説明

接着力が向上した回路材料、同回路材料の製造方法および同回路材料から形成される物品

導電性金属層または誘電体回路基板層と、この導電性金属層または誘電体基板層上に配置されている接着剤層とを含む回路材料であって、接着剤がポリ(アリーレンエーテル)と、ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーとを含む回路材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により本明細書中に全体が援用される2006年8月8日に出願された米国仮特許出願第60/821,710号の優先権を主張する。
【0002】
(背景)
本発明は一般に回路材料、これらの回路材料の製造方法およびこれらの回路材料から形成される物品に関する。
【0003】
本発明で使用する回路材料は、回路および多層回路の製造において使用する物品であり、回路積層板、接着プライ(bond ply)、樹脂をコーティングした導電層およびカバー膜を備える。回路積層板は、誘電体基板層に導電層、たとえば銅が固定して取り付けられている回路材料の1種である。ダブルクラッド回路積層板は導電層を2層有し、誘電体基板層の両側に1層ずつ有する。たとえばエッチングによる、積層板の導電層のパターニングにより、回路が提供される。多層回路は複数の導電層を備え、これら導電層の少なくとも1層が導電配線パターンを含む。通常、多層回路は、熱および/または圧力を用いて正しく配列した接着プライと、場合によっては樹脂をコーティングした導電層とを一緒に用いて1つまたは複数の回路を積層することによって形成される。積層により多層回路を形成した後、公知の孔形成およびめっき技術を使用して、導電層間に有用な電気経路を生成することができる。
【0004】
歴史的には、回路基板は、ガラス繊維強化エポキシ樹脂で作製されてきた。比較的極性があるエポキシ材料は、銅箔などの金属表面と比較的うまく接着する。しかしながら、エポキシ樹脂中の極性基により誘電率も比較的高くなり、散逸率も高くなる。より高い周波数で作動する電子機器には、誘電率が低く散逸率が低い回路基板を使用することが必要となる。ポリブタジエン、ポリイソプレンまたはポリフェニレンオキシドポリマー系に基づく樹脂系など比較的非極性の樹脂系を用いることによって、より優れた電気的性能が実現される。これらの樹脂系の極性がより低いことの望ましくない結果が、金属表面との結合が本質的により弱いことである。
【0005】
加えて、電子機器およびこれら電子機器についてのフィーチャ(feature)がより小さくなるにつれて、ガラス転移温度が高い基板の使用により密度の高い回路レイアウトの作製が容易となる。しかしながら、誘電率が低く、散逸率が低く、ガラス転移温度が高い誘電体基板を使用すると、導電層と誘電体基板層との間の接着力が低下することがある。導電層が、粗さの少ないまたは非常に少ない銅箔(薄型銅箔)である場合には、接着力がさらに激しく低下することがある。このような箔は、エッチング画定を改善するための密度の高い回路設計において、また粗さによる導体損失を下げるための高周波用途において望ましく使用される。
【0006】
誘電体回路基板と導電層表面との間の接着を向上させるために、多くの努力が行われてきた。たとえば、様々な具体的なポリマー組成物の使用が開示されてきた。HolmanのPCT出願第99/57949号は、回路積層板の剥離強度を向上させるために分子量が約4,500を超えるエポキシまたはフェノキシ樹脂を使用することを開示している。Poutasseの米国特許第6,132,851号もまた、回路基板への接着力を向上させるための手段としてフェノールレゾール樹脂/エポキシ樹脂組成物をコーティングした金属箔の使用を開示している。Kohmの米国特許第4,954,185号には、プリント回路積層板用のコーティングした金属箔を製造するための2段階プロセスが記載されており、第1の段階は、金属基板表面上に金属酸化物層を形成するための化学的プロセスであり、第2の段階は、ポリ(ビニルアセタール)/熱硬化性フェノール組成物の塗布である。米国特許第5,194,307号においてGardeskiは、1種または複数種のエポキシ成分と高分子量ポリエステル成分とを有する接着剤組成物について記載している。硬化した接着剤層は可撓性であり、可撓性回路基板(たとえば、ポリイミドフィルム)に金属箔を接着させるために使用することができる。Yokonoらは米国特許第5,569,545号において、おそらく樹脂と架橋し銅と化学的に結合するとされる様々な硫黄含有化合物の使用により得られる、銅クラッド回路積層板における接着力の向上について記載している。硫黄含有化合物の存在が望ましくなく、腐食する傾向の増大が生じてしまうことがある。Landiらの米国特許出願公開第2005/0208278号には、非硫黄硬化剤を含む付着促進エラストマー層の使用が開示されている。しかしながら、実際には、付着促進エラストマー層により表面が柔らかくなることがあり、加工中の損傷に対処する可能性が高まることがわかっている。最後に、PoutasseおよびKovacsは米国特許第5,622,782号において、別の基板との箔の接着力を向上させるために多成分オルガノシラン層を使用している。銅箔製造業者は、最後の製造ステップとして彼らの箔にシラン処理を施すことができ、多くの場合独占所有権のあるシラン組成物は一般に、顧客の基板と適合するように選択される。
【0007】
Poutasseらが米国特許第5,629,098号に言及しているように、金属および基板への優れた接着力(剥離強度によって測定される)を提供する接着剤は一般に、満足のいかない高温安定性(はんだ膨れ抵抗試験において測定される)しか有していない。逆に、優れた高温安定性を提供する接着剤は一般に、満足のいかない接着力しか有していない。したがって、導電性金属と回路基板、特に、誘電率、散逸率が低くガラス転移温度が高い薄く剛性の熱可塑性基板との、高温で接着性を維持する接着力を向上させるための方法の必要性が、当技術分野では依然として存在する。接着剤がBステージを必要としない場合、および/または接着剤の使用が得られた回路材料の電気的および機械的特性に悪影響を及ぼさないことが有利なはずである。
【0008】
(発明の概要)
一実施形態においては、回路積層板を形成するために有用な接着剤が、ポリ(アリーレンエーテル)、好ましくはカルボキシ官能化されているポリ(アリーレンエーテル)と、共硬化性(co−curable)ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマー、好ましくはカルボキシ官能化されているポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーとを含む。別の実施形態においては、接着剤が、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとから得られる単位を含むエラストマーブロックコポリマーをさらに含む。
【0009】
別の実施形態においては、回路積層板を形成するための回路材料が、導電層または誘電体回路基板と、この導電層または誘電体回路基板の表面の少なくとも一部分上に配置されている接着剤層とを含み、前記接着剤層が、ポリ(アリーレンエーテル)、好ましくはカルボキシ官能化されているポリ(アリーレンエーテル)と、共硬化性ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマー、好ましくはカルボキシ官能化されているポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーとを含む。さらに別の実施形態においては、接着剤層が、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとから得られる単位を含むエラストマーブロックコポリマーをさらに含む。硬化誘電体回路基板および硬化接着剤層は、10ギガヘルツでそれぞれ測定される約3.8未満の誘電率および約0.007未満の散逸率を有することができる。
【0010】
別の実施形態においては、回路積層板が、導電層と回路基板との間に配置されている上述の接着剤層の1つを含む。さらに別の実施形態においては、接着剤層が、ポリ(アリーレンエーテル)またはカルボキシ官能化されているポリ(アリーレンエーテル)から本質的になる。
【0011】
低誘電率低散逸率回路積層板を形成する方法が、導電層と回路基板との間に上述の接着剤層の1つを配置すること、およびこれらの層を積層することを含む。
【0012】
さらに別の実施形態においては、回路が、上述の回路材料および/または積層板を含む。
【0013】
さらに別の実施形態においては、多層回路が、上述の回路材料および/または回路積層板を含む。
【0014】
以下の図面、詳細な説明および実施例によって、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】導電層、たとえば、銅箔上に接着剤層が配置されている例示的な回路材料を示す。
【図2】誘電体基板層上に接着剤層が配置されている例示的な回路材料を示す。
【図3】接着層を備える例示的な回路積層板を示す。
【図4】2つの接着剤層を備える例示的なダブルクラッド回路積層板を示す。
【図5】2つの接着剤層を備える例示的なダブルクラッド回路を示す。
【図6】3つの接着剤層を備える例示的な多層回路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
比較的非極性の樹脂を使用して、導電性金属と比較的非極性の誘電体基板材料との間の接着力を向上させることができることが、本発明の発明者らによって予想外に見いだされた。したがって、本明細書中には、ポリ(アリーレンエーテル)と、任意選択でポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマー、好ましくはカルボキシル化ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーと、任意選択で、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとから得られる単位を含むエラストマーブロックコポリマーとを含む接着向上接着剤組成物が記載されている。ポリ(アリーレンエーテル)は、任意選択でカルボキシ官能化することもできる。これらの成分の組合せにより、導電性金属層と回路基板との間の接着力の強化、ならびに難燃性の向上がもたらされる。向上した接着強度は、はんだ付け作業中に遭遇する温度(たとえば、550°Fまたは288℃)などの高温で有利に維持される。特に有利な特徴においては、接着剤組成物の使用が、低誘電率、低散逸率、低吸水性、向上した絶縁破壊強度など、得られた回路積層板の電気的特性に悪影響を及ぼすことは実質的にはない。
