説明

携帯無線機

【課題】着脱性と強度確保の両立を可能にした防水用キャップを有する携帯無線機を提供する。
【解決手段】側外部接続用コネクタを保護する防水用キャップ1を有する携帯無線機において、無線機本体シャーシ2の基板収納凹部19にコネクタ等接続用部品が実装された前記外部接続用基板21が収納され、前記外部接続用基板21の防水のための防水用キャップ1が、前記外部接続用コネクタとの接触部17を封止するキャップ部10を硬樹脂材で形成され、前記防水用キャップ1のヒンジ部5を軟樹脂材で形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、特に防水性能を有する携帯無線機等の端末機に実装された防水用キャップを有する携帯無線機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器、特に携帯電話等の携帯無線機の端末機では、他の電子機器との接続の為、或は端末機の調整を行う為のコネクタが実装されており、常時使用されないコネクタであることから該コネクタには防水用のキャップが装着され、該防水用キャップにより前記コネクタが保護される。
【0003】
従来の携帯無線機の防水用キャップでは、ゴム材やエラストマ材、或はインサート成形や2色成形により成形された樹脂とエラストマの異種同時成形品が一般的に用いられているが、使用者がキャップの先端を引張った際にキャップが破断し、携帯無線機本体から脱落することが発生しており、キャップの着脱の際に求められる柔軟性と、着脱時に掛けられる大きな力に対向する引張り強度を兼ね備えた防水用キャップが求められている。
【0004】
然し乍ら、防水用キャップに求められる柔軟性と引張り強度の両立は困難であり、更に携帯無線機の小型化が進むにつれて、防水用キャップを携帯無線機本体に取付ける為のスペースが制限されることから、ゴム材、エラストマ材単体では所望の引張り強度を得ることが難しく、又異種同時成形品の場合もスペースの制限により合成樹脂とエラストマの接着面積が減少し、密着強度が低下することから、過度の引張り力が作用すると合成樹脂とエラストマが剥離する等所望の強度を得ることが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−234971号公報
【特許文献2】特開平9−129301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は斯かる実情に鑑み、着脱性と強度確保の両立を可能にした防水用キャップを有する携帯無線機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外部接続用コネクタを保護する防水用キャップを有する携帯無線機であって、前記防水用キャップは、軟樹脂材と硬樹脂材とで異種同時成形され、前記硬樹脂材が前記外部接続用コネクタとの接触部を封止し、前記軟樹脂材が前記防水用キャップ内部のヒンジ部を形成する携帯無線機に係るものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外部接続用コネクタを保護する防水用キャップを有する携帯無線機であって、前記防水用キャップは、軟樹脂材と硬樹脂材とで異種同時成形され、前記硬樹脂材が前記外部接続用コネクタとの接触部を封止し、前記軟樹脂材が前記防水用キャップ内部のヒンジ部を形成するので、応力が集中する箇所の強度を確保することができ、前記防水用キャップの着脱性と強度確保の両立を図ることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に於ける防水用キャップを示し、(A)は防水用キャップの立断面図であり、(B)は防水用キャップの上面斜視図であり、(C)は防水用キャップの底面斜視図である。
【図2】本発明に於ける防水用キャップ、シャーシ、取付けネジの関係を示す分解図である。
【図3】本発明に於ける防水用キャップの要部拡大立断面図である。
【図4】本発明に於ける防水用キャップのスライド部であり、(A)はスライドリング部の平面図であり、(B)はスライドリング部の正面図であり、(C)はスライドリング部の側面図である。
【図5】本発明に於ける防水用キャップをシャーシに取付けた状態を示す断面図であり、(A)はシャーシに取付けネジで防水用キャップを固定した際の立断面図であり、(B)はシャーシから取付けネジを緩めて防水用キャップを取外した際の立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0011】
図1、図2に於いて、本発明に於ける防水用キャップ1及び該防水用キャップ1が取付けられる携帯無線機本体のシャーシ2について説明する。
