フィルタへの付着物は、前記外部排水中に浸されたフィルタから前記付着物が前記ポンプの作動時震動により離脱し収納容器へ収納される、
ことを特徴とし、
または、
前記ポンプはダイヤフラムポンプであることを特徴とし、
または、
前記フィルタは燒結金属で構成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明による排出ポンプ装置によれば、排水に混入する微細なゴミがポンプ内に残留することがなく、よって弁が詰まったりしないためポンプ内も閉塞することがない。 またポンプの吸引口にフィルタを装着するが、該フィルタの目詰まり防止につき、別の動力源を設ける必要がないため、ポンプ装置自体の製作コストを安価にすることができるなど優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明による排水用ポンプ装置につき図を参照して説明する。
【0011】
図1に本発明の第1実施例を示す。符号1はダイヤフラムポンプを示す。該ダイヤフラムポンプ1の吐出口2はポンプ本体21の上方側に位置するよう設けられ、吸引口3はポンプ本体21の下部側に位置するよう設けられている。
【0012】
また、ダイヤフラムポンプ1の底面には水平方向へ向かい円板状に張り出すベースプレート4がポンプ本体21と一体的に設けられており、該ベースプレート4の下側にはリング状のフランジ5を介して略円板状に形成されたフィルタ6が取り付けられている。このフィルタ6を形成する部材については何ら限定されるものではなく、不織布、セルロースなどの薄膜、ポリプロピレンなどの繊維部材などの使用が考えられ、あるいはこれらを組み合わせての使用が考えられ、これらの形状を略円板状に形成することが考えられる。
【0013】
そして、取り付けられているフィルタ6の下側には前記ダイヤフラムポンプ1の作動時に生じるダイヤフラムポンプ自体の振動を許容すべく振動許容部材7が設置されている。
【0014】
ここで、振動許容部材7は、図1から理解されるように、リング状をなす上部取付片8および下部取付片9と、前記上部取付片8および下部取付片9の間に設置される例えば防振ゴムなどで円筒状に構成された弾性部材10を備えて、通常これらは一体的にされて構成されている。なお、上部取付片8および下部取付片9についても防振ゴムなどで構成された弾性部材10と同様に防振ゴムなどで構成しても構わない。
【0015】
また、フィルタ6は前述のように、ダイヤフラムポンプ1の下側位置で、当該ダイヤフラムポンプと一体的に接続されて取り付けられているため、ダイヤフラムポンプ1が作動することにより起こるダイヤフラムポンプ1自体の振動はフィルタ6にもダイレクトに伝わるよう構成されている。
【0016】
従って、フィルタ6に付着した付着物20は、ダイヤフラムポンプ1の作動による振動でフィルタ6自体も例えば上下に振動し、当該振動によって離脱し、落下することになる。
【0017】
ここで、前述した振動許容部材7の下側には略コップ型をなす収納容器11が接続されて設けられており、フィルタ6から落下する付着物20を収納するよう構成されている。
【0018】
このように、振動許容部材7の下部取付片9と収納容器11の上部取付片12とが連結され、最終的にはダイヤフラムポンプ1、フィルタ6、振動許容部材7および収納容器11が一体的に接続され、本実施例の排水ポンプ装置が構成されるものとなる。
【0019】
なお、この収納容器11には前記ダイヤフラムポンプ1の吸引口3に連通する第2吸引口13が、本実施例では収納容器11の上部取付片12に設けられており、該第2吸引口13から吸引された、例えば外部排水19は収納容器11内に貯留され、貯留された外部排水19はフィルタ6を通過して濾過され、ダイヤフラムポンプ1内に入る。そして、吐出口2から排出されるものとなる。
【0020】
ここで、第2吸引口13から吸引された外部排水19は、収納容器11の内部のみならず、振動許容部材7の内部およびフィルタ6を跨いでリング状をなすフランジ5の内部まで貯留される。
【0021】
よって、前記フィルタ6は外部排水19中に水没状態となり、その状態でダイヤフラムポンプ1の作動時震動を受け、上下に振動する。すると、フィルタ6は水中で洗浄される状態とほぼ同じ状態となり、フィルタ6への付着物20が容易に離脱し、下側へ落下するものとなる。
【0022】
このように本発明ではポンプの作動時に生ずる作動振動を積極的に利用し、この振動と共に、外部排水19中に水没させることでフィルタ6へ付着した付着物20が離脱しやすくさせたことと相まって適用し、もって前記付着物20をフィルタ6からスムーズに取り除く構成としている。
【0023】
しかして、このような構成を採用すれば、特に従来のようにフィルタ6に付着した付着物20を取り除く他の動力源を必要とすることなく、排水作業を行いながら(ポンプを作動させながら)、同時にフィルタ6を洗浄することとして、その付着物20を除去する作業を行うことができるのである。
【0024】
ところで、図1において、符号14は排出用バルブを示し、収納容器11の底に溜まったフィルタ6への付着物20、すなわち堆積したゴミをこの排出用バルブ14を開けて外部に排出するものとしている。
【0025】
次に、図2を参照して、本発明の第2実施例につき説明する。
【0026】
図2において、ダイヤフラムポンプ1は上側に設置される。そして下側には第1実施例と同様に収納容器11が設置される。
【0027】
ここで、ダイヤフラムポンプ1の底面からは水平方向に張り出す張り出し片15が設けられており、該張り出し片15は収納容器11の上蓋16上に載置され、固定具17により固定される。
【0028】
収納容器11は円筒コップ状をなし、前記ダイヤフラムポンプ1が固定された上蓋16は振動許容部材7を介して収納容器11の上端に取り付けられている。
本実施例における振動許容部材7は柔軟性を有するゴム材あるいは合成樹脂材などで略リング状に構成され、前記上蓋16と収納容器11とは複数個の上蓋固定部材18により固定される。
【0029】
ダイヤフラムポンプ1の吸引口3は前記上蓋16を貫通して下側に向けて設けられており、該吸引口16には例えば逆円錐台状をなすフィルタ6が装着されている。
