説明

接触平坦化装置

接触平坦化装置は、下シートアセンブリ、上シートアセンブリ、差圧アセンブリおよび硬化またはリフローアセンブリを含む。下シートアセンブリは、平坦化される回路基板を支持し、差圧アセンブリの作用により、それを上シートアセンブリの方へ偏らせる。上シートアセンブリは、差圧アセンブリの作用により、回路基板上のコーティングを平坦化するものであり、差圧アセンブリによって適用された真空力を通して、回路基板ステージの上、かつ、硬化またはリフローアセンブリの下に支持された可撓シートを含む。差圧アセンブリは、真空および圧力の応用を通して、回路基板上のコーティングを完全に平坦化するため相対的に下および上シートアセンブリを移動させる。差圧アセンブリは、上シートの上面の上に配置された上部圧力チャンバ、下シートの下面の下に配置された下部圧力チャンバ、および上シートの下面と下シートの上面との間に概して配置された中央圧力チャンバを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高度な集積回路や他のデバイスなどの製造中に作られたような、表面を接触平坦化するための改良された方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高度な集積回路(IC)の設計は、より強力で、より薄型で、より動作にエネルギを必要としないセミコンダクタデバイスを製造するための複合積層化デバイスの技術に高度に依存している。これらの品質が可能となると、より微細な構造を持つ多くの回路が、インターコネクトと誘電体との多層膜がセミコンダクタ回路基板上に適切な順番で構築されることによって、マイクロチップに組み込まれるに違いない。現在のところ、フォトリソグラフィは、これらの超微細構造のパターン付けに用いられる主要な技術である。この技術は、そのような超微細構造を構築するために堆積され、表面から除去される材料を必要とする。
【0003】
フォトリソグラフィは、セミコンダクタの回路基板表面上にフォトレジストとして知られる感光性物質を堆積することを含む。セミコンダクタ表面上に構築される構造の所定の画像を伴う、フォトマスクあるいはレチクルとして知られる光学的に透明な物体は、フォトレジストコートされた回路基板上に設置される。続いて、適切な波長の光が、光学物体を通して照らされる。光は、フォトレジストの性質およびそのプロセスにより、フォトレジストの露光領域を分解、あるいは硬化する。その後、セミコンダクタ表面は、回路基板表面上にパターン付けされたイメージを生成するよう現像され、続いてその上の層においてもこの処理が繰り返される。
【0004】
材料は、コートされる表面が全くの平面であれば、均一の厚さに塗られ得る。しかし、表面が平面でなければ、材料は均一の厚さにコートされ得ない。例えば、トポグラフィ表面の上面に堆積されたコーティングは、下部表面のトポグラフィの輪郭に沿う傾向があり、こうして非平面の表面が生成される。回路基板上により多くの層が構築されると、表面トポグラフィの深刻さが増大する。残念ながら、非平面の表面は、ICデバイスの最終的な生産量および性能を減じる。さらに、ICの非均一表面に連続的な層構造を塗布するある時点で、非平面の表面は次の構造の層を構築するのに不適当となる。こうして、ICのトポグラフィック表面は、次の層の構築に先立って、平坦化されるか、あるいは平らになっていなければならない。トポグラフィック表面を平坦化するために、例えば、プラズマエッチバック、化学的機械的研磨(CMP)および接触平坦化のような技術が用いられ得る。本発明は、接触平坦化技術に関する。
【0005】
接触平坦化技術の先行技術によると、トポグラフィック表面には最初に流動性を有する平坦化材料が堆積される。続いて、この表面は、平面(光学平面)によって加圧(プレス)され、それによりその材料がトポグラフィック構造周辺を流れるようになる。続いて、材料は、平坦化される材料表面上に平面の平面性を再現するために、光の照射か熱によって硬化される。その後、平坦化された材料表面は、その平面から取り外される。分離を促進するために、その平面は、その表面エネルギを下げるためのフッ素重合体あるいはフッ素化合物などの低摩擦材料によって処理され得る。もう一つの方法としては、低表面エネルギ材料、例えば、テフロン材料、フッ化炭素重合体、または、ディスクもしくはフィルムなどの同程度の表面の平面性を備えるものが、平坦化材料と平面との間に配置され得る。
【0006】
先行技術のデバイスは、いくつかの制限に悩まされる。例えば、光学平面(および、しばしば、その装置の他の部品)は、紫外線放射または熱源と回路基板との間に置かれ、こうして、下部回路基板を硬化するために解消されなければならない実質的な熱または紫外線吸収部分がつくられる。これは、回路基板に塗られたコーティングの硬化時間を実質的に増加させ、これにより装置の処理能力が低下する。
