説明

携帯型位置検出装置

【課題】 従来と異なる新規な携帯型位置検出装置を提供する。
【解決手段】 位置検出装置により現在位置(位置情報)を検出し、その位置情報を算出した時点の時刻情報をICタグに書き込むとともに、そのICタグ30を窓部7を介して読取可能な状態とする。これにより、携帯電話が有するタグリーダを用いてICタグ30の情報を読み込み、その読み込んだ情報(客先名、要件及び時刻)を営業所のコンピュータに送信すれば、営業所のコンピュータに客先名、要件及び時刻が記憶されるので、容易に日報を作成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型位置検出装置に関するもので、報告書(日報)作成装置に適用して有効である。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1又は特許文献2に記載の携帯型位置検出装置では、GPSシステムを用いた現在位置検出装置により検出された位置情報及び検出時刻を一定時間毎に記録媒体に記録している。
【特許文献1】特開平10−82655公報
【特許文献2】特許第3766737号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載の発明では、日報を作成する際に携帯型位置検出装置に装着された記録媒体であるICカードを携帯型位置検出装置から取り外し、その取り外したICカードを日報作成装置に装着する必要があるので、作業が煩わしいという問題がある。
【0004】
本発明は、上記点に鑑み、上記のような煩わしさを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、現在位置を検出する位置検出手段と、時刻を計時する計時手段と、情報を記憶する複数のICタグと、位置検出手段が検出した位置情報、及びこの位置情報が検出された時点に計時手段が計時した時刻情報を、ICタグに書き込む書込手段と、ICタグに書き込まれている情報を外部に出力させる際に、出力対象となる情報が書き込まれているICタグを外部から読取可能な位置に移動させる移動機構とを備えることを特徴とする。
【0006】
これにより、請求項1に記載の発明では、ICタグに書き込まれた情報を外部に出力する際には、ICタグを外部に露出させた後、例えば携帯電話等に設けられているICタグリーダにてICタグに書き込まれた情報を読み込ませればよい。
【0007】
したがって、ICタグを着脱すること無く容易にICタグに書き込まれた情報を外部に出力することができるので、特許文献1に記載の発明のような煩わしさを低減することができる。
【0008】
なお、請求項2に記載の発明では、移動機構は、複数のICタグが装着されたベルト、及びベルトを移動させる駆動手段を有して構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項3に記載の発明では、移動機構は、ICタグが着脱可能に装着される複数の装着部が設けられた回転ドラム、及び回転ドラムを回転させる駆動手段を有して構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載の発明では、ICタグ毎に既に書き込まれている地名情報、及びこれに付随する情報を表示させる第1表示手段と、第1表示手段により表示される情報のいずれかをユーザが選択する際に、ユーザにより操作される第1選択手段とを備え、書込手段は、第1選択手段が操作されて情報が選択されたときに、その選択された情報と、位置情報及び時刻情報とをICタグに書き込むことを特徴とする。
【0010】
これにより、請求項4に記載の発明では、地名情報及びこれに付随する情報、並びに位置情報及び時刻情報をICタグに書き込むことができるので、ICタグに書き込まれた情報を用いて容易に日報等を作成することができる。
【0011】
請求項5に記載の発明では、複数のICタグの中から位置情報に対応する地名情報が既に書き込まれているICタグを探し、このICタグに既に書き込まれている地名情報、及びこれに付随する情報を表示させる第2表示手段と、第2表示手段により表示された情報をユーザが選択する際に、ユーザにより操作される第2選択手段とを備え、書込手段は、第2選択手段が操作されて情報が選択されたときに、その選択された情報と、位置情報及び時刻情報とをICタグに書き込むことを特徴とする。
