接合方法、接合器具及び締結要素
本発明は、接着剤(30)を第1の温度(T1)まで予熱し、接着剤を導通状態にするステップと、表面部分(34)を第2の温度(T2)まで予熱するステップと、接着面(109)を表面部分(34)の上に配置するステップとを含み、接着面(109)を表面部分(34)の上に配置した後、接着剤(30)に第3の温度(T3)までの本加熱を施して接着剤を硬化させ、これにより締結要素(26)が部品(32)に恒久的に締結される、熱溶融可能かつ熱凝固可能である接着剤(30)が塗布された接着面(109)を有する締結要素(26)を、部品(32)の表面部分(34)の上に接合する方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最初に熱溶融可能であり、後で熱硬化可能である接着剤が塗布された接着面を有する締結要素を、部品の表面部分の上に接合する方法に関する。
本発明はさらに、特に前述の方法によって、締結要素を部品の表面部分の上に接合するための接合器具に関し、最後に、そのような締結要素に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭で述べられる接合方法は、特に、自動車工学の分野に適用可能である。車体の構成においては、締結要素を金属板(車体の薄板)のような部品に締結することを要する。この場合、こうした締結要素は、例えば、電線及びブレーキラインといった更なる品目を締結するための固定具としての役割を果たすことが多い。こうした場合、プラスチック製クリップが締結要素の上に嵌合され、次いで前述の品目がプラスチック製クリップに取り付けられることが多い。外装部品、カーペット、付属品等を締結要素上に直接固定することも可能である。
【0003】
自動車の本体は、従来より、金属(鋼板又はアルミニウム)から製造される。このような場合、スタッドの形態の締結要素を接合する目的のために、金属板及び本体パネルの対向する面がアークによって互いに溶融し、金属板とスタッドとの間に材料結合が生成される、いわゆるスタッド溶接の使用を実践することが知られている。
熱可塑性材料でできている締結要素を熱可塑性部品に接合し、互いに対向する面が互いに溶融され、同様に、最終的に材料の結合が達成されることが、さらに知られている。
【0004】
しかしながら、一般的な性質の締結要素を、例えば塗装された金属板、同じくガラス繊維強化プラスチックの部品又は炭素繊維強化プラスチックの部品などのあらゆる表面に接合させることも要する。近年では、軽量構造の自動車本体がますます増大する傾向があるので、本体部品として、ガラス繊維強化プラスチック又は炭素繊維強化プラスチックの部品の使用が増加しつつある。
【0005】
部品の上への締結要素の接着結合は、このような一般的な接合作業に適している。このような場合、接着剤は、締結要素の接着面に塗布される。この場合の接着剤は、一種の固体状態で接着面に塗布されるタイプのものであることが好ましく、接着剤が塗布された締結部品をバルク材料等として与えることができる。これは、連続生産のために非常に重要である。
【0006】
このような接着剤は、加熱することによって粘性状態になるので、接着面が部品の表面部分の上に配置された後、接着結合をもたらすことができ、この接着結合は、硬化後、自動車の寿命期間持続する。
【0007】
このような部品をキャリア面に締結するための接合器具が、特許文献1から知られている。その場合、部品は、誘導加熱可能な材料で作られた、シャンク部分及びフランジ部分を有するスタッドとして実現される。キャリア面上に配置する前の接着剤の加熱は、誘導エネルギーが誘導場形成器を介して締結要素のフランジ部分内に誘導され、その結果、締結要素が加熱され、これにより間接的に、そこに塗布された接着剤も加熱されるようになるという点で、誘導的に行われる。締結要素がキャリア部品に適用された後、誘導エネルギーの供給は停止され、接着剤が固化して接着接合をもたらす。
【0008】
締結要素をキャリア面に接着結合するためのさらに別の器具は、締結要素が熱の作用により再活性化し得る熱溶融型接着剤で被覆される特許文献2から知られる。キャリア面に塗布する前に、接着剤は温風によって加熱され、同時にキャリア面も加熱される。締結要素がキャリア面上に配置された後、熱供給は停止される。このように、キャリア面上への締結要素の仮付けが達成される。後の接着剤の最終的硬化及び最終的キュアリングがどのように行われるかは、特許文献2においては記述されていない。その場合に得られる接着結合は、接着結合された部品を容易に運搬するのを可能にする機能的強度を達成することだけが意図されている。
【0009】
大規模な連続生産においては、接合手順を実行するために必要とされる時間が特に重要である。接着手順の実行に対する既存の手法は、2分又はそれより長い時間を必要とすることが多い。これは、冒頭に述べたスタッド溶接の場合よりも著しく長く、この時間を短くする必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許公開第10 2004 012 786 A1号明細書
【特許文献2】欧州特許第1 250 391 B1号明細書
【発明の概要】
【0011】
上記の背景技術に対して、本発明の目的は、改善された接合方法、改善された接合器具及び改善された締結部品について明記することである。
【0012】
この目的は、一方では、熱溶融可能かつ熱硬化可能である接着剤が塗布された接着面を有する締結要素を、部品の表面部分の上に接合する方法であって、接着剤を最初に第1の温度まで予熱して、接着剤を溶融するステップと、表面部分を第2の温度まで予熱するステップと、接着面を表面部分の上に配置するステップとを含み、接着面を表面部分の上に配置した後、接着剤に第3の温度までの本加熱を施して接着剤を硬化させ、これにより締結要素が部品に恒久的に締結される、方法によって達成される。
【0013】
上記の目的は、さらに、特に上述の方法による、熱溶融可能かつ熱硬化可能である接着剤が塗布された接着面を有する締結要素を部品の表面部分の上に接合するための接合器具であって、締結要素を保持するための、接合軸に沿って移動されるように設計された保持装置と、接着剤及び表面部分を加熱するように設計された少なくとも1つの加熱装置と、接着剤を最初に予熱する少なくとも1つの加熱装置を制御するように制御装置とを含み、保持装置は次に、部品の上に移動されて締結要素を表面部分の上に配置し、少なくとも1つの加熱装置は、接着剤を硬化させるために、最終的に、締結要素と表面部分との間の接着剤を加熱するように制御される、接合器具によってさらに達成される。
【0014】
最終的に、上記の目的は、特に上述の方法と共に用いるのに適した締結要素であって、シャンク部分と、シャンク部分に隣接し、かつ、シャンク部分よりも大きい断面積を有するフランジ部分とを有し、フランジ部分は、熱溶融可能かつ熱硬化可能である接着剤が塗布された接着面を有し、少なくとも1つの離間突出部が接着面上に実現され、好ましくは、少なくとも1つの隆起部が、接着面とは反対側である、フランジ部分の側に実現される、締結要素によって達成される。
【0015】
本発明による接合方法及び本発明による接合器具は、60秒よりも短い、好ましくは30秒よりも短い、特に10秒よりも短い非常に短い時間内で、締結要素を部品の表面部分に接着結合することを可能にする。
この理由は、接着面が表面部分の上に配置される前に、接着剤が第1の温度まで予熱されるだけではなく、表面部分も、好ましくは第1の温度とほぼ等しい(例えば、100℃よりも高く、200℃よりも低い範囲の)第2の温度まで予熱されるからである。
さらに、このことは、接着面の配置後に、接着剤に第3の温度までの本加熱を施して、接着剤を硬化させるという点で達成される。この場合、第3の温度までの本加熱は、接着剤に最終的キュアリングを施すように行われることが好ましい。
【0016】
接着剤は、比較的短時間でキュア可能なエポキシ樹脂に基づいていることが好ましい。
この場合、接着プロセスの継続時間及び接着の品質は、表面部分の予熱によって決定的に影響を受け得る。
【0017】
表面部分の予熱のために、この場合は、配置動作の後で接着剤が再び冷えてしまわない状況を達成することが可能である。言い換えれば、締結要素と部品との間に大きな温度勾配は生じない。そのため、接着面の直上で接着剤が既に硬化されても、接着剤と部品との間の接着結合を遅らせる水分が依然として部品上で蒸発しているという状況を防止することが可能である。予熱のために、表面部分上の不純物がより容易に剥離される、又は理想的には不純物自体が剥離する(部品の外に拡散される又は蒸発される水分を通して)ので、表面部分の予熱は、一種の洗浄も行う。表面部分の予熱によって、剥離剤の残留物も除去される。
【0018】
接着剤及び表面部分の予熱、並びに、表面部分の上への接着面の配置の直後に、接着剤の最終キュアリング、従って、接着剤の完全硬化が、本加熱ステップによって行われることが好ましい。
【0019】
接着面上への離間突出部の実現のため、所定の力を締結要素に印加することによって、接着剤を表面部分の上に配置することが可能であり、この離間突出部は表面部分に当たり、従って、接着面と表面部分との間に所定の間隔を(及び、好ましくはこれらの間に十分な平行度も)与える。
接着面に対する離間突出部の高さは、そこに塗布される熱溶融可能かつ熱硬化可能な接着剤の高さよりも低いことが好ましい。
熱溶融可能かつ熱硬化可能な接着剤は、接着剤を熱的に又は加熱によって溶融することができ、より高い熱によって硬化させることができるように、液体又は高粘性状態において接着面に塗布され、まだ最終的キュアリングが施されていない、接着剤であると理解されることが好ましい。
【0020】
接着面上に離間突出部が設けられない場合には、接着面と表面部分との間の距離は、例えば、力の調整、及び/又は、締結要素が部品上に配置される位置の調整によって、別の方法で設定することもできる。
従って、この場合は、接着面の配置という用語は、接着面と表面部分との間の予熱された接着剤が完全に移動されるのを防ぐために、接着面を、表面部分から一定の距離において表面部分の上に配置すること、即ち、表面部分に近づけることであると理解されるべきである。
【0021】
全体的に、本発明による方法の場合、全ての加熱ステップを部品の接合側から行うことができることが好ましい。特に、車体の構成において、内部に用いられる本体部品が片側からしかアクセスできないことが多いので、このことは重要である。
【0022】
締結要素は、例えば熱硬化性プラスチック又は金属など、種々の材料で構成することができる。締結要素のためにプラスチックが用いられる場合、締結要素の誘導的加熱を可能にするように、金属粒子を内部に埋め込むことが好ましい。
接着剤の可能な限り最も迅速な加熱を容易にするために、金属粒子は同様に接着剤と混合されること、又は接着剤だけと混合されることが好ましい。
【0023】
部品は、塗装された又は塗装されていない、金属の部品とすることができる。さらに、部品は、特に熱硬化性プラスチックであるプラスチック部品、ガラス繊維強化プラスチック部品、又は炭素繊維強化プラスチック部品とすることができる。プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック、又は炭素繊維強化プラスチック(好ましくは熱硬化性マトリックス樹脂を有する)の加熱を容易にするために、少なくとも表面部分の領域において、より良い伝導率を有する粒子(特に金属粒子又は金属格子など)を部品内に鋳込み、これらの粒子が外側から見えないようにすることが好ましい。