【0007】
先行技術の接触平坦化装置のもう一つの不利な点は、その平坦化の大半が、回路基板およびその平坦化可能なコーティングを、硬質回路基板支持アセンブリと硬質光学平面アセンブリまたはその他のバッキングとの間に挟むことで達成されることである。多くを平坦化するために、回路基板を硬質構造で挟むことは、回路基板とそのコーティングとに掛けられる圧力、および圧力のターゲットを正確に制御することを困難にする。多くの先行技術の接触平坦化装置も、平坦化の間に回路基板周辺領域から十分に排気しないので、コーティング内に閉じ込められる不必要な気泡を発生させる。
【0008】
したがって、先行技術の限界を克服する改良された接触平坦化装置および方法が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の問題を解決し、接触平坦化装置および方法の技術において、明確な進歩を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、下シートアセンブリ、上シートアセンブリ、差圧アセンブリ、および硬化またはリフローアセンブリ等を含む平坦化装置である。その装置は、例えば、マイクロエレクトロニクス、オプトエレクトロニクス、フォトニック、オプティカル、フラットパネルディスプレイ、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)、バイオチップおよびセンサデバイスなどの個々の回路基板に塗布された平坦化コーティングを効率的に接触平坦化するように設計されている。
【0011】
下シートアセンブリは、平坦化される回路基板を支持し、差圧アセンブリの作用により、上シートアセンブリの方へ偏らせる(バイアスを掛ける)ために供給される。好ましい下シートアセンブリは、一対のクランプの間に支持された可撓シート、その上に回路基板を支持するために可撓シートの上に配置された回路基板ステージ、および可撓シートの下に配置された、回路基板ステージを水平にし、回路基板と回路基板ステージの重量を補償するための安定化ステージを含む。
【0012】
上シートアセンブリは、差圧アセンブリの作用により、回路基板上のコーティングを平坦化するものであり、差圧アセンブリによって加えられる真空力を通して、回路基板上に、かつ、硬化またはリフローアセンブリ下に支持される可撓シートを含む。可撓シートは、好ましくは、シリコンまたは様々なガラス、ポリマー、および金属によって作られた光学平面材料によって形成される。
【0013】
差圧アセンブリは、真空および圧力を応用して、回路基板上のコーティングを完全に平坦化するために、下および上シートアセンブリを互いに相対的に動かす。一実施形態において、差圧アセンブリは、上シートの上面の上に配置された上部圧力チャンバ、下シートの下面の下に配置された下部圧力チャンバ、上シートの下面と下シートの上面との間に概して配置された中央圧力チャンバ、ならびに、回路基板の接触平坦化を達成するため、下および上シートアセンブリの間に回路基板およびそのコーティングを挟むために、上部、下部および中央圧力チャンバを選択的に加圧または減圧するための、標準的な真空/圧力供給源、バルブ、センサ、コントローラ、および他の設備を含む。
【0014】
硬化またはリフローアセンブリは、回路基板上の平坦化するコーティングを硬化するために提供されたものであり、赤外線ランプ(IR)、紫外線(UV)ランプ、ヒータ、または、コーティングを硬化もしくはリフロー可能な他のデバイスであってもよい。硬化またはリフローアセンブリは、好ましくは、上シートアセンブリの上方に配置され、上シートを通して回路基板に光および/または熱を向ける。また、硬化またはリフローアセンブリを、下シートアセンブリ下方に配置して、回路基板の下側に光および/または熱を供給してもよい。
【0015】
動作において、平坦化装置は、下シートアセンブリから硬化若しくはリフローアセンブリを持ち上げることで、または互いに相対的にアセンブリを動かすことで、最初に開放される。続いて、下シートおよび回路基板ステージは、部分的に下部圧力チャンバを排気する(真空にする)ことによってことによって引き下げられる。続いて、上シートが上シートアセンブリ下部に配置され、平坦化装置は閉じられる。上シートは、その時、部分的に上部圧力チャンバを排気する(真空にする)ことによって硬化またはリフローアセンブリの底に固定される。
【0016】
続いて、回路基板が回路基板ステージの上に配置されてもよいように、平坦化装置が開放される。装置を再び閉止した後、上部圧力チャンバの真空は、上シートが自然で負荷の無い位置に配置されるよう解放される。
【0017】
