説明

揺動キルンによる還元溶融方法及びこの還元溶融方法に使用するキルン

【課題】 ロータリーキルンを使用した方法にあった問題点を解決すること。
【解決手段】 金属成分を含むダスト・スラッジ類及び鉄鉱石に還元材を添加、加熱して排出側に向けて下り勾配となるように配置されたキルン31で還元し、亜鉛除去や溶融してスラグを分離し金属を回収する還元溶融操作方法である。装入したダスト・スラッジ類をキルン31の往復回転揺動により排出端まで搬送する。フリーボード3内におけるバーナー火炎5aからの熱供給により還元・脱亜鉛及び溶融操作を行う。
【効果】 金属成分を含むダスト・スラッジ類の有価金属回収及びスラグの再資源化における処理を安定して行なうことで、処理量の増加や燃料原単位の低減、処理コストの低減を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属精錬所等から発生する金属成分を含むダスト・スラッジ類や、焼結操作に適さない微粉鉄鉱石の有価金属を回収したり、スラグを再資源化する揺動キルンによる還元溶融方法及びこの還元溶融方法に使用するキルンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ロータリーキルンによるダスト・スラッジ類の還元脱亜鉛及び溶融操作において、円筒状を成すロータリーキルンを連続して一方向に回転させながらダスト・スラッジ類等の被処理物(以下、単に「被処理物」と言う。)を装入端から排出端へ搬送する過程で、被処理物の移動方向と平行な燃焼ガス流れとなるように配置された加熱バーナーにより被処理物に熱を与え、乾燥、昇温、還元、低沸点物質の蒸発、昇温、高沸点物質の溶融、スラグ成分との分離を行う方法が特開平9−222217号で提案されている。
【0003】この特開平9−222217号では、ロータリーキルンの内部は排ガス中の低沸点金属の循環が無いので本来付着が少ないことに加えて、ロータリーキルンの内径Dに対する長さLの比L/D(図6参照)を5以下にすることで、ロータリーキルン全体の温度を高温に上昇させてロータリーキルンの内壁面に付着物を実質的に付着しないようにし、仮に付着物が形成された場合でも上流側に設けた加熱バーナーの火炎の調整で付着物を溶融除去する事ができるとしている。
【0004】〔一方向連続回転の影響〕しかしながら、この特開平9−222217号で提案された方法であっても、実際の操業においては、ロータリーキルンの炉壁に付着物が成長し処理能力が大きく低下するという問題があった。そこで、本発明者らは、種々研究の結果、付着物成長のメカニズムを解明した。
【0005】図6(a)に示したように、その長手方向に排出端に向って下り勾配となるように傾斜させた円筒状のロータリーキルン1を、図6(b)に示したように一方向(図6(b)では反時計回り方向)に連続して回転させながら、被処理物を乾燥し、昇温し、還元し、低沸点物質を蒸発させるといった、溶融する前段までの工程(ロータリーキルン上流側の場所)では、ロータリーキルン1の炉壁は、被処理物がある傾斜角度の安息角θ°で斜面を形成する被処理物の堆積層(以下、「ベッド」と言う。)2から燃焼ガス7が流通する空間(以下、「フリーボード」と言う。)3に抜けだしてフリーボード3を通過し、再度、ベッド2の下に潜り込むことになる。
【0006】前記した工程において、被処理物は、ベッド2内で石炭などの還元材により還元されるが、炉壁に付着した還元物4は、フリーボード3を通過する際に、豊富に存在する酸素や炭酸ガスによって再酸化されるか、脱炭反応を起こすことになる。
【0007】再酸化の場合は、鉄還元金属成分の融点(1448K、C=4.25質量%)より低い低融点酸化物、例えばFeO(融点:1356K)の状態に戻り、液状か半溶融状態となって他のスラグ成分と化合物を作り易くなる。
【0008】一方、脱炭の場合は、フリーボード3の温度はベッド2の温度より100〜200K程度高く、かつ、加熱バーナー5のバーナー火炎5aとの距離が最も近くなるc点(図6(b)参照)を通過することから、輻射強度が指数関数的に大きくなり、還元鉄粒は昇温されて一旦溶融し、表面酸化部分を内部炭素で還元しようとする。
【0009】従って、COガスとなって炭素が還元鉄から抜けだし、燃焼により消費されて炭素含有量が低下し、溶融鉄の融点が上昇している状態となる。その後、バーナー火炎5aから遠ざかるにつれて温度が低下してゆき、固化して再溶融しにくい付着物となったりする。
【0010】炉壁に付着する還元材(石炭等)4は直接燃焼し、SiO2 などの灰分が炉壁に残留して付着物表面を粘らせるので、次にベッド2に潜るときに被処理物が付着しやすくなる。これを繰り返すことによって、図7R>7に示したようなリング状の付着物6を形成することになる。
【0011】〔回転の影響(1)〕回転する炉壁に付着した粉状の還元物4はフリーボード3を通過する際、バーナー火炎5aや燃焼ガス7、重力によって壁面から離れて落下飛散するため、フリーボード3の透視度が下がり、図6(b)に8で示したように曇った状態となる。
