説明

揺動装置

【課題】モータの質量に関わらず、応答性の高い揺動装置を提供する。
【解決手段】揺動装置10は、ベース12と、揺動テーブル14と、複数のリンク機構20と、当該リンク機構20を駆動するモータ26と、リンク機構20と揺動テーブル14との間に介在する連結部材と、を備える。リンク機構20は、モータの駆動に応じて、その上端位置がリンク機構面内で変化するものの、リンク機構面の位置およびリンク機構面の角度は不変である。連結部材は、スライド機構22と、X,Y,Z軸回りの回動を許容する回転ジョイントと、を有しており、揺動テーブル14がリンク機構20に対して回動およびスライドすることを許容する。そして、かかる構成とすることで、モータ26をベース12に固定設置(位置固定)することが可能となる。そして、結果として、リンク機構20、ひいては、揺動装置10の応答性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動テーブルに振動を付与する揺動装置に関し、特に、揺動テーブルをリンク機構で支持した揺動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から対象物に三次元的な揺動を付与するために、三次元的に揺動可能な揺動テーブルを備えた揺動装置が広く知られている。かかる揺動装置は、例えば、人間の動特性測定装置や、ドライブシュミレータ、フライトシュミレータ、遊戯装置、作業テーブル装置あるいは工業用ロボットなどに利用される。
【0003】
こうした揺動装置の中には、揺動テーブルを支持するリンク機構を変形させることで揺動テーブルに揺動を付与するものがある。例えば、下記特許文献1には、複数のリンク機構で揺動テーブルを支持する構成の揺動テーブル装置が開示されている。この揺動テーブル装置では、略「く」の字状の可動リンクを一対並設した五角形リンク機構の上端を揺動テーブルに連結している。各可動リンクは、その下方に連結されたモータにより駆動され、変形するようになっている。リンク機構の下端は、このモータを含めた可動リンク全体を回転可能に支持する金具によりベースに連結されている。この金具を介することにより、リンク機構面が傾斜自在となり、より多様な動きをとることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−24149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、かかる構成は、動きが多様化される一方で、応答性の向上や、被揺動物の質量増加への対応が困難という問題があった。すなわち、この特許文献1では、モータは、ベースに固定されているわけではなく、ベースより僅かに浮いた状態となっている。モータは、この浮いた状態で可動リンクに連結されており、リンク機構面とともに回転する構成となっている。そのため、質量の大きなモータを組み合わせる場合には、モータ質量が高速動作時の応答に影響し、所望の揺動状態を実現することが困難になる場合がある。また、特許文献1記載の構成では、モータにかかる重力成分によりリンク面に曲げモーメントが発生する。この曲げモーメントは、当然ながら、モータの質量が大きいほど大きくなり、装置の安定性の低下や制御精度の低下などが生じやすくなる。そのため、特許文献1記載の構成では、質量が大きくなる大出力モータの採用が困難であり、ひいては、被揺動物の質量増加への対応が困難であった。
【0006】
そこで、本発明では、モータの質量に関わらず、応答性の高い揺動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の揺動装置は、固定床面に載置されるベースと、揺動が付与される揺動テーブルと、前記ベースに直交する規定の平面内で上端が連結部材を介して前記揺動テーブルを支持し、前記揺動テーブルに揺動を付与する複数のリンク機構を含む、揺動テーブル支持機構と、を備え、前記揺動テーブル支持機構は、前記各上端位置を前記規定の平面内で位置決め可能なリンク機構と、前記リンク機構と揺動テーブルとの間に介在し、前記揺動テーブルのリンク機構に対する回動および前記規定の平面に対して直交する方向への移動を許容する連結部材と、前記リンク機構を駆動するために前記ベースに固定設置されるモータと、を備えることを特徴とする。
【0008】
