説明

排熱回収発電装置およびこれを備えた船舶

【課題】内燃機関からの排熱温度が高温となった場合であっても高圧仕様の熱媒経路を導入することなく排熱回収できる排熱回収発電装置を提供する。
【解決手段】沸点が水よりも高い熱媒と内燃機関の排熱とを熱交換させて熱回収する排熱回収器1,5と、熱媒と有機流体とを熱交換させて有機流体を蒸発させる蒸発器60と、蒸発器60によって蒸発させられた有機流体によって駆動されるパワータービン62と、パワータービン62の回転出力によって発電する発電機68と、パワータービン62を通過した有機流体で蒸発器に流入する有機流体を予熱するプレヒータ64と、有機流体を凝縮させる凝縮器66とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排熱を回収して発電する排熱回収発電装置およびこれを備えた船舶に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、内燃機関の排ガス等の排熱を回収して発電する技術が種々提案されている。下記特許文献1には、ディーゼル発電機からの排熱を熱源とする有機ランキンサイクル(Organic Rankine Cycle)によって発電する排熱回収発電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3044386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では、ディーゼルエンジンの排ガスから熱回収する際の熱媒体として水を用いている。水を熱媒体とした場合、ディーゼルエンジンの排ガスが高温(例えば250℃以上)になると、水または水蒸気の圧力が高圧となってしまう。したがって、水循環経路を高圧仕様にする必要があり、これでは高価なシステムとなってしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、内燃機関からの排熱温度が高温となった場合であっても高圧仕様の熱媒経路を導入することなく排熱回収できる排熱回収発電装置およびこれを備えた船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の排熱回収発電装置およびこれを備えた船舶は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる排熱回収発電装置は、沸点が水よりも高い熱媒と内燃機関の排熱とを熱交換させて熱回収する排熱回収器と、前記熱媒と有機流体とを熱交換させて該有機流体を蒸発させる蒸発器と、該蒸発器によって蒸発させられた前記有機流体によって駆動されるタービンと、該タービンの回転出力によって発電する発電機と、タービンを通過した前記有機流体を凝縮させる凝縮器とを備えていることを特徴とする。
【0007】
有機流体は、蒸発器にて蒸発された後、タービンで膨張し、凝縮器で凝縮するサイクル、即ち有機ランキンサイクル(Organic Rankine Cycle)を行う。本発明では、有機ランキンサイクルを行う際に、内燃機関の排熱を沸点が水よりも高い熱媒で熱回収し、そしてこの熱媒によって有機流体を蒸発させることとした。このように、内燃機関の排熱を水によって熱回収するのではなく、沸点が水よりも高い熱媒を用いて排熱回収することとしたので、内燃機関の排熱が高温(例えば250℃以上)となっても水のように圧力が高くなることがない。したがって、熱媒経路を高圧仕様にする必要がなく、安価に構成することができる。
内燃機関としては、典型的には舶用ディーゼルエンジン(主機)が挙げられる。ただし、舶用に限らず、例えば発電等に用いられる陸用の内燃機関であっても良い。
内燃機関の排熱としては、排ガスが典型的に用いられる。また、内燃機関に設けられた過給機の圧縮空気を冷却する空気冷却器からの排熱や、水冷式の内燃機関の場合にはエンジン冷却水の排熱を用いることができる。なお、これら排ガス、空気冷却器およびエンジン冷却水の排熱は、それぞれ単独で用いても良いし、排ガスと空気冷却器といったように適宜組み合わせて用いても良い。
沸点が水よりも高い熱媒としては、熱媒体油が好適であり、具体的には、松村石油株式会社から入手可能な合成系高沸点高温度用熱媒体油であるバーレルサーム(登録商標)が用いられる。例えば、バーレルサーム400は沸点が390℃とされる。
また、蒸発器の上流側に、有機流体を予熱するプレヒータを設ければ好適である。
【0008】
