説明

搗き機

【課題】本発明は、被搗き物の性状や種別を問わず常に確実に能率よく搗くことが出来る、コンパクトに構成された搗き機を提供するものである。
【解決手段】所要の速度でもって回転自在に水平配設された臼2と、該臼2の中心線に沿って昇降自在に配設された杵6と、上記臼2と逆方向に回転作動せしめつつ被搗き物を中心方向に手返し作動せしめるべく臼2内の偏心位置に配設された回転羽根7と、被搗き物を臼2内底に塞き止めつつ中心方向に手返し作動せしめるべく臼2内に配設された固定羽根15とよりなる搗き機であって、上記回転羽根7は略螺旋状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搗き機に関し、さらに詳細には、餅をはじめ団子、うどん、そば、パン、ご
ま、みそ等の加工食品の製造時において、所要の原料を適宜撹拌、混合、混練、あるいは
捏和せしめるべく搗き処理せしめるさいに使用する搗き機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、餅搗き機としては、内底面を除く他の内周面が撥水処理せしめられ
てなる回転自在な臼と、該臼の中心線に沿って昇降自在に配設された杵と、上記臼と逆方
向に回転作動せしめつつ被搗き物を中心方向に手返し作動せしめるべく臼内の偏心位置に
配設された略三角板状の回転羽根と、被搗き物を臼内底に塞き止めつつ中心方向に手返し
作動せしめるべく臼内に配設された固定羽根とよりなる自動餅搗き機が知られている(特公昭58−57179号公報参照)。
【0003】
そして、上述の如く構成された従来例は、臼に蒸し米を投入せしめたのち、所定の回転
速度でもって所定方向に回転作動せしめると共に、回転羽根を逆方向に回転作動せしめて
蒸し米を常に中心方向に手返しせしめつつ、杵を昇降作動せしめ、適宜固定羽根による手
返し作動とも相まって搗き作動を好適に行い、所要の餅生地を生成せしめるものとされて
いる。
【特許文献1】特公昭58−57179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の如く構成された従来例は、蒸し米を搗いて餅生地を好適に生成せしめ
ることが出来る反面、回転羽根が単に略三角板状に形成されているにすぎないものである
から、特に付着力が弱い密漬後の餅生地、あるいは、食紅などによる色付けの為に液体を
加えて被膜化した餅生地などの場合にはスリップしやすく、場合によっては臼の回転方向
とは逆の方向に押し返す反力を生起せしめるものとなり、安定的に生地を臼の中心方向に
手返し作動せしめずらいものとなっていた。
また、従来例の臼は内底面を除く他の内周面のみが撥水処理せしめられているにすぎな
いものであるから、実際に餅、団子、パン、あるいはうどん等の生地を生成せしめるさい
には内底面に生地が付着しやすく、均一な搗き作用が阻害されやすいものとなっていた。
さらに、従来例の固定羽根は、回転羽根とは別個独立に臼内に配設するものとされてい
るから、全体の構造が複雑化してその製作が面倒でコスト高となるのみならず、手返し作用の点においても回転羽根とのスム−ズな協働作用がしずらいものとなっていた。
【0005】
本発明は従来の問題点を解決し、被搗き物の性状や種別を問わず常に確実に能率よく搗
くことが出来る、コンパクトに構成された搗き機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1記載の発明は、所要の速度でもって回転
自在に水平配設された臼と、該臼の中心線に沿って昇降自在に配設された杵と、上記臼と
逆方向に回転作動せしめつつ被搗き物を中心方向に手返し作動せしめるべく臼内の偏心位
置に配設された回転羽根と、被搗き物を臼内底に塞き止めつつ中心方向に手返し作動せし
めるべく臼内に配設された固定羽根とよりなる搗き機において、上記回転羽根は略螺旋状
に形成されてなることを特徴とする、搗き機を要旨とするものである。
【0007】
本発明の請求項2記載の発明は、上記臼の全内周面が撥水処理されてなることを特徴と
する、請求項1記載の搗き機を要旨とするものである。
【0008】
本発明の請求項3記載の発明は、上記固定羽根は取付け軸を介して回転羽根の下方に取
付けられてなることを特徴とする、請求項1及び2記載の搗き機を要旨とするものである

