説明

携帯端末、携帯端末制御方法及び携帯端末制御プログラム

【課題】
一斉配信プッシュ型情報提供サービスを電波状態に依存せずに受信し、当該サービスを安定受信できる携帯端末を提供する。
【解決手段】
携帯端末10は、近傍の基地局100から携帯端末信号を受信する携帯端末信号受信手段1と、他の携帯端末10AからFM信号を受信する変調信号受信手段2と、携帯端末信号及びFM信号の文字情報を緊急情報テーブル3aに記憶する受信情報記憶手段3と、この文字情報から緊急情報を検知する緊急情報検知手段4と、この携帯端末信号をFM信号に変換する変調信号変換手段5と、このFM信号を電波出力する変調信号出力手段6と、現在地が電波圏外かを判断する電波圏外判断手段7と、電波圏外の場合に周波数管理テーブル8aからFM信号の受信周波数を検索する受信周波数検索手段8と、他の携帯端末10AからFM信号受信時に前記周波数管理テーブル8aから受信周波数と異なる周波数にこのFM信号を変更する周波数変更手段9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一斉配信されるプッシュ型情報提供サービスを受信可能な携帯端末に関して、特に電波の受信状態に依存せずに当該サービスを受信し、当該サービスの情報を安定的に受け取ることができる携帯端末の提供を目的とする。
【背景技術】
【0002】
現在の通信システムは、近年多発する大規模な災害及びその被害の甚大化を受けて、災害が発生した場合には、被害を抑えるために災害の対象エリアの人々に災害情報を一刻も早く伝達することが要求されている。移動体通信事業者は、この要求に応えるために、気象庁が配信する速報に基づいて、この対象エリアに含まれる携帯端末に緊急速報を一斉配信するサービスを展開している。このサービスとしては、緊急速報を受信した携帯端末にポップアップ表示や専用の警告音を発生させて緊急速報を通知するものがあり、さらに一層のサービス内容の向上が望まれている。
【0003】
従来の携帯端末は、災害情報配信装置から配信される災害発生情報に各携帯端末に搭載されている特定のアプリケーションを起動させるコマンドが含まれ、災害発生情報の受信時に当該コマンドにより位置情報を強制的に取得し、当該位置情報を含む転送要求を災害情報配信装置に送出し、当該位置情報に基づいて災害情報配信装置により個別に作成された最適な避難情報を受信するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、従来の携帯端末は、災害時に災害情報をFM信号で送受信するためにFM信号の送受信機能を備えると仮定した場合には、所定の位置情報に対応付けてFM放送局で使用されている放送局使用周波数をあらかじめ記憶しておき、ネットワークを介して受信した所定の位置情報に基づいて現在位置を特定し、特定した現在位置から放送局使用周波数を競合する可能性のない周波数を選定して、選定された周波数を発信周波数として設定するとともに、受信周波数を設定するための受信機操作情報(受信周波数を設定するための操作手順に関する情報)をあらかじめ記憶しておき、この受信操作情報を用いて選定された周波数を受信周波数として設定することにより、従来手動で行われていた周波数の設定を自動で行うことによりユーザに負担をかけることなく、FM放送局など、他で利用されている周波数と競合しない周波数の設定を可能とするものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2007−135000号公報
【特許文献2】特開2008−109496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の携帯端末は、電波の受信不可能な電波圏外に所在する場合には、配信された緊急速報を受信することができないために、この携帯端末の所有者に緊急速報を報知することができないという重大な問題を有する。
【0006】
