説明

接点式タッチセンサ

【課題】従来のプランジャ測定軸を有する接触式位置センサでは全長が構造上長くなる欠点があったが本願発明では全長を短く、かつ動作点の精度向上をはかったセンサを提供する。
【解決手段】プランジャ軸を絶縁材とし、軸受けとのはめあい部の中央付近に直交して固定した可動接点は、その先端部で固定接点と接触させ、コイルばねをプランジャ軸の内径に挿入させることでセンサの短縮化を図った。また、軸受のはめあい隙間による傾きが動作点の繰返し精度に与える誤差を少なくし、固定接点は動かなくしたので、高精度化と故障の原因を減らすことができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置検知あるいは寸法判別に使用される接点式タッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の接触形接点式位置センサ(以下タッチセンサと記す)、特にプランジャ式は丸筒ケースの全長が長くなることが避けられなかった。
【0003】
図5は従来の接点式タッチセンサの一例を断面図で示す。1はケースで、接触子2を有するプランジャ軸3は軸受7にはめ合い摺動し、ばね6の付勢力により常時ケース1より凸出している。25はプランジャ軸3と一体で絶縁材よりなる押しピンである。26は可動接点球で常時は固定接点27に接触している。固定接点27は、中ケース28に接し、単線16に接続されている。コイルばね29は、可動接点26と固定接点27を接触させる付勢力であると共に端末は単線16′に接続し、コード4となる。検出体が接触子2を押すと、押しピン25が可動接点球26を押し、固定接点27より離れるので、閉回路が開回路(常時閉形)となり、信号が出力される。
【0004】
この構造では、固定接点27、可動接点26および接触力を付与するためのコイルばね29がプランジャ軸3の延長線上に配置されるので、センサケースが長くなることが避けられなかった。また位置信号を発信する接点の接触部がプランジャ軸3と軸受7とのはめあい部より離れていることに起因する信号点の精度低下や故障の原因になることがある。
【0005】
【特許文献】特願2004−12747
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、全長を短くすると共に故障の原因を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために内蔵する固定接点27と可動接点26とが接触して信号を発信する接触部をプランジャ軸のはめあい長さの中央付近とし、また、プランジャ軸の材質を絶縁材とし、中央付近に可動接点を設け、コイルばねをプランジャ軸3に入りこましたことにより従来の直列的な配置を並列的配置とし、短縮化が実現した。さらにプランジャ軸3のあそびによる傾きが動作点の繰返し精度に与える誤差を少なくして高精度化をはかった。
【発明の効果】
【0008】
上述したように、本発明のタッチセンサはセンサ本体の長さを短くすることにより使用上の取付け勝手がよく、スペースを取らないで、装着される装置の小型化に効果があり、本体が長いためにコード処理に無理がかかる故障原因を少なくできる。また、繰返し精度の向上もはかれた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図1〜3に基づいて説明する。図1は外観図である。1はケースで先端に接触子2を有するプランジャ軸3が突出している。4は2芯コードである。
【00010】
図2は図1のA−A断面図、図3は図2のB−B断面図で請求項1を示す。1はケース、3はプランジャで絶縁材よりなり、先端部に接触子2を有し、他端の内径部5にはプランジャ軸3に接触力を与える付勢手段のコイルばね6がある。また、プランジャ軸3は軸受7にすきまばめされ、はめあい部の中央付近に直角に貫通固定されたニードル状可動接点8があり、軸受7に設けられた両側の回り止めスリット9を通って両側へ突出している。2個の溝のうち一方はにがし溝でよい。軸受7の外側には絶縁筒10があり、ニードル状可動接点5の両側先端側面に当接する位置に互いに平行な2個の短い円筒状固定接点11、11′が平行にあけられた穴12、12′に挿入固定されている。また、ニードル状可動接点8の逃げ溝13、13′がある。14は蓋で両側にすりわり溝15、15′がある。円筒状固定接点11、11′に接続した外皮を絶縁された単線16、16′は絶縁筒に設けられたコード用溝17、17′と蓋14のすりわり溝15、15′を通りコード4になる。押さえリング18によって蓋14はケース1に圧入される。
【0011】
以下、上記構成の動作を説明する。図2では、接触子2を有するプランジャ軸3が、コイルばね6の付勢力によりケース1の外へ突出し、中央付近に固定されたニードル状可動接点8が両側の円筒状固定接点11、11′に接触し、停止している。この状態で、コード4に流れる電流は単線16、円筒状固定接点11、ニードル状可動接点8、円筒状固定接点11′単線16′を通り、常時通電(閉)している。ここで、検出体19が接触子2に当たり、プランジャ軸3を押すと、一体となったニードル状可動接点8も押し込まれ、円筒状固定接点11、11′と離れ、電流は流れなくなり、閉回路から開回路(常時閉形)の信号が発信される。
【0012】
次に、図4は、請求項2の構造を示す。図1のA−A断面図で、請求項1との相違について説明する。先ず、プランジャ軸3の内径部5を深くし、コイルばね6とニードル状可動接点8とを接触させる。コイルばね6の端末20は蓋14に穴をあけて外側に出す。この場合、蓋14は絶縁材とする。円筒状固定接点は11だけとし、11′は廃止する。ニードル状可動接点8も円筒状固定接点11′との接触部は不要となるので短くしてよい。単線16′はコイルばね端末20と接続する。電流通路は単線16、円筒状固定接点11、ニードル状可動接点8、コイルばね6、ばね端末20、単線16′となり、信号出力は請求項1と同じように閉回路から開回路(常時閉形)の信号が発信される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】 本発明の実施状態を示すタッチセンサの外観図
【図2】 同タッチセンサの図1′のA−A断面図(請求項1を示す)
【図3】 同タッチセンサの図2のA−A断面図
【図4】 同タッチセンサの図1′のA−A断面図(請求項2を示す)
【図5】 従来例の断面図
【符合の説明】
【0014】
1 ケース
2 接触子
3 プランジャ軸
4 コード
5 内径部
6 コイルばね
7 軸受
8 ニードル状可動接点
9 回り止めスリット
10 絶縁筒
11 11′ 円筒状固定接点
12 12′ 穴
13 13′ 逃げ溝
14 蓋
15 15′ すりわり溝
16 16′ 単線
17 17′ コード溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点式位置タッチセンサにおいて、先端にコンタクトを有する絶縁材プランジャ軸と、他端に常時、プランジャ軸がケースにより突出する方向に付勢するコイルばねと、プランジャ軸にはめ合う摺動軸受と、プランジャ軸の中央付近に軸と直角に貫通固定され、軸受の回り止めスリットを通って両側へ突出したニードル状接点と、軸受の外側にあってニードル状接点の両側先端側面に当接する二個の短い円筒状接点および、ニードル状接点の逃げ溝を有する絶縁筒と、ニードル状接点の両端に直角に交差して当接し、互いに平行な二個の円筒状接点と、夫々に接続された2芯コードと全体を覆うケースとにより構成された接点式タッチセンサ。
【請求項2】
上記、円筒状接点を一個のみとし、プランジャ軸内部でばねとニードル状接点とを接触させ、2芯コードへの接続を円筒状接点とばねの端部とにする構成とした請求項1記載の接点式タッチセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−206042(P2007−206042A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49195(P2006−49195)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000138071)株式会社メトロール (14)
【Fターム(参考)】