説明

排泄物処理装置

【課題】信頼性を高め分解醗酵の効率を高めると同時に高さを低くして使いやすいバイオトイレ(排泄物処理装置)を実現すること。
【解決手段】本発明のバイオトイレ排泄物処理装置は、タンク、微生物培養材料と排泄物を収容する曲線形状の2つの凹形状容器を含む処理槽、処理槽内を所定の温度範囲に保つ温度制御手段、曲線形状を持つ2つの凹形状容器に沿った形状の螺旋状攪拌ブレードを持つ2つの攪拌器で構成している。本発明のバイオトイレは水を必要としないので水洗トイレのように大量な水の使用や環境汚染がない。さらに本発明の排泄物処理装置は微生物と微生物培養材料を攪拌することで有機肥料を生み出す。環境にやさしく環境を保護する最も効果的なバイオトイレである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排泄物を有機肥料に変える排泄物処理装置(生物分解型トイレ(バイオトイレ))及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトイレの一種として水洗トイレが広く使われている。この種のトイレは搬送方式であり排泄物は下水システムによって処理される。しかしながら下水処理システムの処理容量には限度があり処理方法も大量の水を使うばかりでなく環境を汚染してきた。排泄物のリサイクルが不可能な不適切な方法のためである。そのため人々は環境保護の重要性を感じ始め、各種のバイオトイレが開発されてきた。
【0003】
例えば特許第3160859号公報によれば、図1(A)、(B)に示すように、排泄物や小便は直接処理装置10に落としていた。排泄物処理装置10は、処理槽12と、駆動モータ16により回転する回転軸14を有している。その回転軸14は処理槽12と同じ長さであり多数のブレード18が固定されている。このブレード18はおが屑と排泄物を回転軸が回転することで攪拌し、その一方でブレード18は処理済みの排泄物を大便吸入口より遠くへと運んでいる。発熱調整手段20により処理槽12内の温度を一定に保ち人体からの排泄物の中にいる微生物の培養を抑えている。このようにおが屑と排泄物は一定時間攪拌され、排泄物の中の有機物質は十分に分解され有機肥料となっていく。ところが、この従来の排泄物処理装置10の処理能力は満足のいくほど十分ではない。回転軸の回転能力の限界によりおが屑と排泄物との攪拌が不十分のためである。加えて前述の排泄物処理装置はおが屑と排泄物の攪拌動作で硬い塊ができモータへの負荷トルクの増大で装置を壊してしまう問題がある。そのためバイオトイレは公共の場所、例えば病院、一時的に使用される公演場所、建設現場、牧場、公園などに広く普及してはいない。
【0004】
この種の従来のバイオトイレで排泄物を有機肥料に変えるには一般的に2、3日かかる。処理槽12の中の排泄物とおが屑はブレード18によって移動されるが、硬い塊ができる問題は避けがたい。図1(C)に示すように大便の吸入口と小便の吸入口は一定の距離を離すべきであるが、しばしば小便吸入口は処理槽の端に配置されるため、排泄物とおが屑の攪拌の際の不均一性の原因となる。これが、従来のバイオトイレは1つだけの攪拌器を持つものしかなく直径の大きな攪拌器でなければ処理能力も上がらない理由である。
【0005】
図1(A)、(B)、(C)が示すように、従来の排泄物処理装置は底の曲線形状がブレード18の形状と同じにも係わらず塊ができる問題は完全には解決していない。そのため現在の状況では処理能力を高めるには処理槽の高さを高くするしかない。高くしたのではバイオトイレへの出入りやおが屑の供給がやりにくくなってしまう。前述の欠点により従来のバイオトイレはその使用が全く広まってはいない。