【0012】
先ず前記防水用キャップ1について説明する。該防水用キャップ1は異なる材質、例えば電気を通さず、水や薬品等により腐食され難く、強度や硬度が高い硬合成樹脂、例えばPC樹脂と、パッキン部、ヒンジ部、滑り止め部に最適な柔軟性と伸縮性に富む軟合成樹脂、例えばエラストマの異種材料とを一体成形したものであり、一体成形の方法としてはインサート成形、或は2色成形等の異種同時成形等がある。
【0013】
前記防水用キャップ1は、硬度と強度を要求される部位を形成するキャップ部10及びスライドリング部9と、柔軟性、伸縮性を要求される表層部20から構成され、前記キャップ部10及び前記スライドリング部9は所要の硬度と強度を有する合成樹脂(硬樹脂材)、例えばPC樹脂であり、前記表層部20は所要の柔軟性、伸縮性を有する合成樹脂(軟樹脂材)、例えばエラストマである。
【0014】
前記表層部20は、前記キャップ部10の反シャーシ側の面(外面)に表層部として一体化され、更に前記キャップ部10より延出する部分の先端部はスライド部8となっており、該スライド部8には前記スライドリング部9が埋設され、前記キャップ部10と前記スライドリング部9とは、前記表層部20により連結されると共にキャップ部10と表層部20、スライドリング部9と表層部20とは一体化された構成となっている。
【0015】
前記キャップ部10は、後述するシャーシ2に形成された接触部であるキャップ嵌合凹部17に水密に嵌合し、該キャップ嵌合凹部17に密閉された所要の空間を形成する。前記キャップ部10の外面には、該キャップ部10の中心から偏心した位置に、円錐台形状のネジ座部3が突出形成され、該ネジ座部3の外周面には半円筒状の欠切部3aが形成されている。前記ネジ座部3には中心を貫通する貫通孔4が形成され、前記キャップ部10の内面側からは前記表層部20と同心に螺子ボス収納凹部15が凹設されている。
【0016】
前記ネジ座部3の頂面を除く前記キャップ部10の外面には、前記表層部20が密着一体化され、該表層部20の前記ネジ座部3を囲繞する部分には前記欠切部3aを充足する凸部6が形成される。
【0017】
又、図3に示される様に、前記表層部20は前記ネジ座部3とは反対側に延出してスライド部8を形成し、前記キャップ部10の端を超えた近傍で、直角に屈曲され、更に所定長延出した位置で前記シャーシ2側に近接する様にクランク状に屈曲した段差部7が形成される。該段差部7より先端側に、前記スライドリング部9が前記表層部20に埋設されている。
【0018】
図4に示される様に、前記スライドリング部9は長円形状のリングであり、該スライドリング部9が形成する長孔11は、前記貫通孔4の中心線と平行な長径を有する長孔となっており、前記スライドリング部9の板厚は前記スライド部8の板厚と等しくなっている。
【0019】
而して、前記キャップ部10と前記表層部20とが一体化した部分、前記スライドリング部9と前記表層部20とが一体化した部分は、硬樹脂材のキャップ部10とスライドリング部9によって変形せず、高強度であり、又前記表層部20のみの部分、即ち該表層部20の90°屈曲した部分、及び前記スライドリング部9に至る部分は軟樹脂材であるので、容易に屈曲し得、前記表層部20のみの部分はヒンジ部5を形成する。又、前記欠切部3aを充足すると共に一体化した前記凸部6は、前記ネジ座部3が前記表層部20に対して回転を抑止する回止めとなっている。
【0020】
前記キャップ部10の、前記表層部20より前記シャーシ2側に突出する部分はキャップ嵌合部12を形成する。該キャップ嵌合部12の下面には、後述する外部接続用基板21を収納可能なキャップ側基板収納凹部13が形成されると共に、前記キャップ嵌合部12の周面には全周に亘って連続する溝が刻設され、該溝には所要の柔軟性と弾力性を有する材質、例えばエラストマ製のパッキン16が嵌込まれ、該パッキン16は前記キャップ嵌合部12の周面より突出している。
【0021】
次に、前記防水用キャップ1が取付けられる前記シャーシ2の構造について説明する。該シャーシ2は、前記スライドリング部9及び前記キャップ部10と同材質の硬合成樹脂製であり、前記防水用キャップ1に対する取付け面(以下上面とする)には前記キャップ嵌合凹部17が形成され、該キャップ嵌合凹部17は、前記キャップ嵌合部12が嵌入可能であると共に、内寸が前記パッキン16の外寸よりも小さくなっている。
【0022】
