説明

携帯型GPS対応装置を自動車内で接続および動作させるためのシステムおよび方法

GPS対応移動電話機など別個のモバイル装置のナビゲーションシステムを利用することによりナビゲーション情報をユーザに提供するように動作可能である電子装置。電子装置は、モバイル装置と電子装置との間でナビゲーションデータを通信するための通信インタフェースを含む。電子装置はまた、モバイル装置から受信したナビゲーションデータを表示するためのディスプレイも含む。電子装置のディスプレイは、モバイル装置のディスプレイよりも大型とすることができる。よって、自動車の運転者は電子装置を使用して、より望ましい形で閲覧を行うことができる。さらに電子装置は、ユーザがモバイル装置のナビゲーション機能にアクセスし、かつ制御可能とするタッチスクリーンなどのユーザインタフェースを含み得る。電子装置はまた、他の携帯型電子装置と通信するように動作可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、携帯型GPS対応装置を自動車内で接続および動作させるためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーションシステムが自動車においてますます普及し、運転者による目的地の特定を支援するようになってきた。ナビゲーションシステムは一般に、全地球測位システム(GPS)衛星によって提供され、GPS受信機によって受信される位置データを分析することによって動作する。ナビゲーションシステムはまた、モーションセンサやデジタル地図など、他の情報源からの位置データまたは動きデータを分析して、車両の位置と速度とを判断することもある。
【0003】
ナビゲーションシステムは、自動車の運転者が閲覧する詳細なデジタル地図を表示するのが典型的である。この地図は、車両の所在場所に加え、通り、建物、川、レストラン、ガソリンスタンド、または他の対象地点などの特徴も含み得る。地図データは、ソリッド・ステート・メモリ(ROMまたはフラッシュメモリなど)、光学メディア(CDまたはDVDなど)、磁気メディア(ハード・ディスク・ドライブなど)などに記憶される。1つの方式は、運転者が興味を抱いている特定地域の詳細情報を増やしていくことのできるベースマップをROMに恒久的に記憶しておくことである。地図データは一般に、有線接続(USBなど)、無線接続(Bluetooth(R)およびWi−Fi(R)など)、およびカードリーダを含むがそれらに限定されない数種類のコンピュータ接続を使用して、更新されたデータに受信機を連結することによって更新され得る。
【0004】
ナビゲーションシステムはさらに、目的地までの経路と、その目的地に到達するのに必要な運転操作(転回や合流など)とを表示し得る。車両が位置を変えるにつれて、地図上の車両位置マーカーが変わり、更新された車両の位置を反映し得る。あるいは、デジタル地図がスクロールされ、車両位置マーカーはディスプレイの中心など所定の位置に固定されている場合もある。さらに、ナビゲーションシステムは、目的地に対する方向を運転者が判断するために道路から目をそらす必要がないように、音声指示(「1マイル先の大通りで左折する」など)を提供するための音声出力も含み得る。
【0005】
これまで、車載ナビゲーションシステムに対しては3つの手法が最も広く用いられてきた。第1の手法は、自動車にあらかじめ搭載されている車載ナビゲーションシステムである。これらのシステムは通常、自動車のダッシュボードに組み込まれる大型ディスプレイを含む。これらの内蔵型システムは、ナビゲーションシステムの性能をさらに高めるために、自動車のシステム(音声システムやスピードメータなど)に接続され得る。これらのシステムは概して非常に高価であることから、アフターマーケットで車に追加することは困難な場合がある。
【0006】
第2の手法は、あらかじめ装備された車載ナビゲーションシステムを有しないユーザに販売され得る携帯型ナビゲーション装置(PND)である。携帯型ナビゲーション装置は一般に、GPS受信機、デジタル地図、ディスプレイ、音声出力、およびユーザインタフェース(タッチスクリーンなど)を含む。PNDは、アフターマーケットでの車載アプリケーションとして人気のソリューションになっている。しかし、GPSハードウェア、独自の地図データ、および他の高価な特徴を含むことから、これらの携帯型ナビゲーション装置も高価な場合がある。
【0007】