【特許文献1】特許第3160859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のバイオトイレは1つの攪拌器で構成されていた。処理容量を確保するため処理槽の高さを高くせざるをえないばかりか攪拌動作に死角ができこの死角領域に硬い堆積物ができ装置の故障原因になるという課題があった。本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、故障がない高信頼性の確保およびユーザが使用し易い高さの低い処理槽を実現すること、さらには排泄物を有機肥料に変える効率を高めたスピーディなバイオトイレを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの解決手段は、バイオトイレの処理装置の構成である。本発明の排泄物処理装置は、タンク、1つ以上の大便吸入口を持つ上面プレート、微生物培養材料と排泄物を収容する上記タンクに内蔵された処理槽、処理槽の底に位置する曲線形状を持つ凹型容器、処理槽内を所定の温度範囲に保つ処理槽外側に取り付けてある温度制御手段、及び少なくとも2つの攪拌器で構成されている。この2つの攪拌器はお互い同士が距離をおいて配置されており、複数のスポークで回転軸に固定されている凹型容器と形状が同じ螺旋状攪拌ブレードをそれぞれが持っている。
【0008】
もう一つの解決手段は、バイオトイレの建物の構成である。処理能力を高めるため建物は床によって2つに仕切られている。床より下の空間には、タンク、1つ以上の大便吸入口を持つ上面プレート、微生物培養材料と排泄物を収容する上記タンクに内蔵された処理槽、処理槽の底に位置する曲線形状を持つ凹型容器、処理槽内を所定の温度範囲に保つ処理槽外側に取り付けてある温度制御手段、及び少なくとも2つの攪拌器が備えられている。この2つの攪拌器はお互い同士が距離をおいて配置されており、複数のスポークで回転軸に固定されている凹型容器と形状が同じ螺旋状攪拌ブレードをそれぞれが持っている。タンクの外側には、この2つの撹拌器を駆動するための駆動手段と制御手段が備えられる。本発明は、これらの手段で処理能力を改善し、さらに人の排泄物(小便)をおが屑の位置まで導く導管により排泄物処理時間を劇的に短縮させている。
【0009】
また、本発明による主な解決手段は排泄物を分解する処理方法である。本発明の方法は、微生物培養材料で満たされている処理槽を用意するステップ、処理槽内の温度を所定の範囲に維持する温度制御手段を用意するステップ、処理槽内に微生物培養材料と排泄物とを混合する2つの攪拌器を配置するステップ、微生物培養材料を攪拌する時間が所定時間に達したことを検出するためのタイマーを設置するステップ、及び攪拌時間が所定時間に達したときに攪拌器を駆動するステップを有している。従って2つの攪拌器を持つ排泄物処理装置はおが屑内の微生物を高温でその数を急増させ排泄物の分解する時間を早め処理効率を高めている。
【0010】
ある側面では、2つの攪拌器による排泄物とおが屑との攪拌効果は高く微生物は高温でその数を急増し短時間で分解し処理効率を高めている。排泄物の分解過程は高温下で行われるため発病性バクテリアは死んで嫌な臭いも低減される。
【0011】
別の側面では、人の排泄物(小便)を排泄物(大便)の場所まで導くため小便の揮発による嫌な臭いを抑え、また排泄物の中にいる有機物質が分解をさらに早めるので本発明のバイオトイレは人々から歓迎されるものとなる。
【0012】
別の良さは水を必要としないので水が節約でき、また汚水を排水することで起こる環境汚染の問題もない。環境への負荷を減らし環境保護に効果がある。さらには処理された排泄物は窒素、リン、カリウムとなり有機肥料となる。汚物を自然の材料にリサイクルし環境破壊を防ぐ効果がある。
【発明の効果】
【0013】
本発明の排泄物処理装置によれば、2つの攪拌器の採用によって硬い堆積物から装置の故障を防ぎ、さらには高さを低くすることで使い易いトイレを提供できるという効果がある。また水を必要とせずに排泄物を堆肥に変えるので環境にやさしいバイオトイレが提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、自然界のどこにでもいるバクテリア等の微生物を用いて有機物質を二酸化炭素、水、熱、有機肥料に変えるいわゆるバイオ技術を利用している。
