説明

接合装置及び接合方法

【課題】 プラズマ処理等の高エネルギの照射に不向きな対象物の金属接合を実現する。
【解決手段】 接合装置は、回路基板にプラズマ洗浄処理を行うプラズマ処理装置、部品供給装置により搬送される複数の電子部品に紫外線を照射する紫外線照射装置、及び、回路基板に電子部品を接合する接合ヘッドを備える。紫外線洗浄処理が施された電子部品の金属部とプラズマ洗浄処理が施された回路基板の金属部とを互いに接触させた状態で電子部品に超音波振動が付与されることにより、金属接合による電子部品の回路基板に対する実装が行われる。電子部品がプラズマ洗浄処理等の高エネルギの照射に不向きな種類であっても金属部の表面の洗浄を行うことが可能となり、電子部品を金属接合により強固に実装することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物同士を接合する接合装置および接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物同士を接合する装置では様々な接合方法が利用されており、金属部を有する対象物同士を比較的低温にて接合する方法の1つとして、金属部にプラズマを照射し、吸着物質の除去、表面の活性化等の洗浄を施した上で金属部同士を接合する方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、プリント基板等の回路基板に電子部品を実装する装置において、回路基板の電極にプラズマを照射して洗浄した上で電子部品の電極と接合する技術が提案されており、特許文献2では、2つのICチップのアルミ電極上に形成された金スタッドバンプにプラズマによる洗浄処理を施し、バンプ表面の汚れを除去した後に互いのバンプ同士を加熱状態にて加圧して接合する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−60602号公報
【特許文献2】特開2002−368039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来におけるプラズマを用いて電子部品と回路基板との接合を行う装置では、減圧状態とされた処理空間において高周波電圧を印加することにより発生させたプラズマを、電子部品または回路基板に照射して電極の洗浄処理が行われる。このため、回路基板に接合(実装)される電子部品が、プラズマ処理等の高エネルギの照射に不向きな電子部品である場合には、プラズマ等による洗浄処理により電子部品が損傷する恐れがあるという問題がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、対象物同士の接合において、当該対象物がプラズマ処理等の高エネルギの照射に不向きな対象物であっても、その表面の洗浄処理を確実に行って金属接合を実現することができる接合装置及び接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0007】
本発明の第1態様によれば、第1の対象物の第1金属部と第2の対象物の第2金属部とを接合する接合装置において、
上記第1の対象物の上記第1金属部に紫外線を照射して、当該第1金属部の表面より接合阻害物質の除去を行う紫外線照射部と、
上記紫外線照射部により上記接合阻害物質の除去が行われた上記第1金属部と、上記第2金属部とを互いに接触させながら、当該第1金属部又は第2金属部に超音波振動又は熱を付与して金属接合を行う金属接合部とを備えることを特徴とする接合装置を提供する。
【0008】
本発明の第2態様によれば、上記第2の対象物の上記第2金属部にエネルギ波を照射して、当該第2金属部の表面より接合阻害物質の除去を行うエネルギ波照射部をさらに備え、
上記金属接合部は、上記紫外線照射部により上記接合阻害物質の除去が行われた上記第1金属部と、上記エネルギ波照射部により上記接合阻害物質の除去が行われた上記第2金属部とを互いに接触させながら上記金属接合を行う第1態様に記載の接合装置を提供する。
【0009】
本発明の第3態様によれば、上記紫外線照射部による上記第1金属部に対する紫外線の照射が大気雰囲気中において行われる第1態様又は第2態様に記載の接合装置を提供する。
【0010】
本発明の第4態様によれば、上記紫外線照射部による上記第1金属部に対する紫外線の照射が酸素濃度10%以下の低酸素雰囲気中において行われる第1態様又は第2態様に記載の接合装置を提供する。
【0011】
本発明の第5態様によれば、上記紫外線照射部及び上記金属接合部がその内部に配置され、当該内部空間を密閉可能なチャンバと、
当該チャンバ内空間を減圧する減圧装置とを備え、
上記紫外線照射部による上記第1金属部に対する紫外線の照射が減圧環境において行われる第1態様又は第2態様に記載の接合装置を提供する。
【0012】
本発明の第6態様によれば、上記紫外線照射部は、紫外線発生源として、160〜180nmの範囲の波長の紫外線を照射するエキシマ紫外線ランプを備える第1態様から第5態様のいずれか1つに記載の接合装置を提供する。
【0013】
本発明の第7態様によれば、その搬送方向に沿って配列された上記第1の対象物を当該搬送方向に沿って搬送して、当該それぞれの第1の対象物を上記金属接合部に供給する部品供給装置をさらに備え、
上記紫外線照射部において、上記エキシマ紫外線ランプが上記搬送方向に沿って配置され、
上記それぞれの第1の対象物の上記第1金属部の表面に対して、上記エキシマ紫外線ランプにより上記紫外線が照射されながら、上記部品供給装置により当該それぞれの第1の対象物の上記金属接合部への供給位置に搬送される第6態様に記載の接合装置を提供する。
【0014】
本発明の第8態様によれば、上記部品供給装置は、
複数の上記第1の対象物が配列されて収容されたテープ状部品供給部材を巻き回して保持するリール部と、
当該リール部より上記エキシマ紫外線ランプに沿って上記テープ状部品供給部材を送り出し、上記金属接合部への上記供給位置へ搬送するテープ状部材搬送部とを備える第7態様に記載の接合装置を提供する。
【0015】
本発明の第9態様によれば、上記部品供給装置は、
複数の上記第1の対象物が配列されて収容された複数のリードフレームを、上記エキシマ紫外線ランプに沿って上記金属接合部への上記供給位置へ搬送するリードフレーム搬送部を備える第7態様に記載の接合装置を提供する。
【0016】
本発明の第10態様によれば、上記部品供給装置は、
複数の上記第1の対象物が配列されて収容された部品供給トレイを、上記エキシマ紫外線ランプに沿って上記金属接合部への上記供給位置へ搬送するトレイ搬送部を備える第7態様に記載の接合装置を提供する。
【0017】
本発明の第11態様によれば、上記エネルギ照射部は、上記エネルギ波としてプラズマを照射することで、上記第2の対象物の上記第2金属部の表面より上記接合阻害物質の除去を行う第1態様から第10態様のいずれか1つに記載の接合装置を提供する。
【0018】
本発明の第12態様によれば、上記第1の対象物が、上記第1金属部として電極部を有する半導体発光素子であり、
上記第2の対象物が、上記第2金属部として基板電極を有する回路基板である第1態様から第11態様のいずれか1つに記載の接合装置を提供する。
【0019】
本発明の第13態様によれば、第1の対象物の第1金属部と第2の対象物の第2金属部とを接合する接合方法において、
上記第2の対象物の上記第2金属部にエネルギ波を照射して、当該第2金属部の表面より接合阻害物質の除去を行うとともに、上記第1の対象物の上記第1金属部に紫外線を照射して、当該第1金属部の表面より接合阻害物質の除去を行い、
その後、上記接合阻害物質の除去が行われた上記第1金属部と上記第2金属部とを互いに接触させながら、当該第1金属部又は第2金属部に超音波振動又は熱を付与して金属接合を行うことを特徴とする接合方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明よれば、プラズマ処理等の高エネルギの照射に不向きな対象物であっても、当該対象物に対して紫外線洗浄処理を施して、その表面に付着している接合阻害物質の除去を行うことで清浄面を露呈させ、当該清浄面を接合することで金属接合を実現することができる。それとともに、当該対象物に対しては紫外線の照射による洗浄処理を行うため、従来のプラズマ処理設備等と比べて簡素化された構造の接合装置を提供することができる。また、低酸素雰囲気や減圧雰囲気中にて紫外線洗浄処理を行うことにより、上記対象物に対する洗浄処理の質を向上させることができる。
