説明

搬送台車の駆動輪の支持構造

【課題】従来の駆動輪では、荷台の下面に配置して、フレームに直接ボルトで締結していた。駆動輪は、通路が平面では駆動力を通路に伝達して走行可能であるが、曲面状とか凹凸状の悪路になると、フレームが傾斜して駆動輪が通路から浮き上がることが多くあり、スムーズに走行することができなかった。本発明では、駆動輪に圧縮ばねで通路に付勢力を与えて傾斜しても悪路を走行しても通路に平行に当接させる駆動輪の支持アームを提供する。
【解決手段】本発明の駆動輪2は、荷台7の下面に配置して、電動モータ4の駆動回転を走行可能に通路GLに伝達し、左右両側に荷台7と駆動輪2の軸方向を平行に回動可能な支持アーム9を軸着し、該支持アーム9は、通路GLに当接する方向へ回動させる圧縮ばね11を荷台7と駆動輪2間に配置する構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送台車の荷台に搭載する荷物が、片荷により荷台が傾斜しても、駆動輪と地上面の接触が片接触状態から全面接触状態に変化して、駆動力の伝達を効率よく伝達できるようにする駆動輪の支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の駆動輪2は、ホイール3に内蔵する変速機5を備え、この変速機5に入力する電動モータ6を接続し、電動モータ6にブレーキ7を備えて形成し、前記変速機5の密閉したケース本体25にパイプ管18で連結する圧力除去缶19は大気に接する透孔を備え、ケース本体25内の潤滑油Oにパイプ管18の一端を挿入し、パイプ管18の他端をこの圧力除去缶19の底面に配置する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2010−78131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この駆動輪は、車輪が通路との接触面を曲面状にして、荷台が傾斜しても柔らかい材質のゴム・ウレタン等のタイヤを採用して、大きな負荷が掛ったとき、片減りとか破損の防止をするが、タイヤが曲面で駆動力の伝達面が少なく、柔らかいため伝達効率が低くなり、スリップ等を発生させ、駆動装置の容量を大きくしなければならない問題があった。
【0005】
本発明では、駆動輪に悪路とか荷台が揺れたり傾斜したりしても駆動輪と通路の接触面を多くすることで伝達効率を高め、駆動力を保持することができるように、駆動輪と通路を平行にして、荷台も水平を維持できるように付勢力をもった支持アームを備え、高速運転を可能にする駆動輪の支持構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明では、電動モータの駆動回転で走行する駆動輪を備えた搬送台車において、前記駆動輪は、荷台の下面に配置して、駆動モータの駆動回転を走行可能に通路に伝達し、左右両側に荷台と駆動輪の軸方向を平行に回動可能な支持アームを軸着し、該支持アームは、通路に当接する方向へ回動させる付勢手段を荷台と駆動輪間に配置する構成とする。
【0007】
請求項2の発明では、請求項1の駆動輪は、荷台の中間に設置して左右の両端に補助輪を配置して、搬送中の荷台の傾斜に対して軸心方向が水平に付勢させる支持アームである構成とする。
【0008】
請求項3の発明では、請求項2の支持アームは、少なくとも一方に付勢手段を備え、駆動輪の軸心と荷台とを平行な四辺形の形成を維持する圧縮ばねを備えている構成とする。
【0009】
請求項1の構成では、荷台と駆動輪が平行に維持する支持アームの平行四辺形の定義により、駆動輪が通路に当接面を多くする作用がある。
請求項2の構成では、補助輪が荷台の平行を維持して、支持アームが駆動輪を荷台と平行にして通路と当接する作用がある。
請求項3の構成では、タイヤの当接面は荷台が急に傾斜しても、通路との接触面を多くする作用がある。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、駆動輪を軸方向と荷台面とが平行に維持することができ、付勢する圧縮ばねを備えているので、傾斜面・うねった悪路でもタイヤ面の接触の効率を高くして駆動力の伝達を高める効果がある。
請求項2の発明では、補助輪が荷台の重量を支持して、駆動輪の駆動力を効率よく通路に伝達できる効果がある。
請求項3の発明では、片荷のように傾斜しても駆動輪と通路の接触面の効率を高く維持することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 支持アームを備えた駆動輪で走行する搬送台車の正面図。
【図2】 駆動輪の支持アームを説明する正面図。
