説明

搬送装置

【課題】 オペレータの熟練度の差に関係なく、各進退機構の点検およびこの点検の結果に基づく各進退機構あるいはそれらを構成する部品の交換と、各移動体の点検およびこの点検の結果に基づく各移動体あるいはそれらを構成する部品の交換が容易に実行できる位置に移動体を正確に停止させることができる搬送装置を提供する。
【解決手段】 第1〜第3進退機構9,12,16により第1〜第3移動体4,6,60を進退させてワークSを搬送する搬送装置3は、各進退機構9,12,16に停止位置設定信号を出力して、各進退機構9,12,16の点検と交換および各移動体4,6,60の点検と交換を実行できる所定の停止位置に、各移動体4,6,60を停止させるための停止位置設定手段18,18a、19,19a、20,20aが操作コントローラ(制御手段)17に予め備わっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に係り、詳しくは、樹脂成形機に付設される成形品取出機を主とした搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂成形機に付設される成形品取出機として、たとえば特許文献1に記載されているトラバースの成形品取出機がある。
【0003】
この種トラバース型の成形品取出機は、樹脂成形機の幅方向にのびて該樹脂成形機に搭載固定された横行フレームを有し、この横行フレームには、樹脂成形機の長手方向にのびる引抜きフレームの基部が樹脂成形機の幅方向の進退を自在に組付けられ、引抜きフレームには、昇降ユニットが樹脂成形機の長手方向の進退を自在に組付けられているとともに、昇降ユニットには、成形品取出しヘッドが昇降自在(進退自在)に組み付けられている。
【0004】
前記横行フレームには、サーボドライバー(エンコーダ)と、サーボドライバーによって進退量(駆動量)が数値制御されるサーボモータと、サーボモータによって駆動される図示されていない公知のベルト駆動機構からなる第1進退機構が組み付けられており、この第1進退機構に引抜きフレームからなる第1移動体の基部が組み付けられることで、第1移動体が第1進退機構により樹脂成形機の幅方向に進退する。
【0005】
前記第1移動体である引抜きフレームには、サーボドライバー(エンコーダ)と、サーボドライバーによって進退量(駆動量)が数値制御されるサーボモータと、サーボモータによって駆動される図示されていない公知のベルト駆動機構からなる第2進退機構が組み付けられており、この第2進退機構に昇降ユニットからなる第2移動体が組み付けられることで、第2移動体が第2進退機構により樹脂成形機の長手方向に進退する。
【0006】
第2移動体である昇降ユニットには、サーボドライバー(エンコーダ)と、サーボドライバーによって昇降量(駆動量)が数値制御されるサーボモータと、サーボモータによって駆動される図示されていない公知のベルト駆動機構からなる昇降機構(第3進退機構)が組み付けられており、この第3進退機構に成形品取出しヘッド(成形品把持部)からなる第3移動体が組み付けられることで、第3移動体が第3進退機構により昇降(進退)する。
【0007】
【特許文献1】特開2002−326258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1に記載の成形品取出機では、通常、各進退機構の点検が定期的に行われ、この定期点検の結果に基づいて各進退機構あるいはそれらを構成する部品の交換がなされるとともに、引抜きフレーム、昇降ユニットおよび成形品取出しヘッドなどの各移動体の点検が定期的に行われ、この定期点検の結果に基づいて各移動体あるいはそれらを構成する部品の交換がなされる。
【0009】
第1〜第3進退機構における公知のベルト駆動機構では、その構成部品であるタイミングベルトに経時的なのびが生じる。タイミングベルトに伸びが生じると、第1〜第3移動体の適正な移動が妨げられて、成形品取出機によるワーク(成形品)の取出し精度が低下する。そのため、前記タイミングベルトの伸びを測定する第1〜第3進退機構の定期点検が必要になる。タイミングベルトの伸びは、通常、第1〜第3進退機構の停止状態で、撓み発生手段によりタイミングベルトの中央部、つまりタイミングベルトが掛け渡されている原動車と従動車の略中間に撓みを発生させ、その撓み量を検出することが望ましく、これによって、タイミングベルトの伸びが正確に測定できる。
【0010】
前記測定結果により、第1〜第3進退機構におけるタイミングベルトの継続使用が可能であると判断された場合は、当然、第1〜第3進退機構の運転が継続される。一方、前記測定結果により、第1〜第3進退機構のタイミングベルトの継続使用が不能であると判断された場合は、そのタイミングベルトが新しいタイミングベルトと交換される。