【0024】
接着剤に本加熱が施され、接着剤が硬化した後、適切な場合は、接着部位を冷却する必要があり得る。新しい締結要素が挿入される前に、少なくとも1つの加熱装置を再冷却する必要もあり得る。
【0025】
本発明による接合方法の場合には、第3の温度が第1の温度と等しい場合は特に有利であり、第1の温度よりも高いことが特に好ましい。第3の温度は、例えば、150℃より高い領域におけるものとすることができる。
さらに、接着剤の予熱及び/又は接着剤の本加熱が締結要素の加熱を含む場合は有利であり、締結要素から接着剤内に熱伝導が行われる。
このように、接着剤を間接的に加熱することが可能である。
【0026】
さらに別の好ましい実施形態によると、締結要素の加熱及び/又は部品の予熱は、誘導加熱を含む。
誘導技術による締結要素の加熱は、例えば、冒頭に述べた特許文献1から知られている。
しかしながら、誘導熱源を用いて部品を余熱することもでき、部品は、金属を含むことができ、全体がガラス繊維強化プラスチック又は炭素繊維強化プラスチック(これらの材料も、間接的加熱が可能であるように一定の伝導率を有する)で構成することもできる。
【0027】
さらに、部品の予熱は、熱対流及び/又は熱放射による加熱を含む場合も好ましい。このような予熱は、表面部分の上に向けられるIR熱放射、及び/又は表面部分の上への温風の指向、及び/又は表面部分を加熱するためのレーザの使用(例えば、走査方式で)を含むことが好ましい。
部品の加熱は、このような方法で行うこともできるが、締結要素又は接着剤の誘導加熱が好ましい。
最後に、接着剤又は表面部分を加熱するために、電気抵抗熱又は摩擦熱を用いることも可能である。
【0028】
これらの加熱方法の全ては、単独で又は組み合わせて用いることができる。
全体的に、締結要素の予熱及び表面部分の予熱が、時間の重なりを有した状態で行われる場合には、さらに有利である。
このことは、工程所要時間の短縮を可能にする。さらに、締結要素の予熱及び表面部分の予熱は、単一の加熱手段によって行うことができるが、これらの場合、これらの目的のために、別個の加熱手段を設けることも好ましい。
この場合には、予熱の前に、締結要素を、部品に対する定められた空間的位置に移動させる場合に特に有利である。
【0029】
定められた空間的位置は、例えば、部品の表面から短い距離にある、部品の表面に対して平行な位置とすることができる。こうした相対的位置決めの場合、締結要素を予熱するための手段及び表面部分を予熱するための手段を、比較的簡単な方法で、手動で案内される又はロボットにより移動される接合ツールに統合することができる。
【0030】
代替的な実施形態によると、接着剤の予熱及び表面部分の予熱は、連続して行われる。
この実施形態の場合、好ましくは互いに独立して移動することができる、別個の加熱手段を用いることが可能である。この好ましい方法は、複数の締結要素を部品上に間断なく実現するのに特に適している。この場合、本加熱作業が行われている間、次の接合部位の表面部分を既に予熱しておくことができる。
【0031】
この場合、表面部分の予熱、及び、表面部分の上への予熱された接着面の配置は、表面部分の予熱の完了後の所定の期間内にのみ配置が許容可能になるように、制御を通じてリンクされることが好ましい。
この実施形態の場合、本発明による利点がもはや十分に達成可能でなくなる程度まで、表面部分が再び冷えてしまうのを防ぐことが可能である。これは、特に、接着剤の予熱及び表面部分の予熱が連続して行われる場合に当てはまる。
【0032】
一般的に、好ましくは、連続的加熱において、表面部分を、例えば第1の温度よりも高い温度まで加熱することも可能である。この場合、例えば、締結要素の配置時に、表面部分が予熱された接着剤とほぼ同じ温度を有するように表面部分の冷却が行われるように、予熱された表面部分の上に締結要素が配置されるまでの時間を考慮に入れることができる。
【0033】
全体的に、少なくとも1つの第1の締結要素及び1つの第2の締結要素が、第1の表面部分及び第2の表面部分の上に接合され、第1の締結要素の本加熱、及び、第2の表面部分の予熱は、時間の重なりを有した状態で行われる場合は、さらに好ましい。
【0034】
この実施形態は、複数の締結要素が部品に接合される場合に特に適している。加熱プロセスの「インターリーブ(挟み込み)」により、全体的に著しく短いプロセス・サイクル時間を実現することが可能になる。明らかに、このことは、表面部分の予熱が、接着剤を予熱するための加熱手段とは独立した加熱手段によって行われる場合にも、特に当てはまる。締結要素が、所定のパターン又は互いからの距離で適用される場合、これらの加熱手段を、単一のハウジング上に、互いから対応する距離をおいて設けることもできる。
【0035】
本発明による接合器具の場合、少なくとも1つの加熱装置が、接着剤を加熱するための第1の加熱手段と、表面部分を加熱するための第2の加熱手段とを有し、第1の加熱手段及び保持装置が、接合ツールのハウジング上に配置されることが好ましい。
接合ツールにおいて、接合される締結要素を保持装置により保持することができる。次に、締結要素が保持装置上に保持されている間、こうした方法で保持された締結要素又はそこに塗布された接着剤を第1の加熱手段によって加熱することができる。次に、保持装置を接合軸に沿って部品上に移動させ、接着面を表面部分の上に配置することができる。
【0036】
好ましい実施形態によると、第2の加熱手段もまた、接合ツールのハウジング上に配置される。
このことは、例えば、手持ち式ピストル用途にも適した、単純でコンパクトな構造体を可能にする。
【0037】
第1の加熱手段は、誘導加熱手段であることが好ましい。第2の加熱手段は、IR熱放射加熱手段、温風加熱手段、又はレーザ加熱手段であることが好ましい。
さらに、この場合、保持装置及び第1の加熱手段によって構成されるユニット、及び/又は第2の加熱手段が、接合ツール上で移動可能になるように実現されることが好ましい。
【0038】
このことは、例えば、これにより、接合ツールが、第1の接合プロセスのための所定の位置に移動され、第2の加熱手段の第1の移動位置において表面部分が予熱される一方で、この作業と重複して、第1の加熱手段が接着剤を加熱するという状況を達成することが可能になる。次に、保持装置及び第1の加熱手段によって構成されたユニットの位置、並びに第2の加熱手段の位置を、外見上交換することができ、その結果、部品上への接着面の配置を伴う実際の接合プロセスは、接合ツールのハウジングの移動なしで可能である。
【0039】
さらに別の好ましい実施形態によると、保持装置及び第1の加熱手段によって構成されるユニット、並びに第2の加熱手段は、互いに独立して移動可能である。
この実施形態は、単純な手動の用途、又は、複数の締結要素を部品に間断なく接合する自動化された用途に特に適している。このような場合、次に、接合作業が行われている間、次の表面部分は既に予熱され、その表面部分は、次の部品が接合ツールによって引き継がれ、その接着剤が加熱されたときに、既に適切な予熱温度を有している。
【0040】
一般的に、本発明による方法は、予熱ステップ及び本加熱ステップのために、単一の加熱手段を用いて実行することができる。これは、例えば、誘導加熱手段とすることができる。代替的には、一方で接着剤を加熱するための、他方で表面部分を加熱するための、別個の加熱手段を相互に提供することが可能である。
【0041】
締結要素は、例えば、ねじ接続部又はプラスチックを収容するための締結領域(例えば、ねじ山又はスナップ・クロージャ)を有する、金属又は熱硬化性プラスチックのスタッドとすることができる。クリップの形態の熱硬化性プラスチックの締結要素は、例えば、締結領域(例えば、線又は小さい部品を収容するためのクランプ・クロージャ)を有することができる。
【0042】
締結要素は、接着面が上に実現される接着基部を有することが好ましい。予め塗布されているが、依然として再活性化することが可能な、塗布された接着剤が、接着面上にもたらされる。
用いられる接着剤は、熱溶融可能かつ硬化可能(キュア可能)であり、かつ、例えば主成分としてエポキシ樹脂を有することが好ましい。
【0043】
特に、本発明による方法に従って、締結要素を、ガラス繊維強化プラスチックの部品又は炭素繊維強化プラスチックの部品上に接合する場合、表面部分の予熱は、水分及び剥離剤の残留物を部品から除去することができ、その結果、接着剤の実際の硬化又はキュアリング(最終的キュアリング)が行われる前に、接着区域において、表面の均一な洗浄及び活性化を行うことができるという利点を有する。
【0044】
上述の特徴及び以下に説明される特徴は、それぞれの特定の組み合わせにだけではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組み合わせでも又は単独でも適用することができることが理解される。
本発明の例示的な実施形態が、図面に示され、以下の説明においてより十分に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】予熱ステップにおける、本発明による接合器具の実施形態の概略図を示す。
【図2】本加熱ステップにおける、図1の接合器具の一部を示す。
【図3】本発明による接合器具の接合ツールのさらに別の実施形態の概略的な斜視図を示す。
【図4】本発明による接合器具の接合ツールのさらに別の実施形態の概略的な上面図を示す。
【図5】本発明による接合器具の接合ツールのさらに別の実施形態の概略的な上面図を示す。
【図6】予熱ステップにおける、本発明による接合器具の接合ツールのさらに別の実施形態を示す。
【図7】本加熱ステップにおける、図6の接合ツールを示す。
【図8】接着結合された締結要素の解放後の、図7の接合ツールを示す。
【図9】複数の締結要素を部品の上に接合するための、本発明による接合器具のさらに別の実施形態の概略図を示す。
【図10】本発明による締結要素の実施形態の概略的な側面図を示す。
【図11】本発明による締結要素のさらに別の実施形態の概略的な側面図を示す。
【図12】図11の締結要素の上面図を示す。
【図13】本発明による接合器具の接合ツールのさらに別の実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1において、本発明による接合器具の第1の実施形態が、全体が参照番号10で示される。接合器具10は、それ自体が既知の方法で、少なくとも1つのアーム16を有するロボット12を含む。さらに、接合器具10は、ロボット12に接続される、制御/エネルギー供給ユニット14を有する。
【0047】
可撓性チューブの組み合わせ(図示せず)を介して制御/エネルギー供給ユニット14に接続される接合ヘッド20が、アーム16上に配置される。接合ヘッド20は、接合ツール22を含む。接合ツール22は、締結要素26のための保持装置24を有し、両矢印で示されるように、その上に保持される締結要素26と共に、接合軸28に沿って移動されるように設計される。
