説明

接着テープおよび合わせガラス

第一主表面および第二主表面を有する補強されたシリコーン樹脂フィルムと、該フィルムの該第一主表面上の第一ポリシリケートコーティングと、該フィルムの該第二主表面上の第二ポリシリケートコーティングとを含む接着テープ;第一ガラス板と、第一ガラス板の上に配置された少なくとも1枚の追加ガラス板と、隣接するガラス板の相対する表面の間にあり、該表面に直接接触している複合中間層とを含む合わせガラスであって、該中間層は、第一主表面および第二主表面を有する補強されたシリコーン樹脂フィルムと、該フィルムの該第一主表面上の第一ポリシリケートコーティングと、該フィルムの該第二主表面上の第二ポリシリケートコーティングを含む合わせガラス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2008年5月27日出願の米国仮特許出願番号61/056,171の利益を請求する。米国仮特許出願番号61/056,171は参照のためここに援用する。
【0002】
<発明の分野>
本発明は、接着テープに関し、さらに具体的には第一主表面(major surface)および第二主表面を有する補強されたシリコーン樹脂フィルムと、該フィルムの第一主表面上の第一ポリシリケートコーティングと、該フィルムの第二主表面上の第二ポリシリケートコーティングとを含む接着テープに関する。本発明は、第一ガラス板と、第一ガラス板の上に配置された少なくとも1枚の追加ガラス板と、隣接するガラス板の相対する表面間にあり、かつ該表面に直接接触する複合中間層とを含む合わせガラスであって、中間層は、第一主表面および第二主表面を有する補強されたシリコーン樹脂フィルムと、該フィルムの第一主表面上の第一ポリシリケートコーティングと、該フィルムの第二主表面上の第二ポリシリケートコーティングとを含む合わせガラスにも関する。
【背景技術】
【0003】
合わせガラスは、高い透明性、高い保護性および高い安全性が最重要であるところの種々の工業用途および民生用途に用いられている。例えば、合わせガラスは、自動車、電子、電化製品、建設、および航空宇宙産業で幅広く用いられている。
【0004】
合わせガラスは、典型的には2枚以上のガラス板および隣接板間の接着中間層からなる。中間層材料は一般に熱可塑性または熱硬化性接着剤である。さらに、接着剤は、ポリビニルブチラールなどの有機接着剤またはアルカリ金属シリケートなどの無機接着剤であり得る。有機ポリマー中間層を含む合わせガラスと比べて、アルカリ金属シリケート中間層を含む合わせガラスは低い燃焼性および高いチャー生成量(char yield)を示す。そのような積層品はGaethらの米国特許第3,640,837号、Egliらの米国特許第5,565,273号、Gelderieらの米国特許第6,159,606号、英国特許第1,290,699号、モトハルらによる特開平8−067538号およびヨシミらによる特開平7−206482号に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アルカリ金属シリケート中間層を含む合わせガラスは低い燃焼性および高いチャー生成量を有するけれど、それは典型的に有機ポリマー中間層を有する合わせガラスと比べて低い耐衝撃性を有する。したがって、低い燃焼性、高いチャー生成量および高い耐衝撃性を有する合わせガラスが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
第一主表面および第二主表面を有する補強されたシリコーン樹脂フィルムと、
該フィルムの第一主表面上の第一ポリシリケートコーティングと、
該フィルムの第二主表面上の第二ポリシリケートコーティングとを含む接着テープであって、該第一ポリシリケートコーティングおよび該第二ポリシリケートコーティングそれぞれが50〜85%(w/w)の少なくとも1種のアルカリ金属ポリシリケートと15〜50%(w/w)の水とを含み、アルカリ金属ポリシリケートが、少なくとも1.05の金属酸化物に対するシリカのモル比を有する接着テープを対象とする。
【0007】
本発明は、
第一ガラス板と、
第一ガラス板の上に配置された少なくとも1枚の追加ガラス板と、
隣接ガラス板の相対する表面間の複合中間層とを含む合わせガラスであって、該中間層は、第一主表面および第二主表面を有する補強されたシリコーン樹脂フィルムと、該フィルムの第一主表面上の第一ポリシリケートコーティングと、該フィルムの第二主表面上の第二ポリシリケートコーティングとを含み、該第一ポリシリケートコーティングおよび該第二ポリシリケートコーティングそれぞれが50〜85%(w/w)の少なくとも1種のアルカリ金属ポリシリケートと15〜50%(w/w)の水とを含み、アルカリ金属ポリシリケートが、少なくとも1.05の金属酸化物に対するシリカのモル比を有する合わせガラスをも対象とする。
【0008】
本発明の合わせガラスは、高い透明性、接着剤の分解温度より高い温度での暴露中および暴露後も高い接着性、高い耐熱性、低い燃焼性(低い発熱速度から明らかなように)、および高いチャー生成量を有する。さらに、該合わせガラスは、ポリシリケート中間層だけを有するガラス積層品と比べると、高い耐衝撃性を示す。
【0009】
本発明の接着テープは、種々の物質を接着するために用いることができ、その物質には、シリコンおよびガリウムヒ素などの半導体;石英;酸化アルミニウム;セラミック;ガラス;金属箔;およびプラスチックが挙げられる。具体的には、接着テープは合わせガラスの加工でガラス板の接着に用い得る。
【0010】
本発明の合わせガラスは、多くの用途で有用であり、用途には防火、衝撃抵抗、断熱、防音、ソーラーコントロール、安全、および治安が挙げられる。例えば、合わせガラスは、フロントガラス、窓ガラス、および防火壁として有用である。
【0011】
本発明のそれらおよびその他の特徴、態様および利点は、以下の説明、添付した請求項、および添付の図面を参照してより理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明による合わせガラスの一つの実施態様の断面図を示す。
【図2】図2は、複合中間層がポリシリケートコーティング上にシリコーン接着剤コーティングをさらに含んでいる合わせガラスの先の実施態様の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による接着テープは、
第一主表面および第二主表面を有する補強されたシリコーン樹脂フィルムと、
該フィルムの第一主表面上の第一ポリシリケートコーティングと、
