説明

携帯型表示装置

携帯電話(100)では表示部(50)に、左画面を左方向に表示し、右画面を右方向に表示する。そのため、閲覧者は、携帯電話(100)を手に保持した状態で左側から表示部(50)を見ると左画面が閲覧でき、右側から見ると右画面が閲覧できる。さらに、携帯電話(100)は、表示部(50)の向いている方向の変化を検知して表示画面を切替える。そのため、閲覧者は右画面を閲覧していた保持状態を元に戻して左側から閲覧すると、次の左画面を閲覧できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は携帯型表示装置に関し、特に、多くの情報を見やすく表示することのできる携帯型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの液晶表示装置を備えた情報機器は、ますます小型化が進んでいる。そのため、そのような情報機器に実装できる液晶表示装置のサイズは限られている。
【0003】
その一方、液晶表示させたい情報量は、メモリ容量の拡大や高速通信機能の普及に伴ってますます増大している。
【0004】
従来の情報機器では、液晶表示装置で多くの情報を表示させる場合に、スクロールキーやスクロールバーなどを利用したスクロール操作を行なって1画面ずつ順送りして表示させていた。
【特許文献1】特開2001−175609号公報
【特許文献2】特開2001−237933号公報
【特許文献3】特開2002−101172号公報
【特許文献4】特開2001−257750号公報
【特許文献5】特開2003−5735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、そのようなスクロール操作は、閲覧者が該情報を自然な速度で閲覧する際の妨げとなり、煩わしさを感じるものであるという問題がある。
【0006】
また、地図情報や画像などの情報は、分割して1画面ずつ順送りして閲覧した場合に、全体が把握し難いといった問題がある。特に、一般的な写真画像が横長形状であるのに対して携帯電話機に実装されている液晶表示装置は縦長形状である場合が多いため、携帯電話機の液晶表示装置で写真画像を表示させる場合にはその問題が顕著に現われる。
【0007】
そのような問題を克服するために、特許文献1〜特許文献3は、展開可能な状態で折畳まれた複数の液晶ディスプレイを備える携帯型情報端末、携帯電話機、および無線情報端末機を開示しているが、かかる携帯型情報端末、携帯電話機、および無線情報端末機では、折畳まれた複数の液晶ディスプレイを備えるために、装置自体の小型化に限界があるという問題がある。
【0008】
また、特許文献4は、2つの表示装置を備えて、文字と画像とを別々に表示させる携帯電話を開示しているが、かかる携帯電話でも、同様に、装置自体の小型化に限界があるという問題がある。
【0009】
さらに、特許文献5は、複数の表示部を有する携帯機器において使用中の表示部から他の表示部での機能の操作へ移行する操作を行なうことのできる携帯機器について開示しているが、かかる携帯機器では、所定のキーを一定時間以上押し下げるなどの操作を行なう必要があり、自然な動作で操作の移行を行なうことができないという問題があった。
【0010】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、限られたサイズにおいて多くの情報を見やすく表示することのできる携帯型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、携帯型表示装置は、表示対象データに基づいて第1の画面と第2の画面とを生成する画面生成部と、同一の表示画面に対する複数の視点にそれぞれ対応する複数の表示方向に互いに異なる画面を同時に表示する表示部とを備え、表示部は、第1の画面と第2の画面とを、各々、複数の表示方向のうちの少なくとも2つの異なる表示方向に同時に表示する。
【0012】
上述の画面生成部は、表示対象データから表示部で表示可能なサイズに基づいて所定サイズのデータを切出して第1の画面を生成し、第1の画面に隣接したデータを切出して第2の画面を生成することが好ましい。
【0013】
または、上述の画面生成部は、表示対象データから表示部で表示可能なサイズの各方向分のサイズに基づいて所定のサイズのデータを切出して、切出したデータを分割して第1の画面と第2の画面とを生成することが好ましい。
【0014】
または、上述の画面生成部は、表示対象データから表示部で表示可能なサイズに基づいて所定サイズのデータを切出して第1の画面を生成し、第1の画面に対応する画面を第2の画面として生成することが好ましい。
【0015】
また、携帯型表示装置は、表示部に表示対象データの画面が表示されているときに、表示切替動作を検出する検出部と、検出された表示切替動作に応じて、異なる方向に同時に表示されている画面の少なくとも1つの画面を切替える画面切替部とをさらに備えることが好ましい。
【0016】
また、表示部は、第1の画面と第2の画面とを各々異なる方向に表示すると共に、第1の画面および第2の画面と同時に第3の画面をいずれの方向にも表示することが好ましい。
【0017】
さらに、表示部は、第3の画面に、表示部における現在の表示形態を報知する内容を表示することがより好ましい。
【0018】
また、表示部は、第1の画面を表示部から略正面に向かう方向に表示することが好ましい。
【0019】
また、携帯型表示装置は、表示部における表示形態を、第1の画面と第2の画面とを各々異なる方向に表示するマルチビュー形態と、1つの画面を表示領域内のすべてにいずれの方向にも表示するシングルビュー形態とに切替える第1の表示形態切替部をさらに備えることが好ましい。
【0020】
さらに、第1の表示形態切替部は、表示対象データの属性と、表示対象データを表示するためのアプリケーションとのいずれかに応じて、表示部における表示形態を切替えることがより好ましい。
【0021】