好適な態様では、前記リンク機構は、略「く」の字状に屈曲可能な一対のアーム体により構成される。他の好適な態様では、前記連結部材は、前記揺動テーブルの当該揺動テーブル面方向へのスライド移動を許容するスライド機構を含み、前記スライド機構のスライド方向は、上面視において、前記規定の平面に対して略直交方向である。
【0009】
他の好適な態様では、前記スライド機構は、前記揺動テーブルに平行な軸回りの回動を許容する回動軸を介して前記リンク機構に連結されるとともに、前記揺動テーブルに直交する軸回りの回動を許容する回動軸を介して前記揺動テーブルに連結される。
【0010】
他の好適な態様では、前記リンク機構が3以上である場合に、各リンク機構における前記規定の各平面は、その全てが平行ではない。この場合、前記複数のリンク機構は、前記ベースの長辺方向両端付近において同一線上に並ぶように設置され、かつ、互いに平行になるように設置された二つのリンク機構と、前記ベースの短辺方向端部付近に設置され、かつ、前記二つのリンク機構に対して略直交になるように設置された一つのリンク機構と、を含むことが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、モータはベースに固定設置されているため、当該モータの質量に関わらず、高い応答性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態である揺動装置の概略構成図である。
【図2】リンク機構周辺の正面図である。
【図3】各リンク機構の動きを上面から見た場合のイメージ図である。
【図4】モータの配置を上面から見た場合のイメージ図である。
【図5】他の実施形態である揺動装置の概略構成図である。
【図6】リンク機構周辺の正面図である。
【図7】リンク機構の他の配置例を示す図である。
【図8】リンク機構の他の配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態である揺動装置10の概略構成図である。また、図2は、この揺動装置10に用いられるリンク機構20_1,20_2,20_3(以下、特に区別しない場合は、添え数字を省略し「リンク機構20」と呼ぶ。以下、他部材でも同様)の概略正面図である。
【0014】
この揺動装置10は、例えば、車両や航空機などのシミュレータや遊戯装置、人間の動特性測定装置、作業テーブル装置などに利用される装置で、三次元的に揺動する揺動テーブル14の他に、当該揺動テーブル14を支持する揺動テーブル支持機構や当該揺動テーブル支持機構が設置されるベース12などを備えている。そして、揺動テーブル支持機構は、さらに、揺動テーブル14を支持する複数のリンク機構20や、リンク機構20と揺動テーブル14との間に介在する連結部材、リンク機構20の駆動を制御する制御装置(図示せず)などを備えている。
【0015】
揺動テーブル14は、三次元的な揺動が付与されるテーブルである。車両の振動試験などを行う場合、当該揺動テーブル14に、揺動対象物である車両などが連結される。この揺動テーブル14の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、略矩形の平板材を揺動テーブル14として用いている。なお、当然ながら、軽量化などのために、揺動テーブル14として、部位ごとに肉厚が異なるような板材を用いてもよい。
【0016】
ベース12は、床面などの固定面に設置される板材である。このベース12の形状も特に限定されないが、本実施形態では、揺動テーブル14とほぼ同形である略矩形の板材をベース12として用いている。
【0017】
このベース12の上には、複数(本実施形態では三つ)のリンク機構20が設置されている。この複数のリンク機構20は、いずれも、同様の構成をしており、互いに協働して揺動テーブル14を支持する。本実施形態では、モータ26の質量に関わらず、応答性の高い揺動装置10を提供するために、このリンク機構20周辺の構成を特殊なものとしている。以下、各リンク機構20周辺の構成について詳説する。
【0018】
各リンク機構20は、いずれも、同様の構成を有している。具体的には、各リンク機構20は、屈曲自在な略「く」の字状のアーム体31a,31b(以下、特に区別しない場合は添え字のアルファベットを省略し「アーム体31」と呼ぶ。他部材も同様)を二つ、「く」の字が向かい合うように連結することで構成される略五角形リンク機構である。各アーム体31は、二つのアーム、すなわち、上側アーム34および下側アーム32から構成されている。