【0011】
タイミングベルトの伸びを正確に測定するためには、前記原動車と従動車の略中間に撓みを発生させることが望ましいことにより、第1〜第3進退機構の定期点検時には、前記第1〜第3移動体を原動車近傍または従動車近傍の所定位置まで移動して停止させることが要求される。この要求を満足させるためには、第1〜第3進退機構の定期点検の都度、ハンディ式または床面移動式の制御ボックスに組み付けられている操作コントローラ(制御手段)にオペレータが数値入力する煩雑で熟練を要する作業が必要になる。したがって、第1〜第3進退機構の点検作業性の向上を妨げているばかりか、オペレータの熟練度の差により、第1〜第3移動体の停止位置にバラツキが生じやすく、バラツキが生じることによってタイミングベルトの伸びの正確な測定が損なはれる。
【0012】
また、前記測定結果により、第1〜第3進退機構におけるタイミングベルトの継続使用が不能であると判断された場合には、タイミングベルトに組み付けられている移動体を原動車と従動車の略中間位置に移動させ、ここで該移動体を進退機構のタイミングベルトから取り外し、移動体が取り外された古いタイミングベルトを原動車と従動車から取り外したのちに、新しいタイミングベルトを原動車と従動車に掛け渡し、原動車と従動車の略中間位置に前記取り外した移動体が組み付けられる。
【0013】
タイミングベルトの交換に際しては、移動体を取り外しが容易な原動車と従動車の略中間位置に移動させることが望ましいことにより、移動体を原動車と従動車の略中間位置まで移動して停止させることが要求される。この要求を満足させるためには、タイミングベルトの交換の都度、ハンディ式または床面移動式の制御ボックスに組み付けられている操作コントローラ(制御手段)にオペレータが数値入力する煩雑で熟練を要する作業が必要になる。したがって、第1〜第3進退機構におけるタイミングベルトの交換作業性の向上を妨げているばかりか、オペレータの熟練度の差により、移動体の停止位置にバラツキが生じやすく、バラツキが生じることによってタイミングベルトの交換がより一層困難になる。
【0014】
一方、引抜きフレーム、昇降ユニットおよび成形品取出しヘッドからなる第1〜第3移動体あるいはそれらの構成部品にも経時劣化が生じる。第1〜第3移動体あるいはそれらの構成部品に経時劣化が生じると、成形品取出機によるワーク(成形品)の取出し精度が低下する。そのため、第1〜第3移動体の定期点検が行われる。第1〜第3移動体の点検は、通常、第1〜第3進退機構の停止状態で、第1〜第3移動体をタイミングベルトの中央部、つまりタイミングベルトが掛け渡されている原動車と従動車の略中間で行うことが望ましく、これによって、第1〜第3移動体の正確な点検を実行できる。
【0015】
前記点検結果により、第1〜第3移動体あるいはそれらの構成部品の継続使用が可能であると判断された場合は、当然、第1〜第3移動体あるいはそれらの構成部品が継続して使用される。一方、前記点検結果により、第1〜第3移動体あるいはそれらの構成部品の継続使用が不能であると判断された場合は、その第1〜第3移動体が新しい第1〜第3移動体と交換されるか、あるいはそれらの構成部品が新しい構成部品と交換される。
【0016】
第1〜第3移動体あるいはそれらの構成部品を正確に点検するためには、前記原動車と従動車の略中間で行うことが望ましいことにより、第1〜第3移動体あるいはそれらの構成部品の定期点検時には、第1〜第3移動体を原動車と従動車の略中間の所定位置まで移動して停止させることが要求される。この要求を満足させるためには、第1〜第3移動体あるいはそれらの構成部品の定期点検の都度、ハンディ式または床面移動式の制御ボックスに組み付けられている操作コントローラ(制御手段)にオペレータが数値入力する煩雑で熟練を要する作業が必要になる。したがって、第1〜第3移動体の点検作業性の向上を妨げているばかりか、オペレータの熟練度の差により、第1〜第3移動体の停止位置にバラツキが生じやすく、バラツキが生じることによって第1〜第3移動体あるいはそれらの構成部品の正確な点検が困難になる。
【0017】
また、前記点検結果により、第1〜第3移動体あるいはそれらの構成部品の継続使用が不能であると判断された場合には、前述のように、第1〜第3移動体を原動車と従動車の略中間位置に移動させた状態で、第1〜第3移動体を第1〜第3進退機構のタイミングベルトから取り外し、取り外された第1〜第3移動体に代えて新しい第1〜第3移動体を第1〜第3進退機構のタイミングベルトに組み付けて交換される。そのため、第1〜第3移動体あるいはそれらの構成部品の正確な点検が困難であることは、第1移動体の構成部品の交換または第2,第3移動体あるいはそれらの構成部品の交換が困難であることにつながる。ただし、実際上、引抜きフレームからなる第1移動体4に経時劣化が生じることは経験しないので、第1移動体4については、その構成部品のみが交換される。