【0021】
また、上記対象物が供給位置へと搬送される過程において、上記紫外線洗浄処理を行うことにより、接合動作を効率的なものとすることができるとともに、装置構成を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態にかかる接合装置の一例である接合装置501の模式構成図を図1に示す。接合装置501は、第1の対象物の一例である電子部品1を、第2の対象物一例である回路基板2における所定の位置に接合して、回路基板2への電子部品1の実装を行う装置である。なお、接合装置501は、部品実装装置501であるということもできる。
【0024】
図1に示すように、接合装置501は、複数の電子部品1が供給可能に配置された部品トレイ503を複数収容する部品マガジン504と、部品マガジン504から選択的に取り出された部品トレイ503を装置架台505上に配置された部品供給ステージ506上に配置させるように搬送する部品搬送部の一例であるトレイ搬送装置507とが備えられている。また、接合装置501は、それぞれの電子部品1が接合されて実装される回路基板2を複数枚収容する基板マガジン508と、回路基板2を解除可能に保持するとともに、当該保持された状態にて回路基板2への電子部品1の接合動作が行われる基板ステージ509と、基板マガジン508に収容されている回路基板2を基板ステージ509上に載置可能に搬送する図示しない基板搬送装置とを備えている。なお、本第1実施形態の接合装置501においては、部品マガジン504、トレイ搬送装置507、及び部品供給ステージ506により、電子部品1の接合のための供給を行う部品供給装置510が構成されている。
【0025】
さらに、図1に示すように、接合装置501には、電子部品1を解除可能に吸着保持する吸着ノズル511を備え、回路基板2に対する電子部品1の接合動作を行う接合ヘッド512と、この接合ヘッド512を回路基板2の大略表面沿いの方向である図示Y軸方向に進退移動させるヘッド移動装置513と、上記大略表面沿いの方向であってY軸方向と直交する方向であるX軸方向に基板ステージ509を進退移動させる基板移動装置514とが備えられている。なお、ヘッド移動装置513や基板移動装置514は、ボールネジ軸機構等を用いて構成することができ、例えば、ヘッド移動装置513は、接合ヘッド512に固定された図示しないナット部と螺合され、接合ヘッド512のY軸方向の移動を案内するヘッド移動ガイド513aと、このヘッド移動ガイド513aをその軸心回りに回転駆動させることで上記ナット部の移動を駆動するモータ513bとを備えている。なお、吸着ノズル511は、中心部に真空吸引用の吸引路を有しており、先端に形成された吸引口から吸引を行うことにより、電子部品1の吸着保持を行うことが可能となるとともに、当該吸引を停止することにより吸着保持の解除を行うことが可能となっている。
【0026】
また、接合ヘッド512は、図示Z軸方向に沿って吸着ノズル511を昇降させる昇降装置515と、ホーン516を介して吸着ノズル511に超音波振動を付与する発振部である超音波振動子517を備えている。
【0027】
また、接合装置501には、部品供給ステージ506上に配置された部品トレイ503に収容されている電子部品1を(+Z)軸側から吸着して保持する供給コレット521と、この供給コレット521を180度回転して吸着保持されている電子部品1を反転させる回転装置522と、供給コレット521をZ軸方向に移動(昇降)させるコレット昇降装置523とを有する反転装置520が備えられている。この反転装置520は、部品トレイ503に配置収容されている電子部品1を吸着保持して取り出すとともに、この電子部品1を上下反転させて、当該反転させた姿勢にて接合ヘッド512の吸着ノズル511へ受け渡す役割を担っている。
【0028】
さらに、図1に示すように、接合装置501には、基板ステージ509により保持された回路基板2における電子部品1が接合される位置(接合位置)を認識する認識カメラ518が備えられている。この認識カメラ518は、図示しない移動装置により吸着ノズル511の下方へと移動され、吸着ノズル511により吸着保持された電子部品1の画像を撮像することにより当該電子部品1の吸着保持姿勢を認識することが可能となっている。また、上記画像の撮像を行わない場合には、上記移動装置により回路基板2の上方から退避された位置に移動される。
【0029】
ここで、接合装置501において取り扱われる電子部品1及び回路基板2の構成について図2及び図3の模式断面図を用いて説明する。図2に示すように、電子部品1の図示下面には、複数の電極パターン1aが形成されており、それぞれの電極パターン1aには第1金属部の一例である電極部として金(Au)バンプ1bが形成されている。なお、この金バンプ1bは、ボールバンプやメッキバンプとして形成することができる。また、本第1実施形態においては、金バンプ1bが形成されているような場合について説明するが、その形成材料は金のみに限定されるものではなく、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)等の金属が用いられるような場合であってもよい。また、図3に示すように、回路基板2におけるそれぞれの電子部品1が接合される側の表面には、それぞれの電子部品1の電極パターン1aの配置と合致するように、第2金属部の一例である複数の基板電極2aが、例えば金(Au)により形成されている。なお、回路基板2の基板電極2aの形成材料は、金により形成される場合のみならず、電子部品1と同様に様々な金属材料により形成することができる。また、このような電子部品1としては、比較的熱に弱いという特性を有する電子部品、例えば、LEDチップ、半導体ベアチップ部品、SAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルタ等の電子部品が用いられ、例えば、長さ2mm×幅2mm程度の大きさを有する比較的小型の電子部品が用いられる。
【0030】
また、図1に示すように、接合装置501には、回路基板2におけるそれぞれの基板電極2aに対してエネルギ波の一種であるプラズマを照射して、それぞれの基板電極2aの表面の洗浄処理を行うプラズマ処理装置524(エネルギ照射部の一例である)が、基板マガジン508と基板ステージ509との間における装置架台505上に備えられている。プラズマ処理装置524は、密閉可能であって、プラズマ処理の対象とされる回路基板2が配置されるプラズマ処理空間をその内側に有するプラズマ処理室525と、プラズマ処理室525内に配置されて、プラズマ処理室525内への回路基板2の搬入、及びプラズマ処理が施された回路基板2の基板ステージ509への搬出を行う基板搬出入ガイド部526とを備えている。なお、図1においては図示しないが、プラズマ処理装置524には、プラズマ処理空間においてプラズマを発生させるために必要な装置が備えられており、また、プラズマ処理室525内への回路基板2の搬入、及び搬出を行うための開閉可能な開口部が設けられている。
【0031】
このようなプラズマ処理装置524において、プラズマ処理空間内に配置された回路基板2に対して、プラズマを照射することにより、プラズマが有する物理的なエネルギをそれぞれの基板電極2aの表面に衝突させて、当該それぞれの表面に吸着されている接合阻害物質を除去することができる。このようなプラズマの照射による接合阻害物質の除去をプラズマ洗浄処理という。また、このようなプラズマ処理は、プラズマ処理室525を減圧雰囲気とした状態にて行われる。なお、接合装置501においては、回路基板2は、それぞれの基板電極2aが形成されている側の面を図示上面とした状態にて取り扱われる。