さらに、本発明の排熱回収発電装置では、前記排熱回収器は、前記内燃機関から排出される排ガスから熱回収を行う第1排熱回収器と、前記内燃機関に設けられた過給機の圧縮空気を冷却する空気冷却器から熱回収を行う第2排熱回収器、及び/又は、前記内燃機関を冷却するエンジン冷却水から熱回収を行う第3排熱回収器とを備えていることを特徴とする。
【0009】
排ガスから熱回収する第1排熱回収器と、過給機の空気冷却器から熱回収する第2排熱回収器、及び/又は、内燃機関を冷却するエンジン冷却水から熱回収を行う第3排熱回収器とを備えることとした。これにより、内燃機関から多くの排熱を回収することができ、発電効率を上げることができる。
【0010】
さらに、本発明の排熱回収発電装置では、前記排熱回収器による熱回収を行うタイミングが切り替え可能とされていることを特徴とする。
【0011】
排熱回収器による熱回収のタイミングを切り替え可能としたので、内燃機関の運転状態や電力需要等に応じて排熱回収の要否を決めることができる。これにより、柔軟性の高い発電システムを構築することができる。
【0012】
さらに、本発明の排熱回収発電装置では、前記蒸発器、前記タービン、前記発電機、及び前記凝縮器は、同一の筐体内に収納されていることを特徴とする。
【0013】
蒸発器、タービン、発電機、及び凝縮器を同一の筐体内に収納することにより、排熱回収発電装置をコンパクトに構成することができる。また、仮に熱媒や有機流体が漏出した場合であっても、筐体内で熱媒や有機流体の流出を止めることができるので、安全性の高い排熱回収発電装置を提供することができる。
【0014】
また、本発明の船舶は、上述の排熱回収発電装置を備えていることを特徴とする。
【0015】
上記のいずれかの排熱回収発電装置を備えているので、有効に排熱回収できる省エネルギー性の高い船舶を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、沸点が水よりも高い熱媒を用いて排熱回収することとしたので、内燃機関の排熱が高温となっても水のように圧力が高くなることがない。したがって、熱媒経路を高圧仕様にする必要がなく、安価に排熱回収発電装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態にかかる排熱回収発電装置の流体経路を概略的に示した図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる排熱回収発電装置の要部の配置を示した斜視図である。
【図3】図1の変形例を示した図である。
【図4】図1の他の変形例を示した図である。
【図5】図1の第2排熱回収器周りの変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明にかかる一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、本実施形態の排熱回収発電装置の流体経路が概略的に示されている。本実施形態では、排熱回収装置10が船舶の推進用主機(ディーゼルエンジン)の排熱回収として設置された構成として説明する。
排熱回収装置10は、ディーゼルエンジンから排出される排ガスから熱回収する排ガスエコノマイザとされた第1排熱回収器1と、ディーゼルエンジンに設けられた過給機の空気冷却器3から熱回収する第2排熱回収器5と、これら排熱回収器1,5から排熱を受け取る熱媒が循環する熱媒経路7と、熱媒経路7の熱媒から熱を受け取り、有機ランキンサイクル(Organic Rankine Cycle)を構成する有機流体経路9とを備えている。
【0019】
ディーゼルエンジンから排出された排ガスが流れる煙道13には抽気配管15が設けられている。この抽気配管15から抽気された排ガスは、排熱回収発電装置10の排ガス導入配管17へと流れ込む。排ガス導入配管17には第1排ガス制御弁18が設けられている。排ガス導入配管17によって導かれた排ガスは第1排熱回収器1へと供給される。第1排熱回収器1へ供給される排ガス温度は例えば約230℃とされる。
【0020】
第1排熱回収器1には排ガス排出配管19が接続されている。排ガス排出配管19には第2排ガス制御弁20が設けられている。第1排熱回収器1にて熱交換した後の排ガス温度は、例えば約150℃とされる。
熱交換後の排ガスは、排ガス排出配管19を通って、煙道13に接続された排ガス返送配管21を介して煙道13へと戻された後、煙突23から大気へと排出される。
【0021】
排ガス導入配管17と排ガス排出配管19との間には、排ガスバイパス制御弁27を備えた排ガスバイパス配管25が設けられている。