第3かつ最新の手法は、内蔵GPS受信機を備えた移動電話機である。GPS対応移動電話機は、人気が上昇している。GPS対応移動電話機における特に魅力的な面は、GPSおよびナビゲーション機能を比較的低価格でユーザに追加提供することである。サイズがコンパクトなため、PNDと比較してもさらに可搬性が高い。ただし、ほとんどの移動電話機のディスプレイサイズは約2〜3インチであり、運転者が自動車を運転しながら閲覧および操作するには不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような背景から、携帯型GPS対応装置を車内で接続および動作させるためのシステムおよび方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下の実施形態およびその態様を、例示的かつ例証的であって、範囲を制限しないことを意図したシステム、ツール、および方法と共に説明する。各種実施形態において、上記課題の1つ以上が軽減または解消されている一方で、他の改良を目的とした実施形態もある。
【0010】
第1の態様によれば、別個のGPS対応移動装置のナビゲーションシステムを利用することによってナビゲーション情報をユーザに提供するように動作可能な電子装置が提供される。この電子装置は、GPS対応移動装置と電子装置との間でナビゲーション情報を通信するための通信インタフェースを含む。この電子装置はまた、ナビゲーション情報を表示するためのディスプレイと、電子装置を使用してGPS対応移動装置のナビゲーション機能をユーザが選択的に制御することを可能にするユーザインタフェースとも含む。
【0011】
第2の態様によれば、ナビゲーション情報を電子装置のユーザに提供する方法が提供される。この方法は、ユーザインタフェースを通じて電子装置のユーザからの入力情報を受信することを含み、受信した入力情報はナビゲーション情報をリクエストする。この方法は、通信インタフェースを通じて受信した入力情報をGPS対応移動装置に送信することと、電子装置に搭載されたGPS対応移動装置から通信インタフェースを通じてナビゲーション情報を受信することとをさらに含む。加えてこの方法は、受信したナビゲーション情報を電子装置のディスプレイに表示することも含む。
【0012】
第3の態様によれば、オーディオ・ビジュアル(A/V)・データをモバイル装置のユーザに提供するように動作可能な電子装置が提供される。この電子装置は、モバイル装置と電子装置との間でA/Vデータを通信するための通信インタフェースを含む。この電子装置はさらに、A/Vデータを表示するためのディスプレイと、電子装置を使用してモバイル装置の1つ以上の機能をユーザが選択的に制御することを可能にするユーザインタフェースとを含む。
【0013】
図面を参照することと、以下の説明を参照することとにより、上記の例示的な態様と実施形態とに加え、さらなる態様および実施形態も明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】移動電話機経由のナビゲーション(NVMP)装置の例示的実施形態を表す。
【図2】図1に示すNVMP装置のハードウェアブロック図を表す。
【図3A】NVMP装置の一実施形態にかかるソフトウェアアプリケーション層のブロック図を表す。
【図3B】NVMP装置と通信するように動作可能である移動電話機のソフトウェアアプリケーション層のブロック図を表す。
【図4】NVMP装置の別の例示的実施形態を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明には各種の変形および代替形態が存在するが、本発明の具体的な実施形態が図面の中で具体例として示されており、本明細書内において詳細に説明されている。ただし、開示された特定の形態に本発明を制限することは意図しておらず、むしろ本発明は、請求の範囲によって定義される本発明の目的および思想の範囲内に該当するすべての変形物、均等物、および代替物を網羅するということを理解すべきである。
【0016】
図1を参照すると、移動電話機経由のナビゲーション(NVMP)装置100の例示的実施形態が示されている。NVMP装置100は、自動車104内に着脱可能または固定して取り付けられる。例えば、NVMP装置100は、吸着盤を介して自動車104のフロントガラスに装着可能である。あるいは、NVMP装置100は携帯可能である。動作時、NVMP装置100は、移動電話機102などのGPS対応移動装置に連結可能であり、それにより、移動電話機102によって提供されるGPSナビゲーション機能をNVMP装置100のディスプレイで閲覧することができる。すなわち、NVMP装置100は、大型ディスプレイと、優れた音声機能と、これまで以上にユーザに利便性の高い操作コントロール(タッチパネルなど)を提供することにより、自動車環境における移動電話機102のナビゲーション機能の使用性を改善するべく使用される。理解されるとおり、ナビゲーションシステムに関連付けられたハードウェアおよびソフトウェア(GPS受信機や独自の地図データなど)が、NVMP装置100自体の内部ではなく移動電話機に存在するため、NVMP装置100の価格は比較的安価となり得る。NVMP装置100の具体的な機能性を以下に詳細に説明する。