【0017】
ポリ(アリーレンエーテル)は、グラフトまたはブロックコポリマーを含め、ホモポリマーまたはコポリマーの形でよい。様々な形の組合せを使用することができる。ポリ(アリーレンエーテル)類は、下記式(1)の構造単位を複数含む。
【0018】
【化1】

【0019】
式中、各構造単位について、RおよびR'はそれぞれ独立に水素、ハロゲン、第一級または第二級C17アルキル、フェニル、C17アミノアルキル、C17アルケニルアルキル、C17アルキニルアルキル、C17アルコキシ、C610アリールおよびC610アリールオキシである。一部の実施形態においては、各Rが独立にC17アルキルまたはフェニル、たとえば、C14アルキルであり、各R'が独立に水素またはメチルである。
【0020】
例示的なポリ(アリーレンエーテル)類には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−アリル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(ジ−tert−ブチル−ジメトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロメチル−1,4−フェニレンエーテル、ポリ(2,6−ジブロモメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジ(2−クロロエチル)−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジトリル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル)およびポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が含まれる。有用なポリ(アリーレンエーテル)は、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル単位を、任意選択で2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル単位と組み合わせて含む。
【0021】
このポリ(アリーレンエーテル)は、導電金属層と回路基板層との間の接着力を強化する官能基を設けるために官能化することができる。(i)炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合と、(ii)カルボン酸を含めたカルボキシ基、無水物、アミド、エステルまたは酸ハロゲン化物のうちの1つまたは複数とを共に分子中に有する多官能性化合物を用いて、官能化を実現することができる。一実施形態においては、この官能基がカルボン酸またはエステル基である。カルボン酸官能基を提供することができる多官能性化合物の例には、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸およびクエン酸が含まれる。
【0022】
特に、適切な官能化ポリ(アリーレンエーテル)類には、ポリ(アリーレンエーテル)と環状カルボン酸無水物との反応生成物が含まれる。適切な環状無水物の例は、無水マレイン酸、無水コハク酸、グルタル酸無水物、無水アジピン酸および無水フタル酸、より具体的には無水マレイン酸である。マレイン化ポリ(アリーレンエーテル)などの改質ポリ(アリーレンエーテル)は、米国特許第5,310,820号に記載されているような方法によって生成することができるが、市販されている。市販の適切な改質または未改質ポリ(アリーレンエーテル)の例には、AsahiからのPPE−MA(マレイン化ポリ(アリーレンエーテル))、Mitui Gas ChemicalsからのOPE−Sty(スチレン末端ポリ(アリーレンエーテル))およびChemturaからのBlendex HPP820(未改質ポリ(アリーレンエーテル))が含まれる。
【0023】
一部の実施形態においては、接着剤がポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーをさらに含む。本発明において使用する「ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマー」には、ブタジエンから得られるホモポリマー類、イソプレンから得られるホモポリマー類、ならびにブタジエンおよび/またはイソプレンおよび/または50重量パーセント(wt%)未満の、ブタジエンおよび/またはイソプレンと共硬化可能なモノマーから得られるコポリマーが含まれる。ブタジエンおよび/またはイソプレンと共硬化可能な適切なモノマーには、アクリロニトリル、エタクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルファ−クロロアクリロニトリル、ベータ−クロロアクリロニトリル、アルファ−ブロモアクリロニトリル、C16アルキル(メタ)アクリレート類(たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレートおよびイソプロリル(メタ)アクリレート)、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、イタコン酸、(メタ)アクリル酸、以下で説明するアルケニル芳香族化合物などのモノエチレン性(monoethylenically)不飽和化合物、ならびに上記モノエチレン性不飽和化合物の少なくとも1種を含む組合せが含まれる。
【0024】
接着剤組成物中で使用する共硬化性ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーは、ポリ(アリーレンエーテル)と共硬化可能であってよい。一実施形態においては、このポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーはカルボキシ官能化されている。i)炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合と、(ii)カルボン酸を含めたカルボキシ基、無水物、アミド、エステルまたは酸ハロゲン化物のうちの1つまたは複数とを共に分子中に有する多官能性化合物を用いて、官能化を実現することができる。好ましいカルボキシ基はカルボン酸またはエステルである。カルボン酸官能基を提供することができる多官能性化合物の例には、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸およびクエン酸が含まれる。特に、無水マレイン酸を付加したポリブタジエン類を、接着剤組成物中で使用することができる。適切なマレイン化ポリブタジエンポリマー類は、たとえば、RICON 130MA8、RICON 130MA13、RICON 130MA20、RICON 131MA5、RICON 131MA10、RICON 131MA17、RICON 131MA20およびRICON 156MA17の商品名でSartomerから市販されている。適切なマレイン化ポリブタジエン−スチレンコポリマーは、たとえばRICON 184MA6の商品名でSartomerから市販されている。RICON 184MA6は、スチレン含有量が17〜27wt%で、数平均分子量(Mn)が約9,900g/モルである、無水マレイン酸を付加したブタジエン−スチレンコポリマーである。
【0025】
さらに他の諸実施形態においては、接着剤がエラストマーポリマーをさらに含む。このエラストマーポリマーは、ポリ(アリーレンエーテル)および/またはポリブタジエンもしくはイソプレン樹脂と共硬化可能であってよい。適切なエラストマー類には、アルケニル芳香族化合物から得られるブロック(A)と、共役ジエンから得られるブロック(B)とを含むエラストマーブロックコポリマーが含まれる。ブロック(A)および(B)の配置には、枝分かれ鎖を有するラジアルテレブロック構造を含めたリニアおよびグラフト構造が含まれる。リニア構造の例には、ジブロック(A−B)、トリブロック(A−B−AまたはB−A−B)、テトラブロック(A−B−A−B)およびペンタブロック(A−B−A−B−AまたはB−A−B−A−B)構造、ならびにAおよびBを合わせて6つ以上のブロックを含有するリニア構造が含まれる。具体的なブロックコポリマー類には、ジブロック、トリブロックおよびテトラブロック構造が、具体的には、A−BジブロックおよびA−B−Aトリブロック構造が含まれる。
【0026】
ブロック(A)を提供するアルケニル芳香族化合物は、下記式(2)で表される。
【0027】
【化2】

【0028】
式中、R2およびR3のそれぞれは独立に、水素、C1〜C5アルキル、ブロモまたはクロロであり、R4、R5、R6、R7およびR8のそれぞれは独立に、水素、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C6〜C12アリール、C7〜C12アラルキル、C7〜C12アルカリール、C1〜C12アルコキシ、C3〜C12シクロアルコキシ、C6〜C12アリールオキシ、クロロ、ブロモまたはヒドロキシである。例示的なアルケニル芳香族化合物には、スチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3,5−ジエチルスチレン、4−n−プロピルスチレン、アルファ−メチルスチレン、アルファ−メチルビニルトルエン、アルファ−クロロスチレン、アルファ−ブロモスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、テトラ−クロロスチレン等、ならびに上記化合物のうちの少なくとも1つを含む組合せが含まれる。スチレンおよび/またはアルファ−メチルスチレンを多くの場合使用する。
【0029】
ブロック(B)を提供するために使用する共役ジエン類の具体例には、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンおよび1,3−ペンタジエン、具体的には1,3−ブタジエンおよびイソプレンが含まれる。共役ジエン類の組合せを使用することもできる。共役ジエンから得られるブロック(B)は、任意選択で部分的にまたは完全に水素化されている。
【0030】