前記キャップ嵌合凹部17には、前記キャップ嵌合部12が嵌合された状態で、前記ネジ座部3と同心となる様にネジボス部14が突出形成されている。該ネジボス部14の径は前記ネジボス部収納凹部15の径よりも小さく、前記ネジボス部14の高さは前記ネジボス部収納凹部15の深さより低くなっている。前記ネジボス部14には、該ネジボス部14が前記ネジボス部収納凹部15に収納された際に前記貫通孔4と同心となるネジ穴18が穿設されている。
【0023】
又、前記キャップ嵌合凹部17の底面には、前記ネジボス部14が形成された場所を避けてシャーシ側基板収納凹部19が形成される。該シャーシ側基板収納凹部19は、前記キャップ側基板収納凹部13との間に外部接続用基板21収納用の空間22を形成する(図5(B)参照)。前記シャーシ側基板収納凹部19にコネクタ等接続用部品が実装された前記外部接続用基板21が設けられ、該外部接続用基板21は、前記キャップ嵌合部12を外した状態で試験機等の外部装置と接続される様になっている。
【0024】
前記シャーシ2の前記キャップ嵌合凹部17と直交する面(側面)には、前記スライド部8が摺動可能な段差面24が形成されると共に該段差面24の略中央には抜止め凹部23が形成される。又側面には前記段差面24と対峙する様にスライド部抑え25が設けられ、前記段差面24の端部であり前記シャーシ2の角部には抜止め部31が設けられる。
【0025】
前記スライド部抑え25は、該スライド部抑え25を前記シャーシ2に取付ける為の取付け部26と、前記段差面24と平行に延出するガイド部27と、該ガイド部27の先端から前記シャーシ2側に突設されたストッパ部28とを有する。該ストッパ部28の先端は前記抜止め凹部23に嵌合し、前記ストッパ部28を前記抜止め凹部23に嵌込んだ状態で、前記段差面24と前記ガイド部27との間には前記スライド部8が摺動可能な間隙29が形成される。
【0026】
前記スライド部8は、前記スライド部抑え25の先端を持ち上げた状態で、前記スライド部8を前記間隙29に挿入し、前記ストッパ部28が前記長孔11に嵌入された状態で前記スライド部抑え25を離すことで簡単に取付けられる。
【0027】
前記スライド部8は前記段差面24に沿って摺動され、又前記ストッパ部28と前記長孔11で摺動がガイドされると共に前記段差部7が前記抜止め部31に当接することで動きが規制され、前記ストッパ部28及び前記抜止め部31は前記スライド部8のストッパとなっている。
【0028】
而して、前記防水用キャップ1は前記スライド部8の可動範囲で前記シャーシ2に対して近接離反可能となっている。
【0029】
次に、前記防水用キャップ1を前記シャーシ2に固定する際に用いられる取付けネジ32について説明する。
【0030】
該取付けネジ32は、該取付けネジ32を回転させるネジ頭部33と前記ネジ穴18に螺入される螺部34とを有し、前記ネジ頭部33は使用者が指で摘める程度の大きさを有すると共に、ドライバやコイン等で締結及び解除ができる様スリット溝35が刻設されている。
【0031】
前記螺部34と前記ネジ頭部33との間には細径(全周に亘っている)部36が形成され、該細径部36と前記ネジ頭部33の間にはシール溝が刻設され、該シール溝にはシール部材であるOリング38が嵌込まれ、該Oリング38の外寸は、前記貫通孔4の内寸よりも大きくなっている。
【0032】
前記螺部34の先端より金属製のワッシャ37が螺入可能となっており、該ワッシャ37が前記螺部34を越えた細径部36では、軸心方向に自在に変位可能となっている。
【0033】
又、上記した前記取付けネジ32は蝶ボルト等前記スリット溝35を有さず、使用者が指で着脱できる様なものであってもよい。又、前記ネジボス部14に螺入される前記取付けネジ32の螺部34の長さは、前記スライド部8が摺動する前記間隙29の長さよりも短くなっている。
【0034】
又、図4に示される様に、スライド部8に埋設された前記スライドリング部9は、外周面の所要位置より突設する所要数の凸部39を有している。
【0035】
該凸部39は、前記スライドリング部9の平面部に所定数形成された平面部凸部39aと、前記スライド部8の先端側の曲面部に形成された曲面部凸部39bと、前記段差部7側の曲面部に形成された曲面部凸部39cとを有しており、前記平面部凸部39a及び前記曲面部凸部39bは前記スライドリング部9の周面に対し垂直方向に突出し、前記曲面部凸部39cは前記段差部7の板厚中心と平行となる様、傾斜して突出している。
【0036】
前記スライド部8(表層部20)は、前記スライドリング部9を包込み一体成形されるので、前記凸部39a〜39cは、前記スライド部8の内部に食込んだ状態となり、前記スライドリング部9と前記スライド部8との境界面に於いて剥離、ずれに対する抵抗力を発揮する様になっている。
【0037】