【0012】ロータリーキルン1の炉壁に付着物6が成長した場合は、付着物6の凹凸によって被処理物が大量に持ち上げられてベッド2上方のフリーボード3中で落下し、フリーボード3の曇り8が一層強くなる。このフリーボード3の曇り8によって、図6(b)に示したように、バーナー火炎5aの熱輻射(図6(b)に矢印9で示す)が遮られ、ベッド2の表面に直接熱輻射9が届かなくなって、ダストへの伝熱量が低下し、被処理物の昇温不足が生じて処理速度が低下したり、ロータリーキルン1から排出される排ガスの持ち出し熱量が多くなって燃料原単位が悪化するという問題があった。
【0013】〔回転の影響(2)〕また、還元終了後、さらに昇温された溶融直前の位置(キルン中間部から下流側)では、図8に示したように、金属となっている固体微小金属10が浸炭により融点が下がって溶融集合し、微小金属液滴11を経て更に集合した金属液滴12になり、元々存在していた被処理物からスラグ13を残して、ベッド2の中で滴下が始まるが、この滴下は金属液滴12が十分な大きさにならないと起こらない。
【0014】ところが、ロータリーキルン1が一方向の連続回転のため、微小金属液滴11の滴下速度(図9に矢印14で示す)よりベッド2の上昇速度(図9に矢印15で示す)の方が速くなったり、ベッド2の循環運動(図9に矢印16で示す)が集合しようとしている微小金属液滴11の持つ熱を分散させてしまって再度凝固させたり、スラグ13が微小金属液滴11を巻き込んだりして、金属液滴12の集合を妨げ、有価金属の回収率を低下させていた。
【0015】仮に溶融金属が溜まる位置(キルン下流側)で小さな湯溜まり17が形成されたとしても、溶融金属の中には図10中に18で示したように炉壁に付着したり、湯溜まり17に浸漬している被処理物粒子に付着して湯溜まり17から抜け出していくものがあり、これらはベッド2の中で熱を奪われて固体化する。
【0016】さらに炉壁に付着した溶融金属18は酸化性ガスの多いフリーボード3を通過していく際に、再酸化、再溶融及び脱炭し、再度、湯溜まり17に潜り込んだときに溶融金属中の炭素で還元されるため、溶融金属中の炭素含有量が低下して湯溜まり17の融点を上昇させていた。
【0017】いずれの場合も溶融金属の湯溜まり17の量を少なくする方向に働くため、溶融金属の湯溜まり17を安定させることは容易ではなかった。したがって、フリーボード3を通過した炉壁を湯溜まり17に接触させるのは好ましくなく、これを防止するには十分に炭素を供給する必要があった。
【0018】〔輻射強度の位置(1)〕また、装入される被処理物と燃焼ガス7が平行流のロータリーキルン1において、被処理物の装入側端面1aに設けた加熱バーナー5による燃焼火炎5aの熱輻射強度19の最も高い位置(b点)は、重油燃焼の場合、図11に示したように、加熱バーナー5の先端から1〜5mの位置であり、気体燃料の場合はもっと加熱バーナー5寄りの位置にある。
【0019】よって、ベッド2が最も高い温度を必要とするキルン下流側の溶融開始部付近のフリーボード3に、図11に20で破線で示した理想的な熱輻射強度分布のように、バーナー火炎5aの熱輻射強度の最も高い位置を配置することが困難であった。
【0020】従って、図11に19で実線で示したように、還元まではロータリーキルン1の上流側で強い熱輻射によって急速に処理されるが、その後、溶融温度まで被処理物の温度を上げなければならない位置においては、既にバーナー火炎5aからの熱輻射強度が弱まっているので、ロータリーキルン1の長い範囲をかけて昇温させる必要があった。
【0021】以上のことから、被処理物の実際の温度分布27が、図12に21で破線で示した理想的な温度分布に対しロータリーキルン1の上流側にずれて、その後の昇温能力が低下することにより、溶融直前の被処理物が実際に転動する領域22(図12参照)が理想的な転動領域23(図12参照)よりも長くなり、フリーボード3での再酸化との相乗効果で、図13に示したように、リング状の付着物6が形成されやすくなり、また、湯溜まり17の形成範囲がそのリング状の付着物6(堰6a(図13(a)参照))より下流側に限定されてしまうことになる。
【0022】従って、熱輻射9がリング状の付着物6により遮断され、熱補給が更に少なくなって被処理物が昇温し難くなる結果溶融処理が安定せず、処理能力が低下するという問題があった。
【0023】〔輻射強度の位置(2)〕ロータリーキルン1の装入側端面1aから1〜5mの範囲にある被処理物は、乾燥、昇温、還元中であり、溶融する必要のない領域であるにも係わらず、先に説明したように輻射強度が高いので、ベッド2の表面に位置する1つ1つのダスト粒子は表面温度が強い輻射熱で溶融又は軟化温度まで上昇し、一時的に表面のみが溶融する。従って、粒子表面が液状のスラグで覆われ、その被処理物粒子に隣接している粒子は結合し、粗大化する。
【0024】粗大化したダスト粒子が数ミリメートルの大きさまでであれば、発生する還元ガスに同伴される粒子飛散が少なくなるが、粗大化したダスト粒子径がそれ以上になると、還元ガスの粒子内部への侵入を阻害し、更に反応面積が減るために還元速度を低下させるという問題があった。