【0032】
また、図1に示すように、接合装置501には、部品供給トレイ503に収容配置された状態のそれぞれの電子部品1の金バンプ1bに対して、紫外線を照射することで、それぞれの金バンプ1bの表面に吸着している接合阻害物質の除去を行う紫外線照射装置527が備えられている。紫外線照射装置527は、上記紫外線として、160〜180nmの範囲の波長を有する紫外線、例えば172nmの波長を有する紫外線を照射する紫外線発生源としてエキシマ紫外線ランプ528を備えている。また、このエキシマ紫外線ランプ528は、部品供給装置510におけるトレイ搬送装置507による部品トレイ503の搬送方向(Y軸方向)に沿って延在するように配置されている。なお、このエキシマ紫外線ランプ528は、例えば、直径約20mmの円柱形状の断面を有する長い棒状形状を有しており、トレイ搬送装置507又は部品供給ステージ506上に配置された部品トレイ503に収容配置されているそれぞれの電子部品1の上面より、約1mmの間隔を空けて上方に配置されている。
【0033】
紫外線照射装置527がこのような構成を有することにより、部品供給装置510において、部品トレイ503により搬送されるそれぞれの電子部品1の金バンプ1bに対して、エキシマ紫外線ランプ528より出射される紫外線を照射して、それぞれの金バンプ1bの表面に吸着している接合阻害物質の除去を行い、当該表面より清浄面を露呈させる処理、すなわち紫外線洗浄処理を行うことができる。従って、部品供給ステージ506上に載置された状態において、部品トレイ503上に収容配置されているそれぞれの電子部品1は上記紫外線洗浄処理が施された状態とすることができる。なお、このような紫外線洗浄処理を行うために、部品トレイ503においては、それぞれの金バンプ1bが形成されている側の表面(回路基板2に対向して接合される側の面であり、以下、「接合面」という。)を図示上面とした状態にて、それぞれの電子部品1が収容配置されている。
【0034】
また、図1に示すように、接合装置501には、それぞれの構成部の動作制御を、互いの動作を関連付けながら統括的に行う制御装置519が備えられている。制御装置519は、例えば、吸着ノズル511により吸着保持される電子部品1のデータや、回路基板2におけるそれぞれの接合位置のデータ、さらに、電子部品1や回路基板2に対する紫外線の照射時間やその後の接合処理の時間などのデータが予め入力されており、これらのデータに基づいて、接合処理に対する統括的な制御を行うことが可能となっている。
【0035】
次に、このような構成を有する接合装置501を用いて、回路基板2における所定の接合位置に電子部品1の接合(実装)を行う接合動作の具体的な手順について、図4に示すフローチャート及び図5〜図10に示す接合装置501の模式説明図を用いて以下に説明する。なお、以下に説明するそれぞれの動作は、接合装置501が備える制御装置519により互いの動作が関連付けられながら統括的に行われる。
【0036】
まず、図4のフローチャートのステップS11において、接合装置501にて、部品マガジン504から所定の部品トレイ503が取り出され、トレイ搬送装置507により搬送されて部品供給ステージ506の上方に配置される。それとともに、当該搬送の過程において、部品トレイ503上に収容配置されているそれぞれの電子部品1が紫外線照射装置527のエキシマ紫外線ランプ528の下方を通過する際に、エキシマ紫外線ランプ528より出射される波長約172nmの紫外線が、それぞれの電子部品1の接合面に照射、すなわちそれぞれの金バンプ1bの表面に照射される。
【0037】
この紫外線の照射により、紫外線エネルギによって電子部品1の金バンプ1b(金属部)の表面に付着している有機物等の不要物質が除去され、さらに、当該金属部表面の励起や表面極近傍における吸着物質の除去等の改質が行われ、電子部品1の金バンプ1bに対して紫外線洗浄処理が行われる。このような金属部表面の吸着物質は、例えば、表面から7〜10nm程度の厚さで吸着している炭素(C)等の接合阻害物質(金属接合を阻害する不要な物質)であり、紫外線のエネルギにより原子同士の結合が切断され、あるいは、紫外線エネルギにより生成された酸素ラジカルにより一酸化炭素や二酸化炭素等に酸化されてガス化されることにより除去される。
【0038】
なお、紫外線洗浄処理時におけるエキシマ紫外線ランプ528と、金属部表面との間の距離は、紫外線の減衰を抑制して洗浄処理の質を向上させるという観点からは、1mm以下とすることが好ましい。例えば、当該距離が50mm程度もあるような場合にあっては、金属部表面に照射される紫外線エネルギは略完全に減衰されることとなってしまい、紫外線洗浄処理を行うことができなくなってしまう。また、この紫外線洗浄処理は、所定の強度の紫外線を所定時間照射することにより行われる、すなわち、所定のエネルギ量が金属部表面に付与されることにより行われるため、トレイ搬送装置507による搬送速度は、エキシマ紫外線ランプ528の長さや照射される紫外線の強度等を考慮して決定することが好ましい。なお、このように紫外線洗浄処理が施された電子部品1を収容配置する部品トレイ503が部品供給ステージ506上に載置された状態が、図1に示す接合装置501の状態である。
【0039】
次に、ステップS12において、電子部品1を吸着保持する供給コレット521が、回転装置522により180度回転されて反転され、部品トレイ503の上方に移動されて、さらに、コレット昇降装置523により供給コレット521が下降されて、一の電子部品1の接合面を供給コレット521により吸着保持する。接合装置501において、このような状態が図5に示す状態である。
【0040】
その後、コレット昇降装置523により電子部品1を吸着保持した状態の供給コレット521が上昇され、回転装置522により供給コレット521が反転される(ステップS13)。その結果、供給コレット521により吸着保持されている電子部品1の接合面が、上下反転され、図示下面側に配置された状態となる。接合装置501において、このような状態が図6に示す状態である。
【0041】
次に、反転された状態の供給コレット521と、接合ヘッド512における吸着ノズル511との位置合わせが、ヘッド移動装置513により接合ヘッド512の移動が行われることにより行われる。当該位置合わせが完了した後、接合ヘッド512の昇降装置515により吸着ノズル511が僅かに下降されて、供給コレット527により吸着保持された状態の電子部品1が吸着ノズル511によっても吸着保持され、さらに、供給コレット527による吸着保持が解除されることにより、電子部品1が吸着ノズル511に受け渡される(ステップS14)。その後、昇降装置515により電子部品1を吸着保持した状態の吸着ノズル511が僅かに上昇される。接合装置501におけるこの状態が図7に示す状態である。
【0042】
一方、図7に示すように、プラズマ処理装置524において、基板搬出入ガイド526により、基板マガジン508から1枚の回路基板2が取り出されて、図示しない開口部を通してプラズマ処理室525内に配置される(ステップS21)。その後、上記開口部を閉止してプラズマ処理室525を密閉するとともに、プラズマ処理室525内の空間の減圧を開始する。なお、このような減圧は、例えば図示しない真空ポンプ等を用いて行うことができる。また、このようなプラズマ処理室525内において回路基板2がプラズマ処理のために配置される位置をプラズマ処理位置というものとする。このような状態を示すのが図7に示す模式説明図である。
【0043】
その後、プラズマ処理装置524においては、回路基板2に対するプラズマ洗浄処理が開始される(ステップS22)。具体的には、プラズマ処理室525において、約1Paまで減圧され、アルゴン(Ar)ガス等の処理ガスが供給されて処理空間が所定の減圧雰囲気とされる。このとき、処理空間の圧力は約10Paとされる。続いて、処理空間内の処理ガスに高周波電圧が印加されてプラズマが発生し、処理空間内に収容された回路基板2にプラズマが照射される。このプラズマの照射により、回路基板2のそれぞれの基板電極2aの表面に付着している水、有機物等の接合阻害物質が除去され、さらに、紫外線洗浄よりも強いエネルギで、基板電極表面の励起や表面極近傍における吸着物質(例えば、表面から10nm程度の厚さに渡って吸着している炭素(C)や酸素(O)等の接合阻害物質)の除去等の改質が行われ、回路基板2の基板電極2aに対するいわゆるプラズマ洗浄処理が行われる。