【0015】
図2に示すように、本発明による排泄物処理装置100は、タンク101と処理槽102を持っている。この処理槽はタンクの中にあり処理槽の中にはおが屑と排泄物そして2つの局部的にオーバラップしている攪拌器104aと104bがある。図3に示すように攪拌器104(a、b)は回転軸106と螺旋状攪拌ブレード108から成っている。螺旋状プレートは2つの部品に分かれておりそれぞれが回転軸の端に位置している。螺旋状攪拌ブレード108は不連続であり、スポーク110によってそれぞれが回転軸106に固定されている。特別なものとして、回転軸106に対し垂直な平面上に位置させて真円をなす突起を設け、これによっておが屑を均一に攪拌することもできる。
【0016】
図4に示すように、それぞれの螺旋状攪拌ブレード108の螺旋方向は互いに反対方向に配置してある。もし回転軸の一端の螺旋ブレードが右送りなら他端の螺旋ブレードは左送りであるといった具合である。そのため2つの螺旋状攪拌ブレード108は処理槽102の中のおが屑を端から中央の位置へと攪拌器104の回転で移動させる。
【0017】
図5に示すように、攪拌器104aと104bの螺旋状攪拌ブレード108aと108bは局部的に一部がオーバラップしているため硬い塊をつくる死角スペースをなくしている。
【0018】
有機物を分解するためには適度な温度が必要である。このため、温度制御手段112を処理槽の外側の側面に取り付けてあり処理槽内の温度を所定温度に保つ。一方で所定温度は人体排泄物の中にいる微生物の繁殖を防ぎ嫌な臭いも少なくする。だからバイオトイレは人々から歓迎される。本発明によると処理槽102は大便吸入口114と小便吸入口116を持ち排出物は直接槽内に落ちおが屑と混合される。この実施例では槽の横幅を増やしタンクの高さを低くして処理槽の内積を同じにしている。高さを低くすることでユーザの利便性が良くなり運搬が容易になるなど利点は大きい。この利点は2つの攪拌器104に起因する。
【0019】
図5に明らかなように、本発明の排泄物処理装置をよりコンパクトにするため2つの攪拌器104aと104bは互いに平行である、すなわち回転軸106aと106bの高さは同じであり長さは処理槽の全長と同じである。2つの螺旋状攪拌ブレード108aと108bは左右対称であって一部がオーバラップしており、おが屑を十分に攪拌する。
【0020】
さらに螺旋状攪拌ブレード108aと108bは回転軸106の回転によっておが屑を処理槽102の中央部へと搬送する。このようにして排泄物は大便吸入口114から遠くに搬送されおが屑と均一に混合される。おが屑が静止状態で移動することのない場所ではおが屑が堆積し硬くなっていくことが考えられる。
【0021】
図3に戻り、本発明では2つの螺旋状攪拌ブレード108a、108bの螺旋方向を互いに反対方向としたことばかりでなく、螺旋状攪拌ブレード108a、108bの外側に位置させて、2つの攪拌リング120も同様にスポーク122で回転軸に固定されている。この攪拌リング120には、おが屑を攪拌して塊になるのを防ぐ(遊離させる)複数の攪拌ブロック部材124が周方向に間隔をおいて設けられている。この実施例ではおが屑と排泄物の混合物が一旦は処理槽102の中央に堆積するが回転軸106であらゆる方向に拡散する。加えて本発明では大便吸入口を攪拌器104aと104bの一端の近くに該攪拌器104aと104bの直上に配列することで処理槽の中央部での堆積を防いでいる。
【0022】
上面プレート130には、図6に示すように、おが屑を入れたり処理済みの肥料を取り除いたりするための開口部132と、小便を搬送するための導管134とが設けられている。導管134の一端は小便吸入口116に接続しており他端は処理槽102の中央部か大便吸入口114の近くに配置し小便を排泄物に導いて混合する。
