説明

携帯ナビゲーション装置

【課題】携帯端末を所定の角度に保持することなく、ヘッドセットに取り付けられる方位センサの出力方位を正しく検出することができ、以って正確なヘディングアップ表示を行うことができる携帯ナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】 現在位置を検出する現在位置検出部11と、出発地から目的地までの経路を案内するための経路案内部12と、前記現在位置及び前記出発地から目的地までの経路を周辺の地図画像と共に表示する表示部13と、を備える装置本体10と、耳部に装着されて前記経路案内手段により出発地から目的地までの経路を案内する際の音声案内等を行うヘッドセット30と、からなる携帯ナビゲーション装置1であって、前記ヘッドセット30には方位センサ31が搭載され、かつ装着時に装着方向を検出するための装着方向検出部材38R、38Lが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯ナビゲーション装置に関し、特に経路案内等を行う際にヘッドホンあるいはイヤホン等のヘッドセットを用いて正確な進行方向を検出可能な携帯ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)あるいはPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末が急速に普及してきている。それに伴いこの携帯端末に搭載される様々なアプリケーションも開発されており、その中には携帯端末を持った歩行者の現在位置を検出し、更に歩行者の行きたい目的地までの経路を案内することができる経路案内機能を備えたものが存在する。
【0003】
上述のような出発地から目的地までの経路案内は、出発地から目的地までの経路を探索した後、現在位置を液晶パネル等からなる表示部に現在地周辺の地図データ及び経路データと共に一定の時間間隔で表示し、歩行者に音声等で経路に沿ったナビゲーションを行うものである。このような経路案内を行う場合、現在地周辺の地図データ、経路探索により検出した経路データ、歩行者の現在位置及びその歩行軌跡等が表示部に表示されるが、その表示方法としては北を常に表示部に対して上向きに表示するノースアップ表示と、歩行者の進行方向を常に表示部に対して上向きに表示するヘディングアップ表示の2つがある。
【0004】
上記表示方法のうち、ヘディングアップ表示は画面上に表示される地図画像と実際の風景との対応付けが容易であるという利点を有している。このヘディングアップ表示を行うために、現在は携帯端末に地磁気センサを設けて歩行者の進行方向を検出することでその進行方向を表示部に対して上向きとしたヘディングアップ表示が行われている。
【0005】
しかしながら、上述の方法では、地磁気センサを備えた携帯端末を水平かつ歩行者の進行方向が表示部の上向きに位置するように常に保持する必要があり、例えばユーザが進行方向と異なる向きに表示部の上側を向けてしまうと進行方向が正確に検出されないために正確なヘディングアップ表示を行うことができなくなってしまう。このような問題点を解決するために、本願の出願人は既に先行出願1(特開2003−208093号公報。以下、特許文献1と示す。)を出願している。
【0006】
以下には、下記特許文献1に記載の携帯地図表示装置を説明する。
この携帯地図表示装置は、現在位置を検出する現在位置検出手段と、現在方位を検出する現在方位検出手段と、地図画像を現在位置マークとともに表示する表示手段と、地図データを用いて現在方位を上向きとした現在位置周辺の一定範囲の地図画像を現在位置マークとともに描画し、表示手段に表示させる地図表示制御手段と、を備えた携帯地図表示装置において、地図表示方位固定モードのオン・オフ操作を行う操作手段を設け、地図表示制御手段は、操作手段で地図表示方位固定モードオン操作がされてからオフ操作がされるまでの間、地図表示方位固定モードオン操作がされる直前の現在方位を上向きに固定して現在位置周辺の一定範囲の地図画像を現在位置マークとともに描画し、表示手段に表示させるものである。
【0007】
上述の構成により、下記特許文献1に記載の携帯地図表示装置は、ヘディングアップ表示を行っているときに、地図表示方位固定モードをオンにすれば地図表示方位固定モードがオンする直前の現在方位が上向きとなるように固定して地図画像が現在位置マークとともに表示されるので、装置を持つ姿勢を変えても地図画像が回転せず地図画像が見づらくならない。
【0008】
ところで、このような経路案内機能を有する携帯端末において、特に携帯電話では、携帯電話本体を手に持つことなく通話を行ったり、経路案内時の音声案内を行ったりするためにヘッドホンあるいはイヤホン等(以下、これらを総称してヘッドセットという。)の付属機器を備えるものがある。このようなヘッドセットを備えた携帯端末に関連する技術は既に種々開発されており、特許文献にも紹介されている(例えば特許文献2参照)。
【0009】
以下には、下記特許文献2(特開2003−177033号公報)に記載の携帯ナビゲーション装置について説明する。図10は特許文献2の携帯ナビゲーション装置の外観を示す模式図である。
下記特許文献2に記載の携帯ナビゲーション装置100は、図10に示すように、装置本体112とヘッドホン114とを備えており、前記装置本体112は表示装置122、複数の入力キー126、LCD方位センサ128、GPSアンテナ130及び送受信アンテナ132を備えている。また、ヘッドホン114は、ヘッドバンド136、スピーカ手段としての一対のイヤホン138L、138R及び頭部方位センサ134を備えている。
【0010】
上述の構成からなる携帯ナビゲーション装置100は、入力キー126を用いて目的地の緯度及び経度を表す目的地の位置情報をユーザに入力させた後、現在地の位置情報を取得する。続いて目的地の位置情報と現在地の位置情報とに基づき目的地の現在方位を算定し、案内情報及び地図情報をサーバ・コンピュータから受信する。そしてLCD方位センサ128からLCD基準方向の現在方位を取得し、ユーザの現在地及び進むべき方向を現在地周辺の地図画像に重ねた経路画像を表示する。
【0011】
更に、頭部方位センサ134から頭部正面方向の現在方位を取得し、目的地の現在方位と前記頭部方位センサ134から取得した頭部正面方向の現在方位の角度差を算定する。そして、前記角度差を参照して目的地方位に音像が定位するようにイヤホン138L、138Rから楽音を出力させる。これにより、音像が現実空間における目的地の現在方位に定位した楽音がイヤホン138L、138Rから出力される。