また、携帯型表示装置は、表示部における表示形態を、第1の画面と第2の画面とを各々異なる方向に表示するマルチビュー形態と、立体表示形態とに切替える第2の表示形態切替部をさらに備えることが好ましい。
【0022】
本発明の他の局面に従うと、携帯型表示装置は、表示対象データの画面を表示する表示部と、表示部に表示対象データの画面が表示されているときに、表示切替動作を検出する検出部と、検出された表示切替動作に応じて、表示部に表示されている画面を切替える画面切替部とを備える。
【0023】
また、上述の検出部は、表示部において表示対象データの画面が表示されているときの表示部の角度変化を検知することで表示切替動作を検出することが好ましい。
【0024】
本発明のさらに他の局面に従うと、携帯型表示装置は、異なる複数の表示方向に、互いに異なる画面データを同時に表示する表示部を備え、表示部は、第1の表示領域に、第1の画面データと第2の画面データとを、各々、複数の表示方向のうちの少なくとも2つの異なる表示方向で同時に表示すると共に、第1の表示領域とは異なる第2の表示領域に、1つの画面データをいずれの方向からも視認可能に表示する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態にかかる携帯電話100の構成の具体例を示すブロック図である。
【図2】表示部50の構成の具体例を示す図である。
【図3】データ処理部20の構成と、携帯電話100におけるデータ処理の流れとについて説明する図である。
【図4】分割・切出制御部21におけるデータの分割および切出し処理について説明する図である。
【図5】分割・切出制御部21におけるデータの分割および切出し処理について説明する図である。
【図6】実施の形態にかかる携帯電話100での画面表示処理を示すフローチャートである。
【図7】携帯電話100の第1状態の具体例を示す図である。
【図8】携帯電話100の第2状態の具体例を示す図である。
【図9】第1状態および第2状態における表示画面と、第1状態と第2状態との切替動作による表示の変化との第1の具体例を説明する図である。
【図10】第1状態および第2状態における表示画面と、第1状態と第2状態との切替動作による表示の変化との第2の具体例を説明する図である。
【図11】逆スクロール可能な場合の、第1状態および第2状態における表示画面と、第1状態と第2状態との切替動作による表示の変化との具体例を説明する図である。
【図12】同一画面で異なる形態の表示を行なう具体例を示す図である。
【図13】表示部50がさらに通常方向の表示領域を含む場合のデータ表示部51およびスリット板52の構成の具体例を示す図である。
【図14】携帯電話100において3D表示を行なう際の表示部50の制御を説明する図である。
【図15】表示部50の構成の他の具体例を示す図である。
【図16】同一画面で異なる形態の表示を行なう具体例を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1 CPU、2 操作部、3 通信部、4 記憶部、5 バス、10 データ記憶部、20 データ処理部、21 分割・切出制御部、22 メモリ転送制御部、30 画面データメモリ、31 右画面データメモリ、32 左画面データメモリ、40 表示制御部、50 表示部、51 データ表示部、52 スリット板、53 バックライト、60 センサ、511〜517 データ表示部上の領域、521 閉口部、522,523 開口部。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0028】
本実施の形態においては、本発明にかかる携帯型表示装置を携帯電話機で実現する場合について説明するが、言うまでもなく本発明にかかる携帯型表示装置は携帯電話機に限定されず、PDA(Personal Digital Assistants)などの他の装置であってもよい。
【0029】
図1は、本実施の形態にかかる携帯電話100の構成の具体例を示すブロック図である。図1を参照して、実施の形態にかかる携帯電話100はCPU(Central Processing Unit)1を含み、携帯電話100全体がCPU1において制御される。CPU1で実行されるプログラムは、記憶部4を構成するROM(Read Only Memory)に記憶される。また、記憶部4を構成するRAM(Random Access Memory)は、CPU1がプログラムを実行する際の作業領域となる。
【0030】
また、携帯電話100は、通信部3において、基地局を介して他の電話機と通話を行なったり、電子メールの送受信を行なったり、インターネットを介して情報の送受信を行なったりする。本実施の形態においては、通信部3において取得したデータを表示部50で表示するものとするが、言うまでもなく、本携帯電話100がテキストデータや画像データなどのデータ作成機能を備える場合、携帯電話100において作成されたデータを表示部50で表示してもよく、その場合も同様の処理が行なわれるものとする。
【0031】
また、携帯電話100は、数字キーやスクロールキーなどの操作部2と、画面表示を行なう表示部50と、表示部50における表示を制御する表示制御部40と、通信部3で取得した表示対象のデータを記憶するデータ記憶部10と、データ記憶部10に記憶されるデータに対して表示部50に表示させるための処理を行なうデータ処理部20と、表示部50に表示させるための右画面データメモリ31および左画面データメモリ32を含むメモリである画面データメモリ30と、表示部50の向いている角度の変化を検知するセンサ60とを含み、CPU1、通信部3、および記憶部4と、バス5を介して接続される。
【0032】
さらに図2に、表示部50の構成の具体例を示す。図2を参照して、表示部50は、画面データを表示する液晶ディスプレイであるデータ表示部51と、データ表示部51よりも距離a分前方、つまり閲覧者に近い側に備えられる液晶ディスプレイであるスリット板52と、データ表示部51の後方、つまり閲覧者に遠い側に備えられる照明装置であるバックライト53とを含む。
【0033】