【0023】
図7は本発明の別の実施例の分解斜視図である。排泄物処理装置200は、タンク201と処理槽202を持っている。この処理槽はタンクの中にあり処理槽の中にはおが屑と排泄物そして2つの攪拌器230がある。温度制御手段220は処理槽202の外側の表面にあり処理槽内の温度を所定の温度に維持する。タンク201の上面プレート203は少なくとも1つの大便吸入口204を持ちこれを一方の攪拌器230の終端部の直上に配置してある。
【0024】
図8に示すように、2つの攪拌器230は螺旋状攪拌ブレード234で構成され、このブレードは2つの部品に分かれておりそれぞれが回転軸232の終端に配置している。ブレード234の螺旋方向は互い違いである。2つのリング238は螺旋状攪拌ブレード234の外側にスポークで固定されており、リングには複数の攪拌ブロック部材239がある。このブロック部材239がおが屑の塊を柔らかくする。この実施例では、上述の実施例とは異なり、2つの螺旋状攪拌ブレード234はオーバラップするのではなく図9に示すように空間的に離れている。
【0025】
処理槽202は2つの曲線形状の凹型容器205で構成されている。図10に示すように、攪拌器230のブレード234と一致させるために、2つの凹型容器205の曲線の間隔と2つのブレード234の間隔とは実質的に同一としている。この間隔は、例えば0.5cm〜2cmである。
【0026】
処理槽202の底にある2つの凹型容器205同士の継ぎ目部材の高さは回転軸の高さより低くなければいけない。例えば、2つの凹型容器がオーバラップしていないのなら継ぎ目部材は図示しないが平らになる。本実施例では図11に示すように継ぎ目部材をくさび形交差部材206としている。2つの攪拌器の間の三角エリアはいわゆる死角エリアでここにおが屑が堆積して硬い塊を作ってしまう。くさび形交差部材206は、おが屑が堆積して硬い塊となるのを防ぎ装置の故障をなくしてくれる。実験によるとくさび形交差部材206の存在で駆動モータにかかる負荷は半分以下になることがわかっている。
【0027】
図12に示すようにタンク201の底に支持部材224を設けることにより、2つの凹型容器205の強度を高めることができる。
【0028】
図7に戻り、タンク201の上面プレートには、おが屑を入れたり、処理済みの有機肥料の取り出すための開口部209が形成されている。開口部209はカバー210で普段は閉じている。タンク内を真空として通気をよくする排気孔212と小便吸入口207とは、大便吸入口204から所定距離離して配置されている。本発明の排泄物処理装置200はまた、タンク201の上面プレートに配置された導管208を有している。この導管208の形状や長さは大便吸入口204や小便吸入口207までの距離に依存する。すなわち、導管208の一端213は小便吸入口207に接続しており、他端215は大便吸入口204の近くか処理槽202の中央に配置されている。図13に示すように導管208の下面には多数の分散孔211があり小便を処理槽内に均一に撒く。分散孔211の直径は他端215に近いほどに大きくしている。
【0029】
また、図10に示すように、温度制御手段として複数の発熱プレート222が処理槽の外側側面に設けられている。温度センサー(図示せず)は本発明によると発熱プレートに取り付け、処理槽内の温度範囲を例えば50℃〜70℃に保つために発熱プレートをON/OFFする。断熱材221は発熱プレートの外側側面にあり処理槽202とタンク201との間のスペースを埋め断熱効果を高めている。もちろん温度制御手段220は処理槽の内部にあってもよい。
【0030】