アルケニル芳香族化合物から得られるブロック(A)と、共役ジエンから得られるブロック(B)とを含む例示的なブロックコポリマー類には、スチレン−ブタジエンジブロックコポリマー(SB)、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレンジブロックコポリマー(SI)、スチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマー(SIS)、スチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレントリブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−(エチレン−プロピレン)−スチレントリブロックコポリマー(SEPS)およびスチレン−(エチレン−ブチレン)ジブロックコポリマー(SEB)が含まれる。このようなポリマー類は、たとえばShell Chemical Corporationから、KRATON D−1101、KRATON D−1102、KRATON D−1107、KRATON D−1111、KRATON D−1116、KRATON D−1117、KRATON D−1118、KRATON D−1119、KRATON D−1122、KRATON D−1135X、KRATON D−1184、KRATON D−1144X、KRATON D−1300X、KRATON D−4141、KRATON D−4158、KRATON G1726およびKRATON G−1652の商品名で市販されている。KRATON D−1118は、固体のSB−SBSコポリマーである。このコポリマーは、ポリスチレン末端ブロックと、約20%がSBSトリブロックで約80%がSBジブロックであるゴム状ポリブタジエン中間ブロックとを有する。このコポリマーは、低弾性低粘着性の軟質ゴムである。
【0031】
ポリ(アリーレンエーテル)類、ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマー、およびエラストマーブロックコポリマーの相対量は、使用する特定の基板材料、回路材料および回路積層板の所望の特性ならびに同様の考慮事項に依存することになる。ポリ(アリーレンエーテル)の使用により、導電性金属層、特に銅と、比較的非極性の誘電体基板材料との間の結合強度が増大することがわかっている。この結果は、ポリ(アリーレンエーテル)類自体が非極性であるため特に驚くべきことである。ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーの使用により、特にこれらのポリマーがカルボキシ官能化されている場合には、積層板の耐高温性がさらに増大する。エラストマーブロックコポリマーを使用すると、接着剤の成分を相溶性にする(compatibilize)よう機能することができる。各成分の適切な量は、本明細書中に提供されている指針を用いて過度の実験なしに決定することができる。
【0032】
一実施形態においては、接着剤組成物が最大100wt%のポリ(アリーレン)エーテル、具体的にはカルボキシ官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含む。別の実施形態においては、接着剤組成物が最大100wt%のポリ(アリーレン)エーテル、具体的にはカルボキシ官能化ポリ(アリーレンエーテル)から本質的になる。さらに別の実施形態においては、接着剤組成物が最大100wt%のポリ(アリーレン)エーテル、具体的にはカルボキシ官能化ポリ(アリーレンエーテル)からなる。
【0033】
あるいは、この接着剤組成物は、約20〜約99wt%、具体的には約30〜約80wt%、より具体的には約40〜約60wt%のポリ(アリーレンエーテル)、好ましくはカルボキシ官能化ポリ(アリーレンエーテル)と、約1〜約80wt%、具体的には約20〜約70wt%、より具体的には約40〜約60wt%のポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマー、好ましくはカルボキシ官能化ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーとを含み、上記量のそれぞれは、接着剤組成物のポリマー部分の総重量に基づいている。
【0034】
さらに別の実施形態においては、この接着剤組成物は、約20〜約98wt%、具体的には約25〜約75wt%、より具体的には約30〜約50wt%のポリ(アリーレンエーテル)、好ましくはカルボキシ官能化ポリ(アリーレンエーテル);約1〜約79wt%、具体的には約10〜約60wt%、より具体的には約20〜約40wt%の共硬化性ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマー、好ましくは共硬化性カルボキシ官能化ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマー;約1〜約79wt%、具体的には約10〜約60wt%、より具体的には約20〜約40wt%のエラストマーブロックコポリマーを含み、それぞれ接着剤組成物のポリマー部分の総重量に基づいている。
【0035】
上述のポリマー類の1つまたは複数に加えて、接着剤組成物は、硬化開始剤、架橋剤、粘度調整剤、カップリング剤、湿潤剤、難燃剤、充てん剤、酸化防止剤などの添加剤をさらに任意選択で含むことができる。添加剤の特定の選択は、導電層および回路基板組成物の性質に依存し、回路材料の、導電層と回路基板との間の接着力、誘電率、散逸率、吸水性、難燃性および/または他の所望の特性を高める、またはそれら特性に悪影響を実質的には及ぼさないように選択する。
【0036】
接着剤組成物中で使用するための適切な充てん剤には、単独または組み合わせて使用する二酸化チタン(ルチルおよびアナターゼ)、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、融解非晶質シリカを含めたシリカ、コランダム、珪灰石、アラミド繊維(たとえば、DuPontからのKEVLAR(商標))、ガラス繊維、Ba2Ti920、ガラス球、石英、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ベリリア、アルミナ、マグネシア、水酸化マグネシウム、雲母、滑石、ナノ粘土(nanoclay)、アルミノケイ酸塩(天然および合成)、ならびにヒュームド二酸化ケイ素(たとえば、Cabot Corporationから入手可能なCab−O−Sil)が含まれる。これらの充てん剤は、固体、多孔質または中空粒子の形でよい。具体的な充てん剤には、ルチル型二酸化チタンおよび非晶質シリカが含まれる。充てん剤とポリマーとの間の接着力を向上させるために、シラン類、ジルコン酸塩、チタン酸塩など、1種または複数種のカップリング剤で充てん剤を処理することができる。使用した場合、充てん剤は通常、接着剤組成物の総重量に基づき約0.05〜約10wt%、具体的には約0.1〜約8wt%の量で存在する。
【0037】
適切な硬化開始剤には、接着剤組成物中でポリマー類の硬化(架橋)を開始する際に有用な硬化開始剤が含まれる。例には、アジ化物、過酸化物、硫黄および硫黄誘導体が含まれるが、これらに限定されない。フリーラジカル開始剤が、硬化開始剤として特に望ましい。フリーラジカル開始剤の例には、過酸化物、ヒドロペルオキシド類、および2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンなどの非過酸化物開始剤が含まれる。過酸化物硬化剤の例には、ジクミルペルオキシド、アルファ,アルファ−ジ(t−ブチルペルオキシ)−m,p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン−3および2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ならびに上記硬化開始剤のうちの1種または複数種を含む混合物が含まれる。使用した場合、硬化開始剤は通常、接着剤組成物の総重量に基づき約0.25wt%〜約15wt%の量で存在する。
【0038】
架橋剤は、接着剤の架橋に際し架橋密度を増大させる反応性モノマー類またはポリマー類である。一実施形態においては、このような反応性モノマー類またはポリマー類は、接着剤ポリマー中のポリマーおよび回路基板組成物中のポリマーと共反応することができる。適切な反応性モノマー類の例には、数ある中でも、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレートおよび多官能性アクリレートモノマー類(Sartomer Co.から入手可能なSartomer化合物など)が含まれ、これらのモノマー類はすべて市販されている。架橋剤の有用な量は、接着剤組成物の総量に基づき約0.1〜約50wt%である。
【0039】
適切な酸化防止剤には、ラジカルスカベンジャおよび金属不活性化剤が含まれる。フリーラジカルスカベンジャの非限定的な例は、商品名Chimmasorb 944でCiba Chemicalsから市販されているポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−s−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]である。金属不活性化剤の非限定的な例は、商品名Naugard XL−1でUniroyal Chemical(Middlebury、CT)から市販されている2,2−オキサリルジアミドビス[エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]である。単一の酸化防止剤または2種以上の酸化防止剤の混合物を使用することができる。酸化防止剤は通常、接着剤組成物の総量に基づき最大約3wt%、具体的には約0.5〜約2.0wt%の量で存在する。
【0040】
カップリング剤は、金属表面もしくは充てん剤表面をポリマーと結合する共有結合の形成を促進する、またはその共有結合に関与するように存在することができる。例示的なカップリング剤には、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランおよび3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが含まれる。使用した場合、カップリング剤は、接着剤組成物の総量に基づき約0.1〜約1wt%の量で存在することができる。