【0017】
NVMP装置100は、通信リンク106を使用して移動電話機102に連結可能である。通信リンク106は、有線インタフェース(USBなど)、無線インタフェース(Bluetooth(R)、Wi−Fi(R)、Wi−MAX(TM)、高速パケット・ダウンリンク・アクセス(HSPDA)、3Gネットワークなど)、またはそれらの組み合わせを含み得る。さらに、通信リンク106は、NVMP装置100と移動電話機102との間で、命令、映像データ、音声データを送受信するために使用され得る。例えば、移動電話機102の音声および映像出力がNVMP装置100で複製されることにより、自動車104の運転者は、移動電話機102の小型ディスプレイではなくNVMP装置100の大型ディスプレイで閲覧できるようになる。
【0018】
1つ以上の実施形態で、NVMP装置100は移動電話機102の存在を自動的に検出するように構成される。例えば、NVMP装置100は、移動電話機102から送信される信号を検出し、移動電話機102に関する具体的な情報(ブランド、オペレーティングシステム、サポートされている通信インタフェースなど)を判断し、移動電話機102の構成に従って、移動電話機102との通信リンクを確立することができる。
【0019】
音声機能(進路変更の音声指示など)を提供するために、NVMP装置100は、通信リンク108を介して、自動車104の音声システム110に連結される。一実施形態では、通信リンク108は、NVMP装置100から音声システム110のFMチューナに音声信号を送信するのに使用可能なFMトランスミッタを含む。別の実施形態では、通信リンク108は、有線ケーブル(音声システム110の補助入力に差し込み可能な3.5mmケーブルなど)を含み得る。またその他任意の適切な通信リンクを用いることができる。加えて/あるいは、NVMP装置100は、音声機能を提供するのに使用可能なスピーカを含み得る。さらに、NVMP装置100は、移動電話機102から音声信号を受信するとともに、音声出力の機能を使用して運転者に音声信号を提供するように動作可能である。
【0020】
NVMP装置100は、移動電話機102との間で命令を送受信するようにも構成される。かかる命令は、ナビゲーション制御(目的地の入力および修正や対象地点の検索など)や、音声あるいは映像制御や、または他の命令を含み得る。運転者が移動電話機102のナビゲーションシステムを操作できるように、NVMP装置100はユーザインタフェースを含む。一実施形態では、ユーザインタフェースはタッチスクリーンを含む。加えて/あるいは、NVMP装置100のユーザインタフェースは、1つ以上のボタン、スクロールホイール、または他の制御メカニズムを含み得る。また、ユーザインタフェースは、運転者からの音声コマンドを受信するためのマイクロフォンを含むものでもよく、この場合、運転者は自動車104を運転しながら、ナビゲーションシステムを「ハンズフリー」で操作することができる。ハンズフリー機能では、NVMP装置100と移動電話機102とを使用して通話を発信および受信することが可能となるため、運転者は移動電話機102と連結されているNVMP装置100を使用して通話音声データを受信したり、NVMP装置100に連結されたマイクロフォンを使用して移動電話機102を直接使用することなく通話に応答したりすることができる。NVMP装置100を使用するには、ユーザはまず、NVMP装置100と接続可能な位置に移動電話機102を持ち込む。例えば通信リンク106が無線リンクであれば、移動電話機102は自動車104内の任意の場所であってよい。通信リンク106がUSBリンクであれば、ユーザはUSBケーブルを使用して移動電話機102をNVMP装置100に接続すればよい。その後、NVMP装置100に関連付けられたソフトウェアと移動電話機102とが、自動または手動で相互通信する。通信が確立されると、運転者は、NVMP装置100のユーザインタフェースを操作して、移動電話機102のナビゲーションシステムまたは他の特徴を制御することができる。
【0021】
移動電話機102は、通信リンク112,116を通じて、音声/データネットワーク114とGPS衛星118とにそれぞれ接続可能である。当業者であれば、GPSおよびデータ対応移動電話機の接続性を容易に認識し得る。