続いて、差圧アセンブリは、装置から空気を除去することで所望の真空レベルとなるように、3つの圧力チャンバ全てから排気するように動作される。同時に、差圧アセンブリは、下シートおよび回路基板ステージが引き下げられた位置を維持し、上シートがその負荷の無い位置を維持できるよう、チャンバ間の圧力差を維持する。
【0018】
続いて、上シートは、上部圧力チャンバにおける真空レベルを減少させることによって、下方の回路基板方向へそらされる。なぜなら、可撓シートの端部は硬化またはリフローアセンブリと下シートアセンブリとの間に保持され、下部および中央圧力チャンバおけるより強い真空力が、上シートの中央領域を下方の回路基板中央部へ引っ張るからである。
【0019】
続いて、下部圧力チャンバにおける真空圧は、下シートおよび回路基板ステージを上げるために、減じられ、それによって回路基板が上シートと回路基板ステージとの間に挟まれる。中央圧力チャンバの真空レベルを維持する間、差圧アセンブリは、下シートと回路基板ステージとの間の回路基板を加圧するため、上部および下部の圧力チャンバの両方に同時に圧力を掛ける。上および下シートアセンブリが完全な平坦化状態に向って動く間に、上シートと回路基板との間の全ての混入空気泡が一掃され、中央圧力チャンバの真空力で装置から排出される。
【0020】
続いて、硬化またはリフローアセンブリは、回路基板のコーティングを硬化またはリフローするよう動作される。所望の硬化またはリフロー時間経過後、上部および下部圧力チャンバは、同時に減圧され、回路基板は能動的または受動的に冷却される。続いて、中央圧力チャンバは加圧され、下シートアセンブリは、下部圧力チャンバの弱真空に引かれることで引き下げられる。続いて、上シートは、上シートを回路基板から分離するために、上部圧力チャンバを加圧することによって下側へそらされる。
【0021】
上部圧力チャンバは、硬化またはリフローアセンブリに対して保持され得るように、上シートを上方に引き上げるために、次に排気される。その後、全てのアセンブリは、回路基板が回路基板ステージから取り外され得るように下シートアセンブリに対して相対的に硬化またはリフローアセンブリを移動することで開放される。
【発明の効果】
【0022】
ここで説明された接触平坦化装置を構成することによって、非常に多くの利益が実現される。例えば、上可撓シートを備える上シートアセンブリ、下可撓シートを備える下シートアセンブリ、ならびに上シートおよび下シートの相対的な動きを与えるための差圧アセンブリを使うことによって、平坦化プロセスのより正確なコントロールが達成できる。また、差圧アセンブリは、回路基板と上シートとの間の気泡をより効果的に一掃し、除去するために、回路基板とそのコーティングに最適な圧力を同時に掛けながら、装置の内部からのより完全な排気を提供する。加えて、硬質な光学平面および硬質な回路基板支持アセンブリよりも、2つの可撓シートによって回路基板を完全に平坦化することで、硬化またはリフローアセンブリと回路基板との間に加えられる熱量をより少なくし、硬化またはリフロー時間全体を劇的に削減し、装置のスループットを増加させる。
【0023】
これらと本発明のその他の重要な特徴は、以下の詳細な説明においてより十分に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の好適実施形態は、添付された図面を参照することで以下に詳細に説明される。
【図1】発明の好適実施形態に従って構成された平坦化装置の斜視図である。
【図2】好適な平坦化装置の構成要素を図解した分解斜視図である。
【図3】平坦化装置の下シートアセンブリから分離された硬化またはリフローアセンブリ、ならびにそれらの間に配置された上可撓シートおよび回路基板を示す部分的分解図である。
【図4】その低い位置にある下シートアセンブリおよびそらされた位置にある上可撓シートを示す平坦化装置の垂直断面図である。
【図5】完全に平坦化された状態(位置)にある下シートアセンブリおよび上可撓シートを示す平坦化装置の垂直断面図である。
【図6】その開放の状態(位置)において、下シートアセンブリおよび硬化またはリフローアセンブリの間に配置された回路基板を含む平坦化装置を図示する概略図である。
【図7】その閉止位置において、上シートアセンブリおよび下シートアセンブリが部分的な平坦化の状態(配置)にある平坦化装置を図示する別の概略図である。
【図8】その閉止位置において、上シートアセンブリおよび下シートアセンブリが完全に平坦化された状態(配置)にある平坦化装置を図示する別の概略図である。
【0025】