【0012】
これにより、請求項5に記載の発明では、地名情報及びこれに付随する情報を選択することができるとともに、その選択された地名情報及びこれに付随する情報、並びに位置情報及び時刻情報をICタグに書き込むことができるので、ICタグに書き込まれた情報を用いて容易に日報等を作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本実施形態は、本発明に係る携帯型位置検出装置を営業活動報告書(日報)作成装置に適用したものあり、以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.図面の説明
図1は本実施形態に係る携帯型位置検出装置1の外観を示す斜視図であり、図2はICタグ30が装着された無端ベルト9の斜視図であり、図3(a)は窓枠13及び読込・記録ヘッド11を移動させるための移動機構を示す構成図であり、図3(b)は、図3(a)の右側面図であり、図3(c)は、図3(a)の左側面図である。
【0014】
図4(a)は移動機構の特徴を示す正面図であり、図4(b)は窓枠13を移動させるための構成を示す図であり、図4(c)は読込・記録ヘッド11を移動させるための構成を示す図であり、図5は本実施形態に係る携帯型位置検出装置1の電気系の構成を示すブロック図である。
【0015】
図6は情報更新用の制御を示すフローチャートであり、図7は初期化設定用の制御を示すフローチャートであり、図8は携帯型位置検出装置1の使用方法を示す概念図であり、図9は検索制御用のフローチャートであり、図10は表示例を示す図である。
【0016】
2.本実施形態に係る携帯型位置検出装置の構成
2.1.携帯型位置検出装置の概要
携帯型位置検出装置1は、位置検出装置21(図5参照)により現在位置(以下、位置情報という。)を検出し、その位置情報を算出した時点の時刻情報及び位置情報をICタグ30(図2参照)に書き込むとともに、書き込みが実行されたICタグ30を外部に露出させるものである。
【0017】
ここで、位置検出装置21とは、携帯型位置検出装置1の現在位置を検出する位置検出手段であり、本実施形態では、複数個の衛星から送信電波を受信して現在位置を検出するGPSシステムを採用している。
【0018】
また、ICタグ30とは、書き込まれた情報を保持することができる記憶手段であり、本実施形態に係るICタグ30は、非接触状態で、保持している情報を送出可能である。
2.2.携帯型位置検出装置の機械的構造
携帯型位置検出装置1の筐体3は、図1に示すように、扁平立方体状に形成されたものであり、この筐体3の上面側には、情報を表示するための表示部5A、及びユーザにより操作される操作部5Bが設けられ、一方、筐体3の上面前端側には、ICタグ30を露出さるための長穴状の窓部7が設けられている。
【0019】
また、操作部5Bは、自動検索ボタン5C、手動検索ボタン5D、5E、位置情報書込ボタン5F、情報更新ボタン5G及び初期化ボタン5H等を有して構成されており、自動検索ボタン5Cは、位置検出装置21により検出された位置情報に対応する地名情報が既に書き込まれているICタグ30を探し、このICタグ30に既に書き込まれている地名情報、及びこれに付随する情報を表示部5Aに表示させるための手段である。
【0020】
また、手動検索ボタン5D、5Eは、ICタグ毎に既に書き込まれている地名情報、及びこれに付随する情報を表示部5Aに表示させるための手段である。
なお、手動検索ボタン5Dは、現在、表示部5Aに表示されている地名情報等が書き込まれているICタグ30より、検索方向前方側のICタグ30を検索するためのボタンであり、手動検索ボタン5Eは、現在、表示部5Aに表示されている地名情報等が書き込まれているICタグ30より、検索方向後方側のICタグ30を検索するためのボタンである。
【0021】
位置情報書込ボタン5Fは、現在、表示部5Aに表示されている地名情報等が書き込まれているICタグ30に、位置検出装置21により検出された位置情報、及びその位置情報を算出した時点の時刻情報を書き込むための書込指示手段である。
【0022】
