説明

搬送装置

【課題】簡単な構造で物品の姿勢制御や姿勢不良物品の排出を容易に行うことができ、構成部品数が少なく小型な搬送装置を提供すること。
【解決手段】搬送装置1は、供給される複数の物品を振動によって倒伏状態で1列に整列させて搬送する搬送溝と、搬送溝の搬送方向に沿って設けたスリット12cによって形成され、物品の下方支持部を支持して搬送する一組の搬送アーム12dとを有する第1搬送部10と、搬送アームの端部上方に所定間隔を置くと共に、第1搬送部の物品搬送方向に沿って隣接配置され、物品の上方支持部を支持して搬送する互いに平行な一組の搬送レール21を有する第2搬送部20とを備え、倒伏状態の物品を搬送アームにおいて起立させ、起立状態で搬送される物品を搬送アームから搬送レールに移し変え、或いは入れ子状に重なり、第1搬送部を倒伏状態で搬送される物品を搬送アームと搬送レールとの間から排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の物品を振動によって搬送する搬送装置は、電子部品等の小型部品の搬送手段として使用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された振動式部品搬送装置は、数mm或いはそれ以下の寸法を有する微小な部品を搬送路に沿って搬送しながら姿勢検出器によって部品の姿勢を光学的に検出し、姿勢が不良である場合には姿勢変更手段が気流を吹き付けて姿勢を変更させている。そして、搬送後段において姿勢検出器によって検出した部品の姿勢が不良である場合には、排出手段が気流によって姿勢不良部品を搬送路上から吹き飛ばすことによって排出している。
【0003】
【特許文献1】特開2006−335487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の振動式部品搬送装置は、部品の姿勢を光学的に検出する姿勢検出器や、姿勢を変更させる姿勢変更手段、更には姿勢不良部品を搬送路上から吹き飛ばす排出手段を必要とし、構造が複雑で構成部品数が増大することから装置が大型化するという問題があり、数mm或いはそれ以下の寸法を有する微小な部品しか搬送対象にできないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡単な構造で物品の姿勢制御や姿勢不良物品の排出を容易に行うことができ、構成部品数が少なく小型な搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の搬送装置は、少なくとも一端が開口すると共に、前記一端の断面積が他端の断面積よりも大きく、長手方向中央から前記一端側に重心が位置する複数の物品を振動によって搬送する搬送装置であって、供給される前記複数の物品を振動によって倒伏状態で1列に整列させて搬送する搬送溝と、前記搬送溝の搬送方向に沿って設けたスリットによって形成され、前記一端と重心との間の前記物品外周の下方支持部を支持して搬送する一組の搬送アームとを有する第1搬送部と、前記一組の搬送アームの端部上方に所定間隔を置くと共に、前記第1搬送部の物品搬送方向に沿って隣接配置され、前記物品外周の前記下方支持部よりも前記一端寄りの上方支持部を支持して搬送する互いに平行な一組の搬送レールを有する第2搬送部と、を備え、倒伏状態で搬送される前記物品を前記一組の搬送アームにおいて、前記重心と前記下方支持部との位置の違いによって起立させ、起立状態で搬送される前記物品を、前記一組の搬送アームから前記一組の平行な搬送レールに移し変え、或いは入れ子状に重なり、前記第1搬送部を倒伏状態で搬送される前記物品を前記一組の搬送アームと前記一組の搬送レールとの間から排出することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の搬送装置は、上記の発明において、前記一組の搬送アームと前記一組の搬送レールとの間には、排出される前記入れ子状に重なった部品を回収部へ案内する案内部材を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の搬送装置は、上記の発明において、前記一組の搬送レールは、前記物品の上方支持部を支持する位置の上方に互いの距離を一定に保持するスペーサが配置されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の搬送装置は、上記の発明において