これらの図は、本発明を、ここで開示され説明された特定の実施形態に限定するものではない。これらの図には、スケールは必要なく、代わりに発明の原理がはっきりと強調されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の以下の詳細な説明は、実施され得る発明の特定の実施形態を説明した添付図を参照する。実施形態は、当業者がその発明を実施できるように十分詳細に、その発明の特徴を説明するよう意図される。他の実施形態が利用され得、本発明の範囲から離れること無しに変更が為され得る。そのために、以下の詳細な説明は限定的な意味には取られない。本発明の範囲は、特許請求の範囲が権利を与えられるものと同等の全ての範囲に応じて添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0027】
ここで、図に戻ると、本発明の好適実施形態に従って構成された平坦化装置10が示されている。装置10は、例えば、マイクロエレクトロニクス、オプトエレクトロニクス、フォトニック、オプティカル、フラットパネルディスプレイ、マイクロメカニカルシステム(MEMS)、バイオチップおよびセンサデバイスなどの個々の回路基板に塗布されたコーティングを効率的に接触平坦化するよう設計されている。
【0028】
図3に最も良く示されているように、一実施形態の平坦化装置10は、下シートアセンブリ12、上シートアセンブリ14、差圧アセンブリ(以下に、その個々の構成要素が説明され、ナンバリングされる)、および硬化またはリフローアセンブリ16等を含む。装置10は、例えば、これにより、参照によって併合される、米国特許出願公開公報第2005/0056963号において開示されているもののように、サポートフレームの上に支持されてもよいし、前述の特許出願において同様に開示されている、装置を開放および閉止するための機械設備を含んでもよい。
【0029】
より詳細には、下膜12アセンブリは、平坦化される回路基板20を支持し、差圧アセンブリの作用により、上シートアセンブリ14方向へそれを偏らせる(バイアスする)ために提供される。図2において最も良く図示されているとおり、好適な下シートアセンブリは、一対のクランプ24,26の間に支持される下可撓シート22、回路基板20をその上に支持するためにその可撓シートの上に配置された回路基板ステージ28、ならびに回路基板ステージを水平にし、回路基板および回路基板ステージの重量を補償(相殺)するために、その可撓シートの下に配置された安定化ステージ30を含む。
【0030】
下シート22は、好ましくは、形状が円形であり、例えば、セラミックや、例えば、ポリイミドフィルム、フルオロカーボン、または他のポリマーから作られた薄い材料層のような高可撓性の材料から形成され得る。本発明の最も重要な特徴の一つに従って、下可撓シート22(以下に説明する上シートおよび回路基板ステージと同様に)は、曲げ強さの点で異なる材料で作られ得る。シート22の強度は、回路トポグラフィのどれぐらいの範囲が装置10によってスパン(span)されるかによる。スパンの範囲が広いと、シート22はスパンの範囲が狭いものよりも硬くする必要がある。シート22の強度は、ここで説明される、撓みおよび一掃の動作(bowing and sweeping action)を成し遂げるのに十分な可撓性を残すのと同様に、スパンにおける撓みを制御するために最適化されなければならない。単なる例として、下層22は、約0.003インチの厚さのポリイミドフィルムから形成されてもよく、約0.03インチの厚さのボロフロート(borofloat)ガラスから形成されてもよく、約0.02インチのステンレススチールから形成されてもよく、または、約0.03インチの厚さのアルミニウムから形成されてもよい。
【0031】
シートを支持するクランプは、円形の下部クランプ24およびワッシャ型の上部クランプ26からなる。図2および図4に最も良く図示されたとおり、下部クランプ24の上面は、一対の、同心の凹み部位(領域)32、34を規定する一対のステップ(段差)を含む。最も中央の凹み部位34は、バネ38または多数のバネ型ワッシャが固定された中央のネジ孔または他のオリフィス36を含む。また、凹み部位34は、3つのブッシング42を受け止めるための環状に間隔を空けられた3つの孔40を含む。また、下部クランプの上縁は、密閉Oリング44を受け止めるための円孔を含む。多数のネジボルト孔46が、下部クランプの外周部近傍に形成され、下部クランプと上部クランプとを以下に説明するように互いに固定するために用いられる。
【0032】
上部クランプ26もまた、その上面に凹部48があるように断面がステップ化される。そして、一般的なリング型熱障壁(断熱層)50が、凹部に配置される。図4において最も良く図示されるように上部クランプの下面は、下部クランプ上のOリング44に合わせて並べられた密閉Oリング52を受けるための円形の溝を備える。図2に戻ると、間隔を空けられた多数のボルト孔56は、上部クランプを貫通して形成され、クランプがボルトまたはその他ファスナ(留め具)58で互いに固定され得るよう下部クランプ内のネジ孔46に合わせて並べられる。
【0033】
