説明

接着剤組成物および接着フィルム

【課題】耐熱性に優れ、かつ容易に剥離する新規な接着剤組成物を提供する。
【解決手段】アルコキシスチレン構造を繰り返し単位として有する重合体を含む樹脂、および酸発生剤を含有することを特徴とする接着剤組成物。さらに好ましくは、上記樹脂を構成する繰り返し単位の総モル数に占める上記アルコキシスチレン構造の割合が、10%以上であることを特徴とする接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤組成物および接着フィルムに関する。より詳細には、本発明は、半導体ウェハーなどの半導体製品または光学系製品などの研削といった加工の工程において、製造中の製品に対してシートまたは保護基板を一時的に固定するための、接着剤組成物および接着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、デジタルAV機器およびICカードなどの高機能化にともない、搭載される半導体シリコンチップ(以下、チップ)の小型化、薄型化および高集積化に対する要求が高まっている。また、CSP(chip size package)およびMCP(multi-chip package)に代表される、複数のチップをワンパッケージ化する集積回路に対しても、その薄型化が求められている。薄型商品へのニーズに応えるためには、チップを150μm以下にまで薄くする必要がある。さらに、CSPおよびMCPにおいては100μm以下、ICカードにおいては50μm以下にチップを薄化加工する必要がある。ここで、一つの半導体パッケージ内に複数の半導体チップを搭載するシステム・イン・パッケージ(SiP)は、搭載されるチップを小型化し、薄型化し、高集積化することによって、電子機器の高性能化、小型化および軽量化を実現する上で非常に重要な技術である。
【0003】
従来、SiP製品には、積層したチップごとのバンプ(電極)と回路基板とを、ワイヤ・ボンディング技術によって配線する手法が用いられている。また、このような薄型化および高集積化への要求に応えるためには、ワイヤ・ボンディング技術ではなく、貫通電極を形成したチップを積層し、チップの裏面にバンプを形成する貫通電極技術も必要となる。
【0004】
薄型のチップは、例えば、高純度シリコン単結晶などをスライスしてウェハーとした後、ウェハー表面にICなどの所定の回路パターンをエッチング形成して集積回路を組み込み、得られた半導体ウェハーの裏面を研削機によって研削し、所定の厚さに研削した後の半導体ウェハーをダイシングしてチップ化することによって製造される。このとき、上記所定の厚さは、100〜600μm程度である。さらに、貫通電極を形成する場合のチップは、厚さ50〜100μm程度にまで研削される。
【0005】
半導体チップの製造において、半導体ウェハー自体が肉薄なために脆いだけでなく、回路パターンに凹凸があるので、研削工程またはダイシング工程への搬送時に外力が加わると破損しやすい。また、研削工程においては、生じた研磨屑の除去、または研磨時に発生する熱を逃がすことを目的として、精製水を半導体ウェハー裏面に流しながら研削処理する。このとき、洗浄など用いる精製水によって回路パターン面が汚染されることを防ぐ必要がある。そこで、半導体ウェハーの回路パターン面を保護するとともに、半導体ウェハーの破損を防止するために、回路パターン面に加工用粘着フィルムを貼着した上で、研削作業が行われている。
【0006】
上述の例以外に、貫通電極の形成などの裏面配線における高温プロセスを伴う工程は、半導体ウェハーを接着固定した状態において行われる。高温プロセスを伴う工程において好適に使用され得る接着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−43732号公報(2004年2月12日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、半導体プロセスの種々の処理工程に対応すること、ならびに半導体ウェハーに破損(クラックなど)を生じさせずに接着剤組成物を容易に剥離することを同時に考慮すると、特許文献1に開示されている接着剤組成物に対して、さらなる高温耐性および剥離の容易性が求められている。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、耐熱性に優れ、かつ容易に剥離する新規な接着剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の接着剤組成物は、アルコキシスチレン構造を繰り返し単位として有する重合体を含む樹脂、および酸発生剤を含有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の接着剤組成物は、アルコキシスチレン構造を有しているため、高温に対する耐性に優れる。また、酸発生剤から発生する酸の作用によってアルコキシスチレン構造の保護基が解離して、接着剤組成物の接着力が低下し、かつ溶剤に対する溶解性が向上する。よって、被接着物からの剥離および除去が容易である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔接着剤組成物〕
本発明に係る接着剤組成物の一実施形態について以下に説明する。
【0013】
本発明に係る接着剤組成物は、アルコキシスチレン構造を繰り返し単位として有する重合体を含む樹脂、および酸発生剤を含有する。
【0014】
本発明の接着剤組成物は、接着剤として用いるのであれば、具体的な用途は特に限定されない。本実施形態では、ウェハーサポートシステムのために、本発明の接着剤組成物を用いて、半導体ウェハーをサポートプレートに対して一時的に接着する用途を例に挙げて説明する。
【0015】
<樹脂成分>
「樹脂」は、アルコキシスチレン構造を繰り返し単位として有する重合体を1種類以上含んでいる。「樹脂」は、必要に応じて、アルコキシスチレン構造を繰り返し単位として有していない重合体を1種類以上含んでいてもよい。
【0016】
本発明において、後述する「樹脂を構成する繰返し単位の総数に占めるアルコキシスチレン構造(またはマレイミド基を有する構造)の割合」とは、樹脂を構成する上述した全重合体(2種類以上の重合体が含まれる場合は、すべての重合体)に含まれる繰返し単位の総数に占めるアルコキシスチレン構造(またはマレイミド基を有する構造)の割合を指す。
【0017】
(アルコキシスチレン構造)
本明細書において、アルコキシスチレン構造は、スチレンの芳香族環にある水素原子がアルコキシ基によって置換されている、カルボキシエステルスチレンを意味する。さらに、上記アルコキシ基は、酸の作用によって、スチレン構造に水酸基を残してアルキル基が解離するものであれば、特に限定されない。
【0018】
本発明に係るアルコキシスチレン構造は、一般式(1):
【0019】
【化1】

【0020】
(Rは、炭素数1〜15のアルキル基を表し;R’は存在しないか、または炭素数1〜5のアルキレン基を表し;Rは水素または炭素数1〜5のアルキル基を表し;R’は炭素数1〜5のアルキル基を表し;pは1〜3の整数を表し;qは0または1〜2の整数を表す)