該フィルムの第二主表面上の第二ポリシリケートコーティングとを含み、該第一ポリシリケートコーティングおよび該第二ポリシリケートコーティングそれぞれが50〜85%(w/w)の少なくとも1種のアルカリ金属ポリシリケートと15〜50%(w/w)の水とを含み、アルカリ金属ポリシリケートが、少なくとも1.05の金属酸化物に対するシリカのモル比を有する。
【0014】
接着テープは、第一主表面および第二主表面を有する補強されたシリコーン樹脂フィルムを含む。本明細書において使われる用語「第一主表面」および「第二主表面」は、補強されたシリコーン樹脂フィルムの主要寸法に対して平行であるフィルムの二つの対立する表面をさす。
【0015】
補強されたシリコーン樹脂フィルムは、典型的には、10〜99%(w/w)、あるいは30〜95%(w/w)、あるいは60〜95%(w/w)、あるいは80〜95%(w/w)の硬化シリコーン樹脂を含む。また、補強されたシリコーン樹脂フィルムは、典型的には15〜500μm、あるいは15〜300μm、あるいは20〜150μm、あるいは30〜125μmの厚さを有する。
【0016】
補強されたシリコーン樹脂フィルムは、繊維補強材を含む任意の補強されたシリコーン樹脂フィルムであり得る。補強されたシリコーン樹脂フィルムおよび種々の硬化性シリコーン組成物からフィルムを製造する方法は、次の国際特許出願公報:WO2006/088645、WO2006/088646、WO2007/092032およびWO2007/018756に例示されているように、当技術分野では公知である。繊維補強材の例として、以下に限定されないが、ガラス繊維;石英繊維;グラファイト繊維;ナイロン繊維;ポリエステル繊維;アラミド繊維、例えばKevlar(登録商標)およびNomex(登録商標)など;ポリエチレン繊維;ポリプロピレン繊維;ならびに炭化ケイ素繊維が挙げられる。
【0017】
補強されたシリコーン樹脂フィルムは、繊維補強材(例として、ガラス織布もしくは不織布、またはほぐしたガラス繊維)を、シリコーン樹脂を含む硬化性シリコーン組成物に含浸させ、含浸繊維補強材のシリコーン樹脂を硬化することにより一般的に製造される。硬化性シリコーン組成物の例として、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物、縮合硬化性シリコーン組成物、放射線硬化性シリコーン組成物および過酸化物硬化性シリコーン組成物が挙げられる。シリコーン樹脂は、繊維補強材を含浸するために用いられた硬化性シリコーン組成物の種類に応じて、周囲温度、高温、水分、または放射線に組成物を暴露することにより硬化し得る。
【0018】
接着テープは、フィルムの第一主表面上の第一ポリシリケートコーティングを含む。第一ポリシリケートコーティングは、50〜85%(w/w)、あるいは55〜80%(w/w)、あるいは60〜70%(w/w)の少なくとも1種のアルカリ金属ポリシリケートと15〜50%(w/w)の水とを含み、ここでアルカリ金属ポリシリケートは、少なくとも1.05の金属酸化物に対するシリカのモル比を有する。
【0019】
アルカリ金属ポリシリケートの例として、以下に限定されないが、ナトリウムポリシリケート、カリウムポリシリケート、リチウムポリシリケート、ルビジウムポリシリケート、およびセシウムポリシリケートが挙げられる。アルカリ金属ポリシリケートは単一のアルカリ金属ポリシリケートまたは2種以上の異なるアルカリ金属ポリシリケートを含む混合物であり得る。
【0020】
接着テープの一つの実施態様では、アルカリ金属ポリシリケートはナトリウムポリシリケートである。他の実施態様では、アルカリ金属ポリシリケートはカリウムポリシリケートである。さらに別の実施態様では、アルカリ金属ポリシリケートはナトリウムポリシリケートおよびカリウムポリシリケートの混合物である。
【0021】
アルカリ金属ポリシリケートは、典型的には、1.05〜50、あるいは1.2〜10、あるいは2〜8の金属酸化物(M2O、式中Mはアルカリ金属である)に対するシリカ(SiO2)のモル比を有する。金属酸化物に対するシリカのモル比が1.05未満であると、ポリシリケートコーティングは不十分な耐湿性を有する可能性がある。該モル比が50を超えると、ポリシリケートコーティングはあまりにももろすぎるかもしれない。
【0022】
第一ポリシリケートコーティングは、15〜50%(w/w)、あるいは20〜45%(w/w)、あるいは30〜40%(w/w)の水を含む。コーティングの水の含量が15%未満であると、コーティングは亀裂を受けやすいかもしれない。また、水の含量が50%を超えると、コーティングは不十分な機械的特性を有する可能性がある。
【0023】
第一ポリシリケートコーティングは、単層コーティングまたは2層以上の多層コーティングであり得、直の隣接層は異なる組成(例としては、アルカリ金属、SiO2/M2Oモル比、水の含量)を有する。多層コーティングは、典型的には、2〜100つの層、あるいは2〜10つの層、あるいは2〜5つの層を含む。
【0024】
単層ポリシリケートコーティングは、1〜15,000μm、あるいは50〜5,000μm、あるいは1,000〜3,000μmの厚さを有する。多層コーティングは、典型的には、1〜15,000μm、あるいは50〜5,000μm、あるいは1,000〜3,000μmの厚さを有する。第一ポリシリケートコーティングの厚さが1μm未満であると、コーティングは不連続となり得る。コーティングの厚さが15,000μmを超えると、コーティングは接着性の減少および/または亀裂を示すかもしれない。
【0025】
第一ポリシリケートコーティングは典型的には高い透明性を有する。コーティングの透明性は多数の因子、例えばコーティングの組成および厚さなどに依存する。例えば、50μmの厚さを有するポリシリケートコーティングは、典型的に電磁スペクトルの可視光領域(およそ400〜700nm)での光について少なくとも80%、あるいは少なくとも85%の透過率を有する。
【0026】
第一ポリシリケートコーティングは、本発明の接着テープの製造方法において下記のように形成することができる。
【0027】
接着テープの第二ポリシリケートコーティングは、第一ポリシリケートコーティングについて上記に例示したとおりである。第一ポリシリケートコーティングおよび第二ポリシリケートコーティングは同じでも異なっていてもよい。例えば、ポリシリケートコーティングは、層の組成、厚さ、および数などの一つ以上の特性で異なり得る。
【0028】
接着テープの一つの実施態様では、第一ポリシリケートコーティングおよび第二ポリシリケートコーティングの少なくとも一つは、補強されたシリコーン樹脂フィルムの対応する主表面上に直接接触している。
【0029】