【0022】
NVMP装置100は、移動電話機102の他の機能と併用することもできる。例えば移動電話機102がインターネットにアクセスするように動作可能である場合、NVMP装置100は、各種ウェブページを表示およびナビゲートするのに使用される。加えて、NVMP装置100は、通話を発信したり、テキストメッセージを送信したりするのにも使用することができる。つまり、NVMP装置100は、移動電話機102の任意の機能を実行する目的で使用可能であることが理解される。上記した実施例では、ディスプレイが大きい、ユーザが操作し易いなどの理由で、移動電話機102よりもNVMP装置100の方が好適である。
【0023】
図2は、図1に示すNVMP装置100の例示的なハードウェアのブロック図を表す。NVMP装置100は、他の構成要素を介して、ソフトウェア命令を記憶および実行し、他の同様の機能を実行するように動作可能であるマイクロプロセッサ150を含む。例えば、マイクロプロセッサ150は、フリースケール・セミコンダクタ社が提供しているMX21シリーズのマイクロプロセッサ、またはサムソン社のS3C2443マイクロプロセッサを含み得る。
【0024】
図1に示す移動電話機102などのGPS対応移動電話機と通信するために、NVMP装置100は、Bluetooth(R)チップ174を含み得る。適切なBluetooth(R)チップの一例として、Bluetooth(R)チップセットサプライヤであるケンブリッジ・シリコン・ラジオ(CSR)社のBC04_Bluetooth(R)モジュールがある。ただし、他の適切なBluetooth(R)チップも使用できる。BC04_Bluetooth(R)モジュールは、データおよび音声通信に完全準拠したBluetooth(R)システムを提供する。BC04_Bluetooth(R)モジュールは、USBまたはUARTを介してマイクロプロセッサ150を仲介するように動作可能であって、2Mbpsおよび3Mbpsの変調モードに準拠したエンハンスト・データ・レート(EDR)である。BC04は、音声インタフェースをサポートするPCMプロトコルも提供する。さらに、モジュールおよび装置のファームウェアは、最新のBluetooth(R)仕様(v2.0やv3.0など)に完全に準拠している。動作時、ユーザは、Bluetooth(R)インタフェースを使用して、NVMP装置100に連結されている移動電話機で通話を受信可能である。NVMP装置100は、着信が存在することを(音声または映像インジケータなどによって)ユーザに知らせ、ユーザが電話に出て、相手と会話することを可能とする。理解し得るとおり、Bluetooth(R)インタフェースは、ユーザがNVMP装置100を使用して移動電話機に通話を発信することも可能にする。
【0025】
他のBluetooth(R)プロトコルまたはプロファイルも利用可能であることが理解される。例えば、アドバンスト・オーディオ・ディストリビューション・プロトコル(A2DP)は、Bluetooth(R)チップ174にモノラルまたはスレテオ音声の転送を提供し、NVMP装置100と移動電話機102との間で音声を転送するのに使用可能である。加えて、シリアル・ポート・プロファイル(SPP)、オーディオ/ビデオ・リモート・コントロール・プロファイル(AVRCP)を含む他のプロトコルも使用可能である。
【0026】
移動電話機から受信した映像データを表示するために、NVMP装置100は液晶ディスプレイ(LCD)156も含む。一般にLCD156は、典型的な移動電話機のディスプレイと比べると比較的大きい場合がある。例えば、LCD156の対角寸法は約3〜6インチまたはそれ以上であり得る。さらに、ユーザが操作しやすいように、タッチスクリーン158およびそれに関連付けられた電子機器が設けられていてもよい。NVMP装置100は、タッチスクリーン158に加えて、ユーザから音声コマンドを受信するように動作可能であるマイクロフォン164を含むこともできる。例えば、運転者が「最も近いガソリンスタンドはどこか」と言えば、NVMP装置100は移動電話機102のナビゲーションシステムを使用して、最も近いガソリンスタンドにたどり着くための指示を提供する。
【0027】
図1を参照して上述したとおり、NVMP装置100は、自動車104の音声システム110(図1に示す)に音声信号を供給するためのFMトランスミッタ172を含むことができる。動作時、FMトランスミッタ172は、所定または選択可能なFM周波数(89.1MHzや88.5MHzなど)で、進路変更等の音声指示を伝送し得る。運転者が音声指示を受信するには、音声システム110のFMチューナを、対応する周波数に合わせればよい。加えて/あるいは、NVMP装置100は、音声ナビゲーション指示、音楽、通話、着信音、またはその他任意の音声信号など、音声出力を提供するためのスピーカ166および関連ドライバを含み得る。