【0012】
上述の構成により、下記特許文献2に記載の携帯ナビゲーション装置100は、目的地等の現在方位と頭部正面方向の現在方位との角度差に応じて楽音の出力条件が変更されるため、ユーザはスピーカ手段から出力される楽音によって現実空間において目標とすべき方位を容易に認識できる。したがって、この携帯ナビゲーション装置によると、ユーザは経路画像に基づいて進むべき方向を容易に判断することができる。
【0013】
【特許文献1】特開2003−208093号公報(段落[0003]、[0006]、[0022])
【特許文献2】特開2003−177033号公報(図3、段落[0006]、[0013]、[0018]、[0031]〜[0038])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記特許文献1の携帯地図表示装置は、一時的な携帯端末の角度変化を、地図表示方位固定モードをオンすることによりキャンセルすることができるために携帯端末を常に所定の角度に保持する必要はなくなるが、ヘッドセット等の付属機器を備えていないために、方位センサを携帯端末内に備えており、そのためヘディングアップ表示を行うためには進行方向が変わった際などにはどうしても携帯端末の地図表示方位に携帯端末本体を保持する必要がある。同様に、上記特許文献2に記載の携帯ナビゲーション装置100においても、LCD基準方向を装置本体112に取り付けられたLCD方位センサ128により確定しているためにヘディングアップ表示を行うためには装置本体112を所定の角度に保持する必要がある。
【0015】
また、上記特許文献2に記載の携帯ナビゲーション装置においてはヘッドホン114に頭部方位センサ134を設けることによりユーザの頭部正面方向を検出することができるとあるが、例えばヘッドホン114の取付方向を誤って逆向きに装着した際には頭部方位センサ134により出力される頭部正面方向は実際の方向のちょうど逆方向となる。このときの音像の定位方向はスピーカも逆になっているので所定の方向に定位する。しかし、このヘッドホン114を介して行われる携帯ナビゲーション装置100の音声案内は、「右」や「左」と案内するとユーザにとっては逆方向となってしまい、誤認を生じる恐れがある。
【0016】
本発明者らは上述の問題点に鑑み、携帯端末を所定の角度に保持することなくヘディングアップ表示を行う方法を種々検討した結果、歩行者の進行方向を検出する方位センサを携帯端末に付属するヘッドセットに取り付け、このヘッドセットに取り付けた方位センサの検出方位を進行方位とすれば携帯端末を所定の角度に保持することなくヘディングアップ表示が行えることを見出した。
【0017】
ところで、上記特許文献2にはヘッドセット(114)に方位センサ(134)が取り付けられた技術が既に開示されている。しかしながら、上述に示すように頭部方位センサ134の検出する方位はヘッドホン114の取り付け方向により進行方向と逆方向を検出する可能性があり、このとき表示画面に表示される歩行者はちょうど後ろ向きに歩行しているように認識されてしまう。
【0018】
更に、携帯ナビゲーション装置に使用されるヘッドセットは2つのイヤホンとヘッドバンドからなるヘッドホンに限らず、Bluetooth(登録商標)などの無線を使った携帯電話のハンズフリーキットのように片耳に掛けて使用するものがあり、このような片耳に取り付けられるヘッドセットでは左右どちらに取り付けられるのかが不明なため、このヘッドセットに取り付けられた方位センサの出力する頭部正面方向が必ずしも正しいとは限らないことから、上記特許文献2の携帯ナビゲーション装置では上述の目的を達成するには至らない。
【0019】
そこで、本発明者らは更に上述の問題点を解決する方法を種々検討した結果、ヘッドセットの取付方向を検出することができればヘッドセット表示を行う際の進行方向を検出する方位センサとして望ましいものになることを見出し、本発明に至ったものである。
【0020】
すなわち本発明の目的は、携帯端末を所定の角度に保持することなく正確なヘディングアップ表示を行うことができる携帯ナビゲーション装置を提供することである。
【0021】
更に本発明の他の目的は、ヘッドセットに取り付けられる方位センサの出力方位を正しく検出することができる携帯ナビゲーション装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の携帯ナビゲーション装置は、現在位置を検出する現在位置検出手段と、出発地から目的地までの経路を案内するための経路案内手段と、前記現在位置及び前記出発地から目的地までの経路を周辺の地図画像と共に表示する表示手段と、を備える装置本体と、
耳部に装着されて前記経路案内手段により出発地から目的地までの経路を案内する際の音声案内等を行うヘッドセットと、
からなる携帯ナビゲーション装置であって、
前記ヘッドセットには方位センサが搭載され、かつ装着時に装着方向を検出するための装着方向検出部材が設けられていることを特徴とする。
【0023】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯ナビゲーション装置に係り、前記ヘッドセットは右耳用イヤホンと左耳用イヤホンとからなり、前記方位センサは前記右耳用イヤホンあるいは左耳用イヤホンの何れか一方に搭載され、前記装着方向検出部材は耳部への取り付けの際に左右何れかにのみ取り付けが行えるような形状を有していることを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項3に記載の携帯ナビゲーション装置は、衛星航法等により現在位置を検出する現在位置検出手段と、出発地から目的地までの経路を案内するための経路案内手段と、前記現在位置及び前記出発地から目的地までの経路を周辺の地図画像と共に表示する表示手段と、を備える装置本体と、
耳部に装着されて前記経路案内手段により出発地から目的地までの経路を案内する際の音声案内等を行うヘッドセットと、
からなる携帯ナビゲーション装置であって、
前記ヘッドセットには方位センサが搭載されており、前記方位センサにより検出される方位と前記現在位置検出手段における前記衛星航法による現在位置検出結果の軌跡から進行方向を検出することを特徴とする。