接着テープは、補強されたシリコーン樹脂フィルムの第一主表面に第一ポリシリケートコーティングを形成し;該フィルムの第二主表面に第二ポリシリケートコーティングを形成することにより製造することができ、ここで、補強されたシリコーン樹脂フィルム、第一ポリシリケートコーティングおよび第二ポリシリケートコーティングは本発明の接着テープについて上記したとおりである。
【0030】
第一ポリシリケートコーティングは、補強されたシリコーン樹脂フィルムの第一主表面に形成される。第一ポリシリケートコーティングは種々の方法を用いて形成することができる。例えば、第一ポリシリケートコーティングが単層であるなら、コーティングは、(i)補強されたシリコーン樹脂フィルムの第一主表面に水性ポリシリケート組成物を塗布して、ウェットコーティングを形成し、ここで該組成物は1〜85%(w/w)のアルカリ金属ポリシリケートと15〜99%(w/w)の水とを含み、該金属ポリシリケートが少なくとも1.05の金属酸化物に対するシリカのモル比を有する;および(ii)前記ウェットコーティングを乾燥させて、50〜85%(w/w)のアルカリ金属ポリシリケートと15〜50%(w/w)の水とを含むポリシリケートコーティングを形成する(ここで、該金属ポリシリケートが少なくとも1.05の金属酸化物に対するシリカのモル比を有する)ことにより形成することができる。
【0031】
補強されたシリコーン樹脂フィルムの第一主表面に水性ポリシリケート組成物を塗布して、ウェットコーティングを形成する。ここで、該組成物は1〜85%(w/w)のアルカリ金属ポリシリケートと15〜99%(w/w)の水とを含み、該金属ポリシリケートは少なくとも1.05の金属酸化物に対するシリカのモル比を有する。
【0032】
水性ポリシリケート組成物のアルカリ金属ポリシリケートは、接着テープのポリシリケートコーティングについて先に記載、例示したとおりである。よって、アルカリ金属ポリシリケートは、単一アルカリ金属ポリシリケートまたは2種以上異なるアルカリ金属ポリシリケートを含む混合物であり得る。
【0033】
水性ポリシリケート組成物中のアルカリ金属ポリシリケートの濃度は、典型的に、組成物の全重量に基づいて、1〜85%(w/w)、あるいは40〜70%(w/w)、あるいは45〜65%(w/w)である。
【0034】
水性ポリシリケート組成物中の水の濃度は、典型的に、組成物の全重量に基づいて、15〜99%(w/w)、あるいは20〜60%(w/w)、あるいは35〜55%(w/w)である。
【0035】
組成および濃度の関数である水性ポリシリケート組成物のpHはアルカリである。例えば、ポリシリケート組成物は、典型的に、室温(23±2℃)で9〜13.5、あるいは10〜13、あるいは10〜12のpH値を有する。
【0036】
水性ポリシリケート組成物は追加成分を含むことができるが、ただし追加成分は上記の接着テープのポリシリケートコーティング形成のための組成物の乾燥を阻止してはならない。例えば、水性ポリシリケート組成物は、界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤を含むことで、補強されたシリコーン樹脂フィルム上への塗布を容易にすることができる。
【0037】
アルカリ金属ポリシリケートを含む水性ポリシリケート組成物を製造する方法は当技術分野では周知である。それらの組成物の多くは市販されている。例えば、以下の水性ポリシリケート溶液がPQ社から販売されている:8.9%(w/w)のNa2Oおよび28.7%(w/w)のSiO2を含有するN(登録商標);8.9%(w/w)のNa2Oおよび28.7%(w/w)のSiO2を含有するN(登録商標)Clear;8.2%(w/w)のNa2Oおよび26.4%(w/w)のSiO2を含有するN(登録商標)38;9.2%(w/w)のNa2Oおよび30.0%(w/w)のSiO2を含有するSTIXSO(登録商標)RR;8.6%(w/w)のNa2Oおよび27.7%(w/w)のSiO2を含有するE(登録商標);9.1%(w/w)のNa2Oおよび29.5%(w/w)のSiO2を含有するO(登録商標);8.3%(w/w)のK2Oおよび20.8%(w/w)のSiO2を含有するKASIL(登録商標)1;12.7%(w/w)のK2Oおよび26.5%(w/w)のSiO2を含有するKASIL(登録商標)6;14.6%(w/w)のK2Oおよび26.3%(w/w)のSiO2を含有するKASIL(登録商標)1.8;11.6%(w/w)のK2Oおよび24.4%(w/w)のSiO2を含有するKASIL(登録商標)33;2.5%(w/w)のLi2Oおよび20.5%(w/w)のSiO2を含有するLITHISIL(登録商標)25;ならびに8.2%(w/w)のK2O、1.0%(w/w)のLi2Oおよび20.5%(w/w)のSiO2を含有するLITHISIL(登録商標)829。
【0038】
水性ポリシリケート組成物は、浸漬コート法、スプレーコート法、フローコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法、スロットダイコート法、ナイフオーバーロールコート法およびロールコート法などの従来の方法を用いて、補強されたシリコーン樹脂フィルムの第一主表面に塗布することができる。
【0039】
ウェットコーティングは乾燥されて、50〜85%(w/w)の少なくとも1種のアルカリ金属ポリシリケートと15〜50%(w/w)の水とを含む(ここで、金属ポリシリケートは少なくとも1.05の金属酸化物に対するシリカのモル比を有する)ポリシリケートコーティングを製造する。ウェットコーティングは典型的に水を除去して乾燥される。これはウェットコーティングを、15〜50%(w/w)の水を含むポリシリケートコーティングを製造するために、15〜90℃、あるいは15〜45℃、あるいは20〜30℃の温度に十分な時間暴露することにより達成し得る。例えば、ウェットコーティングは30〜60℃の温度で0.5〜48時間コーティングを加熱することにより乾燥し得る。
【0040】
あるいは、ウェットコーティングは室温で0〜90%、あるいは20〜60%、あるいは30〜55%の相対湿度にコーティングを暴露することにより乾燥することができる。例えば、ウェットコーティングは密閉室で12〜48時間50〜60%の相対湿度に曝すことにより乾燥し得る。湿度は、従来からの手段、例えば市販されている湿度制御室または飽和硝酸カルシウム水溶液を含有する密閉室を用いて制御し得る。
【0041】
第二ポリシリケートコーティングは補強されたシリコーン樹脂フィルムの第二主表面上に形成される。第二ポリシリケートコーティングが単層コーティングであるなら、それは、補強されたシリコーン樹脂フィルム上の第二主表面上に第二ポリシリケートコーティングが形成されること以外は、第一ポリシリケートコーティングを形成する方法で先に記載したように形成することができる。さらに、第一ポリシリケートコーティングおよび第二ポリシリケートコーティングは、連続してまたは同時に形成し得る。