【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1記載の発明は上述の如く、回転羽根が略螺旋状に形成されているから
、臼と共に回転する被搗き物を上下方向に移動せしめつつ回転方向に移動せしめることが
出来るため、例えば、粘着力の弱い被搗き物がスリップした場合においても、その移動方
向を適正に変えることが出来るものであって、常に均一的に臼の中心に被搗き物を手返し
せしめることができ、被搗き物の性状や種類に関係なく安定的に搗き作用を確実に能率よく行うことが出来るものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、上述の如く、臼の全内周面が撥水処理せしめられているから、
臼の内底面を除く他の内周面のみを撥水処理せしめた従来例に比して、餅や団子などの生
地を生成せしめるさいには内底面への生地の付着を有効に防止せしめ、常に均一な搗き作
用を行わしめることが出来るものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、上述の如く、固定羽根が取付け軸を介して回転羽根の下方に取
付けられているから、固定羽根を回転羽根と別個独立に臼内に配設せしめた従来例に比し
て、構造が簡単であり、その製作を容易に、しかも安価に行うことが出来るのみならず、
回転羽根とのスム−ズな手返しの協働作用を容易に行わしめることが出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に示す一実施例に基づいて詳細に説
明する。
【0013】
図1乃至図3は本発明の一実施例を示すもので、同図中、1は略方形状の基台、2は該
基台1上に回転軸3を介して回転自在に立設された所要の内径と深さを有する略椀状の臼
、4は基台1の一側に付設された減速機付きモ−タで、上記臼2は該モ−タ4の起動によ
り歯車機構5を介して所定方向に回転作動するものとされている。6は上記臼2の中心線
に沿って昇降自在に配設された杵、7は上記臼2と逆方向に回転作動せしめつつ被搗き物
を中心方向に手返し作動せしめるべく臼2内の偏心位置に垂下状に配設された略螺旋状の
回転羽根で、該回転羽根7は臼2上にフレ−ム8を介して配設された垂下状の取付け用固
定軸9に所要長の回転スリ−ブ10を外嵌せしめると共に、該回転スリ−ブ10の外周面
に両側一対の平羽根部材11を略螺旋状に取付けることにより形成されている。そして、
上記回転スリ−ブ10は歯車機構12と連結軸13と巻掛け伝動機構14とを介して前記
モ−タ4に接続され、回転羽根7を臼2と逆方向に回転作動せしめるべく構成されている
。15は被搗き物を臼2の内底に塞き止めつつ中心方向に手返し作動せしめるべく前記取
付け用固定軸9下端に取付けられた略フック状の固定羽根である。
【0014】
次に、上述の如く構成された実施例による餅生地の生成について説明する。
まず、臼2内に所要量の蒸し米を投入せしめる。しかるのち、モ−タ4を起動せしめ、
歯車機構5を介して臼2を図2に矢印で示す方向に回転作動せしめると共に、巻掛け伝動
機構14・連結軸13・歯車機構12を介して回転羽根7を同期に逆方向に回転作動せし
めつつ、杵6を所定の速度でもって昇降作動せしめる。そして、杵6の昇降作動により蒸
し米を搗きつつ、臼2と共に回転する生成中の餅生地を固定羽根15でもって内底に塞き
止めつつ順次内底の中心方向に手返し作動せしめると共に、臼2と逆方向に回転作動する
回転羽根7でもって生成中の餅生地を臼2内の中心方向に向けて順次手返し作動せしめ、
これらが相まって蒸し米を搗いて所望の餅生地を生成せしめる。このさい、回転羽根7は
略螺旋状に形成されているから、蒸し米より生成中の餅生地を上下方向に移動せしめつつ
回転方向に移動せしめることが出来るものであって、常に餅生地の手返し作動を迅速、か
つ確実に行うことが出来るものである。また、臼2の全内周面が撥水処理せしめられてい
るから、生成する餅生地の付着を有効に防止せしめ、常に均一な搗き作用を行わしめるこ
とが出来るものである。さらに、固定羽根15は回転羽根7の下方に配設されているから
、回転羽根7とのスム−ズな協働作用を容易に行わしめることが出来るものであって、常
に生成中の餅生地の手返し作用を迅速、かつ、確実に行うことが出来るものである。
そして、所望の餅生地を生成せしめた時点でモ−タ4を停止せしめ、臼2と回転羽根7
の回転作動を停止すると共に、杵6の昇降作動を停止せしめたのち、臼2内より生成餅生
地を取出し、搗き作業を完了する。
【0015】
なお、上記実施例は餅搗きへの適用例を示したが、これに限定されるものでなく、団子
、うどん、そば、パン、ごま、みそなどの加工食品の製造時において所要の原料を適宜撹
拌、混合、混練、あるいは捏和せしめるべく搗き処理せしめるさいにも好適に適用せしめ
ることが出来るものである。また、回転羽根7は回転スリ−ブ10の外周面に両側一対の
平羽根部材11を略螺旋状に取付けることにより構成されているが、必要に応じて平羽根
部材11の個数を増減せしめてもよく、また、羽根部材の形状も平羽根状に限定されるも
のではなく、切子羽根状やリボン羽根状など公知の形状に形成せしめてもよいものである

【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例を示す一部破砕側面図である。
【図2】図1に示す実施例の平面図である。
【図3】実施例の回転羽根7及び固定羽根15を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
2 臼
6 杵
7 回転羽根
9 取付け用固定軸
15 固定羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要の速度でもって回転自在に水平配設された臼と、該臼の中心線に沿って昇降自在に
配設された杵と、上記臼と逆方向に回転作動せしめつつ被搗き物を中心方向に手返し作動
せしめるべく臼内の偏心位置に配設された回転羽根と、被搗き物を臼内底に塞き止めつつ
中心方向に手返し作動せしめるべく臼内に配設された固定羽根とよりなる搗き機において
、上記回転羽根は略螺旋状に形成されてなることを特徴とする、搗き機。
【請求項2】
上記臼の全内周面が撥水処理されてなることを特徴とする、請求項1記載の搗き機。
【請求項3】
上記固定羽根は取付け軸を介して回転羽根の下方に取付けられてなることを特徴とする
、請求項1及び2記載の搗き機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−89674(P2009−89674A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264800(P2007−264800)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(595181553)大阪自動機株式会社 (3)
【Fターム(参考)】