、前記一組の搬送アーム又は前記一組の搬送レールは、前記物品の下方支持部を支持する位置又は上方支持部を支持する位置に面取りが施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の搬送装置は、倒伏状態で搬送される物品を一組の搬送アームにおいて、重心と下方支持部との位置の違いによって起立させ、起立状態で搬送される物品を、一組の搬送アームから一組の平行な搬送レールに移し変え、或いは入れ子状に重なり、第1搬送部を倒伏状態で搬送される物品を一組の搬送アームと一組の搬送レールとの間から排出するので、簡単な構造で物品の姿勢制御や姿勢不良物品の排出を容易に行うことができ、構成部品数が少なく小型な搬送装置を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の搬送装置にかかる実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の搬送装置の斜視図である。図2は、本発明の搬送装置の正面図である。図3は、本発明の搬送装置の平面図である。図4は、本発明の搬送装置の左側面図である。
【0012】
搬送装置1は、図1〜図4に示すように、起振部4、第1搬送部10及び第2搬送部20を備えており、振動によって搬送する物品として、例えば、図5に示すノズルチップCを搬送する。
【0013】
起振部4は、図1,図2及び図4に示すように、4本の脚2を有する設置台3上に設置され、台座4a、電磁石4b、振動台4c及び2枚の板ばね4dを有し、第1搬送部10及び第2搬送部20をノズルチップCの搬送方向と並行する方向(図2,図3の左右方向)に25〜50Hzの振動数で振動させる。
【0014】
台座4aは、設置台3上に固定され、上面に電磁石4bが載置されると共に、前後の端面が斜めに形成されている。振動台4cは、電磁石4bの可動鉄心が設けられ、前後の端面が斜めに形成されている。板ばね4dは、下部が台座4aの端面に、上部が振動台4cの端面に、取り付けられている。これにより、振動台4cは、電磁石4bによって振動され、連結部材5を図2及び図3の左右方向に振動させる。
【0015】
ここで、連結部材5は、図1,図2及び図4に示すように、前後に支柱7と2本の支柱8を取り付けた支持板6が設置されている。支柱7は、第1搬送部10を支持し、2本の支柱8は、上部に形成した台座8aに第2搬送部20が設置されている。一方、台座8aは、ノズルチップCの搬送方向下流側にノズルチップCの下部搬送レール23への落下による移送を案内するガイド斜面8bが形成されている。また、支柱7と一方の支柱8との間には、案内部材9が架設されている。
【0016】
案内部材9は、複数個入れ子状に重なった姿勢不良のノズルチップCの排出を案内する部材であり、略箱形状の本体9aの両側に支柱7と一方の支柱8に取り付ける取付片9b,9cを有している。本体9aは、正面側とノズルチップCの搬送方向に沿った前後に壁面を有し、背面側は開放されている。本体9aは、斜め上方へ外向きに張り出すガイド板9dが正面側の上部に形成され、背面側の下部には斜め下方へ外向きに張り出す排出案内板9eが形成されている。排出案内板9eは、一組の搬送アーム12dと一組の上部搬送レール21との間から排出されるノズルチップCを中心軸周りに回転させながら案内し、回収部Pr(図13参照)へと落下させる。
【0017】
第1搬送部10は、図1〜図4に示すように、搬送部材12と供給ガイド14,15とを有している。
【0018】
搬送部材12は、図3及び図6〜図8に示すように、一端に端部ブロック13が設けられた長手状の部材であり、支柱7に取り付けた支持ブロック11によって水平に支持されている。搬送部材12は、金属又は合成樹脂から成形された本体12aの上面に全長に亘って搬送溝12bが形成され、本体12aの右半側には搬送溝12bの搬送方向に沿って設けたスリット12cによって一組の搬送アーム12dが形成されている。搬送溝12bは、供給される複数のノズルチップCを振動によって倒伏状態で1列に整列させて搬送する溝であり、図9に示すように、底面の幅がノズルチップC一端の大径部分の直径よりも僅かに広く、底面の両側には外側に向かって高くなる傾斜面が形成されている。
【0019】