【0030】
該フィルタ6の構成部材については何ら限定はないが、本実施例では燒結金属より構成されたフィルタ6が使用される。
【0031】
燒結金属としては、例えば金属繊維が3次元立体的な不織布構造を持っており、耐久性の高いステンレススチール繊維の燒結品がフィルタ6として好ましいといえる。
【0032】
均一で細い構造のため、非常に多孔質なものになっており、液体やガスにかかわらず、ろ過の効率を最大限にし、高温・高圧下でも効率は落ちない。そして、1ミクロンから75ミクロンなどの幅広いもののろ過に対応可能とされている。
【0033】
すなわち、燒結金属によるフィルタ6は、高耐熱・耐食性、すぐれた耐久・洗浄性、高空隙率、耐圧縮性、高い異物捕集能力、長ろ過寿命、ゲル・微粒子も効率的に除去、幅広いろ過に対応可能との効果を奏するのである。
【0034】
なお、本実施例において、第2吸引口13は上蓋16を貫通するようにして収納容器11の上側に形成されている。
【0035】
しかして本実施例の使用状態につき説明すると、外部排水19は前記第2吸引口13から吸引されて収納容器11内において上蓋16の位置まで貯留される。
【0036】
収納容器11内いっぱいに貯留された外部排水19は例えば燒結金属で構成されたフィルタ6を通過して濾過され、ダイヤフラムポンプ1内に入る。そして、吐出口2から排出されるものとなる。
【0037】
ここで、第2吸引口13から外部より吸引された外部排水19は、収納容器11の内部一杯に、すなわち上蓋16の近くまで貯留されることすでに述べたとおりである。
【0038】
従って、前記フィルタ6は外部排水19中に水没状態となり、その状態でダイヤフラムポンプ1の作動時震動を受け、上下に振動する。すると、フィルタ6は水中で洗浄される状態とほぼ同じ状態となり、フィルタ6への付着物20が容易に離脱し、下側へ落下するものとなる。
【0039】
このように本実施例ではポンプの作動時に生ずる作動振動を積極的に利用し、この振動と共に、外部排水19中に水没させることでフィルタ6へ付着した付着物20が離脱しやすくさせたことと相まって適用し、もって前記付着物20をフィルタ6からスムーズに取り除く構成としていること第1実施例と同様である。
【0040】
しかして、このような構成を採用すれば、第1実施例と同様に、従来のようにフィルタ6に付着した付着物20を取り除く他の動力源を必要とすることなく、排水作業を行いながら(ポンプを作動させながら)、同時にフィルタ6を洗浄することとして、その付着物20を除去する作業を行うことができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明においては、ポンプ装置は、ダイヤフラムポンプに限定されるものではなく、容積式ポンプあるいは非容積式ポンプのいずれのポンプであってもかまわない。従って、容積式ポンプにあっては、渦巻きポンプ、タービンポンプ、スラリーポンプ、自吸式ポンプ、水中ポンプ、軸流ポンプ、斜流ポンプ、カスケードポンプであってもかまわないし、非容積式ポンプにあっては、ピストンポンプ、プランジャポンプ、ウイングポインプ、ギヤーポンプ、偏心ポンプ、ネジポンプであってもかまわないものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による第1実施例の構成を説明する構成説明図である。
【図2】本発明による第1実施例の構成を説明する平面図である。
【図3】本発明による第2実施例の構成を説明する構成説明図である。
【図4】本発明による第2実施例の構成を説明する平面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ダイヤフラムポンプ
2 吐出口
3 吸引口
4 ベースプレート
5 フランジ
6 フィルタ
7 振動許容部材
8 上部取付片
9 下部取付片
10 弾性部材
11 収納容器
12 収納容器の上部取付片
13 第2吸引口
14 排水用バルブ
15 張り出し片
16 上蓋
17 固定具
18 上蓋固定部材
19 外部排水
20 付着物
21 ポンプ本体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引口がポンプ本体の下部側に、吐出口がポンプ本体の上部側に設けられたポンプと、
前記ポンプの吸引口を覆うフィルタと、該フィルタへの付着物を収納する、前記ポンプの下方位置に設置された収納容器と、
前記ポンプと収納容器との間に設けられ、ポンプの作動時振動を許容する振動許容部材と、
を備え、
前記フィルタへの付着物は、前記ポンプの作動時震動により離脱し収納容器へ収納される、
ことを特徴とする排出ポンプ装置。

【請求項2】
吸引口がポンプ本体の下部側に、吐出口がポンプ本体の上部側に設けられたポンプと、
前記ポンプの吸引口を覆うフィルタと、該フィルタへの付着物を回収すると共に外部排水を貯留する、前記ポンプの下方位置に設置された収納容器と、
前記ポンプと収納容器との間に設けられ、ポンプの作動時振動を許容する振動許容部材と、
を備え、
前記フィルタへの付着物は、前記外部排水中に浸されたフィルタから前記付着物が前記ポンプの作動時震動により離脱し収納容器へ収納される、
ことを特徴とする排出ポンプ装置。

【請求項3】
前記ポンプはダイヤフラムポンプであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の排出ポンプ装置。
【請求項4】
前記フィルタは燒結金属で構成された、
ことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の排出ポンプ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−71167(P2007−71167A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−261517(P2005−261517)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000235543)飛島建設株式会社 (132)
【出願人】(505340928)サコス 株式会社 (1)
【Fターム(参考)】