本発明は、前記課題を解消するためになされたもので、電波の受信不可能な電波圏外に所在する場合にも、変調信号を用いて端末相互間で緊急速報を送受信し、電波の受信状態に依存せずに緊急速報を安定的に受け取ることができる携帯端末の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示する携帯端末は、携帯端末間の通信時に中継されて文字情報及び/又は音声情報を含む携帯端末信号を受信する携帯端末信号受信手段を備え、災害時に配信される緊急情報を当該携帯端末信号として受信する携帯端末において、変調信号を受信する変調信号受信手段と、前記携帯端末信号及び前記変調信号に含まれる文字情報及び/又は音声情報を受信情報として記憶する受信情報記憶手段と、前記記憶された受信情報に基づいて前記緊急情報の配信を検知する緊急情報検知手段と、前記検知された緊急情報を含む携帯端末信号を前記変調信号に変換する変調信号変換手段と、前記変換された緊急情報を含む変調信号を電波として出力する変調信号出力手段とを備えるものである。
【0008】
このように、本願に開示する携帯端末は、前記携帯端末信号及び前記変調信号に含まれる文字情報及び/又は音声情報を受信情報として記憶し、当該受信情報から緊急情報の配信を検知し、当該検知された緊急情報を含む携帯端末信号を前記変調信号に変換し、当該変調信号を電波として出力することから、前記緊急情報を電波状態に依存せずに携帯端末信号以外の変調信号を新たに緊急情報として携帯端末から発信して広範囲の携帯端末に伝達することとなり、緊急情報の伝達性を高めることができる。
【0009】
また、本願に開示する携帯端末は必要に応じて、前記変調信号変換手段が、前記変調信号としてFM信号を用いるものである。このように、本願に開示する携帯端末は、前記変調信号としてより広い範囲に伝播するFM信号を用いることから、取扱いが容易で広範囲に前記変調信号を伝達できることとなり、導入の容易性を高めつつ緊急情報の伝達性を高めることができる。
【0010】
また、本願に開示する携帯端末は必要に応じて、受信される電波の状態に基づいて、現在地が電波の受信不可能な電波圏外かを判断する電波圏外判断手段と、前記電波圏外の場合に、前記変調信号を受信するための周波数を検索する受信周波数検索手段とを備えるものである。このように、本願に開示する携帯端末は、現在地が前記電波圏外の場合には、前記変調信号を受信するための周波数を検索することから、前記電波圏外の場合には、前記変調信号の受信の確実性を高めることとなり、緊急情報の伝達漏れを抑え、緊急情報の伝達性を高めることができる。
【0011】
また、本願に開示する携帯端末は必要に応じて、前記緊急情報を含む変調信号を受信した場合に、当該受信した周波数とは異なる周波数に当該変調信号を変更する周波数変更手段を備え、前記変調信号出力手段が、前記周波数を変更された変調信号を電波として出力するものである。このように、本願に開示する携帯端末は、前記変調信号を受信した場合に、受信した周波数とは異なる周波数にこの変調信号を変更して電波として出力することから、多種の周波数にて前記変調信号が発信されることとなり、前記電波圏外に所在する携帯端末における前記変調信号の受信の確実性を高めることとなり、緊急情報の伝達漏れを抑え、緊急情報の伝達性を高めることができる。
【0012】
また、本願に開示する携帯端末は必要に応じて、前記変調信号出力手段が、一定時間及び/又は一定回数の範囲内で前記変換された変調信号の出力を繰り返すものである。このように、本願に開示する携帯端末は、一定時間及び/又は一定回数の範囲内で前記変換された変調信号の出力を繰り返すことから、携帯端末の送受信のタイミング同期を図ることとなり、緊急情報の伝達漏れを抑え、緊急情報の伝達性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る携帯端末を、図1から図7に基づいて説明する。
この図1は、本発明の第1の実施形態に係る携帯端末の構成を示すブロック図、図2は図1に記載された携帯端末のデータレイアウト例及び格納データ例、図3は図1に記載された携帯端末を中心とする全体構成図、図4は図1に記載された携帯端末のフローチャート、図5は図1に記載された携帯端末の発信周波数確定のフローチャート、図6は図1に記載された携帯端末のFM信号受信のフローチャート、図7は図1に記載された携帯端末のFM受信起動フラグデータを追加したブロック図及びFM受信起動フラグデータの設定値例を示す。
【0014】