によって表される化合物である。
【0021】
O(酸素)と共にアルコキシ基を形成するRは、炭素数1〜15のアルキル基のうち、炭素数4以上の第3級炭素原子を有するアルキル基であることが好ましい。
【0022】
pは1〜3の整数、好ましくは1である。pが1の場合、アルコキシ基を含むR’ORの結合位置はo−位、m−位またはp−位のいずれでもよい。pが1の場合、酸との接触が容易であることから、p−位が好ましい。pが2または3の場合、任意の結合位置の組合せであり得る。
【0023】
qは0〜2、好ましくは0または1、より好ましくは0である。qが1の場合、Rの結合位置はo−位、m−位またはp−位のいずれでもよい。pが2の場合、任意の結合位置の組合せであり得る。
【0024】
のアルキル基およびR’は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、もしくはネオペンチル基などの直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、このうち好ましくはメチル基である。
【0025】
本発明に係る接着剤組成物は、上述のように樹脂の成分にベンゼン環を含むスチレン構造を有しているので、高温に対する耐性に優れている。例えば、当該接着剤組成物は、後述の実施例のように、250℃以上の熱に対する耐性を有している。よって、本発明に係る接着剤組成物は、200℃を大きく上回る(例えば、250℃以上の)高温環境下にさらされる高温プロセスにおいて、安定な接着剤層を形成することができる。
【0026】
また、上記アルコキシスチレン構造は、酸の作用によって水酸基を残して解離するアルコキシ基を有する。このため、高温プロセス後における光の照射およびさらなる熱処理によって後述する酸発生剤から酸が生じて拡散するので、アルコキシスチレン構造は脱保護される(上記アルコキシ基のうちアルキル基が解離する)。上記脱保護が進行すると、樹脂は発泡してその接着力が低下する。また、上記脱保護によって、樹脂の極性溶媒に対する溶解性が向上する。すなわち、接着剤組成物は、必要に応じて被接着物からの剥離が容易になり、極性溶媒によって溶解される。よって、本発明に係る接着剤組成物は、強度の低い被接着物を破損させたり、被接着物に残渣が残ったりせずに、容易に被接着物から剥離される。
【0027】
酸の作用によってスチレンから解離するアルキル基(R)は、炭素数4以上の第3級炭素原子を有するアルキル基であることが好ましい。アルコキシスチレン構造(カルボキシエステルスチレン)の具体例としては、tert−ブトキシスチレンおよびtert−アミルオキシスチレンが挙げられる。これらのうち、安価であるという観点から、tert−ブトキシスチレンが好ましい。アルコキシスチレン構造は、上述のようなアルコキシスチレン構造から選択された1種類、または2種類以上の組合せを意味する。アルコキシスチレン構造が2種類以上含まれる場合、当該構造は、樹脂を構成する1種類の重合体に含まれるか、または樹脂を構成する2種類以上の重合体に種々の組合せとして含まれる。
【0028】
また、本発明に係る接着剤組成物において、樹脂を構成する繰り返し単位の総モル数に占めるアルコキシスチレン構造の割合は、10%以上であることが好ましく、10%以上、90%以下であることがより好ましい。樹脂に含まれるアルコキシスチレン構造の割合が上記範囲内であれば、優れた高温耐性をより一層確実に維持しつつ、樹脂を構成する繰り返し単位として種々の成分を選択可能である。
【0029】
(マレイミド基を有する構造)
本発明に係る接着剤組成物は、マレイミド基を有する構造(マレイミド基を有する繰り返し構造)をさらに含み得る。マレイミド基を有する構造およびアルコキシスチレン構造を樹脂に含む接着剤組成物は、重合体の主鎖にイミド環(イミド基を含む複素環)を有する。従って、当該接着剤組成物は、耐熱性に優れるだけでなく、高温環境下(特に250℃以上)における高い接着強度を実現する。マレイミド基を有する構造は、アルコキシスチレン構造を繰り返し単位として有する重合体に含まれ得るか、またはアルコキシスチレン構造を繰り返し単位として有していない重合体に含まれ得る。
【0030】
マレイミド基を有する構造を導入する方法として、例えば、マレイミド基を有する単量体を単独に重合する方法、または他の単量体成分と共重合する方法などが挙げられる。
【0031】
マレイミド基を有する単量体は、マレイミド基を有しており、かつ他の単量体成分と共重合可能または単独に重合可能であれば特に限定されないが、一般式(2):
【0032】
【化2】

【0033】
(R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、または炭素数1〜20の有機基を表し、かつ当該有機基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、およびハロゲン原子を含み得る)
によって表される化合物であることが好ましい。
【0034】
上記一般式(2)においてRまたはRによって表される有機基は、水素原子、メチル基、エチル基であることが好ましく、特に、水素原子であることがより好ましい。
【0035】
上記一般式(2)においてRによって表される有機基としては、直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、脂肪族環式炭化水素基、アリール基、アラルキル基、およびマレイミド基を有する有機基が好ましく、特に、アルキル基、脂肪族環式炭化水素基、アリール基がより好ましい。
【0036】
本明細書において、「脂肪族」は、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を有していない基または化合物などを意味する。例えば、「脂肪族環式炭化水素基」は、芳香族性を有していない単環式炭化水素基または多環式炭化水素基を意味する。
【0037】
また、Rによって表されるアルキル基、脂肪族環式炭化水素基、およびアリール基は、置換基を有し得る。当該置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、および炭素数3〜6の脂肪族環式炭化水素基などが挙げられる。本明細書において、「置換基を有する」は、アルキル基、脂肪族環式炭化水素基、またはアリール基における水素原子の一部または全部が、置換基で置換されている状態を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子などが挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
【0038】
によって表されるアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ラウリル基およびステアリル基などが挙げられ、特に、メチル基が好ましい。
【0039】