情報更新ボタン5Gは、ICタグ30に情報を書き込む場合、又は既にICタグ30に書き込まれている情報を変更する際に、書き込み対象ICタグ30を書き込み可能な位置(本実施形態では、ICタグ30を外部に露出させる位置)まで移動させる指示を行うための手段である。
【0023】
初期化ボタン5Hは、複数個のICタグ30のいずれかを特定するための番号(以下、この番号を取付位置番号という。)と、取付位置番号にて特定されたICタグ30に書き込まれている情報との対応関係を示すデータテーブルの作成を指示するための手段である。
【0024】
また、筐体3内には、図2に示すように、複数のICタグ30が表面に装着された無端ベルト9が設けられており、駆動ローラ9Aは、電動モータ9C(図5参照)から動力を得て無端ベルト9を回転移動させる駆動手段であり、テンションローラ9Bは、駆動ローラ9Aと離隔して配設され、無端ベルト9に所定の張力を付与するとともに、無端ベルト9の回転に従動して回転する円筒状のローラである。
【0025】
ところで、テンションローラ9B内には、図4(a)に示すように、ICタグ30に記憶されている情報を読み取るとともに、ICタグ30に情報を書き込む読込・記録ヘッド(以下、ヘッドと略す)11が配設されており、このヘッド11は、テンションローラ9Bの回転軸と平行な方向(以下、この方向を軸方向という。)に移動することができる。
【0026】
なお、ガイドレール11Aは、ヘッド11を保持するヘッドホルダ11Bを前後方向から挟むようにしてヘッドホルダ11Bに摺接し、ヘッド11の移動を案内するガイド手段である。
【0027】
そして、ヘッドホルダ11Bのうち軸方向両端側には、図4(c)に示すように、ピアノ線等のヤング率の大きな材質からなるワイヤ11Cが連結されており、このワイヤ11Cは、図3(a)〜図3(c)に示すように、無端ベルト9から軸方向両端側にずれた位置に配設されたヘッド駆動プーリ11D、11Eに掛け渡されている。
【0028】
また、テンションローラ9Bの外側であって、テンションローラ9B及び無端ベルト9を挟んでヘッド11と対応する位置には、図4(a)及び図4(b)に示すように、軸方向に延びるように開口した長穴状の窓部7内を軸方向に変位する矩形枠(額縁)状の窓枠13が設けられている。
【0029】
なお、ガイドレール13Aは、窓枠13を前後方向から挟むようにして窓枠13に摺接し、窓枠13の移動を案内するガイド手段である。
また、窓枠13のうち軸方向両端側には、図4(b)に示すように、ピアノ線等のヤング率の大きな材質からなるワイヤ13B、及び不織布やフィルム等の膜状部材を蛇腹状としたカーテン13Cが連結されている。
【0030】
そして、ワイヤ13Bは、図3(a)〜図3(c)に示すように、無端ベルト9から軸方向両端側にずれた位置に配設された窓枠駆動プーリ13D、13Eに掛け渡されている。一方、カーテン13Cの軸方向端部であって、窓枠13との連結部と反対側の端部は、窓部7の軸方向端部に連結されている。
【0031】
また、ヘッド駆動プーリ11D及び窓枠駆動プーリ13Dそれぞれは、図4(a)に示すように、駆動軸15Aの長手方向端部に装着されて駆動軸15Aから駆動力を得て回転し、駆動軸15Aは、ヘリカルギア15B、15Cを介して電動モータ15Dにより駆動される。
【0032】
なお、ヘッド駆動プーリ11E及び窓枠駆動プーリ13Eは、図3(c)に示すように、同軸上に配置されてワイヤ11C、13Bの移動に連動して従動回転する。
このため、電動モータ15Dが回転すると、ヘッド駆動プーリ11Dと窓枠駆動プーリ13Dとが同一回転速度で回転するため、ヘッド11と窓枠13とは、同期して同一の向きに平行移動する。
【0033】
また、窓枠13が移動すると、カーテン13Cが窓枠13の移動に連動して伸縮するので、窓部7は窓枠13の部分のみが開口し、その他の部位はカーテン13Cにて閉塞された状態となる。
【0034】
2.3.携帯型位置検出装置の電器的構造(図5参照)
制御部22は、図5に示すように、位置検出装置21や表示部5A等を制御する制御手段であり、この制御部22は、CPU、RAM及びROM等からなる周知のマイクロコンピュータにて構成されている。
【0035】
また、入出力端子23は、コンピュータ(図示せず。)等と携帯型位置検出装置1との間で情報の授受を行うためのインターフェースであり、時計24は時刻を計時するための計時手段である。因みに、制御部22及び表示部5A等には、図示しないバッテリから電力が供給されている。