【0025】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の携帯ナビゲーション装置に係り、前記進行方向は、前記方位センサで検出される方位が前記現在位置検出手段における衛星航法による現在位置検出結果の軌跡から導かれる方位と実質的に同じ向きである場合は前記方位センサで検出される方位を進行方向とし、前記方位センサで検出される方位が前記現在位置検出手段における衛星航法による現在位置検出結果の軌跡から導かれる方位と実質的に異なる向きである場合は前記方位センサの出力方向を180°回転させた方位を進行方向とすることを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項5に記載の携帯ナビゲーション装置は、現在位置を検出する現在位置検出手段と、出発地から目的地までの経路を案内するための経路案内手段と、前記現在位置及び前記出発地から目的地までの経路を周辺の地図画像と共に表示する表示手段と、を備える装置本体と、
耳部に装着されて前記経路案内手段により出発地から目的地までの経路を案内する際の音声案内等を行うヘッドセットと、
からなる携帯ナビゲーション装置であって、
前記装置本体内には本体側方位センサが設けられ、かつ前記ヘッドセット内にはヘッドセット側方位センサが設けられ、前記本体側方位センサと前記ヘッドセット側方位センサとにより検出される方位から進行方向を検出することを特徴とする。
【0027】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の携帯ナビゲーション装置に係り、前記進行方向は、前記ヘッドセット側方位センサで検出される方位が前記本体側方位センサで検出される方位と実質的に同じ向きである場合は前記ヘッドセット側方位センサで検出される方位を進行方向とし、前記ヘッドセット側方位センサで検出される方位が前記本体側方位センサで検出される方位と実質的に異なる向きである場合は前記ヘッドセット側方位センサで検出される方位を180°回転させた方向を進行方向とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、上記構成を備えることにより以下に示す優れた効果を奏する。すなわち、請求項1に記載の発明によれば、前記ヘッドセットには方位センサが搭載され、かつ装着時に装着方向を検出するための装着方向検出部材が設けられているため、ヘッドセットが例えば両耳に装着される一対のイヤホンタイプのものであり、方位センサを前記一対のイヤホンタイプのヘッドセットのいずれかに取り付けられた場合においても、装着方向検出部材がヘッドセットに取り付けられていることにより、方位センサが左右いずれの耳に装着されたイヤホンに設けられているかを容易に検出することができ、もって頭部正面方向を正確に検出することができるようになり、これにより進行方位を検出することができるために表示部における地図上の現在位置表示を行う場合に携帯端末を進行方位に向けて保持する必要なく正確にヘディングアップ表示を行うことができるようになる。
【0029】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果に加えて、前記装着方向検出部材を左右の耳の何れかにのみ取り付けを行えるような形状とすることにより、ユーザが取り付け方向を意識することなく望ましい装着を行えるようになる。
【0030】
請求項3に記載の発明によれば、ヘッドセットには方位センサが搭載されており、前記方位センサにより検出される方位と前記現在位置検出手段における前記衛星航法による現在位置検出結果の軌跡から進行方向を検出することにより、ヘッドセットに特別な部材を設けることなく進行方位を正確に検出することができるようになり、表示部における地図上の現在位置表示を行う場合に携帯端末を進行方位に向けて保持すること必要なく正確にヘディングアップ表示を行うことができるようになる。
【0031】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の効果に加えて、前記方位センサで検出される方位が前記現在位置検出手段における衛星航法による現在位置検出結果の軌跡から導かれる方位と実質的に同じ向きである場合は前記方位センサで検出される方位を進行方向とし、前記方位センサで検出される方位が前記現在位置検出手段における衛星航法による現在位置検出結果の軌跡から導かれる方位と実質的に異なる向きである場合は前記方位センサの出力方向を180°回転させた方位を進行方向とすることにより、方位センサの出力方向が進行方向と逆方向になっていた場合であっても正確な進行方向を検出することができるようになる。
【0032】
請求項5に記載の発明によれば、前記装置本体内には本体側方位センサが設けられ、かつ前記ヘッドセット内にはヘッドセット側方位センサが設けられ、前記本体側方位センサと前記ヘッドセット側方位センサとにより検出される方位から進行方向を検出することにより、正確な進行方向を検出することができると共に、ヘッドセット側の方位センサを用いて進行方位を検出することにより、携帯端末を進行方位に向けて保持すること必要なく正確にヘディングアップ表示を行うことができるようになる。
【0033】
また、請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の効果に加えて、進行方向は、前記ヘッドセット側方位センサで検出される方位が前記本体側方位センサで検出される方位と実質的に同じ向きである場合は前記ヘッドセット側方位センサで検出される方位を進行方向とし、前記ヘッドセット側方位センサで検出される方位が前記本体側方位センサで検出される方位と実質的に異なる向きである場合は前記ヘッドセット側方位センサで検出される方位を180°回転させた方向を進行方向とすることにより、方位センサの出力方向が進行方向と逆方向になっていた場合であっても正確な進行方向を検出することができ、更にヘッドセット側の方位センサの出力方位を基準として進行方位を検出することにより、より高精度な進行方位検出を行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための携帯ナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこれらに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0035】