第1排ガス制御弁18、第2排ガス制御弁20及び排ガスバイパス制御弁27の各開度を制御することにより、第1排熱回収器1にて熱回収する熱量が制御される。具体的には、第1排熱回収器1に出入りする排ガスの温度、圧力、流量等を図示しないセンサで検出し、所望の熱回収量となるように各制御弁18,20,27の開度を制御する。
また、第1排熱回収器1にて熱回収を行わない場合には、第1排ガス制御弁18及び第2排ガス制御弁20を閉じ、排ガスバイパス制御弁27を開くことによって、第1排熱回収器1への排ガス供給を停止させる。
【0022】
ディーゼルエンジンの過給機に設けられた空気冷却器3は、過給機によって圧縮された空気の圧縮熱を除去するために用いられる。この空気冷却器3内には、低温度側から順に(図1において下方から)、内部に冷却水が流れる第1伝熱管34と、内部に冷却水が流れる第2伝熱管36とが設けられている。第1伝熱管34及び第2伝熱管36へと導かれる冷却水としては、船内の冷却系で用いられる清水または海水が用いられる。過給機から空気冷却器3へ供給される空気温度は例えば約170℃とされ、空気冷却器3にて熱交換を終えた空気温度は例えば約30℃とされる。
【0023】
第3伝熱管36と第2排熱回収器5との間には、第3伝熱管36にて熱交換を終えた冷却水を第2排熱回収器5に導く排熱回収用冷却水導入配管38と、第2排熱回収器5にて熱交換を終えた冷却水を流す排熱回収用冷却水排出配管40とが設けられている。第2排熱回収器5に流入する冷却水温度は例えば約150℃とされ、第2排熱回収器5にて熱交換を終えた冷却水温度は例えば120℃とされる。
【0024】
排熱回収用冷却水導入配管38には、第1冷却水弁42が設けられている。この第1冷却水弁42の上流側には、冷却水返送配管44の上流端が接続されている。冷却水返送配管44を通過した冷却水は、冷却水戻りラインへと返送される。冷却水返送配管44には第2冷却水弁45が設けられている。
【0025】
排熱回収用冷却水排出配管40には、冷却水循環ポンプP2及び第3冷却水弁47が設けられている。冷却水循環ポンプP2により、第2排熱回収器5と第3伝熱管36との間で冷却水が循環される。
【0026】
第3冷却水弁47の下流側には、接続配管49の一端が接続されている。接続配管49の他端は、第2伝熱管用冷却水導入配管53と接続されている。接続配管49には第4冷却水弁51が設けられている。第2伝熱管用冷却水導入配管53の下流端は、第2冷却水弁45の下流側に位置する冷却水返送配管44の中途位置に接続されている。第2伝熱管用冷却水導入配管53には、第5冷却水弁55が設けられている。
【0027】
第1〜第5冷却水弁42,45,47,51,55は、以下のように動作する。
第2排熱回収器5にて熱回収する場合には、第1冷却水弁42及び第3冷却水弁47を開とし、第2排熱回収器5と第3伝熱管36との間で冷却水を循環させる。この場合、第2冷却水弁45及び第4冷却水弁51を閉とし、第5冷却水弁55を開として、第2伝熱管34から導かれた冷却水は第2伝熱管用冷却水導入配管53を通り、第5冷却水弁55を経て冷却水返送配管44を通り冷却水戻りラインへと返送される。
【0028】
第2排熱回収器5にて熱回収しない場合には、第1冷却水弁42及び第3冷却水弁47を閉とする。そして、第2冷却水弁45及び第4冷却水弁51を開とし、第5冷却水弁55を閉とする。これにより、第2伝熱管34から導かれた冷却水は、第2伝熱管用冷却水導入配管53、接続配管49を通り、第3伝熱管36へ導かれた後、排熱回収用冷却水導入配管38及び冷却水返送配管44を通り冷却水戻りラインへと流れる。
【0029】
次に、熱媒経路7について説明する。
熱媒経路7を流れる熱媒は、沸点が水よりも高い熱媒が用いられ、好適には熱媒体油が用いられる。具体的には、松村石油株式会社から入手可能な合成系高沸点高温度用熱媒体油であるバーレルサーム(登録商標)が用いられる。例えば、バーレルサーム400は沸点が390℃とされる。
【0030】
熱媒経路7は閉回路とされており、熱媒体を循環させるための熱媒循環ポンプP1が設けられている。この熱媒循環ポンプP1により、熱媒は、第1排熱回収器1、蒸発器60及び第2排熱回収器5と熱交換するように循環する。
【0031】
蒸発器60の熱媒入口温度は例えば約210℃とされ、熱媒出口温度は例えば約100℃とされる。この蒸発器60にて、熱媒によって有機流体が蒸発させられる。蒸発器60における有機流体の入口温度は例えば約90℃とされ、出口温度は例えば約200℃とされる。
【0032】
次に、有機流体経路9について説明する。
有機流体経路9を流れる有機流体としては、イソペンタン、ブタン、プロパン等の低分子炭化水素や冷媒として用いられるR134a、R245fa等を用いることができる。