【0041】
上述の接着剤組成物を、誘電体回路基板および導電層と共に使用して、回路材料、回路積層板、回路および多層回路を作製することができる。適切な導電層には、回路の形成において現在使用されている銅箔、たとえば電着銅箔など、導電金属の薄膜が含まれる。有用な銅箔は通常、約9〜約180マイクロメートルの厚さを有する。
【0042】
この銅箔は、硫酸銅浴からの回転ステンレス鋼ドラム上への電着(ED)によって、または固体銅棒の圧延によって作製することができる。ED銅箔を使用する場合、箔の「浴側」(またはマット側)の箔めっきプロセスにおいて、ベース箔の初期粗さが生じる。二次的めっきステップにおいて追加の粗さが生じる。圧延箔を使用する場合、二次的めっきステップによって最初は平滑で光沢のある箔に粗さが付与される。
【0043】
この機械的粗さにより、いくつかの欠点が生じることがある。Bristら(Gary Brist, Stephen Hall, Sidney ClouserおよびTao Liang, 「Non−Classical conductor losses due to copper foil roughness and treatment」, 26ページ, Circuitree, 2005年5月)ならびにOgawaら(N.Ogawa, H.Onozeki, N.Moriike, T.Tanabe, T.Kumakura, 「Profile−free foil for high−density packaging substrates and high−frequency applications」, 457ページ, Proceedings of the 2005 Electronic Components and Technology Conference, IEEE)によって詳細に説明されているように、導体表面の粗さが高周波数で導体損失の大幅な増加をもたらすことがあり、粗い導体は滑らかな導体の最大2倍の導体損失を生じる。Ogawaには、正確な回路製作、最も顕著には、細線の正確なエッチングの限界、および導体粗さによって生じる空間についても記載されている。
【0044】
銅箔の粗さは一般に、接触形状測定(contact profilometry)または光学干渉によって特徴付けられる。大部分の箔製造業者が接触形状測定により粗さを測定する。というのは、このような測定システムに長い歴史があるためである。本明細書中に引用する値の大部分を、白色光干渉法を用いるVeeco Instruments社のWYCO Optical Profilerを用いて測定した。粗さはいくつかの異なる規模で存在することがあり、固定基準面からの距離が様々である多くのピークおよびバレーで構成されることになるため、表面粗さを数値で特徴付ける多くの異なるやり方がある。頻繁に報告されている2つの量は、RMS粗さの値Rqおよびピーク対バレー粗さRzであり、共に長さ寸法で報告される。
【0045】
回路産業用に作製される従来のED銅箔は、WYCO Optical Profilerによって測定した場合、処理した側のRz値が7〜20マイクロメートル(μm)(約1.2〜4μmのRq値に対応する)であった。接触形状測定は、測定を行うときに銅処理を変形させるスタイラスのために、より小さい値を生じる傾向がある。圧延銅箔の処理した側は、3.5〜5.5μmのRz値(0.45〜0.9μmのRq値に対応する)を示す。Oak−Mitsui MLS−TOC−500などの「両面処理」ED箔は、圧延箔のRq値と同様のRq値を示すこともある。より薄型のED箔は現在のところ、2〜3μmのRz値を示す。WYCO測定によって、圧延箔の光沢のある側は、約0.7μmのRz値および約0.1μmの対応するRqを示す。
【0046】
つい最近になって、他のタイプの薄型電着箔が市販されるようになった。これらには、WYCOによって測定されたRq値が0.7μmであるOak Mitsuiの製品SQ−VLP、WYCOによるRq値が0.47μmであるMQ−VLPが含まれる。
【0047】
特に回路産業用に処理された圧延箔、ED箔共に、多くの民間製造業者から入手可能である。たとえば、薄型銅箔は、商品名「TOC−500」および「TOC−500−LZ」でOak Mitsuiから市販されている。厚型銅箔は、商品名「TWS」でCircuit Foilから市販されている。
【0048】
適切な誘電体回路基板は、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(エーテルイミド)(PEI)、ポリブタジエン−ポリイソプレンコポリマー、ポリ(フェニレンエーテル)樹脂などの熱硬化性樹脂に基づく樹脂、およびアリル化ポリ(フェニレンエーテル)樹脂に基づく樹脂を含めた、低極性、低誘電率および低損失樹脂を含む。これらの材料は、低誘電率および低損失という所望の特徴を示すが、低い銅剥離強度も示す。このような材料の銅剥離強度は、本発明を使用することによって著しく向上させることができる。「再加工」、すなわち、回路板上のはんだ付け部品の取外しおよび交換を可能にするために、この剥離強度が高温で比較的高いままであることも重要である。低極性樹脂とより高い極性の樹脂との組合せを使用することもでき、非限定的な例にはエポキシとポリ(フェニレンエーテル)、エポキシとポリ(エーテルイミド)、シアネートエステルとポリ(フェニレンエーテル)、および1,2−ポリブタジエンとポリエチレンが含まれる。ポリブタジエン、ポリイソプレンおよび/またはブタジエンとイソプレンとを含有するコポリマーを含む組成物が特に有用である。
【0049】
特に適切な回路基板は、熱硬化性ポリブタジエンおよび/またはポリイソプレン樹脂を含む熱硬化性組成物である。本明細書中で使用する用語「熱硬化性ポリブタジエンおよび/またはポリイソプレン樹脂」には、ブタジエン、イソプレンまたはこれらの混合物から得られる単位を含むホモポリマー類およびコポリマー類が含まれる。他の共重合性モノマー類から得られる単位は、たとえばグラフトの形で樹脂中に存在することができる。例示的な共重合性モノマー類には、ビニル芳香族モノマー類、たとえば、スチレン、3−メチルスチレン、3,5−ジエチルスチレン、4−n−プロピルスチレン、アルファ−メチルスチレン、アルファ−メチルビニルトルエン、パラ−ヒドロキシスチレン、パラ−メトキシスチレン、アルファ−クロロスチレン、アルファ−ブロモスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、テトラ−クロロスチレンなどの置換および無置換モノビニル芳香族モノマー類、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエンなどの置換および無置換ジビニル芳香族モノマー類が含まれるが、これらに限定されない。上記共重合性モノマー類の少なくとも1つを含む組成物を使用することもできる。例示的な熱硬化性ポリブタジエンおよび/またはポリイソプレン樹脂には、ブタジエンホモポリマー類、イソプレンホモポリマー類、ブタジエン−スチレンなどのブタジエン−ビニル芳香族コポリマー類、イソプレン−スチレンコポリマー類などのイソプレン−ビニル芳香族コポリマー類等が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
熱硬化性ポリブタジエンおよび/またはポリイソプレン樹脂を改質することもでき、たとえば、これらの樹脂がヒドロキシ末端、メタクリレート末端、カルボキシレート末端樹脂であってもよい。エポキシ−、無水マレイン酸−またはウレタン−改質ブタジエンまたはイソプレン樹脂など、反応後の樹脂を使用することもできる。これらの樹脂を、たとえば、ジビニルベンゼンなどのジビニル芳香族化合物によって架橋することもでき、たとえば、ジビニルベンゼンで架橋したポリブタジエン−スチレンである。適切な樹脂は、それら樹脂の製造業者、たとえば、Nippon Soda Co.、東京、日本およびSartomer Company Inc.、Exton、PAによって、広く「ポリブタジエン類」として分類される。樹脂の混合物、たとえば、ポリブタジエンホモポリマーと、ポリ(ブタジエン−イソプレン)コポリマーとの混合物を使用することもできる。シンジオタクチックポリブタジエンを含む組成物も有用であることがある。
【0051】
熱硬化性ポリブタジエンおよび/またはポリイソプレン樹脂は、室温で液体であっても、または固体であってもよい。適切な液体樹脂は、約5,000を超える数平均分子量を有することができるが、一般的には約5,000未満(最も好ましくは約1,000〜約3,000)の数平均分子量を有する。少なくとも90wt%の1,2付加を有する熱硬化性ポリブタジエンおよび/またはポリイソプレン樹脂が、架橋に使用可能なペンダントビニル基の数が多いことにより硬化に際し最大架橋密度を示すため好ましい。
【0052】
ポリブタジエンおよび/またはポリイソプレン樹脂は、最大100wt%、具体的には全樹脂系に対して約60wt%、より具体的には全樹脂系に基づき約10〜約55wt%、さらにより具体的には約15〜約45wt%の量で樹脂系中に存在する。
【0053】
熱硬化性ポリブタジエンおよび/またはポリイソプレン樹脂と共硬化することができる他のポリマー類を、特定の特性または加工改質のために添加することができる。たとえば、長期間電気基板材料の絶縁耐力および機械的特性の安定性を向上させるために、より低分子量のエチレンプロピレンエラストマーを樹脂系中で使用することができる。本発明において使用するエチレンプロピレンエラストマーは、コポリマー、ターポリマー、またはエチレンとプロピレンとを主に含む他のポリマーである。エチレンプロピレンエラストマーは、EPMコポリマー類(すなわち、エチレンおよびプロピレンモノマーのコポリマー類)またはEPDMターポリマー類(エチレン、プロピレンおよびジエンモノマーのターポリマー類)として分類することができる。エチレンプロピレンジエンターポリマーゴムは、特に、飽和主鎖を有するが、架橋が容易となるよう主鎖に不飽和を有する。ジエンがジシクロペンタジエンである液体エチレンプロピレンジエンターポリマーゴムが好ましい。
【0054】