図14に示すように温度制御手段は断熱材221を支持するためのホルダー226を持つ。ホルダー226は曲線形状の凹型容器205の曲率と一致するようにしなやかなプレートであって処理槽202を取り巻く。そしてホルダー(保持体)226の一端は支持部材224に他端はタンク201にばねフック227で固定されている。さらに上面プレート203はタンク201の側面に例えばスナップ機構によって取り外し可能に接続されている。もちろん、上面プレートと側面プレートとの接合点における断熱材料は、図15に示すように、処理槽202の熱がタンク201へと伝導するのを防ぐものでなければいけない。
【0031】
本発明のバイオトイレは上述の排泄物処理装置をハウスのような建物にいれることで簡単に実現することができる。一般に建物の中の床が2つの空間に分ける。1つは床より上の使用空間(インナールーム)、もう一つは床より下の操作ルーム(空間)である。図16に示すように、建物の中の空間はドアー304を含むインナールーム302とドアー305を含む操作ルーム303に分かれている。本発明の排泄物処理装置100/200はインナールーム302の床下に置かれる。排気管214は排気孔212につながっていて操作ルーム303から排泄物処理装置200の上面プレートを貫き建物の外まで伸びている。図7で、排気ファンは上面プレート上の排気孔212につながっていて保守点検もし易い。
【0032】
攪拌器の回転軸は駆動器306で駆動される。駆動器306はタンク201の側面プレートに支持部材228で固定されている(図7)。図示していない制御ユニットは、図17(A)、(B)に示す支持部材229によってタンク201の側面プレートに固定されている。
【0033】
一般に、最良の条件下で有機物質の他の微生物との反応は3つのステージを持っている。すなわち中温度ステージ、高温菌ステージ、成熟ステージの3つである。初期の分解は中温微生物によって急速に分解混合物となりこの時に熱を発生し温度は急激に高くなる。温度が40℃を超えた次の過程では高温菌微生物の作用が始まる。温度が50℃を超えると人体や植物からの微生物は死ぬ。温度が65℃を超えると多くの微生物は死んで分解速度はおちる。そこで温度を65℃以下に保持するための通風手段やおが屑と排泄物との十分な攪拌が重要となる。高温菌のステージにおいて、高い温度は たんぱく質、脂肪、繊維、セルロース、ヘミセルロースなどと植物の中の分子との混合物の分解を早くする。高温菌微生物が出すエネルギーで逆に分解作用は下がり温度も低下する。そして最後の成熟ステージは再び中間微生物の作用となる。
【0034】
以上のごとく本発明の排泄物処理装置は温度制御手段、排気手段、攪拌器回転時間の設定など有機物分解に要求されるすべてを満たしている。
【0035】
図18は本発明の方法を示すフローチャートである。まずステップ10で排泄物処理装置の処理槽が微生物培養材料で満たされる。次のステップ12で処理槽に互いに平行に配置した2つの攪拌器が用意される。それぞれの攪拌器には回転軸とこの回転軸に固定された2つの螺旋状攪拌ブレードが備えられている。2つの攪拌ブレードの方向は互いに反対方向である。ステップ14では温度制御手段を設け処理槽内の温度を所定の温度範囲に維持して排泄物を分解する。ステップ16ではタイマーを設け攪拌器を回転させる時間間隔を検出する。ステップ18でその時間間隔に達したか判断し、もしYESならステップ20で微生物培養材料と人体排泄物の攪拌手段で攪拌する。もしNOならステップ16の時間間隔の検出に戻る。
【0036】
攪拌器を駆動する目的は、微生物培養材料と人体排泄物を攪拌する為、すなわち新しい排泄物の上におが屑をかぶせる為である。常に最適角度だけ回転し、攪拌器が1回転完了したら反対方向に回転するように制御ユニットにより制御される。
【0037】
図19は本発明の処理方法と回転角度検出を示すフローチャートである。ステップ30で回転角度検出手段を設ける。もし攪拌器の1回転完了を判断しYESならステップ34で攪拌器を反対方向に回転するように制御ユニットを操作する。もしNOならステップ36で状態を維持する。