によって表される有機基がアルキル基である、マレイミド基を有する単量体の例としては、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−sec−ブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−n−へプチルマレイミド、N−n−オクチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、およびN−ステアリルマレイミドなどが挙げられ、特に、工業的な供給安定性および優れた耐熱性という観点から、N−メチルマレイミドが好ましい。
【0040】
によって表される脂肪族環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびシクロオクチル基などが挙げられ、特に、シクロヘキシル基が好ましい。
【0041】
によって表される有機基が脂肪族環式炭化水素基である、マレイミド基を有する単量体の例としては、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミドなどが挙げられ、特に、工業的供給安定性および優れた耐熱性という観点から、N−シクロヘキシルマレイミドが好ましい。
【0042】
によって表されるアリール基としては、フェニル基およびメチルフェニル基などが挙げられ、特に、フェニル基が好ましい。
【0043】
によって表される有機基がアリール基を有する、マレイミド基を有する単量体の例としては、N−フェニルマレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミド、およびN−p−メチルフェニルマレイミドなどが挙げられ、特に、工業的な供給安定性および優れた耐熱性という観点から、N−フェニルマレイミドが好ましい。
【0044】
これらの他に、マレイミド基を有する単量体として、N−ベンジルマレイミド、N−フェネチルマレイミド、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチル−ビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、およびN,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミドなどが挙げられる。
【0045】
なお、接着剤組成物に含まれる樹脂を構成するマレイミド基を有する構造は、1種類を選択して用い得るか、または2種類以上を選択して混合したものを用い得る。
【0046】
樹脂におけるマレイミド基を有する構造の含有量は、特に限定されるものではなく、所望する接着剤組成物の性質(耐熱性および接着強度など)に応じて、適宜選択すればよい。樹脂の総量を100質量部としたとき、マレイミド基を有する構造(マレイミド基を有する繰り返し構造)の含有量は、5質量部以上、50質量部以下であることが好ましく、20質量部以上、40質量部以下であることがより好ましい。5質量部以上、50質量部以下であれば、得られる接着剤層の耐熱性、および高温環境下における接着強度をさらに向上させることが可能である。
【0047】
(樹脂に含まれる他の成分)
樹脂は、上述の化合物の他に本質的な特性(耐熱性および剥離容易性など)を損なわない限り、繰り返し単位として従来公知の種々の化合物を含み得る。本質的な特性を損なうとは、例えば、酸の作用によって繰り返し単位に脱保護(極性変換)が生じること、ならびに接着剤組成物の耐熱温度を所望の温度未満に低下させることである。樹脂は、接着剤組成物の樹脂に通常含まれる、このような現象を生じない化合物であれば、あらゆる化合物を繰り返し単位として含み得る。
【0048】
樹脂には、例えば、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルがさらに含まれ得る。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、鎖式構造からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステル、脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステル、および芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0049】
鎖式構造からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、炭素数15〜20のアルキル基を有するアクリル系長鎖アルキルエステル、および炭素数1〜14のアルキル基を有するアクリル系アルキルエステル等が挙げられる。
【0050】
アクリル系長鎖アルキルエステルとしては、アルキル基がn−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等であるアクリル酸、およびメタクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。なお、当該アルキル基は、分岐状であり得る。
【0051】
炭素数1〜14のアルキル基を有するアクリル系アルキルエステルとしては、既存のアクリル系接着剤に用いられている公知のアクリル系アルキルエステルが挙げられる。例えば、アルキル基が、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、ドデシル基、ラウリル基、もしくはトリデシル基などからなるアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。
【0052】
脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、およびジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート等が挙げられる。
【0053】
芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、芳香族環としては、例えばフェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェノキシメチル基、およびフェノキシエチル基などが挙げられる。また、芳香族環は、炭素数1〜5の鎖状または分岐状のアルキル基を有し得る。具体的には、フェノキシエチルアクリレートが好ましい。
【0054】
(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルの樹脂における含有量は、共重合反応が進む限り、限定されるものではなく、所望する接着剤組成物の性質(耐熱性および接着強度など)に応じて、適宜選択すればよい。目的とする接着強度または耐熱性などの接着剤組成物の性質に応じて、適宜定めればよい。例えば、樹脂の総量を100質量部としたとき、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、5質量部以上、50質量部以下であることが好ましく、5質量部以上、40質量部以下であることがより好ましい。5質量部以上とすることで、組成物の柔軟性が増すのでクラック耐性が向上して、組成物を積層した場合に良好な表面が得られ、50質量部以下とすることで、耐熱性が向上する。