【0036】
そして、ICタグ30に予め記憶されている地名情報及びこれに付随する情報は、入出力端子23を介して外部のコンピュータにより書き込まれる。
なお、本実施形態では、携帯型位置検出装置1を営業活動報告書作成装置に適用するにあたり、訪問する客先毎に、客先名(地名情報)及びその要件、並びに客先の位置情報が、各ICタグ30毎に事前(客先訪問の前)に書き込まれている。
【0037】
3.本実施形態に係る携帯型位置検出装置1の作動及びその特徴
3.1.情報更新
図6は、情報更新用の制御を示すフローチャートであり、この制御は携帯型位置検出装置1の電源スイッチ1A(図1参照)が投入されると起動され、電源スイッチ1Aが遮断されると停止する。
【0038】
そして、情報更新用の制御が起動されると、先ず、操作部5Bから発せられる信号が読み込まれるとともに(S1)、情報更新ボタン5Gがオン状態であるか否か、つまり情報更新ボタン5Gが押下されたか否かが判定される(S3)。
【0039】
このとき、情報更新ボタン5Gがオン状態でないと判定された場合には(S3:NO)、S1が再び実行され、情報更新ボタン5Gがオン状態であると判定された場合には(S3:YES)、取付位置番号1のICタグ30に書き込まれている情報及びこのICタグ30の取付位置番号を示す「1」が表示部5Aに表示される(S5)。
【0040】
なお、このときに表示される内容及び取付位置番号は、原則として、データテーブルに基づいて表示されるが、データテーブルが作成されていない場合には、取付位置番号1のICタグ30に書き込まれている情報が読み込まれて表示される。
【0041】
次に、手動検索ボタン5D、5Eのいずれが押下されたか否かが判定され(S7)、手動検索(上矢印)ボタン5Dが押下されたと判定された場合には(S7:上矢印)、現在、表示部5Aに表示されている内容が書き込まれているICタグ30の取付位置番号の一つ次の取付位置番号により特定されるICタグ30の情報が読み込まれるとともに(S9)、その読み込まれた情報及びこのICタグ30の取付位置番号が表示部5Aに表示される(S11)。
【0042】
一方、手動検索(下矢印)ボタン5Eが押下されたと判定された場合には(S7:下矢印)、現在、表示部5Aに表示されている内容が書き込まれているICタグ30の取付位置番号の一つ前の取付位置番号により特定されるICタグ30の情報が読み込まれるとともに(S13)、その読み込まれた情報及びこのICタグ30の取付位置番号が表示部5Aに表示される(S15)。
【0043】
そして、手動検索ボタン5D、5Eのいずれも押下されていないと判定された場合(S7:NO)、又はS11もしくはS15が実施されると、位置情報書込(OK)ボタン5Fが押下されたか否かが判定され(S17)、位置情報書込ボタン5Fが押下されていないと判定された場合には(S17:NO)、S1が再び実行される。
【0044】
一方、位置情報書込ボタン5Fが押下されたと判定された場合には(S17:YES)、現在、表示部5Aに表示されている取付位置番号により特定されるICタグ30が情報書き込み可能な位置に移動させられ(S19)、入出力端子23を介して外部のコンピュータにより情報が書き込み可能な状態となる。
【0045】
3.2.初期化作動
図7は、初期化用の制御を示すフローチャートであり、この制御は携帯型位置検出装置1の電源スイッチ1Aが投入されると起動され、電源スイッチ1Aが遮断されると停止する。
【0046】
そして、初期化用の制御が起動されると、先ず、操作部5Bから発せられる信号が読み込まれるとともに(S21)、初期化ボタン5Hがオン状態であるか否か、つまり初期化ボタン5Hが押下されたか否かが判定される(S23)。
【0047】
このとき、初期化ボタン5Hがオン状態でないと判定された場合には(S23:NO)、S21が再び実行され、初期化ボタン5Hがオン状態であると判定された場合には(S23:YES)、無端ベルト9に取り付けられているICタグ30に書き込まれている情報が読み込まれ、データテーブルが作成されて記憶される(S25)。
【0048】
3.3.検索作動
3.3.1.自動検索(オートスキャン)の概要及び特徴