【図3】 支持アームを説明する側面図。
【図4】 台車の中央に駆動輪を配置した搬送台車の正面図。
【図5】 第二実施形態の駆動輪を説明する正面図。
【図6】 第二実施形態の支持アームを説明する側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、搬送台車1の駆動輪2を通路GLに当接させて、電動モータ4の駆動力を効率高く伝達して、うねった悪路でも伝達効率を高く維持することができる、駆動輪2の支持アームの構成について一実施形態を示して説明する。
【0013】
図1は、搬送台車1を示し、平面状の荷台7を備え、荷台7の下面をフレーム13により剛性高めて、このフレーム13に駆動輪2を左右に複数台を配置して、図示略の制御により電源の供給と信号を伝達して、駆動輪2の旋回と回転数を制御して目的地に走行可能にしている。駆動輪2は、ウレタン・ゴム等の重量に耐えることができる材質にしたタイヤ8を駆動回転させて、通路GLを走行して荷台7に搭載した荷物Wを搬送することができる。荷台7は、低い位置にすることで、搭載物22の積み下ろしが楽になるため、駆動輪2を小径にする必要があり、電動モータ4と減速機5とタイヤ8を小型化して配置する。
【0014】
タイヤ8は、小径のため、操舵の旋回が多いと偏磨耗により交換を要することになり、このタイヤ交換に要する時間が長いと一台あたり4輪あると、4輪の交換を必要にし、数週間停止状態になり、稼働率が下がり仕事に悪影響を与える。対策として従来は、駆動輪2の全体を一式交換することにして、時間は短いが費用が高く、ランニングコストが上がる欠点を持っていた。本発明の駆動輪2のタイヤ8は、その場で短時間に新しいタイヤ8と入れ替えることができ、費用も安く、直ぐに運転可能になり稼働率を上げることができる。
【0015】
駆動輪2は、伝達効率が高くするために、通路GLと平行に当接させるように、軸心方向16と荷台7面の方向を平行に維持させる支持アーム9を、駆動輪2の両側に軸着して、駆動輪2とフレーム13間にアブソーバー10と圧縮ばね11を各駆動輪2に配置している。支持アーム9は、左右を同じ長さにして、軸心方向16に若干傾斜させてピン12で軸着し、荷台7と軸心方向16とを平行にして、左右の支持アーム9を平行にしている。
【0016】
支持アーム9には、フレーム13を押し上げる圧縮ばね11が搭載され、この圧縮ばね11内を伸縮するアブソーバー10を備えて、付勢力の振動を減衰させる緩衝部材である。荷台7は、荷物Wの重量により圧縮ばね11が押し下げられ、フレーム13が下がり支持アーム9が傾斜して、軸心方向を変えることなく荷台7と平行に維持している。
図2は、駆動輪を説明するもので、ゴム・ウレタンを回転体6の外周面に被服されたタイヤ8を通路GLに当接させ、軸心方向にタイヤ8に内蔵する減速機5備え、減速機5に入力する電動モータ4を接続して、回転体6の両側に突出した枠体3に、水平方向からピン12で止めてあり、軸心方向16に支持アーム9が回動可能にしている。
【0017】
搬送台車1は、通路GLが悪路であっても全駆動輪2が独立しているため、圧縮ばね11の押し上げと、アブソーバー10の減衰作用により、荷台7を水平に維持して、駆動輪2が通路GLに合わせて、支持アーム9の回動により上下動して、荷物Wを揺らすことなく、通路GLと軸心方向16と常に平行を維持して走行できるので、走行速度も高めることができる。
【0018】
図3は、駆動輪2を側面から見たもので、一方の支持アーム9で説明するもので、上部を荷台7のフレーム13に回動可能にして、軸心方向16へ直交した方向にピン12で軸着し、下部の電動モータ近傍の枠体3に、ピン12を上部同様に軸着して、回動可能にしている。支持アーム9には、アブソーバー10と圧縮ばね11が、支持アーム9と同様に同じ方向へ、回動可能にピン12で軸着しているため、タイヤ8が上下動しても支持アーム9が回動するだけで、安定した水平を維持して、荷物Wを安全に搭載して、搬送することができる。
【0019】
駆動輪2は、軸心方向16にタイヤ8の側面を挟んで、同長さの支持アーム9を軸着して、荷台7とタイヤ8の通路GLに当接面17を平行にしているので、タイヤ8の上下動が、通路GLに沿って左右に移動することになる。このときに、荷台7が通路GLに対して傾斜すると、平行四辺形の定義により、タイヤ8の当接面17も同じ角度で傾斜して、軸心方向16への移動に、抵抗を与えることになり、水平を保持させようとする効果がある。
【0020】