データ表示部51は、表示制御部40に制御されることで、図2に示されるように、縦長の短冊状の領域である、右画面を表示する幅d1の複数の右画面表示領域511と、左画面を表示する幅d2の複数の左画面表示領域512とが、左から順に領域511,512の順番に交互に並んで構成される。
【0034】
また、スリット板52は、表示制御部40に制御されることで、背後のデータ表示部51を前方から透かして見ることのできない閉口部521と、背後のデータ表示部51を前方から透かして見ることのできる幅cの開口部522とを含んで構成される。閉口部521と開口部522とは、液晶ディスプレイであるスリット板52を表示制御部40が制御することで、閉口部521が暗転され、開口部522が可透となって構成される。
【0035】
スリット板52に閉口部521と開口部522とが構成され、データ表示部51に右画面表示領域511と左画面表示領域512とが構成されることで、右画面表示領域511に表示される右画面は、開口部522を介して該表示部50に対して右側に位置する閲覧者に向かう方向に表示され、表示部50に対して右側に位置する閲覧者から視認される。また、左画面表示領域512に表示される左画面は、開口部522を介して該表示部50に対して左側に位置する閲覧者に向かう方向に表示され、表示部50に対して左側に位置する閲覧者から視認される。つまり、閲覧者は、表示部50に対して右側に位置して該表示部50を閲覧する場合と、左側に位置して該表示部50を閲覧する場合とで、右画面および左画面の異なる種類の画面を閲覧可能であり、携帯電話100は、左方向に第1の画面、右方向に第2の画面を同時に表示するいわゆるデュアルビュー表示を実現する。なお、データ表示部51とスリット板52との距離a、右画面表示領域511の幅d1、および左画面表示領域512の幅d2は、閲覧者が通常の携帯電話100の用い方をした場合の閲覧者から表示部50までの距離cに応じて決定される最適の値であり、ここでは、具体的には限定されない。
【0036】
次に、図1に示されるデータ処理部20の構成と、携帯電話100におけるデータ処理の流れとについて、図3を用いて説明する。
【0037】
図3を参照して、データ処理部20がCPU1から制御信号を受取って動作することで、データ処理部20の機能には、分割・切出制御部21と、メモリ転送制御部22とが含まれる。
【0038】
分割・切出制御部21は、データ記憶部10に記憶されるデータを読出し、該データを表示部50に表示可能なサイズに基づいて分割する。または、該データから表示部50に表示可能なサイズのデータを切出す。そして、分割または切出されたデータを画面データとしてメモリ転送制御部22に渡す。
【0039】
センサ60は表示部50の近傍に配備されて、該表示部50において画面表示が行なわれているときの表示部50の右回りまたは左回りの所定の値以上の角加速度を検知すると、これをセンサ信号としてメモリ転送制御部22に対して出力する。このことで、表示部50の向いている角度の変化を検知する。
【0040】
メモリ転送制御部22は、センサ60からのセンサ信号、および必要に応じて図示されない逆スクロールスイッチ(SW)からのスイッチ信号に基づいて、分割・切出制御部21から渡された画面データのうち、右画面データを画面データメモリ30の右画面データメモリ31に、左画面データを左画面データメモリ32に展開する。
【0041】
表示制御部40は、表示部50を図2に示された構成となるように制御し、右画面データメモリ31に展開された右画面データを右画面表示領域511に、左画面データメモリ32に展開された左画面データを左画面表示領域512に表示させる。
【0042】
さらに、分割・切出制御部21におけるデータの分割および切出し処理について、図4および図5を用いて説明する。
【0043】
図4を参照して、データ記憶部10に記憶される表示対象のデータがメールデータなどのテキストデータである場合、分割・切出制御部21は、データ記憶部10からテキストデータを読出し、該テキストデータの本文の先頭から順に表示部50で表示可能なサイズごとに分割して、ページ1,ページ2,…ページNを切出す。この分割・切出方法は、表示対象のデータが、テキストデータのような、任意の位置で分割して個々のデータを順に切出して表示してもその内容が損なわれない性格、つまり配置が流動的なデータである場合に好適である。
【0044】
また、図5を参照して、データ記憶部10に記憶される表示対象のデータが写真やイラストなどの画像データを含むデータである場合、分割・切出制御部21は、データ記憶部10からデータを読出し、該データの先頭より順に表示部50の右画面および左画面の2面で表示可能なサイズ、つまり表示部50で表示可能なサイズの2倍分のデータを切出して画像1,画像2,…画像Nとし、さらに切出した各画像を右画面データ用の画像右データと左画面データ用の画像左データとに分割する。この分割・切出方法は、表示対象のデータが、画像データのように、任意の位置で分割した場合であっても、各データを隣合わせて配置しないとその内容が損なわれてしまう性格、つまり配置が固定的なデータである場合に好適である。
【0045】
次に、図6のフローチャートを用いて、本実施の形態にかかる携帯電話100での画面表示処理を説明する。図6のフローチャートに示される処理は、携帯電話100のCPU1が記憶部4のROMに記憶されるプログラムを読出してRAM上で実行し、図1に示される各部を制御して図3に示される各部を機能させることで実現される。
【0046】
図6を参照して、始めに、ステップS101で、データ処理部20において、データ記憶部10に記憶される表示対象のデータが読み出される。そして、ステップS103で分割・切出制御部21において該データの分割・切出処理が実行される。ステップS103での分割・切出処理については、図4および図5を用いて先に述べたとおりである。
【0047】