【0038】
ステップ40では大便吸入口かインナールームに検出器を設け誰かが入ってきたことを検出する。次のステップ42でもし誰かが入ってきた場合、すなわちYESの場合、制御ユニットは攪拌器に駆動信号を出力しステップ32を繰り返す。もしNOなら図18のステップ16に進む。
【0039】
本発明では最後に入ったユーザまでの時間間隔を検出する。もしトイレを使用した後の時間間隔が事前に決めてある所定時間、例えば15分と一致した場合、攪拌器を駆動する。ユーザが出て行った時に攪拌器の駆動ステップを実行することもできる。
【0040】
上述してきた処理方法では、数回の駆動で攪拌器が1回転完了する。タンク内部の温度は温度制御手段によって簡単に50℃〜70℃の範囲に維持することができる。以上の排泄物処理装置と方法により排泄物の分解所要時間は約10時間ほどである。バクテリアは高温条件下では数分から60分くらいで死に、有機物が有機肥料に醗酵する所要時間は約2日間である。完全な分解と醗酵でいやな臭いはなくなる。だから本発明のバイオトイレは広く受け入れられ風光明媚な場所、一時的な公演場所、建設現場、駅、公園などに設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】(A)、(B)、(C)は、従来の排泄物処理装置の概要図で小便吸入口と大便吸入口を示す。
【図2】本発明の排泄物処理装置の一実施形態を示す組み込み透視図で、処理槽内の2つの攪拌器を示す。
【図3】螺旋状攪拌ブレードの透視図である。
【図4】排泄物処理装置の構成図で、螺旋状攪拌ブレードが2つに分かれていて螺旋方向が互いに反対となっていることを示す。
【図5】排泄物処理装置を後ろからみた構成図で2つの攪拌器が局部的にオーバラップしていることを示す。
【図6】排泄物処理装置の上部プレートの透視図で導管が排尿(小便)口と接続されていることを示す。
【図7】本発明による排泄物処理装置の別の実施形態のトイレの分解透視図である。
【図8】螺旋状攪拌ブレードの透視図である。
【図9】排泄物処理装置を上からみた図で2つの螺旋状攪拌ブレードがそれぞれ2つに分かれ螺旋状ブレードが互いに反対方向を向いていることを示す図である。
【図10】排泄物処理装置を後ろからみた図で2つの攪拌器が離れて配置していることを示す。
【図11】処理槽の概要図である。
【図12】底面プレートの支持部材を示す図である。
【図13】導管を下からみた図で多くの分散孔を示す。
【図14】温度制御手段の支持部材の図である。
【図15】側面プレートと上面プレートとの接合部の拡大図で接合部の断熱材を示す。
【図16】バイオトイレの構造を示す図である。
【図17】(A)、(B)は排泄物処理装置の後ろのプレートを外した図で制御ユニット(電気制御手段)の支持部材を示す図である。
【図18】本発明による排泄物処理方法のフローチャートで人の排泄物の分解過程を示す。
【図19】同フローチャートで螺旋状攪拌ブレードの作用を示す。
【符号の説明】
【0042】
100 200 排泄物処理装置
101 201 タンク
102 202 処理槽
205 凹型容器
104a 104b 230 攪拌器
106 232 回転軸
108 234 螺旋状攪拌ブレード
110 122 スポーク
112 220 温度制御手段
114 204 大便吸入口
116 小便吸入口
120 238 攪拌リング
124 239 攪拌ブロック部材
134 208 導管
221 断熱材
226 ホルダー
227 ばねフック
302 インナールーム
303 操作ルーム
212 排気孔
306 駆動器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物培養材料と排泄物を収容する、曲線形状の少なくとも2つの凹型容器を有する処理槽;前記処理層内の温度を所定の温度範囲に維持する温度制御手段;及び微生物培養材料と排泄物を上記曲線形状に沿って攪拌する少なくとも2つの攪拌器;を備えたことを特徴とする排泄物処理装置。