【0019】
上側アーム34の下端は、中間連結軸38を介して、下側アーム32の上端に、回転自在に連結されており、両アーム32,34の成す角度(すなわち「く」の字の屈曲角度)は、適宜、変更できるようになっている。また、一つのアーム体31aの上側アーム34aの上端は、上端連結軸40を介して、他のアーム体31bの上側アーム34bの上端に回転自在に連結されている。そして、これにより、一つの上側アーム34aと他の上側アーム34bとが成す角度も、適宜、変更できるようになっている。下側アーム32の下端は、下端連結軸36を介して、ベース12に固定設置されたモータ26の出力軸に連結されている。そして、この下側アーム32は、モータ26の駆動、ひいては、出力軸の回転に伴い、下端連結軸36を中心として、回動できるようになっている。
【0020】
ここで、長さ一定のアーム32,34で連結されている関係上、各連結軸36,38,40の距離関係は常に一定である。一方で、モータ26の駆動に応じて、下側アーム32の回動角度(傾斜角度)、ひいては、当該下側アーム32の先端に設けられる中間連結軸38の位置は、適宜、変更する。この中間連結軸38の変位を許容しつつ、各連結軸間の距離関係を維持するために、下側アーム32が回動した場合には、上側アーム34も回動することになる。そして、その結果、リンク機構20は、適宜、形状変形することになる。そして、このリンク機構20の形状変形により、当該リンク機構20の上端位置が変化することになる。ただし、この上端位置の変化は、当該リンク機構20を構成する四つのアーム32,34を通る垂直平面(以下「リンク機構面」と呼ぶ)内での変化である。別の言い方をすれば、リンク機構20の上端は、上下方向、および、二つのアーム体31a,31bの配設方向(図2における左右方向)には移動するが、モータの出力軸方向(図2における紙面垂直方向)には移動しないようになっている。
【0021】
各下側アーム32にはモータ26が連結されている。モータ26は、このリンク機構20を駆動(変形)させる駆動源として機能するもので、各下側アーム32ごとに設けられている。このモータ26の出力軸は、直接的に、または、ギアなどを介して間接的に下端連結軸36に連結されており、当該モータ26の駆動に応じて下側アーム32を回動、ひいては、リンク機構20を形状変形できるようになっている。本実施形態では、このモータ26を、ブランケットなどの金具を介してベース12に固定設置している。そのため、モータ26の重量が、リンク機構20に荷重としてかかることはない。そして、その結果、揺動装置10全体として応答性向上などを図ることができるが、これについては、後に詳説する。なお、各モータ26の駆動は、制御装置により制御されており、この制御装置には、モータ26に取り付けられたエンコーダでの検出値が入力される。
【0022】
リンク機構20の上端は、揺動テーブルのリンク機構に対する回動およびスライド移動を許容する連結部材を介して揺動テーブル14に連結されている。連結部材は、より具体的には、回転ジョイント24およびスライド機構22から構成される。回転ジョイント24は、連結軸40の回転自由度を除く2自由度の回転軸、すなわち、図2における上下および左右方向に回転軸を持つジョイントである。そして、かかる回転ジョイント24、および、連結軸40の作用により、揺動テーブル14が、リンク機構20およびベース12に対してX,Y,Z軸回りに回動できる。
【0023】
回転ジョイント24と揺動テーブル14との間には、さらに、スライド機構22が設けられている。スライド機構22は、揺動テーブル14を、当該揺動テーブル面方向にスライドさせる機構で、レールや移動ブロックなどを備えている。レールは、揺動テーブル14の底面に固着された部材である。移動ブロックは、回転ジョイント24、ひいては、リンク機構20に連結されたブロック体である。この移動ブロックが、レールに沿って相対移動(実際にはレールが移動)することにより、揺動テーブル14が当該揺動テーブル14の面方向にスライド移動することになる。ここで、レールは、上面視で、その長軸、ひいては、スライド機構22によるスライド方向が、リンク機構面に対してほぼ直交するように設置されている。ただし、当然ながら、回転ジョイント24の作用により揺動テーブル14がZ軸回りに回転した場合、このスライド方向とリンク機構面との直交関係は多少変化する。