図1において、本実施形態に係る携帯端末としての携帯端末10は、最も受信感度の高い基地局100から文字情報を含み携帯端末間を中継される携帯端末信号を受信する携帯端末信号受信手段1と、この携帯端末10と同様の構成を有する他の携帯端末10Aから変調信号であるFM信号を受信する変調信号受信手段2と、この携帯端末信号及びこのFM信号に含まれる文字情報を受信情報として緊急情報テーブル3aに記憶する受信情報記憶手段3と、この記憶された受信情報に基づいて緊急情報の配信を検知する緊急情報検知手段4と、この検知された緊急情報を含む携帯端末信号を前記FM信号に変換する変調信号変換手段5と、この変換された緊急情報を含むFM信号を電波として出力する変調信号出力手段6と、受信される電波の状態に基づいて、現在地が電波の受信不可能な電波圏外かを判断する電波圏外判断手段7と、電波圏外の場合に、周波数を管理する周波数管理テーブル8aに基づいてFM信号を受信するための周波数を検索する受信周波数検索手段8と、他の携帯端末10Aから前記緊急情報を含むFM信号を受信した場合に、前記周波数管理テーブル8aに基づいて受信した周波数とは異なる周波数にこの変調信号を変更する周波数変更手段9とを備える。また、この携帯端末10と同様の構成を有する他の携帯端末10Bは、前記変調信号出力手段6から出力されたFM信号を受信する。
【0015】
前記緊急情報テーブル3aは、図2(a−1)に示すように、テーマID項目と、通番項目と、情報内容項目とを項目として備えることができる。このテーマID項目は、緊急情報の送信元やテーマ、例えば、気象庁からの緊急地震速報を示す。また、この通番項目は、このテーマID項目ごとに固有となる番号を示す。また、この情報内容項目は、受信した緊急情報のメッセージ内容を示す。
【0016】
また、前記周波数管理テーブル8aは、同図(b−1)に示すように、項番項目と、周波数項目と、使用可能フラグ項目とを項目として備えることができる。この項番項目は、通番で採番された固有の番号を示す。また、この周波数項目は、利用可能な範囲のFM信号の周波数を示す。この使用可能フラグ項目はこの周波数項目に記載された周波数が現在使用中か否かをフラグにて示し、例えば、使用中の場合には数値の1、未使用の場合には数値の0を示す。
【0017】
また、前記携帯端末10は、図3(a)に示すように、前記基地局100からの電波を受信可能な電波受信可能エリア100aの圏内に含まれる携帯端末10aと、この電波受信可能エリア100aの圏外に存在して他の携帯端末10との無線通信が一切行えない携帯端末10bとの2種類が共存する。
【0018】
以下、前記構成に基づく本実施形態の携帯端末の動作について説明する。
まず、前記携帯端末10aは、図4に示すように、前記携帯端末信号受信手段1により前記基地局100を中継した電子メールを受信する(S1)。前記受信情報記憶手段3は、この電子メールを一時的に記憶する。
【0019】
前記緊急情報検知手段4は、この記憶された電子メールが緊急速報の配信メールかを判断する(S2)。前記緊急情報検知手段4は、この電子メールが緊急速報と判断した場合には、前記緊急情報テーブル3aにこの緊急速報が登録されているかを検索し、この緊急速報が既に受信済みかを判断する(S3)。
【0020】
前記緊急情報検知手段4は、この判断において、前記S1で受信した緊急速報と一致する前記テーマID項目及び前記通番項目の組み合わせを有する緊急速報が前記緊急情報テーブル3aに既に登録されているかをチェックする。前記緊急情報検知手段4は、この緊急速報を既に受信済みと判断した場合には、前記受信情報記憶手段3による前記一時的に記憶した電子メールの削除とともに、この電子メールを破棄する(S4)。この電子メールの破棄により、重複する緊急速報の受信を防止することとなり、携帯端末10aの計算機資源を有効活用することができる。
【0021】
また、前記携帯端末10aは、前記S3の判断により、この緊急速報を未受信の場合には、携帯端末の表示画面へのポップアップ表示や専用の警告音の発生によりこの緊急速報を通知する(S5)。前記受信情報記憶手段3は、この通知とともに、この緊急速報を前記緊急情報テーブル3aに登録する(S6)。
【0022】
前記受信情報記憶手段3は、例えば、図2(a−2)に示すように、気象庁からの地震速報を受信した場合には、テーマID項目が気象庁からの地震速報を意味する「0005」、通番項目が「0002」、情報内容項目が受信したメッセージ内容である「▲▲▲で地震発生。強い揺れに備えてください。」と記載された内容の緊急速報レコードを登録することができる。前記変調信号変換手段5は、前記図4に示すように、この緊急速報の電子メールを、FM信号として送信可能な形式に変換する(S7)。
【0023】
前記周波数変更手段9は、前記緊急速報をFM信号として送信するために、前記周波数管理テーブル8aに基づいて、このFM信号の発信周波数を確定して設定する(S8)。前記周波数変更手段9は、図5に示すように、この周波数設定において、まず乱数により決定された周波数を検索開始位置として、前記周波数管理テーブル8aの検索を開始する(S8−1)。