【0044】
その後、プラズマ洗浄処理が完了すると、プラズマ処理室525の処理空間が大気圧に開放され、図示しない開口部が開放され、基板搬入出ガイド526により当該開口部を通して回路基板2が搬出されて、基板ステージ509上に配置される。このように配置された回路基板2は、基板ステージ509により保持される(ステップS23)。
【0045】
一方、吸着ノズル511に電子部品1が受け渡された後、ヘッド移動装置513により接合ヘッド512が基板ステージ509の上方へと移動される(ステップS15)。基板ステージ509の上方では、予め待機されている認識カメラ518により電子部品1の画像が撮像され、当該電子部品1の吸着保持姿勢が認識される。この認識結果に基づいて、吸着ノズル511による電子部品の吸着保持姿勢が補正される。
【0046】
それとともに、あるいは、その後、ヘッド移動装置513により接合ヘッド512が図示Y軸方向に移動され、また、基板移動装置514により基板ステージが図示X軸方向に移動されて、電子部品1と回路基板2における接合位置(あるいは実装(装着)位置)との位置合わせが行われる。接合装置501におけるこの状態が図8に示す状態である。
【0047】
その後、図9に示すように、認識カメラ518が回路基板2の上方より退避された位置に移動され、接合ヘッド512における昇降装置515により吸着ノズル511が下降され、回路基板2の上記接合位置において、回路基板2に対して電子部品1が押圧される。続いて、超音波振動子517によりホーン516及び吸着ノズル511を介して電子部品1及びその金バンプ1bに超音波振動が付与されることにより、電子部品1の金バンプ1bと回路基板2の基板電極2aとが、大気中にて金属接合される。この結果、電子部品1が回路基板2に電気的に接合(すなわち、実装)される。
【0048】
この接合装置501においては、電子部品1の金バンプ1b(金属部)の表面に対して紫外線洗浄処理が施され、回路基板2の基板電極2a(金属部)の表面に対してプラズマ洗浄処理が施されているため、両金属部表面において接合阻害物質が除去されて露呈された清浄面同士が接合されることとなる。従って、当該両金属部間において、金属原子同士の原子間力による強い結合が生じ、電子部品1が回路基板2に強固に接合されることとなる。
【0049】
その後、図10に示すように、吸着ノズル511による電子部品1の吸着保持が解除され、接合ヘッド512の昇降装置515により吸着ノズル511が上昇され、回路基板2に接合された電子部品1より離間される。なお、回路基板2において、さらに別の電子部品1が接合されるような場合にあっては、上述のステップS12からS16までのそれぞれの動作が順次行われることにより、当該電子部品1が回路基板2における別の接合位置に接合されることとなる。その後、回路基板2への全ての電子部品1の接合が完了すると、基板ステージ509による回路基板2の保持が解除されて、図示しない搬送装置等により電子部品1が接合された回路基板2が、基板ステージ509より搬出される。なお、本第1実施形態においては、超音波振動子517、ホーン516、及び昇降装置515により、上記両金属部の金属接合を行う金属接合部が構成されている。
【0050】
ここで、エキシマ紫外線ランプ528よりの紫外線の照射による紫外線洗浄処理について、さらに詳細に説明する。当該説明にあたって、金バンプ1bや基板電極2a等の金属部表面(Au表面)の状態の原子レベルでの拡大模式図として、紫外線洗浄処理前の状態を図11に示し、当該紫外線洗浄処理後の状態を図12に示す。なお、図11及び図12においては、Au原子(原子半径=0.144nm)をAuと示し、水素原子(原子半径=0.037nm)をHと示し、炭素原子(原子半径=0.077nm)をCと示し、酸素原子(原子半径=0.061nm)をOと示している。
【0051】
図11に示すように、Au表面には原子間力により、自然な状態にて接合阻害物質のコンタミネーションが存在している。具体的には、Au表面近傍においては、水素原子、炭素原子、及び酸素原子等の様々な原子が接合阻害物質として吸着されたり剥離されたりしており、原子間力(分子間力)が及ぶ範囲であるAu表面より7〜10nmの範囲においては、吸着及び剥離が平衡状態となることにより、上記それぞれの原子(あるいは分子)が結合されて接合阻害物質として吸着された状態となっている。このような状態にAu表面に対して、紫外線洗浄処理として紫外線を照射、例えば、波長172nm、エネルギ721kJ/molの紫外線を照射することにより、原子間の結合を分解させて、Au表面より除去することができる。このように接合阻害物質が除去された状態が図12に示す状態である。図12に示すように、紫外線洗浄処理が行われることにより、Au表面においては、7〜10nmの範囲において存在していたほとんどの水素原子、炭素原子、及び酸素原子が除去されており、当該Au表面より部分的にAu原子が露呈、あるいはより露呈に近い状態とされ、清浄面が露呈された状態となっている。このようにAu表面より接合阻害物質が除去されて清浄面が露呈された状態においては、よりAu原子同士の金属接合を強固に行い易い状態となっている。従って、当該清浄面同士を接触させることにより、より強固な金属接合を実現することが可能となる。
【0052】
また、ここで紫外線洗浄処理の効果を示すデータとして、紫外線洗浄処理時間(紫外線照射時間、横軸)と、金属接合における接合強度(縦左軸)と、金属部表面に付着している炭素(C)量(縦右軸)との関係を示すグラフを図13に示す。図13に示すように、10秒程度の紫外線洗浄処理によって、金属接合における接合強度が大幅に向上するとともに、金属部表面に付着している炭素濃度を大幅に低減させることができることが判る。
【0053】
また、このような紫外線洗浄処理を実施後、そのまま洗浄された金属部表面を放置しておくと、時間の経過とともに接合阻害物質の再吸着が進行し、例えば、5〜10分程度経過すれば、金属部表面の状態は洗浄前の状態へと戻ってしまうこととなる。従って、紫外線洗浄処理の実施後、3分程度以内に金属接合を実施することが好ましく、2分以内に実施することがより好ましい。
【0054】
なお、上述の本第1実施形態の接合装置501における接合方法の説明においては、接合ヘッド512に昇降装置515が備えられ、昇降装置515により吸着ノズル511が上昇又は下降されることにより、基板ステージ509に対して吸着ノズル511が相対的に近接又は離間されるような構成について説明したが、本第1実施形態はこのような構成についてのみ限定されるものではない。このような場合に代えて、例えば、基板ステージ509を上昇又は下降させるような構成が採用されるような場合であってもよい。
【0055】
また、接合ヘッド512において超音波振動子517が備えられるような構成について説明したが、このような構成についてのみ限定されるものではなく、例えば、基板ステージ509に超音波振動子が備えられ、基板ステージ509を介して超音波振動が回路基板2の基板電極2aに付与されるような構成を採用することもできる。
【0056】
また、部品トレイ503上に収容配置された電子部品1の接合面に対して、紫外線洗浄処理が施された後、当該接合面を反転装置520の供給コレット521により吸着保持するような電子部品1の取り出し動作について説明したが、供給コレット521による電子部品1の吸着保持の際に、洗浄処理された上記接合面の汚染を防止するため、供給コレット521の構造を図14の模式構成図に示すような構造とすることもできる。具体的には、図14に示すように、供給コレット521における電子部品1の吸着端部521aに凹部521bを形成して、吸着端部521aと電子部品1の接合面との接触面積を必要最小限度に減らすような構成を採用することができる。