図5を参照して、前記防水用キャップ1を前記シャーシ2に取付ける場合を説明する。尚、スライド部8は予め前記間隙29に挿入された状態とする。先ず前記取付けネジ32の前記螺部34を前記貫通孔4に挿通し、前記螺部34を挿通させた状態で該螺部34の先端から前記ワッシャ37を前記細径部36迄螺入させる。
【0038】
次に、前記ネジボス部14が前記ネジボス部収納凹部15に収納される様前記キャップ嵌合部12を前記キャップ嵌合凹部17に嵌合させ、前記貫通孔4に挿通された前記取付けネジ32を前記ネジ穴18に螺入させ、前記キャップ嵌合部12の内面が前記キャップ嵌合凹部17の底面に当接する迄、前記ネジ頭部33を締込む。
【0039】
前記キャップ嵌合部12の前記キャップ嵌合凹部17への嵌合、及び前記取付けネジ32の締込みで、前記スライド部8も変位し、該スライド部8は前記段差面24に沿ってスライドする。
【0040】
この時、前記パッキン16の外寸は、前記キャップ嵌合凹部17の内寸よりも大きいので、前記キャップ嵌合部12が嵌合される際に、前記キャップ嵌合凹部17の内壁によって前記パッキン16が圧縮され、弾性変形することで該パッキン16が前記キャップ嵌合凹部17の内壁と密着し、前記防水用キャップ1、前記シャーシ2間がシールされる。
【0041】
又、前記Oリング38の外寸は、前記貫通孔4の内寸よりも大きいので、前記取付けネジ32が挿通される際に、前記貫通孔4の内壁によって前記Oリング38が圧縮され、弾性変形することで該Oリング38が前記貫通孔4の内壁と密着し、前記防水用キャップ1、前記取付けネジ32間がシールされる。
【0042】
前記パッキン16及び前記Oリング38の圧縮方向は、前記取付けネジ32の締付け方向とは直角の方向であるので、前記取付けネジ32の締付け力に拘らず、前記パッキン16及び前記Oリング38のシール力は一定しており、確実な水密性が得られる。
【0043】
前記防水用キャップ1を前記シャーシ2から取外す際には、前記ネジ穴18に螺入された前記取付けネジ32を回転させ、該取付けネジ32を前記ネジ穴18から脱着させる。この時、前記取付けネジ32の変位に応じて前記ワッシャ37が前記細径部36を摺動し、該細径部36の端部に突当った前記ワッシャ37が前記ネジボス部収納凹部15の底面を押圧することで、前記キャップ嵌合部12が前記キャップ嵌合凹部17から嵌脱され、前記防水用キャップ1が前記シャーシ2から取外される。
【0044】
この時、前記ネジボス部14に螺入された前記螺部34の長さは前記スライド部8が摺動する前記間隙29の長さよりも短くなっているので、前記取付けネジ32脱着の際に、前記スライドリング部9が前記ストッパ部28に突当り、前記防水用キャップ1の取外しを妨げない様になっている。又、前記取付けネジ32が前記ネジ穴18から完全に取外された場合であっても、前記段差部7が前記抜止め部31と係合すると共に、前記ストッパ部28が前記スライドリング部9の内周面と接触し前記スライド部8の動きを規制するので、該スライド部8が前記ガイド部27から抜出し、前記防水用キャップ1が前記シャーシ2から外れない。更に、前記ストッパ部28の先端が前記抜止め凹部23に嵌込んでいるので、前記スライド部8が引張られ、前記スライドリング部9と当接した前記ストッパ部28に前記防水用キャップ1嵌脱側への力が加わった場合でも、前記ストッパ部28が前記抜止め凹部23の側面と突当ることで前記ストッパ部28が前記シャーシ2の側面から浮き上がり、前記防水用キャップ1が前記シャーシ2から外れることがない。
【0045】
上述の様に、本実施例の前記防水用キャップ1は軟樹脂材であるエラストマと硬樹脂材であるPC樹脂との異種同時成形品であり、柔軟性が必要な前記ヒンジ部5をエラストマ製とし、所要の硬度と強度が必要な前記キャップ部10と前記シャーシ2をPC樹脂製としたので、携帯無線機本体に落下や振動等の外的衝撃が加わった場合、或は使用者が前記防水用キャップ1を引張り前記ネジ座部3及びネジボス部14に応力が掛った場合でも前記防水用キャップ1が破損することがない。
【0046】
又、前記スライド部8にPC樹脂製の前記スライドリング部9を埋設したことで、前記防水用キャップ1の取外し時に引張り応力が発生した場合でも前記スライドリング部9を介して前記スライド部8が引延され、該スライド部8に局部的に力が作用し、該スライド部8が破断することがない。
【0047】
又、前記スライドリング部9の外周面に前記凸部39を形成し、前記スライド部8との係合力を高め、エラストマの破断を防止し、更に前記凸部39を前記スライド部8に曲げ応力や引張り応力が加わった際に境界面の剥離に対する抵抗を持つ様な形状としたので、前記スライド部8に応力が加わった場合でも前記スライドリング部9と前記スライド部8との境界面に於ける剥離を抑制でき、密着強度をより高めることができる。