【0025】還元速度が遅くなると、ダスト粒子の昇温が先に進み金属の還元が十分に完了する前にスラグが粘り始めて金属液滴12の滴下・集合を阻害するとともに、亜鉛など低沸点物質の蒸発を阻害したり、憐の接触粒子と結合して転動を重ねることにより大塊となったり、半溶融の溶岩状となって流動したりして、金属溶融物の湯溜まり17を安定して維持することが難しくなり、金属回収率の低下、亜鉛など低沸点物質の蒸発除去不足、大塊排出時の落下衝撃による装置破壊などの問題が発生する。
【0026】〔輻射強度の位置(3)〕ロータリーキルン1の装入側端面1aの1〜5mの範囲にある被処理物は強い輻射熱で、急速に還元昇温溶融する場合もあるが、通常は、溶融金属への浸炭が十分に進まず、高い温度によって溶融しているだけである。従って、溶融金属がロータリーキルン1の下流側の温度の低い部分に流下してきた場合、容易に凝固し、溶融物が消滅してしまうという問題があった。
【0027】一度も溶融していない微小金属に比べて、一旦溶融、集合した凝固金属は単位重量当りの表面積が著しく小さいため、反応面積が小さくなる。従って、浸炭が不十分のまま溶融したものが一旦凝固すると、周囲に十分な炭素があっても固体状態での浸炭速度が遅いために、金属の融点を下げる効果がほとんどなく、殆ど再溶融することができなかった。従って、有価金属の回収率が低下し、湯溜まりを安定して維持することが困難であった。
【0028】〔曇りの影響〕被処理物と燃焼ガス7を平行流となす方式のロータリーキルン1では、ロータリーキルン1の回転によるダスト飛散で曇り現象が出ると、ロータリーキルン1の上流側でダスト・スラッジ類の中にあらかじめ還元材として混入させている石炭等の燃焼反応が、ロータリーキルン1の装入部から供給する燃焼用酸素により優先的に行われてしまって、加熱バーナー5の燃焼用酸素が不足し、未燃焼のバーナー燃料のロータリーキルン1の排出側端面1bからの排出や、ロータリーキルン1の下流側の高温部で起こる金属への浸炭用炭素が不足したりする。従って、燃料原単位の悪化や、金属への浸炭不足で金属融点の低下が小さくなり、スラグ中に残存する未溶融金属が増えて、有価金属の回収率が悪くなっていた。
【0029】〔付着物除去〕また、ロータリーキルンの炉壁の付着物の除去方法として、本出願人は特願2000−91928号において、被処理物の装入を中止し、石炭などの還元材のみを装入して炉内を強い還元雰囲気にすることで付着物を再度還元して除去する方法を提案しているが、この方法は通常の還元溶融処理温度より50〜100K高い高温状態で数時間から数日間維持しなければ除去できず、被処理物の処理量の低下、燃料原単位の悪化を招くという問題があった。
【0030】〔入口こぼれ〕ロータリーキルン1の内壁に成長する付着物6は、その堰6a部において被処理物の流れを堰き止めるため、堰6aより上流側のベッド2の層厚が厚くなり、図14(a)に示したように、ロータリーキルン1の装入側端面1aに配置した加熱バーナー5やダスト投入口24を支持している固定壁25と、ロータリーキルン1との隙間26から装入した被処理物がこぼれることになる。そして、その量が多くなると操業継続が不可能になるので、炉を停止して冷却後、ロータリーキルン1の内部の堰6aをはつり取る作業が必要になっていた。
【0031】なお、特開2000−154910号において、揺動式焼却炉が提案されているが、その用途は焼却用であり、揺動の目的は燃焼空気を炉の長さ方向に効果的に供給し、廃棄物の燃焼効率を向上させるものであって、ダスト・スラッジ類を還元溶融させるものではない。本発明が対象としている還元炉の場合は、被処理物堆積層の表面雰囲気を還元雰囲気に保つことが必要なため、熱供給火炎の位置はベッド表層から遠ざける必要があり、必然的にフリーボードの大きさも大きいことが必要になってくるので、特開2000−154910号で提案された焼却炉のように天井を揺動中心付近まで低く抑えることはできない。
【0032】加えて、特開2000−154910号で提案されている焼却炉は、廃棄物等を乾燥、焼却、溶融するためのものであり、円筒内面上部に設けたひだ状の耐火物が熱線を蓄熱、反射して熱効率を向上させ、かつ、炉内搬送させるために揺動させているものであり、ダスト・スラッジ類を還元溶融させるものではない。また、揺動範囲も30〜60°の範囲であり、ダスト・スラッジ類の還元溶融に必要な揺動範囲(概ね210°以下)より小さいので、ダスト・スラッジ類のベッド内に移動しない領域ができ、安定した炉内搬送ができないという問題がある。
【0033】〔耐火物〕本出願人はロータリーキルン1の内壁の耐火物の寿命延長を図るため、金属鉄を含む保護層を通常の被処理物を処理する前に形成させる運転方法を、特願平11−318559号で提案しているが、常に溶融金属が滞留している湯溜まり部においては、保護層中の金属へ溶融金属中の炭素が浸炭しその融点を下げるので、保護層の消耗が早いという問題があった。