自動検索ボタン5Cがユーザにより押下されると、位置検出装置21により現在の位置情報が検出されるとともに、検出された位置情報及びデータベースに基づいて、検出された位置情報に対応する客先名及びこれに付随する情報(例えば、「打ち合わせ」又は「新規挨拶」等の訪問の要件内容)が表示部5Aに表示される。
【0049】
そして、位置情報書込ボタン5Fがユーザにより押下されると、現在、表示部5Aに表示されている客先名及び付随情報が書き込まれているICタグ30に、位置検出装置21により現在の位置情報が検出された時に時計24が計時した時刻が新たに書き込まれる。
【0050】
なお、「位置検出装置21により現在の位置情報が検出された時に時計24が計時した時刻」とは、厳密に位置検出装置21により現在の位置情報が検出され時に限定されるものではなく、位置検出装置21により現在の位置情報が検出された時から位置情報書込ボタン5Fがユーザにより押下され時までの間に時計24が計時した時刻をいう。
【0051】
ところで、表示部5Aに表示されている内容は、ヘッド11にてICタグ30から読み込まれた情報であるので、ヘッド11は、表示部5Aに表示されている内容が書き込まれているICタグ30に対応する位置、つまり、表示部5Aに表示されている内容が書き込まれているICタグ30の下方側に位置する。
【0052】
このため、窓枠13は、表示部5Aに表示されている内容が書き込まれているICタグ30の上方側に位置することとなるので、表示部5Aに表示されている内容が書き込まれているICタグ30が窓部7において、外部に露出した状態となる。
【0053】
そして、位置情報書込ボタン5Fがユーザにより押下されると、現在、表示部5Aに表示されている内容が書き込まれているICタグ30に、時計24が計時した時刻等が書き込まれるので、外部に露出しているICタグ30は、ユーザの現在位置を示す位置情報及び位置情報が検出された時の時刻が書き込まれているICタグ30となる。
【0054】
このとき、図8に示すように、携帯電話40が有するタグリーダを用いて、ユーザが外部に露出されているICタグ30、つまりタグリーダにて読込可能な位置にあるICタグ30の情報を読み込み、その読み込んだ情報(客先名、要件及び時刻)を営業所のコンピュータに送信すれば、営業所のコンピュータに客先名、要件及び時刻が記憶されるので、容易に日報を作成することができ、特許文献1に記載の発明のような煩わしさを低減することができる。
【0055】
3.3.2.手動検索の概要及び特徴
ユーザが手動検索ボタン5D、5Eを操作すると、複数のICタグ30それぞれに書き込まれている客先名等の情報が順次、表示部5Aに表示される。
【0056】
そして、特定の客先名等が表示された状態で、位置情報書込ボタン5Fがユーザにより押下されると、位置検出装置21により現在位置の位置情報が検出されるとともに、現在、表示部5Aに表示されている客先名及び付随情報が書き込まれているICタグ30に、その検出された位置情報、及び位置検出装置21により位置情報が検出された時に時計24が計時した時刻が新たに書き込まれる。
【0057】
このとき、自動検索時と同様に、時刻等が書き込まれたICタグ30が外部に露出されているので、携帯電話40が有するタグリーダを用いて、ユーザが外部に露出されているICタグ30、つまりタグリーダにて読込可能な位置にあるICタグ30の情報を読み込み、その読み込んだ情報(客先名、要件及び時刻)を営業所のコンピュータに送信すれば、営業所のコンピュータに客先名、要件及び時刻が記憶されるので、容易に日報を作成することができ、特許文献1に記載の発明のような煩わしさを低減することができる。
【0058】
3.3.3.その他
自動検索又は手動検索にて時刻等をICタグ30に書き込んだときに、その情報を営業所に送信しなかった場合には、先ず、手動検索ボタン5D、5Eを用いて時刻等が既に書き込まれた客先名が記憶されているICタグ30を検索する。
【0059】
このとき、上述したように、表示部5Aに表示されている内容が書き込まれているICタグ30が窓部7において、外部に露出した状態となるので、送信対象となる客先名等を表示部5Aに表示した状態で、ユーザが外部に露出されているICタグ30の情報を読み込んで営業所に情報を送信すれば、時刻等を書き込む際に営業所に客先名及び時刻を送信していなかった場合であって、容易に後で日報を作成することができる。