【0024】
前記周波数変更手段9は、この乱数により決定された周波数が現在使用中かを確認する(S8−2)。前記周波数変更手段9は、この確認において、前記図2(b−2)に示すように、使用可能フラグ項目の値から現在使用中かの確認を行うことができる。前記周波数変更手段9は、例えば、同図において、この使用可能フラグ項目の値から周波数100MHzが現在使用中であり、周波数110MHzが現在未使用であることを確認することができる。
【0025】
前記周波数変更手段9は、前記図5に示すように、この確認に関して、前記周波数管理テーブル8aに登録された周波数を全て検索したかを判断する(S8−3)。前記周波数変更手段9は、この判断により全ての周波数を検索した場合には、FM信号により発信用に作成された緊急速報メールを破棄する(S8−4)。
【0026】
また、この判断により未検索の周波数が存在する場合には、前記周波数管理テーブル8aにおける次回の検索位置を設定する(S8−5)。前記周波数変更手段9は、この設定された検索位置に基づいて、前記S8−2以降と同様の処理を再度行う。
【0027】
また、前記周波数変更手段9は、前記S8−2における周波数の確認により、現在使用されていない周波数を検知した場合には、この検知された周波数を前記FM信号の発信周波数として確定する(S8−6)。前記変調信号出力手段6は、前記図4に示すように、このS8−6で確定された周波数にて前記FM信号を発信する(S9)。
【0028】
また、前記変調信号出力手段6は、このS9において、乱数を用いた乱数タイマーにより決定された時間をこのFM信号発信までの送信待ち時間とすることができる。前記変調信号出力手段6は、この乱数タイマーにより、前記FM信号を同様に発信する他の携帯端末と前記FM信号の発信タイミングをずらすこととなり、この他の携帯端末の発信するFM信号との混信を抑えることができる。
【0029】
また、前記変調信号出力手段6は、このS9において、FM信号を一定回数又は一定時間の範囲内で、繰り返し再送することもできる。前記変調信号出力手段6は、この再送により、受信側の携帯端末10における受信用周波数のチューニングによるタイムラグを埋めて前記携帯端末10の送受信のタイミング同期を図ることとなり、緊急情報の伝達漏れを抑え、緊急情報の伝達性を高めることができる。
【0030】
次に、図3(a)に示すように、前記基地局100の電波受信可能エリア100aの圏外に存在して他の携帯端末10との無線通信が一切行えず、前記基地局100からの緊急速報を受信できない位置に所在する携帯端末10bの動作について説明する。この携帯端末10bにおける電波圏外判断手段7は、図6に示すように、電波の受信不可能な電波圏外かを判断する(S10)。前記受信周波数検索手段8は、この判断により、電波圏外の場合には、前記周波数管理テーブル8aの検索開始位置の周波数について初期設定を行う(S11)。
【0031】
前記受信周波数検索手段8は、前記周波数管理テーブル8aにおけるこの検索対象の周波数の状態をチェックする(S12)。前記受信周波数検索手段8は、このチェックによりこの検索対象の周波数においてFM信号を受信中か判断する(S13)。前記受信情報記憶手段3は、この判断により、FM信号を受信中の場合には、前記変調信号受信手段2により受信されたFM信号に含まれる文字情報を電子メール形式にて一時的に記憶する(S14)。この電子メール形式による取扱いにより、情報取得の確実性、情報保持性及び視認性を高めることができる。
【0032】
また、前記受信周波数検索手段8は、前記S13の判断により、FM信号を未受信の場合には、前記周波数管理テーブル8aに登録された周波数を全て検索したか判断する(S15)。前記受信周波数検索手段8は、この判断により、全周波数を検索した場合には、前記S11以降の処理を再度行う。前記受信周波数検索手段8は、この判断により、全周波数を検索していない場合には、前記周波数管理テーブル8aにおける次回の検索位置を設定する(S16)。前記受信周波数検索手段8は、この設定された検索位置に基づいて、前記S12以降と同様の処理を再度行う。
【0033】