有機流体経路9は閉回路とされており、有機流体を循環させるための有機流体循環ポンプP0が設けられている。有機流体は、蒸発器60、パワータービン62、プレヒータ64、凝縮器66を通過するように相変化を繰り返しながら循環する。
【0033】
パワータービン62は、蒸発器60によって蒸発した有機流体の熱落差(エンタルピー落差)によって回転駆動される。パワータービン62の回転動力は発電機68に伝達され、発電機68にて電力が得られるようになっている。発電機68で得られた電力は、図示しない電力線を介して船内系統へと供給される。
【0034】
パワータービン68にて仕事を終えた有機流体(気相)は、プレヒータ64にて、有機流体循環ポンプP0から送られた有機流体(液相)を予熱する。
プレヒータ64を通過した有機流体は、凝縮器66にて海水によって冷却されて凝縮液化する。凝縮液化した有機流体は、有機流体循環ポンプP0によってプレヒータ64及び蒸発器60へと送られる。
このように、有機流体経路9は、蒸発器60、パワータービン62、プレヒータ64及び凝縮器66とともに有機ランキンサイクルを構成する。
【0035】
図2には、図1に示した排熱回収発電装置10の要部の配置例が示されている。なお、図の簡略化のために、第2排熱回収器5に関連する経路については省略されている。
同図に示されているように、各機器が筐体11内に収納されている。筐体11内は閉空間とされており、この筐体11内に、熱媒循環ポンプP1、熱媒循環ポンプP1に接続される熱媒経路7の一部、有機流体経路9の全て、蒸発器60、パワータービン62、発電機68、プレヒータ64、凝縮器66、有機流体循環ポンプP0が設けられている。このように同一の筐体11内に収納することにより、排熱回収発電装置の要部をユニット化することができる。これによりコンパクト化され、既存の船舶等への設置性をも高めることができる。
【0036】
また、仮に熱媒や有機流体が筐体11内に漏出した場合であっても、筐体11内で熱媒や有機流体の流出を止めることができるので、安全性の高い排熱回収発電装置を提供することができる。さらに、筐体11の上面には、ベンチレーションファン70が設けられており、筐体11内に流出した熱媒や有機流体を外部へ排出できるようになっている。
【0037】
次に、上記構成の排熱回収発電装置10の動作について図1を用いて説明する。
排熱回収の際には、ディーゼルエンジンからの排ガスの一部が抽気されて第1排熱回収器1へと導かれる。第1排熱回収器1では、熱媒経路7を循環する熱媒と排ガスとが熱交換され、排ガスの顕熱が熱媒に回収される。
また、過給機によって圧縮された空気が空気冷却器3の第3伝熱管36によって冷却される。この際に第3伝熱管36内を流れる冷却水は空気によって加熱されることにより、空気から熱を回収する。第3伝熱管36にて加熱された冷却水は第2排熱回収器5へと導かれる。第2排熱回収器5では、熱媒経路7を循環する熱媒と冷却水とが熱交換され、冷却水の顕熱が熱媒に回収される。
【0038】
第2排熱回収器5で排熱を回収し、さらに第1排熱回収器1で排熱を回収して高温となった熱媒は、蒸発器60へと導かれ、有機流体経路9を循環する有機流体と熱交換する。有機流体は、蒸発器60にて熱媒の顕熱によって加熱され蒸発気化する。蒸発気化して高エンタルピとなった有機流体は、パワータービン62へと導かれ、その熱落差によってパワータービン62を回転駆動させる。パワータービン62の回転出力を得て、発電機68にて発電が行われる。
パワータービン62にて仕事を終えた有機流体(気相)は、プレヒータ64にて蒸発器60流入前の有機流体(液相)に予熱を与えた後、凝縮器66へと導かれ、海水によって冷却されることにより凝縮液化する。
【0039】
以上の通り、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
第1排熱回収器1及び第2排熱回収器5で排熱を回収する際に、沸点が水よりも高い熱媒で熱回収し、そしてこの熱媒によって有機流体を蒸発させることとした。このように、ディーゼルエンジンからの排熱を水によって熱回収するのではなく、沸点が水よりも高い熱媒を用いて排熱回収することとしたので、ディーゼルエンジンの排熱が高温(例えば150℃以上)となっても水のように圧力が高くなることがない。したがって、熱媒経路7を高圧仕様にする必要がなく、安価に構成することができる。
【0040】