【0057】
以上に説明したように、接合装置501では、電子部品1の金バンプ1bに対する洗浄処理が紫外線照射により行われた後、回路基板2の基板電極2aに接触した電子部品1の金バンプ1bに超音波が付与されることにより、電子部品1が回路基板2に実装される。このため、電子部品1がプラズマ洗浄処理等の高エネルギの照射に不向きな種類(すなわち、高エネルギの照射により損傷する恐れがある種類)であっても金バンプ1bの表面の洗浄を行うことが可能とされ、電子部品1を金属接合により強固に実装することができる。特に、接合装置501は、耐電圧が低くプラズマ等の照射により損傷の恐れがある発光ダイオードのベアチップ(いわゆる、LEDの光軸チップ)等の半導体発光素子の金属接合による実装に適している。
【0058】
また、電子部品1の金バンプ1bに対する紫外線洗浄処理が大気雰囲気中にて行われるため、電子部品1の洗浄処理を行うためのチャンバ等の構成を省略して、接合装置501の構造をより簡素化することができる。
【0059】
また、接合装置501では、紫外線発生源としてエキシマ紫外線ランプ528が用いられていることにより、当該ランプ528より非常に短い波長の紫外線(すなわち、エネルギが高い紫外線)を照射することができ、吸着物(接合阻害物質)の除去効率を低下させるオゾン(O)の発生を抑制することができるとともに、酸素ラジカルを効率的に生成することができるため、金属部表面に対する紫外線洗浄処理を効率的に行うことができる。また、エキシマ紫外線ランプ528は、部品トレイ503の搬送方向に沿って延在するように長い棒状の形状を有し、かつ、搬送途中の電子部品1に近接するように配置されているため、電子部品1を搬送しつつ効率的に紫外線を照射することができる。その結果、紫外線洗浄処理完了直後(好ましくは、洗浄処理後10秒以内)の電子部品1を順次接合することができるため、大気中における金属接合による実装において、金属部表面への接合阻害物質の再吸着を抑制して電子部品1を確実に実装することができるとともに、効率の良い電子部品1の実装によりサイクルタイムを短縮することもできる。特に、電子部品1の搬送過程において、紫外線の照射を行うという構成は、紫外線洗浄処理と電子部品の搬送とを並行して行うことができるため、効率的な接合動作の実現に大きく寄与することとなる。
【0060】
一方、接合装置501においては、電子部品1に比べて比較的高エネルギの付与により損傷を受け難いという特性を有する回路基板2に対しては、プラズマ処理装置524によりプラズマ洗浄処理を施して確実な洗浄を行うことができる。
【0061】
さらに、接合装置501では、紫外線及びプラズマによる洗浄処理を行わない通常の超音波接合と比べて、電子部品1及び回路基板2のそれぞれの金属部の接合性が向上されるため、吸着ノズル511に付与される超音波振動(超音波エネルギ)を小さくすることができる。その結果、吸着ノズル511のメンテナンス頻度を低減することができる。
【0062】
(第2実施形態)
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本発明の第2の実施形態にかかる接合装置の一例である接合装置(部品実装装置)601の構成を示す模式構成図を図15に示す。図15に示すように、接合装置601は、供給されるそれぞれの電子部品1を回路基板2の接合位置に順次実装する装置であり、上記第1実施形態の接合装置501と比べて、電子部品1の供給形態が異なっている。ただし、その他の構成については、上記第1実施形態の接合装置501と実質的には同様であり、実質的に同じ構成を有する部分には、同じ参照番号を付してその説明を省略するものとする。
【0063】
図15に示すように、接合装置601は、回路基板2にエネルギ波の一種であるプラズマを照射して洗浄処理を行うプラズマ処理装置524、プラズマ処理装置524への回路基板2の搬入及び搬出を行う基板搬送装置640、回路基板2を保持する基板ステージ509、基板ステージ509に保持された回路基板2に対する電子部品1の電気的接合を行う接合ヘッド512、図示Y方向に配列された複数の電子部品1を保持しながら、(−Y)軸方向へと搬送して反転装置520及び接合ヘッド512に供給する部品供給装置610、並びに、部品供給装置610に保持された複数の電子部品1に紫外線を照射する紫外線照射装置527を備える。
【0064】
プラズマ処理装置524は、プラズマを発生する処理空間を形成するプラズマ処理室525を備えており、さらにプラズマ処理室525の(+Y)軸側には回路基板2を搬出入する開口525aが設けられている。基板搬送装置640は、回路基板2を保持して水平方向に移動するアーム641を備えている。
【0065】
図16は、吸着ノズル511を部分的に拡大して示す図である。吸着ノズル511は、中心部に真空吸引用の吸引路631を備え、先端に形成された吸引口から吸引を行うことにより電子部品1を吸着して保持する。吸着ノズル511には、ホーン516を介して吸着ノズル511に超音波振動を付与する発振部である超音波振動子517が取り付けられる。吸着ノズル511、ホーン516及び超音波振動子517は、ブロック632を介してシャフト633に取り付けられており、昇降機構515(図15参照)によりシャフト633がZ方向に移動することにより、吸着ノズル511を昇降させることが可能となっている。
【0066】
部品供給装置610は、複数の電子部品1を保持するとともにその長手方向をY軸方向として供給されるテープ部材605(テープ状部品供給部材の一例である)、接合ヘッド512及び紫外線照射装置527の(+Y)軸側および(−Y)軸側でテープ部材605の端部をそれぞれ保持する供給リール604及び回収リール608、並びに、供給リール604からエキシマ紫外線ランプ528に沿ってテープ部材605を送り出すテープ搬送装置606を備える。
【0067】
テープ部材605は、接合ヘッド512及び紫外線照射装置527の下方((−Z)軸側)にて接合ヘッド512及び紫外線照射装置527に対向する側(すなわち、(+Z)軸側)の面に複数の電子部品1を保持し、テープ部材605の(+Y)軸側の部位(すなわち、電子部品1を保持している部位)は供給リール604に巻き付けられている。また、供給リール604から(−Y)軸方向に伸びるテープ部材605の(−Y)軸側の部位、すなわち、電子部品1を接合ヘッド512及び反転装置520に供給した後の使用済みの部位は回収リール608に巻き付けられる。
【0068】
テープ搬送装置606はスプロケット607を備え、スプロケット607が有するラチェット機構により図15中にて時計回りに一定角度繰り返し回動することにより、テープ部材605が(−Y)軸方向へと順次送り出され、テープ部材605上に保持された複数の電子部品1がエキシマ紫外線ランプ528に近接した状態で搬送される。そして、テープ部材605の(−Y)軸側の部位は、回収リール608により巻き取られて回収される。
【0069】
このような構成の接合装置601においては、図4に示す上記第1実施形態の接合装置501における接合動作を実質的に同じ手順にて、電子部品1の接合動作が行われる。
【0070】
まず、接合装置601により電子部品91の実装が行われる際には、まず、テープ搬送装置606のスプロケット607が回転し、複数の電子部品1が供給リール604から(−Y)軸方向へと一定の距離だけ搬送される。エキシマ紫外線ランプ528からは波長約172nmの紫外線が出射されており、部品供給装置610により電子部品1がエキシマ紫外線ランプ528の下方を近接した状態で搬送されることにより、電子部品1の金バンプ1bに対する紫外線の照射(すなわち、紫外線洗浄処理)が大気雰囲気中において行われる(ステップS11)。
【0071】
接合装置601では、電子部品1が紫外線の照射を受けつつエキシマ紫外線ランプ528の下方を(+Y)軸側から(−Y)軸側へと通過することにより(実際には、テープ搬送装置606の動作及び他の電子部品1の接合動作が繰り返されることにより、注目している電子部品1がランプ528の下方を通過する。)、電子部品1に対する紫外線洗浄処理が完了する。