回路基板ステージ28は、下可撓シート22の上に支持され、通常丸型である。回路基板ステージは、例えば、セラミックのような材料、または例えばポリマーのような高可撓性の材料から作られ得る。下および上可撓シートのように、回路基板ステージは、曲げ強さが異なる材料から作られてもよい。回路基板ステージの強度は、装置によって回路トポグラフィのどれだけの範囲がスパンされなければならないかに依る。単なる例として、回路基板ステージ28は、約0.19インチの厚さのマイカによって形成されても良く、0.19インチの厚さのステンレススチールによって形成されてもよく、約0.02インチの厚さのテフロンによって形成されてもよく、約0.003インチの厚さのポリイミドフィルムによって形成されてもよい。また、下可撓シート22上に配置された、外接部が直立した保持リング60は、回路基板20および回路基板ステージ28をシート上の中央に保持する。
【0034】
安定化ステージ30は、下可撓シート22の下に配置され、回路基板ステージ28を水平にし、回路基板および回路基板ステージの重量を補うために提供される。図2において示されるとおり、多数の間隔の空いた孔62が安定化ステージを貫通して延び、支持ピン66を安定化ステージの下側に取り付けるためのネジまたは他のファスナ64を受け止める。支持ピンが、受け止められ、安定化ステージがクランプに対して上下に動くように、ブッシング42に対して上下に動く。安定化ステージを貫通する多くのより大きな孔63により、下部圧力チャンバ内で加圧された空気またはガスが下シート22の下面に接触する。
【0035】
上シートアセンブリ14は、差圧アセンブリの作用により、回路基板20上のコーティングを平坦化するために供給され、差圧アセンブリによって適用される真空力を経て回路基板ステージ28の上、かつ、硬化またはリフローアセンブリ16の下に支持される上可撓シート68を含む。上可撓シートは、好ましくは、シリコン、様々なガラス、ポリマーおよび金属から作られる光学平面材料から形成される。上可撓シート68は、下シート22と同様に、曲げ強度が異なる材料から作られてもよい。シート68の強さは、装置によって回路トポグラフィのどれぐらいの範囲がスパン(span)されなければならないかに依る。スパンの範囲が広いと、シートはスパンの範囲が狭いものよりも硬くする必要がある。シートの強度は、ここで説明される、撓みおよび一掃の動作(bowing and sweeping action)を成し遂げるのに十分な可撓性を残すのと同様に、スパンにおける撓みを制御するために最適化されなければならない。また、シート68を形成する材料は、回路基板20の厚さの非均一性を調整するために選択され得る。もし、平坦化された回路基板が多数の厚さのバリエーションを備えているとすると、上シートは全ての表面と接触できるような形であることが必要とされる。単なる例として、上シートは、約0.003インチの厚さのポリイミドフィルムによって形成されてもよく、約0.03インチの厚さのボロフロートガラスによって形成されてもよく、約0.02インチの厚さのステンレススチールによって形成されてもよく、または約0.03インチのアルミニウムもしくは約0.03インチのシリコンによって形成されてもよい。
【0036】
図4または図5において最も良く図示されるように、差圧アセンブリは、上部圧力チャンバ70、下部圧力チャンバ72、および差圧チャンバ74等を含む。本発明の重要な特徴に従って、差圧アセンブリは、真空および圧力を利用して、回路基板20のコーティングを完全に平坦化するために、下および上シートアセンブリを互いに動かす。
【0037】
上部圧力チャンバ70は、上シート68上方に配置され、レンズアセンブリの内壁と上シートの上面によって規定される。硬化またはリフローアセンブリを貫通して形成された空気通路76は、上部圧力チャンバ70と外部からアクセス可能な空気の取付部品またはポート78とを繋ぐ。
【0038】
下部圧力チャンバ72は、下シート22の下に配置され、下部クランプの凹み部位32、34および下シート22の下面によって規定される。下部クランプを貫通して形成された空気通路80は、下部圧力チャンバ72と外部からアクセス可能な空気の取付部品またはポート82とを繋ぐ。
【0039】
図4および図7において最も良く図示されている中央または中間圧力チャンバ74は、上シート68の下面および下シート22の上面の間に配置され、これにより規定される。中央圧力チャンバは、外部からアクセス可能な空気の取付部品またはポート86に通じている空気通路84と連通する。また、差圧アセンブリは、以下により詳細に説明される、回路基板の接触平坦化を達成するために、下および上シートアセンブリの間に回路基板とそのコーティングを挟むために、選択的に上部、下部および中央圧力チャンバを加圧および真空にするための標準的な真空/圧力供給源、バルブ、センサ、コントローラおよび他の設備を含む。