以下には、本発明の実施例1に係る携帯ナビゲーション装置の各構成について詳細に説明する。図1は本発明の実施例1に係る携帯ナビゲーション装置の構成を示すブロック図、図2は実施例1の携帯ナビゲーション装置のヘッドセットを示す側面図、図3は実施例1の携帯ナビゲーション装置のヘッドセットをユーザが装着した状態を示す図、図4は実施例1の携帯ナビゲーション装置における進行方位検出工程を示すフローチャートである。
【0036】
本発明の実施例1に係る携帯ナビゲーション装置1は、携帯端末10とヘッドセット30とから構成される。そして、携帯端末10は、現在位置検出部11と、経路案内部12と、表示部13と、操作部14と、主制御部15と、データ記憶部16と、I/F17と、これらを繋ぐバス18とから構成されており、ヘッドセット30は、方位センサ31と、進行方位検出部32と、スピーカ33と、マイク34と、I/F35とから構成される。
【0037】
携帯端末10は例えば携帯電話からなり、現在位置検出部11は携帯端末10を持ったユーザの現在位置を衛星航法あるいは自立航法により検出するものであって、GPS受信部11aと、演算部11bと、距離センサ11cとからなる。GPS受信部11aは衛星航法により現在位置を検出するために使用され、複数のGPS衛星19からの電波を受信し、前記複数のGPS衛星19との距離から現在位置を演算出力するものであり、距離センサ11cは加速度センサであって自立航法により現在位置を推定検出するために使用され、前記加速度センサの出力を二重積分することにより走行距離を検出するものであり、演算部11bは、前記GPS受信部11aで受信した複数のGPS衛星19との距離から現在位置を検出するための演算及び前記距離センサ11cの出力結果からユーザの走行距離を演算出力するものである。
【0038】
経路案内部12は、ユーザの経路探索要求に伴って経路探索サーバ(図示省略)から受信する出発地から目的地までの経路データ、現在地周辺の地図データ及び経路案内時の音声案内データ等を用いて出発地から目的地までの経路を案内するものであり、画像処理部12aと、音声案内処理部12bと、データ通信部12cとからなる。データ通信部12cは公衆回線20を介してユーザの経路探索要求等を経路探索サーバへ送信し、前記経路探索サーバから送信される地図データ、経路データ及びその他の必要なデータを受信するものであり、画像処理部12aは前記データ通信部12cで受信した地図データがベクタデータの場合はデータ上にアイコン等を付すことにより地図データを作成し、前記地図データと経路データとを表示部13に表示するために両データを重ね合わせてラスタデータを作成する等、受信したデータの画像処理を行うものであり、音声案内処理部12bは経路案内時にユーザが交差点等に差し掛かった際の曲がる方向等を音声により案内するものであり、ここで作成された音声データはヘッドセット30のスピーカ33から出力される。
【0039】
表示部13は例えばLCD(Liquid Crystal Display)からなり、経路案内時の現在地表示や、経路探索要求設定画面の表示及びその他の設定画面等を表示するものであり、経路案内時においては、この表示部13の上方向がユーザの進行方位として表示されるいわゆるヘディングアップ表示が行われる。操作部14は複数の入力キーからなり、この入力キーは例えば表示部13の下方に所定間隔で配列されて、携帯ナビゲーション装置1のナビゲーション開始を指示したり、経路探索条件の入力を行ったりするものである。この入力キーとしてはプッシュボタンや十字キー、あるいは表示部と一体型のタッチパネルであっても良い。
【0040】
主制御部15は携帯ナビゲーション装置1の各種機能を実現するものであり、データ記憶部16に記憶された各種制御プログラムを実行することにより、例えば携帯ナビゲーション装置1を携帯電話とすれば経路案内機能のみならず通話機能、インターネット通信機能等のあらゆる機能を制御するものである。データ記憶部16はROM、RAM等からなり、前記主制御部15で実行される制御プログラムに加えて、地図情報、進行方位情報、GPS受信情報、音声案内情報、現在地の位置情報、目的地の位置情報等が記憶されたものである。また、前記主制御部15においてはマップマッチング処理等地図表示に関する制御プログラムをも実行可能である。
【0041】
I/F17は、ヘッドセット30との相互通信を行うためのインタフェースであり、ワイヤレス接続により携帯電話の通話時あるいは音声案内時の音声信号を送信するものである。ここではヘッドセット30との接続をワイヤレス接続としたが、例えばケーブルによる有線接続であってももちろん良い。
【0042】
ヘッドセット30は携帯端末10に接続されて通話時あるいは音声案内時に使用されるものであって、方位センサ31と、進行方向検出部32と、スピーカ33と、マイク34とI/F35とからなる。方位センサ31は3次元地磁気センサからなり、例えばTMR(Tunneling Magnetoresistive)素子あるいはGMR(Giant Magnetoresistive)素子等を用い、これらの磁気抵抗素子の1つをユーザの装着時における頭部正面方向軸に、他の1つを頭部正面方向に対して横方向に垂直な軸に、更に他の1つを頭部正面方向に対して縦方向に垂直な軸に配置して、各軸に配置された磁気抵抗素子から出力信号を取り出すことによりユーザの頭部正面方向を検出するものであり、進行方向検出部32は携帯端末10から進行方位取得要求を受信した際に前記方位センサ31から検出される頭部正面方向をユーザの進行方向として取得し、携帯端末10側に送信するものである。
【0043】
スピーカ33は携帯電話における通話時あるいは経路案内時の音声案内を行うものであり、マイク34は携帯電話における通話時に使用されるものである。また、I/F35は携帯端末10側のI/F17と相互通信を行うものであり、携帯端末10側から送信される音声信号及び進行方向検出要求を受信し、マイクで集音した音声信号及び進行方向検出部32で検出した進行方向を携帯端末10側へ送信するものである。
【0044】