【0024】
本実施形態では、以上のような構成のリンク機構20を三つ設けている。第一リンク機構20_1および第二リンク機構20_2は、そのリンク機構面が互いに平行となるように、ベースのX軸方向両端付近の同一線上に対向配置されている。第三リンク機構20_3は、第一リンク機構20_1および第二リンク機構20_2とは、そのリンク機構面がほぼ直交するように、ベース12のY軸方向端部付近に配設されている。
【0025】
次に、この揺動装置10の動作について図1、図3、図4を参照して説明する。図3は、各リンク機構20の動きを、図4はモータ26の配置を、揺動装置10の上面から見た場合のイメージ図である。なお、図3において、破線の矢印は、各リンク機構20の可動方向を示しており、太実線の矢印はスライド機構22の可動方向を示している。また、細実線の矢印は、回転ジョイント24による回動方向を示している。なお、図3には図示できていないが、各回転ジョイント24等の作用により揺動テーブル14は、X軸回りの回動、および、Y軸回りの回動も許容されている。
【0026】
本実施形態の揺動装置10は、適宜、モータ26を駆動することにより、揺動テーブル14に6自由度の揺動、すなわち、X,Y,Z軸方向の直線運動およびX,Y,Z軸回りの回動を付与することができる。以下、この各揺動の付与について詳説する。なお、ここでは、理解を容易にするために、各揺動を単独で付与する場合についてのみ説明するが、これら各揺動は適宜、組み合わせて付与してもよい。
【0027】
X軸方向の直線運動は、第三リンク機構20_3に対応するモータ26を駆動して当該第三リンク機構20_3の上端をX軸方向に移動させることで揺動テーブル14に付与される。このX軸方向の直線運動は、第一スライド機構22_1および第二スライド機構22_2により許容される。Y軸方向の直線運動は、第一リンク機構20_1および第二リンク機構20_2に対応するモータ26を駆動して両リンク機構20_1,20_2の上端をY軸方向、同一向きに移動させることで揺動テーブルに付与される。このY軸方向の直線運動は、第三スライド機構22_3により許容される。Z方向の直線運動は、三つのリンク機構20_1,20_2,20_3に対応するモータ26を駆動して当該三つのリンク機構20_1,20_2,20_3の上端をZ軸方向、同一向きに移動させることで揺動テーブル14に付与される。
【0028】
X軸回りの回動は、第一リンク機構20_1(または第二リンク機構20_2)の上端と、第三リンク機構20_3の上端と、に高低差を生じさせることで揺動テーブル14に付与される。なお、各リンク機構に連結された回転ジョイント24等は、このX軸回りの回動を許容するべく回動する。Y軸回りの回動は、第一リンク機構20_1の上端と第二リンク機構20_2の上端とに高低差を生じさせることで揺動テーブル14に付与される。なお、このY軸回りの回動を許容するべく、第三リンク機構20_3も、適宜、その上端高さを可変する。また、当該Y軸回りの回動を許容するべく、各リンク機構20_1,20_2,20_3に連結された回転ジョイント24等も回動する。Z軸回りの回動は、第一リンク機構20_1および第二リンク機構20_2の上端を、Y軸方向逆向きに移動させることで揺動テーブルに付与される。例えば、第一リンク機構20_1の上端をY軸方向プラス側に、第二リンク機構20_2の上端をY軸方向マイナス側に移動させることで、Z軸回りの回動が実現される。このZ軸回りの回動時、当該回動に追従するべく第三リンク機構20_3はX方向に移動し、かつ、揺動テーブル14は第三スライド機構22_3に沿ってスライドする。また、適宜、このZ軸回りの回動を許容するべく、各リンク機構20_1,20_2,20_3に連結された回転ジョイント24等も回動するようになっている。
【0029】
以上、説明したとおり、本実施形態の揺動装置10によれば、6自由度の揺動を揺動テーブル14に付与することができる。ところで、これまでの説明で明らかなとおり、本実施形態では、リンク機構20は、リンク機構面内でのみ移動し、各軸回りの回動およびリンク機構面に直交する方向への移動は、リンク機構20の上端に連結された回転ジョイント24およびスライド機構22で担保している。換言すれば、本実施形態において、リンク機構20は、形状変形はするものの、その設置位置やリンク機構面の角度は不変である。そのため、リンク機構20を駆動するモータ26を位置固定とすることができ、結果として、応答性の向上や、大重量のモータを利用することが可能となる。