締結要素26は、最初は熱溶融可能であり、後で熱硬化可能である接着剤30が塗布されている、より詳細な方法では示されていない接着面を有する。
【0048】
接合器具10は、接合軸28に沿って、締結要素26を部品32の上に接合するように設計される。より正確に言えば、締結要素26は、部品32の表面部分34の上に接着結合され、接着剤30の熱溶融及び熱硬化によって、接着面を表面部分34の上に配置することによって、及び接着剤30の熱硬化又はキュアリングによってそのように結合される。
【0049】
接合ヘッド20は、加熱装置36をさらに含む。加熱装置36は、接合ツール22上に配置された第1の加熱手段38を含む。第1の加熱手段38は、接着剤30を加熱し、最初に接着剤30を溶融し、後にこれを硬化するように設計される。第1の加熱手段38は、接着剤30を直接加熱するように設計することができる。しかしながら、この場合、接着剤30の加熱は、熱伝達40を介して、加熱手段38が締結要素26を加熱するという形で行われる。さらに、接着剤30の加熱は、締結要素26内部の熱伝達42を介して行われる。この場合、締結要素26は、好ましくは良好な熱伝導を有するように実現され、従って、例えば金属材料、又は熱伝導性の(金属)粒子を内部に含むプラスチック材料で作られることが理解される。
【0050】
接合ヘッド20は、接合ツール22に隣接して配置された第2の加熱手段44をさらに含む。接合ツール22は、接合軸28に沿って、第2の加熱手段44に対して移動することができる。第2の加熱手段44は、熱伝達46を介して、表面部分34を加熱するように設計される。さらに、接合ヘッド20は、ハウジング50内に、第2の加熱手段44と一緒に配置された制御装置48を含む。接合ツール22は、接合軸28に沿って、ハウジング50に対して移動することができる。図面は、接合ツール22とハウジング50との間の相対的な運動能力を明らかにするために、分割線52を示す。しかしながら、その代案として、第2の加熱手段44を接合ツール22と共に移動させることもできる。
【0051】
接合器具10を用いて、以下のように接合作業を行うことができる。接合ヘッド20は、ロボット12によって、最初に、締結要素26が表面部分34の領域内に配置され、かつ、第2の加熱手段44が、表面部分34を加熱できる位置にある位置に移動される。次に、第1の加熱手段38のスイッチが入れられ(又は、既にスイッチが入れられており)、接着剤30を、例えば100℃よりも高く200℃よりも低くすることができる第1の温度T1まで加熱する。さらに、これと重複して又はこれと同時に、第2の加熱手段44のスイッチが入れられ、表面部分34を、好ましくは第1の温度T1とほぼ等しい第2の温度T2まで加熱する。次に、接合ツール22は、接合軸28に沿って表面部分34の上まで下げられ、加熱の結果として粘性のある接着剤30が、同様に予熱された表面部分34に当たるようになる。次に、第2の加熱手段44のスイッチが切られる、又は直前に切られる。締結要素26は、締結要素26の接着面が表面部分34から幾分間隔をあけた位置に保持される。しかしながら、その位置は、粘性の接着剤30がある程度半径方向外側に移動されるように選択され、図2に示されるように、ビード53が、締結要素26の外側の周囲に生成される。この状態において、第1の加熱手段38は、接着剤30を、第1の温度T1又は第2の温度T2と等しいものとすることができるが、好ましくは第1の温度T1及び第2の温度T2よりも高い第3の温度T3まで加熱する働きをする。第3の温度T3は、例えば、150℃よりも高くすることができ、適切な場合は、さらに200℃よりも高くすることができる。接着剤30を第3の温度T3まで加熱することにより、接着剤が完全に硬化し、その実質的に完全な接着強度が達成されるまで、接着剤30にキュアリングが、理想的には完全なキュアリングが、施される。
【0052】
次に、接合ツール22が再び後退され、保持装置24は、今では部品32の上に接合されている締結要素26を解放する。次に、更に別の表面部分34の上に接合される更に別の締結要素26を、保持装置24により取り上げることができる。適切な場合は、第2の加熱手段44のスイッチが切られた後に、接着剤30を冷却する(例えば、冷却用空気によって)ことが有利であり得る。適切な場合は、新たに取り上げられた締結要素26が初めから過度に加熱されないように、保持装置24を冷却することも有利であり得る。
【0053】
接合器具、接合ツール、及びそれらを用いて実行される接合方法のさらに別の実施形態が、以下に説明される。これらは概ね、構造及び機能に関して、図1及び図2を参照して説明される接合器具10に基づいている。従って、同じ要素は、同じ参照番号で示される。実質的には、相違点が、以下に説明される。
【0054】
図3は、接合ヘッド20のさらに別の実施形態を示す。接合ヘッド20は、例えば、接合軸28に沿った接合ツールの移動をもたらす空気圧手段54を含み、該接合ツールの移動は、56で示される。
【0055】
さらに、接合ツール22及び第2の加熱手段44は、少なくとも2つの交互する位置の間で、ハウジング50に対して移動可能であることができ、これも同様に空気圧手段54によってもたらされる。その結果、例えば、最初に第2の加熱手段44を表面部分34の真上に配置し、表面部分34を予熱することが可能である。次に、第2の加熱手段44の位置及び接合ツール22の位置を「置き換える」ことができ、次に、接合ツール22が、表面部分34の真上に配置される。これらの交互運動は、58で示されるようにハウジング50に対して直線的に行うことができ、又は、60で示されるような回転運動によって行うことができる。
【0056】
制御装置48、及び、接合ヘッド20をロボット12のアーム16に取り付けるためのロボット・ドック62が、さらにハウジング50上に設けられる。最後に、接合ヘッド20は、可撓性チューブの組み合わせのためのコネクタ64を有する。可撓性チューブの組み合わせは、例えば、空気圧手段54のための圧縮空気、加熱手段38、44を動作させるための電気エネルギー等も供給するために使用することができる。
【0057】
こうした接合ヘッド20が、図4の概略的な上面図に示され、ここで、第2の加熱手段44及び接合ツール22を直線的な交互運動58の形でハウジング50に対して移動させ得ることが示される。接合ヘッド20がこれに対応して図5に示され、ここで、第2の加熱手段44及び接合ツール22は、示される回転交互運動60が示すように、共通の回転軸を中心として回転可能である。
【0058】
図6乃至図8は、さらに別の接合ヘッド20を示し、ここで、第1の加熱手段38及び第2の加熱手段44は、共通の加熱装置36によって実現される。
【0059】
加熱装置36は、軟磁性材料で作製されたU字形の場形成器70と、電磁コイル72とを有する誘導加熱装置68である。場形成器70は、接合軸28に対して横断方向に延びる中間部74を有する。保持装置24を接合軸28に沿って誘導加熱装置68に対して移動させることができるように、保持装置24が延びる開口部76が、中間部74内に実現される。第1のU字形リム78及び第2のU字形リム80が、中間部74の端部に配置される。U字形リム78、80の端部が、部品32の上に配置されるように設計される。この場合、保持装置24は、最初に、締結要素26が表面部分34から離間配置される位置にある。
【0060】
図6に示されるように、最初に、コイル72に第1の電流が供給される予熱ステップを実行することができる。コイル72を通って流れる電流は、磁気回路82を生成する(図6及び図7においては、黒色で、即ち力線として表される)。磁束は、磁力線がU字形リム78の一方から出てくるように、場形成器70を通り抜ける。次に、磁力線は、締結要素26又はそれに付着された接着剤30を通り抜ける第1の力線84と、部品32に入る第2の力線86とに分かれる。第2の力線86は、部品32を通って、第2のU字形リム80の端部の所まで延びる。さらに、第3の力線88が、締結要素26又は接着剤30の半径方向反対側の端部から、第2のU字形リム80の端部まで延び、これにより磁気回路82が閉じられる。
このように、コイル72に通電することによって、接着剤30の第1の温度T1までの予熱、及び部品32の表面部分34の第2の温度T2までの予熱の両方を達成することができる。
【0061】
次に図7に示されるように、締結要素26が部品32の上まで下げられるように、保持装置24が降下される。次に、コイル72は、引き続き通電されたままであり、適切な場合は増大した電流を有する。結果として、第4の力線89が、一方のU字形リムの端部から、締結要素26又は接着剤30を介し、表面部分34を介して、他方のU字形リム80まで流れる。その結果、接着剤30が第3の温度T3まで加熱され、接着剤の完全なキュアリングが行われる。
【0062】
次に、図8に示されるように、保持装置24がまず解放され、締結要素26から、接合方向とは反対に上方に引き上げられ、その後、誘導加熱装置68も、部品32から上昇させることができる。上述した接合ヘッド20は、ロボット12と組み合わせて用いることができ、又は、手動の接合装置と組み合わせて用いることもできる。
【0063】
図9に示される実施形態の場合、第1の締結要素26Aが、第1の表面部分34Aの上に接合され、次に第2の締結要素26Bが、第2の表面部分34Bの上に接合される。
【0064】
この実施形態の場合、接合ツール22及び第2の加熱手段44は、互いに独立している。図9の表現は、第1の表面部分34Aが既に適切な温度T2まで加熱された状態に基づいている。次に、第1のステップS1において、第2の加熱手段44が、第2の表面部分34Bまで移動された。その後、第2のステップS2において、接合ツール22が、適切な場合は、既に予熱された第1の締結要素26Aと共に、第1の表面部分34Aに向かって移動される。次に、第2の表面部分34Bが予熱され、実質的にこれと同時に、第1の締結要素26Aが、第1の表面部分34Aの上に接合される。次のステップS3において、次に、第2の加熱手段44が、第2の表面部分34Bから遠ざかるように移動される(例えば、第3の表面部分まで)。
【0065】
次に、接合ヘッド22は、第2の締結要素26Bを引き継ぎ(S4)、ステップS5で表されるように、第2の表面部分34Bに向けて移動される。
シーケンス全体は、第2の加熱要素44及び接合ツール22の両方の移動を制御する制御装置48により、自動化された方法で行われることが好ましい。
【0066】
異なるタイプの締結要素26が、図10乃至図12に示される。図10は、基部本体100と、これに対して移動可能であるカバー102とを有するプラスチック製クリップとして実現された締結要素26’を示す。カバー102が閉じられたとき、電線、ブレーキライン等のような品目を受けるための1つ又はそれ以上のレシーバ104が、締結要素26’内に実現される。最初は熱溶融可能であり、後に熱硬化可能な接着剤30が塗布される接着面109が、基部本体100の底面上に実現される。締結要素26’は、プラスチックから作製することができる。この場合、接着剤30は、例えばIR放射、温風等によって、例えば直接加熱される。しかしながら、締結要素26’はまた、少なくとも基部本体100内に金属粒子を含むこともできるので、この場合は同様に、基部本体100を介して、接着剤30の誘導加熱を間接的に実現することができる。