【0055】
<酸発生剤>
本発明に係る接着剤組成物は、酸発生剤をさらに含有している。上記酸発生剤は、特に限定されないが、酸を発生する当業者に公知の化合物である。上記酸発生剤としては、光の照射によって酸を発生する光酸発生剤が好ましい。
【0056】
ここで、本発明に係る接着剤組成物において、樹脂100質量部に対する酸発生剤の割合は、0.1質量部以上、10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上、5質量部以下であることがより好ましい。接着剤組成物に含まれる酸発生剤の割合がこのような範囲内にあれば、酸を発生させるための処理(例えば、露光)を短時間に行うことができ、かつ高温による酸発生剤の分解をより確実に防止することができる。
【0057】
酸発生剤の例としては、ヨードニウム塩およびスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルスルホニルジアゾメタン類またはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ならびにジスルホン系酸発生剤などが挙げられ得る。これらの酸発生剤のうち、オニウム塩系酸発生剤は分解温度が高く高温プロセスに適している。よって、オニウム塩系酸発生剤の詳細を、酸発生剤の一例として以下に説明する。
【0058】
オニウム塩系酸発生剤は、例えば、一般式(3)または(4):
【0059】
【化3】

【0060】
(R〜R、R10〜R11は、それぞれ独立して、アリール基またはアルキル基を表し;R〜Rのうち何れか2つが相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよく;Rは、置換または非置換のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表し;R〜Rのうち少なくとも1つはアリール基を表し、R10〜R11のうち少なくとも1つはアリール基を表す)
によって表される化合物である。
【0061】
なお、R〜Rのうち少なくとも1つはアリール基を表すが、R〜Rのうち、2つ以上がアリール基であることが好ましく、R〜Rのすべてがアリール基であることが最も好ましい。
【0062】
〜Rのアリール基は、特に限定されないが、例えば炭素数6〜20のアリール基である。当該アリール基は、その水素原子の一部もしくは全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または水酸基などに置換されるか、または非置換である。また、アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。このようなアリール基の例としては、フェニル基およびナフチル基が挙げられる。
【0063】
上記アリール基の水素原子が置換され得るアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基またはtert−ブチル基がより好ましい。上記アリール基の水素原子が置換され得るアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基またはtert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基またはエトキシ基が最も好ましい。上記アリール基の水素原子が置換され得るハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
【0064】
〜Rのアルキル基は、特に限定されないが、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基などである。これらのアルキル基は、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基またはデカニル基などである。これらのうち安価に合成可能なことから、メチル基が好ましい。
【0065】
〜Rのうち何れか2つが相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成する場合、当該環は、硫黄原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることがより好ましい。上記環は、例えば、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、9H−チオキサンテン、チオキサントン、チアントレン、フェノキサチイン、テトラヒドロチオフェニウム、またはテトラヒドロチオピラニウムである。また、R〜Rのうち何れか2つが相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成する場合、当該環を形成しない残りの1つは、アリール基であることが好ましい。当該アリール基の定義は、上述したR〜Rのアリール基の定義と同じである。
【0066】
は、置換または非置換のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表す。Rにおけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり得る。上記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがより好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。上記環状のアルキル基は、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがより好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
【0067】
におけるハロゲン化アルキル基は、例えば上記直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基における水素原子の一部または全部がハロゲン原子に置換されているアルキル基である。当該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などが挙げられ、中でもフッ素原子が好ましい。ハロゲン化アルキル基において、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の総数に対するハロゲン原子の総数の割合(ハロゲン化率(%))としては、10%以上、100%以下が好ましく、50%以上、100%以下がより好ましく、100%が最も好ましい。酸の強度が強くなるので、ハロゲン化アルキル基のうち、上記ハロゲン化率が高いものほど好ましい。
【0068】
におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
【0069】
におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