【0030】
すなわち、特許文献1記載のような従来技術においては、リンク機構全体が水平軸回りに回動するようになっていた。換言すれば、リンク機構面が角度可変となっていた。このリンク機構面の角度可変を許容するために、当該リンク機構を駆動するモータも、当該リンク機構とともに回動するようになっていた。別の見方をすれば、従来技術において、モータは、ベースから浮いて、リンク機構にぶら下がった状態となっていた。
【0031】
この場合、リンク機構には、当然ながら、モータの質量が前記水平軸回りの慣性モーメントとして付加される。このモータ質量がリンク機構を高速動作させる際の応答に影響し、所望の揺動状態を実現することが困難になる場合があった。また、従来技術では、モータにかかる重力成分によりリンク面に曲げモーメントが発生する。この曲げモーメントは、当然ながら、モータの質量が大きいほど大きくなり、装置の安定性の低下や制御精度の低下などが生じやすくなる。そのため、従来技術では、質量が大きくなる大出力モータの採用が困難であり、ひいては、被揺動物の質量増加への対応が困難であった。
【0032】
一方、本実施形態では、既述したとおり、リンク機構20は、その設置位置やリンク機構面の角度は不変であるため、当該リンク機構20を駆動するモータ26を位置固定とすることができる。そして、モータ26が位置固定の場合には、当該モータ26をリンク機構20にぶら下げる必要は無く、ベース12に固定設置させることができる。モータ26をベース12に固定設置することで、当該モータ26の質量が負荷としてリンク機構20に作用することが無くなり、結果として、リンク機構20の応答性を向上させることができる。また、モータ26をベース12で支持する構成としているため、当該モータ26の質量が増加したとしても、リンク機構20に悪影響を与えることは殆どない。そのため、質量が大きくなる大出力モータの採用も可能となり、ひいては、より大重量の物品を揺動させることが可能となる。
【0033】
なお、これまで説明した構成は一例であり、2以上のリンク機構20と、各リンク機構20と揺動テーブル14との間に介在する4自由度(X,Y,Z軸回りの回動、および、リンク機構面に直交する方向への移動)の連結部材と、を備えるのであれば、他の構成は、適宜、変更されてもよい。
【0034】
例えば、上述の実施形態では、スライド機構22のレールは揺動テーブル14に固着しているが、図5、図6に図示するように、スライド機構22のレールと揺動テーブル14との間にZ軸回りの回動を許容するZ回転軸24zを介在させるようにしてもよい。
【0035】
この場合、スライド機構22の移動ブロックは、X軸回りの回動を許容するX回転軸24xおよびY軸回りの回動を許容するY回転軸24yを介してリンク機構の上端に連結される。別の見方をすれば、スライド機構22は、リンク機構20に対してX軸回りおよびY軸回りの回動が許容されている。一方で、Z軸回りの回動を許容するZ回転軸24zは、レールの上面に連結されているため、当該レール(スライド機構22)は、リンク機構20に対してZ軸回りに回動することはできない。換言すれば、この構成の場合、上面視において、スライド機構22のスライド方向とリンク機構面との角度関係は常に不変であり、両者は互いに直交する関係を常に保っている。その結果、揺動を付与する際におけるリンク機構20の駆動制御を、上述の実施形態に比して、単純化することができ、ひいては、制御に関するプログラム等を簡易化することができる。
【0036】
また、これまでの説明では、第一リンク機構20_1および第二リンク機構20_2を同一線上に配置、換言すれば、スライド機構22のスライド軸が同一線上になるように配置している。しかし、図7に図示するように、スライド機構22のスライド軸が同一線上にならないように、第一リンク機構20_1および第二リンク機構20_2をずらしてもよい。かかる構成とすることで、スペースを、より効率的に利用することができる場合がある。
【0037】
すなわち、被揺動物の大重量化に伴い、モータ26を大型化した場合、図4に図示するように、同一線上に二つのモータ26を並べることは困難な場合がある。かかる場合には、図7に図示するように、第一リンク機構20_1および第二リンク機構20_2をずらして配置するようにすればよい。