【0042】
第一ポリシリケートコーティングおよび第二ポリシリケートコーティングがそれぞれ単層コーティングである接着テープの製造方法には、補強されたシリコーン樹脂フィルムよりもむしろポリシリケートコーティングに水性ポリシリケート組成物を塗布し、かつ同じポリシリケート組成物を各塗布に用いること以外は、コーティングの厚さを増やすために工程(i)および(ii)を繰返すことをさらに含めることができる。
【0043】
多層ポリシリケートコーティングを含む接着テープは、隣接するコーティングの層は異なる組成を有する水性ポリシリケート組成物を用いて製造され、かつ各フィルムは次の層の水性ポリシリケート組成物を塗布する前に乾燥されるだけで、単層コーティングを製造するのに用いられた方法と同様な方法にて製造することができる。例えば、二層を有するポリシリケートコーティングを含む接着テープは、(i)補強されたシリコーン樹脂フィルムの少なくとも一つの主表面上に上記のように水性ポリシリケート組成物を塗布して、第一ウェットコーティングを形成し、(ii)第一ウェットコーティングを乾燥し、(iii)乾燥されたポリシリケートコーティング上に工程(i)の組成物と異なる水性ポリシリケート組成物を塗布して、第二ウェットコーティングを形成し、および(iv)第二ウェットコーティングを乾燥することにより製造し得る。
【0044】
本発明による合わせガラスは、
第一ガラス板と、
第一ガラス板の上に配置された少なくとも1枚の追加ガラス板と、
隣接するガラス板の相対する表面間の複合中間層とを含み、該中間層は、第一主表面および第二主表面を有する補強されたシリコーン樹脂フィルムと、該フィルムの第一主表面上の第一ポリシリケートコーティングと、該フィルムの第二主表面上の第二ポリシリケートコーティングとを含み、第一ポリシリケートコーティングおよび第二ポリシリケートコーティングそれぞれが50〜85%(w/w)の少なくとも1種のアルカリ金属ポリシリケートと15〜50%(w/w)の水とを含み、アルカリ金属ポリシリケートが少なくとも1.05の金属酸化物に対するシリカのモル比を有する。
【0045】
本明細書において、追加ガラス板に関連して使われる用語「の上に配置された(overlying)」とは、各追加ガラス板が第一ガラス板および任意の介在するガラス板の上方に位置を占めるが、それらに直接接触していないことを意味する。
【0046】
本発明の接着テープに関して、複合中間層における補強されたシリコーン樹脂フィルム、第一ポリシリケートコーティングおよび第二ポリシリケートコーティングは先に記載し、例示されたとおりである。合わせガラスは第一ガラス板および少なくとも1枚の追加ガラス板を含む。合わせガラスは典型的には1〜50枚の追加ガラス板、あるいは1〜20枚の追加ガラス板、あるいは1〜10枚の追加ガラス板を含有する。
【0047】
ガラス板は任意の厚さを有することができる。例えば、ガラス板は、5〜1500ミクロンの厚さを有する薄く、柔軟性ガラス板、または0.05〜0.5インチの厚さの厚く、堅いガラス板でもよい。合わせガラスのガラス板は同一でも、異なっていてもよい。例えば、ガラス板は厚さまたは組成が異なってもよい。
【0048】
ガラス板は任意の種類のガラスを含むことができる。適するガラスの例として、以下に限定されないが、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛−アルカリガラス、ホウ酸塩ガラス、石英ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウ酸鉛ガラス、アルミノケイ酸リチウムガラス、カルコゲナイドガラス、リン酸塩ガラス、およびケイ酸アルカリ−バリウムガラスが挙げられる。
【0049】
合わせガラスの一つの実施態様では、複合中間層は隣接するガラス板の相対する表面間に、直接接触して存在する。
【0050】
合わせガラスの複合中間層は、第一ポリシリケートコーティングおよび第二ポリシリケートコーティングの少なくとも一つにシリコーン接着剤コーティングをさらに含むことができ、シリコーン接着剤コーティングは少なくとも1種のシリコーン樹脂の硬化生成物を含む。本明細書に使われる用語「シリコーン樹脂の硬化生成物」とは、三次元網目構造を有する架橋シリコーン樹脂を指す。シリコーン接着剤コーティングは、シリコーン樹脂の硬化生成物の1層を含む単層コーティング、または少なくとも2種の異なるシリコーン樹脂硬化生成物の2層以上を含む多層コーティングでもよく、多層コーティングでは隣接する層は異なる硬化生成物(すなわち、硬化生成物は異なる組成および/または特性を有する)を含む。多層コーティングは典型的には2〜7つの層、あるいは2〜5つの層、あるいは2〜3つの層を含む。
【0051】
単層シリコーン接着剤コーティングは、典型的には、0.03〜300μm、あるいは0.1〜100μm、あるいは0.1〜50μmの厚さを有する。多層コーティングは、典型的には、0.06〜300μm、あるいは0.2〜100μm、あるいは0.2〜50μmを有する。シリコーン接着剤コーティングの厚さが0.03μm未満であるなら、コーティングは不連続となり得る。シリコーン接着剤コーティングの厚さが300μmを超えるなら、コーティングは接着力の低下および/または亀裂を示すかもしれない。
【0052】
合わせガラスの一つの実施態様では、シリコーン接着剤コーティングは第一ポリシリケートコーティングおよび第二ポリシリケートコーティングの少なくとも一つの上に、直接接触している。
【0053】
シリコーン樹脂、樹脂の製造方法、およびシリコーン接着剤コーティングの製造方法は、合わせガラスの製造方法で後に記載される。
【0054】
図1に示されるように、本発明による合わせガラスの一つの実施態様は、第一ガラス板100と、第一ガラス板100の上に配置された第二ガラス板200と、隣接するガラス板の相対する表面間の複合中間層300とを含み、中間層は、第一主表面400Aおよび第二主表面400Bを含む補強されたシリコーン樹脂フィルム400、該フィルムの第一主表面400A上の第一ポリシリケートコーティング500、および該フィルムの第二主表面400B上の第二ポリシリケートコーティング600を含み、第一ポリシリケートコーティング500および第二ポリシリケートコーティング600がそれぞれ50〜85%(w/w)の少なくとも1種のアルカリ金属ポリシリケートと15〜50%(w/w)の水とを含み、金属ポリシリケートは少なくとも1.05の金属酸化物に対するシリカのモル比を有する。
【0055】