【0018】
本発明は、このような問題を解決するものであって、その目的とするところは、オペレータの熟練度の差に関係なく、各進退機構の点検およびこの点検の結果に基づく各進退機構あるいはそれらを構成する部品の交換と、各移動体の点検およびこの点検の結果に基づく各移動体あるいはそれらを構成する部品の交換が容易に実行できる位置に移動体を正確に停止させることができる搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記目的を達成するために、本発明に係る搬送装置は、進退機構により移動体を進退させてワークを搬送する搬送装置において、
前記進退機構に停止位置設定信号を出力して、該進退機構の点検と交換および前記移動体の点検と交換を実行できる所定の停止位置に、前記移動体を停止させるための停止位置設定手段が操作コントローラに予め備わっていることを特徴としている。
【0020】
これによれば、操作コントローラに予め備わっている停止位置設定手段をオペレータが押圧する簡単な操作によって、進退機構の点検およびこの点検の結果に基づく進退機構あるいはそれを構成する部品の交換と、移動体の点検およびこの点検の結果に基づく移動体あるいはそれを構成する部品の交換が容易に実行できる位置に移動体を正確に停止させることができる。
【0021】
また、前記停止位置設定手段によって設定された停止位置での定期点検時の前記進退機構の停止回数をカウントして記憶するための停止回数積算記憶手段を備えていることが望ましい。これによると、停止回数積算記憶手段に記憶されている定期点検時の進退機構の停止積算回数が、実験的あるいは経験的に確認している定期点検時の限界停止回数に到達した時点で、進退機構あるいはそれを構成する部品の交換および移動体あるいはそれを構成する部品の交換を行えば、限界停止回数到達時において進退機構あるいはそれを構成する部品および移動体あるいはそれを構成する部品の点検手間を省くことができる。
【0022】
さらに、搬送装置は、樹脂成形機の幅方向にのびて該樹脂成形機に固定された横行フレームと、この横行フレームに沿って基部が進退自在に組み付けられて樹脂成形機の長手方向にのびる引抜きフレームからなる第1移動体と、前記横行フレームに組み付けられて前記第1移動体を進退させる第1進退機構と、前記第1移動体に進退自在に組み付けられた昇降ユニットからなる第2移動体と、前記第1移動体に組み付けられて前記第2移動体を進退させる第2進退機構と、前記第2移動体に昇降自在に組み付けられた成形品取出しヘッドからなる第3移動体と、前記第2移動体に組み付けられて前記第3移動体を昇降させる第3進退機構とを備え、樹脂成形機で成形されたワークを前記第3移動体で把持して樹脂成形機外部で解放するように構成した成形品取出機であることを特徴としている。
【0023】
これによると、操作コントローラに予め備わっている停止位置設定手段をオペレータが押圧する簡単な操作によって、第1〜第3進退機構の点検およびこの点検の結果に基づく各進退機構あるいはそれらを構成する部品の交換と、第1〜第3移動体の点検およびこの点検の結果に基づく各移動体あるいはそれらを構成する部品の交換が容易に実行できる位置に移動体を正確に停止させることができる成形品取出機を提供できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、オペレータの熟練度の差に関係なく、各進退機構の点検およびこの点検の結果に基づく各進退機構の部品交換と、各移動体の点検およびこの点検の結果に基づく各移動体の部品交換に好適な位置に、移動体を容易かつ正確に停止させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明が適用される射出成形機と成形品取出機の一実施形態を示す斜視図、図2は、各進退機構の構成部品であるベルト駆動機構の説明図、図3は、成形品取出機の制御系を示すブロック図である。
図1〜図3において、射出成形機(以下の説明では、成形機という)Mの固定プラテン1の上面には、トラバース型の成形品取出機3の固定ベース5が固定され、該固定ベース5には成形機Mの長手方向に直交する幅方向(図1の矢印X方向)にのびる横行フレーム2が支持されており、この横行フレーム2には、成形機Mの長手方向(図1の矢印Y方向)にのびる引抜きフレーム(第1移動体)4の基部が成形機Mの幅方向(図1の矢印X方向)の進退を自在に組付けられ、引抜きフレーム4には、上下方向(図1の矢印Z方向)の昇降が可能な昇降ユニット(第2移動体)6が成形機Mの軸線方向(図1の矢印Y方向)の進退を自在に引抜きフレーム4に組付けられている。
