説明

搬送用容器の洗浄方法およびその装置

【課題】搬送用容器の洗浄において、前記搬送用容器の内面および外面を十分に洗浄することができる洗浄方法およびその装置を提供する。
【解決手段】水平な回転軸に取り付けられて該回転軸を軸芯とする略円筒形状の回転体内に前記搬送用容器の開口部を含む面が前記回転軸に平行となるように載置し、前記回転体を回転させながらノズルにより洗浄液を前記搬送用容器に噴霧して洗浄を行う。更に、洗浄後に該噴霧を停止させ、少なくとも1回転させて洗浄液の残液を排出させる搬送用容器の洗浄方法およびその装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚れや搬送物の残りが外面あるいは内面に付着した搬送用容器を洗浄する搬送用容器の洗浄方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送用容器の洗浄にあっては、たとえば図6、図7に示したようにコンベア9上に搬送用容器bが直列的に載置され、コンベア9上を移動しながら前記コンベアの近傍に配設されたノズル51により搬送用容器の上方向、下方向あるいは側面方向から前記搬送用容器に向かって洗浄液を噴霧し洗浄するいわゆる連続式洗浄方法などが用いられてきた。(たとえば特許文献1参照。)
【0003】
このような洗浄方法においては、コンベア9の近傍に配設されたノズル51とコンベア9上を移動する搬送用容器bの位置関係は定められており、内面あるいは外面に凹部や凸部が設けられた搬送用容器を洗浄する場合には、噴霧液が直接洗浄部位に当たらず洗浄が不十分となる場合があった。また、たとえば搬送用容器内面底部の凹部や補強のために設けられる搬送用容器の外面底部の補強部材で囲まれた凹部に洗浄液が溜まり易いため、洗浄後に搬送用容器をひっくり返して洗浄液の残液を排出する等の工程を設ける必要であった。
【特許文献1】特開平9−29194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、搬送用容器の内面あるいは外面を十分に洗浄することができ、同一装置内で洗浄後に簡便に洗浄液の残液の排出を行う搬送用容器の洗浄方法およびその装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の手段は、一の面が開口部となる搬送用容器の洗浄方法であって、前記搬送用容器を水平な回転軸に取り付けられて該回転軸を軸芯とする略円筒形状の回転体に前記搬送用容器の開口部を含む面が前記回転軸に平行となるように載置し、前記回転体を回転させながらノズルにより洗浄液を前記搬送用容器に噴霧して洗浄する搬送用容器の洗浄方法およびその装置である。
【0006】
本発明の第二の手段は、洗浄液を搬送用容器に噴霧した後、該噴霧を停止させ、次に、回転体に載置した状態で前記搬送用容器を少なくとも1回転させて洗浄液の残液を排出する搬送用容器の洗浄方法である。
【0007】
本発明の第三の手段は、一の面が開口部となる搬送用容器の洗浄方法であって、前記搬送用容器を水平な回転軸に取り付けられて該回転軸を軸芯とする略円筒形状の回転体内に前記搬送用容器の開口部を含む面が前記回転軸に平行となるように載置し、前記回転体を回転させながらノズルにより洗浄液を前記搬送用容器に噴霧して洗浄する搬送用容器の洗浄において、搬送用容器の開口部周縁および内面側壁部を支承する支承手段を設けた搬送用容器の洗浄装置である。
【発明の効果】
【0008】
前記第一の手段によれば、回転体に載置されて回転する搬送用容器を、洗浄室内に配設されたノズルにより洗浄液を噴霧して洗浄することで、たとえば内面あるいは外面に凹部や凸部などを有する搬送用容器であっても十分に洗浄することができる。
【0009】
また、前記第二の手段によれば、洗浄液の噴霧を停止させた後、前記搬送用容器を少なくとも1回転させることにより前記搬送用容器の凹部等に溜まった洗浄液の残液を簡便に排出することができる。すなわち、洗浄後に別の装置を設けて搬送用容器をひっくり返す等により洗浄液の残液を排出することが不要となる。
【0010】