次に、ステップS105において、メモリ転送制御部22で、ステップS103の分割・切出処理で得られた右画面データおよび左画面データのうち表示する右画面データおよび左画面データが、各々右画面データメモリ31および左画面データメモリ32に展開される。ステップS105で画面データメモリに展開された各画面データは、ステップS107において、表示制御部40で、各々表示部50の右画面表示領域511および左画面表示領域512に表示される。
【0048】
ステップS109において、センサ60で表示部50の向いている角度の変化が検知され(S109でYES)、まだ表示部50に表示されていない画面データがある場合には(S111でYES)、処理がステップS105に戻り、ステップS105において、次に表示する右画面データおよび左画面データが各々右画面データメモリ31および左画面データメモリ32に展開され、ステップS107において各々表示部50の右画面表示領域511および左画面表示領域512に表示される。
【0049】
上述のステップS105〜S109は、ステップS103の分割・切出処理で得られたすべての画面データが表示部50に表示されるまで繰返され、すべての画面データが表示されたら(S111でNO)、画面表示処理を終了する。
【0050】
以上が、本実施の形態にかかる携帯電話100での画面表示処理である。
【0051】
上述の画面表示処理が実行されることで、携帯電話100では具体的に以下のような画面表示が行なわれる。
【0052】
図7および図8に、携帯電話100の表示部50と閲覧者の視線との関係によって定められる、携帯電話100の第1状態と第2状態とを示す。すなわち、具体的に、本実施の形態において、表示部50に対して閲覧者の視点を左側とし、閲覧者が表示部50を右に向けて該表示部50の左側から視認する向きに携帯電話100の表示部50を向かせた、図7に示される状態を第1状態とする。また、表示部50に対して閲覧者の視点を右側とし、閲覧者が表示部50を左に向けて該表示部50の右側から視認する向きに携帯電話100の表示部50を向かせた、図8に示される状態を第2状態とする。
【0053】
図7および図8に示されるように、本携帯電話100は表示部50において、左側に位置する閲覧者の方向に向かって第1の画面である左画面と、右側に位置する閲覧者の方向に向かって第2の画面である右画面とを同時に表示する。そのため、第1状態では閲覧者は第1の画面を視認し、第2状態で第2の画面を視認する。
【0054】
この第1状態と第2状態とは、該携帯電話100を保持した閲覧者の保持した手をひねる動作によって切替わり、センサ60は表示部50において画面表示が行なわれているときの表示部50の右回りまたは左回りの所定の値以上の角加速度を検知することで、その切替動作の発生を検知する。なお、本実施の形態においては、センサ60における角加速度の検知方法については限定されず、従来より一般的に用いられているセンシング技術を用いて実現すれば足りる。また、切替動作の発生の検知はセンサ60を用いて角加速度の変化を検出する方法に限定されず、その他の方法を用いてもよい。
【0055】
具体的には、たとえば、センサ60として上記の切替動作の方向についての角度を検知する角度センサを用いて表示部50において画面表示が行なわれているときの表示部50の角度変化を検知したり、角速度を検知する角速度センサを用いて表示部50において画面表示が行なわれているときの所定値以上の表示部50の角加速度を検知したりすることで、上記の切替動作の発生を検知してもよい。
【0056】
またたとえば、センサ60として携帯電話100の傾きを検出する水平気泡管などの傾きセンサを用いてもよい。閲覧者が携帯電話100の第1状態と第2状態とを切替える際、その水平に対する傾きが変化する場合が多い。そこで、センサ60は、表示部50において画面表示が行なわれているときに、その水平に対する傾きの変化を検知し、その傾きが所定値以上の傾きであることによって閲覧者の手のひねり動作を検出して、上記の切替動作の発生を検知してもよい。
【0057】
またたとえば、センサ60として携帯電話100の左右の端に備える圧力センサを用いてもよい。閲覧者が携帯電話100の第1状態から第2状態に状態を切替える際、図7に示される向きにおいて表示部50に対して右側に添えられた指の圧力の方が、左側に添えられた指の圧力よりも大きいので、その圧力差を検知することで、第1状態から第2状態に状態を切替える動作がなされたことを検出できる。また、逆も同様である。そこで、センサ60は、表示部50において画面表示が行なわれているときに、その左右の圧力センサで検知された圧力を検出し、その圧力の差が所定値以上であることによって閲覧者の手のひねり動作を検出して、上記の切替動作の発生を検知してもよい。
【0058】
図9および図10を用いて、第1状態および第2状態における表示画面と、第1状態と第2状態との切替動作による表示の変化との、第1の具体例と第2の具体例とを説明する。なお、本具体例においては、初期状態を第1状態として、順次第1状態と第2状態とを繰返すものとする。また、表示するデータは、第1具体例においては、図4を用いて説明されたテキストデータのような配置が流動的なデータであるものとし、第2の具体例においては、図5を用いて説明された画像データのような配置が固定的なデータであるものとする。
【0059】
図9を参照して、第1の具体例において、データ記憶部10にあるデータを表示部50に表示する初期状態では、左画面データメモリ32および右画面データメモリ31に、各々ページ1およびページ2の画面データが展開されて、表示部50の左画面表示領域512にページ1が左向きに、右画面表示領域511にページ2が右向きに表示されている。そして、初期状態である第1状態では、閲覧者は、左画面表示領域512に表示されているページ1を該表示部50に対して左側から閲覧している。なお、図9において、その状態で閲覧者が閲覧している画面の画面データが太線で示されている。
【0060】
次に、初期状態において切替動作が検知されて第2状態に移行すると、メモリ転送制御部22は、左画面データメモリ32に次の画面データであるページ3の画面データを転送する。その結果、表示制御部40は、左画面表示領域512にページ3を左向きに、右画面表示領域511にページ2を右向きに表示させる。そして、閲覧者は、右画面表示領域511に表示されているページ2を該表示部50に対して右側から閲覧している。