【0034】また、ロータリーキルンが一方向に回転するため、湯溜まり部分の耐火物の材質の変更、更新は全周に亘って行う必要があることや、溶銑・溶鋼に対し比較的寿命の長いSiC系煉瓦などを用いる場合には、フリーボード中で酸化反応を起こして煉瓦自体が酸化損耗するという問題があった。
【0035】更に、一方向の回転のため、ロータリーキルンの円周方向において消耗の激しい煉瓦の位置が一定しないことから、煉瓦目地へ溶銑が侵入したりする場所が一定していない。従って、煉瓦を更新する場合は、ロータリーキルンの長さ方向のある位置の全周を取り替える必要があり、煉瓦の原単位が高くなっていた。溶銑が煉瓦目地へ侵入する場合、その量が少ない場合は、鉄皮と煉瓦の間に溜まって凝固するが、侵入する量が多い場合は、鉄皮を溶損し炉外へ溶銑がこぼれ周辺機器の焼損や人的災害など危険な状態になる虞があるという問題があった。
【0036】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した各種の問題点に鑑みてなされたものであり、以下の点を改善できる揺動キルンによる還元溶融方法及びこの還元溶融方法に使用するキルンを提供することを目的としている。
【0037】1.キルン内のフリーボードでの曇り現象を軽減し、バーナー火炎からダスト・スラッジ類ヘの直接的な熱輻射の到達率を上げ、キルン炉内の熱効率を上げる。
【0038】2.広範囲に湯溜まりを形成すると共に、その対流によりバーナー火炎の熱輻射強度分布の影響を緩和し、また、キルン中間部でのリング状付着物の形成を阻止し、被処理物の熱供給を主に溶融金属から行わせることによって、速やかに昇温、還元、脱亜鉛、昇温、浸炭、溶融、スラグ分離を行い連続して安定操業を図る。
【0039】3.揺動範囲に合わせて周方向に適した材質となるように煉瓦を張り分けることにより、煉瓦寿命の延長や耐火物コストを改善する。
【0040】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、本発明に係る揺動キルンによる還元溶融方法は、金属成分を含むダスト・スラッジ類及び鉄鉱石に還元材を添加、加熱して排出側に向けて下り勾配となるように配置されたキルンで還元し、亜鉛除去や溶融してスラグを分離し金属を回収するに際し、装入したダスト・スラッジ類をキルンの往復回転揺動により排出端まで搬送すると共に、フリーボード内におけるバーナー火炎からの熱供給により還元・脱亜鉛及び溶融操作を行うこととしている。このようにすることで、キルン内のフリーボードでの曇り現象を軽減してキルン炉内の熱効率を上げるようにすると共に、広範囲に湯溜まりを形成してその対流によりバーナー火炎の熱輻射強度分布の影響を緩和し、また、キルン中間部でのリング状付着物の形成を阻止し、被処理物の熱供給を主に溶融金属から行わせることによって、速やかに昇温、還元、脱亜鉛、昇温、浸炭、溶融、スラグ分離を行い連続して安定操業を図ることができる。
【0041】そして、上記した本発明に係る揺動キルンによる還元溶融方法に使用するキルンの、主たる接触物の湯溜まりの範囲とフリーボードの範囲の煉瓦材質をキルン円周方向で張り分けた場合には、煉瓦寿命の延長が図れ、耐火物コストを改善することができるようになる。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、上記した各種の問題点を改善可能な本発明に係る揺動キルンによる還元溶融方法及びこの還元溶融方法に使用するキルンについての考え方を順を追って説明する。
【0043】〔揺動搬送の原理〕被処理物が固体粉粒状の場合、被処理物の安息角をθ°とすると、図1(a)に示したように、キルン31の回転によりθ°の斜面を形成して定常的にベッド2を形成する。実際には、図1(b)に示すように、被処理物はθ°+α°の傾斜角までキルン31の中心線31aと直角方向に上昇線32に沿って持ち上げられた後(図2参照)、主に被処理物の安息角θ°からα°までの部分(図1(b)においてB1 、B2 、B3 で囲まれた範囲)が崩落し、その時キルン31の中心線31aに対し傾斜角β°の分だけ被処理物搬送方向にずれながら転動線33に沿って転動する(図2参照)。従って、このような回転揺動を向きを変えて繰り返すことにより、被処理物を排出方向へ搬送することができる。
【0044】第1の本発明に係る揺動キルンによる還元溶融方法は、上記した揺動搬送の原理を用いたもので、排出側に向けて傾斜角β°を持って下り勾配となるように配置されたキルンを往復回転揺動させることにより、キルン断面の左右にベッドを移動させてキルンの左右で前述の崩落転動を起こさせ、徐々に排出方向へ搬送することによって定常的に搬送しながら還元溶融させ、溶融金属の湯溜まりをキルン上流側まで形成させることで、揺動範囲を狭くするものである。
【0045】〔揺動範囲の説明(1)〕上記した第1の本発明に係る揺動キルンによる還元溶融方法においては、被処理物が固体粉粒状である間は転動搬送であり、それに必要な揺動範囲をベッド2の右端の点a、それに接する耐火物表面位置Aに注目して図1を用いて説明する。