【0072】
テープ部材605上の電子部品1に対する紫外線洗浄処理が完了すると、この電子部品1が反転装置520の下方に位置(供給位置)される。続いて、昇降機構523により供給コレット521が下降し、電子部品1の接合面が供給コレット521により吸着保持された後、供給コレット521が上昇して電子部品1がテープ部材605から取り出される(ステップS12)。その後、回転装置522により供給コレット521が反転され、電子部品1の接合面が図示下面側に配置される(ステップS13)。また、反転された電子部品1は吸着ノズル511へと受け渡される(S14)。
【0073】
また、それとともに、図示省略のマガジンから基板搬送装置640のアーム641に保持された回路基板2が、開口525aを通してプラズマ処理室525の内部に搬入される(ステップS21)。続いて、アーム641がプラズマ処理室525から退避し、開口525aが閉じられて内部に回路基板2が収容された処理空間が形成される。
【0074】
プラズマ処理装置524においては、処理空間内のエアが排気されて減圧され、処理ガスが供給されて処理空間が所定の減圧雰囲気とされる。続いて、処理空間内の処理ガスに高周波電圧が印加されてプラズマが発生し、処理空間内に収容された回路基板2にプラズマが照射され、回路基板2のそれぞれの基板電極2aの表面に対するプラズマ洗浄処理が行われる(ステップS22)。
【0075】
プラズマ洗浄処理が完了すると、プラズマ処理室525内部の処理空間にエアが供給されて大気圧へと戻され、開口525aが開放され、基板搬送装置640のアーム641により回路基板2がプラズマ処理室525から搬出される。プラズマ洗浄処理が施された回路基板2は、アーム641により基板ステージ509へと搬送され、基板ステージ509により保持される(ステップS23)。
【0076】
電子部品1の金バンプ1bに対する紫外線洗浄処理、及び、回路基板2の基板電極2aに対するプラズマ洗浄処理が完了すると、基板ステージ509に保持されている回路基板2の上方に位置する接合ヘッド512から吸着ノズル511が下降され、電子部品1の接合面に形成された金バンプ1bと回路基板2上の基板電極2aとが互いに接触し、さらに、電子部品1が回路基板2に対して押圧される。続いて、超音波振動子517により吸着ノズル511を介して電子部品1に超音波振動が付与されることにより、電子部品1及び回路基板2の両金属部が大気中にて金属接合され、電子部品1の回路基板2に対する電気的接合(すなわち、実装)が完了する(ステップS16)。
【0077】
このように、部品供給装置610において、テープ部材605を用いて、一列に配列されたそれぞれの電子部品1を連続的に供給しながら、当該電子部品1の搬送過程にて紫外線洗浄処理を行うことにより、接合動作をより効率的なものとすることができる。
【0078】
また、接合装置601においては、テープ部材605を用いて連続的な電子部品1の供給を実現しているが、例えばテープ部材605として樹脂材料等が用いられるような場合にあっては、紫外線の照射による熱の影響を抑制するために、テープ部材605の搬送下面に付与される熱を効果的に放熱する放熱板を設けることができる。また、このように放熱板を設けるような場合に代えて、テープ部材605自体を放熱性に優れた金属材料により構成するような場合であってもよい。
【0079】
なお、上記第1実施形態の接合装置501においては、それぞれの電子部品1が部品トレイ503により供給されるような場合について説明し、本第2実施形態の接合装置601においては、それぞれの電子部品1がテープ部材605により供給されるような場合について説明したが、電子部品1の供給形態はこのような場合にのみ限られるものではない。このような場合に代えて、例えば図17の模式説明図に示すように、LED等の電子部品1をリードフレーム650により順次供給し、当該供給のための搬送過程においてエキシマ紫外線ランプ528より紫外線が照射されて紫外線洗浄処理が行われるような場合であってもよい。なお、リードフレーム650には、例えば粘着シート等を介して、それぞれの電子部品1が離脱可能に固定されており、図示しないリードフレーム搬送装置により搬送される。
【0080】
(第3実施形態)
図18は、本発明の第3の実施の形態にかかる接合装置の吸着ノズル711の近傍を拡大して示す模式図である。本第3実施形態の接合装置では、図16に示す超音波振動子517、ホーン516、及びブロック632に代えて、吸着ノズル711を加熱するヒータ717がシャフト718に設けられている。その他の構成は図15と同様であり、以下の説明において同符号を付す。また、第3実施形態の接合装置による電子部品1の接合動作は、上記第2実施形態の接合装置601とほぼ同様である。
【0081】
本第3実施形態の接合装置では、上記第2実施形態の接合装置601と同様に、テープ部材605に保持されてエキシマ紫外線ランプ528に近接した状態にて(−Y)軸方向に搬送される電子部品1に、エキシマ紫外線ランプ528から大気雰囲気中にて紫外線が照射されて金属部の紫外線洗浄処理が行われる。紫外線洗浄処理が行われた電子部品1は、供給コレット521により吸着保持され、供給コレット521の反転により吸着ノズル711と対向し、吸着ノズル711により吸着保持される。吸着ノズル711はヘッド移動装置513により基板ステージ509の上方へと移動され、吸着ノズル711に保持された電子部品1は、当該移動中、予め加熱されているヒータ717により継続的に加熱される。
【0082】
また、それとともに、回路基板2がプラズマ処理室525の内部に搬入され、プラズマ洗浄処理が施された後に搬出されて基板ステージ509により保持される。
【0083】
電子部品1の金属部に対する紫外線洗浄処理、及び、回路基板2の金属部に対するプラズマ洗浄処理が完了すると、吸着ノズル711が回路基板2に向けて下降し、ヒータ717により予め熱が付与されている電子部品1の金バンプ1bを回路基板2上の基板電極2aに接触させた状態で電子部品1が回路基板2に対して押圧される。これにより、電子部品1及び回路基板2の両金属部が大気中にて金属接合され、電子部品1の回路基板2に対する実装が完了する。なお、電子部品1の実装時における熱の付与は、基板ステージ509に保持された回路基板2に対して行われてもよい。
【0084】
以上に説明したように、上記第3実施形態の接合装置では、電子部品1の金属部に対する紫外線洗浄処理が行われた後、ヒータ717により熱が付与された電子部品1の金属部と回路基板2の金属部とが金属接合されることにより電子部品1の実装が行われる。このため、耐電圧が低くプラズマ洗浄処理等の高エネルギの照射に不向きな電子部品であっても金属接合により強固に回路基板2に実装することができる。また、電子部品1に対する紫外線洗浄処理が大気中にて行われるため、接合装置の構造を簡素化することができる。
【0085】
(第4実施形態)
図19は、本発明の第4の実施形態にかかる接合装置の紫外線照射装置527の近傍を(−Y)軸側から(+Y)軸方向を向いて見た拡大図である。図19に示すように、本第4実施形態の接合装置では、エキシマ紫外線ランプ528の下方に位置される電子部品1に対して窒素(N2)ガスを供給するガス供給装置860が、エキシマ紫外線ランプ528(−X)軸側に設けられる。その他の構成は図15と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0086】
ガス供給装置860は、ガス供給管862を介して図示省略のガス供給源と接続され、ガス供給装置860の(+X)側には、Y軸方向に長い供給口861が形成される。供給口861のY軸方向における長さは、エキシマ紫外線ランプ528の長さとほぼ等しくされている。ガス供給装置860は、供給口861のほぼ全体がエキシマ紫外線ランプ528、及び、エキシマ紫外線ランプ528の下方に位置する複数の電子部品1に対向するように配置される。
【0087】