【0060】
3.4.検索作動の詳細
図9は、検索作動の詳細を示すフローチャートであり、この制御は携帯型位置検出装置1の電源スイッチ1Aが投入されると起動され、電源スイッチ1Aが遮断されると停止する。
【0061】
そして、源スイッチ1Aが投入されると、先ず、操作部5Bから発せられる信号が読み込まれるとともに(S31)、自動検索ボタン5C又は位置情報書込ボタン5Fがオン状態であるか否かが判定され(S33)、オン状態であると判定された場合には(S33:YES)、位置検出装置21により検出された現在の位置情報及び時計24が計時した時刻が読み込まれる(S35、S37)。
【0062】
このとき、位置情報の読込ができたか否かが判定され(S39)、位置情報の読込ができなかったと判定された場合には(S39:NO)、所定時間(本実施形態では、10秒間)は、位置情報の読込が試みられるとともに、その旨の表示がされ、所定時間が経過した時点で位置情報の読込ができなかったときには、その旨の表示がされるとともに、S31が再び実行される(S41)。
【0063】
また、位置情報の読込ができたと判定された場合には(S39:YES)、検索作動の準備中である旨が表示された後(S43)、自動検索ボタン5Cが押下されたか否かが判定される(S45)。
【0064】
このとき、自動検索ボタン5Cが押下されたと判定された場合には(S45:YES)、検出された位置情報及びデータベースに基づいて、検出された位置情報に対応する客先名及びこれに付随する情報が記憶されているデータベースから読み込まれるとともに(S47)、特定されたICタグ30の取付位置番号及びそのICタグ30に書き込まれている情報(客先名及びこれに付随する情報)が表示される(S49)。
【0065】
なお、検出された位置情報に対応する情報が複数件あるときには、複数件の取付位置番号及びそのICタグ30に書き込まれている情報(客先名及びこれに付随する情報)が表示される(図10参照)。
【0066】
また、自動検索ボタン5Cが押下されていないと判定された場合には(S45:NO)、表示部5AにいずれかのICタグ30に書き込まれている情報が表示されているか否かが判定される(S51)。
【0067】
このとき、情報が表示されていないと判定された場合には(S51:NO)、位置情報等の書き込みを行うべきICタグ30が未だ特定されていない旨が表示された後(S55)、S31が再び実行される。
【0068】
一方、情報が表示されていると判定された場合には(S51:YES)、現在、表示部5Aに表示されている内容が書き込まれているICタグ30が、書込及び読込可能な位置、つまりICタグ30が外部に露出した位置に移動させられた後、位置検出装置21により現在の位置情報及び時計24が計時した時刻が新たに書き込まれる(S53)。
【0069】
また、S33にて自動検索ボタン5C及び位置情報書込ボタン5Fのいずれもオン状態でないと判定された場合には(S33:NO)、手動検索ボタン5D、5Eのいずれが押下されたか否かが判定され(S57)、いずれかが押下されたと判定された場合には(S57:YES)、いずれの手動検索ボタン5D、5Eが押下されたかが判定される(S59)。
【0070】
そして、手動検索(上矢印)ボタン5Dが押下されたと判定された場合には(S59:上矢印)、現在、表示部5Aに表示されている内容が書き込まれているICタグ30の取付位置番号の一つ次の取付位置番号により特定されるICタグ30の情報が読み込まれるとともに(S61)、その読み込まれた情報及びこのICタグ30の取付位置番号が表示部5Aに表示された後(S63)、S31が再び実行される。
【0071】
一方、手動検索(下矢印)ボタン5Eが押下されたと判定された場合には(S59:下矢印)、現在、表示部5Aに表示されている内容が書き込まれているICタグ30の取付位置番号の一つ前の取付位置番号により特定されるICタグ30の情報が読み込まれるとともに(S65)、その読み込まれた情報及びこのICタグ30の取付位置番号が表示部5Aに表示された後(S67)、S31が再び実行される。
【0072】
なお、手動検索ボタン5D、5Eのいずれも押下されていないと判定された場合に(S57:NO)、S31が再び実行される。