図2に示されるように、合わせガラスの先の実施態様は、第一ポリシリケートコーティング500上の第一シリコーン接着剤コーティング700および第二ポリシリケートコーティング600上の第二シリコーン接着剤コーティング800をさらに含むことができ、第一シリコーン接着剤コーティング700および第二ポリシリケートコーティング800それぞれが少なくとも1種のシリコーン樹脂の硬化生成物を含む。
【0056】
ここで、本発明の合わせガラスを製造するのに好適な方法は、図1および図2に示される実施態様について説明される。図1に示される合わせガラスは多くの方法を用いて製造することができる。例えば、合わせガラスは、(i)第一ガラス板上に第一ポリシリケートコーティングを形成し;(ii)第二ガラス板上に第二ポリシリケートコーティングを形成し;(iii)上記の補強されたシリコーン樹脂フィルムの第一主表面を第一ポリシリケートコーティング上に置き;(iv)第二ポリシリケートコーティングを、補強されたシリコーン樹脂フィルムの第二主表面上に置いて、組立体を形成し;および(v)加圧下組立体を加熱することにより製造することができる。
【0057】
第一ポリシリケートコーティングおよび第二ポリシリケートコーティングは、接着テープの補強されたシリコーン樹脂フィルム上に形成された第一および第二ポリシリケートコーティングに関して先に記載したように、それぞれ第一ガラス板および第二ガラス板上に形成することができる。
【0058】
組立体は、典型的には、室温、40〜200℃、あるいは50〜100℃、あるいは50〜80℃の温度で加熱される。さらに、組立体は典型的に1×103〜1×107Pa、あるいは1×104〜1×106Pa、あるいは1×104〜1×105Paの圧力下で加熱される。温度および圧力による加熱時間は、典型的には0.1〜24時間、あるいは0.5〜12時間、あるいは0.5〜6時間である。例えば、50〜60℃の温度で1×105Paの圧力で加熱された組立体は典型的に2〜4時間加熱される。
【0059】
図2に示される合わせガラスは、(i)第一ガラス板上に第一ポリシリケートコーティングを形成し;(ii)第二ガラス板上に第二ポリシリケートコーティングを形成し;(iii)下記のシリコーン樹脂を含む硬化性シリコーン組成物を第一ポリシリケートコーティング上に塗布して、第一シリコーン接着剤フィルムを形成し、(iv)上記の補強されたシリコーン樹脂フィルムの第一主表面を第一シリコーン接着剤フィルム上に置き、(v)下記のシリコーン樹脂を含む硬化性シリコーン組成物を補強されたシリコーン樹脂フィルムの第二主表面上に塗布して、第二シリコーン接着剤フィルムを形成し、(vi)第二ポリシリケートコーティングを第二シリコーン接着剤フィルム上に置いて、組立体を形成し、および(vii)第一シリコーン接着剤フィルムおよび第二シリコーン接着剤フィルムのシリコーン樹脂を硬化することにより製造することができる。合わせガラスが少なくとも1個の多層シリコーン接着剤コーティングを含むのであるなら、典型的にコーティングの各層は次の層が形成される前に少なくとも部分的に硬化される。
【0060】
硬化性シリコーン組成物は少なくとも1種のシリコーン樹脂を含む任意の硬化性シリコーン組成物であり得る。硬化性シリコーン組成物およびそれらの製造方法は当技術分野では周知である。硬化性シリコーン組成物の例として、以下に限定されないが、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物、縮合硬化性シリコーン組成物、放射線硬化性シリコーン組成物、および過酸化物硬化性シリコーン組成物が挙げられる。
【0061】
硬化性シリコーン組成物のシリコーン樹脂は、Tシロキサン単位、TとQシロキサン単位、またはMおよび/もしくはDシロキサン単位と組み合わせてのTおよび/もしくはQシロキサン単位を含むことができる。例えば、シリコーン樹脂はT樹脂、TQ樹脂、MT樹脂、DT樹脂、MDT樹脂、MQ樹脂、DQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、DTQ樹脂、またはMDTQ樹脂であり得る。
【0062】
シリコーン樹脂は、典型的には、触媒の存在下または非存在下で反応してシリコーン樹脂の硬化生成物を形成することができるケイ素結合反応性基を含有する。ケイ素結合反応性基の例として、以下に限定されないが、−H、アルケニル、アルキニル、−OH、加水分解性基、アルケニルエーテル、アクリロイルオキシ、置換アクリロイルオキシおよびエポキシ置換有機基が挙げられる。
【0063】
シリコーン樹脂は、典型的には、500〜1,000,000、あるいは1,000〜100,000、あるいは1,000〜50,000、あるいは1,000〜20,000、あるいは1,000〜10,000の重量平均分子量(Mw)を有する。ここで、分子量は屈折率検出器およびポリスチレン標準液を用いたゲル透過クロマトグラフィーにより測定される。
【0064】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、典型的には、1分子あたり平均して少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基またはケイ素結合水素原子を有するシリコーン樹脂;シリコーン樹脂を硬化するのに十分な量の有機ケイ素化合物であって、ここで有機ケイ素化合物は、1分子あたり平均して少なくとも2個の、シリコーン樹脂中のケイ素結合アルケニル基またはケイ素結合水素原子と反応できるケイ素結合水素原子またはケイ素結合アルケニル基を有する;および触媒量のヒドロシリル化触媒を含む。
【0065】
縮合硬化性シリコーン組成物は、典型的には、1分子あたり平均して少なくとも2個のケイ素結合水素原子、ヒドロキシ基、もしくは加水分解性基、ならびに任意でケイ素結合加水分解性基を有する架橋剤および/または縮合触媒を含む。
【0066】
放射線硬化性シリコーン組成物は、典型的に、1分子あたり平均して少なくとも2個のケイ素結合放射線感受性基を有するシリコーン樹脂、および任意でシリコーン樹脂中の放射線感受性基の性質によってカチオン性またはフリーラジカル光開始剤を含む。
【0067】
過酸化物硬化性シリコーン組成物は、典型的に、ケイ素結合不飽和脂肪族炭化水素基を有するシリコーン樹脂および有機過酸化物を含む。
【0068】
シリコーン組成物は、浸漬コート法、スプレーコート法、フローコート法、およびロールコート法などの従来からの方法を用いて、補強されたシリコーン樹脂フィルムの第一ポリシリケートコーティングおよび第二主表面に塗布することができる。溶剤が存在するなら、溶剤は典型的にはシリコーン接着剤から蒸発させる。任意の適する蒸発方法、例えば単純な空気乾燥、真空の適用、または加熱(最高50℃までに)などを用い得る。
【0069】