本第4実施形態の接合装置による電子部品1の実装動作は、上記第2実施形態の接合装置601とほぼ同様であり、エキシマ紫外線ランプ528により電子部品1に紫外線が照射される際に、ガス供給装置860の供給口861から電子部品1の周囲に窒素ガスが供給され、電子部品1の周囲の酸素濃度を低下させる点のみが異なる。
【0088】
本第4実施形態の接合装置では、ガス供給装置860から供給される窒素ガスにより、エキシマ紫外線ランプ528の下方に位置する電子部品1の周囲が酸素濃度10%以下(より好ましくは1%以下、さらに好ましくは100ppm以下)の低酸素雰囲気とされた状態で、エキシマ紫外線ランプ528による電子部品1の金バンプ1bへの紫外線の照射、すなわち、紫外線洗浄処理が行われる。このため、電子部品1の周囲においてオゾンの発生が抑制されて酸素ラジカルが効率的に生成され、簡素な構造で紫外線の照射による電子部品1の金属部に対する洗浄処理の質をより向上することができる。その結果、耐電圧が低くプラズマ洗浄処理等の高エネルギの照射に不向きな電子部品を金属接合により強固かつ高い質にて回路基板2に実装することができる。
【0089】
なお、ガス供給装置860により供給されるガスは窒素ガスには限定されず、アルゴン等の不活性ガスが用いられてもよい。また、上記第3実施形態と同様に、電子部品1の金バンプ1bがヒータにより加熱されて金属接合が促進されてもよい。
【0090】
(第5実施形態)
図20は、本発明の第5の実施形態にかかる接合装置901の構成を示す模式構成図である。図20に示すように、接合装置901では、紫外線照射装置927にエキシマ紫外線ランプ928をその内部に収容するチャンバ929が設けられ、チャンバ929の(−Y)軸側には、電子部品1が保持されたパレット(部品トレイ)903を搬出入する開口929aが設けられる。また、チャンバ929へのパレット903の搬入及び搬出を行うパレット搬送装置907、及び、供給位置に位置する接合ヘッド512の下方にてパレット903を保持するパレット保持部906が設けられている。また、パレット搬送装置907は、パレット903を保持して水平方向に移動するアーム907aを備える。その他の構成は図15と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0091】
また、図21は、接合装置901による電子部品1の接合動作の手順の一部を示すフローチャートである。接合装置901では、図4中のステップS11〜S15に示す動作に代えて、図21中のステップS31〜S35に示す動作が行われる。接合装置901では、まず、電子部品1の接合面を(+Z)側に向けて保持するパレット903が、パレット搬送装置907のアーム907aに保持され、開口929aを通してチャンバ929の内部に搬入される(ステップS31)。続いて、アーム907aがチャンバ929の内部から退避し、開口929aが閉じられてその内部に、電子部品1を配置するパレット903が収容された処理空間が形成される。次に、チャンバ929の処理空間内のエアが排気され、減圧環境下においてエキシマ紫外線ランプ928から電子部品1(及びその金バンプ1b)に紫外線が照射されて紫外線洗浄処理が行われる(ステップS32)。
【0092】
紫外線洗浄処理が完了すると、チャンバ929の処理空間にエアが供給されて大気圧へと戻された後に開口929aが開放され、パレット搬送装置907のアーム907aにより電子部品1を配置したパレット903がチャンバ929から搬出される。パレット903はアーム907aによりパレット保持部906へと搬送され、紫外線洗浄処理が施された電子部品1を配置するパレット903がパレット保持部906により保持される(ステップS33)。
【0093】
続いて、図示しない反転装置によりパレット903上の電子部品91が吸着保持されて、その後反転され、接合ヘッド512の吸着ノズル511に電子部品1が受け渡されて吸着保持される(ステップS34)。吸着ノズル511は、電子部品91の吸着保持姿勢を補正した後、ヘッド移動装置513により基板ステージ509の上方へと移動する(ステップS35)。
【0094】
接合装置901では、上記第1実施形態の接合装置501と同様に、プラズマ処理装置524により回路基板2の基板電極2aに対するプラズマ洗浄処理が行われ、その後、回路基板2が基板ステージ509に保持される。さらにその後、吸着ノズル511が回路基板2に向けて下降し、電子部品1の金バンプ1bと回路基板2の基板電極2aとを互いに接触させた状態で電子部品1の金バンプ1bに超音波振動が付与されて、電子部品1及び回路基板2の両金属部が大気中にて金属接合され、電子部品1の回路基板2に対する実装が完了する。
【0095】
以上に説明したように、接合装置901では、チャンバ929内部の減圧環境下において電子部品1の金属部に対する紫外線洗浄処理が行われるため、電子部品1の周囲においてオゾンの生成を防止することができ、また、エキシマ紫外線ランプ928からの紫外線の大気中への吸収による減衰(大気中において8mm伝播する間に約90%が吸収される。)を防止することができる。その結果、紫外線の照射による電子部品1の金属部に対する洗浄処理の質をより向上することができる。
【0096】
また、上記第1実施形態の接合装置501と同様に、耐電圧が低くプラズマ洗浄処理等の高エネルギの照射に不向きな電子部品であっても金属接合により強固に回路基板2に実装することができる。さらには、エキシマ紫外線ランプ928により紫外線を照射することにより、電子部品1の金属部に対する紫外線洗浄処理をより効率的に行うことができ、また、プラズマ処理装置524により回路基板2の基板電極2aに対するプラズマ洗浄処理を効率良く行うことができる。なお、上記第3実施形態と同様に、超音波振動に代えてヒータによる加熱が利用されてもよい。
【0097】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0098】
例えば、エキシマ紫外線ランプ528は、電子部品1を搬送しつつ効率良く紫外線を照射するという観点からは、電子部品1の搬送方向に長い棒状であることが好ましいが、電子部品1の供給装置の構成等、装置の構成に合わせて他の様々な形状とされてもよい。
【0099】
また、電子部品1の金属部に対する紫外線洗浄処理は、処理の効率向上という観点からは、短波長の紫外線を照射するエキシマ紫外線ランプ528により行われることが好ましいが、他の紫外線ランプや紫外線照射デバイスにより行われてもよい。なお、電子部品1の紫外線洗浄処理は、処理の質に対する要求レベルが比較的高くない場合には、装置の簡素化の観点から大気雰囲気中において行われることが好ましく、また、高品質な紫外線洗浄処理が要求される場合には、低酸素雰囲気中や減圧環境下において行われることが好ましい。
【0100】
プラズマ処理装置524において、回路基板2の基板電極2aに対するプラズマ洗浄処理に利用される処理ガスが、窒素や酸素(O)、水素(H)、ヘリウム(He)、クリプトン(Kr)等の他のガスであってもよい。また、回路基板2の基板電極2aに対する洗浄処理は、必ずしもプラズマの照射により行われる必要はなく、アルゴン等の高速原子ビームや紫外線等の他のエネルギ波の照射により行われてもよい。
【0101】
また、上記それぞれの実施形態にかかる接合装置は、電子部品の回路基板に対する実装以外にも様々な対象物同士の金属接合に利用されてよい。例えば、キャビティ(凹部)の底面に電子部品が実装されたキャビティ基板の開口周辺に設けられた金属部と、キャビティの開口を塞ぐ蓋部材の金属部とを金属接合することにより、内部に電子部品を収容して封止する電子部品パッケージを形成する装置として利用されてもよい。この場合、キャビティ基板の金属部に紫外線洗浄処理を行うことにより、耐電圧が低くプラズマ洗浄処理等の高エネルギの照射に不向きな電子部品が収容される電子部品パッケージであっても、キャビティ基板と蓋部材とを金属接合により強固に接合して形成することができる。なお、キャビティ基板と蓋部材との接合時における超音波振動または熱の付与は、キャビティ基板または蓋部材のいずれに対して行われてもよい。