【0070】
において、「置換または非置換の」は、上記直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)に置換されている状態、または当該水素原子のすべてが置換されていない状態であり得ることを意味する。Rにおける置換基の数は1つ以上であり得る。当該置換基は、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、またはアルキル基などである。当該ハロゲン原子またはアルキル基の定義は、上述したハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子またはアルキル基の定義と同じである。当該ヘテロ原子は、例えば、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子などである。
【0071】
一般式(3)および(4)によって表されるオニウム塩系酸発生剤の例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ならびに1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネートなどが挙げられる。
【0072】
また、これらのオニウム塩のアニオン部をメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネートまたはn−オクタンスルホネートなどのアルキルスルホネートに置き換えたオニウム塩を、酸発生剤として使用し得る。
【0073】
さらに、オニウム塩系酸発生剤は、一般式(3)または(4)のアニオン部が一般式(5a)または(5b):
【0074】
【化4】

【0075】
(X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”およびZ”は、それぞれ独立して、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す)
によって表されるアニオン部に置き換えられた化合物であり得る(カチオン部は一般式(3)または(4)のカチオン部と同じである)。
【0076】
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。当該アルキレン基の炭素数は2〜6、好ましくは3〜5、最も好ましくは3である。Y”、Z”は、それぞれ独立して、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。当該アルキル基の炭素数は1〜10、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜3である。
【0077】
X”のアルキレン基、またはY”およびZ”のアルキル基の炭素数は、溶媒に対する溶解性の高さなどの観点から、上述の範囲内において小さいほど好ましい。また、X”のアルキレン基、またはY”およびZ”のアルキル基において、フッ素原子に置換されている水素原子の数が大きいほど、酸の強度が強くなり、かつ200nm以下の高エネルギー光または電子線に対する透過性が向上するので好ましい。当該アルキレン基またはアルキル基におけるフッ素原子の割合(フッ素化率(%))は、好ましくは70%以上、100%以下、より好ましくは90%以上、100%以上、最も好ましく100%である。全ての水素原子がフッ素原子に置換された(フッ素化率100%の)アルキレン基またはアルキル基は、パーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
【0078】
さらに、オニウム塩系酸発生剤は、一般式(6a)または(6b):
【0079】
【化5】

【0080】
(R21〜R26は、それぞれ独立して、アルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基またはヒドロキシアルキル基を表し;n〜nはそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;nは0〜2の整数である)
によって表されるアニオン部を有するスルホニウム塩であり得る。
【0081】
21〜R26において、アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、このうち直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、またはtert−ブチル基が最も好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、このうち直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基またはエトキシ基が最も好ましい。ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基における1つ以上の水素原子がヒドロキシ基に置換されていることが好ましい。ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、またはヒドロキシプロピル基などが挙げられる。
【0082】
〜nが2以上の整数である場合、複数のR21〜R26のそれぞれは、同じであるかまたは異なる。nは、好ましくは0、1または2であり、より好ましくは0または1であり、最も好ましくは0である。nおよびnは、好ましくはそれぞれ独立して0または1であり、より好ましくは0である。nは、好ましくは0、1または2であり、より好ましくは0または1である。nは、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。nは、好ましくは0または1であり、より好ましくは1である。
【0083】
なお、本発明に係る接着剤組成物は、上述のようなオニウム塩系酸発生剤および公知の酸発生剤のうちいずれか1種、または2種以上の組合せを本発明に係る酸発生剤として含有し得る。
【0084】
<接着剤組成物における他の成分>
本発明に係る接着剤組成物には、本発明における本質的な特性を損なわない範囲において、混和性を有する添加剤、例えば接着剤の性能を改良するための付加的な樹脂、可塑剤、接着助剤、安定剤、着色剤および界面活性剤などの当該分野において慣用されているものをさらに添加することができる。
【0085】
例えば、本発明に係る接着剤組成物は、任意の成分として含窒素有機化合物をさらに含有してもよい。含窒素有機化合物は、酸拡散制御剤、すなわち露光により酸発生剤から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものであれば特に限定されない。酸拡散制御剤として作用する含窒素有機化合物は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に選択すればよい。これらのうち脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンまたは第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、当該脂肪族基は炭素数1〜20であることが好ましい。