第一シリコーン接着剤フィルムおよび第二シリコーン接着剤フィルムのシリコーン樹脂は、シリコーン接着剤フィルムをフィルムの形成に用いられた硬化性シリコーン組成物の型により周囲温度、高温、湿気、または放射線に暴露することにより硬化し得る。
【0070】
硬化性シリコーン組成物がヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物であるなら、シリコーン樹脂はシリコーン接着剤フィルムを大気圧で室温(およそ23±2℃)〜250℃、あるいは室温〜200℃、あるいは室温〜150℃の温度に暴露することにより硬化し得る。シリコーン接着剤フィルムは通常シリコーン樹脂を硬化(架橋)するのに十分な時間加熱される。例えば、フィルムは典型的には150〜200℃の温度で0.1〜3時間加熱される。
【0071】
硬化性シリコーン組成物が縮合硬化性シリコーン組成物であるなら、シリコーン樹脂の硬化に関する条件は樹脂中のケイ素結合基の本質によって決まる。例えば、シリコーン樹脂がケイ素結合ヒドロキシ基を含有するなら、シリコーン樹脂はシリコーン接着剤フィルムを加熱することにより硬化(すなわち架橋)し得る。シリコーン樹脂は典型的にはシリコーン接着剤フィルムを50〜250℃の温度で1〜50時間加熱することにより硬化し得る。縮合硬化性シリコーン組成物が縮合触媒を含むなら、シリコーン樹脂は典型的には低温(例えば室温(およそ23±2℃)〜200℃)で加熱することにより硬化し得る。
【0072】
硬化性シリコーン組成物がケイ素結合水素原子を有するシリコーン樹脂を含む縮合硬化性シリコーン組成物であるなら、シリコーン樹脂はシリコーン接着剤フィルムを100〜450℃の温度で0.1〜20時間湿気または酸素に暴露することにより硬化し得る。縮合硬化性シリコーン組成物が縮合触媒を含有するなら、シリコーン樹脂は典型的には低温(例えば室温(およそ23±2℃)〜400℃)で加熱することにより硬化し得る。
【0073】
さらに、硬化性シリコーン組成物がケイ素結合加水分解性基を有するシリコーン樹脂を含む縮合硬化性シリコーン組成物であるなら、シリコーン樹脂はシリコーン接着剤フィルムを室温(およそ23±2℃)〜250℃、あるいは100〜200℃の温度で1〜100時間湿気に暴露することにより硬化しうる。例えば、シリコーン樹脂は典型的にはシリコーン接着剤フィルムをおよそ室温(およそ23±2℃)〜150℃の温度で0.5〜72時間30%の相対湿度に暴露することにより硬化し得る。硬化は加熱、高湿度への暴露、および/または縮合触媒の組成物への添加によって促進することができる。
【0074】
硬化性シリコーン組成物が放射線硬化性シリコーン組成物であるなら、シリコーン樹脂はシリコーン接着剤フィルムを電子線に暴露することにより硬化し得る。典型的には、加速電圧は約0.1〜100keVであり、真空は約10〜10-3Paであり、電子電流は約0.0001〜1アンペアであり、出力は約0.1ワット〜1キロワットの範囲である。線量は典型的には約100マイクロクーロン/cm2〜100クーロン/cm2、あるいは約1〜10クーロン/cm2である。電圧により、暴露時間は典型的には約10秒〜1時間である。
【0075】
また、放射線硬化性シリコーン組成物がカチオン性またはフリーラジカル光開始剤をさらに含むなら、シリコーン樹脂は、シリコーン接着剤フィルムをシリコーン樹脂の硬化(架橋)に十分な線量で150〜800nm、あるいは200〜400nmの波長を有する放射線に暴露することにより硬化し得る。光源は典型的には中圧水銀アークランプである。放射線量は典型的には30〜1,000mJ/cm2、あるいは50〜500mJ/cm2である。さらに、シリコーン接着剤フィルムは、硬化速度および/または硬化程度を高めるために放射線に暴露中または暴露後に外部から加熱されてもよい。
【0076】
硬化性シリコーン組成物が過酸化物硬化性シリコーン組成物であるなら、シリコーン樹脂はシリコーン接着剤フィルムを室温(およそ23±2℃)〜180℃の温度で0.05〜1時間暴露することにより硬化することができる。
【0077】
図2に示される合わせガラスの製造方法は、過剰の組成物および/または捕捉された空気を除去し、ならびに合わせガラスの厚さを減少するためシリコーン樹脂の硬化前または硬化中に組立体を圧縮することをさらに含むことができる。組立体は、ステンレス鋼製ローラー、油圧プレス、ゴム製ローラーまたは積層ロールセットなどの従来からの装置を用いて圧縮することができる。組立体は典型的には1,000Pa〜10MPaの圧力で圧縮される。
【0078】
あるいは、図2で示される合わせガラスは、(i)第一ガラス板上に第一ポリシリケートコーティングを形成し;(ii)第二ガラス板上に第二ポリシリケートコーティングを形成し;(iii)先に述べたシリコーン樹脂を含む硬化性シリコーン組成物を第一ポリシリケートコーティング上に塗布して、第一シリコーン接着剤フィルムを形成し;(iv)第一シリコーン接着剤フィルム中に繊維補強材を含浸させ;含浸された繊維補強材上に第二ポリシリケートコーティングを置き;および(v)含浸された繊維補強材のシリコーン樹脂を硬化することにより製造することができる。
【0079】
本発明の合わせガラスは、高い透明性、典型的には可視光で少なくとも80%、接着剤の分解温度より高い温度での暴露中および暴露後も高い接着性、高い耐熱性、低い燃焼性(低い発熱速度から明らかなように)、および高いチャー生成量を有する。さらに、合わせガラスは、ポリシリケート中間層のみを有する合わせガラスと比べて高い耐衝撃性を示す。
【0080】
本発明の接着テープは種々の物質を接着するために用いることができ、その物質には、シリコンおよびガリウムヒ素などの半導体;石英;酸化アルミニウム;セラミック;ガラス;金属箔; およびプラスチックが挙げられる。具体的には、接着テープは合わせガラスの加工でガラス板の接着に用いられ得る。
【0081】
本発明の合わせガラスは、多くの用途で有用であり、用途には防火、衝撃抵抗、断熱、防音、ソーラーコントロール、安全、および治安が挙げられる。例えば、合わせガラスは、フロントガラス、窓ガラス、および防火壁として有用である。
【実施例】
【0082】
以下の実施例は、本発明の積層基材をよりよく説明するために提示するが、添付の請求項に表される発明を限定するものとみなされるべきではない。別段の表示がない限り、実施例中に報告されるすべての部およびパーセントは重量による。以下の材料が実施例で使われた。
【0083】