上述の構成を備えるヘッドセット30を図2に示す。ヘッドセット30は、図2に示すように、ユーザの両耳に装着可能なように一対のイヤホン36、37を備え、前記イヤホン36、37はスピーカ33及びマイク34をそれぞれ有し、更にこの一対のイヤホン36、37のうちの一方(図中では36)にのみ方位センサ31が取り付けられている。この方位センサ31は図2に示すようにスピーカ33から離れた位置に取り付けられるようにすると、スピーカ33からの磁気漏洩によるセンサの外乱要因をより減少させることができ好ましい。ただし、近年の3次元地磁気センサにおいてはこのような外乱要因をキャンセルすることもできるため必ずしも実装位置をスピーカ33から離れた位置とする必要はない。
【0045】
ヘッドセット30には、更に装着方向検出部材として左右の耳の何れかにのみ装着を補助する効果を奏する右耳用アタッチメント38R及び左耳用アタッチメント38Lが取り付けられている。前記アタッチメント38R、38Lはイヤホン36、37に取り外し可能に取り付けられており、図2中では右耳用アタッチメント38Rが方位センサ31を備えるイヤホン36に取り付けられている。ただし、このように前記アタッチメント38R、38Lを取り外し可能とすると方位センサ31が取り付けられたイヤホン36が何れの耳に取り付けられるかを検出する必要があるため、イヤホン36、37には、右耳用アタッチメント38Rが取り付けられたときにのみ検知されるスイッチ39がそれぞれ設けられ、このスイッチ39の出力により何れのイヤホン36、37が右耳に装着されているかを検出し、これによりイヤホン36の方位センサ31の位置を把握する。前記方位センサ31は例えば右耳に取り付けられた場合に頭部正面方向を正しく検出するように設定されており、イヤホン36が左耳に装着された場合には進行方位検出部32において方位センサ31により検出されるユーザの装着時における頭部正面軸方向(X軸方向)、及び頭部正面方向に対して横方向に垂直な軸方向(Y軸方向)に配置された地磁気センサの出力を180°回転させて各軸を検出し、この検出結果を携帯端末10に送信する。
【0046】
図3は上述の構成からなるヘッドセット30をユーザが装着した状態を示したものであり、図2、図3に示すようにアタッチメント38R、38Lをユーザの耳に引っ掛けることでイヤホン36、37を耳に装着するようになせば、実質的に右耳用アタッチメント38R(左耳用アタッチメント38L)が取り付けられたイヤホンを左耳に(右耳に)装着することは不可能となり、確実に方位センサ31の取付位置を検出することができる。
【0047】
以下に、実施例1の携帯ナビゲーション装置1における進行方位検出工程を図4のフローチャートを参照して説明する。ただし、この検出工程においてユーザはヘッドセット30を既に装着した状態で経路案内を開始したものとするが、経路案内を行わずに単純に現在位置を表示する場合にも同様に適応可能であることは言うまでもない。
【0048】
先ず、携帯端末10において経路案内が開始されると、それに伴ってステップS10において表示部13への現在位置のヘディングアップ表示が開始される。現在位置表示が開始されると、ステップS11において進行方位を検出するために携帯端末10からヘッドセット30へ進行方位検出要求がI/F17を介して送信される。前記進行方位検出要求がヘッドセット30側で受信されると、ステップS12においてヘッドセット30に取り付けられた方位センサ31で頭部正面方向等の3軸を検出し、次にステップS13において、ヘッドセット30内の進行方位検出部32で前記方位センサ31の取付位置(右耳あるいは左耳)を前記スイッチ39の出力状態から検出することにより正しい頭部正面方向を検出する。すなわち、例えば方位センサ31が、前記方位センサ31を有するイヤホン36が右耳に装着されたときに正しい頭部正面方向を検出するように設定されているときには、イヤホン36に右耳用アタッチメント38Rが取り付けられている場合は方位センサ31の検出した頭部正面方向をそのまま進行方位として検出し、イヤホン36に左耳用アタッチメント38Lが取り付けられている場合は方位センサ31の検出した頭部正面方向を180°回転させた方向を正しい頭部正面方向と認識して、この方向を進行方位として検出する。
【0049】
前記ステップS13により検出された進行方位は、ステップS14においてI/F35を介して携帯端末10へ送信され、ステップS15において、前記進行方位検出部32にて検出された進行方位が表示部13における上方向となるように現在位置のヘディングアップ表示を行う。このときの位置情報はGPS受信部11aあるいは距離センサ11c等を使用して演算出力される。
【0050】
更にステップS16において再び進行方位を検出する時間間隔として設定された所定時間(例えば1〜2秒)が経過したか否かが検出され、前記所定時間が経過した場合は主制御部16からヘッドセット30へ再び進行方位検出要求が送信される(ステップS11)。そして所定時間が経過していない場合はステップS17で目的地に到達したか否かが検出され、到達した場合は一連の処理を終了し、目的地に至っていない場合は再びステップS16に戻って所定時間が経過したか否かを監視する。
【0051】
上述の構成により、本発明の実施例1に係る携帯ナビゲーション装置1は、ヘッドセット30に取り付けられた方位センサ31の出力する頭部正面方向を進行方位として検出するため、経路案内等の際に携帯端末10を手に持った状態で進行方向へ向けて保持する必要がなくなるのでより利便性が向上すると共に、前記ヘッドセット30としてのイヤホン36、37の一方にのみ方位センサ31を取り付け、前記各イヤホン36、37に装着方向検出部材としてアタッチメント38R、38Lを取り付けることにより正確な頭部正面方向を検出することができる。
【0052】
また、方位センサ31をヘッドセット30に設けると、例えばユーザが景色等を眺めているときにはユーザの頭部正面方向は厳密には進行方位と異なる向きを示すこととなるが、ユーザはこのとき景色を眺めているため携帯端末10の表示部13が進行方位を厳密に上方向として表示していなくとも問題ない。
【実施例2】
【0053】
上記実施例1では、両耳に装着されるヘッドセットについて説明したが、片耳にのみ装着されるイヤホン(例えばBluetooth(登録商標名))を用いた携帯電話のハンズフリーキットなど)にはユーザの好みによりいずれの耳に装着されるかがその度に変わるものがある。このようなイヤホンには、前記実施例1に示すような装着方向検出部材をイヤホンに取り付けることはその装着可能な耳が左右何れかに限定されてしまうために現実的ではない。そこで、以下に実施例2として、上述のような片耳のみに装着されるイヤホンを使用しても正確な進行方位を検出することが可能な携帯ナビゲーション装置1Aについて説明する。
【0054】