このとき、搬送溝12bの底面は、図3及び図6に示すように、ノズルチップCの搬送方向に見てスリット12cと同一直線上に配置されている。また、搬送溝12bの傾斜面は、図9に示すように、正面側が背面側よりも高くなるように形成されている。一組の搬送アーム12dは、ノズルチップCの下方支持部となる段部Dを支持して起振部4が付与する振動によってノズルチップCを搬送する。ここで、各搬送アーム12dは、段部Dに当接する内側上部に全長に亘って曲面状の面取りを施しておくと、搬送する際に段部Dが引っ掛かることなくノズルチップCを円滑に搬送することができる。
【0020】
供給ガイド14,15は、搬送部材12の周囲を覆って搬送部材12に供給される複数のノズルチップCの搬送溝12bへの落とし込みを案内すると共に、搬送溝12bからの脱落を規制する。供給ガイド14は、搬送部材12の正面及び左側面を覆い、図1〜図4に示すように、搬送部材12の正面にねじ止めされる側板14a、搬送溝12bへ向かって斜めに傾斜する傾斜板14b及び端部ブロック13の端面に取り付けられ端部ブロック13の上方へ延びる端面板14cが折り曲げ加工によって一体に成形されている。供給ガイド15は、搬送部材12の背面を覆い、搬送部材12の背面にねじ止めされる側板15a及び搬送溝12bへ向かって斜めに傾斜する傾斜板15bが折り曲げ加工によって一体に成形されている。
【0021】
ここで、ノズルチップCは、自動分析装置の分注装置で使用される使い捨て用のノズルであり、図5に示すように、両端が開口すると共に、一端の断面積が他端の断面積よりも大きくなる長尺の円錐筒状に成形され、一端外周にフランジFが形成されると共に、一端側外周に下方支持部となる段部Dが形成されている。ノズルチップCは、フランジF下部が上方支持部となり、長手方向中央の点Ctと段部Dとの間に重心G1が存在する。このため、搬送溝12bに供給されるノズルチップCは、搬送溝12bの底面上では倒伏し、振動によって図9に矢印で示すように左右に転動しても、両側の傾斜面によって戻されると共に、側板14a,15aに落下を規制されて搬送溝12b内を倒伏状態で搬送される。
【0022】
第2搬送部20は、図1〜図4及び図6〜図8に示すように、それぞれ金属又は合成樹脂から成形された一組ずつの上部搬送レール21と下部搬送レール23とを有している。
【0023】
上部搬送レール21は、図6及び図7に示すように、搬送アーム12dの端部上方に一端を配置して支柱8の台座8a上面に設置され、第1搬送部10のノズルチップCの搬送方向に沿って隣接配置される。上部搬送レール21は、本体21aの下部側面にフランジF下部に当接してノズルチップCを支持する支持フランジ21bが形成されると共に、支持フランジ21bが第1搬送部10側に延出した延出片21cを有している。一組の上部搬送レール21は、本体21a上部の2箇所に設けたスペーサ22によって支持フランジ21b,21b間がノズルチップCのフランジF下部の直径よりも僅かに広くなるように互いに平行に保持され、図10に示すように、支持フランジ21b,21bによってノズルチップCをフランジF下部で支持して搬送する。ここで、搬送溝12bの底面と支持フランジ21b上面との間の距離は、ノズルチップCのフランジF下面と段部Dとの距離よりも若干短く設定されている。
【0024】
また、支持フランジ21bは、ノズルチップCの上方支持部、即ち、フランジF下部を支持する上部内側に、図10に示すように、全長に亘って曲面状の面取りが施されている。このため、上部搬送レール21は、搬送する際に上方支持部となるフランジFの下部が引っ掛かることなくノズルチップCを円滑に搬送することができる。特に、この面取りをスリット12cによって形成される一組の搬送アーム12dの上部内側に施すと、様々な姿勢で搬送部材12に供給されるノズルチップCが、例えば、倒伏状態で供給された場合、フランジF上部が搬送アーム12dの上部内側に引っ掛かることなくノズルチップCを円滑に搬送することができるという利点がある。
【0025】
下部搬送レール23は、図6及び図7に示すように、支柱8の台座8a下面にノズルチップCの搬送方向に沿って設置されている。下部搬送レール23は、本体23aの下部側面にフランジF下部に当接してノズルチップCを支持する支持フランジ23bが形成されている。一組の下部搬送レール23は、本体23a上部の2箇所に設けたスペーサ24によって支持フランジ23b,23b間がノズルチップCのフランジF下部の直径よりも僅かに広くなるように互いに平行に保持される。一組の下部搬送レール23は、一組の上部搬送レール21によって搬送され、台座8aのガイド斜面8bを通って搬入されるノズルチップCを支持フランジ23b,23bによってフランジF下部で支持して搬送する。