【0026】
横行フレーム2には、サーボドライバー(エンコーダ)7と、サーボドライバー7によって図1の矢印X方向の進退量(駆動量)が数値制御される第1サーボモータ8と、第1サーボモータ8によって駆動されるベルト駆動機構(図3参照)からなる第1進退機構9が組み付けられている。第1進退機構9は、第1サーボモータ8によって駆動される原動車9aと従動車9bおよび原動車9aと従動車9bとに掛け渡されるタイミングベルト9cとを備え、タイミングベルト9cに第1移動体である引抜きフレーム4の基部が連結されることで、引抜きフレーム4が第1サーボモータ8により図1の矢印X方向に進退する。
【0027】
第1移動体である引抜きフレーム4には、サーボドライバー(エンコーダ)10と、サーボドライバー10によって図1の矢印Y方向の進退量(駆動量)が数値制御される第2サーボモータ11と、第2サーボモータ11によって駆動されるベルト駆動機構(図3参照)からなる第2進退機構12が組み付けられている。第2進退機構12は、第2サーボモータ11によって駆動される原動車12aと従動車12bおよび原動車12aと従動車12bとに掛け渡されるタイミングベルト12cとを備え、タイミングベルト12cに第2移動体である昇降ユニット6が組み付けられることで、昇降ユニット6が第2サーボモータ11により図1の矢印Y方向に進退する。
【0028】
第2移動体である昇降ユニット6には、サーボドライバー(エンコーダ)14と、サーボドライバー14によって図1の矢印Z方向の昇降量(駆動量)が数値制御される第3サーボモータ15と、第3サーボモータ15によって駆動されるベルト駆動機構(図3参照)からなる第3進退機構16が組み付けられている。第3進退機構16は、第3サーボモータ15によって駆動される原動車16aと従動車16bおよび原動車16aと従動車16bとに掛け渡されるタイミングベルト16cとを備え、タイミングベルト16cに第3移動体である成形品取出しヘッド(成形品把持部)60が組み付けられることで、成形品取出しヘッド60が第3サーボモータ15により図1の矢印Z方向に昇降(進退)する。
【0029】
成形品取出機3の操作コントローラ(制御手段)17から、サーボドライバー7、10、14に駆動量設定値を出力することにより、第1〜第3サーボモータ8,11,15の駆動を制御する。操作コントローラ17には、各進退機構9,12,16に停止位置設定信号を出力して、各進退機構9,12,16の点検と部品交換および各移動体4,6,60の点検と部品交換を実行できる所定の停止位置に、各移動体4,6,60を停止させるための停止位置設定キー(停止位置設定手段)18,18a、19,19a、20,20aが予め備わっている。また、停止位置設定キー18,18a、19,19a、20,20aによって設定された停止位置での定期点検時の各進退機構9,12,16の停止回数をカウントして記憶するための停止回数積算記憶手段21を備えている。なお、図1において、22は制御ボックスで、その上面に操作コントローラ17が組み付けられている。23は電源線、24は成形機インターフェイスケーブルを示す。なお、操作コントローラ17は、制御ボックス22から分離したハンディタイプのものであってもよい。
【0030】
図2に示す成形機Mは、固定プラテン1に交換可能に装着された固定金型1aと、可動プラテン13に交換可能に装着された可動金型13aとからなる金型装置26と、この金型装置23の型閉じ、型締めおよび型開を実行する電動式の金型開閉機構25などを備える。図2において、Sは成形品(ワーク)を示す。
【0031】
前記構成において、第1進退機構9におけるタイミングベルト9cの定期点検時には、操作コントローラ(制御手段)17に予め備わっている第1進退機構9特定の停止位置設定キー18をオペレータが押圧する簡単なワンタッチ操作によって、引抜きフレーム(第1移動体)4を原動車9a近傍または従動車9b近傍の所定位置まで移動して停止させることができる。第2進退機構12におけるタイミングベルト12cの定期点検時には、操作コントローラ17に予め備わっている第2進退機構12特定の停止位置設定キー19をオペレータが押圧する簡単なワンタッチ操作によって、昇降ユニット(第2移動体)6を原動車12a近傍または従動車12b近傍の所定位置まで移動して停止させることができる。また第3進退機構16におけるタイミングベルト16cの定期点検時には、操作コントローラ17に予め備わっている第3進退機構16特定の停止位置設定キー20をオペレータが押圧する簡単なワンタッチ操作によって、成形品取出しヘッド (第3移動体)60を原動車16a近傍または従動車16b近傍の所定位置まで移動して停止させることができる。そのため、撓み発生手段により各タイミングベルト9c,12c,16cの中央部に撓みを発生させ、その撓み量を検出することで各タイミングベルト9c,12c,16cの伸びを正確に測定できる。