エチレンプロピレンゴムの有用な分子量は、10,000未満の粘度平均分子量である。適切なエチレンプロピレンゴムには、Uniroyal Chemical Co.、Middlebury、CTから商品名Trilene CP80で入手可能な、粘度平均分子量(MV)が約7,200であるエチレンプロピレンゴム、Uniroyal Chemical Co.から商品名Trilene CP65で入手可能な、分子量が約7,000である液体エチレンプロピレンジシクロペンタジエンターポリマーゴム、およびUniroyal Chemical Co.から商品名Trilene 67で入手可能な、分子量が約7,500である液体エチレンプロピレンエチリデンノルボルネンターポリマーが含まれる。
【0055】
エチレンプロピレンゴムは、好ましくは、長期間基板材料の特性、特に絶縁耐力および機械的特性の安定性を維持するために有効な量で存在する。通常、このような量は、樹脂系の総重量に対して約20wt%、より具体的には約4〜約20wt%、さらにより具体的には約6〜約12wt%である。
【0056】
別のタイプの共硬化性ポリマーは、不飽和ポリブタジエン−またはポリイソプレン−含有エラストマーである。この成分は、主に1,3付加のブタジエンまたはイソプレンの、エチレン性不飽和モノマー、たとえば、スチレンやアルファ−メチルスチレンなどのビニル芳香族化合物、メチルメタクリレートなどのアクリレートまたはメタクリレート、またはアクリロニトリルとのランダムまたはブロックコポリマーでよい。このエラストマーは、好ましくは、ポリブタジエンまたはポリイソプレンブロックと、スチレンやアルファ−メチルスチレンなどのモノビニル芳香族モノマーから好ましくは得られる熱可塑性ブロックとを有するリニアまたはグラフト型ブロックコポリマーを含む固体の熱可塑性エラストマーである。適切なこのタイプのブロックコポリマー類には、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマー類、たとえば、商品名Vector 8508MでDexco Polymers、Houston、TXから、商品名Sol−T−6302でEnichem Elastomers America、Houston、TXから、また商品名Finaprene 401でFina Oil and Chemical Company、Dallas、TXから入手可能なコポリマー類、スチレン−ブタジエンジブロックコポリマー類、ならびにスチレンおよびブタジエンを含有する混合トリブロックおよびジブロックコポリマー、たとえば、商品名Kraton D1118でShell Chemical Corporation、Houston、TXから入手可能な混合トリブロックおよびジブロックコポリマーが含まれる。Kraton D1118は、スチレンを30体積%含有する、混合ジブロック/トリブロックスチレンおよびブタジエン含有コポリマーである。
【0057】
この任意選択のポリブタジエンまたはポリイソプレン含有エラストマーは、ポリブタジエンまたはポリイソプレンブロックが水素化されていることにより、ポリエチレンブロック(ポリブタジエンの場合)またはエチレン−プロピレンコポリマーブロック(ポリイソプレンの場合)が形成されていることを除いては上述のブロックコポリマーと類似の第2のブロックコポリマーをさらに含むことができる。上述のコポリマーと合わせて使用した場合、より優れた靱性を有する材料を生成することができる。例示的なこのタイプの第2のブロックコポリマーは、スチレン−高1,2−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーとスチレン−(エチレン−プロピレン)−スチレンブロックコポリマーとの混合物であると考えられているKraton GX1855(Shell Chemical Corp.から市販されている)である。
【0058】
通常、不飽和ポリブタジエンまたはポリイソプレン含有エラストマー成分は、全樹脂系に対して約10〜約60wt%、より具体的には約20〜約50wt%、さらにより具体的には約25〜約40wt%の量で樹脂系中に存在する。
【0059】
特定の特性または加工改質のために添加することができるさらに他の共硬化性ポリマー類には、ポリエチレンやエチレンオキシドコポリマー類などエチレンのホモポリマー類またはコポリマー類、天然ゴム、ポリジシクロペンタジエンなどのノルボルネンポリマー類、水素化スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー類およびブタジエン−アクリロニトリルコポリマー類、不飽和ポリエステル類等が含まれるが、これらに限定されない。これらのコポリマー類のレベルは一般に、全樹脂系の50vol.%未満である。
【0060】
特定の特性または加工改質のために、たとえば、硬化後の樹脂系の架橋密度を増大させるために、フリーラジカル硬化性モノマー類を添加することもできる。適切な架橋剤となることができる例示的なモノマー類には、たとえば、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、多官能性アクリレートモノマー類(たとえば、Arco Specialty Chemicals Co.、Newtown Square、PAから入手可能なSartomer樹脂)など、ジ、トリもしくはそれ以上のエチレン性不飽和モノマー類、またはこれらの組合せが含まれ、これらのモノマー類はすべて市販されている。架橋剤は、使用した場合、樹脂の総重量に基づき最大約20vol.%、具体的には1〜15vol.%、の量で樹脂系中に存在する。
【0061】
オレフィン反応部位を有するポリエン類の硬化反応を加速させるために、樹脂系に硬化剤を添加することができる。具体的に有用な硬化剤は、ジクミルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、α,α−ジ−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3などの有機過酸化物であり、これらの有機過酸化物はすべて市販されている。これらの有機過酸化物は単独で、または組み合わせて使用することができる。硬化剤の典型的な量は、全樹脂組成物の約1.5〜約10wt%である。
【0062】
回路基板材料は、任意選択で微粒子充てん剤を含むことができる。適切な充てん剤の例には、二酸化チタン(ルチルおよびアナターゼ)、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、融解非晶質シリカを含めたシリカ(粒子および中空球)、コランダム、珪灰石、アラミド繊維(たとえば、Kevlar)、ガラス繊維、Ba2Ti920、ガラス球、石英、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ベリリア、アルミナ、マグネシア、雲母、滑石、ナノ粘土(nanoclay)、アルミノケイ酸塩(天然および合成)、ならびに水酸化マグネシウムが含まれる。充てん剤の組合せを使用することもできる。より具体的には、ルチル型二酸化チタンおよび非晶質シリカが特に望ましい。というのは、これらの充てん剤がそれぞれ高誘電率および低誘電率を有し、それにより低散逸率と組み合わさった広範囲にわたる誘電率を、組成物中のこれら2種の充てん剤のそれぞれの量を調整することによって最終的な硬化生成物において実現することが可能となるからである。これらの充てん剤は単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0063】
回路基板は、適切な繊維、具体的にはガラス(E、SおよびDガラス)の熱的に安定な織物、または高温ポリエステル繊維(たとえば、Eastman KodakからのKODEL)を任意選択でさらに含むことができる。このような熱的に安定な繊維強化材により、積層板の平面内における硬化の際の収縮を制御する手段を有する回路積層板が提供される。加えて、織物強化材を使用すると、比較的高い機械的強度を有する回路基板がもたらされる。
【0064】
ガラス繊維織物の例を、以下の表1に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
回路基板は、難燃剤を含有する臭素などの難燃性添加剤を、任意選択で含むことができる。適切な臭素化難燃材は、たとえば、商品名SAYTEX BT 93W(エチレンビステトラブロモフタルイミド)、SAYTEX 120(テトラデカブロモジフェノキシベンゼン)およびSAYTEX 102E(デカブロモジフェノキシオキシド)でAlbemarle Corporationから市販されている。
【0067】
実際には、接着剤組成物を、コーティングとして(粘度が十分に低い場合)導電層もしくは誘電体基板層に直接塗布する、または溶解もしくは懸濁させる、すなわち、溶液の形にすることができる。溶液を使用する場合、接着剤組成物を塗布前に適切な溶媒に溶解させる。この溶媒は、接着剤組成物を溶解させ、コーティングを塗布し乾燥さるために都合が良い蒸発速度をもたらすように選択する。可能な溶媒の非排他的なリストは、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、およびヘプタン、オクタン、ノナンなどのより高級な液体直鎖アルカン類、シクロヘキサン、イソホロン、ならびに様々なテルペンをベースとする溶媒である。具体的には、適切な溶媒に、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびヘキサン、より具体的には、キシレンおよびトルエンが含まれる。溶液の接着剤組成物の濃度は重要ではないが、接着剤成分の溶解度、塗布方法および他の要因に依存することになる。一般に、溶液は、接着剤溶液の総重量に基づき接着剤組成物を1〜約50wt%、より具体的には約5〜約20wt%含む。
【0068】
この接着剤または接着剤溶液は、当技術分野において公知である方法によって、たとえば、浸漬、噴霧、洗浄または他の適切なコーティング技法によって導電層または誘電体回路基板材料(たとえば、プリプレグまたはBステージ材料)の表面に塗布することができる。接着剤溶液がコーティングまたは乾燥中に相分離を示す場合には、溶液温度を上昇させることによって均一性を向上させることができる。溶媒が存在する場合、接着剤溶液を周囲条件下で、または強制空気もしくは熱風によって乾燥させて、接着促進層を形成する。通常、この接着促進層を塗布して、コーティング重量約2グラム毎平方メートル(g/m2または「gsm」)〜約15g/m2、具体的には約3g/m2〜約8g/m2を提供する。この接着促進層は未硬化であっても、乾燥プロセスにおいて部分的に硬化させることもでき、またはこの接着促進層を、乾燥後に必要に応じて、部分的もしくは完全に硬化させることもできる。