図4は、荷台7の下面に、駆動輪2を中央に配置して、左右に補助輪14を配置し、平行に各タイヤ8を設置している。駆動輪2は、軸心方向16に傾斜する支持アーム9を、タイヤ8の両側に配置して、アブソーバー10と圧縮ばね11を備えている。この圧縮ばね11は、通路GLに当接面17を付勢させるためにあり、悪路において接触率を高めて駆動力を伝達する。補助輪14は、荷台7の荷物Wの重量を受けるアブソーバー10と、圧縮ばね11を備えた補助輪支持アーム15を、タイヤ8の軸心方向へ回動可能に軸着している。
【0021】
荷物Wは、荷台7の図面で右側に重心を置いて搭載され、荷台7が傾斜した状態で走行することになり、補助輪支持アーム15の傾斜が左右に違いが出ている。駆動輪2は、荷台7の傾斜に合わせて、軸心方向16を傾斜に合わせて、駆動力を伝達している。旋回時は、略の旋回装置により、この傾斜状態に似ていて、タイヤ8方向が旋回方向に傾斜している。
【0022】
補助輪14は、荷重が大きいほうが圧縮ばね11を圧縮して抗している。駆動輪2は、旋回方向に傾斜するため当接面17を小さくして、旋回力を小さくする作用により、容易に旋回することができる。搬送台車1は、悪路を走行するとき、左右の補助輪14が上下動して、荷台7を水平に保持して、振動を吸収する動作をするが、駆動輪に介在する圧縮ばね11が通路GLと荷台7に付勢力を与え駆動力を伝達している。
【0023】
(第二実施形態)
図5は、支持アーム9aをアブソーバー10と圧縮ばね11にして、小型であり軽量で安価に形成する支持構造を説明する。駆動輪2は、タイヤ8を中央にして、タイヤ8に内蔵した減速機5を一端側に突出させて、枠体3に支持アーム9を軸着して回動可能にする。
駆動輪2の他端側には、電動モータ4と、必要により付属品の電磁ブレーキを備えて、枠体3で突出させアブソーバー10を支持アーム9aの作用をさせ回動可能に軸着している。アブソーバー10には、圧縮ばね11が外周面に配置してありアブソーバー10の長さを一定に維持する付勢力を備え、アブソーバー10の伸縮に抵抗するもので、通常の走行では伸縮動作が無く支持アーム9と同じ寸法で回動する。枠体3は、荷台7との間に圧縮ばね11を介在させて駆動輪2を通路GLに当接させることができる。
【0024】
図6は、駆動輪2の他端側から説明するもので、アブソーバー10と圧縮ばね11で形成する支持アーム9aであり、伸縮可能であり回動も行う。この支持アーム9aは、駆動輪2の枠体3に軸着して2本を配置している。この駆動輪2は、例えば通路GLにタイヤ8が小さい凸部・段差等を通過するとき、通過中だけ支持アーム9aが伸縮して、軸心方向16を変えて荷台7を揺らすことなく走行ができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
駆動輪は、振動を吸収して荷台を傾斜させないで、走行でるもので走行速度を上げて稼働させることができ、通路の整備を低減させ、安価な設備費で高速運転を可能にして、人を搭載したトロッコ等の車両に採用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 搬送台車
2 駆動輪
3 枠体
4 電動モータ
5 減速機
6 回転体
7 荷台
8 タイヤ
9 支持アーム
10 アブソーバー
11 圧縮ばね
12 ピン
13 フレーム
14 補助輪
15 補助輪支持アーム
16 軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータの駆動回転で走行する駆動輪を備えた搬送台車において、
前記駆動輪は、荷台の下面に配置して、駆動モータの駆動回転を走行可能に通路に伝達し、左右両側に荷台と駆動輪の軸方向を平行に回動可能な支持アームを軸着し、該支持アームは、通路に当接する方向へ回動させる付勢手段を荷台と駆動輪間に配置することを特徴とする搬送台車の駆動輪の支持構造。
【請求項2】
前記駆動輪は、荷台の中間に設置して左右の両端に補助輪を配置して、搬送中の荷台の傾斜に対して軸心方向が水平に付勢させる支持アームであることを特徴とする請求項1記載の搬送台車の駆動輪の支持構造。
【請求項3】
前記支持アームは、少なくとも一方に付勢手段を備え、駆動輪の軸心と荷台とを平行な四辺形の形成を維持する圧縮ばねを備えていることを特徴とする請求項2記載の搬送台車の駆動輪の支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−91762(P2012−91762A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255340(P2010−255340)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000237835)富士変速機株式会社 (76)
【Fターム(参考)】