【請求項2】
お互い同士が離れて位置した少なくとも2つの攪拌器を有し、それぞれの攪拌器は、回転軸と該回転軸に複数のスポークによって固定されている螺旋状攪拌ブレードを有することを特徴とする排泄物処理装置。
【請求項3】
前記螺旋状攪拌ブレードは2つの部品に分かれており、それぞれの螺旋方向は互いに反対方向である請求項2に記載の排泄物処理装置。
【請求項4】
螺旋状攪拌ブレードのそれぞれは連続的な形状である請求項3に記載の排泄物処理装置。
【請求項5】
前記2つの攪拌器を収納する処理層は、該処理槽の底に位置する曲線形状の2つの凹型容器を備えており、この2つの凹型容器はオーバラップして位置していてその交差個所にはくさび型形状交差部品があり、このくさび型交差部品の取り付け高さは前記攪拌器の回転軸の高さより低い請求項4に記載の排泄物処理装置。
【請求項6】
曲線形状の2つの凹型容器は前記攪拌器と均一な空間余地を持っている請求項5に記載の排泄物処理装置。
【請求項7】
それぞれの螺旋状攪拌ブレードの外側にはそれぞれ多数の攪拌リングがあり、該攪拌リングの上には、処理層内の混合物を遊離させる複数の攪拌ブロック部品が付いている請求項6に記載の排泄物処理装置。
【請求項8】
前記処理槽の上部は上部プレートで覆われており、該上部プレートには大便吸入口が設けられている請求項1に記載の排泄物処理装置。
【請求項9】
処理槽の上部プレートには、大便吸入口とは所定の間隔離れた位置に小便吸入口が設けられている請求項8に記載の排泄物処理装置。
【請求項10】
前記処理槽にはさらに導管があり前記導管の入り口は前記小便吸入口と接続しており前記導管の出口は前記大便吸入口に近接して配置されている請求項9に記載の排泄物処理装置。
【請求項11】
前記攪拌器はそれぞれが、回転軸と、複数のスポークで前記回転軸に固定された螺旋状攪拌ブレードを持っており、前記螺旋状攪拌ブレードは局所的にオーバラップしている請求項1に記載の排泄物処理装置。
【請求項12】
床によって2つの空間に分離された生物分解型トイレであって、床より下の空間には、少なくとも1つの大便吸入口を持つ上面プレートを備えたタンク;微生物培養材料と排泄物を収容する、曲線形状の少なくとも2つの凹型容器を有する処理槽;前記処理槽内の温度を所定の範囲に維持する温度制御手段;前記微生物培養材料と排泄物を上記曲線形状の少なくとも2つの凹型容器に沿って攪拌する2つの攪拌装置;この2つの攪拌装置を駆動するタンクの外側に設置された駆動手段;及び制御手段;を有することを特徴とする生物分解型トイレ。
【請求項13】
お互い同士が離れて位置し、それぞれが回転軸と該回転軸に複数のスポークによって固定されている螺旋状攪拌ブレードを有する少なくとも2つの攪拌器を内蔵している請求項12に記載の生物分解型トイレ。
【請求項14】
前記螺旋状攪拌ブレードは2つの部品に分かれており、それぞれの螺旋方向は互いに反対方向である請求項13に記載の生物分解型トイレ。
【請求項15】
それぞれの螺旋状攪拌ブレードの外側にはそれぞれに多数の攪拌リングがあり、該攪拌リングの上には、処理層内の混合物を遊離させる複数の攪拌ブロック部品が付いている請求項14に記載の生物分解型トイレ。
【請求項16】
前記処理槽の底に位置する前記曲線形状の2つの凹型容器はオーバラップして位置していて、その交差個所にはくさび型形状交差部品があり、このくさび型交差部品の取り付け高さは前記攪拌器の回転軸の高さより低い請求項15に記載の生物分解型トイレ。
【請求項17】
曲線形状の2つの凹型容器は前記攪拌器と均一な空間余地を持つ請求項15に記載の生物分解型トイレ。
【請求項18】
攪拌器と曲線形状の凹型容器との距離が約1〜3cmである請求項17に記載の生物分解型トイレ。
【請求項19】
曲線形状の2つの凹型容器間の空間は底面プレートの支持部品によって仕切られている請求項18に記載の生物分解型トイレ。