【0069】
接着剤コーティングの塗布後、コーティングした導電層またはコーティングした回路基板を保存する、またはそのまま使用して回路積層板を形成することができる。この積層板は、当技術分野において公知である手段によって形成することができる。一実施形態においては、積層プロセスが、コーティングしたまたはコーティングしていない1枚または2枚の導電層間にコーティングしたまたはコーティングしていない回路基板の1つまたは複数の層を設置することを伴う(ただし、少なくとも1つの導電層と少なくとも1つの誘電体基板層との間に接着剤層が配置されている)。その後この層状材料を積層および硬化の前に保管することも、部分的に硬化させその後保管することも、積層し積み重ねた後に硬化させることもできる。積層および硬化は、たとえば真空プレスを用いた、一段階プロセスによるものであっても、または多段階プロセスによるものであってもよい。例示的な多段階プロセスにおいては、約150℃〜約200℃の温度での従来の過酸化物硬化ステップを行い、その後部分的に硬化したスタックに、高エネルギー電子ビーム照射による硬化(Eビーム硬化)、または不活性雰囲気下における高温硬化ステップを施す。2段階硬化を使用すると、得られた積層板に非常に高い架橋度を付与することができる。第2の段階で使用する温度は通常約250℃〜約400℃、または樹脂の分解温度である。この高温硬化は、オーブン内で行うことができるが、プレス機内で、すなわち、最初の積層と硬化ステップとを連続して行うこともできる。特定の積層温度および圧力は、特定の接着剤組成および基板組成に依存することになるが、当業者によって過度の実験なしに容易に解明可能である。
【0070】
様々な具体的な諸実施形態によれば、図1は、導電層、たとえば銅箔12上に配置されている接着剤層14を備える例示的な回路材料10を示す。本明細書中で使用する「配置されている」とは、導電層銅箔と接着剤との少なくとも部分的な密接触(intimate contact)を意味する。本明細書中で説明する諸実施形態すべてにおいて、様々な層が完全または部分的に互いを覆い、また追加の銅箔層、パターン化回路層および誘電体層が存在してもよいことを理解されたい。接着剤層14は未硬化であっても、または部分的に硬化していてもよい。
【0071】
図2は、誘電体回路基板22上に配置されている接着剤層24を備える例示的な回路材料20を示す。接着剤層24は未硬化であっても部分的に硬化していてもよく、また基板22は未硬化であっても、部分的に硬化していても、または完全に硬化していてもよい。
【0072】
図3は、誘電体回路基板32と導電層36、たとえば銅箔との間に配置されている接着剤層34を備える例示的な回路積層板30を示す。接着剤層34は未硬化であっても部分的に硬化していてもよく、また基板32は未硬化であっても、部分的に硬化していても、または完全に硬化していてもよい。
【0073】
図4は、第1の導電層44と誘電体回路基板45の第1の面との間に配置されている第1の接着剤層42を備える例示的なダブルクラッド回路積層板40を示す。第2の接着剤層46が、第2の導電層48と回路基板45の第2の面との間に配置されている。第1および第2の接着剤層42、46は、同じまたは異なるポリマー組成物を含むことができ、第1および第2の導電層44、48は、同じまたは異なるタイプの導電層、たとえば銅箔を備えることができる。接着剤層42、46の一方のみ使用することも、または接着剤層42、43の一方を、当技術分野において公知である接着プライ(図示せず)に置き換えることも可能である。
【0074】
図5は、第1の導電層54と誘電体回路基板55の第1の面との間に配置されている第1の接着剤層52を備える例示的なダブルクラッド回路50を示す。第2の接着剤層56が、パターン化(たとえば、エッチングした)回路層58と誘電体回路基板55の第2の面との間に配置されている。第1および第2の接着剤層52、56は、同じまたは異なるポリマー組成物を含むことができる。接着剤層52、56の一方のみ使用することも、または接着剤層52、56の一方を、当技術分野において公知である接着プライ(図示せず)に置き換えることも可能である。
【0075】
図6は、図5で説明した回路材料50を備える例示的な回路60を示す。パターン化回路58の接着剤層56とは反対側に接着プライ62を配置することができ、接着プライ62上に配置されている銅箔64を備える、樹脂でコーティングされた導電層を、パターン化回路58の反対側に配置する。任意選択で、また図6に示すように、第3の接着剤層66を、接着プライ62と銅箔64との間に配置する。第1、第2および第3の接着剤層52、56、62は、同じまたは異なるポリマー組成物を含むことができ、第1および第2の導電層54、64は、同じまたは異なるタイプの、たとえば銅箔を備えることができる。
【0076】
上述の組成物および方法は、回路積層板に優れた特性を提供する。一実施形態においては、回路積層板が、10ギガヘルツで測定された約3.8未満の誘電率を有する。別の実施形態においては、得られた回路積層板が、10ギガヘルツで測定された約0.007未満の散逸率を有する。さらに別の実施形態においては、回路積層板が、10ギガヘルツで測定された約3.8未満の誘電率および約0.007未満の散逸率を有する。具体的には、回路材料の誘電率および散逸率は、接着剤組成物なしの回路材料についての対応する値の約25%以内、より具体的には約10%以内にある。加えて、絶縁破壊強度や吸水性など他の物理的性質が、回路材料の電気的特性と類似および/または回路材料の電気的特性に匹敵している、具体的には、接着剤組成物なしの回路材料についての対応する値の約25%以内、より具体的には約10%以内にあることがさらに望ましい。
【0077】
加えて、回路積層板は接着強度が向上している。特に有利な特徴においては、向上した接着強度は高温で維持される。この向上は、誘電体回路基板材料単独の誘電特性を維持しながら(すなわち、悪影響を実質的には及ぼすことなく)得られる。上述のような接着剤を使用すると、剥離強度が約1.0と増大し、具体的には、接着剤なしの剥離強度を超えて1/2−オンス/ft2の銅について1.5ポンド毎リニアインチ(「pli」)となる。具体的な一実施形態においては、回路積層板は、はんだを繰り返し露出させた後も接着を保持し、はんだ浸漬後も膨れることはなく、また高温(最大288℃)でも接着強度を維持する。
【0078】
以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに説明する。
【0079】
(実施例)
表2に記載した材料を、以下の実施例において使用した。
【0080】
【表2】

【0081】
「メタルクラッド積層の剥離強度(Peel strength of metallic clad laminates)」試験法(IPC−TM−650 2.4.8)に従って銅剥離強度を試験した。
【0082】
これらの積層板を、288℃の温度のポット1杯の溶融はんだに10秒間浮かべることによって、はんだフロート(solder float)について試験した。この手順を、各試料について5回繰り返す。積層板表面からの銅箔の膨れまたは層間剥離がある場合には、はんだフロート試験の失敗を意味する。
【0083】
(実施例1〜4および比較例A〜D)
誘電体回路基板と銅箔との間に配置されている表3に記載の接着剤組成物を用いて、回路積層板を作製した。実施例1、1A〜4およびA〜Dにおける接着剤組成物は、100重量部のマレイン化ポリ(アリーレンエーテル)(トルエン98%とキシレン2%とを有する溶媒における10wt%溶液)と、0.5重量部のVarox(過酸化物硬化開始剤)と、指示量の官能化ポリブタジエンポリマーおよびエラストマーブロックコポリマーとを含有していた。
【0084】
WYCO干渉計によって測定したRMS表面粗さが2μmを超える1/2オンス/ft2のTWS銅箔上に、接着剤をコーティングし乾燥させて、乾燥コーティング基本重量が5〜6g/m2であるコーティングを設けた。345°F(174℃)までの急速上昇、345°F(174℃)での15分保持、その後の475°F(246℃)までの上昇、および475°F(246℃)での追加の1時間保持で構成されるプレスサイクルを用いて、処理した銅箔に2種の異なる誘電体基板のプリプレグシートを積層した。サイクル全体を通して1000psi(70.3キログラム/センチメートル2)の圧力を維持する。
【0085】
これらの試料をはんだフロートについて試験し、合格した場合には、続いて剥離強度について試験した。結果を表3に示す。
【0086】
【表3】

【0087】
これらの実施例により、本発明による接着剤は比較的厚型の箔を有する回路積層板の銅剥離強度を増大させることが実証される。これらの実施例によりまた、RO4350B高周波積層板以外の基板組成物への接着力を向上させる際のコーティングの有効性も実証される。さらには、これらの実施例により、接着剤コーティングの高温耐性を向上させる際のマレイン化ポリブタジエンの重要性が実証される。
【0088】
比較例AおよびDは、銅剥離強度を増大させ同時に高温はんだフロート試験に合格するためには、接着剤組成物の3つの成分すべてが必要となることを示している。特に、エラストマーブロックコポリマーの欠如(比較例D)および/またはカルボキシル化ブタジエンポリマーの欠如(実施例A−D)により、はんだフロート試験に失敗してしまう。ビニル末端ブタジエンポリマー(比較例B)またはウレタン官能化ブタジエンポリマー(比較例C)に置き換えてもやはり、はんだフロート試験に失敗してしまう。
【0089】
実施例1〜4は、カルボキシル化ブタジエンポリマーがより少量であると(実施例1)下限に近い(marginal)はんだ挙動しかもたらされないが、カルボキシル化ブタジエンポリマーの量が増大するにつれて満足できるはんだ挙動も接着の改善も共に得られた(実施例2および4)ことを示している。カルボキシル化ブタジエンポリマーのさらなる増加(実施例2における7.5重量部から実施例3における10.0重量部へと)により、銅剥離強度がわずかに減少した(実施例2における5.3pli対実施例3における4.0pli)。これらの実施例により、RO4350B回路基板以外の材料に対するこのコーティングの実用性が実証される。
【0090】
Sethumadhavanらの米国特許第7,022,404号に記載されているハロゲンフリー難燃剤Mg(OH)2を充てんした材料に、実施例2〜4を積層した。実施例2〜4により、RO4350B回路基板以外の材料を有するこのコーティングの実用性が実証される。比較としては、接着剤がないと、ハロゲンフリーの系とは1.9pliしか接着強度が得られず、RO4350B回路基板とは約3.5pliの接着強度が得られる。