4.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、位置検出装置21が特許請求の範囲に記載された位置検出手段に相当し、時計24が特許請求の範囲に記載された計時手段に相当し、ヘッド11、位置情報書込ボタン5F及び制御部22が特許請求の範囲に記載された書込手段に相当し、窓部7、窓枠13、窓枠駆動プーリ13D及び電動モータ15D等により特許請求の範囲に記載された移動機構が構成されている。
【0073】
また、手動検索ボタン5D、5Eが特許請求の範囲に記載された第1表示手段に相当し、自動検索ボタン5Cが特許請求の範囲に記載された第2表示手段に相当し、位置情報書込ボタン5Fが特許請求の範囲に記載された第1選択手段又は第2選択手段に相当する。
【0074】
(第2実施形態)
第1実施形態では、無端ベルト9にICタグ30を装着し、無端ベルト9及び窓枠13を移動させて、出力対象となる情報が書き込まれているICタグを外部に露出させたが、本実施形態は、図11に示すように、回転ドラム17にICタグ30を装着するための装着部17Aを回転ドラム17の外周部に複数設けるとともに、回転ドラム17を電動モータ(図示せず。)にて回転させて、出力対象となる情報が書き込まれているICタグを窓部7から外部に露出させるものである。
【0075】
そして、装着部17Aは、回転ドラム17の外周部に円周方向に沿って複数設けられているとともに、回転ドラム17に対して回転軸方向からICタグ30が着脱可能となっている。さらに、回転ドラム17は、筐体3(携帯型位置検出装置1)から着脱可能となっている。
【0076】
また、ヘッド11は、筐体3に対して固定されており、位置情報書込ボタン5Fがユーザにより押下されると、ヘッド11と対向する位置にあるICタグ30、つまり、現在、表示部5Aに表示されている客先名及び付随情報が書き込まれているICタグ30に、時計24が計時した時刻等が新たに書き込まれる。
【0077】
そして、時刻等の書き込みが終了すると、回転ドラム17が回転して書き込みが実行されたICタグ30が窓部7の位置まで移動し、そのICタグ30が窓部7から外部に露出される。
【0078】
なお、窓部7は、通常時は、開閉シャッタ(図示せず。)により閉じられており、窓開閉ボタン5Gがユーザにより操作されたときに開かれる。そして、開閉シャッタが開いている状態で窓開閉ボタン5Gがユーザにより操作されると、窓部7が開閉シャッタにより閉じられる。
【0079】
因みに、本実施形態では、窓部7、回転ドラム、電動モータ9C及び制御部22等により特許請求の範囲に記載された移動機構が構成されている。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、衛星からの送信電波を用いて位置情報を取得したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の手法により位置情報を取得してもよい。
【0080】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
なお、携帯電話等の情報を送信可能な端末機が、位置検出装置、ICタグ30相当の記憶手段、及び時計機能等を備えていれば、その端末機にて本発明と同等な機能を得ることができる。
【0081】
また、上述の実施形態では、窓部7が長方形状であったため、カーテン13Cにより特定されたICタグ30以外を覆い隠したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、カーテン13Cを廃止し、特定されたICタグ30に対応する部位に設けられたLED等の発光部を点滅又は点灯させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1実施形態に係る携帯型位置検出装置1の外観を示す斜視図である。
【図2】ICタグ30が装着された無端ベルト9の斜視図である。
【図3】(a)は窓枠13及び読込・記録ヘッド11を移動させるための移動機構を示す構成図であり、(b)は、図3(a)の右側面図であり、(c)は、図3(a)の左側面図である。
【図4】(a)は移動機構の特徴を示す正面図であり、(b)は窓枠13を移動させるための構成を示す図であり、(c)はヘッド11を移動させるための構成を示す図である。