【0061】
次に、第2状態において切替動作が検知されて第1状態に移行すると、メモリ転送制御部22は、右画面データメモリ31に次の画面データであるページ4の画面データを転送する。その結果、表示制御部40は、左画面表示領域512にページ3を左向きに、右画面表示領域511にページ4を右向きに表示させる。そして、閲覧者は、左画面表示領域512に表示されているページ3を該表示部50に対して左側から閲覧している。
【0062】
以降、順次上述の処理が繰返されて、第1の具体例にかかる携帯電話100では、閲覧者の切替動作に応じて順次右画面データメモリ31および左画面データメモリ32が書換えられ、切替動作ごとに順次表示部50における表示が切替わる。このようにすることで、閲覧者は、あたかも本のページを繰るような自然な動作でデータをスクロールして1つの画面で多くの情報を得ることができる。また、携帯電話100は、小型化を実現しつつその表示部50に多くの情報を提示することが可能になる。
【0063】
次に、図10を参照して、第2の具体例において、データ記憶部10にあるデータを表示部50に表示する初期状態は図9に示された場合と同様であり、ここでは説明を繰返さない。
【0064】
また、初期状態において切替動作が検知されて第2状態に移行した場合でも、第2の具体例では、メモリ転送制御部22は画面データメモリ30の書換えを行なわず、初期状態である第1の状態と同様のメモリ状態を保つ。そして、閲覧者は、右画面表示領域511に表示されている画像1の右側の画面を該表示部50に対して右側から閲覧している。
【0065】
次に、第2状態において切替動作が検知されて第1状態に移行すると、メモリ転送制御部22は、左画面データメモリ32および右画面データメモリ31に次の画面データである画像2左データおよび画像2右データを転送する。その結果、表示制御部40は、左画面表示領域512に画像2の左側画面を左向きに、右画面表示領域511に画像2の右側画面を右向きに表示させる。そして、閲覧者は、左画面表示領域512に表示されている画像2の左側画面を該表示部50に対して左側から閲覧している。
【0066】
同様に、第1状態において切替動作が検知されて第2状態に移行した場合でも、第2の具体例では、メモリ転送制御部22は画面データメモリ30の書換えを行なわず、第1の状態と同様のメモリ状態を保つ。そして、閲覧者は、右画面表示領域511に表示されている画像2の右側画面を該表示部50に対して右側から閲覧している。また、携帯電話100は、小型化を実現しつつその表示部50に多くの情報を提示することが可能になる。
【0067】
以降、順次上述の処理が繰返されて、第2の具体例にかかる携帯電話100では、閲覧者の第2状態から第1状態への切替動作に応じて順次右画面データメモリ31および左画面データメモリ32が書換えられ、該切替動作ごとに順次表示部50における表示が切替わる。このようにすることで、閲覧者は、絵画を傾けながら見渡すような自然な動作でデータをスクロールして1つの画面で多くの情報を得ることができる。
【0068】
なお、ここで、図3を用いて説明された逆スクロールスイッチを用いた切替動作について説明する。上述のように、図7および図8に示される第1状態および第2状態の切替動作は、該携帯電話100を保持した閲覧者が保持した手をひねる動作で行なわれるものであるが、次のデータを閲覧するのではなく、その直前に閲覧した画面を再度表示させたい、いわゆる逆スクロールを行なう際には、逆スクロールスイッチを押下しながら手をひねる動作を行なう。そのため、逆スクロールスイッチは、図7および図8に示されるような状態で閲覧者が携帯電話100を保持して表示部50を閲覧しているときに、そのままの保持状態で押下可能な位置および形状であることが好ましい。また、逆スクロールが実現されるために、画面データメモリ30には、図1には図示されないキャッシュ33が含まれ、直前に表示された画面データがキャッシュ33に保持される。
【0069】
メモリ転送制御部22は、切替動作の発生を示すセンサ60からのセンサ信号と共に逆スクロールスイッチからのスイッチ信号を受取ると、キャッシュ33に保持される画面データを表示させる領域に対応したデータメモリに展開する。
【0070】
図11を用いて、逆スクロール可能な場合の、第1状態および第2状態における表示画面と、第1状態と第2状態との切替動作による表示の変化との具体例を説明する。なお、本具体例においては、表示するデータは、第1具体例においては、図4を用いて説明されたテキストデータのような配置が流動的なデータであるものとして説明するが、図5を用いて説明された画像データのような配置が固定的なデータであるものであっても同様であるため、後者の説明は繰返さない。
【0071】
図11を参照して、本具体例において、データ記憶部10にあるデータを表示部50に表示する初期状態は図9に示された場合と同様であり、ここでは説明を繰返さない。
【0072】
次に、初期状態において切替動作が検知されて第2状態に移行すると、メモリ転送制御部22は、左画面データメモリ32に次の画面データであるページ3の画面データを転送する。さらに、直前に左画面データメモリ32に展開されていたページ1の画面データをキャッシュ33に移動させる。その結果、表示制御部40は、左画面表示領域512にページ3を左向きに、右画面表示領域511にページ2を右向きに表示させる。そして、閲覧者は、右画面表示領域511に表示されているページ2を該表示部50に対して右側から閲覧している。
【0073】
次に、第2状態において切替動作が検知されて第1状態に移行すると、メモリ転送制御部22は、右画面データメモリ31に次の画面データであるページ4の画面データを転送する。さらに、直前に右画面データメモリ31に展開されていたページ2の画面データをキャッシュ33に移動させる。その結果、表示制御部40は、左画面表示領域512にページ3を左向きに、右画面表示領域511にページ4を右向きに表示させる。そして、閲覧者は、左画面表示領域512に表示されているページ3を該表示部50に対して左側から閲覧している。