【0040】
硬化またはリフローアセンブリ16は、回路基板20上の平坦化するコーティングを硬化またはリフローするために提供され、赤外線ランプ(IR)、紫外線(UV)ランプ、ヒーター、またはコーティングを硬化またはリフローできる他の装置でもよい。硬化またはリフローアセンブリは、好ましくは、上シートアセンブリ上に配置され、光および/または熱を上シート68を通じて回路基板の方へ進路を変える。図2において最も良く図示されるように、硬化またはリフローアセンブリ16の実施形態は、ランプアセンブリ88および光学レンズアセンブリ90を含む。
【0041】
ランプアセンブリ88は、関連する設置アセンブリ96に沿って支持プレート94上に設置された多数の赤外線または紫外線蛍光灯92を含む。リフレクタ98は、光を下側の回路基板方向へ反射するために蛍光灯の上側に設置され、ハンドル付の上部覆い100は、蛍光灯、変圧器およびリフレクタを覆う。
【0042】
レンズアセンブリ90は、クォーツ(石英)または他の適当な材料から作られ、リング型筺体104およびワッシャ型固定器具106の間に支持された透明なレンズ102を含む。レンズアセンブリ90は好ましくは、多数の標準的な留め具によって、ランプアセンブリ88の下側にネジ留め、ボルト留めまたは固定される。レンズ固定器具104の下面は、図4および図5に最も良く図示されている一対の密閉Oリング108、110を受けるための一対の円形溝を含む。
【0043】
[動作]
動作において、平坦化装置10は始めに、下シートアセンブリ12から硬化またはリフローアセンブリ16を持ち上げること、または、相互に関連するアセンブリを動かすことによって開放される。続いて、下シート22および回路基板ステージ28は、ポート82を通して500から750torrの間に減圧することで、差圧アセンブリで下部圧力チャンバ72を部分的に真空にすることによって、下げられる。これは、安定化ステージ30にばね38をわずかに圧縮させ、図4に最も良く示されるように、安定化ステージの下側にある支持ピン66を対応するブッシング42へ偏らせる。上シート68は、その時、熱障壁(断熱層)50の上部に配置され、硬化またはリフローアセンブリ16は、装置を閉止するために、下シートアセンブリ12の上部に配置されるか、そこに戻される。続いて、上部圧力チャンバ70が、上シート68を硬化またはリフローアセンブリの底に固定するために、ポート78を通じて500から750torrの間に減圧することで、部分的に真空にされる。
【0044】
図6の概略図に描かれているように、その後、装置が開放され、そのため平坦化される回路基板20が回路基板ステージ28上に配置され得る。装置が再び閉止されると、差圧アセンブリは上シート68を自然な、負荷の無い位置に配置するために、上部圧力チャンバ70の真空状態を解放するように動作する。
【0045】
差圧アセンブリは、次に、装置内部から空気を排除するために、3つ全ての圧力チャンバを、所望の真空レベルの真空にするよう動作する。通常、約25から250torrの真空が、全てのチャンバにおいて望ましい。同時に、差圧アセンブリは、下シート22および回路基板ステージ28がその下げられた位置を維持し、上シート68がその負荷の無い位置を維持できるよう、チャンバ間の圧力差を維持する。こうして、下部圧力チャンバ72は、平坦化の過程のこの時点において、他の2つのチャンバより大きい約25から250torrの真空にさらされてもよい。
【0046】
続いて、上シート68は、上部圧力チャンバの真空レベルを約25から250torrまで減じることによって、下側の回路基板20方向へそらされる。なぜなら、上シートの端部が硬化またはリフローアセンブリと下シートアセンブリとの間に保持され、下部および中央圧力チャンバ内のより強い真空力が、上シートの中央部分を下側の回路基板の中央方向へ引くためである。この時点において、装置の構成要素は、図4および7に図示された配置にある。上記で参照された米国特許出願公開公報第2005/0056963号では、回路基板の中心を最初に平坦化する利点についてより詳細に述べている。
【0047】
続いて、下シート22、回路基板ステージ28、および安定化ステージ30を上げ、回路基板の全表面領域が十分に上シート68と回路基板ステージとの間に完全に挟まれるように、下部圧力チャンバ72の真空圧が、上部圧力チャンバの真空圧と一致するよう減じられる。この時点において、装置の構成要素は、図5に図示された配置にある。中央圧力チャンバ74の真空レベルを維持する間、差圧アセンブリは、回路基板上のコーティングを平坦化し、上シートと回路基板との間の混入空気を一掃するために、上シートと回路基板ステージとの間の回路基板をしっかりと押さえるよう、上部および下部圧力チャンバ70、72の両方に対して約5〜200psiまたは250から10500torrの圧力を同時に掛ける。上および下シートアセンブリが完全な平坦化状態に向って動く間、回路基板から一掃される気泡は、中央圧力チャンバの真空力により、除去され、ポート86を通って装置から排出される。