図5は本発明の実施例2に係る携帯ナビゲーション装置の構成を示すブロック図、図6は実施例2の携帯ナビゲーション装置のヘッドセットを示す図であり、図6(a)は一方から見た斜視図、図6(b)は他方から見た斜視図、図7は実施例2の携帯ナビゲーション装置における進行方位検出工程を示すフローチャートである。なお、本実施例2においては前記実施例1と共通する構成は同様の符号を付してその説明を省略し、異なる構成についてのみ説明を行う。
【0055】
携帯ナビゲーション装置1Aの携帯端末10Aは、現在位置検出部11内に、進行方位検出部11dを有しており、この進行方位検出部11dは、後述するヘッドセット30Aから送信されるセンサ出力を受け取り、前記センサ出力から、頭部正面方向を検出することにより進行方位を導き出すものである。この検出方法に関しては後に詳細に説明し、ここでは説明を省略する。
【0056】
次に、携帯ナビゲーション装置1Aのヘッドセット30Aは、図6に示すように内部に方位センサ31を備え、リード線により携帯端末10Aに接続されたイヤホンタイプのものである。このヘッドセット30Aは主に経路案内時の音声案内を行う際に用いられ、実施例1のヘッドセット30のような携帯電話の通話をハンズフリーで行うことができるようなマイクをヘッドセットに内蔵したものと異なり、小型で片耳にのみ装着される。また、このヘッドセット30Aは用途が音声案内等に限定されていることから、小型化が優先されており、内部に進行方位を検出する手段を搭載していない。更に、ヘッドセット30Aに搭載された方位センサ31はデフォルトとして左耳に装着された場合に頭部正面方向が正しく検出されるように、左耳に装着された際の頭部正面方向をX軸、このX軸に水平方向に直交するY軸及び装着時の鉛直方向であるZ軸を検出するように設定されている。
【0057】
以下には実施例2の携帯ナビゲーション装置1Aの進行方位検出工程について図7を参照して説明する。
例えば経路案内が開始されると、先ずステップS21において表示部13への現在位置表示が開始される。そして、ステップS22において主制御部15から方位センサ出力要求がI/F17を介してヘッドセット30Aへ送信され、前記方位センサ出力要求をI/F35で受信すると、ステップS23において方位センサ31のX、Y、Z軸の検出が行われる。前記ステップS23で検出されたX、Y、Z軸はステップS24においてI/F35を介して携帯端末10Aへ送信される。
【0058】
前記方位センサ31の出力結果を受信した携帯端末10A内では、前記方位センサ31の出力結果の正否を判断する処理が進行方位検出部11dにおいて行われる。詳しくは、先ずステップS25において経路案内が開始されてからGPS受信部11aにおける受信を何回行ったかが検出され、その回数が2回以上である場合はステップS26に移行し、2回以下である場合は方位センサ31の出力結果の正否を判断することができないため、ステップS29において、デフォルトで設定された左耳に装着した場合の頭部正面方向をそのまま頭部正面方向とみなす。このときユーザがヘッドセット30Aを右耳に装着している場合は進行方向の逆方向を進行方位として検出してしまうが、GPS受信は例えば2〜5秒 間隔など比較的短い時間間隔で検出されているため、GPS受信が2回以上行われない期間は短期間であることから大きな問題はない。
【0059】
ステップS25においてGPS受信回数が2回以上であると判断されると、ステップS26において直前の2回のGPS測位位置から進行方位を推定検出する。この推定方向は、例えば前記2箇所のGPS測位位置を単純に結ぶベクトルを算出することにより求めると良い。この推定進行方位は、厳密にユーザの進行方位を示すものではないが、おおよその進行方位を示す程度の精度が得られれば良い。ステップS26で推定進行方位が得られると、ステップS27でセンサ出力のうちのX軸と前記推定進行方位を比較し、センサ出力のX軸が推定進行方位と実質的に同じ方向を示している場合は、ヘッドセット30Aがユーザの左耳に装着されているとみなしてX軸が頭部正面方向を示しているものと認識し、ステップS29で前記X軸を進行方位として検出する。また、ステップS27でセンサ出力のX軸が推定進行方位と実質的に異なる方向を示している場合は、ヘッドセット30Aが右耳に装着されているものと認識し、ステップS28においてセンサ出力のX軸及びY軸を180°回転し、前記回転したX軸を正しい頭部正面方向とみなしてステップS29において進行方位として検出する。なお、前記実質的に同じ方向及び実質的に異なる方向とは厳密に同じ方向である必要はなく、例えば推定進行方位から±90°以内の方位にセンサ出力のX軸の方位が向いている場合は実質的に同じ方向とし、その反対に推定進行方位から±90°以内の方位にセンサ出力のX軸の方位が向いていない場合は実質的に異なる方向とする。
【0060】
ステップS30では、ステップS29において検出された進行方位を表示部13における上方向となるように現在位置のヘディングアップ表示を行う。更にステップS31において再び進行方位を検出する時間間隔として設定された所定時間(例えば1〜2秒)が経過したか否かが検出され、前記所定時間が経過した場合は主制御部15からヘッドセット30Aへ再び進行方位検出要求が送信される(ステップS22)。そして所定時間が経過していない場合はステップS32で目的地に到達したか否かが検出され、到達した場合は一連の処理を終了し、目的地に至っていない場合は再びステップS31に戻って所定時間が経過したか否かを監視する。
【0061】
上述の構成により、実施例2の携帯ナビゲーション装置1Aのような片耳にのみ装着されるヘッドセット30Aを用いた場合においても正確な進行方位を検出することができるようになる。
【実施例3】
【0062】
ところで、携帯ナビゲーション装置は上記実施例1、2に記載のようにヘッドセットを常に付属しているとは限らない。むしろヘッドセットはあくまで付属品であるためヘッドセットなしでも経路探索が行えるように携帯端末本体に方位センサを標準装備したものも当然ながら考えられる。そこで以下には実施例3として、携帯端末側にも方位センサを有する携帯ナビゲーション装置1Bについて説明する。
【0063】
図8は本発明の実施例3に係る携帯ナビゲーション装置の構成を示すブロック図、図9は実施例3の携帯ナビゲーション装置における進行方位検出工程を示すフローチャートである。なお、本実施例3においては前記実施例2と共通する構成は同様の符号を付してその説明を省略し、異なる構成についてのみ説明を行う。