【0086】
脂肪族アミンとしては、例えばアンモニアNHの水素原子の少なくとも1つが、炭素数20以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基に置換されたアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)または環式アミンが挙げられる。
【0087】
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミンなどのモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどのジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミンなどのトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミンなどのアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアミンおよび/またはアルキルアルコールアミンが好ましい。
【0088】
環式アミンとしては、例えばヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。当該複素環化合物は、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)、または多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であり得る。
【0089】
脂肪族単環式アミンとしては、例えばピペリジンまたはピペラジンなどが挙げられる。
【0090】
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、例えば1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミンまたは1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどが挙げられる。
【0091】
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールもしくはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミンまたはトリベンジルアミンなどが挙げられる。
【0092】
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、またはトリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミンなどが挙げられる。
【0093】
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0094】
樹脂100質量部に対する含窒素有機化合物の割合は、通常、0.01質量部以上、5.0質量部以下の範囲内である。上記範囲内であれば、酸を発生させる際の露光量を低減させることができるという利点がある。
【0095】
さらに、接着剤組成物は、本発明における本質的な特性を損なわない範囲において、有機溶剤を用いて希釈することによって、粘度を調整してもよい。有機溶剤としては、接着剤組成物に含まれる他の成分を溶解し、均一に溶液化できるものであればよい。よって、本発明に使用し得る有機溶剤は、従来公知のあらゆる有機溶剤から1種または2種以上を必要に応じて選択すればよい。
【0096】
有機溶剤の例としては、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘプタノン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、または2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、またはジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エステル結合(エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテートなど)する化合物、またはエーテル結合(上記多価アルコール類または上記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、またはモノブチルエーテルなどのモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル)を有する化合物などの多価アルコール類の誘導体(これらのうちプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい);ジオキサンなどの環式エーテル類、または乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、もしくはエトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ならびにアニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、またはメシチレンなどの芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
【0097】
これらの有機溶剤は単独の溶剤、または2種以上の混合溶剤として使用し得る。
【0098】
これらのうち、単独で使用する場合の有機溶剤としては、PGMEA、PGME、またはELが好ましい。
【0099】
有機溶剤の使用量は、接着剤組成物を塗布することを所望する膜厚に応じて適宜選択されるものであって、接着剤組成物が半導体ウェハーなどの支持体上に塗布可能な濃度になる範囲内にあればよく、特に限定されない。一般的には、接着剤組成物の固形分濃度が10質量%以上、60質量%以下、好ましくは20質量%以上、45質量%以下の範囲内になる量として用いられる。
【0100】
〔(共)重合反応〕
樹脂の調製に(共)重合反応を利用する場合は、公知の方法によって行えばよく、その方法は特に限定されない。例えば、既存の攪拌装置を用いて単量体組成物を攪拌することによって、本発明に係る接着剤組成物を得ることができる。
【0101】
(共)重合反応における温度条件は、適宜設定すればよく、限定されないが、好ましくは60℃以上、150℃以下であり、さらに好ましくは70℃以上、120℃以下である。
【0102】
また、(共)重合反応において、必要に応じて溶媒を用いてもよい。溶媒としては、上述の有機溶剤が挙げられるが、特にPGMEAが好ましい。
【0103】