【0048】
続いて、硬化またはリフローアセンブリ16は、回路基板上のコーティングを硬化またはリフローするよう動作する。望ましい硬化またはリフロー時間が経過した後、上部および下部圧力チャンバ70、72は、同時に減圧される。上部および下部圧力チャンバが減圧される前、または減圧された後、回路基板20は、能動的にまたは受動的に冷却されてもよい。続いて、中央圧力チャンバ74が加圧され、下シートアセンブリは、下部圧力チャンバ72のわずかな真空に引かれて下がる。続いて上シート68は、回路基板から上シートを分離するために、上部圧力チャンバ70を加圧することによって下側にそらされる。
【0049】
続いて、上部圧力チャンバ70が真空とされて、上シート68が上側に引き上げられ、硬化またはリフローアセンブリに対してそれが保持される。続いて、回路基板が回路基板ステージから取り除かれ、他の回路基板が平坦化のために挿入され得るように、全アセンブリが、下シートアセンブリに関連して硬化またはリフローアセンブリを移動することで開放される。
【0050】
本発明の平坦化装置は、ICや他の回路基板をより効果的かつ効率的に平坦化する。例えば、装置は、1以上の硬い表面の間またはバッキングの間の回路基板を加圧するというよりは、回路基板を平坦化するために下および上可撓平坦化シートを動かすために差圧アセンブリを使うため、平坦化プロセスのより正確なコントロールが達成され得る。また、差圧アセンブリは、装置内部からのより完全な排気を提供するとともに、同時に、回路基板と上シートとの間の混入気泡の一掃および除去をより効果的に行うために、最適な圧力を回路基板とそのコーティングに適用する。加えて、硬質光学平面および硬質回路基板支持アセンブリよりも、2つの可撓シートによって回路基板を完全に平坦化することで、硬化またはリフローアセンブリと回路基板との間に加えられる熱量をより少なくし、硬化またはリフロー時間全体を劇的に削減し、装置のスループットを増加させる。
【0051】
本発明は、添付の図面に記載の図示された好適実施形態を参照して説明されているが、同等物を用いて請求項で記載される本発明の範囲から離れること無く、置き替えてもよいことに留意すべきである。例えば、上述の動作セクションにおける所定の順序のステップは、修正又は変更されてもよいし、いくつかのステップは、発明の範囲から離れることなく、同時に実行されてもよい。加えて、ここで開示される特定の材料、サイズ、真空レベルそして圧力レベルは変更されてもよい。
【0052】
以上のように、本発明の好適実施形態を説明したが、新規であり、特許により保護されることを望むクレームは、別紙のとおりである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に対して適用される硬化可能なまたはリフロー可能なコーティングを平坦化する平坦化装置であって、
下可撓シートを備え、前記回路基板を上に載せて支持する下シートアセンブリと、
上可撓シートを備える、上シートアセンブリと、
前記回路基板上のコーティングを平坦化するために、前記上可撓シートの下面に対して、前記回路基板の上面を加圧するよう、前記上可撓シートを下にそらせ、前記下可撓シートを上にそらせる圧力差を生成するために動作可能な差圧アセンブリと、
を有する平坦化装置。
【請求項2】
前記下シートアセンブリは、さらに、前記下可撓シートの上に配置された前記回路基板を支えるための回路基板ステージと、前記下可撓シートの下に配置された、前記回路基板ステージを水平にし、前記回路基板および前記回路基板ステージの重量を補償するための安定化ステージと、
を含む請求項1に記載の平坦化装置。
【請求項3】
前記差圧アセンブリは、前記上可撓シートの上面の上側に配置された上部圧力チャンバと、
前記下可撓シートの下面の下側に配置された下部圧力チャンバと、
前記上可撓シートの下面と前記下可撓シートの上面との間に配置された中央圧力チャンバと、
前記上部、下部および中央圧力チャンバを選択的に加圧および減圧する装置とを含む請求項1に記載の平坦化装置。
【請求項4】
さらに、前記回路基板上のコーティングを硬化またはリフローする硬化またはリフローアセンブリを含む請求項1に記載の平坦化装置。
【請求項5】
前記硬化またはリフローアセンブリが、IRランプアセンブリ、UVランプアセンブリ、加熱および/または冷却された流体アセンブリならびにヒーターからなる一群から選択されるものであることを特徴とする請求項4に記載の平坦化装置。
【請求項6】
さらに、前記下および上シートアセンブリの間に配置された断熱層を含む請求項1に記載の平坦化装置。
【請求項7】