【図5】本実施形態に係る携帯型位置検出装置1の電気系の構成を示すブロック図である。
【図6】情報更新用の制御を示すフローチャートである。
【図7】初期化設定用の制御を示すフローチャートである。
【図8】携帯型位置検出装置1の使用方法を示す概念図である。
【図9】検索制御用のフローチャートでる。
【図10】表示部5Aの表示例を示す図である
【図11】本発明の第1実施形態に係る携帯型位置検出装置1の外観(一部、断面)を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0083】
1…携帯型位置検出装置、3…筐体、5A…表示部、5B…操作部、
5C…自動検索ボタン、5D…手動検索ボタン、5E…手動検索ボタン、
5F…位置情報書込ボタン、7…窓部、9…無端ベルト、9A…駆動ローラ、
9B…テンションローラ、9C…電動モータ、11…ヘッド、
11…読込・記録ヘッド、11A…ガイドレール、11B…ヘッドホルダ、
11C…ワイヤ、11D…ヘッド駆動プーリ、13…窓枠、13A…ガイドレール、
13B…ワイヤ、13C…カーテン、13D…窓枠駆動プーリ、15A…駆動軸、
15B…ヘリカルギア、15D…電動モータ、17…回転ドラム、17A…装着部、
21…位置検出装置、22…制御部、23…入出力端子、24…時計、
30…ICタグ、40…携帯電話。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を検出する位置検出手段と、
時刻を計時する計時手段と、
情報を記憶する複数のICタグと、
前記位置検出手段が検出した位置情報、及びこの位置情報が検出された時点に前記計時手段が計時した時刻情報を、前記ICタグに書き込む書込手段と、
前記ICタグに書き込まれている情報を外部に出力させる際に、出力対象となる情報が書き込まれているICタグを外部から読取可能な位置に移動させる移動機構と
を備えることを特徴とする携帯型位置検出装置。
【請求項2】
前記移動機構は、前記複数のICタグが装着されたベルト、及び前記ベルトを移動させる駆動手段を有して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型位置検出装置。
【請求項3】
前記移動機構は、前記ICタグが着脱可能に装着される複数の装着部が設けられた回転ドラム、及び前記回転ドラムを回転させる駆動手段を有して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型位置検出装置。
【請求項4】
前記ICタグ毎に既に書き込まれている地名情報、及びこれに付随する情報を表示させる第1表示手段と、
前記第1表示手段により表示される情報のいずれかをユーザが選択する際に、ユーザにより操作される第1選択手段とを備え、
前記書込手段は、前記第1選択手段が操作されて情報が選択されたときに、その選択された情報と、前記位置情報及び前記時刻情報とを前記ICタグに書き込むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の携帯型位置検出装置。
【請求項5】
前記複数のICタグの中から前記位置情報に対応する地名情報が既に書き込まれているICタグを探し、このICタグに既に書き込まれている地名情報、及びこれに付随する情報を表示させる第2表示手段と、
前記第2表示手段により表示された情報をユーザが選択する際に、ユーザにより操作される第2選択手段とを備え、
前記書込手段は、前記第2選択手段が操作されて情報が選択されたときに、その選択された情報と、前記位置情報及び前記時刻情報とを前記ICタグに書き込むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の携帯型位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−168680(P2009−168680A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8362(P2008−8362)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(399031827)エイディシーテクノロジー株式会社 (163)
【Fターム(参考)】