前記携帯端末10bは、このFM信号として受信された緊急速報を前記図4と同様に処理する。このように、前記携帯端末10bは、図3(b)に示すように、前記受信周波数検索手段8によるFM信号受信により、緊急速報をFM信号として受信できることとなり、 基地局からの電波状態が悪い所にある携帯端末においても災害情報などのプッシュ型情報サービスを享受することができる。
【0034】
なお、前記周波数変更手段9は、前記周波数管理テーブル8aに基づいて、前記図4に記載されたS8にて、前記S14で受信したFM信号と同一の周波数を除外して、このFM信号の発信周波数を設定することもできる。前記周波数変更手段9は、この除外により、複数の周波数のFM信号にて緊急速報が発信することとなり、緊急情報の伝達漏れを抑え、緊急情報の伝達性を高めることができる。
【0035】
また、前記電波圏外判断手段7は、前記S10にて電波圏外かの判断のみにより無条件にFM信号の受信待ちを行ったが、FM受信待ちの判断を示すFM受信起動フラグの設定値に応じて行うこともできる。前記携帯端末10は、このFM受信起動フラグを格納するFM受信起動フラグデータ7aを備える。このFM受信起動フラグデータ7aは、図7(a)に示すように、前記電波圏外判断手段7に読み込まれる。
【0036】
このFM受信起動フラグは、例えば、同図(b)に示すように、”0”、”1”及び”2”の3つの設定値の設定が可能である。この設定値”0”は、FM受信監視動作の停止を示す。また、この設定値”1”は、初期値として設定され、前記電波圏外の検出時にFM受信監視動作を行う自動受信を示す。また、この設定値”2”は、前記電波圏内/圏外に関わらずFM受信監視動作を行う強制受信を示す。前記電波圏外判断手段7は、このFM受信起動フラグの設定値に応じたFM信号の受信待ちを行うこととなり、利用者の利便性を向上させることができる。
【0037】
また、前記実施形態では、電子メール形式にて文字化された緊急速報をFM信号にて送信したが、この送信形態に限定されることはなく、例えば、音声情報としての緊急速報をFM信号にて送信することも可能である。また、緊急速報がFM信号として送信されることから、このFM信号を受信する機器は、前記実施形態に示した携帯端末に限定されず、例えばFMラジオにおいても緊急速報を受信することができる。また、前記実施形態では、FM信号を変調信号として使用したが、この送信方法に限定されることはなく、他の変調信号、例えば、アナログ変調のAM信号、PM信号を利用することも可能である。
また、本実施形態に係る携帯端末のハードウエア構成は、CPU及びメモリを含む制御部と、ベースバンドLSI及び無線回路を含み外部との情報伝達を行う無線部と、ディスプレイ、スピーカ、入力キー及びマイクを含む内部インターフェース部と、携帯端末アンテナ及びFMアンテナを含む外部インターフェース部と、各機能部を接続するバスからなる。
【0038】
[付記]以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)携帯端末間の通信時に中継されて文字情報及び/又は音声情報を含む携帯端末信号を受信する携帯端末信号受信手段を備え、災害時に配信される緊急情報を当該携帯端末信号として受信する携帯端末において、変調信号を受信する変調信号受信手段と、前記携帯端末信号及び前記変調信号に含まれる文字情報及び/又は音声情報を受信情報として記憶する受信情報記憶手段と、前記記憶された受信情報に基づいて前記緊急情報の配信を検知する緊急情報検知手段と、前記検知された緊急情報を含む携帯端末信号を前記変調信号に変換する変調信号変換手段と、前記変換された緊急情報を含む変調信号を電波として出力する変調信号出力手段とを備える携帯端末。
【0039】
(付記2)前記変調信号変換手段が、前記変調信号としてFM信号を用いる付記1記載の携帯端末。
【0040】
(付記3)受信される電波の状態に基づいて、現在地が電波の受信不可能な電波圏外かを判断する電波圏外判断手段と、前記電波圏外の場合に、前記変調信号を受信するための周波数を検索する受信周波数検索手段とを備える付記1又は付記2記載の携帯端末。
【0041】
(付記4)前記緊急情報を含む変調信号を受信した場合に、当該受信した周波数とは異なる周波数に当該変調信号を変更する周波数変更手段を備え、前記変調信号出力手段が、前記周波数を変更された変調信号を電波として出力する付記1ないし付記3記載の携帯端末。
【0042】
(付記5)前記変調信号出力手段が、一定時間及び/又は一定回数の範囲内で前記変換された変調信号の出力を繰り返す付記1ないし付記4に記載の携帯端末。