【0028】
NVMP装置100はまた、メディア(音楽、映像、写真など)、ユーザプロファイル、データファイルなどのデータを記憶するためのデータ記憶装置170も含み得る。データ記憶装置170は、ソリッド・ステート・メモリ(ROMまたはフラッシュメモリなど)、光学メディア(CDまたはDVDなど)、磁気メディア(ハードディスク装置など)、またはそれらの組み合わせを含み得る。さらに、NVMP装置100は、1つ以上の外部メモリカード(スマートメディア(TM)カード、セキュアデジタル(TM)カード、マルチメディアカード(TM)、メモリスティック(TM)など)を接続するための1つ以上のメモリスロット162も含み得る。理解し得るように、NVMP装置100は、データ記憶装置170および/または他の通信インタフェース(Bluetooth(TM)やネットワークプロトコルなど)を使用して、ストリーミング映像やビデオ会議アプリケーションを利用することができる。
【0029】
NVMP装置100は、該NVMP装置100を他の装置に連結するためのUSB接続部160と他のデータポート168とを含み得る。例えば、USB接続部160は、NVMP装置100を移動電話機102に連結するのに使用される。さらに、他のデータポート168は、移動電話機、PDA、携帯型音声/映像プレーヤ、デジタルカメラ、メモリカードなどを含むがこれらに限定されない各種のコンシューマ装置との接続部を含み得る。例えば、ユーザはデータポート168を使用してメディアプレーヤをNVMP装置100に接続することができる。その結果、車内のユーザは、音声/映像ファイルを(LCD156を使用して)閲覧したり、(スピーカ166を使用して)視聴したりすることができる。
【0030】
上述したすべての構成要素に給電するために、NVMP装置100には電源装置152も含まれている。電源装置152は、自動車のバッテリなどの外部電源から受電することができる。さらに、電源装置152は、NVMP装置100の構成要素が必要とする複数の電圧レベルおよび電流レベルを供給するように動作可能である。電源装置152はまた、例えば車両の電源に接続されているケーブルを通じて充電可能な内蔵型再充電可能バッテリも含み得る。内蔵バッテリの構成は、車外でNVMP装置100を使用する際にその装置を動作させるための電力を提供し得る。さらに、NVMP装置100は、電源装置152を使用して移動電話機のバッテリを再充電できるように移動電話機に接続される有線インタフェース(USBインタフェース、独自インタフェース、または他の有線インタフェースなど)を含んでもよい。
【0031】
図3Aは、NVMP装置(図1や図2に示すNVMP装置100など)の一実施形態にかかるソフトウェアアプリケーション層200のブロック図を表す。このアプリケーション層200は、NVMP装置の機能を併せて提供する複数のモジュールを含む。アプリケーション層200は、NVMP装置に関連付けられたオペレーティングシステム上で稼働する。例えば、適切なオペレーティングシステムは、Windows CE(R)オペレーティングシステムまたはLinux(TM)オペレーティングシステムを含み得る。
【0032】
アプリケーション層200は、図1に示す移動電話機102などのNVMP装置とGPS対応移動装置との間で命令、ボイスデータ、および音声(audio)データを転送するように動作可能であるデータ転送モジュール202を含み得る。データ転送モジュール202は、NVMP装置に連結されている特定タイプのモバイル装置を認識し、かつそれに応じてデータ転送をフォーマットするように構成される論理回路を含み得る。加えて/あるいは、このモバイル装置は、データ転送モジュール202と通信するように動作可能である対応データ転送モジュールを備え得る。そのため、データ転送用フォーマットはすべての互換装置で標準化されている。
【0033】
アプリケーション層200はまた、NVMP装置のディスプレイを制御するように動作可能であるスクリーン表示モジュール204も含み得る。動作時、スクリーン表示モジュール204は、データ転送モジュール202から映像データを受信し、そのデータをNVMP装置のディスプレイに出力することができる。
【0034】