【0074】
ここで、第1状態において逆スクロールスイッチが押下された切替動作、つまり逆スクロール動作が検知されると、メモリ転送制御部22は、キャッシュ33に保持されてたページ2の画面データを右画面データメモリ31に移動させ、展開されていたページ4の画面データをページ2の画面データに書換える。その結果、表示制御部40は、右画面表示領域511にページ2を再度右向きに表示させる。そして、閲覧者は、左画面表示領域512に表示されているページ3を該表示部50に対して左側から閲覧した後に、右画面表示領域511に表示されたページ2を該表示部50に対して右側から閲覧する。
【0075】
このような処理がなされて、本具体例にかかる携帯電話100では、直前に表示した画面データをキャッシュに順次保持して、逆スクロールスイッチが押下された切替動作、逆スクロール動作に応じて、直前に表示された画面を再度表示する。このようにすることで、閲覧者は、あたかも本のページを戻して前のページを見るような自然な動作でデータを逆スクロールして以前に表示された情報を再度得ることができる。
【0076】
なお、本具体例においては、キャッシュ33に1つ直前に表示された画面データのみを保持する例が示されたが、言うまでもなく設計段階において画面データメモリ30に複数のキャッシュを用意することで任意の範囲まで以前にさかのぼって表示された画面データを保持することができ、上記逆スクロール動作を繰返すことで、同様の処理を行なって順次以前の画面データを表示させることができる。
【0077】
本実施の形態にかかる携帯電話100では、液晶の視野角内のすべての方向に対して同一の画面を表示する通常の表示形態であるいわゆるシングルビュー表示形態と、上述のデュアルビュー表示形態とを切替えて実行する。その表示形態の切替えは、閲覧者の指示によって行なわれてもよいし、表示するデータの種類やサイズなどの属性に応じて自動的に行なわれてもよいし、データを表示するアプリケーションに応じて自動的に行なわれてもよい。たとえば、サイズの大きなメールを表示する際にはシングルビュー表示形態から自動的にデュアルビュー表示形態に切替わってもよいし、メールアプリケーション実行時には自動的にシングルビュー表示形態からデュアルビュー表示形態に切替わってもよい。
【0078】
なお、携帯電話100で上述のデュアルビュー表示が行なわれている場合には、正面から表示が見難い場合がある。たとえば、上述のようにシングルビュー表示形態からデュアルビュー表示形態へ自動的に切替わった場合など、閲覧者がその切替に気付かなかったときには、その表示が見難い場合がある。そこで、閲覧者に「デュアルビュー表示実行中」などの現在の表示形態を報知するために、図12に示されるように、携帯電話100においてデュアルビュー表示実行中に、該デュアルビュー表示内にシングルビュー表示領域を設けて、その領域に現在の表示形態を報知するアイコンやテキストデータを表示することが好ましい。
【0079】
この場合、図13に示されるように、表示制御部40は、データ表示部51に、デュアルビュー表示用の右画面表示領域511および左画面表示領域512に加えて、シングルビュー表示用の表示領域である領域513を構成するよう制御する。スリット板52には、表示制御部40により、データ表示部51の領域511,512に該当する領域に、閉口部521と開口部522とを図13に示されるように交互に構成できるように、透明電極(図示せず)が配置されている。さらに、スリット板52は、データ表示部51の領域513に該当する領域全体については、常に開口状態となって開口部523が構成されるように、上記透明電極が設けられていない構造となっている。
【0080】
また、同様の構成で、表示部50に、立体物を左右各々から見た画像を表わす一組の画面を同時にデュアルビュー表示する場合にも、全方向から視認される画面をシングルビュー表示してもよい。たとえば、立体物の画像を表わす画面がデュアルビュー表示され、同時に、該立体物を説明する説明文を表示する画面がシングルビュー表示されてもよい。
【0081】
このように、表示部50に、デュアルビュー表示される一組の画面と共に全方向から視認される画面をシングルビュー表示することで、シングルビュー表示される画面の解像度をデュアルビュー表示される画面の解像度の2倍にすることができ、より細かい文字を表示することが可能になる。また、各方向に表示される画面において表わされるよりも、より高解像度で見やすく表示することが可能になる。そのため、説明文などの文字を表示するのに好適である。また、細部を高解像度で表示することが可能であるため、シングルビュー表示される内容は、説明文の他、一組の画面のうちの一部を表示するようにしてもよい。
【0082】
さらに、以降に説明するような、携帯電話100において、表示部50に右目画面用データと左目画面用データとを同時に表示して立体(3D)表示を行なうときであっても、図16に示されるように、同様に、左右の目に共通の画面として立体表示されない共通画面が表示されてもよい。この場合の表示部50の構成、および表示部50の制御については、上に図13を用いて説明された構成および制御と同様であり、3D表示の実現については、後に説明する。
【0083】
このように、表示部50に、右目画面用データおよび左目画面用データと共に左右の目に共通の画面を表示することで、共通画面の解像度を高解像度にすることができ、より細かい文字を表示することが可能になる。また、両眼視可能に表示されるため、人によっては視認しやすい。そのため、説明文などの文字を表示するのに好適である。
【0084】
また、携帯電話100において、上記のデュアルビュー表示と、閲覧者の右目で視認される画像と左目から視認される画像との視差を利用した立体(3D)表示とを切替えて行なってもよい。
【0085】