【0043】
(付記6)携帯端末間の通信時に中継されて文字情報及び/又は音声情報を含む携帯端末信号を受信する携帯端末信号受信工程を備え、災害時に配信される緊急情報を当該携帯端末信号として受信する携帯端末制御方法において、変調信号を受信する変調信号受信工程と、前記携帯端末信号及び前記変調信号に含まれる文字情報及び/又は音声情報を受信情報として記憶する文字情報記憶工程と、前記記憶された文字情報に基づいて前記緊急情報の配信を検知する緊急情報検知工程と、前記検知された緊急情報を含む携帯端末信号を前記変調信号に変換する変調信号変換工程と、前記変換された緊急情報を含む変調信号を電波として出力する変調信号出力工程とを備える携帯端末制御方法。
【0044】
(付記7)前記変調信号変換工程が、前記変調信号としてFM信号を用いる付記6記載の携帯端末制御方法。
【0045】
(付記8)受信される電波の状態に基づいて、現在地が電波の受信不可能な電波圏外かを判断する電波圏外判断工程と、前記電波圏外の場合に、前記変調信号を受信するための周波数を検索する受信周波数検索工程とを備える付記6又は付記7記載の携帯端末制御方法。
【0046】
(付記9)前記緊急情報を含む変調信号を受信した場合に、当該受信した周波数とは異なる周波数に当該変調信号を変更する周波数変更工程を備え、前記変調信号出力工程が、前記周波数を変更された変調信号を電波として出力する付記6ないし付記8記載の携帯端末制御方法。
【0047】
(付記10)前記変調信号出力工程が、一定時間及び/又は一定回数の範囲内で前記変換された変調信号の出力を繰り返す付記6ないし付記9に記載の携帯端末制御方法。
【0048】
(付記11)携帯端末間の通信時に中継されて文字情報及び/又は音声情報を含む携帯端末信号を受信する携帯端末信号受信手段してコンピュータを機能させ、災害時に配信される緊急情報を当該携帯端末信号として受信する携帯端末制御プログラムにおいて、変調信号を受信する変調信号受信手段、前記携帯端末信号及び前記変調信号に含まれる文字情報及び/又は音声情報を受信情報として記憶する文字情報記憶手段、前記記憶された文字情報に基づいて前記緊急情報の配信を検知する緊急情報検知手段、前記検知された緊急情報を含む携帯端末信号を前記変調信号に変換する変調信号変換手段、前記変換された緊急情報を含む変調信号を電波として出力する変調信号出力手段としてコンピュータを機能させる携帯端末制御プログラム。
【0049】
(付記12)前記変調信号変換手段が、前記変調信号としてFM信号を用いる付記11記載の携帯端末制御プログラム。
【0050】
(付記13)受信される電波の状態に基づいて、現在地が電波の受信不可能な電波圏外かを判断する電波圏外判断手段、前記電波圏外の場合に、前記変調信号を受信するための周波数を検索する受信周波数検索手段を備える付記11又は付記12記載の携帯端末制御プログラム。
【0051】
(付記14)前記緊急情報を含む変調信号を受信した場合に、当該受信した周波数とは異なる周波数に当該変調信号を変更する周波数変更手段を備え、前記変調信号出力手段が、前記周波数を変更された変調信号を電波として出力する付記1ないし付記13記載の携帯端末制御プログラム。
【0052】
(付記15)前記変調信号出力手段が、一定時間及び/又は一定回数の範囲内で前記変換された変調信号の出力を繰り返す付記11ないし付記14に記載の携帯端末制御プログラム。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末の構成を示すブロック図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末のデータレイアウト例及び格納データ例
【図3】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末を中心とする全体構成図
【図4】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末のフローチャート
【図5】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末の発信周波数確定のフローチャート
【図6】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末のFM信号受信のフローチャート