制御弁19,20,27を制御することによって、第1排熱回収器1にて排熱回収しない運転が可能とされている。また、各冷却水弁42,45,47,51,55を切り替えることによって、第2排熱回収器5にて排熱回収しない運転が可能とされている。このように、第1排熱回収器1や第2排熱回収器5による熱回収のタイミングを切り替えることができるので、ディーゼルエンジンの運転状態や船内電力需要等に応じて排熱回収の要否を決めることができる。これにより、柔軟性の高い発電システムを構築することができる。
【0041】
なお、図1に示した実施形態では、第1排熱回収器1及び第2排熱回収器5によって排熱を回収することとしたが、図3に示すように、空気冷却器3からの排熱回収を省略して、第1排熱回収器1を用いた排ガスからの排熱回収のみとしても良い。あるいは、図4に示すように、ディーゼルエンジンの排ガスからの排熱回収を省略して、第2排熱回収器5を用いた過給機からの排熱回収のみとしても良い。
【0042】
また、図5に示したように、空気冷却器を第1空気冷却器3aと第2空気冷却器3bとに分割し、空気流れ上流側に位置する第1空気冷却器3aから第2排熱回収器5にて排熱回収を行う構成としても良い。このような構成とすることにより、排熱回収を行うときのみ冷却水循環ポンプP2を駆動し、排熱回収を行わないときは冷却水循環ポンプP2を停止するという運転が可能となる。これにより、図1で示した各冷却水弁42,45,47,51,55を省略することができる。また、第1空気冷却器3aは有機ランキンサイクルを動作させるのに必要な容量の熱交換器として単独に設計することが可能となる。
【0043】
上述した本実施形態の排熱回収発電装置10は、船舶への適用を例として説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば発電等に用いられる陸用の内燃機関に適用することもできる。
また、第3排熱回収器として、水冷式の内燃機関の場合にはエンジン冷却水(ジャケット冷却水)の排熱を用いることができる。この場合には、第3排熱回収器を第1排熱回収器1及び第2排熱回収器5と組み合わせて用いても良いし、図1の第2排熱回収器5に代えて第3排熱回収器を用いても良い。あるいは、図4の第2排熱回収器5に代えて第3排熱回収器を単独で用いることもできる。
【符号の説明】
【0044】
1 第1排熱回収器
3 空気冷却器
5 第2排熱回収器
7 熱媒経路
9 有機流体経路
10 排熱回収発電装置
11 筐体
60 蒸発器
62 パワータービン(タービン)
66 凝縮器
68 発電機
P0 有機流体循環ポンプ
P1 熱媒循環ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
沸点が水よりも高い熱媒と内燃機関の排熱とを熱交換させて熱回収する排熱回収器と、
前記熱媒と有機流体とを熱交換させて該有機流体を蒸発させる蒸発器と、
該蒸発器によって蒸発させられた前記有機流体によって駆動されるタービンと、
該タービンの回転出力によって発電する発電機と、
タービンを通過した前記有機流体を凝縮させる凝縮器と、
を備えていることを特徴とする排熱回収発電装置。
【請求項2】
前記排熱回収器は、
前記内燃機関から排出される排ガスから熱回収を行う第1排熱回収器と、
前記内燃機関に設けられた過給機の圧縮空気を冷却する空気冷却器から熱回収を行う第2排熱回収器、及び/又は、前記内燃機関を冷却するエンジン冷却水から熱回収を行う第3排熱回収器と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の排熱回収発電装置。
【請求項3】
前記排熱回収器による熱回収を行うタイミングが切り替え可能とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排熱回収発電装置。
【請求項4】
前記蒸発器、前記タービン、前記発電機、及び前記凝縮器は、同一の筐体内に収納されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の排熱回収発電装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の排熱回収発電装置を備えていることを特徴とする船舶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−149332(P2011−149332A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11319(P2010−11319)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】