【0067】
シャンク部分106(例えば、ねじ山を設けることができる)と、フランジ部分108とを有するスタッドとして実現される締結要素26”のさらに別の実施形態が、図11及び図12に示される。接着面109が、フランジ部分108の下面上に実現される。複数の離間した突出部110が、接着面109上に設けられる。離間突出部110は、接着面109と表面部分34との間の距離を定めるので、比較的簡単な方法で、所定の力を用いて、締結要素26”を表面部分34の上に押し付け、最終的な接合位置に配置させることが可能である。離間突出部110の軸方向の長さは、接着面109に塗布される接着剤30の厚さよりも少ないことが好ましいが、図11においては、これらの値がほぼ等しい寸法で示される。
【0068】
隆起部112が、フランジ部分108の上側上に実現される。隆起部112は、第1の加熱手段38を構成する誘導加熱装置を離間配置する働きをする。しかしながら、図11の30aで示されるように、接着剤が、締結要素のシャンク106の方に向いた接着フランジの側上に塗布された場合、隆起部112を用いて、接着区域の厚さを定めることもできる。図12に示されるように、締結要素26”は、3つの離間突出部110よ、これに対応する数の隆起部112とを有することが好ましい。
締結要素26”は、例えば、金属で作製することができるが、金属粒子が内部に埋め込まれた熱硬化性プラスチックから実現することもでき、それにより、そこに塗布された接着剤30の間接的な加熱が可能になる。
【0069】
保持装置24及び第1の加熱手段38を構成し、例えば、図1乃至図8に示される接合器具の1つに組み込むように用いることができる接合ユニット91が、図13に示される。
接合ユニット91は、軸方向の貫通開口部116を有するスリーブ型場形成器70を含む。締結要素(例えば、図11及び図12の締結要素26”)を保持するために、真空118を貫通開口部116に適用することができる。この場合、シャンク部分は、その直径がシャンク部分の直径に適合される貫通開口部116内に延びる。
【0070】
次に、場形成器70は、隆起部112上に載っている。コイル72は、場形成器70の周囲に配置される。コイル72の通電時、力線が場形成器70の軸方向端部から軸方向に出てくる磁気回路が生成される。力線は、締結要素26”のフランジ部分108に入り、締結要素26”を加熱し、これにより、締結要素の下面に塗布された接着剤30を間接的に加熱する。締結要素26”が表面部分34の上に配置された後、コイル72の電流の強さを強めて、接着剤を第3の温度まで加熱することができる。
【0071】
温度センサを場形成器70の下端部に設けることができることが120で示され、このセンサを用いて、シャンク部分108におけるその後の温度を測定することができる。場形成器70内の軸方向チャネル122を介して、温度センサ120の対応する電気的接続を行うことができる。しかしながら、これに代わるものとして、温度センサ120は、光学タイプのものとすることもでき、その結果、実質的に、コイル72に影響されない光信号のみがチャネル122を介して伝送される。
隆起部112によって、場形成器70は、フランジ部分108の上側への付着を防止することができる。
【符号の説明】
【0072】
10:接合器具
12:ロボット
14:制御/エネルギー供給ユニット
16:アーム
20:接合ヘッド
22:接合ツール
24:保持装置
26、26’、26”、26A、26B:締結要素
28:接合軸
30、30a:接着剤
32:部品
34、34A、34B:表面部分
36:加熱装置
38:第1の加熱手段
40、42、46:熱伝達
44:第2の加熱手段
48:制御装置
50:ハウジング
52:分割線
53:ビード
54:空気圧手段
56:接合運動
62:ロボット・ドック
64:コネクタ
68:誘導加熱装置
70:場形成器
72:電磁コイル
74:中間部
76:開口部
78:第1のU字形リム
80:第2のU字形リム
82:磁気回路
84、86、88、89:力線
91:接合ユニット
100:基部本体
102:カバー
104:レシーバ
106:シャンク部分
108:フランジ部分
109:接着面
110:離間突出部
112:隆起部
116:貫通開口部
118:真空
120:温度センサ
122:軸方向チャネル
T1:第1の温度
T2:第2の温度
T3:第3の温度
【技術分野】
【0001】
本発明は、最初に熱溶融可能であり、後で熱硬化可能である接着剤が塗布された接着面を有する締結要素を、部品の表面部分の上に接合する方法に関する。
本発明はさらに、特に前述の方法によって、締結要素を部品の表面部分の上に接合するための接合器具に関し、最後に、そのような締結要素に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭で述べられる接合方法は、特に、自動車工学の分野に適用可能である。車体の構成においては、締結要素を金属板(車体の薄板)のような部品に締結することを要する。この場合、こうした締結要素は、例えば、電線及びブレーキラインといった更なる品目を締結するための固定具としての役割を果たすことが多い。こうした場合、プラスチック製クリップが締結要素の上に嵌合され、次いで前述の品目がプラスチック製クリップに取り付けられることが多い。外装部品、カーペット、付属品等を締結要素上に直接固定することも可能である。
【0003】
自動車の本体は、従来より、金属(鋼板又はアルミニウム)から製造される。このような場合、スタッドの形態の締結要素を接合する目的のために、金属板及び本体パネルの対向する面がアークによって互いに溶融し、金属板とスタッドとの間に材料結合が生成される、いわゆるスタッド溶接の使用を実践することが知られている。
熱可塑性材料でできている締結要素を熱可塑性部品に接合し、互いに対向する面が互いに溶融され、同様に、最終的に材料の結合が達成されることが、さらに知られている。
【0004】
しかしながら、一般的な性質の締結要素を、例えば塗装された金属板、同じくガラス繊維強化プラスチックの部品又は炭素繊維強化プラスチックの部品などのあらゆる表面に接合させることも要する。近年では、軽量構造の自動車本体がますます増大する傾向があるので、本体部品として、ガラス繊維強化プラスチック又は炭素繊維強化プラスチックの部品の使用が増加しつつある。
【0005】
部品の上への締結要素の接着結合は、このような一般的な接合作業に適している。このような場合、接着剤は、締結要素の接着面に塗布される。この場合の接着剤は、一種の固体状態で接着面に塗布されるタイプのものであることが好ましく、接着剤が塗布された締結部品をバルク材料等として与えることができる。これは、連続生産のために非常に重要である。
【0006】
このような接着剤は、加熱することによって粘性状態になるので、接着面が部品の表面部分の上に配置された後、接着結合をもたらすことができ、この接着結合は、硬化後、自動車の寿命期間持続する。
【0007】
このような部品をキャリア面に締結するための接合器具が、特許文献1から知られている。その場合、部品は、誘導加熱可能な材料で作られた、シャンク部分及びフランジ部分を有するスタッドとして実現される。キャリア面上に配置する前の接着剤の加熱は、誘導エネルギーが誘導場形成器を介して締結要素のフランジ部分内に誘導され、その結果、締結要素が加熱され、これにより間接的に、そこに塗布された接着剤も加熱されるようになるという点で、誘導的に行われる。締結要素がキャリア部品に適用された後、誘導エネルギーの供給は停止され、接着剤が固化して接着接合をもたらす。
【0008】
締結要素をキャリア面に接着結合するためのさらに別の器具は、締結要素が熱の作用により再活性化し得る熱溶融型接着剤で被覆される特許文献2から知られる。キャリア面に塗布する前に、接着剤は温風によって加熱され、同時にキャリア面も加熱される。締結要素がキャリア面上に配置された後、熱供給は停止される。このように、キャリア面上への締結要素の仮付けが達成される。後の接着剤の最終的硬化及び最終的キュアリングがどのように行われるかは、特許文献2においては記述されていない。その場合に得られる接着結合は、接着結合された部品を容易に運搬するのを可能にする機能的強度を達成することだけが意図されている。
【0009】
大規模な連続生産においては、接合手順を実行するために必要とされる時間が特に重要である。接着手順の実行に対する既存の手法は、2分又はそれより長い時間を必要とすることが多い。これは、冒頭に述べたスタッド溶接の場合よりも著しく長く、この時間を短くする必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許公開第10 2004 012 786 A1号明細書
【特許文献2】欧州特許第1 250 391 B1号明細書
【発明の概要】
【0011】
上記の背景技術に対して、本発明の目的は、改善された接合方法、改善された接合器具及び改善された締結部品について明記することである。
【0012】
この目的は、一方では、熱溶融可能かつ熱硬化可能である接着剤が塗布された接着面を有する締結要素を、部品の表面部分の上に接合する方法であって、接着剤を最初に第1の温度まで予熱して、接着剤を溶融するステップと、表面部分を第2の温度まで予熱するステップと、接着面を表面部分の上に配置するステップとを含み、接着面を表面部分の上に配置した後、接着剤に第3の温度までの本加熱を施して接着剤を硬化させ、これにより締結要素が部品に恒久的に締結される、方法によって達成される。
【0013】
上記の目的は、さらに、特に上述の方法による、熱溶融可能かつ熱硬化可能である接着剤が塗布された接着面を有する締結要素を部品の表面部分の上に接合するための接合器具であって、締結要素を保持するための、接合軸に沿って移動されるように設計された保持装置と、接着剤及び表面部分を加熱するように設計された少なくとも1つの加熱装置と、接着剤を最初に予熱する少なくとも1つの加熱装置を制御するように制御装置とを含み、保持装置は次に、部品の上に移動されて締結要素を表面部分の上に配置し、少なくとも1つの加熱装置は、接着剤を硬化させるために、最終的に、締結要素と表面部分との間の接着剤を加熱するように制御される、接合器具によってさらに達成される。
【0014】
最終的に、上記の目的は、特に上述の方法と共に用いるのに適した締結要素であって、シャンク部分と、シャンク部分に隣接し、かつ、シャンク部分よりも大きい断面積を有するフランジ部分とを有し、フランジ部分は、熱溶融可能かつ熱硬化可能である接着剤が塗布された接着面を有し、少なくとも1つの離間突出部が接着面上に実現され、好ましくは、少なくとも1つの隆起部が、接着面とは反対側である、フランジ部分の側に実現される、締結要素によって達成される。
【0015】
本発明による接合方法及び本発明による接合器具は、60秒よりも短い、好ましくは30秒よりも短い、特に10秒よりも短い非常に短い時間内で、締結要素を部品の表面部分に接着結合することを可能にする。
この理由は、接着面が表面部分の上に配置される前に、接着剤が第1の温度まで予熱されるだけではなく、表面部分も、好ましくは第1の温度とほぼ等しい(例えば、100℃よりも高く、200℃よりも低い範囲の)第2の温度まで予熱されるからである。