更に、本発明の第三の手段によれば、搬送用容器の開口部周縁および内面側壁部を支承する支承手段を備えた搬送用容器の洗浄装置としたことで、折り畳み式の搬送用容器であっても回転中に前記折り畳み式の搬送用容器の側壁が回転により発生する荷重や自重等で折り畳まれることがないため、内面あるいは外面を十分に洗浄することができる。
等の格別の効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための形態を、図1〜図5に基づき説明する。なお、各図において同じ符号を付した部材等は同一または同種の部材等を表すものとする。
【実施例1】
【0012】
本発明の一実施例を図1〜図3に示した。図において、開閉自在な扉1aを設けたケース体1の垂直方向の略中央部に水平断面全面にわたって基台2が固着され、前記基台2は排水手段4が取り付けられている。この排水手段4は基台2に貫設された排水孔41および該排水孔41に一端が固着した配水管42とからなる。また、洗浄室B内には基台2上およびケース体1の天井に支持体6が設けられ、該支持体に回転自在に設置されたローラー61を介して後記する回転体7を支持している。
【0013】
ここで回転体7の構成について説明する。回転体7は二の環状の回転リング71と、回転リングを両端部に固着されている回転枠体72とを備えている。前記各回転リング71は複数のローラー61(本実施例では四のローラー)と外接し回転自在に支えられている。また、前記回転枠体72は直方体の各辺に対応するような枠状の部材で構成され、搬送用容器を支承するための支持部材81、82、83および蝶番85を備え搬送用容器を掛止可能に取り付けられた固定具84が設けられている。なお、回転体7は回転軸31に軸着しており、前記回転軸31にはケース体1の外側でギヤ32が嵌着され、ケース体1の外部に設けられた回転手段3はギヤ34、チェーン33を介して、前記ギヤ32と接続されている。
【0014】
一方、洗浄室B内に付設されている洗浄液を噴霧するためのノズル51は、導管52を介して図示していない洗浄液供給手段に接続されている。
【0015】
次に、本実施例における搬送用容器の洗浄装置の動作について説明する。本実施例では洗浄液として温水を用いた。まず、ケース体1の前面に取り付けられた扉1aを開き矢印xの方向から被洗浄物である搬送用容器を挿入して回転枠体72に設けられた支持部材81上に載置し、固定具84により前記搬送用容器を固定する。次に前記扉を閉めて例えばモーターからなる回転手段3を作動させて回転軸31に取り付けられた回転体7を回転させる。その後、洗浄室B内に付設されたノズル51から温水を搬送用容器に向けて噴霧し洗浄を行う。
【0016】
次にノズル51からの温水の噴霧を停止させ、前記搬送用容器bを回転体7に載置した状態で少なくとも1回転させて温水の水切りを行う。
【0017】
なお、洗浄液として温水を用いたが、最初に界面活性剤等の洗浄剤を含んだ洗浄液を噴霧した後、同一あるいは他のノズルから温水等を噴霧してリンスを行ってもよく、被洗浄物の汚れ等の状況に応じて適宜選択してもよい。
【0018】
ところで、搬送用容器bを回転体7に載置して回転させながら洗浄液を噴霧して洗浄したのは、搬送用容器bの表面を隅々まで洗浄するためであり、表面に凹部や凸部がある搬送用容器であっても噴霧された洗浄液が十分行きわたる。また、搬送用容器の開口部が下側に位置した時には汚れた洗浄液を速やかに排出できるため、常に新しい洗浄液で洗浄することが可能となる。
【0019】
更に、洗浄後に洗浄液の噴霧を停止させた状態で少なくとも1回転させるのは搬送用容器bの凹部等に溜まった洗浄液を速やかに排出するためである。
【実施例2】
【0020】
本発明の他の実施例について図4および図5を用いて説明する。基本的な構造および動作については実施例1と変わらないため省略する。なお、本実施例では被洗浄物として折り畳み式の搬送用容器を用いた。
【0021】
本実施例に係る搬送用容器の洗浄装置おいては、実施例1に記載の搬送用容器の固定具として回転枠体72に設けられた昇降手段10と支承手段11を備えている。前記昇降手段10は昇降を行うエアシリンダー10aと昇降軸10bからなり、該昇降軸10bの下端には金具11cを介して押体11aおよび押体11bが取り付けられている。
【0022】