【0046】キルン31の横断面におけるベッド2の占有角γ°が90°で、安息角θ°が45°の場合について説明すると、キルン31が図1(a)に実線で示した状態から45°回転すると、ベッド端A,a点は、図1(a)に想像線で示したA1,a1 点へ移動し、定常の回転揺動における堆積形状となる。
【0047】そして、図1(b)に示したように、更にα°だけ回動させると、ベッド2の端部はA2 ,a2 点まで移動し、a2 ,B2 ,B3 の点で囲まれる範囲のベッド2はB2 ,B4 ,B5 で囲まれる範囲の位置へ崩落して移動する。崩落後はベッド2の端部はa3 点に落ち着く。
【0048】更に45°回動すると、図1(c)に示したように、キルン31における耐火物の当初点はA4 まで移動し、ベッド2の端部はa4 の位置になって、崩落していないa4 ,B7 ,B8 で囲まれる部分の範囲を除いてすべて崩落転動した形となっている。
【0049】崩落していないa4 ,B7 ,B8 で囲まれる部分の範囲を転動させるため、逆方向にキルン31を回動させ耐火物点A4 を図1(d)のA5 まで移動させたとき、ベッド2の端部a4 はa5 まで移動する。さらにキルン31を回動させ、耐火物点A5 をA6 まで移動させると、ベッド2の点a5 は仮想点a6 まで移動し、図1(c)においてa4 ,B7 ,B8 で囲まれた範囲はすべて転動したことになる。従って、上記したようにキルン31を往復回転揺動させることで、被処理物を残留させることなく転動排出することができる。
【0050】〔揺動範囲の説明(2)〕第1の本発明に係る揺動キルンによる還元溶融方法において、キルン31内に溶融物が無い場合の揺動範囲ε(図1(d)参照)は、4×θ°(但し、ベッド2の層厚をh、キルン31の内半径をrとした場合に、h<r×(1−cos2θ)の時)の範囲で、キルン31の炉壁への被処理物の接触範囲η(図1(e)参照)は、(ε+3/2×γ)°となる。
【0051】例えばベッド2のキルン横断面の占有角γ°が100°で、安息角θ°が42°の場合、揺動範囲εは168°となり、炉壁への被処理物の接触範囲ηは303°となる。ダスト・スラッジ類の安息角は40〜50°のため、その揺動範囲εは160〜200°の範囲となり、ダスト・スラッジ類のキルン内搬送は十分に可能となる。
【0052】ベッド2の層厚hについては、キルン31の直径、回転数、傾斜角度、安息角と処理量によって決まるので、各ケースによって異なるが、ダス卜類還元の場合、ベッド2の層厚hは一般的に直径の数%から約20%程度であり、ベッド2のキルン横断面占有角も概ね100°以下であるから、炉壁への被処理物接触範囲ηは概ね320°以下で、全く被処理物と接しない範囲δは(360−η)°となる。
【0053】〔揺動の効果〕すなわち、第1の本発明に係る揺動キルンによる還元溶融方法においては、炉壁への被処理物接触範囲ηが、キルン31の全周に亘らないため、炉壁に形成される付着物34も、図3(a)に示したようにリング状とはならない。従って、フリーボード3の上部炉壁からの付着物落下が少なくなり、フリーボード3を曇らせる現象が小さくなって輻射伝熱効率を上げることができる。
【0054】また、部分的に付着物34が成長してもキルン31の壁面における揺動範囲の中心位置を図3(a)のA7 で示す位置から、図3(b)のA8 で示す位置まで位置を替え、付着物34をバーナー火炎5aの強い幅射熱で溶融脱落させることで、被処理物の処理量を低下させる必要なく操業を継続することができる。
【0055】このように部分的な付着物34が成長した時、付着物34の位置をフリーボード3の上部に位置させて加熱バーナー5による熱幅射を短距離で強く受けさせれば、スラグと共に溶融して自重落下により除去することができる。これが第2の本発明に係る揺動キルンによる還元溶融方法である。
【0056】ところで、揺動還元時の付着物34の形状は一様ではなく、揺動範囲の中央付近A9 (図3(a)参照)ではベッド2に接触している時間が長くなって温度変化が少なく、ベッド2中の発生COガスによる強還元雰囲気に曝されて、付着物34が形成されにくく成長速度が遅い。一方、揺動範囲の両端付近A8 はフリーボード3に曝されている時間が長いため、壁面の温度も高く還元雰囲気が弱いので、付着物34を形成しやすい形状となる。
【0057】従って、本発明の場合には形成される付着物34は競り合う形状とはならないため、自重による鉛直方向の力が働いて剥離や脱落が容易になる。仮に被処理物の物性、層厚等の条件で被処理物の接触範囲がキルン31の全周に亘ったとしても、付着物34の形態が一様なリング状でないため、競り合う力が弱く前述の方法で除去することができる。
【0058】このように本発明では、フリーボード3では酸化及び溶融させて付着物34を落としながら、ベッド2では還元処理を連続して行えることになる。よって、処理物装入量を低下させたり、装入側からこぼれたり、石炭のみの装入による除去操業を必要とすることなく、操業を安定させることができる。