さらに、このことは、接着面の配置後に、接着剤に第3の温度までの本加熱を施して、接着剤を硬化させるという点で達成される。この場合、第3の温度までの本加熱は、接着剤に最終的キュアリングを施すように行われることが好ましい。
【0016】
接着剤は、比較的短時間でキュア可能なエポキシ樹脂に基づいていることが好ましい。
この場合、接着プロセスの継続時間及び接着の品質は、表面部分の予熱によって決定的に影響を受け得る。
【0017】
表面部分の予熱のために、この場合は、配置動作の後で接着剤が再び冷えてしまわない状況を達成することが可能である。言い換えれば、締結要素と部品との間に大きな温度勾配は生じない。そのため、接着面の直上で接着剤が既に硬化されても、接着剤と部品との間の接着結合を遅らせる水分が依然として部品上で蒸発しているという状況を防止することが可能である。予熱のために、表面部分上の不純物がより容易に剥離される、又は理想的には不純物自体が剥離する(部品の外に拡散される又は蒸発される水分を通して)ので、表面部分の予熱は、一種の洗浄も行う。表面部分の予熱によって、剥離剤の残留物も除去される。
【0018】
接着剤及び表面部分の予熱、並びに、表面部分の上への接着面の配置の直後に、接着剤の最終キュアリング、従って、接着剤の完全硬化が、本加熱ステップによって行われることが好ましい。
【0019】
接着面上への離間突出部の実現のため、所定の力を締結要素に印加することによって、接着剤を表面部分の上に配置することが可能であり、この離間突出部は表面部分に当たり、従って、接着面と表面部分との間に所定の間隔を(及び、好ましくはこれらの間に十分な平行度も)与える。
接着面に対する離間突出部の高さは、そこに塗布される熱溶融可能かつ熱硬化可能な接着剤の高さよりも低いことが好ましい。
熱溶融可能かつ熱硬化可能な接着剤は、接着剤を熱的に又は加熱によって溶融することができ、より高い熱によって硬化させることができるように、液体又は高粘性状態において接着面に塗布され、まだ最終的キュアリングが施されていない、接着剤であると理解されることが好ましい。
【0020】
接着面上に離間突出部が設けられない場合には、接着面と表面部分との間の距離は、例えば、力の調整、及び/又は、締結要素が部品上に配置される位置の調整によって、別の方法で設定することもできる。
従って、この場合は、接着面の配置という用語は、接着面と表面部分との間の予熱された接着剤が完全に移動されるのを防ぐために、接着面を、表面部分から一定の距離において表面部分の上に配置すること、即ち、表面部分に近づけることであると理解されるべきである。
【0021】
全体的に、本発明による方法の場合、全ての加熱ステップを部品の接合側から行うことができることが好ましい。特に、車体の構成において、内部に用いられる本体部品が片側からしかアクセスできないことが多いので、このことは重要である。
【0022】
締結要素は、例えば熱硬化性プラスチック又は金属など、種々の材料で構成することができる。締結要素のためにプラスチックが用いられる場合、締結要素の誘導的加熱を可能にするように、金属粒子を内部に埋め込むことが好ましい。
接着剤の可能な限り最も迅速な加熱を容易にするために、金属粒子は同様に接着剤と混合されること、又は接着剤だけと混合されることが好ましい。
【0023】
部品は、塗装された又は塗装されていない、金属の部品とすることができる。さらに、部品は、特に熱硬化性プラスチックであるプラスチック部品、ガラス繊維強化プラスチック部品、又は炭素繊維強化プラスチック部品とすることができる。プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック、又は炭素繊維強化プラスチック(好ましくは熱硬化性マトリックス樹脂を有する)の加熱を容易にするために、少なくとも表面部分の領域において、より良い伝導率を有する粒子(特に金属粒子又は金属格子など)を部品内に鋳込み、これらの粒子が外側から見えないようにすることが好ましい。
【0024】
接着剤に本加熱が施され、接着剤が硬化した後、適切な場合は、接着部位を冷却する必要があり得る。新しい締結要素が挿入される前に、少なくとも1つの加熱装置を再冷却する必要もあり得る。
【0025】
本発明による接合方法の場合には、第3の温度が第1の温度と等しい場合は特に有利であり、第1の温度よりも高いことが特に好ましい。第3の温度は、例えば、150℃より高い領域におけるものとすることができる。
さらに、接着剤の予熱及び/又は接着剤の本加熱が締結要素の加熱を含む場合は有利であり、締結要素から接着剤内に熱伝導が行われる。
このように、接着剤を間接的に加熱することが可能である。
【0026】
さらに別の好ましい実施形態によると、締結要素の加熱及び/又は部品の予熱は、誘導加熱を含む。
誘導技術による締結要素の加熱は、例えば、冒頭に述べた特許文献1から知られている。
しかしながら、誘導熱源を用いて部品を余熱することもでき、部品は、金属を含むことができ、全体がガラス繊維強化プラスチック又は炭素繊維強化プラスチック(これらの材料も、間接的加熱が可能であるように一定の伝導率を有する)で構成することもできる。
【0027】
さらに、部品の予熱は、熱対流及び/又は熱放射による加熱を含む場合も好ましい。このような予熱は、表面部分の上に向けられるIR熱放射、及び/又は表面部分の上への温風の指向、及び/又は表面部分を加熱するためのレーザの使用(例えば、走査方式で)を含むことが好ましい。
部品の加熱は、このような方法で行うこともできるが、締結要素又は接着剤の誘導加熱が好ましい。
最後に、接着剤又は表面部分を加熱するために、電気抵抗熱又は摩擦熱を用いることも可能である。
【0028】
これらの加熱方法の全ては、単独で又は組み合わせて用いることができる。
全体的に、締結要素の予熱及び表面部分の予熱が、時間の重なりを有した状態で行われる場合には、さらに有利である。
このことは、工程所要時間の短縮を可能にする。さらに、締結要素の予熱及び表面部分の予熱は、単一の加熱手段によって行うことができるが、これらの場合、これらの目的のために、別個の加熱手段を設けることも好ましい。
この場合には、予熱の前に、締結要素を、部品に対する定められた空間的位置に移動させる場合に特に有利である。
【0029】
定められた空間的位置は、例えば、部品の表面から短い距離にある、部品の表面に対して平行な位置とすることができる。こうした相対的位置決めの場合、締結要素を予熱するための手段及び表面部分を予熱するための手段を、比較的簡単な方法で、手動で案内される又はロボットにより移動される接合ツールに統合することができる。
【0030】
代替的な実施形態によると、接着剤の予熱及び表面部分の予熱は、連続して行われる。
この実施形態の場合、好ましくは互いに独立して移動することができる、別個の加熱手段を用いることが可能である。この好ましい方法は、複数の締結要素を部品上に間断なく実現するのに特に適している。この場合、本加熱作業が行われている間、次の接合部位の表面部分を既に予熱しておくことができる。
【0031】
この場合、表面部分の予熱、及び、表面部分の上への予熱された接着面の配置は、表面部分の予熱の完了後の所定の期間内にのみ配置が許容可能になるように、制御を通じてリンクされることが好ましい。
この実施形態の場合、本発明による利点がもはや十分に達成可能でなくなる程度まで、表面部分が再び冷えてしまうのを防ぐことが可能である。これは、特に、接着剤の予熱及び表面部分の予熱が連続して行われる場合に当てはまる。
【0032】
一般的に、好ましくは、連続的加熱において、表面部分を、例えば第1の温度よりも高い温度まで加熱することも可能である。この場合、例えば、締結要素の配置時に、表面部分が予熱された接着剤とほぼ同じ温度を有するように表面部分の冷却が行われるように、予熱された表面部分の上に締結要素が配置されるまでの時間を考慮に入れることができる。
【0033】
全体的に、少なくとも1つの第1の締結要素及び1つの第2の締結要素が、第1の表面部分及び第2の表面部分の上に接合され、第1の締結要素の本加熱、及び、第2の表面部分の予熱は、時間の重なりを有した状態で行われる場合は、さらに好ましい。
【0034】
この実施形態は、複数の締結要素が部品に接合される場合に特に適している。加熱プロセスの「インターリーブ(挟み込み)」により、全体的に著しく短いプロセス・サイクル時間を実現することが可能になる。明らかに、このことは、表面部分の予熱が、接着剤を予熱するための加熱手段とは独立した加熱手段によって行われる場合にも、特に当てはまる。締結要素が、所定のパターン又は互いからの距離で適用される場合、これらの加熱手段を、単一のハウジング上に、互いから対応する距離をおいて設けることもできる。
【0035】
本発明による接合器具の場合、少なくとも1つの加熱装置が、接着剤を加熱するための第1の加熱手段と、表面部分を加熱するための第2の加熱手段とを有し、第1の加熱手段及び保持装置が、接合ツールのハウジング上に配置されることが好ましい。
接合ツールにおいて、接合される締結要素を保持装置により保持することができる。次に、締結要素が保持装置上に保持されている間、こうした方法で保持された締結要素又はそこに塗布された接着剤を第1の加熱手段によって加熱することができる。次に、保持装置を接合軸に沿って部品上に移動させ、接着面を表面部分の上に配置することができる。
【0036】
好ましい実施形態によると、第2の加熱手段もまた、接合ツールのハウジング上に配置される。
このことは、例えば、手持ち式ピストル用途にも適した、単純でコンパクトな構造体を可能にする。
【0037】
第1の加熱手段は、誘導加熱手段であることが好ましい。第2の加熱手段は、IR熱放射加熱手段、温風加熱手段、又はレーザ加熱手段であることが好ましい。
さらに、この場合、保持装置及び第1の加熱手段によって構成されるユニット、及び/又は第2の加熱手段が、接合ツール上で移動可能になるように実現されることが好ましい。
【0038】
このことは、例えば、これにより、接合ツールが、第1の接合プロセスのための所定の位置に移動され、第2の加熱手段の第1の移動位置において表面部分が予熱される一方で、この作業と重複して、第1の加熱手段が接着剤を加熱するという状況を達成することが可能になる。次に、保持装置及び第1の加熱手段によって構成されたユニットの位置、並びに第2の加熱手段の位置を、外見上交換することができ、その結果、部品上への接着面の配置を伴う実際の接合プロセスは、接合ツールのハウジングの移動なしで可能である。
【0039】
さらに別の好ましい実施形態によると、保持装置及び第1の加熱手段によって構成されるユニット、並びに第2の加熱手段は、互いに独立して移動可能である。
この実施形態は、単純な手動の用途、又は、複数の締結要素を部品に間断なく接合する自動化された用途に特に適している。このような場合、次に、接合作業が行われている間、次の表面部分は既に予熱され、その表面部分は、次の部品が接合ツールによって引き継がれ、その接着剤が加熱されたときに、既に適切な予熱温度を有している。
【0040】
一般的に、本発明による方法は、予熱ステップ及び本加熱ステップのために、単一の加熱手段を用いて実行することができる。これは、例えば、誘導加熱手段とすることができる。代替的には、一方で接着剤を加熱するための、他方で表面部分を加熱するための、別個の加熱手段を相互に提供することが可能である。