【0091】
実施例2の接着剤組成物を、2つのタイプの比較的薄型の電着銅箔(Oak Mitsui SQ−VLPおよびTQ−VLP)上にもコーティングし、上述のようにRO4350Bプリプレグに積層した。以下の表に示す通り、両タイプの箔の接着力は、コーティングの使用によりかなり増大した。両試料とも288℃のはんだフロート試験に合格した。
【0092】
【表4】

【0093】
この実施例により、多種多様な銅箔への接着力の向上にコーティングが有効であることが実証される。
【0094】
(実施例5〜6および比較例E)
実施例5および6においては、マレイン化ポリ(アリーレンエーテル)溶液10重量部(トルエン98%とキシレン2%との溶液において10wt%)と、マレイン化ポリブタジエン(7.5重量部)と、エラストマーブロックコポリマー7.5重量部)とを用いて、接着剤溶液を形成した。この接着剤溶液を使用して、RO4350Bプリプレグ(6層)と薄型0.5オンスの銅箔(MLS TOC−500 LZ)とを用いて作製される積層板を形成した。少量の亜鉛による処理を施した銅箔側を、接着剤層と接触させて配置した。
【0095】
これらの材料はすべて、345°F(174℃)までの急速上昇、345°F(174℃)での15分保持、その後の475°F(246℃)までの上昇、および475°F(246℃)での追加の1時間保持を用いる真空プレスで積層した。サイクル全体を通して1000psi(70.3キログラム/センチメートル2)の圧力を維持した。
【0096】
接着強度、はんだフロート、誘電率および散逸率について、これらの試料を試験した。結果を表4に示す。
【0097】
【表5】

【0098】
表4の結果は、亜鉛をコーティングした薄型の銅箔(実施例5および6)上の接着剤により実現した銅剥離強度が、接着剤なしでの値(比較例E)よりも50%を上回るほど高いことを示している。さらに、実施例5、6およびEの結果は、接着剤コーティングの使用が、積層板の高温はんだ付け性、誘電率または散逸率に悪影響を及ぼすことはなかったことを示している。
【0099】
(実施例8〜10および比較例G)
実施例8〜10においては、マレイン化ポリ(アリーレンエーテル)10重量部(トルエン98%とキシレン2%との溶液において10wt%)と、マレイン化ポリブタジエン7.5重量部と、エラストマーブロックコポリマー7.5重量部とを含む接着剤溶液を、RO4233プリプレグ(3層)およびRMSが0.4μmである薄型銅箔(MLS TOC−500−LZ、0.5オンス)を用いて作製される積層板用の接着剤として使用した。亜鉛による処理を施した銅箔側を、接着剤層と接触させて配置した。実施例8〜10について異なるコーティング厚さを使用した(示してある量は乾燥重量ベースである)。比較例Gにおいては、接着剤調合物を使用しなかった。
【0100】
これらの試料を上述のように積層した。試験結果を表5に示す。
【0101】
【表6】

【0102】
実施例8〜10は、広範囲のコーティング重量にわたって(3.0gsm(実施例8)から5.0gsm(実施例9)および10.0gsm(実施例10))銅剥離強度の向上が見られることを示している。この広範囲のコーティング重量が、はんだ高温耐性に悪影響を及ぼすことはなかった。
【0103】
銅引っ張り強さを測定することによって、実施例9および比較例Gの銅箔の接着力をさらに試験した。引っ張り強さは、直径0.090インチ(0.2286センチメートル)のパッド上で、パッドに銅線をはんだ付けし、引張試験機を用いて積層板の表面と垂直に線を引っ張ることによって測定した。引っ張り強さは、記録された最大の力をパッドの面積で割ることによって算出した。psiの単位で報告される、各材料の4回の個々の引張力についての結果を、表6に示す。
【0104】
【表7】

【0105】
このデータは、本発明の接着剤を用いた積層板の引っ張り強さが、接着剤なしでの引っ張り強さよりもはるかに高いことを示している。これらの結果は、接着剤コーティングにより、コーティングしていない材料と比較してコーティングした試料の引っ張り強さが向上したことを示唆している。
【0106】
(実施例11〜16および比較例H〜Q)
以下の実施例により、接着剤組成物が、薄型の箔による銅剥離強度を増大させるために有用であることが実証される。これらの実施例により、ポリブタジエンおよび/またはポリイソプレン誘電体基板への接着力を向上させる際のコーティングの有効性も実証される。
【0107】
したがって、回路基板と銅箔との間に配置した接着剤組成物を用いて回路積層板を作製した。接着剤組成物については、以下の表7に記載されている。実施例11〜15および比較例J〜Lにおける接着剤組成物は、マレイン化ポリ(アリーレンエーテル)100重量部(トルエン98%とキシレン2%との溶液において10wt%)と、Varox(過酸化物硬化開始剤)0.5重量部と、指示量の官能化ポリブタジエンポリマーおよびエラストマーブロックコポリマーとを含んでいた。実施例16においては、マレイン化ポリ(アリーレンエーテル)を、Chemturaから市販されているBlendex HPP820、未改質ポリ(アリーレンエーテル)に置き換えた。比較例Nにおいては、RICON 184MA6を、Nippon Sodaから市販されているマレイン化ポリブタジエンポリマー、BN1015に置き換えた。
【0108】
#28のMayer棒を用いて、約5グラム/m2(gsm)の最終的なターゲットの乾燥基本重量で、WYCO干渉計によって測定したRMS表面粗さが約0.4μmである1/2オンス/ft2のMLS TOC−500−LZ銅箔上に接着剤をコーティングし、フード内で空気乾燥させた。比較例Qにおいては、銅箔をコーティングしなかった。
【0109】
コーティングを施した指示乾燥銅試料に、RO4350回路基板の厚さ0.0033インチ(0.00838センチメートル)の6枚のプリプレグシートを、上述の積層サイクルを用いて積層して、厚さ0.020インチ(0.0508センチメートル)積層板を形成した。はんだフロートについて積層板を試験した。結果を表7に示す。
【0110】
実施例11〜16は、ポリ(アリーレンエーテル)を含有する実施例はすべて、コーティングされていない対照、比較例Qよりも銅剥離強度が少なくとも40%高いことを示している。比較的平滑な銅の接着力のこの向上だけで、これらの回路基板の実用性の著しい向上となる。比較例H、I、MおよびNにより、マレイン化ポリ(アリーレンエーテル)の存在が剥離強度の増大ももたらすことが実証される。コーティング調合物の他の成分を含むがマレイン化ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを含まないこれら4つの場合はいずれも、銅剥離強度が3.5pliを超えることはない。
【0111】
比較例JおよびKにより、マレイン化ポリブタジエンの存在が、仕上った積層板のはんだ高温耐性を向上させることによってコーティングの実用性をさらに向上させることが実証される。マレイン化ポリ(アリーレンエーテル)またはマレイン化していないポリ(アリーレンエーテル)を含有し、マレイン化ポリブタジエンも含有するすべての実施例が、銅剥離強度の増大を示し、また288℃のはんだフロート試験にも合格することが、表7からわかる。理論に束縛されるわけではないが、マレイン化ポリブタジエンの極性の増大は、箔の極性表面とより強く相互反応することによって積層板に対する銅箔の高温での接着力を向上させる助けとなると考えられている。
【0112】
比較例Lにより、両タイプのポリ(アリーレンエーテル)とマレイン化ポリブタジエンとが存在する場合に平滑で均一なコーティングを提供する際の、スチレン−ブタジエンブロックコポリマーの実用性が実証される。Kraton 1118を省いた実施例Lにおいては、コーティングが、巨視的な寸法規模で「ざらざら(grainy)」または不均一であることに気が付いた。スチレン−ブタジエンコポリマーが、少なくとも巨視的規模では、ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーとマレイン化ポリブタジエンポリマーとを相溶性にするように作用すると仮定する。
【0113】
【表8】

【0114】
(実施例17〜23)
これらの実施例により、標準的な生産設備による有効で経済的なコーティングに対するこれらの接着剤調合物の適性、ならびに銅剥離強度および高温耐性が向上する広範囲にわたる調合物が実証される。
【0115】
幅25インチ(63.5センチメートル)の銅箔ロールの商業規模のコーティング試験を、表8に示す調合物(量はグラムで示してある)を用いてスロットダイコータで行った。Gould TWS厚型銅箔上にも、Oak Mitsui MLS−TOC−500−LZ両面処理(薄型)銅箔上にも、6種の調合物を線速度30フィート/分(fpm)(9.14メートル/分)でコーティングした(実施例17〜実施例22)。単により高速でのコーティングが可能であることを実証するために、調合物20も60fpmでコーティングした(実施例23)。コーティングの基本重量は、6〜8gsmの範囲に及んでいた。これらの試料を、乾燥温度が100℃、125℃および150℃である3つの区画を有するインラインオーブン内で乾燥させた。約250リニアフィート(76.2リニアメートル)の使用可能材料を、各調合物および銅箔のタイプごとにコーティングした。
【0116】
上記プレスサイクルを用いることで、コーティングした銅箔の各試料を、0.003インチ(0.0076センチメートル)のRO4350Bプリプレグの6枚のシートに積層して厚さ0.020インチ(0.0508センチメートル)の積層板を形成し、試験した。
【0117】
室温剥離強度、熱油剥離強度(hot oil peel strength)およびはんだフロート試験についてのデータを表8に報告する。
【0118】
【表9】

【0119】
コーティングしていないTWS銅についての剥離強度値は約3.5pliで、コーティングしていないMLS−TOC−500の銅についての値は2pli未満である(データは示していない)。上記熱油剥離強度により、ロバスト「再加工性(reworkability)」を可能とするよう十分な高温での接着力が実証される。CTE、誘電率および損失正接データは、接着剤コーティングがこれらの特性に悪影響を及ぼさないことを示している。