図14は、携帯電話100において3D表示を行なう際の表示部50の制御を説明する図である。図14を参照して、3D表示を行なう際、表示制御部40に制御されることによって、表示部50のデータ表示部51には、右目から視認される画像を表わす画面のデータである右目画面データを表示する右目画面表示領域514と、左目から視認される画像を表わす画面のデータである左目画面データを表示する左目画面表示領域515とが構成される。
【0086】
スリット板52には、表示制御部40の制御により閉口部521と開口部522とが構成されるように透明電極(図示せず)が配置されている。そのため、開口部522を介して右目画面表示領域514に表示される右目画面データは閲覧者の右目に到達し、開口部522を介して左目画面表示領域515に表示される左目画面データは閲覧者の左目に到達する。このことによって、閲覧者は、表示部50に表示される画面を立体視することができる。
【0087】
さらに、この場合には、携帯電話100の表示画面データメモリ30に、図示されない右目画面用メモリと左目画面用メモリとが含まれ、3D表示が実行される際に、上記の右目画面データと左目画面データとが展開される。そして、表示制御部40が表示部50のデータ表示部51とスリット板52とを、図2に示す構成と図9に示す構成とするように切替えて表示部50を制御することで、上記デュアルビュー表示と3D表示とが切替えて実現される。
【0088】
なお、上述の実施の形態において携帯電話100は、デュアルビュー表示として左方向に第1の画面の表示と、右方向に第2の画面の表示とを行なうものとしたが、第1画面および第2画面の表示の向きは左方向と右方向に限定されず、たとえば、正面方向(または略正面方向)と左右両方向との2種類の方向であってもよい。
【0089】
具体的に、図15に表示部50の構成の他の具体例を示す。図15を参照して、この場合、表示部50のデータ表示部51には、右画面表示領域511に替えて左右画面表示領域516と、左画面表示領域512に替えて正面画面表示領域517とが交互に並んで構成される。スリット板52には、同様に閉口部521と開口部522とが構成され、この場合、正面画面表示領域517に表示される正面画面は、開口部522を介して該表示部50の正面(または略正面)に位置する閲覧者に向かう方向に表示され、表示部50の正面に位置する閲覧者から視認される。また、左右画面表示領域516に表示される左右画面は、開口部522を介して該表示部50に対して左側および右側のいずれのにも位置する閲覧者に向かう方向に表示され、表示部50に対して左側および右側のいずれに位置する閲覧者からも視認される。
【0090】
携帯電話100をこのような構成とすることでも、上述と同様の処理を実行することで、閲覧者はスクロールキーによる操作を行なうことなく第1の画面と第2の画面とを切替えて閲覧可能であって、多くの情報を得ることができる。また、携帯電話100は、小型化を実現しつつその表示部50に多くの情報を提示することが可能になる。
【0091】
本携帯電話100でこのような表示がなされることで、次のような使い方を行なうことができる。
【0092】
たとえば、長いメールを閲覧する際に、その1ページ目を左方向に表示させ、2ページ目を右方向に表示させ、順次表示を入替えていくことで、スクロールキーでの操作を行なう必要なく、本をめくるように順にメールを閲覧できる。
【0093】
またたとえば、受信メールに対する返信メールを作成する際に、左方向に返信メール作成画面を表示させ、右方向に受信メールを表示させることもできる。これは、データ処理部20が、受信メールと返信メール作成画面データとを各々処理して、各々の画面データを右画面データメモリ31および左画面データメモリ32に展開することで実現される。このようにすることで、受信メールを見ながら返信メールを作成することができて便利である。
【0094】
またたとえば、日本語画面を左方向に表示させ、英語画面を右方向に表示させてバイリンガル表示を行なうこともできる。これも、データ処理部20が、日本語画面データと英語画面データとを各々処理して、各々の画面データを右画面データメモリ31および左画面データメモリ32に展開することで実現される。このようにすることで、たとえば語学学習などにも有効に用いられる。さらにこのとき、携帯電話100が翻訳機能も備える場合、予め英語(または日本語)画面データを記憶しておく必要がなく、左方向に日本語表示中に上述の切替動作がなされたことを検知すると、該翻訳機能で、現在左方向に表示中の画面の英訳を実行して英語画面データを生成し、該データを右方向に表示させることもできる。もちろん、その逆も同様である。このようにすることで、さらに語学学習などにその機能を発揮し得る。
【0095】
なお、上述の実施の形態において、携帯電話100は、右方向と左方向との2方向にデュアルビュー表示を行なうよう構成されるものとしたが、表示方向は2方向に限定されず、2以上のN方向に表示する、いわゆるマルチビュー表示を行なうよう構成されてもよい。すなわち、画面データメモリ30は、2以上のN個の画面データメモリを含んで構成されて、データ処理部20は、分割・切出処理を実行して生成した画面データを各々の画面データメモリに展開するよう構成されていてもよい。
【0096】
また、上述の実施の形態においては、携帯電話100の表示部50が横方向の複数の方向に対して表示を行なう場合を説明したが、上述の方向は横方向に限定されず、たとえば、上述の説明をまったく90度言い換えて、該方向を縦方向としてもよいし、その他の方向としてもよい。
【0097】
また、上述の実施の形態においては、携帯電話100は、デュアルビュー表示形態において表示部50の向いている角度の変化の変化による切替動作で表示される画面を切替えるものとしたが、いうまでもなく、この画面の切替方法は、シングルビュー表示形態において適用されてもよい。すなわち、携帯電話100は、表示部50に第1の画面を表示している状態において上記の切替動作が検出されると、表示部50の表示を第2の画面に切替える処理を行なってもよい。
【0098】