【0038】
また、これまでの説明では、第一リンク機構20_1および第二リンク機構20_2を、そのリンク機構面が略平行となるように配置していたが、これらリンク機構面を非平行としてもよい。例えば、図8に図示するように、三つのリンク機構20_1,20_2,20_3を120度対称の位置に、換言すれば、三つのリンク機構面が120度ずつ順に異なるように配置してもよい。また、複数のリンク機構20のリンク機構面が全て平行でないのであれば(換言すれば、一つでも他のリンク機構20と非平行のリンク機構20が存在するのであれば)、他の配置を採用してもよい。いずれにしても、ベース12の形状や、モータ26のサイズなどに応じて、適宜、リンク機構20の配置を変更することで、スペースをより有効に利用できる。
【0039】
また、これまでの説明では、リンク機構20を三つ設ける場合のみを例示してきたが、リンク機構20は、2以上であれば、いくつであってもよい。なお、リンク機構20の数がいくつであったとしても、全てのリンク機構20のリンク機構面が平行の場合には、6自由度の揺動を付与することはできない。したがって、リンク機構20が3以上の場合は、リンク機構面の全てが平行でないことが必要である。
【符号の説明】
【0040】
10 揺動装置、12 ベース、14 揺動テーブル、20 リンク機構、22 スライド機構、24 回転ジョイント、26 モータ、31 アーム体、32 下側アーム、34 上側アーム、36,38,40 連結軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定床面に載置されるベースと、
揺動が付与される揺動テーブルと、
前記ベースに直交する規定の平面内で上端が連結部材を介して前記揺動テーブルを支持し、前記揺動テーブルに揺動を付与する複数のリンク機構を含む、揺動テーブル支持機構と、
を備え、前記揺動テーブル支持機構は、
前記各上端位置を前記規定の平面内で位置決め可能なリンク機構と、
前記リンク機構と揺動テーブルとの間に介在し、前記揺動テーブルのリンク機構に対する回動および前記規定の平面に対して直交する方向への移動を許容する連結部材と、
前記リンク機構を駆動するために前記ベースに固定設置されるモータと、
を備えることを特徴とする揺動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の揺動装置であって、
前記リンク機構は、略「く」の字状に屈曲可能な一対のアーム体により構成されることを特徴とする揺動装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の揺動装置であって、
前記連結部材は、前記揺動テーブルの当該揺動テーブル面方向へのスライド移動を許容するスライド機構を含み、
前記スライド機構のスライド方向は、上面視において、前記規定の平面に対して略直交方向である、
ことを特徴とする揺動装置。
【請求項4】
請求項3に記載の揺動装置であって、
前記スライド機構は、前記揺動テーブルに平行な軸回りの回動を許容する回動軸を介して前記リンク機構に連結されるとともに、前記揺動テーブルに直交する軸回りの回動を許容する回動軸を介して前記揺動テーブルに連結される、ことを特徴とする揺動装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の揺動装置であって、
前記リンク機構が3以上である場合に、
各リンク機構における前記規定の各平面は、その全てが平行ではない、ことを特徴とする揺動装置。
【請求項6】
請求項5に記載の揺動装置であって、
前記複数のリンク機構は、
前記ベースの長辺方向両端付近において同一線上に並ぶように設置され、かつ、互いに平行になるように設置された二つのリンク機構と、
前記ベースの短辺方向端部付近に設置され、かつ、前記二つのリンク機構に対して略直交になるように設置された一つのリンク機構と、
を含むことを特徴とする揺動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−264515(P2010−264515A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115153(P2009−115153)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】