【0041】
締結要素は、例えば、ねじ接続部又はプラスチックを収容するための締結領域(例えば、ねじ山又はスナップ・クロージャ)を有する、金属又は熱硬化性プラスチックのスタッドとすることができる。クリップの形態の熱硬化性プラスチックの締結要素は、例えば、締結領域(例えば、線又は小さい部品を収容するためのクランプ・クロージャ)を有することができる。
【0042】
締結要素は、接着面が上に実現される接着基部を有することが好ましい。予め塗布されているが、依然として再活性化することが可能な、塗布された接着剤が、接着面上にもたらされる。
用いられる接着剤は、熱溶融可能かつ硬化可能(キュア可能)であり、かつ、例えば主成分としてエポキシ樹脂を有することが好ましい。
【0043】
特に、本発明による方法に従って、締結要素を、ガラス繊維強化プラスチックの部品又は炭素繊維強化プラスチックの部品上に接合する場合、表面部分の予熱は、水分及び剥離剤の残留物を部品から除去することができ、その結果、接着剤の実際の硬化又はキュアリング(最終的キュアリング)が行われる前に、接着区域において、表面の均一な洗浄及び活性化を行うことができるという利点を有する。
【0044】
上述の特徴及び以下に説明される特徴は、それぞれの特定の組み合わせにだけではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組み合わせでも又は単独でも適用することができることが理解される。
本発明の例示的な実施形態が、図面に示され、以下の説明においてより十分に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】予熱ステップにおける、本発明による接合器具の実施形態の概略図を示す。
【図2】本加熱ステップにおける、図1の接合器具の一部を示す。
【図3】本発明による接合器具の接合ツールのさらに別の実施形態の概略的な斜視図を示す。
【図4】本発明による接合器具の接合ツールのさらに別の実施形態の概略的な上面図を示す。
【図5】本発明による接合器具の接合ツールのさらに別の実施形態の概略的な上面図を示す。
【図6】予熱ステップにおける、本発明による接合器具の接合ツールのさらに別の実施形態を示す。
【図7】本加熱ステップにおける、図6の接合ツールを示す。
【図8】接着結合された締結要素の解放後の、図7の接合ツールを示す。
【図9】複数の締結要素を部品の上に接合するための、本発明による接合器具のさらに別の実施形態の概略図を示す。
【図10】本発明による締結要素の実施形態の概略的な側面図を示す。
【図11】本発明による締結要素のさらに別の実施形態の概略的な側面図を示す。
【図12】図11の締結要素の上面図を示す。
【図13】本発明による接合器具の接合ツールのさらに別の実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1において、本発明による接合器具の第1の実施形態が、全体が参照番号10で示される。接合器具10は、それ自体が既知の方法で、少なくとも1つのアーム16を有するロボット12を含む。さらに、接合器具10は、ロボット12に接続される、制御/エネルギー供給ユニット14を有する。
【0047】
可撓性チューブの組み合わせ(図示せず)を介して制御/エネルギー供給ユニット14に接続される接合ヘッド20が、アーム16上に配置される。接合ヘッド20は、接合ツール22を含む。接合ツール22は、締結要素26のための保持装置24を有し、両矢印で示されるように、その上に保持される締結要素26と共に、接合軸28に沿って移動されるように設計される。
締結要素26は、最初は熱溶融可能であり、後で熱硬化可能である接着剤30が塗布されている、より詳細な方法では示されていない接着面を有する。
【0048】
接合器具10は、接合軸28に沿って、締結要素26を部品32の上に接合するように設計される。より正確に言えば、締結要素26は、部品32の表面部分34の上に接着結合され、接着剤30の熱溶融及び熱硬化によって、接着面を表面部分34の上に配置することによって、及び接着剤30の熱硬化又はキュアリングによってそのように結合される。
【0049】
接合ヘッド20は、加熱装置36をさらに含む。加熱装置36は、接合ツール22上に配置された第1の加熱手段38を含む。第1の加熱手段38は、接着剤30を加熱し、最初に接着剤30を溶融し、後にこれを硬化するように設計される。第1の加熱手段38は、接着剤30を直接加熱するように設計することができる。しかしながら、この場合、接着剤30の加熱は、熱伝達40を介して、加熱手段38が締結要素26を加熱するという形で行われる。さらに、接着剤30の加熱は、締結要素26内部の熱伝達42を介して行われる。この場合、締結要素26は、好ましくは良好な熱伝導を有するように実現され、従って、例えば金属材料、又は熱伝導性の(金属)粒子を内部に含むプラスチック材料で作られることが理解される。
【0050】
接合ヘッド20は、接合ツール22に隣接して配置された第2の加熱手段44をさらに含む。接合ツール22は、接合軸28に沿って、第2の加熱手段44に対して移動することができる。第2の加熱手段44は、熱伝達46を介して、表面部分34を加熱するように設計される。さらに、接合ヘッド20は、ハウジング50内に、第2の加熱手段44と一緒に配置された制御装置48を含む。接合ツール22は、接合軸28に沿って、ハウジング50に対して移動することができる。図面は、接合ツール22とハウジング50との間の相対的な運動能力を明らかにするために、分割線52を示す。しかしながら、その代案として、第2の加熱手段44を接合ツール22と共に移動させることもできる。
【0051】
接合器具10を用いて、以下のように接合作業を行うことができる。接合ヘッド20は、ロボット12によって、最初に、締結要素26が表面部分34の領域内に配置され、かつ、第2の加熱手段44が、表面部分34を加熱できる位置にある位置に移動される。次に、第1の加熱手段38のスイッチが入れられ(又は、既にスイッチが入れられており)、接着剤30を、例えば100℃よりも高く200℃よりも低くすることができる第1の温度T1まで加熱する。さらに、これと重複して又はこれと同時に、第2の加熱手段44のスイッチが入れられ、表面部分34を、好ましくは第1の温度T1とほぼ等しい第2の温度T2まで加熱する。次に、接合ツール22は、接合軸28に沿って表面部分34の上まで下げられ、加熱の結果として粘性のある接着剤30が、同様に予熱された表面部分34に当たるようになる。次に、第2の加熱手段44のスイッチが切られる、又は直前に切られる。締結要素26は、締結要素26の接着面が表面部分34から幾分間隔をあけた位置に保持される。しかしながら、その位置は、粘性の接着剤30がある程度半径方向外側に移動されるように選択され、図2に示されるように、ビード53が、締結要素26の外側の周囲に生成される。この状態において、第1の加熱手段38は、接着剤30を、第1の温度T1又は第2の温度T2と等しいものとすることができるが、好ましくは第1の温度T1及び第2の温度T2よりも高い第3の温度T3まで加熱する働きをする。第3の温度T3は、例えば、150℃よりも高くすることができ、適切な場合は、さらに200℃よりも高くすることができる。接着剤30を第3の温度T3まで加熱することにより、接着剤が完全に硬化し、その実質的に完全な接着強度が達成されるまで、接着剤30にキュアリングが、理想的には完全なキュアリングが、施される。
【0052】
次に、接合ツール22が再び後退され、保持装置24は、今では部品32の上に接合されている締結要素26を解放する。次に、更に別の表面部分34の上に接合される更に別の締結要素26を、保持装置24により取り上げることができる。適切な場合は、第2の加熱手段44のスイッチが切られた後に、接着剤30を冷却する(例えば、冷却用空気によって)ことが有利であり得る。適切な場合は、新たに取り上げられた締結要素26が初めから過度に加熱されないように、保持装置24を冷却することも有利であり得る。
【0053】
接合器具、接合ツール、及びそれらを用いて実行される接合方法のさらに別の実施形態が、以下に説明される。これらは概ね、構造及び機能に関して、図1及び図2を参照して説明される接合器具10に基づいている。従って、同じ要素は、同じ参照番号で示される。実質的には、相違点が、以下に説明される。
【0054】
図3は、接合ヘッド20のさらに別の実施形態を示す。接合ヘッド20は、例えば、接合軸28に沿った接合ツールの移動をもたらす空気圧手段54を含み、該接合ツールの移動は、56で示される。
【0055】
さらに、接合ツール22及び第2の加熱手段44は、少なくとも2つの交互する位置の間で、ハウジング50に対して移動可能であることができ、これも同様に空気圧手段54によってもたらされる。その結果、例えば、最初に第2の加熱手段44を表面部分34の真上に配置し、表面部分34を予熱することが可能である。次に、第2の加熱手段44の位置及び接合ツール22の位置を「置き換える」ことができ、次に、接合ツール22が、表面部分34の真上に配置される。これらの交互運動は、58で示されるようにハウジング50に対して直線的に行うことができ、又は、60で示されるような回転運動によって行うことができる。
【0056】
制御装置48、及び、接合ヘッド20をロボット12のアーム16に取り付けるためのロボット・ドック62が、さらにハウジング50上に設けられる。最後に、接合ヘッド20は、可撓性チューブの組み合わせのためのコネクタ64を有する。可撓性チューブの組み合わせは、例えば、空気圧手段54のための圧縮空気、加熱手段38、44を動作させるための電気エネルギー等も供給するために使用することができる。
【0057】
こうした接合ヘッド20が、図4の概略的な上面図に示され、ここで、第2の加熱手段44及び接合ツール22を直線的な交互運動58の形でハウジング50に対して移動させ得ることが示される。接合ヘッド20がこれに対応して図5に示され、ここで、第2の加熱手段44及び接合ツール22は、示される回転交互運動60が示すように、共通の回転軸を中心として回転可能である。
【0058】
図6乃至図8は、さらに別の接合ヘッド20を示し、ここで、第1の加熱手段38及び第2の加熱手段44は、共通の加熱装置36によって実現される。
【0059】
加熱装置36は、軟磁性材料で作製されたU字形の場形成器70と、電磁コイル72とを有する誘導加熱装置68である。場形成器70は、接合軸28に対して横断方向に延びる中間部74を有する。保持装置24を接合軸28に沿って誘導加熱装置68に対して移動させることができるように、保持装置24が延びる開口部76が、中間部74内に実現される。第1のU字形リム78及び第2のU字形リム80が、中間部74の端部に配置される。U字形リム78、80の端部が、部品32の上に配置されるように設計される。この場合、保持装置24は、最初に、締結要素26が表面部分34から離間配置される位置にある。
【0060】