【0064】
この携帯ナビゲーション装置1Bは、図8に示すように、携帯端末10Bとヘッドセット30Bとからなり、ヘッドセット30Bは前記実施例2で示したものと構成が同一である。携帯端末10Bは、現在位置検出部11内に方位センサ11eを備えている点が実施例2の携帯端末10Aと異なり、事実上ヘッドセット30Bを用いることなく地図表示、現在位置表示、自立航法等を含む経路案内を行うことができるものである。
【0065】
以下には、実施例3の携帯ナビゲーション装置1Bの進行方位検出工程について図9を参照して説明する。ただし、ここではより理解を容易にするためにヘッドセット30B側に設けられた方位センサ31を第1方位センサ31とし、携帯端末10B側に設けられた方位センサ11eを第2方位センサ11eとして説明を行うものとする。また、ヘッドセット30Bの構成も実施例2(図6参照)と同様である。
例えば経路案内が開始されると、先ずステップS41において表示部13への現在位置表示が開始される。そして、ステップS42において主制御部15から第1方位センサ出力要求がI/F17を介してヘッドセット30Bへ送信され、前記第1方位センサ出力要求をI/F35で受信すると、ステップS43において第1方位センサ31でX、Y、Z軸の検出が行われる。前記ステップS43で検出されたX、Y、Z軸はステップS44においてI/F35を介して携帯端末10Bへ送信される。このとき第1方位センサ31で検出されるX、Y、Z軸は前記実施例2で示す方向と同じであるため説明は省略する。
【0066】
前記第1方位センサ31の出力結果を受信した携帯端末10B内では、前記第1方位センサ31の出力結果の正否を判断する処理が進行方位検出部11dにおいて行われる。詳しくは、先ずステップS45において携帯端末10Bの備える第2方位センサ11eでX、Y軸の検出が行われる。携帯端末10Bの備える第2方位センサ11eはX軸方向を携帯端末の上方向とし、Y軸方向を携帯端末の横方向としている。そして、ステップS46において前記第1方位センサ31のセンサ出力と前記第2方位センサ11eのセンサ出力を比較し、そのX軸が実質的に同じ方向を示している場合は、第1方位センサ31が正しい進行方位を検出しているものとみなして、ステップS48で前記第1方位センサ31のX軸を進行方位として検出する。また、ステップS46において第1方位センサ31のX軸と第2方位センサ11eのX軸が実質的に異なる方向を示している場合は、第1方位センサ31が進行方位と逆方向の方位を検出しているものとみなして、ステップS47において、第1方位センサ31出力のX軸及びY軸を180°回転し、前記回転したX軸を正しい頭部正面方向とみなしてステップS48において進行方位として検出する。なお、前記実質的に同じ方向及び実質的に異なる方向とは厳密に同じ方向である必要はなく、例えば第2方位センサ出力のX軸の方位から±90°以内の方位に第1方位センサ出力のX軸の方位が向いている場合は実質的に同じ方向とし、その反対に第2方位センサ出力のX軸の方位から±90°以外の方位に第1方位センサ出力のX軸の方位が向いている場合は実質的に異なる方向とする。また、本実施例においては方位センサが携帯端末10B側及びヘッドセット30B側の両方に設けられているが、鉛直方向の軸はヘッドセット30B側の方位センサ31の出力結果の方が安定しているため、携帯端末10B側の方位センサ11eではこのZ軸方向の方位検出は行わないものとする。
【0067】
ステップS49では、ステップS48において検出された進行方位を表示部13における上方向となるように現在位置のヘディングアップ表示を行う。更にステップS50において再び進行方位を検出する時間間隔として設定された所定時間(例えば1〜2秒)が経過したか否かが検出され、前記所定時間が経過した場合は主制御部16からヘッドセット30Bへ再び進行方位検出要求が送信される(ステップS42)。そして所定時間が経過していない場合はステップS51で目的地に到達したか否かが検出され、到達した場合は一連の処理を終了し、目的地に至っていない場合は再びステップS50に戻って所定時間が経過したか否かを監視する。
【0068】
上記構成により、実施例3の携帯ナビゲーション装置1Bのような携帯端末10Bに方位センサ11eを有する場合においても正確な進行方位を検出することができるようになる。また、進行方位としてヘッドセット30B側の方位センサ31の出力結果を採用することにより、より高精度な進行方向検出を行うことができるようになる。
【0069】
(応用例1)
上記実施例3に示すように、携帯端末10Bとヘッドセット30Bとの両方に方位センサ11e、31を備える携帯ナビゲーション装置1Bによれば、ヘッドセット30B側の方位センサ31の検出する頭部正面方向と携帯端末10B側のX軸方向の出力方位を比較することによりユーザが携帯端末を見ているか否かを推定することができる。すなわち、携帯端末10B側のX軸方位とヘッドセット30B側の頭部正面方向を示す出力方位が異なっているということはユーザは周辺の景色などを見ているか、あるいは携帯端末10B本体を手に持っておらず、例えばかばん等の中に入れていると言うことになる。すなわちこの2つの方位が同様であれば、少なくともユーザの視界の中に携帯端末10Bがあるということであり、このことから、前記2つの方位が同様の場合以外は携帯端末10Bの表示部13のバックライトを消灯するなどの制御を行うことができ、節電効果を得ることができる。ちなみにこのときの2つの方位の同一方向としては、例えば携帯端末10Bの方位センサ11eのX軸方向の方位の±30°以内にヘッドセット30B側の方位センサ31の検出する頭部正面方向が存在する場合を指し、前記±30°以内にヘッドセット30B側の方位センサ31の検出する頭部正面方向が存在しない場合はユーザは携帯端末10Bを見ていないと判断している。また、上記では±30°以内を同一方向か否かの許容角度としたがこれに限らず、適宜変更することが可能である。
【0070】
(応用例2)