アプリケーション層200はまた、ユーザからの命令(タッチスクリーンへの接触、音声コマンド、または他の制御メカニズムなど)を受信し、NVMP装置に連結されているモバイル装置に適したフォーマットにそれらの命令を変換するように動作可能であるリモートキー制御モジュール206も含み得る。リモートキー制御モジュール206からのデータは、上記データ転送モジュール202を使用して、関連付けられた移動電話機に提供される。
【0035】
アプリケーション層200は、命令データ、音声データ(MP3、WMA、またはFMなど)、映像データ(MPEG−4またはWMVなど)などを含むがこれらに限定されない各種のデータを復号するように動作可能であるデータデコーダ208も含み得る。さらに、アプリケーション層200は、ユーザがさまざまな位置からNVMP装置を制御できるように動作可能である回転可能なヒューマンマシンインタフェース(HMI)モジュール210も含み得る。例えば、回転可能なHMIモジュール210は、自動車の運転者と自動車の助手席に座っている乗員との両者がNVMP装置を操作可能とする。また、回転可能なHMIモジュール210は、NVMP装置100または移動電話機102の方向を感知し、それに応じてディスプレイの方向(垂直または水平など)を調整するように動作可能である。
【0036】
図3Bは、図1に示す移動電話機102など、NVMP装置と通信するように動作可能な移動電話機のソフトウェアアプリケーション層220のブロック図を表す。アプリケーション層220は、移動電話機のオペレーティングシステムによって実行される。例えば、Symbian OS(TM)で稼働するS60またはUIQプラットフォームが適切なプラットフォームとなり得る。アプリケーション層200と同様、アプリケーション層220も、移動電話機とNVMP装置との間でデータを転送するように動作可能であるデータ転送モジュール222を含み得る。
【0037】
アプリケーション層220はさらに、GPS対応電話機の表示内容と音声出力とを捕捉するように動作可能である画面キャプチャモジュール224とオーディオ・ストリーム・キャプチャ・モジュール226とを含み、これによって、GPS対応電話機の表示内容や音声出力を(データ転送モジュール222,202を介して)NVMP装置に転送し、該NVMP装置により複製することができる。
【0038】
アプリケーション層220はさらに、NVMP装置から受信した命令を移動電話機での動作に変換するように動作可能であるリモートイベント受信機228も含み得る。例えば、ユーザはNVMP装置のタッチスクリーンを操作して、宛先アドレスを選択する。続いてリモートイベント受信機モジュール228は、コマンドを受信し、そのコマンドを移動電話機のナビゲーションソフトウェアに提供し得る。アプリケーション層220は、NVMPアプリケーション層200から受信したデータを符号化するためのデータエンコーダ230をさらに含み得る。かかるデータは、命令、音声メディア、映像メディア、またはその他任意のタイプのデータを含み得る。
【0039】
図4は、NVMP装置100の別の例示的な実施形態を表す。本実施形態において、NVMP装置100は、通信リンク124,120,108を介してUSBフラッシュドライブ126、携帯型メディアプレーヤ122、およびデジタルカメラ130を含む複数のコンシューマ装置にそれぞれ連結されるように動作可能である。通信リンク108,120,124は、任意の有線または無線通信インタフェースであってよい。例えば、ユーザはNVMP装置100のディスプレイを利用して、デジタルカメラ130によって記憶される画像または映像を閲覧し得る。さらにユーザは、デジタルカメラからNVMP装置100のデータ記憶装置へデータ(画像ファイルなど)を転送し、それらを後日参照することができる。同様に、メディアプレーヤ122のメディアは、NVMP装置100を使用してその内容を見聞または記憶可能である。
【0040】
NVMP装置100はまた、車内で助けを必要とし得るユーザに緊急支援を提供するための機能も含み得る。例えば、NVMP装置100は、運転者が支援を必要としていることを知らせる音声コマンドやタッチコマンドを自動車104の運転者から受信するように動作可能である。続いてNVMP装置100は、移動電話機102のGPS、音声、および/またはデータ機能を使用して、緊急派遣サービスに連絡する。理解し得るように、NVMP装置100は、GPSシステムを利用して派遣サービスに自動車の位置情報を提供し、派遣サービスによる自動車の発見を支援する。さらに、NVMP装置100は、これまで以上にユーザに利便性の高い通信インタフェースを提供するべく、NVMP装置100のユーザと派遣スタッフとの間で行われるハンズフリーの音声/映像通信を含み得る。この点に関しては、ユーザと派遣スタッフとの間の音声通信インタフェースを提供するべく、移動電話機102の音声ネットワーク114がNVMP装置100によって使用される。