【0026】
以上のように構成される搬送装置1は、例えば、自動分析装置の分注装置に複数のノズルチップCを搬送する際、起振部4によって第1搬送部10及び第2搬送部20を振動させ、供給ガイド14,15から搬送部材12に複数のノズルチップCを供給する。すると、複数のノズルチップCは、供給ガイド14,15に案内されて搬送溝12b上へ落とし込まれ、振動によって第1搬送部10を1列に搬送された後、一組の搬送アーム12dから一組の上部搬送レール21に順次移し変えられる。そして、上部搬送レール21に移し変えられた各ノズルチップCは、振動によって上部搬送レール21を搬送された後、台座8aのガイド斜面8bに案内されて一組の下部搬送レール23へ搬入され、下部搬送レール23によって端部へ搬送される。
【0027】
このとき、第1搬送部10は、スリット12cによって搬送部材12に一組の搬送アーム12dが形成されている。また、ノズルチップCは、長手方向中央の点Ctと段部Dとの間に重心G1が存在する。このため、ノズルチップCは、搬送溝12b上へ落とし込まれると、総て倒伏する。そして、第1搬送部10を振動によって搬送される複数のノズルチップCは、倒伏状態で搬送溝12b上を1列に搬送される。
【0028】
倒伏状態で搬送されるノズルチップCは、その後、搬送溝12bから一組の搬送アーム12dへ移行する際に、重心G1と下方支持部である段部Dとの位置の違いによって起立し、起立状態で一組の搬送アーム12dに沿って搬送される。このため、搬送装置1は、ノズルチップCが有する重心G1の位置の違いを利用することで、スリット12cによって一組の搬送アーム12dを形成した搬送部材12の簡単な構造によってノズルチップCの姿勢を倒伏状態から起立状態に制御することができる。
【0029】
また、ノズルチップCは、両端が開口すると共に、一端の断面積が他端の断面積よりも大きくなる長尺の円錐筒状に成形されている。このため、供給ガイド14,15から搬送部材12に複数のノズルチップCを供給した際、ノズルチップCは、複数重なり、例えば、図11に示すように、2つが入れ子状に重なる場合がある。このように重なったノズルチップCは、長手方向から見た場合に、重心の位置が更に断面積が大きい一端のフランジF側に移行し、重心G2となる。
【0030】
このため、入れ子状に重なったノズルチップCは、重心が上方に位置するトップヘビイーとなる。従って、このようなノズルチップCは、図12及び図13に示すように、倒伏状態で搬送溝12b上を搬送され、一組の搬送アーム12dへ移行しても、重心G2の位置が一端のフランジF側に存在することから、倒伏状態が保持され、単独のノズルチップCのように起立することはない。このため、入れ子状に重なった姿勢不良のノズルチップCは、倒伏状態で一組の搬送アーム12d上を搬送されるので、単独のノズルチップCのように、一組の搬送アーム12dから一組の上部搬送レール21に移し変えられることはない。
【0031】
そして、入れ子状に重なった姿勢不良のノズルチップCは、図12及び図14に示すように、一組の搬送アーム12d上を搬送された後、第1搬送部10と第2搬送部20との境界となる一組の搬送アーム12dと一組の上部搬送レール21との間から排出され、案内部材9へ落下する。案内部材9へ落下した入れ子状に重なった姿勢不良のノズルチップCは、図12及び図13に示すように、背面側へ向かって斜め下方に張り出した排出案内板9eに案内されて中心軸周りに回転しながら回収部Prへと落下してゆく。このようにして回収部Prへ回収された入れ子状に重なった姿勢不良のノズルチップCは、個々のノズルチップCに引き分けた後、再度供給ガイド14,15から供給して使用に供される。
【0032】
以上のように、搬送装置1は、構造が簡単な搬送部材12によってノズルチップCの姿勢制御を容易に行うことができ、搬送部材12を備えた第1搬送部10と第2搬送部20とを使用することによって入れ子状に重なった姿勢不良のノズルチップCを容易に排出することができる。しかも、搬送装置1は、ノズルチップCを搬送する第1搬送部10と第2搬送部20との簡単な機械的構成を利用しているので、構成部品数が少なく小型であるという利点を有している。
【0033】