【請求項20】
温度制御手段は、処理槽の外側に配置した発熱プレート、及びこの発熱プレートを覆う断熱材層で構成されている請求項19に記載の生物分解型トイレ。
【請求項21】
温度制御手段はさらに断熱層を保持する保持体を持ち、該保持体の一端は支持部品に固定され他端はタンクにばねフックによって固定されている請求項20に記載の生物分解型トイレ。
【請求項22】
大便吸入口と小便吸入口がタンクの上部プレートにあり、お互い離れた空間に位置する請求項13に記載の生物分解型トイレ。
【請求項23】
タンク内にはさらに導管があり前記導管の入り口は前記小便吸入口と接続しており前記導管の出口は前記大便吸入口に近接して配置している請求項22に記載の生物分解型トイレ。
【請求項24】
分配するための複数の分散孔が導管の下に開けられている請求項23に記載の生物分解型トイレ。
【請求項25】
分散孔の直径が出口に近いほどに徐々に大きくなっていく請求項24に記載の生物分解型トイレ。
【請求項26】
タンクの側面プレートと接合している上面プレートは、その接合点において断熱部材を取外し可能である請求項25に記載の生物分解型トイレ。
【請求項27】
タンクの上部プレートの外気にむかっている空気孔、排気ファンを持つ排気装置を有する請求項12に記載の生物分解型トイレ。
【請求項28】
前記排気ファンは空気出口に取り付けてある請求項27に記載の生物分解型トイレ。
【請求項29】
前記制御ユニットの支持体はタンクの側面プレートに配置している請求項18に記載の生物分解型トイレ。
【請求項30】
微生物培養材料を満たす処理槽、処理槽内の温度を所定の範囲に保つ温度制御手段、微生物培養材料と排泄物とを処理槽内で攪拌する2つの攪拌器、攪拌器が動作する所定の時間間隔を検出するタイマーで構成する請求項1に記載の処理装置を用いた排泄物分解処理方法。
【請求項31】
所定の時間間隔が0.25〜4.0時間である請求項30に記載の排泄物分解処理方法。
【請求項32】
処理装置が使用中であることを検出すると攪拌器を作動させるセンサーを備えた請求項31に記載の排泄物分解処理方法。
【請求項33】
所定時間に一致した時、攪拌器を駆動する時間間隔を検出するタイマーを備えた請求項32に記載の排泄物分解処理方法。
【請求項34】
処理装置の使用が完全に終了したあと攪拌器を駆動するステップを有する請求項30に記載の排泄物分解処理方法。
【請求項35】
排泄物を十分に攪拌するため、攪拌器が一回転したとき反対方向に回転させる攪拌器駆動ステップを有する請求項30に記載の排泄物分解処理方法。
【請求項36】
攪拌器の一回転動作を数回駆動する請求項35に記載の排泄物分解処理方法。
【請求項37】
所定の温度範囲を約50℃〜70℃とした請求項30に記載の排泄物分解処理方法。
【請求項38】
微生物培養材料がおが屑である請求項37に記載の排泄物分解処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2006−516005(P2006−516005A)
【公表日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500455(P2006−500455)
【出願日】平成16年1月9日(2004.1.9)
【国際出願番号】PCT/CN2004/000031
【国際公開番号】WO2004/062451
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(505068848)
【氏名又は名称原語表記】TUNG,Andy Mingfen
【住所又は居所原語表記】Rm.23F−1, Yihuju, Wenjin North Road, Luohu District 518020 Shenzhen, Guangdong, CHINA
【Fターム(参考)】