【0120】
単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き複数対象を含む。同じ特性または成分を対象とするすべての範囲の終点が独立に組合せ可能で、列挙された終点も含まれる。すべての引用文献が参照により本明細書中に援用される。本明細書中、また本明細書を通して使用する「配置されている(disposed)」、「接触している(contacted)」およびこれらの変形は、各材料、基板、層、膜等の間の完全または部分的な物理的接触を指す。さらに、本明細書中の用語「第1の」、「第2の」等は、順序、量または重要性を示すわけではなく、正しくは1つの要素を別の要素と区別するために使用する。
【0121】
具体的な諸実施形態を示し説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなくこれら諸実施形態に様々な変更を加え、様々な置換を行うことができる。したがって、限定的にではなく例示的に本発明を説明してきたことを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性金属層または誘電体回路基板層と、
前記導電性金属層または前記誘電体基板層上に配置されている接着剤層と、を備える回路材料であって、前記接着剤が、
ポリ(アリーレンエーテル)と、
ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーとを含む回路材料。
【請求項2】
前記ポリ(アリーレンエーテル)がカルボキシ官能化されている、請求項1に記載の回路材料。
【請求項3】
前記ポリ(アリーレンエーテル)が、ポリ(アリーレンエーテル)と環状無水物との反応生成物である、請求項1に記載の回路材料。
【請求項4】
前記ポリ(アリーレンエーテル)が、ポリ(アリーレンエーテル)と無水マレイン酸との反応生成物である、請求項1に記載の回路材料。
【請求項5】
前記ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーがカルボキシ官能化されている、請求項1に記載の回路材料。
【請求項6】
前記ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーが、ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーと環状無水物との反応生成物である、請求項1に記載の回路材料。
【請求項7】
前記ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーが、マレイン化ポリブタジエン−スチレンまたはマレイン化ポリイソプレン−スチレンコポリマーである、請求項1に記載の回路材料。
【請求項8】
前記ポリ(アリーレンエーテル)と前記ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーとの総合重量にそれぞれ基づいて、前記ポリ(アリーレンエーテル)約20wt%〜約99wt%と、前記ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマー約1wt%〜約80wt%とを含む、請求項1に記載の回路材料。
【請求項9】
アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとから得られる単位を含むエラストマーブロックコポリマーをさらに含む、請求項1に記載の回路材料。
【請求項10】
前記アルケニル芳香族化合物がスチレンであり、前記共役ジエンがポリブタジエンである、請求項9に記載の回路材料。
【請求項11】
前記エラストマーブロックコポリマーが、スチレン−ブタジエンジブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマー、スチレン−イソプレンジブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマー、スチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレントリブロックコポリマー、スチレン−(エチレン−プロピレン)−スチレントリブロックコポリマー、スチレン−(エチレン−ブチレン)−ジブロックコポリマー、または上記コポリマーの少なくとも1つを含む組合せである、請求項9に記載の回路材料。
【請求項12】
前記ブロックコポリマーが、スチレン−ブタジエンジブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマー、または上記コポリマーの少なくとも1つを含む組合せである、請求項9に記載の回路材料。
【請求項13】
前記ブロックコポリマーが、スチレン−ブタジエンジブロックコポリマーとスチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマーとの組合せである、請求項9に記載の回路材料。
【請求項14】
前記ポリ(アリーレンエーテル)と、前記ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーと、前記エラストマーブロックコポリマーとの総合重量にそれぞれ基づいて、前記ポリ(アリーレンエーテル)約20wt%〜約98wt%と、前記ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマー約1wt%〜約79wt%と、前記エラストマーブロックコポリマー約1wt%〜約79wt%とを含む、請求項9に記載の回路材料。
【請求項15】
前記接着剤層が硬化開始剤をさらに含む、請求項1に記載の回路材料。
【請求項16】
前記硬化開始剤が、ジクミルペルオキシド、アルファ,アルファ−ジ(t−ブチルペルオキシ)−m,p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、または上記硬化開始剤のうちの1種または複数種を含む混合物である、請求項15に記載の回路材料。
【請求項17】
前記接着剤層が、約2〜約15グラム毎平方メートルの量で存在する、請求項1に記載の回路材料。
【請求項18】
前記接着剤層が、約4〜約7グラム毎平方メートルの量で存在する、請求項1に記載の回路材料。
【請求項19】
前記導電層が銅箔である、請求項1に記載の回路材料。
【請求項20】
前記銅箔のRMSが2マイクロメートル未満である、請求項19に記載の回路材料。
【請求項21】
前記銅箔のRMSが0.7マイクロメートル未満である、請求項19に記載の回路材料。
【請求項22】
導電性金属層と、
前記導電性金属層上に配置されている接着剤層とを備える回路材料であって、前記接着剤が、
ポリ(アリーレンエーテル)と、
ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーとを含む回路材料。
【請求項23】
前記ポリ(アリーレンエーテル)がカルボキシ官能化されている、請求項22に記載の回路積層板。
【請求項24】
前記ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーがカルボキシ官能化されている、請求項22に記載の回路材料。
【請求項25】
導電層と誘電体回路基板層との間に配置されている接着剤層であって、
ポリ(アリーレンエーテル)と、
ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーと、
アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとから得られる単位を含むエラストマーブロックコポリマーとを含む接着剤層を備える回路積層板。
【請求項26】
前記ポリ(アリーレンエーテル)がカルボキシ官能化されている、請求項25に記載の回路積層板。
【請求項27】
前記ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーがカルボキシ官能化されている、請求項25に記載の回路材料。
【請求項28】
前記接着剤層が、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとから得られる単位を含むエラストマーブロックコポリマーをさらに含む、請求項25に記載の回路積層板。
【請求項29】
前記硬化回路基板層および前記接着剤層が、1〜10ギガヘルツの周波数でそれぞれ測定される約3.8未満の誘電率および約0.007未満の散逸率を有する、請求項25に記載の回路積層板。
【請求項30】
前記回路基板の第2の面に配置されている第2の導電層をさらに含む、請求項25に記載の回路積層板。
【請求項31】
導電層と非極性誘電体回路基板層との間に配置されている接着剤層であって、ポリ(アリーレンエーテル)を含む接着剤層を備える回路積層板。
【請求項32】
前記ポリ(アリーレンエーテル)がカルボキシ官能化されている、請求項31に記載の回路積層板。
【請求項33】
前記回路基板が、ポリブタジエンおよび/またはポリイソプレンコポリマーを含む、請求項31に記載の回路積層板。
【請求項34】
低誘電率低散逸率回路積層板を形成する方法であって、
ポリ(アリーレンエーテル)と、
カルボキシ官能化されているポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーと
を含む接着剤層を、導電層と回路基板との間に配置すること、および
前記層を積層することを含む方法。
【請求項35】
請求項1に記載の前記回路材料を含む回路。
【請求項36】
請求項1に記載の前記回路材料を含む多層回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−500750(P2010−500750A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523772(P2009−523772)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/016987
【国際公開番号】WO2008/020984
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(509037606)ワールド プラパティーズ、 インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】WORLD PROPERTIES, INC.
【Fターム(参考)】