図6に示されるように、最初に、コイル72に第1の電流が供給される予熱ステップを実行することができる。コイル72を通って流れる電流は、磁気回路82を生成する(図6及び図7においては、黒色で、即ち力線として表される)。磁束は、磁力線がU字形リム78の一方から出てくるように、場形成器70を通り抜ける。次に、磁力線は、締結要素26又はそれに付着された接着剤30を通り抜ける第1の力線84と、部品32に入る第2の力線86とに分かれる。第2の力線86は、部品32を通って、第2のU字形リム80の端部の所まで延びる。さらに、第3の力線88が、締結要素26又は接着剤30の半径方向反対側の端部から、第2のU字形リム80の端部まで延び、これにより磁気回路82が閉じられる。
このように、コイル72に通電することによって、接着剤30の第1の温度T1までの予熱、及び部品32の表面部分34の第2の温度T2までの予熱の両方を達成することができる。
【0061】
次に図7に示されるように、締結要素26が部品32の上まで下げられるように、保持装置24が降下される。次に、コイル72は、引き続き通電されたままであり、適切な場合は増大した電流を有する。結果として、第4の力線89が、一方のU字形リムの端部から、締結要素26又は接着剤30を介し、表面部分34を介して、他方のU字形リム80まで流れる。その結果、接着剤30が第3の温度T3まで加熱され、接着剤の完全なキュアリングが行われる。
【0062】
次に、図8に示されるように、保持装置24がまず解放され、締結要素26から、接合方向とは反対に上方に引き上げられ、その後、誘導加熱装置68も、部品32から上昇させることができる。上述した接合ヘッド20は、ロボット12と組み合わせて用いることができ、又は、手動の接合装置と組み合わせて用いることもできる。
【0063】
図9に示される実施形態の場合、第1の締結要素26Aが、第1の表面部分34Aの上に接合され、次に第2の締結要素26Bが、第2の表面部分34Bの上に接合される。
【0064】
この実施形態の場合、接合ツール22及び第2の加熱手段44は、互いに独立している。図9の表現は、第1の表面部分34Aが既に適切な温度T2まで加熱された状態に基づいている。次に、第1のステップS1において、第2の加熱手段44が、第2の表面部分34Bまで移動された。その後、第2のステップS2において、接合ツール22が、適切な場合は、既に予熱された第1の締結要素26Aと共に、第1の表面部分34Aに向かって移動される。次に、第2の表面部分34Bが予熱され、実質的にこれと同時に、第1の締結要素26Aが、第1の表面部分34Aの上に接合される。次のステップS3において、次に、第2の加熱手段44が、第2の表面部分34Bから遠ざかるように移動される(例えば、第3の表面部分まで)。
【0065】
次に、接合ヘッド22は、第2の締結要素26Bを引き継ぎ(S4)、ステップS5で表されるように、第2の表面部分34Bに向けて移動される。
シーケンス全体は、第2の加熱要素44及び接合ツール22の両方の移動を制御する制御装置48により、自動化された方法で行われることが好ましい。
【0066】
異なるタイプの締結要素26が、図10乃至図12に示される。図10は、基部本体100と、これに対して移動可能であるカバー102とを有するプラスチック製クリップとして実現された締結要素26’を示す。カバー102が閉じられたとき、電線、ブレーキライン等のような品目を受けるための1つ又はそれ以上のレシーバ104が、締結要素26’内に実現される。最初は熱溶融可能であり、後に熱硬化可能な接着剤30が塗布される接着面109が、基部本体100の底面上に実現される。締結要素26’は、プラスチックから作製することができる。この場合、接着剤30は、例えばIR放射、温風等によって、例えば直接加熱される。しかしながら、締結要素26’はまた、少なくとも基部本体100内に金属粒子を含むこともできるので、この場合は同様に、基部本体100を介して、接着剤30の誘導加熱を間接的に実現することができる。
【0067】
シャンク部分106(例えば、ねじ山を設けることができる)と、フランジ部分108とを有するスタッドとして実現される締結要素26”のさらに別の実施形態が、図11及び図12に示される。接着面109が、フランジ部分108の下面上に実現される。複数の離間した突出部110が、接着面109上に設けられる。離間突出部110は、接着面109と表面部分34との間の距離を定めるので、比較的簡単な方法で、所定の力を用いて、締結要素26”を表面部分34の上に押し付け、最終的な接合位置に配置させることが可能である。離間突出部110の軸方向の長さは、接着面109に塗布される接着剤30の厚さよりも少ないことが好ましいが、図11においては、これらの値がほぼ等しい寸法で示される。
【0068】
隆起部112が、フランジ部分108の上側上に実現される。隆起部112は、第1の加熱手段38を構成する誘導加熱装置を離間配置する働きをする。しかしながら、図11の30aで示されるように、接着剤が、締結要素のシャンク106の方に向いた接着フランジの側上に塗布された場合、隆起部112を用いて、接着区域の厚さを定めることもできる。図12に示されるように、締結要素26”は、3つの離間突出部110よ、これに対応する数の隆起部112とを有することが好ましい。
締結要素26”は、例えば、金属で作製することができるが、金属粒子が内部に埋め込まれた熱硬化性プラスチックから実現することもでき、それにより、そこに塗布された接着剤30の間接的な加熱が可能になる。
【0069】
保持装置24及び第1の加熱手段38を構成し、例えば、図1乃至図8に示される接合器具の1つに組み込むように用いることができる接合ユニット91が、図13に示される。
接合ユニット91は、軸方向の貫通開口部116を有するスリーブ型場形成器70を含む。締結要素(例えば、図11及び図12の締結要素26”)を保持するために、真空118を貫通開口部116に適用することができる。この場合、シャンク部分は、その直径がシャンク部分の直径に適合される貫通開口部116内に延びる。
【0070】
次に、場形成器70は、隆起部112上に載っている。コイル72は、場形成器70の周囲に配置される。コイル72の通電時、力線が場形成器70の軸方向端部から軸方向に出てくる磁気回路が生成される。力線は、締結要素26”のフランジ部分108に入り、締結要素26”を加熱し、これにより、締結要素の下面に塗布された接着剤30を間接的に加熱する。締結要素26”が表面部分34の上に配置された後、コイル72の電流の強さを強めて、接着剤を第3の温度まで加熱することができる。
【0071】
温度センサを場形成器70の下端部に設けることができることが120で示され、このセンサを用いて、シャンク部分108におけるその後の温度を測定することができる。場形成器70内の軸方向チャネル122を介して、温度センサ120の対応する電気的接続を行うことができる。しかしながら、これに代わるものとして、温度センサ120は、光学タイプのものとすることもでき、その結果、実質的に、コイル72に影響されない光信号のみがチャネル122を介して伝送される。
隆起部112によって、場形成器70は、フランジ部分108の上側への付着を防止することができる。
【符号の説明】
【0072】
10:接合器具
12:ロボット
14:制御/エネルギー供給ユニット
16:アーム
20:接合ヘッド
22:接合ツール
24:保持装置
26、26’、26”、26A、26B:締結要素
28:接合軸
30、30a:接着剤
32:部品
34、34A、34B:表面部分
36:加熱装置
38:第1の加熱手段
40、42、46:熱伝達
44:第2の加熱手段
48:制御装置
50:ハウジング
52:分割線
53:ビード
54:空気圧手段
56:接合運動
62:ロボット・ドック
64:コネクタ
68:誘導加熱装置
70:場形成器
72:電磁コイル
74:中間部
76:開口部
78:第1のU字形リム
80:第2のU字形リム
82:磁気回路
84、86、88、89:力線
91:接合ユニット
100:基部本体
102:カバー
104:レシーバ
106:シャンク部分
108:フランジ部分
109:接着面
110:離間突出部
112:隆起部
116:貫通開口部
118:真空
120:温度センサ
122:軸方向チャネル
T1:第1の温度
T2:第2の温度
T3:第3の温度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱溶融可能かつ熱硬化可能である接着剤(30)が塗布された接着面(109)を有する締結要素(26)を、部品(32)の表面部分(34)の上に接合する方法であって、
前記接着剤(30)を第1の温度(T1)まで予熱して、前記接着剤を溶融するステップと、
前記表面部分(34)を第2の温度(T2)まで予熱するステップと、
前記接着面(109)を前記表面部分(34)の上に配置するステップと、
を含み、
前記接着面(109)を前記表面部分(34)の上に配置した後、前記接着剤(30)に第3の温度(T3)までの本加熱を施して前記接着剤を硬化させ、これにより前記締結要素(26)が前記部品(32)に恒久的に締結されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第3の温度(T3)は、前記第1の温度(T1)と等しいか、又はこれより高いことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接着剤(30)の前記予熱及び/又は前記接着剤(30)の前記本加熱は、前記締結要素(26)の加熱を含み、熱伝導(42)が、前記締結要素(26)から前記接着剤(30)内に行われることを特徴とする、請求項1〜請求項2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記締結要素(26)の前記加熱及び/又は前記部品(32)の前記予熱は、誘導加熱を含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記部品(32)の前記予熱は、熱対流及び/又は熱放射による加熱を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記接着剤(30)の前記予熱及び前記表面部分(34)の前記予熱は、時間の重なりを有した状態で行われることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記締結要素(26)は、前記予熱の前に、前記部品(32)に対して定められた空間的位置に移動されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記接着剤(30)の前記予熱及び前記表面部分の前記予熱は、連続して行われることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記表面部分(34)の前記予熱、及び、前記表面部分(34)の上への前記予熱された接着面(109)の前記配置は、前記表面部分(34)の前記予熱の完了後の所定の期間内にのみ前記配置が許容可能になるように、制御を通じてリンクされることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの第1の締結要素(26A)及び1つの第2の締結要素(26B)が、第1の表面部分(34A)及び第2の表面部分(34B)の上に接合され、前記第1の締結要素(26A)の前記本加熱、及び、前記第2の表面部分(34B)の前記予熱は、時間の重なりを有した状態で行われることを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