更に、本発明の携帯ナビゲーション装置の応用例として、経路案内等を行う際に用いられる現在位置推定方法の1つに歩数計のカウント数に歩幅を掛けて方位方向に移動距離を積算するものがあるが、その距離の演算の際に、顔の向いている方位がその地点の地図上の歩道あるいは通路の伸びている方向(以下、リンク方向という)と著しく異なる場合は、その期間の歩数は距離演算に反映しないようにすることもできる。これは、通常であれば顔は進行方位を向いており、地図上のリンク方向と著しく異なる方向(たとえば±60°以上)を向いて歩数が発生しているということは、道路工事などの原因で地図にない迂回をしていたり、店などに立ち寄ったりした場合が考えられ、この場合は距離を積算しないほうが良い結果が得られるためである。なお、この応用例においては歩行中に瞬間的に横を見ることもあるので、実際に有効な出力値としては3歩以上連続して方位が外れた場合などの条件をつけても良い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は本発明の実施例1に係る携帯ナビゲーション装置の構成を示すブロック図、
【図2】図2は実施例1の携帯ナビゲーション装置のヘッドセットを示す側面図、
【図3】図3は実施例1の携帯ナビゲーション装置のヘッドセットをユーザが装着した状態を示す図、
【図4】図4は実施例1の携帯ナビゲーション装置における進行方位検出工程を示すフローチャート、
【図5】図5は本発明の実施例2に係る携帯ナビゲーション装置の構成を示すブロック図、
【図6】図6は実施例2の携帯ナビゲーション装置のヘッドセットを示す図であり、図6(a)は一方から見た斜視図、図6(b)は他方から見た斜視図、
【図7】図7は実施例2の携帯ナビゲーション装置における進行方位検出工程を示すフローチャート、
【図8】図8は本発明の実施例3に係る携帯ナビゲーション装置の構成を示すブロック図、
【図9】図9は実施例3の携帯ナビゲーション装置における進行方位検出工程を示すフローチャート、
【図10】図10は従来技術の携帯ナビゲーション装置の外観を示す模式図。
【符号の説明】
【0072】
1、1A、1B 携帯ナビゲーション装置
10、10A、10B 携帯端末
11 現在位置検出部
12 経路案内部
13 表示部
14 操作部
15 主制御部
16 データ記憶部
17 (携帯端末側)I/F
30、30A、30B ヘッドセット
31 方位センサ
32 進行方位検出部
33 スピーカ
34 マイク
35 (ヘッドセット側)I/F
36、37 イヤホン
38R、38L アタッチメント
39 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を検出する現在位置検出手段と、出発地から目的地までの経路を案内するための経路案内手段と、前記現在位置及び前記出発地から目的地までの経路を周辺の地図画像と共に表示する表示手段と、を備える装置本体と、
耳部に装着されて前記経路案内手段により出発地から目的地までの経路を案内する際の音声案内等を行うヘッドセットと、
からなる携帯ナビゲーション装置であって、
前記ヘッドセットには方位センサが搭載され、かつ装着時に装着方向を検出するための装着方向検出部材が設けられていることを特徴とする携帯ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記ヘッドセットは右耳用イヤホンと左耳用イヤホンとからなり、前記方位センサは前記右耳用イヤホンあるいは左耳用イヤホンの何れか一方に搭載され、前記装着方向検出部材は耳部への取り付けの際に左右何れかにのみ取り付けが行えるような形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の携帯ナビゲーション装置。
【請求項3】
衛星航法等により現在位置を検出する現在位置検出手段と、出発地から目的地までの経路を案内するための経路案内手段と、前記現在位置及び前記出発地から目的地までの経路を周辺の地図画像と共に表示する表示手段と、を備える装置本体と、
耳部に装着されて前記経路案内手段により出発地から目的地までの経路を案内する際の音声案内等を行うヘッドセットと、
からなる携帯ナビゲーション装置であって、
前記ヘッドセットには方位センサが搭載されており、前記方位センサにより検出される方位と前記現在位置検出手段における前記衛星航法による現在位置検出結果の軌跡から進行方向を検出することを特徴とする携帯ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記進行方向は、前記方位センサで検出される方位が前記現在位置検出手段における衛星航法による現在位置検出結果の軌跡から導かれる方位と実質的に同じ向きである場合は前記方位センサで検出される方位を進行方向とし、前記方位センサで検出される方位が前記現在位置検出手段における衛星航法による現在位置検出結果の軌跡から導かれる方位と実質的に異なる向きである場合は前記方位センサの出力方向を180°回転させた方位を進行方向とすることを特徴とする請求項3に記載の携帯ナビゲーション装置。
【請求項5】
現在位置を検出する現在位置検出手段と、出発地から目的地までの経路を案内するための経路案内手段と、前記現在位置及び前記出発地から目的地までの経路を周辺の地図画像と共に表示する表示手段と、を備える装置本体と、
耳部に装着されて前記経路案内手段により出発地から目的地までの経路を案内する際の音声案内等を行うヘッドセットと、
からなる携帯ナビゲーション装置であって、
前記装置本体内には本体側方位センサが設けられ、かつ前記ヘッドセット内にはヘッドセット側方位センサが設けられ、前記本体側方位センサと前記ヘッドセット側方位センサとにより検出される方位から進行方向を検出することを特徴とする携帯ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記進行方向は、前記ヘッドセット側方位センサで検出される方位が前記本体側方位センサで検出される方位と実質的に同じ向きである場合は前記ヘッドセット側方位センサで検出される方位を進行方向とし、前記ヘッドセット側方位センサで検出される方位が前記本体側方位センサで検出される方位と実質的に異なる向きである場合は前記ヘッドセット側方位センサで検出される方位を180°回転させた方向を進行方向とすることを特徴とする請求項5に記載の携帯ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−133132(P2006−133132A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324006(P2004−324006)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】