さらに、上述の携帯電話100において実行される表示方法を、プログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)、ROM、RAM、およびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0099】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0100】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明にかかる携帯型表示装置は、同時に、異なる方向に対して各々異なる画面を表示可能として、1度に多くの情報を表示可能な携帯型表示装置において有利に利用され得るものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示対象データに基づいて第1の画面と第2の画面とを生成する画面生成部(21)と、
同一の表示画面に対する複数の視点にそれぞれ対応する複数の表示方向に互いに異なる画面を同時に表示する表示部(50)とを備え、
前記表示部(50)は、前記第1の画面と前記第2の画面とを、各々、前記複数の表示方向のうちの少なくとも2つの異なる表示方向に同時に表示する、携帯型表示装置。
【請求項2】
前記画面生成部(21)は、前記表示対象データから前記表示部(50)で表示可能なサイズに基づいて所定サイズのデータを切出して前記第1の画面を生成し、前記第1の画面に隣接したデータを切出して前記第2の画面を生成する、請求の範囲第1項に記載の携帯型表示装置。
【請求項3】
前記画面生成部(21)は、前記表示対象データから前記表示部(50)で表示可能なサイズの前記各方向分のサイズに基づいて所定のサイズのデータを切出して、前記切出したデータを分割して前記第1の画面と前記第2の画面とを生成する、請求の範囲第1項に記載の携帯型表示装置。
【請求項4】
前記画面生成部(21)は、前記表示対象データから前記表示部(50)で表示可能なサイズに基づいて所定サイズのデータを切出して前記第1の画面を生成し、前記第1の画面に対応する画面を前記第2の画面として生成する、請求の範囲第1項に記載の携帯型表示装置。
【請求項5】
前記表示部(50)に前記表示対象データの画面が表示されているときに、表示切替動作を検出する検出部(60)と、
前記検出された表示切替動作に応じて、前記異なる方向に同時に表示されている画面の少なくとも1つの画面を切替える画面切替部(22)とをさらに備える、請求の範囲第1項に記載の携帯型表示装置。
【請求項6】
前記検出部(60)は、前記表示部(50)において前記表示対象データの画面が表示されているときの前記表示部(50)の角度変化を検知することで前記表示切替動作を検出する、請求の範囲第5項に記載の携帯型表示装置。
【請求項7】
前記表示部(50)は、前記第1の画面と前記第2の画面とを各々前記異なる方向に表示すると共に、前記第1の画面および前記第2の画面と同時に第3の画面をいずれの方向にも表示する、請求の範囲第1項に記載の携帯型表示装置。
【請求項8】
前記表示部(50)は、前記第3の画面に、前記表示部(50)における現在の表示形態を報知する内容を表示する、請求の範囲第7項に記載の携帯型表示装置。
【請求項9】
前記表示部(50)は、前記第1の画面を前記表示部(50)から略正面に向かう方向に表示する、請求の範囲第1項に記載の携帯型表示装置。
【請求項10】
前記表示部(50)における表示形態を、前記第1の画面と前記第2の画面とを各々前記異なる方向に表示するマルチビュー形態と、1つの画面を表示領域内のすべてにいずれの方向にも表示するシングルビュー形態とに切替える第1の表示形態切替部(40)をさらに備える、請求の範囲第1項に記載の携帯型表示装置。
【請求項11】
前記第1の表示形態切替部(40)は、前記表示対象データの属性と、前記表示対象データを表示するためのアプリケーションとのいずれかに応じて、前記表示部(50)における表示形態を切替える、請求の範囲第10項に記載の携帯型表示装置。
【請求項12】
前記表示部(50)における表示形態を、前記第1の画面と前記第2の画面とを各々前記異なる方向に表示するマルチビュー形態と、立体表示形態とに切替える第2の表示形態切替部(40)をさらに備える、請求の範囲第1項に記載の携帯型表示装置。
【請求項13】
表示対象データの画面を表示する表示部(50)と、
前記表示部(50)に前記表示対象データの画面が表示されているときに、表示切替動作を検出する検出部(60)と、
前記検出された表示切替動作に応じて、前記表示部(50)に表示されている画面を切替える画面切替部(22)とを備える、携帯型表示装置。
【請求項14】
前記検出部(60)は、前記表示部(50)において前記表示対象データの画面が表示されているときの前記表示部(50)の角度変化を検知することで前記表示切替動作を検出する、請求の範囲第13項に記載の携帯型表示装置。
【請求項15】
異なる複数の表示方向に、互いに異なる画面データを同時に表示する表示部(50)を備え、
前記表示部(50)は、第1の表示領域に、第1の画面データと第2の画面データとを、各々、前記複数の表示方向のうちの少なくとも2つの異なる表示方向で同時に表示すると共に、前記第1の表示領域とは異なる第2の表示領域に、1つの画面データをいずれの方向からも視認可能に表示する、携帯型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【国際公開番号】WO2005/027089
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【発行日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513885(P2005−513885)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013100
【国際出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】