【0032】
前記測定結果により、タイミングベルト9cの継続使用が不能であると判断された場合には、操作コントローラ17に予め備わっている第1進退機構9特定の停止位置設定キー18aをオペレータが押圧する簡単なワンタッチ操作によって、引抜きフレーム(第1移動体)4を原動車9aと従動車9bの略中間位置に移動させ、ここで第1移動体4をタイミングベルト9cから取り外し、第1移動体4が取り外された古いタイミングベルト9cを原動車9aと従動車9bから取り外したのちに、新しいタイミングベルト9cを原動車9aと従動車9bに掛け渡し、原動車9aと従動車9bの略中間位置に前記取り外した第1移動体4を組み付ければよい。
【0033】
前記測定結果により、タイミングベルト12cの継続使用が不能であると判断された場合には、操作コントローラ17に予め備わっている第2進退機構12特定の停止位置設定キー19aをオペレータが押圧する簡単なワンタッチ操作によって、昇降ユニット(第2移動体)6を原動車12aと従動車12bの略中間位置に移動させ、ここで第2移動体6をタイミングベルト12cから取り外し、第2移動体6が取り外された古いタイミングベルト12cを原動車12aと従動車12bから取り外したのちに、新しいタイミングベルト12cを原動車12aと従動車12bに掛け渡し、原動車12aと従動車12bの略中間位置に前記取り外した第2移動体6を組み付ければよい。
【0034】
前記測定結果により、タイミングベルト16cの継続使用が不能であると判断された場合には、操作コントローラ17に予め備わっている第3進退機構16特定の停止位置設定キー20aをオペレータが押圧する簡単なワンタッチ操作によって、成形品取出しヘッド(第3移動体)60を原動車16aと従動車16bの略中間位置に移動させ、ここで第3移動体60をタイミングベルト16cから取り外し、第3移動体60が取り外された古いタイミングベルト16cを原動車16aと従動車16bから取り外したのちに、新しいタイミングベルト16cを原動車16aと従動車16bに掛け渡し、原動車16aと従動車16bの略中間位置に前記取り外した第3移動体60を組み付ければよい。
【0035】
第1移動体4の定期点検時には、操作コントローラ17に予め備わっている第1進退機構9特定の停止位置設定キー18aをオペレータが押圧する簡単なワンタッチ操作によって、引抜きフレーム(第1移動体)4を原動車9aと従動車9bの略中間位置まで移動して停止させることができる。第2移動体6の定期点検時には、操作コントローラ(制御手段)17に予め備わっている第2進退機構12特定の停止位置設定キー19aをオペレータが押圧する簡単なワンタッチ操作によって、昇降ユニット(第2移動体)6を原動車12aと従動車12bの略中間位置まで移動して停止させることができる。また、第3移動体60の定期点検時には、操作コントローラ(制御手段)17に予め備わっている第3進退機構16特定の停止位置設定キー20aをオペレータが押圧する簡単なワンタッチ操作によって、成形品取出しヘッド(第3移動体)60を原動車16aと従動車16bの略中間位置まで移動して停止させることができる。これにより、第1〜第3移動体4,6,60の正確な点検を容易に実行できる。
【0036】
前記点検結果により、第1〜第3移動体4,6,60あるいはそれらの構成部品の継続使用が不能であると判断された場合は、第1〜第3移動体4,6,60を新しい第1〜第3移動体4,6,60に交換されるか、あるいはそれらの構成部品が新しい構成部品と交換される。第1〜第3移動体4,6,60あるいはそれらの構成部品の正確な点検が容易に実行できることは、第1〜第3移動体4,6,60あるいはそれらの構成部品の交換が容易であることにつながる。
【0037】
このように、操作コントローラ17に予め備わっている停止位置設定キー18,18a、19,19a、20,20aを、オペレータの熟練度の差に関係なく、単に押圧する簡単な操作によって、各進退機構9,12,16の点検およびこの点検の結果に基づく各進退機構9,12,16あるいはそれを構成するタイミングベルト9c,12c,16cの交換と、各移動体4,6,60の点検およびこの点検の結果に基づく各移動体4,6,60あるいはそれらを構成する部品の交換が容易に実行できる位置に各移動体4,6,60を正確に停止させることができる。