【0059】また、上記した本発明では、キルン31の排出側端面31cに形成する堰31bによりせき止められて溜まるキルン31の底部の湯溜まり17は、その形成物が溶融金属であることから比重が重く、被処理物は図3(d)に示したように湯溜まり17に浮いた状態となって、前記の転動による搬送割合が少なくなる。
【0060】従って、湯溜まり17上の浮遊流動による移動となって、揺動範囲εを小さくすることができ、壁面と固体搬送物との接触範囲ηが大幅に縮小され、フリーボード3中に炉壁から剥離落下するダスト等の被処理物の量を更に削減することができる。これが第3の本発明に係る揺動キルンによる還元溶融方法である。この第3の本発明に係る揺動キルンによる還元溶融方法によれば、さらにフリーボード3を曇らせることが少なくなって、被処理物への伝熱効率が改善され、燃料原単位の改善と処理能力向上が図れることになる。
【0061】〔湯溜まり形成範囲による揺動範囲の変更〕ところで、前記した溶融金属の湯溜まり17がキルン31の上流側まで達しないときは、湯溜まり17が消滅しない程度に揺動範囲εを大きくして上流側の被処理物の搬送を優先し、湯溜まり17が上流側まで達した後に揺動範囲εを小さくすることで、被処理物を効率的に搬送することができるようになる。
【0062】〔湯溜まり形成範囲の限定と湯溜まりの効果〕湯溜まり17の形成範囲は、キルン31の排出側を下り勾配に配置している関係上、図4に示したように、キルン31の排出側端面31cから装入側端面31dに向けて広がるが、少なくとも加熱バーナー5のバーナー火炎5aからの熱輻射9の最も強い位置(b点)より上流側まで、願わくば、装入側端面31dまで溜めるようにする。
【0063】これによって、溶融金属が接触している範囲γ1 (図3(a)参照)は、溶融金属中の炭素によって付着物34中の酸化金属を還元して付着物34を除去することになり、付着物34がリング状に成長しなくなる。従って、被処理物の炉内搬送が確実に行えるようになる。
【0064】なお、溶融金属と接しない範囲(ηーγ1 )の炉壁の付着物34がある程度成長しても、本発明の場合にはリング状に競り合う力が働かないので、時々キルン31の揺動角度を大きくさせるだけで、付着物34は自重によって剥離し落下する。
【0065】また、湯溜まり17に被処理物のベッド2が浸漬されているので、固体の被処理物中の金属液滴12は、ベッド2の中を滴下することなく湯溜まり17へ容易に集合することができ、かつ、被処理物中の炭素は、固体炭素が湯溜まり17の溶融金属中に浸されるので容易に浸炭することができ、湯溜まり17による還元で消費する炭素分を補給することが出来る。
【0066】固体被処理物2中の固体の微小金属液滴10も、湯溜まり17に浸漬した状態で揺動され溶融金属で洗浄されるので、溶融金属から熱と炭素を素早く供給されて溶融し、湯溜まり17へ容易に集合させられる。よって、有価金属の回収率の向上が図られる。
【0067】〔湯溜まり形成後、揺動から一方向回転へ〕湯溜まり17が未形成の状態の時や、湯溜まり17がバーナー火炎5aの熱輻射9の最も高い位置まで成長、到達していない時は、キルン31を往復回転揺動させて還元溶融させ、付着物34をリング状に形成させることなく湯溜まり17を形成させて徐々にこの湯溜まり17を成長させてゆく。そして、湯溜まり17がキルン31の上流側まで到達した後は、キルン31を一方向に回転させてもよい。これが第4の本発明に係る揺動キルンによる還元溶融方法である。この第4の本発明に係る揺動キルンによる還元溶融方法においては、フリーボード3における還元物4を湯溜まり17中の炭素で還元するだけの炭素を、装入する被処理物中に予め余分に配合しておけばよい。
【0068】〔伝熱〕熱の供給においては、湯溜まり17に比較的温度が低い被処理物(ベッド2)が浸されるようになるので、固相の被処理物(ベッド2)と液相の溶融金属(湯溜まり17)との熱伝達となって、溶融金属から素早く熱を供給され、被処理物(ベッド2)の温度が上昇すると共に、還元反応を著しく進行させることができる。
【0069】しかも、被処理物(ベッド2)中の炭素が溶融金属(湯溜まり17)へ直接供給されると共に、溶融金属(湯溜まり17)中の炭素は被処理物(ベッド2)中の固体微小金属10へ移行するため、固体微小金属10の融点が下がって湯溜まり17へ移行して集合し、還元速度向上による処理量と有価金属の回収率の向上が図れる。
【0070】一方、溶融金属中において吸熱反応である還元反応が起こるため、溶融金属の温度が低下しようとするが、湯溜まり17がバーナー火炎5aの最も強いところの直下にも存在するので、温度の低い湯溜まり部分と、温度の高い湯溜まり部分との間で温度差により溶融金属が対流し、この対流によって温度が低下した湯溜まり部分へ熱を供給することができる。