また、搬送装置1は、第1搬送部10の搬送部材12、第2搬送部20の上部搬送レール21や下部搬送レール23をブロック状のレールから構成しているので、これらを金属板から構成していた従来の搬送装置に比べ、発生する振動音を小さく押えることができる。更に、搬送装置1は、第2搬送部20の上部搬送レール21や下部搬送レール23の間隔を上部に配置するスペーサ22,24によって規定しているので、スペーサの長さを決めればレールの間隔が一様に決まり、調整作業が不要なうえ、スペーサをレールの上部に配置したので組立作業も容易になるという利点がある。
【0034】
ここで、搬送溝12bは、ノズルチップCが一組の搬送アーム12dを形成するスリット12cの位置へ搬送されれば、断面形状は3つの平面からなる上述の形状に限定されるものではなく、例えば、図15に示すように、湾曲面によって形成されていてもよい。
【0035】
また、起振部4は、駆動手段として電磁石を使用したが、第1搬送部10及び第2搬送部20を振動させて物品を搬送させることができれば電磁石に限定されるものではない。
【0036】
更に、搬送装置1が搬送する物品は、自動分析装置の分注装置で使用される使い捨て用のノズルチップCに限定されるものではなく、少なくとも一端が開口すると共に、一端の断面積が他端の断面積よりも大きく、長手方向中央から一端側に重心が位置する物品であれば、試薬容器や飲料用のコップ、例えば、図16に示す飲料用のコップ30であってもよい。
【0037】
コップ30は、図16に示すように、一端の上部に開口30aを有し、他端に底面30bが形成されると共に、下方から上方に向かって側壁30cが半径方向に広がるように傾斜している。コップ30は、図16及び図17に示すように、上下方向略中間に重心G3が存在し、開口30aと重心G3との間の傾斜した側壁30cの中間の点PLが下方支持部となり第1搬送部10の一組の搬送アーム12dによって支持される。また、コップ30は、図18に示すように、側壁30cの開口30aと点PLとの間の点PUが上方支持部となり第2搬送部20の一組の上部搬送レール21や下部搬送レール23によって支持される。
【0038】
このため、コップ30は、図19に示すように入れ子状に2つ重なると、重心の位置が更に断面積が大きい一端の開口30a側に移行し、重心G4となる。このため、入れ子状に2つ重なったコップ30は、一組の搬送アーム12dによって支持しようとしても重心G4の位置が搬送アーム12dの接触する側壁30cの上方に位置することから倒伏してしまい、第1搬送部10と第2搬送部20との境界の一組の搬送アーム12dと一組の上部搬送レール21との間から排出されてしまう。
【0039】
尚、実施の形態の第2搬送部20は、上部搬送レール21と下部搬送レール23とを有している。しかし、第2搬送部20は、一組の搬送アーム12dから一組の平行な上部搬送レール21に移し変えて所望位置まで搬送し、或いは一端で入れ子状に重なったノズルチップCを一組の搬送アーム12dと一組の上部搬送レール21との間から排出することができればよいので、下部搬送レール23はなくてもよい。
【0040】
また、第1搬送部10を構成する搬送部材12は、本体12aに供給される複数の物品を振動によって倒伏状態で1列に整列させて搬送する搬送溝12bと、搬送溝12bの搬送方向に沿って設けたスリット12cによって形成され、物品の一端と重心との間の下方支持部を支持して搬送する一組の搬送アーム12dとを有していればよい。従って、搬送部材12は、スリット12cを搬送溝12bの中間から形成した実施の形態とは異なり、スリット12cを搬送溝12bの全長に亘って形成し、一組の搬送アーム12dによってノズルチップCの下方支持部(段部D)やコップ30の下方支持部(点PL)を支持して搬送するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の搬送装置の斜視図である。
【図2】本発明の搬送装置の正面図である。
【図3】本発明の搬送装置の平面図である。
【図4】本発明の搬送装置の左側面図である。
【図5】本発明の搬送装置によって搬送される物品の一例であるノズルチップの正面図であり、上方支持部、下方支持部及び長手方向に沿った重心の位置を説明する図である。
【図6】供給ガイド及び案内部材を外すと共に、第2搬送部の一方の上部搬送レールを破断した本発明の搬送装置の要部拡大斜視図である。
【図7】図6において第1搬送部の搬送部材を一部破談すると共に、第2搬送部の一方の下部搬送レールを破断した要部拡大正面図である。
【図8】図6に示す本発明の搬送装置の平面図である。