【0041】
NVMP装置100はスタンドアロン装置として上述されているものの、それに限定されることはない。1つ以上の実施形態で、NVMP装置の機能が他の装置に組み込まれてもよい。例えば、NVMP装置の機能は、車両のセンターコンソール、音声システム、映像システム、ナビゲーションシステム、バックミラーなどの一部として含まれてもよい。1つ以上の実施例では、NVMP装置の機能がディスプレイ搭載装置に予め統合されている場合があり、それによってNVMP装置における別途のディスプレイの必要性を排除し得る。NVMP装置の機能を1つ以上の他の装置と統合することにより、コストの削減、複雑性の低減、必要な物理的スペースの減少など、大きな利点が得られる。
【0042】
本明細書に記載された実施形態がいくつかの利点を提供し得ることが理解されるべきである。すなわち、大型ディスプレイ、優れた音声機能、これまで以上にユーザに利便性の高い操作コントロール(タッチパネルや音声コマンドなど)を提供することにより、自動車環境における移動電話機のナビゲーション機能の使用性が改善される。さらに、ナビゲーションシステムに関連付けられたハードウェアおよびソフトウェア(GPS受信機や独自の地図データなど)が、装置自体の内部ではなく移動電話機に存在するため、本明細書に記載されている装置の価格は比較的安価となり得る。加えて、複数の電子装置との通信、移動電話機のバッテリの充電、および他の特徴は、各種アプリケーションにとって望ましい場合がある。当業者であれば、本明細書に記載されている実施形態によって提供される他の特徴や利点を容易に認識し得る。
【0043】
本発明は、図示され、図面と前述の説明とで詳述される一方、かかる図例および説明は例示的なものであり、その特性が制限されるものではないとみなされるべきである。例えば、本明細書における上記した特定の実施形態は、記載されている他の実施形態と組み合わせること、および/または他の方法で変更すること(例えば、プロセス要素は他の順序で実行され得る)が可能である。したがって、好ましい実施形態およびその変形例のみが明示および記載されており、本発明の思想の範囲におけるすべての変更および変形が保護されるのが望ましいということが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
別個のGPS対応移動装置のナビゲーションシステムを利用することによってナビゲーション情報をユーザに提供するように動作可能な電子装置であって、
前記GPS対応移動装置と前記電子装置との間でナビゲーション情報を通信するための通信インタフェースと、
前記ナビゲーション情報を表示するためのディスプレイと、
ユーザが前記電子装置を使用して前記GPS対応移動装置のナビゲーション機能を選択的に制御することを可能にするユーザインタフェースと、
を備える電子装置。
【請求項2】
前記電子装置が自動車の一部に選択的に装着可能である、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記通信インタフェースがBluetooth(R)インタフェースを含む、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記通信インタフェースが、USBインタフェース、FMインタフェース、Wi−Fi(R)/Wi−max(TM)インタフェース、3G音声データネットワークインターフェース、WCDMAインタフェース、及びHSPDAインタフェースから成る群から選択される通信インタフェースを含む、請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
前記ユーザインタフェースがタッチスクリーンを含む、請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記電子装置が、センターコンソール、音声システム、映像システム、及びバックミラーから成る群から選択される自動車の別個の構成要素に組み込まれている、請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
前記GPS対応移動装置がGPS対応移動電話機を含む、請求項1に記載の電子装置。
【請求項8】
音声データまたは映像データを記憶するように動作するデータ記憶モジュールをさらに備える請求項1に記載の電子装置。
【請求項9】
音声出力システムをさらに備える請求項1に記載の電子装置。
【請求項10】