【0102】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、様々な対象物同士を金属接合する接合装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる接合装置の構成を示す模式構成図である。
【図2】図1の接合装置において取り扱われる電子部品の構造を示す模式断面図である。
【図3】図1の接合装置において取り扱われる回路基板の構造を示す模式断面図である。
【図4】上記第1実施形態の接合方法の手順を示すフローチャートである。
【図5】図1の接合装置において、反転装置により電子部品が保持取出しされている状態を示す模式説明図である。
【図6】図1の接合装置において、反転装置により電子部品が反転された状態を示す模式説明図である。
【図7】図1の接合装置において、反転装置より吸着ノズルへ電子部品が受け渡され、かつ、プラズマ処理装置において回路基板に対するプラズマ洗浄処理が施されている状態を示す模式説明図である。
【図8】図1の接合装置において、電子部品と回路基板との位置合わせが行われている状態を示す模式説明図である。
【図9】図1の接合装置において、回路基板に対する電子部品の金属接合が行われている状態を示す模式説明図である。
【図10】図1の接合装置において、電子部品の回路基板への接合が完了した状態を示す模式説明図である。
【図11】紫外線洗浄処理を実施する前の金属部の表面状態を示す原子レベルの模式拡大図である。
【図12】図11の金属部の表面に対して紫外線洗浄処理が施された状態を示す原子レベルの模式拡大図である。
【図13】紫外線洗浄処理における処理時間と接合強度及び炭素量との関係を示すグラフ形式の図である。
【図14】図1の接合装置における反転装置の部分拡大模式図である。
【図15】本発明の第2実施形態にかかる接合装置の構成を示す模式構成図である。
【図16】図15の接合装置における吸着ノズルの模式拡大図である。
【図17】上記第1実施形態及び第2実施形態の接合装置における電子部品の供給形態の変形例を示す模式説明図である。
【図18】本発明の第3実施形態にかかる接合装置が備える吸着ノズルの模式拡大図である。
【図19】本発明の第4実施形態にかかる接合装置が備える紫外線照射装置近傍の模式拡大図である。
【図20】本発明の第5実施形態にかかる接合装置の構成を示す模式構成図である。
【図21】上記第5実施形態の接合装置における接合動作の手順の一部を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0105】
1 電子部品
1a 電極パッド
1b 金バンプ
2 回路基板
2a 基板電極
503 部品トレイ
504 部品マガジン
505 装置架台
506 部品供給ステージ
507 トレイ搬送装置
508 基板マガジン
509 基板ステージ
510 部品供給装置
511 吸着ノズル
512 接合ヘッド
513 ヘッド移動装置
514 基板移動装置
515 昇降装置
516 ホーン
517 超音波振動子
518 認識カメラ
519 制御装置
520 反転装置
521 供給コレット
524 プラズマ処理装置
525 プラズマ処理室
527 紫外線照射装置
528 エキシマ紫外線ランプ
501 接合装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の対象物の第1金属部と第2の対象物の第2金属部とを接合する接合装置において、
上記第1の対象物の上記第1金属部に紫外線を照射して、当該第1金属部の表面より接合阻害物質の除去を行う紫外線照射部と、
上記紫外線照射部により上記接合阻害物質の除去が行われた上記第1金属部と、上記第2金属部とを互いに接触させながら、当該第1金属部又は第2金属部に超音波振動又は熱を付与して金属接合を行う金属接合部とを備えることを特徴とする接合装置。
【請求項2】
上記第2の対象物の上記第2金属部にエネルギ波を照射して、当該第2金属部の表面より接合阻害物質の除去を行うエネルギ波照射部をさらに備え、
上記金属接合部は、上記紫外線照射部により上記接合阻害物質の除去が行われた上記第1金属部と、上記エネルギ波照射部により上記接合阻害物質の除去が行われた上記第2金属部とを互いに接触させながら上記金属接合を行う請求項1に記載の接合装置。
【請求項3】
上記紫外線照射部による上記第1金属部に対する紫外線の照射が大気雰囲気中において行われる請求項1又は2に記載の接合装置。
【請求項4】
上記紫外線照射部による上記第1金属部に対する紫外線の照射が酸素濃度10%以下の低酸素雰囲気中において行われる請求項1又は2に記載の接合装置。
【請求項5】
上記紫外線照射部及び上記金属接合部がその内部に配置され、当該内部空間を密閉可能なチャンバと、
当該チャンバ内空間を減圧する減圧装置とを備え、
上記紫外線照射部による上記第1金属部に対する紫外線の照射が減圧環境において行われる請求項1又は2に記載の接合装置。
【請求項6】
上記紫外線照射部は、紫外線発生源として、160〜180nmの範囲の波長の紫外線を照射するエキシマ紫外線ランプを備える請求項1から5のいずれか1つに記載の接合装置。
【請求項7】
その搬送方向に沿って配列された上記第1の対象物を当該搬送方向に沿って搬送して、当該それぞれの第1の対象物を上記金属接合部に供給する部品供給装置をさらに備え、
上記紫外線照射部において、上記エキシマ紫外線ランプが上記搬送方向に沿って配置され、
上記それぞれの第1の対象物の上記第1金属部の表面に対して、上記エキシマ紫外線ランプにより上記紫外線が照射されながら、上記部品供給装置により当該それぞれの第1の対象物の上記金属接合部への供給位置に搬送される請求項6に記載の接合装置。
【請求項8】
上記部品供給装置は、
複数の上記第1の対象物が配列されて収容されたテープ状部品供給部材を巻き回して保持するリール部と、
当該リール部より上記エキシマ紫外線ランプに沿って上記テープ状部品供給部材を送り出し、上記金属接合部への上記供給位置へ搬送するテープ状部材搬送部とを備える請求項7に記載の接合装置。
【請求項9】
上記部品供給装置は、
複数の上記第1の対象物が配列されて収容された複数のリードフレームを、上記エキシマ紫外線ランプに沿って上記金属接合部への上記供給位置へ搬送するリードフレーム搬送部を備える請求項7に記載の接合装置。
【請求項10】
上記部品供給装置は、
複数の上記第1の対象物が配列されて収容された部品供給トレイを、上記エキシマ紫外線ランプに沿って上記金属接合部への上記供給位置へ搬送するトレイ搬送部を備える請求項7に記載の接合装置。
【請求項11】
上記エネルギ照射部は、上記エネルギ波としてプラズマを照射することで、上記第2の対象物の上記第2金属部の表面より上記接合阻害物質の除去を行う請求項1から10のいずれか1つに記載の接合装置。
【請求項12】
上記第1の対象物が、上記第1金属部として電極部を有する半導体発光素子であり、
上記第2の対象物が、上記第2金属部として基板電極を有する回路基板である請求項1から11のいずれか1つに記載の接合装置。
【請求項13】
第1の対象物の第1金属部と第2の対象物の第2金属部とを接合する接合方法において、
上記第2の対象物の上記第2金属部にエネルギ波を照射して、当該第2金属部の表面より接合阻害物質の除去を行うとともに、上記第1の対象物の上記第1金属部に紫外線を照射して、当該第1金属部の表面より接合阻害物質の除去を行い、
その後、上記接合阻害物質の除去が行われた上記第1金属部と上記第2金属部とを互いに接触させながら、当該第1金属部又は第2金属部に超音波振動又は熱を付与して金属接合を行うことを特徴とする接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−13479(P2006−13479A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−154219(P2005−154219)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】