シリコーン組成物A:式(PhSiO3/20.75(ViMe2SiO1/20.25を有するシリコーン樹脂(ここで、樹脂は約1700の重量平均分子量、約1440の数平均分子量を有し、約1モル%のケイ素結合ヒドロキシ基を含有する)を82%;1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンを18%;および下記の本白金触媒を組成物の全重量に基づいて10ppm白金を与えるのに十分な量で含有する混合物。1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン中のケイ素結合水素原子とシリコーン樹脂中のケイ素結合ビニル基のモル比が1.1:1(29SiNMRおよび13CNMRにより測定された)である。
【0084】
シリコーン組成物B:式(PhSiO3/20.75(ViMe2SiO1/20.25を有するシリコーン樹脂(ここで、樹脂は約1700の重量平均分子量、約1440の数平均分子量を有し、約1モル%のケイ素結合ヒドロキシ基を含有する)を72.4%;1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジフェニルトリシロキサンを27.6%;および下記の本白金触媒を組成物の全重量に基づいて10ppm白金を与えるのに十分な量で含有する混合物。1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジフェニルトリシロキサン中のケイ素結合水素原子とシリコーン樹脂中のケイ素結合ビニル基のモル比が1.1:1(29SiNMRおよび13CNMRにより測定された)である。
【0085】
シリコーン組成物C:式(ViMe2SiO2/20.05(SiO4/20.55(Me3SiO1/20.4を有するシリコーン樹脂(ここで、樹脂は約21,400の重量数平均分子量を有する)を48.3%;約0.17%(w/w)のジメチルビニルシロキシ単位を含有するジメチルビニルシロキシ−末端ポリジメチルシロキサンを21.0%;ジクミルペルオキシドを0.7%;およびキシレンを30.0%含有する混合物。
【0086】
Melinex(登録商標)516(Dupont Teijin Films、米国バージニア州Hopewellから販売される)は滑り用剥離剤で片面を事前処理され、125μmの厚さを有するポリエチレン−テレフタレート(PET)フィルムである。
【0087】
ガラス布は、平織りで、37.5μmの厚さを有するスタイル106電気ガラス布を575℃で6時間加熱することで製造された加熱処理ガラス布である。未処理のガラス布はJPSガラス社(米国サウスカロライナ州Slater)から入手した。
【0088】
白金触媒は、白金1000ppmを含有する白金触媒である。触媒は、大過剰モルの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン存在下の1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの白金錯体をトリフェニルホスフィンで、トリフェニルホスフィンと白金のモル比が約4:1とするように、処理して製造した。
【0089】
STIXSO(登録商標)RR(PQ社、米国ペンシルベニア州Valley Forgeから販売される)は9.2%のNa2Oおよび30.0%のSiO2(重量比SiO2:Na2O=3.25)を含有し、1.41g/cm3の密度および830cpsの粘度を有するケイ酸ナトリウム水溶液である。
【0090】
<実施例1>
実施例4、5および6の補強されたシリコーン樹脂フィルムを以下の方法に従って製造した:シリコーン組成物AをMelinex(登録商標)516PETフィルム(8インチ×11インチ)の剥離剤処理面に塗布して、シリコーンフィルムを形成した。PETフィルムと同じ大きさを有するガラス布をシリコーンフィルム上に慎重に押し付け、組成物が布を完全にぬらすのに十分な時間放置した。その後、埋め込まれた布に上述のシリコーン組成物を均一に塗布した。同一のPETフィルムを、シリコーン組成物に接触する剥離剤処理側でコーティングの上に置いた。積層品をオーブン中150℃で30分間加熱した。オーブンを止めて、オーブン中で室温に冷却させた。上部のPETフィルムを補強されたシリコーン樹脂フィルムから引き離し(はがし)、その後、シリコーン樹脂フィルムを下部のPETフィルムから引き離した。透明な補強されたシリコーン樹脂フィルムは約0.003〜0.004インチの厚さを有した。
【0091】
シリコーン組成物Bを均一に補強されたシリコーン樹脂フィルムの両側に塗布した。コーティングした補強されたシリコーン樹脂フィルムを、シリコーンコーティングに接触するPETフィルムの剥離剤処理側で2枚のPETフィルム(8インチ×11インチ)間に置いた。組立体を0.023インチの距離に離された2本のステンレス鋼棒の間に通し、空気循環オーブンで80℃25分間加熱した。
【0092】
<実施例2>
フロート平面ガラス板(6インチ×6インチ×1/8インチ)を洗浄液の温水溶液で洗浄し、脱イオン水で十分にすすぎ、空気中で乾燥した。マスキングテープを用いて、端のダムを各ガラス板の周囲に築いた。およそ45mLのSTIXSO(登録商標)RRケイ酸ナトリウム溶液を各ガラス板の一つ側に塗布した。コーティングしたガラス板を飽和硝酸カルシウム溶液を含有し、51%相対湿度を有する密閉されたガラス室内に76時間保持した。各ガラス板上のポリシリケートコーティングは32〜35%(w/w)の水分を有した。
【0093】
<実施例3>
実施例2で製造されたナトリウムポリシリケートコーティングしたガラス板2枚を湿度室から取り外した。ガラス板と同じ大きさを有する実施例1の補強されたシリコーン樹脂フィルムを1枚のガラス板のコーティングした面の上に置き、もう1枚のガラス板のコーティングした面を補強されたシリコーン樹脂フィルムの露出面の上に置いた。8ポンドの鋼鉄ブロックを複合体上に置き、それをオーブン中で5℃/分の速度で130℃に加熱した。複合体をその温度で1時間保持した。オーブンを止めて、合わせガラスをオーブン内で室温まで冷却した。
【0094】
<実施例4>
実施例2で製造されたナトリウムポリシリケートコーティングしたガラス板2枚を湿度室から取り外した。シリコーン組成物Bのおよそ10gを、コーティングバー(coating bar)を用いて各ガラス板のポリシリケートコーティングした面上に塗布した。ガラス板をオーブン中80℃で10分間加熱した。ガラス板と同じ大きさを有する実施例1の補強されたシリコーン樹脂フィルムを1枚のガラス板のコーティングした面の上に置き、もう1枚のガラス板のコーティングした面を補強されたシリコーン樹脂フィルムの露出面の上に置いた。8ポンドの鋼鉄ブロックを複合体上に置き、それをオーブン中で5℃/分の速度で130℃に加熱した。複合体をその温度で1時間保持した。オーブンを止めて、合わせガラスをオーブン内で室温まで冷却した。
【0095】
<実施例5>