次に、本実施例における搬送用容器の洗浄装置の動作について説明する。まず、昇降手段10により支承手段11を上昇させて搬送用容器と干渉しない位置に待避させた後、組立てられた折り畳み式の搬送用容器bを図1記載の矢印xの方向から回転枠体72に挿入し、回転枠体72に設けられた支持部材81上に載置する。その後、前記昇降手段10により支承手段11を下降させて折り畳み式の搬送用容器の開口部周縁上端部に押体11aおよび押体11bの水平な押部11eを、折り畳み式の搬送用容器の内面側壁部には押体11aおよび押体11bの垂直な押部11dを当接させる。次に、実施例1と同様な方法で洗浄を行い、洗浄の終了後は前記昇降手段10により支承手段11を上昇させて搬送用容器と干渉しない位置に待避させた後に扉を開放して搬送用容器をケース体1外に取り出す。
【0023】
ここで、昇降手段10により支承手段11を下降させて搬送用容器の開口部周縁上端部に押体11aおよび押体11bの水平な押部11eを、搬送用容器の内面側壁部に押体11aおよび押体11bの垂直な押部11dを当接させて支承させたのは、搬送用容器bを回転枠体72内に固定するためであり、特に折り畳み式搬送用容器にあっては、支承手段による搬送用容器の開口部周縁上端部への押力、回転時に発生する荷重、自重等により内面側壁部が内側に折り込まれて搬送用容器が折り畳まれるのを防止するためである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例を説明するためのケース体を断面とした正面図である。
【図2】本発明の一実施例を説明するためのケース体を断面とした側面図である。
【図3】本発明の一実施例を説明するための回転体近傍の斜視図である。
【図4】本発明の他の実施例を説明するための回転体近傍の一部拡大正面図である。
【図5】本発明の他の実施例を説明するための回転体近傍の一部拡大側面図である。
【図6】従来の実施形態を説明するための正面図である。
【図7】従来の実施形態を説明するための側面図である。
【符号の説明】
【0025】
b 搬送用容器
1 ケース体
2 基台
3 回転手段
31 回転軸
51 ノズル
6 支持体
7 回転体
72 回転枠体
10 昇降手段
11 支承手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の面が開口部となる搬送用容器の洗浄方法であって、前記搬送用容器を水平な回転軸に取り付けられて該回転軸を軸芯とする略円筒形状の回転体内に前記搬送用容器の開口部を含む面が前記回転軸に平行となるように載置し、前記回転体を回転させながら洗浄室内に配設された少なくとも一のノズルにより洗浄液を前記搬送用容器に噴霧して洗浄することを特徴とする搬送用容器の洗浄方法。
【請求項2】
一の面が開口部となる搬送用容器の洗浄装置であって、前記搬送用容器を載置でき水平な回転軸に取り付けられて該回転軸を軸芯とする略円筒形状の回転体と、洗浄室内に配設されて前記搬送用容器に洗浄液を噴霧する少なくとも一のノズルとを備えたこと特徴とする搬送用容器の洗浄装置。
【請求項3】
洗浄液を搬送用容器に噴霧して洗浄した後、該噴霧を停止させ、次に、洗浄液の残液を排出するために前記搬送用容器を回転体に載置した状態で少なくとも1回転させることを特徴とする請求項1に記載の搬送用容器の洗浄方法。
【請求項4】
一の面が開口部となる搬送用容器の洗浄装置であって、回転枠体に設けられ昇降自在な昇降軸を有する昇降手段と、前記昇降軸の端部に取り付けられ搬送用容器の開口部周縁を支承する水平な押部と前記搬送用容器の内面側壁部を支承する垂直な押部とを有する押体を備えた支承手段と、を備えたことを特徴とする請求項2に記載の搬送用容器の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−75768(P2006−75768A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−264114(P2004−264114)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(301013583)株式会社イシダテック (2)
【Fターム(参考)】