下シートアセンブリがさらに、前記可撓シート上の回路基板ステージを保持するリテーナリングを含む請求項2に記載の平坦化装置。
【請求項8】
前記安定化ステージは、支持プレートと、前記支持プレートの下面から延び、対応するブッシング内を移動可能な複数の支柱と、前記支持プレートの下面の下に配置された前記支持プレートを上側に偏らせるためのバネとを含む請求項2に記載の平坦化装置。
【請求項9】
さらに、前記下シートアセンブリと前記硬化またはリフローアセンブリとの間に相対的な動きを与え、それらの間に前記回路基板の設置が可能な機構を含む請求項3に記載の平坦化装置。
【請求項10】
前記下可撓シートの強度および前記上可撓シートの強度は、前記回路基板のトポグラフィに基づいて選択される請求項1に記載の平坦化装置。
【請求項11】
前記下可撓シートおよび前記上可撓シートの両方の強度は、前記回路基板上の回路要素間のスパン範囲が大きくなるにつれて増加される請求項10に記載の平坦化装置。
【請求項12】
回路基板に対して適用される、硬化可能なまたはリフロー可能なコーティングを平坦化する平坦化装置であって、
下可撓シートを備え、前記回路基板をその上に載せて支持する下シートアセンブリと、
前記下可撓シートの上および下面の間に圧力差を生成し、前記下可撓シートを上側にそらせて、上部平坦化表面に対して前記回路基板の上面を加圧するように動作可能な差圧アセンブリと、
を有する平坦化装置。
【請求項13】
前記上部平坦化表面が、前記下シートアセンブリ上に配置された可撓シートを含む上シートアセンブリである請求項12に記載の平坦化装置。
【請求項14】
前記差圧アセンブリが、前記上可撓シートの上および下面の間の圧力差を生成し、下方向に前記シートをそらせて、前記回路基板に対して前記シートの下面を加圧するように動作可能である請求項13に記載の平坦化装置。
【請求項15】
前記下シートアセンブリがさらに、
前記下可撓シートの上に配置された、その上に前記回路基板を支持するための回路基板ステージと、
前記下可撓シートの下に配置された、前記回路基板ステージを水平にし、前記回路基板および前記回路基板ステージの重量を補償するための安定化ステージとを含む請求項12に記載の平坦化装置。
【請求項16】
前記差圧アセンブリは、前記上可撓シートの上面の上側に配置された上部圧力チャンバと、
前記下可撓シートの下面の下側に配置された下部圧力チャンバと、
前記上可撓シートの下面と前記下可撓シートの上面との間に配置された中央圧力チャンバと、
前記上、下および中央圧力チャンバを選択的に加圧および減圧する装置とを含む請求項12に記載の平坦化装置。
【請求項17】
さらに、前記回路基板上のコーティングを硬化またはリフローする硬化またはリフローアセンブリを含む請求項12に記載の平坦化装置。
【請求項18】
前記硬化またはリフローアセンブリは、IRランプアセンブリ、UVランプアセンブリ、およびヒーターからなる群から選択されるものである請求項17に記載の平坦化装置。
【請求項19】
さらに、前記下シートアセンブリ上に配置された断熱層を含む請求項12に記載の平坦化装置。
【請求項20】
前記下シートアセンブリは、さらに、前記下可撓シート上の回路基板ステージを保持するリテーナリングを含む請求項15に記載の平坦化装置。
【請求項21】
前記安定化ステージは、支持プレートと、前記支持プレートの下面から延び、対応するブッシング内を移動可能な複数の支柱と、前記支持プレートの下面の下に配置された前記支持プレートを上側に偏らせるためのバネとを含む請求項15に記載の平坦化装置。
【請求項22】
さらに、前記下シートアセンブリと前記硬化またはリフローアセンブリとの間に相対的な動きを与え、それらの間に前記回路基板の設置が可能な機構を含む請求項17に記載の平坦化装置。
【請求項23】
前記下可撓シートの強度および前記上可撓シートの強度は、前記回路基板のトポグラフィに基づいて選択される請求項12に記載の平坦化装置。
【請求項24】
前記下可撓シートおよび前記上可撓シートの両方の強度は、前記回路基板上の回路要素間のスパン範囲が大きくなるにつれて増加される請求項23に記載の平坦化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−514220(P2010−514220A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543014(P2009−543014)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/085772
【国際公開番号】WO2008/079582
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(500499508)ブルーワー サイエンス アイ エヌ シー. (45)
【Fターム(参考)】