【0038】
また、停止位置設定キー18,18a、19,19a、20,20aによって設定された停止位置での定期点検時の各進退機構9,12,16の停止回数をカウントして記憶するための停止回数積算記憶手段21を備えていることにより、停止回数積算記憶手段21に記憶されている定期点検時の各進退機構9,12,16の停止積算回数が、実験的あるいは経験的に確認している定期点検時の限界停止回数に到達した時点で、各進退機構9,12,16あるいはそれを構成する部品の交換および各移動体4,6,60あるいはそれを構成する部品の交換を行えば、限界停止回数到達時において各進退機構9,12,16あるいはそれを構成する部品および各移動体4,6,60あるいはそれを構成する部品の点検手間を省くことができる。
【0039】
なお、前記実施形態では、トラバース型の成形品取出機3を使用しているが、サイドエントリー型の成形品取出機を使用してもよい。また、前記実施形態では、固定金型1aと可動金型13aとからなる金型装置23を備えた成形機Mに対応して、昇降ユニット6に成形品取出しヘッド60のみを組み付けた構成で説明しているが、金型装置23が固定金型1aと可動金型13aおよび図示されていない中間金型とから構成される成形機Mであれば、昇降ユニット6には、前記成形品取出しヘッド60とランナー取出しヘッド(図示省略)の2つの取出しヘッドが組み付けられることになる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明が適用される成形機と成形品取出機の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】各進退機構の構成部品であるベルト駆動機構の説明図である。
【図3】成形品取出機の制御系を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
2 横行フレーム
3 成形品取出機(搬送装置)
4 引抜きフレーム(第1移動体)
6 昇降ユニット(第2移動体)
9 第1進退機構
12 第2進退機構
16 第3進退機構
17 操作コントローラ(制御手段)
18,18a 停止位置設定キー(停止位置設定手段)
19,19a 停止位置設定キー(停止位置設定手段)
20,20a 停止位置設定キー(停止位置設定手段)
21 停止回数積算記憶手段
60 成形品取出しヘッド(第3移動体)
M 射出成形機(成形機)
S 成形品(ワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
進退機構により移動体を進退させてワークを搬送する搬送装置において、
前記進退機構に停止位置設定信号を出力して、該進退機構の点検と交換および前記移動体の点検と交換を実行できる所定の停止位置に、前記移動体を停止させるための停止位置設定手段が操作コントローラに予め備わっていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記停止位置設定手段によって設定された停止位置での定期点検時の前記進退機構の停止回数をカウントして記憶するための停止回数積算記憶手段を備えていることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の搬送装置において、
該搬送装置は、樹脂成形機の幅方向にのびて該樹脂成形機に固定された横行フレームと、この横行フレームに沿って基部が進退自在に組み付けられて樹脂成形機の長手方向にのびる引抜きフレームからなる第1移動体と、前記横行フレームに組み付けられて前記第1移動体を進退させる第1進退機構と、前記第1移動体に進退自在に組み付けられた昇降ユニットからなる第2移動体と、前記第1移動体に組み付けられて前記第2移動体を進退させる第2進退機構と、前記第2移動体に昇降自在に組み付けられた成形品取出しヘッドからなる第3移動体と、前記第2移動体に組み付けられて前記第3移動体を昇降させる第3進退機構とを備え、樹脂成形機で成形されたワークを前記第3移動体で把持して樹脂成形機外部で解放するように構成した成形品取出機であることを特徴とする搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−247006(P2008−247006A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95010(P2007−95010)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000138473)株式会社ユーシン精機 (117)
【Fターム(参考)】