【図9】図7に示す搬送部材のC1−C1線に沿った断面図である。
【図10】図7に示す搬送レールのC2−C2線に沿った断面図である。
【図11】入れ子状に重なったノズルチップの正面図であり、長手方向に沿った重心の位置を説明する図である。
【図12】入れ子状に重なったノズルチップの搬送と排出される状態を案内部材の一部を切り欠いて示す本発明の搬送装置の要部拡大斜視図である。
【図13】図12に示す搬送装置から入れ子状に重なったノズルチップが排出される様子を示す要部拡大平面図である。
【図14】図12に示す搬送装置から入れ子状に重なったノズルチップが排出される様子を示す要部拡大正面図である。
【図15】搬送部材に形成する搬送溝の変形例を示す図9に対応した断面図である。
【図16】本発明の搬送装置によって搬送するノズルチップ以外の物品の例として、飲料用のコップを示す正面図である。
【図17】コップの下方支持部及び長手方向に沿った重心の位置を説明する正面図である。
【図18】コップの上方支持部を説明する図であり、下方支持部及び長手方向に沿った重心の位置と共に示した正面図である。
【図19】コップが入れ子状に2つ重なった場合の新たな重心の位置を説明する正面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 搬送装置
2 脚
3 設置台
4 起振部
4a 台座
4b 電磁石
4c 振動台
4d 板ばね
5 連結部材
6 支持板
7,8 支柱
9 案内部材
10 第1搬送部
11 支持ブロック
12 搬送部材
12a 本体
12b 搬送溝
12c スリット
12d 搬送アーム
13 端部ブロック
14,15 供給ガイド
20 第2搬送部
21 上部搬送レール
21a 本体
21b 支持フランジ
21c 延出片
22 スペーサ
23 下部搬送レール
23a 本体
23b 支持フランジ
24 スペーサ
30 コップ
C ノズルチップ
G1〜G4 重心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端が開口すると共に、前記一端の断面積が他端の断面積よりも大きく、長手方向中央から前記一端側に重心が位置する複数の物品を振動によって搬送する搬送装置であって、
供給される前記複数の物品を振動によって倒伏状態で1列に整列させて搬送する搬送溝と、前記搬送溝の搬送方向に沿って設けたスリットによって形成され、前記一端と重心との間の前記物品外周の下方支持部を支持して搬送する一組の搬送アームとを有する第1搬送部と、
前記一組の搬送アームの端部上方に所定間隔を置くと共に、前記第1搬送部の物品搬送方向に沿って隣接配置され、前記物品外周の前記下方支持部よりも前記一端寄りの上方支持部を支持して搬送する互いに平行な一組の搬送レールを有する第2搬送部と、
を備え、
倒伏状態で搬送される前記物品を前記一組の搬送アームにおいて、前記重心と前記下方支持部との位置の違いによって起立させ、起立状態で搬送される前記物品を、前記一組の搬送アームから前記一組の平行な搬送レールに移し変え、或いは入れ子状に重なり、前記第1搬送部を倒伏状態で搬送される前記物品を前記一組の搬送アームと前記一組の搬送レールとの間から排出することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記一組の搬送アームと前記一組の搬送レールとの間には、排出される前記入れ子状に重なった部品を回収部へ案内する案内部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記一組の搬送レールは、前記物品の上方支持部を支持する位置の上方に互いの距離を一定に保持するスペーサが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記一組の搬送アーム又は前記一組の搬送レールは、前記物品の下方支持部を支持する位置又は上方支持部を支持する位置に面取りが施されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−297030(P2008−297030A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142572(P2007−142572)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】