また、本発明に係る接着剤組成物を得るための共重合反応において、必要に応じて重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、および4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などのアゾ化合物;ならびにデカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、コハク酸ペルオキシド、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルへキサノエート、tert−ブチルペルオキシピバレート、および1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物が挙げられる。重合開始剤は、これらの内の1種類を用いてもよく、必要に応じて2種類以上を混合して用いてもよい。また、重合開始剤の使用量は、単量体組成物の組み合わせまたは反応条件などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
【0104】
〔接着フィルム〕
本発明に係る接着フィルムは、フィルム上に、上記の何れかの接着剤組成物を含有する接着剤層を備えている。当該接着フィルムは、接着フィルム法の過程において得られる。当該接着フィルム法とは、予め可撓性フィルムなどの一時的に基材になるフィルム上に上記の何れかの接着剤組成物を含む接着剤層を形成した後、乾燥させておき、接着フィルムを、被加工体に貼り付けて使用する方法である。
【0105】
上述の〔接着剤組成物〕の項に記載のように接着剤組成物がアルコキシスチレン構造を繰り返し単位として有する樹脂を含有するので、当該接着剤組成物によって構成される接着剤層は、耐熱性に優れている。また、接着剤組成物は、酸発生剤をさらに含有するので、光の照射に続く高温処理によって接着強度が低下する。すなわち、本発明に係る接着フィルムは、耐熱性に優れ、所望のタイミングにおける剥離性に優れている。
【0106】
接着フィルムは、接着剤層の接着面に保護フィルムが被覆された構成を有していてもよい。当該構成を採用した場合には、接着剤層上の保護フィルムを剥離し、かつ被加工体の上に接着剤層の露出した接着面を重ねた後に、接着剤層からフィルム(可撓性フィルムなど)を剥離することによって被加工体上に接着剤層を容易に設けることができる。
【0107】
ここで、上述した本発明に係る接着剤組成物は、用途に応じて様々な利用形態を採用することができる。例えば、液状のまま、半導体ウェハーなどの被加工体の上に塗布して接着剤層を形成する方法を用いてもよい。一方で、本発明に係る接着フィルムを用いれば、被加工体に対して直接に接着剤組成物を塗布して接着剤層を形成する場合と比較して、膜厚均一性および表面平滑性の良好な接着剤層を形成することができる。
【0108】
本発明に係る接着フィルムの製造に使用する接着層形成用のフィルムは、フィルム上に製膜された接着剤層を当該フィルムから剥離可能であり、かつ接着剤層を保護基板やウェハーなどの被処理面上に転写できる離型フィルムであればよく、他の点に関して特に限定されない。接着層形成用の当該フィルムの例としては、膜厚15μm以上、125μm以下のポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、またはポリ塩化ビニルなどを材料とする合成樹脂フィルムからなる可撓性フィルムが挙げられる。上記フィルムは、必要に応じて、転写を容易にする離型処理を施されていることが好ましい。
【0109】
上記フィルム上に接着剤層を形成する方法は、所望する接着剤層の膜厚または均一性に応じて適宜、公知の方法から選択されればよく、特に限定されない。公知の方法の例としては、アプリケーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、またはカーテンフローコーターなどを用いて、フィルム上に形成される乾燥後の接着剤層の膜厚が10μm以上、1000μm以下を有するように、本発明に係る接着剤組成物を塗布する方法が挙げられる。特に、ロールコーターは、膜厚の均一性に優れた接着剤層の形成、および厚さの厚い膜を効率よく形成することに適しているため好ましい。
【0110】
また、保護フィルムを用いる場合、保護フィルムは、接着剤層から剥離可能なフィルムであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、およびポリエチレンフィルムなどが好ましい。また、各保護フィルムは、シリコンがコーティングされているか、または焼き付けられていることが好ましい。これは、接着剤層からの剥離が容易だからである。保護フィルムの厚さは、特に限定されないが15μm以上、125μm以下であることが好ましい。これは、保護フィルムを備えた接着フィルムの柔軟性を確保できるからである。
【0111】
接着フィルムの使用方法としては、特に限定されないが、例えば、保護フィルムを用いる場合には、保護フィルムを剥離し、被加工体の上に接着剤層の露出した接着面を重ねた後に、フィルム側(接着剤層の形成された面の裏面側)から加熱ローラを回転移動させることによって、接着剤層を被加工体の表面に熱圧着させる方法が挙げられる。なお、巻き取りローラなどのローラを用いてロール状にして順次、接着フィルムから剥離した保護フィルムを巻き取れば、当該保護フィルムは保存して再利用可能である。
【0112】
本発明に係る接着剤組成物は、用途に関して特に限定されないが、半導体ウェハーなどの基板に対して、半導体ウェハーの精密加工に用いる保護基板を接着する接着剤組成物として好適に使用される。本発明の接着剤組成物は、特に、半導体ウェハーなどの基板を研削して薄板化する際に、サポートプレートに当該基板を貼り付ける接着剤組成物(を含む接着剤層)として、好適に使用される(例えば、特開2005−191550号公報を参照すればよい)。
【0113】
〔剥離液〕
本発明に係る接着剤組成物を除去するための剥離液として、当該分野において一般的な剥離液を使用可能であるが、特にPGMEA、酢酸エチル、またはメチルエチルケトンを主成分とする剥離液が環境負荷および剥離性の観点から好ましく使用される。
【実施例】
【0114】
本発明に係る接着剤組成物の実施例を以下に示す。なお、以下に示す実施例は、本発明の理解を助ける例示であって、本発明を何ら限定するものではない。
【0115】
<接着剤組成物の組成>
本発明の実施例および比較例の組成物として、組成の異なる複数の接着剤組成物を調製した。調製した接着剤組成物のそれぞれが有する組成を以下の表1に示す。
【0116】
【表1】

【0117】
(各接着剤組成物における各成分の詳細)
樹脂1は、p−ヒドロキシスチレンおよびp−tert−ブトキシスチレンを12:88のモル比で含む樹脂である。
樹脂2は、p−ヒドロキシスチレンおよびp−tert−ブトキシスチレンを54:46のモル比で含む、樹脂1と同種の樹脂である。
樹脂3は、p−ヒドロキシスチレンおよびp−tert−ブトキシスチレンを、80:20のモル比で含む、樹脂1と同種の樹脂である。
樹脂4は、p−tert−ブトキシスチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸n−ブチル、およびジメチロール−トリシクロデカンジアクリレートを、52:15:10:13:10のモル比で含むランダム共重合体の樹脂である。