特に請求項1〜請求項10のいずれかに記載の方法による、熱溶融可能かつ熱硬化可能である接着剤(30)が塗布された接着面(109)を有する締結要素(26)を、部品(32)の表面部分(34)の上に接合するための接合器具(10)であって、
前記締結要素(26)を保持するための、接合軸(28)に沿って移動されるように設計された保持装置(24)と、
前記接着剤(30)及び前記表面部分(34)を加熱するように設計された少なくとも1つの加熱装置(36、38、44)と、
前記接着剤(30)を最初に予熱する前記少なくとも1つの加熱装置(36、38、44)を制御するように設計される制御装置(48)と、
を含み、次に前記保持装置(24)は、前記部品(32)の上に移動されて、前記締結要素(26)を前記表面部分(34)の上に配置し、前記少なくとも1つの加熱装置(36、38、44)は、前記接着剤を硬化させるために、最終的に、前記締結要素(26)と前記表面部分(34)との間の前記接着剤(30)を加熱するように制御されることを特徴とする接合器具。
【請求項12】
前記加熱装置(36、38、44)は、前記接着剤(30)を加熱するための第1の加熱手段(38)と、前記表面部分(32)を加熱するための第2の加熱手段(44)とを有し、前記第1の加熱手段(38)及び前記保持装置(24)は、接合ツール(22)のハウジング(50)上に配置されることを特徴とする、請求項11に記載の接合器具。
【請求項13】
前記第2の加熱手段(44)もまた、前記接合ツール(22)の前記ハウジング(50)上に配置されることを特徴とする、請求項12に記載の接合器具。
【請求項14】
前記保持装置(24)及び前記第1の加熱手段(38)によって構成されるユニット、及び/又は前記第2の加熱手段(44)は、前記接合ツール(22)上で移動可能であるように実現されることを特徴とする、請求項12〜請求項13のいずれかに記載の接合器具。
【請求項15】
前記保持装置(24)及び前記第1の加熱手段(38)によって構成された前記ユニット、並びに前記第2の加熱手段(44)は、互いに独立して移動可能であることを特徴とする、請求項12〜請求項14のいずれかに記載の接合器具。
【請求項16】
特に請求項1〜請求項10のいずれかに記載の方法と共に用いるための締結要素(26)であって、シャンク部分(106)と、前記シャンク部分(106)に隣接し、かつ、前記シャンク部分(106)よりも大きい断面積を有するフランジ部分(108)とを有し、前記フランジ部分(108)は、前記シャンク部分(106)とは反対側である側、及び/又は前記シャンク部分(106)の方に向いた側に、熱溶融可能かつ熱硬化可能である接着剤(30)が塗布された接着面(109)を有し、少なくとも1つの離間突出部(110)が前記接着面上に実現され、好ましくは、少なくとも1つの隆起部(112)が、前記接着面とは反対側である、前記フランジ部分(108)の側に実現されることを特徴とする締結要素。
【請求項1】
熱溶融可能かつ熱硬化可能である接着剤(30)が塗布された接着面(109)を有する締結要素(26)を、部品(32)の表面部分(34)の上に接合する方法であって、
前記接着剤(30)を第1の温度(T1)まで予熱して、前記接着剤を溶融するステップと、
前記表面部分(34)を第2の温度(T2)まで予熱するステップと、
前記接着面(109)を前記表面部分(34)の上に配置するステップと、
を含み、
前記接着面(109)を前記表面部分(34)の上に配置した後、前記接着剤(30)に第3の温度(T3)までの本加熱を施して前記接着剤を硬化させ、これにより前記締結要素(26)が前記部品(32)に恒久的に締結されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第3の温度(T3)は、前記第1の温度(T1)と等しいか、又はこれより高いことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接着剤(30)の前記予熱及び/又は前記接着剤(30)の前記本加熱は、前記締結要素(26)の加熱を含み、熱伝導(42)が、前記締結要素(26)から前記接着剤(30)内に行われることを特徴とする、請求項1〜請求項2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記締結要素(26)の前記加熱及び/又は前記部品(32)の前記予熱は、誘導加熱を含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記部品(32)の前記予熱は、熱対流及び/又は熱放射による加熱を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記接着剤(30)の前記予熱及び前記表面部分(34)の前記予熱は、時間の重なりを有した状態で行われることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記締結要素(26)は、前記予熱の前に、前記部品(32)に対して定められた空間的位置に移動されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記接着剤(30)の前記予熱及び前記表面部分の前記予熱は、連続して行われることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記表面部分(34)の前記予熱、及び、前記表面部分(34)の上への前記予熱された接着面(109)の前記配置は、前記表面部分(34)の前記予熱の完了後の所定の期間内にのみ前記配置が許容可能になるように、制御を通じてリンクされることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの第1の締結要素(26A)及び1つの第2の締結要素(26B)が、第1の表面部分(34A)及び第2の表面部分(34B)の上に接合され、前記第1の締結要素(26A)の前記本加熱、及び、前記第2の表面部分(34B)の前記予熱は、時間の重なりを有した状態で行われることを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
特に請求項1〜請求項10のいずれかに記載の方法による、熱溶融可能かつ熱硬化可能である接着剤(30)が塗布された接着面(109)を有する締結要素(26)を、部品(32)の表面部分(34)の上に接合するための接合器具(10)であって、
前記締結要素(26)を保持するための、接合軸(28)に沿って移動されるように設計された保持装置(24)と、
前記接着剤(30)及び前記表面部分(34)を加熱するように設計された少なくとも1つの加熱装置(36、38、44)と、
前記接着剤(30)を最初に予熱する前記少なくとも1つの加熱装置(36、38、44)を制御するように設計される制御装置(48)と、
を含み、次に前記保持装置(24)は、前記部品(32)の上に移動されて、前記締結要素(26)を前記表面部分(34)の上に配置し、前記少なくとも1つの加熱装置(36、38、44)は、前記接着剤を硬化させるために、最終的に、前記締結要素(26)と前記表面部分(34)との間の前記接着剤(30)を加熱するように制御されることを特徴とする接合器具。
【請求項12】
前記加熱装置(36、38、44)は、前記接着剤(30)を加熱するための第1の加熱手段(38)と、前記表面部分(32)を加熱するための第2の加熱手段(44)とを有し、前記第1の加熱手段(38)及び前記保持装置(24)は、接合ツール(22)のハウジング(50)上に配置されることを特徴とする、請求項11に記載の接合器具。
【請求項13】
前記第2の加熱手段(44)もまた、前記接合ツール(22)の前記ハウジング(50)上に配置されることを特徴とする、請求項12に記載の接合器具。
【請求項14】
前記保持装置(24)及び前記第1の加熱手段(38)によって構成されるユニット、及び/又は前記第2の加熱手段(44)は、前記接合ツール(22)上で移動可能であるように実現されることを特徴とする、請求項12〜請求項13のいずれかに記載の接合器具。
【請求項15】
前記保持装置(24)及び前記第1の加熱手段(38)によって構成された前記ユニット、並びに前記第2の加熱手段(44)は、互いに独立して移動可能であることを特徴とする、請求項12〜請求項14のいずれかに記載の接合器具。
【請求項16】
特に請求項1〜請求項10のいずれかに記載の方法と共に用いるための締結要素(26)であって、シャンク部分(106)と、前記シャンク部分(106)に隣接し、かつ、前記シャンク部分(106)よりも大きい断面積を有するフランジ部分(108)とを有し、前記フランジ部分(108)は、前記シャンク部分(106)とは反対側である側、及び/又は前記シャンク部分(106)の方に向いた側に、熱溶融可能かつ熱硬化可能である接着剤(30)が塗布された接着面(109)を有し、少なくとも1つの離間突出部(110)が前記接着面上に実現され、好ましくは、少なくとも1つの隆起部(112)が、前記接着面とは反対側である、前記フランジ部分(108)の側に実現されることを特徴とする締結要素。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2013−505343(P2013−505343A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530198(P2012−530198)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062268
【国際公開番号】WO2011/036008
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(504075577)ニューフレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー (117)
【出願人】(591006586)アウディ アクチェンゲゼルシャフト (34)
【氏名又は名称原語表記】AUDI AG
【住所又は居所原語表記】D−85045 Ingolstadt,Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062268
【国際公開番号】WO2011/036008
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(504075577)ニューフレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー (117)
【出願人】(591006586)アウディ アクチェンゲゼルシャフト (34)
【氏名又は名称原語表記】AUDI AG
【住所又は居所原語表記】D−85045 Ingolstadt,Germany
【Fターム(参考)】
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