【0048】
又、前記キャップ嵌合部12の外周面に全周に亘る溝を刻設し、該溝即ち前記防水用キャップ1の着脱方向に対して垂直にエラストマ製のパッキン16を嵌込んだので、前記防水用キャップ1を前記シャーシ2に取付ける際の前記取付けネジ32の締付け力に拘らず前記パッキン16の潰し代が一定であり、締付け力のばらつきが該パッキン16の潰し代に影響することはなく、安定した防水性能を実現することができる。
【0049】
又、前記防水用キャップ1と前記シャーシ2は前記取付けネジ32により固定されているので、携帯無線機本体に落下の振動や外的衝撃が加えられた場合でも、前記防水用キャップ1の前記シャーシ2からの浮き上がりや中心ずれが発生せず、防水性能の劣化を防止することができる。
【0050】
更に、前記取付けネジ32は前記細径部36を摺動する前記ワッシャ37を有し、該ワッシャ37が前記取付けネジ32の脱着と連動して前記防水用キャップ1を嵌脱方向へとスライドさせるので、該防水用キャップ1の取外しを行う際には前記取付けネジ32を緩めるだけでよく、作業性を向上させることができる。
【0051】
(付記)
又、本発明は以下の実施の態様を含む。
【0052】
(付記1)外部接続用コネクタを保護する防水用キャップを有する携帯無線機であって、前記防水用キャップは、軟樹脂材と硬樹脂材とで異種同時成形され、前記硬樹脂材が前記外部接続用コネクタとの接触部を封止し、前記軟樹脂材が前記防水用キャップ内部のヒンジ部を形成することを特徴とする携帯無線機。
【0053】
(付記2)前記携帯無線機のシャーシがキャップ嵌合凹部を有し、前記防水用キャップがキャップ嵌合部を有し、前記キャップ嵌合凹部と前記キャップ嵌合部が嵌合することで前記防水用キャップが前記シャーシに取付けられる付記1の携帯無線機。
【0054】
(付記3)前記軟樹脂材と前記硬樹脂材との境界部では、前記硬樹脂材より前記軟樹脂材に向って凸部が形成された付記2の携帯無線機。
【0055】
(付記4)前記防水用キャップは取付けネジにより前記携帯無線機に取付けられ、前記防水用キャップと前記取付けネジとの間はパッキンによりシールされる付記2の携帯無線機。
【0056】
(付記5)前記防水用キャップには前記携帯無線機との間をシールするパッキンが設けられ、該パッキンは前記防水用キャップの着脱方向に対して平行な面に設けられた付記2の携帯無線機。
【0057】
(付記6)前記取付けネジは抜止め用ワッシャを有し、該抜止め用ワッシャは前記取付けネジの脱着により前記防水用キャップに当接とし、該防水用キャップを嵌脱方向にスライドさせる付記4の携帯無線機。
【0058】
(付記7)前記シャーシの側面には、該シャーシとの間に間隙を形成する様スライド部抑えが取付けられ、前記ヒンジ部の先端部にはスライドリング部が設けられ、該スライドリング部は前記間隙を摺動する付記2又は付記4の携帯無線機。
【0059】
(付記8)前記スライド部抑えには前記シャーシに向って突出するストッパ部が形成され、該ストッパ部は前記スライドリング部に嵌合する付記7の携帯無線機。
【0060】
(付記9)前記スライドリング部は硬樹脂材で形成された付記8の携帯無線機。
【0061】
(付記10)前記シャーシの側面には抜止め凹部が形成され、該抜止め凹部には前記ストッパ部の先端が嵌込まれた付記8の携帯無線機。
【0062】
(付記11)前記間隙は前記取付けネジの着脱を阻害しない長さを有する付記7の携帯無線機。
【符号の説明】
【0063】
1 防水用キャップ
2 シャーシ
3 ネジ座部
5 ヒンジ部
8 スライド部
9 スライドリング部
10 キャップ部
11 長孔
14 ネジボス部
16 パッキン
20 表層部
37 ワッシャ
38 Oリング
39 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部接続用コネクタを保護する防水用キャップを有する携帯無線機であって、前記防水用キャップは、軟樹脂材と硬樹脂材とで異種同時成形され、前記硬樹脂材が前記外部接続用コネクタとの接触部を封止し、前記軟樹脂材が前記防水用キャップ内部のヒンジ部を形成することを特徴とする携帯無線機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−69596(P2012−69596A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211215(P2010−211215)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】