樹脂5は、シクロヘキシルマレイミド、N−フェニル−マレイミド、スチレンおよびメタクリル酸メチルを、20:20:10:50のモル比で含むランダム共重合体の樹脂である。
樹脂6は、p−tert−ブトキシスチレン、メタクリル酸メチルおよびシクロヘキシルマレイミドを、40:30:30のモル比で含むランダム共重合体の樹脂である。
樹脂7は、p−tert−ブトキシスチレン、メタクリル酸メチルおよびシクロヘキシルマレイミドを、30:30:40のモル比で含む樹脂6と同種の樹脂である。
樹脂8は、p−tert−ブトキシスチレン、メタクリル酸メチル、シクロヘキシルマレイミドおよびアクリル酸を、40:30:25:5のモル比で含むランダム共重合体の樹脂である。
なお、実施例6および7における樹脂は、樹脂1および樹脂5を有機溶剤に溶解して混合した混合物であって、各組成の共重合体ではない。
樹脂9は、メタクリル酸tert−ブチルおよびアクリル酸を、95:5のモル比で含むランダム共重合体の樹脂である。
樹脂10は、p−ヒドロキシスチレンおよび保護基としてp−ヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を1−エトキシエチル基で置換した構造を、65:35のモル比で含む樹脂である。
樹脂11は、シクロヘキシルマレイミド、N−フェニル−マレイミド、スチレンおよびメタクリル酸メチルを、20:20:10:50のモル比で含むランダム共重合体の樹脂である。
酸発生剤1は、ジナフチルフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートである。
酸発生剤2は、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートである。
酸拡散制御剤1は、トリエタノールアミンである。
酸拡散制御剤2は、トリ−n−オクチルアミンである。
有機溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)である。
【0118】
<接着剤組成物の評価>
実施例および比較例の上記接着剤組成物のそれぞれについて、耐熱性(脱ガス温度)および剥離の容易性を評価した。
【0119】
(耐熱性の評価)
実施例および比較例の接着剤組成物のそれぞれを、半導体ウェハー上に膜厚15μmの層になる量をスピン塗布し、110℃または150℃でベークした。その後、ベアガラスを接着剤組成物の層の上において、150℃でベークしてベアガラスを貼り付けた。各接着剤組成物を用いてベアガラスに貼り付けた半導体ウェハーの耐熱性を、耐熱性試験によって脱ガス温度から評価した。脱ガス温度は、TDS測定によって強度が20万を超えたときの温度である。実施例および比較例の上記接着剤組成物のそれぞれが有する脱ガス温度は、表2に示した通りである。
【0120】
(剥離の容易性の評価)
各接着剤組成物を用いてベアガラスに貼り付けた半導体ウェハーに、10mW/cmの散乱光(g、hおよびi線を含む)をベアガラス側から1分間にわたって照射した。その後、110℃または140℃でさらにベークした。各ベーク温度条件において、半導体ウェハーに損傷を与えることなく容易に剥離したものを「○」、そうではなかったものを「×」と評価した。これらの各評価は、表2に示す通りである。
【0121】
【表2】

【0122】
表2に示すとおり本発明に係る実施例1〜14の接着剤組成物は、250℃以上の脱ガス温度を示し、高温に対する耐性が非常に優れていることが確認された。特に、実施例4、5および8〜14の接着剤組成物は、マレイミド基を有する構造、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルまたはこれらの組合せのいずれかを樹脂成分として含むので、285℃以上の脱ガス温度を示し、非常な高温に対してさえ耐性を示すことが確認された。また、UV露光後に140℃でベークすれば、実施例1〜14の接着剤組成物は、接着強度が大きく低下して半導体ウェハーに損傷を与えることなく容易に剥離した。特に、実施例1、2、4、6、7、10、11、13および14の接着剤組成物は、UV露光後に110℃でベークすれば、容易に剥離することがわかった。
【0123】
一方、いずれもアルコキシスチレン構造(ここではp−ブトキシスチレン)を有してない比較例1〜3の接着剤組成物は、脱ガス温度が低く耐熱性に問題がある(比較例1)か、または耐熱性に優れていても、半導体ウェハーからベアガラスを問題なく剥離できなかった(比較例2および3)。
【0124】
以上の結果から明らかなように、アルコキシスチレン構造を繰り返し単位として含む樹脂、および酸発生剤を含有する接着剤組成物は、耐熱性に優れ、剥離が容易である。よって、上記接着剤組成物は、高温(例えば、250℃以上)のプロセスに対応可能であり、かつ剥離に際して半導体ウェハーに損傷を与えないので、生産歩留まりを向上させる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明によれば、様々な製品の製造に適用される高温プロセスにおいて好適に使用可能な接着剤組成物および接着フィルムを提供することができる。特に、250℃以上の高温環境に暴露して、半導体ウェハーまたはチップを加工する工程において好適な接着剤組成物および接着フィルムを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシスチレン構造を繰り返し単位として有する重合体を含む樹脂、および酸発生剤を含有することを特徴とする接着剤組成物。
【請求項2】
上記樹脂を構成する繰り返し単位の総モル数に占める上記アルコキシスチレン構造の割合が、10%以上であることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
上記アルコキシスチレン構造が、tert−ブトキシスチレン構造またはtert−アミルオキシスチレン構造であることを特徴とする請求項1または2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
上記樹脂がマレイミド基を有する繰り返し構造をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
上記樹脂100質量部に対する上記酸発生剤の割合が、0.1質量部以上、10質量部以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
フィルム上に、請求項1〜5の何れか1項に記載の接着剤組成物を含有する接着剤層を備えることを特徴とする接着フィルム。

【公開番号】特開2011−26548(P2011−26548A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115287(P2010−115287)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】