前記音声出力システムがFMトランスミッタを含む、請求項9に記載の電子装置。
【請求項11】
前記ユーザインタフェースが、前記ユーザから音声データを受信するように動作するマイクロフォンを含む、請求項1に記載の電子装置。
【請求項12】
別個のコンシューマ装置を前記電子装置に選択的に接続するように動作可能であるデータポートをさらに備える請求項1の電子装置。
【請求項13】
前記コンシューマ装置は、移動電話機、パーソナルデジタル情報端末(PDA)、携帯型メディアプレーヤ、携帯型コンピュータ、メモリカード、及びデジタルカメラから成る群から選択される装置である、請求項12に記載の電子装置。
【請求項14】
前記電子装置に接続されたGPS対応移動装置のバッテリを充電するように動作する電源装置をさらに備える請求項1に記載の電子装置。
【請求項15】
前記電子装置の前記電源装置がUSBケーブルを介してGPS対応移動装置に接続可能である、請求項14に記載の電子装置。
【請求項16】
前記電源装置が内蔵型の再充電可能バッテリを含む、請求項14に記載の電子装置。
【請求項17】
前記通信インタフェースが、前記GPS対応移動装置と前記電子装置との間で音声データまたはメッセージを送受信するための双方向通信チャネルを提供するように動作可能である、請求項1に記載の電子装置。
【請求項18】
前記電子装置が、前記ユーザインタフェースと前記ディスプレイとを使用してユーザが前記GPS対応移動装置の非ナビゲーション機能を操作できるように構成されている、請求項1に記載の電子装置。
【請求項19】
前記GPS対応装置の非ナビゲーション機能が、通話を発呼すること、テキストメッセージを送信又は受信すること、及びウェブページを閲覧することから成る群から選択される機能を含む、請求項18に記載の電子装置。
【請求項20】
ナビゲーション情報を電子装置のユーザに提供するための方法であって、
ユーザインタフェースを通じて前記電子装置のユーザからナビゲーション情報を要求する入力情報を受信すること、
前記受信した入力情報を通信インタフェースを通じてGPS対応移動装置に送信すること、
前記通信インタフェースを通じて前記GPS対応移動装置からのナビゲーション情報を前記電子装置で受信すること、
前記受信したナビゲーション情報を前記電子装置のディスプレイに表示すること、
を備える方法。
【請求項21】
ユーザから前記入力情報を受信することが、音声コマンドを受信することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ユーザから前記入力情報を受信することが、前記電子装置のタッチスクリーンによってユーザの接触情報を受信することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
GPS対応移動装置から無線信号を受信すること、
前記無線信号を受信することに応答して、前記GPS対応移動装置の1つ以上の通信パラメータを判断すること、
前記1つ以上の通信パラメータに応じて前記電子装置と前記GPS対応移動装置との間で通信インタフェースを確立すること、
をさらに備える請求項20に記載の方法。
【請求項24】
オーディオビジュアル(A/V)データをモバイル装置のユーザに提供するように動作可能な電子装置であって、
前記モバイル装置と前記電子装置との間で前記A/Vデータを通信するための通信インタフェースと、
前記A/Vデータを表示するためのディスプレイと、
ユーザが前記電子装置を使用して前記モバイル装置の1つ以上の機能を選択的に制御することを可能にするユーザインタフェースと、
を備える電子装置。
【請求項25】
前記モバイル装置の前記1つ以上の機能が、通話を発呼すること、テキストメッセージを送受信すること、ウェブページを閲覧すること、及びナビゲーション情報を閲覧することのうち少なくとも1つを含む、請求項24に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−502259(P2012−502259A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525301(P2011−525301)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/055877
【国際公開番号】WO2010/028141
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(508176957)フレクストロニクス エイピー エルエルシー (21)
【氏名又は名称原語表記】FLEXTRONICS AP,LLC
【Fターム(参考)】