シリコーン組成物CをMelinex(登録商標)516PETフィルム上に注型し、空気循環オーブン中120℃で10分間乾燥して、約0.006インチの厚さを有するシリコーン接着剤シートを製造した。
【0096】
実施例2で製造されたナトリウムポリシリケートコーティングしたガラス板2枚を湿度室から取り外した。ガラス板と同じ大きさを有するシリコーン樹脂接着剤フィルムの切片を、1枚のガラス板のコーティングした面の上に置いた。接着剤フィルムと同じ大きさを有する本ガラス布を慎重にフィルムの上に押し付けた。ガラス板と同じ大きさを有するシリコーン樹脂接着剤フィルムの第二切片を、ガラス布の上に均一に塗布し、もう1枚のガラス板のコーティングした面をシリコーン樹脂接着剤フィルムの露出面上に置いた。8ポンドの鋼鉄ブロックを複合体上に置き、それをオーブン中で5℃/分の速度で130℃に加熱した。複合体をその温度で1時間保持した。オーブンを止めて、合わせガラスをオーブン内で室温まで冷却した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一主表面および第二主表面を有する補強されたシリコーン樹脂フィルムと、
該フィルムの第一主表面上の第一ポリシリケートコーティングと、
該フィルムの第二主表面上の第二ポリシリケートコーティングと
を含む接着テープであって、該第一ポリシリケートコーティングおよび第二ポリシリケートコーティングそれぞれが50〜85%(w/w)の少なくとも1種のアルカリ金属ポリシリケートと15〜50%(w/w)の水とを含み、該アルカリ金属ポリシリケートが、少なくとも1.05の金属酸化物に対するシリカのモル比を有する接着テープ。
【請求項2】
前記補強されたシリコーン樹脂フィルムが、ガラス繊維を含む繊維補強材を含む請求項1に記載の接着テープ。
【請求項3】
前記アルカリ金属ポリシリケートが、ナトリウムポリシリケート、カリウムポリシリケートおよびリチウムポリシリケートから選択される請求項1に記載の接着テープ。
【請求項4】
前記アルカリ金属ポリシリケートが、ナトリウムポリシリケートである請求項3に記載の接着テープ。
【請求項5】
前記アルカリ金属ポリシリケートが、1.05〜50の金属酸化物に対するシリカのモル比を有する請求項1に記載の接着テープ。
【請求項6】
第一ポリシリケートコーティングおよび第二ポリシリケートコーティングそれぞれが20〜45%(w/w)の水を含む請求項1に記載の接着テープ。
【請求項7】
前記第一ポリシリケートコーティングおよび第二ポリシリケートコーティングの少なくとも一つが、単層コーティングである請求項1に記載の接着テープ。
【請求項8】
前記単層コーティングが、1〜15,000μmの厚さを有する請求項7に記載の接着テープ。
【請求項9】
前記第一ポリシリケートコーティングおよび第二ポリシリケートコーティングの少なくとも一つが、多層コーティングである請求項1に記載の接着テープ。
【請求項10】
前記多層コーティングが、1〜15,000μmの厚さを有する請求項9に記載の接着テープ。
【請求項11】
前記第一ポリシリケートコーティングおよび第二ポリシリケートコーティングの少なくとも一つが、前記補強されたシリコーン樹脂フィルムの対応する主表面上に直接接触している請求項1に記載の接着テープ。
【請求項12】
第一ガラス板と、
第一ガラス板の上に配置された少なくとも1枚の追加ガラス板と、
隣接するガラス板の相対する表面間の複合中間層と
を含む合わせガラスであって、該中間層は、第一主表面および第二主表面を有する補強されたシリコーン樹脂フィルムと、該フィルムの第一主表面上の第一ポリシリケートコーティングと、該フィルムの第二主表面上の第二ポリシリケートコーティングとを含み、該第一ポリシリケートコーティングおよび該第二ポリシリケートコーティングそれぞれが50〜85%(w/w)の少なくとも1種のアルカリ金属ポリシリケートと15〜50%(w/w)の水とを含み、アルカリ金属ポリシリケートが、少なくとも1.05の金属酸化物に対するシリカのモル比を有する合わせガラス。
【請求項13】
前記合わせガラスが1〜50枚の追加ガラス板を含有する請求項12に記載の合わせガラス。
【請求項14】
前記複合中間層が、隣接ガラス板の相対する表面間にかつ相対する表面に直接接触している請求項12に記載の合わせガラス。
【請求項15】
前記第一ポリシリケートコーティングおよび第二ポリシリケートコーティングの少なくとも一つが、単層コーティングである請求項12に記載の合わせガラス。
【請求項16】
前記単層コーティングが、1〜15,000μmの厚さを有する、請求項15に記載の合わせガラス。
【請求項17】
前記第一ポリシリケートコーティングおよび第二ポリシリケートコーティングの少なくとも一つが、多層コーティングである請求項12に記載の合わせガラス。
【請求項18】
前記多層コーティングが1〜15,000μmの厚さを有する請求項17に記載の合わせガラス。
【請求項19】
前記複合中間層が、前記第一ポリシリケートコーティングおよび前記第二ポリシリケートコーティングの少なくとも一つの上のシリコーン接着剤コーティングをさらに含み、該シリコーン接着剤コーティングは、少なくとも1つのシリコーン樹脂の硬化生成物である請求項12に記載の合わせガラス。
【請求項20】
前記シリコーン接着剤コーティングが、単層コーティングである請求項19に記載の合わせガラス。
【請求項21】
前記単層コーティングが、0.03〜300μmの厚さを有する請求項20に記載の合わせガラス。
【請求項22】
前記シリコーン接着剤コーティングが、多層コーティングである請求項19に記載の合わせガラス。
【請求項23】
前記多層コーティングが、2〜5つの層を含む請求項22に記載の合わせガラス。
【請求項24】
前記多層コーティングが、0.06〜300μmの厚さを有する請求項22に記載の合わせガラス。
【請求項25】
前記シリコーン接着剤コーティングが、前記補強されたシリコーン樹脂フィルムの前記第一ポリシリケートコーティングおよび前記第二ポリシリケートコーティングの少なくとも一つの上にかつ直接接触している請求項19に記載の合わせガラス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−523673(P2011−523673A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511697(P2011−511697)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/043686
【国際公開番号】WO2009/146254
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】