【0071】また、湯溜まり17の存在範囲が大きくなってキルン31の揺動範囲εを小さくした場合、高温になった炉壁が湯溜まり17の中に潜り込むことによって熱を供給する割合が減少するが、フリーボード3の透視度が高くなり、バーナー火炎5aの熱輻射9や炉壁からの熱輻射を直接受けるようになっていることで補うことができる。
【0072】さらに、キルン31の下流側の湯溜まり17部は、バーナー火炎5aからの熱輻射9が小さくなり、炉壁からの接触伝熱の割合が大きくなっているため、熱供給不足となるが、ここでは上流側の湯溜まり17から連続して高温の溶融金属が流れ込んで熱が供給されるため、湯溜まり17は局所的な温度差が生じず、概ね一様な温度となる。
【0073】〔揺動の効果(1)〕本発明はキルン31を揺動させるため、フリーボード3の加熱バーナー5の直上など酸素濃度の著しく高い場所を通過した炉壁と湯溜まり17が接触することがなく、酸化度合いの低い炉壁とのみ接触することになって、湯溜まり17の脱炭が小さくなる。
【0074】また、本発明では、湯溜まり17の表面は概ね被処理物に覆われている状態となることと、湯溜まり17部から抜けて出てきた炉壁に付着している溶融金属18は、酸素や炭酸ガス濃度の高いフリーボード3の上部まで回動しないので、酸化度合いが低く、また、再び湯溜まり17に浸されるので湯溜まりが安定する。
【0075】〔揺動の効果(2)〕キルン31内部の付着物生成防止に関しては、本発明では、炉壁への被処理物の接触範囲ηが概ね210°以下となり、完全にリング状の付着物とならないため、付着物34自身の競り合いによって剥離しにくくなることがない。また、常に溶融物をキルン31の上流側まで滞留させることにより、湯溜まり17と炉壁又は炉壁に付着している付着物34とを接触させ、付着物形成時にバインダーの役割をなしている酸化物を還元させて、付着物34の形成を阻止するとともに、一旦形成した付着物34も徐々に除去していく効果がある。
【0076】従って、本発明では、層厚の厚い付着物34を形成して被処理物の搬送を妨げることがなくなるので、キルン31の装入側の隙間から炉内容物がこぼれ出ることが少なくなって、長期間安定した操業ができるようになる。
【0077】〔耐火物〕上記した本発明に係る揺動キルンによる還元溶融方法においては、キルン31は揺動運動を行なうために、キルン31に内張りされた耐火物は、湯溜まり17と接触する円周方向の範囲が限定されることになる。
【0078】従って、図5に示したように、キルン31の内周において湯溜まり17と接触する範囲ε1 と、固体の被処理物と接触する範囲η1 と、被処理物と接触しない範囲δ1 とに内張りする耐火物の材質を変更することによって、長寿命化と煉瓦コストの低減を図ることができる。これが第5の本発明に係るキルンである。
【0079】例えば、湯溜まり17が十分に発達し上流側まで到達した時に行う揺動範囲ε1 のみを溶融金属に強いSiC系煉瓦の内のSiC成分の高い煉瓦を用い、その他の揺動によって被処理物が接触する範囲η1 はSiC系煉瓦の内のSiC成分の低い煉瓦を用い、被処理物と接触しない範囲δ1 は、アルミナ系の断熱性能の高い煉瓦を用いる等である。
【0080】このように内張りする耐火物の材質を変更することによって、キルン31の円周方向における損耗する部分が限定されることになって、損耗した部分のみ交換すれば良くなる。従って、運転中の管理も、円周上のある特定された範囲の溶銑の目地への差し込みなどを重点的に監視するだけで、安全を確保することができるようになる。
【0081】
【実施例】以下、本発明の効果を確認するために行なった実験結果について説明する。有価金属を回収するにあたり、製品として回収できた有価金属の回収率は、従来のロータリンキルンを使用した方法では、理論回収量の25〜48%であったが、本発明者がその排出物のうちスラグに含まれている有価金属の性状を確認した結果、細粒状の粒鉄が多量に含まれていることが判明し、溶融金属に浸すことで容易に回収率を上げることが予測できた。
【0082】そこで、本発明者らは、製鉄所内から発生するダスト・スラッジ類に還元材として石炭を混合したものを用い、これを直径4.2m、長さ14mのキルンに装入し、本発明方法により還元溶融したところ、理論回収量の83〜90%まで回収することができた。
【0083】また、その際、本発明方法を採用したことにより、キルンの内周面に形成される付着物量も従来法と比べて抑制でき、しかも、その付着物もリング状のものではないので競り合う力が弱く、付着物がフリーボードの最も温度の高い位置に位置するよう揺動範囲を変更することで、容易に溶融除去することができた。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、以下に列挙する効果を有する。
1.製鉄所といった金属精錬所等から発生する金属成分を含むダスト・スラッジ類の有価金属回収及びスラグの再資源化における処理に際し、安定して溶融金属を回収することができることで、処理量の増加や燃料原単位の低減、処理コストの低減を図ることができる。
【0085】2.また、回収できる有価金属の量が多くなることと、金属中の有害成分も除かれるので、原料成分の調整が不要になり、回収金属の付加価値が向上し、資源として再利用しやすくなる。