【図7】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末のFM受信起動フラグデータを追加したブロック図及びFM受信起動フラグデータの設定値例
【符号の説明】
【0054】
10 携帯端末
10a、10b 携帯端末
10A、10B 携帯端末
1 携帯端末信号受信手段
2 変調信号受信手段
3 受信情報記憶手段
3a 緊急情報テーブル
4 緊急情報検知手段
5 変調信号変換手段
6 変調信号出力手段
7 電波圏外判断手段
7a FM受信起動フラグデータ
8 受信周波数検索手段
8a 周波数管理テーブル
9 周波数変更手段
100 基地局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末間の通信時に中継されて文字情報及び/又は音声情報を含む携帯端末信号を受信する携帯端末信号受信手段を備え、災害時に配信される緊急情報を当該携帯端末信号として受信する携帯端末において、
変調信号を受信する変調信号受信手段と、
前記携帯端末信号及び前記変調信号に含まれる文字情報及び/又は音声情報を受信情報として記憶する受信情報記憶手段と、
前記記憶された受信情報に基づいて前記緊急情報の配信を検知する緊急情報検知手段と、
前記検知された緊急情報を含む携帯端末信号を前記変調信号に変換する変調信号変換手段と、
前記変換された緊急情報を含む変調信号を電波として出力する変調信号出力手段とを備える
携帯端末。

【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末において、
前記変調信号変換手段が、前記変調信号としてFM信号を用いる
携帯端末。

【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の携帯端末において、
受信される電波の状態に基づいて、現在地が電波の受信不可能な電波圏外かを判断する電波圏外判断手段と、
前記電波圏外の場合に、前記変調信号を受信するための周波数を検索する受信周波数検索手段とを備える
携帯端末。

【請求項4】
請求項1ないし請求項3に記載の携帯端末において、
前記緊急情報を含む変調信号を受信した場合に、当該受信した周波数とは異なる周波数に当該変調信号を変更する周波数変更手段を備え、
前記変調信号出力手段が、前記周波数を変更された変調信号を電波として出力する
携帯端末。

【請求項5】
請求項1ないし請求項4に記載の携帯端末において、
前記変調信号出力手段が、一定時間及び/又は一定回数の範囲内で前記変換された変調信号の出力を繰り返す
携帯端末。

【請求項6】
携帯端末間の通信時に中継されて文字情報及び/又は音声情報を含む携帯端末信号を受信する携帯端末信号受信工程を備え、災害時に配信される緊急情報を当該携帯端末信号として受信する携帯端末制御方法において、
変調信号を受信する変調信号受信工程と、
前記携帯端末信号及び前記変調信号に含まれる文字情報及び/又は音声情報を受信情報として記憶する文字情報記憶工程と、
前記記憶された文字情報に基づいて前記緊急情報の配信を検知する緊急情報検知工程と、
前記検知された緊急情報を含む携帯端末信号を前記変調信号に変換する変調信号変換工程と、
前記変換された緊急情報を含む変調信号を電波として出力する変調信号出力工程とを備える
携帯端末制御方法。

【請求項7】
携帯端末間の通信時に中継されて文字情報及び/又は音声情報を含む携帯端末信号を受信する携帯端末信号受信手段してコンピュータを機能させ、災害時に配信される緊急情報を当該携帯端末信号として受信する携帯端末制御プログラムにおいて、
変調信号を受信する変調信号受信手段、
前記携帯端末信号及び前記変調信号に含まれる文字情報及び/又は音声情報を受信情報として記憶する文字情報記憶手段、
前記記憶された文字情報に基づいて前記緊急情報の配信を検知する緊急情報検知手段、
前記検知された緊急情報を含む携帯端末信号を前記変調信号に変換する変調信号変換手段、
前記変換された緊急情報を含む変調信号を電波として出力する変調信号出力手段としてコンピュータを機能させる
携帯端末制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−68324(P2010−68324A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233537(P2008−233537)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】