【0086】3.耐火物も重点的な配置をする事ができ、コストも安くなり、かつ、溶銑の目地への侵入など重大事故、災害に結びつく要因を容易に監視及び管理できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)はキルン内における被処理物の揺動搬送の原理を順を追って説明する横断面から見た図である。
【図2】キルン内における被処理物の揺動搬送の原理を説明する長手方向から見た図である。
【図3】(a)〜(d)はキルン内に形成される付着物とこの付着物を除去する際の説明図である。
【図4】湯溜まりの形成範囲を説明する図である。
【図5】湯溜まり範囲とフリーボードの煉瓦材質をキルン円周方向で張り分ける場合の説明図である。
【図6】ロータリーキルンを用いた還元溶融方法の説明図で、(a)は長手方向から見た図、(b)は横断面方向から見た図である。
【図7】ロータリーキルンを用いた還元溶融時における付着物形成状態の説明図で、(a)は長手方向から見た図、(b)は横断面方向から見た図である。
【図8】キルン中間部から下流側における金属成分を含むダスト・スラッジ類及び鉄鉱石の溶融から滴下に至る説明図である。
【図9】ロータリーキルン内における微小金属液滴の挙動を説明する図である。
【図10】ロータリーキルン下流側における湯溜まり形成部分における説明図である。
【図11】装入される被処理物と燃焼ガスが平行流のロータリーキルンにおける燃焼火炎の熱輻射強度の説明図である。
【図12】装入される被処理物と燃焼ガスが平行流のロータリーキルンにおける被処理物の温度分布の説明図である。
【図13】ロータリーキルン内に形成された付着物により湯溜まり形成範囲が限定されることを説明する図である。
【図14】ロータリーキルン内に形成された付着物(堰)により上流側のベッド層厚が厚くなり、装入側から被処理物がこぼれることを説明した図で、(a)は長手方向から見た図、(b)は横断面方向から見た図である。
【符号の説明】
3 フリーボード
5a バーナー火炎
17 湯溜まり
31 キルン
31b 堰
31e 耐火物

【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属成分を含むダスト・スラッジ類及び鉄鉱石に還元材を添加、加熱して排出側に向けて下り勾配となるように配置されたキルンで還元し、亜鉛除去や溶融してスラグを分離し金属を回収する還元溶融操作方法において、装入したダスト・スラッジ類をキルンの往復回転揺動により排出端まで搬送すると共に、フリーボード内におけるバーナー火炎からの熱供給により還元・脱亜鉛及び溶融操作を行うことを特徴とする揺動キルンによる還元溶融方法。
【請求項2】 キルンの搬送面に付着物が形成されたとき、この形成された付着物がフリーボードの最も温度の高い位置に位置するよう揺動範囲を変更し、キルンの横断面下方では揺動還元を行いながら、上部では付着物を酸化溶融落下させることを特徴とする請求項1記載の揺動キルンによる還元溶融方法。
【請求項3】 キルンの排出端部に形成した堰により、前記排出端からバーナー火炎の熱輻射強度の最も強い位置より上流側に至るまで溶融物が滞留している場合は、キルンの往復回転揺動によって前記滞留した溶融物中に固体の被処理物を浸漬させ、被処理物の昇温・還元・浸炭・溶融等の工程を行わせることを特徴とする請求項1又は2記載の揺動キルンによる還元溶融方法。
【請求項4】 金属成分を含むダスト・スラッジ類及び鉄鉱石に還元材を添加、加熱して排出側に向けて下り勾配となるように配置されたキルンで還元し、亜鉛除去や溶融してスラグを分離し金属を回収する還元溶融操作方法において、キルンの排出端部に形成した堰により、前記排出端から上流側に向けて溶融物を滞留させる段階で、溶融物の滞留範囲が小さい場合は、請求項1〜3の何れか記載の揺動キルンによる還元溶融方法のように、キルンの往復回転揺動により固体の被処理物を還元しながら搬送してキルンの下流側で湯溜まりに浸漬させ、前記排出端から装入端又はその近傍位置まで湯溜まりが形成された後は、キルンを一方向に回転させて被処理物の昇温・還元・浸炭・溶融等の工程を行うことを特徴とする揺動キルンによる還元溶融方法。
【請求項5】 主たる接触物の湯溜まりの範囲とフリーボードの範囲の煉瓦材質をキルン円周方向で張り分けたことを特徴とする請求項1〜4の何れか記載の揺動キルンによる還元溶融方法に使用するキルン。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2002−213716(P2002−213716A)
【公開日】平成14年7月31日(2002.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−11567(P2001−11567)
【出願日】平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】