説明

携帯端末システム、携帯端末、通信モード切替方法及びプログラム

【課題】通信モードの切り替えによる無駄な電力消費を防止することが可能な携帯端末システム、携帯端末、通信モード切替方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】近距離通信装置と、前記近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替える制御部を備える携帯端末と、からなる携帯端末システムにおいて、前記制御部は1ないし複数の通信方式の通信モードに切り替え後に圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式を含まない通信方式の通信モードへ切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離通信機能付き携帯端末に関し、特に複数の通信モードを利用可能な携帯端末の携帯端末システム、携帯端末、通信モード切替方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の内線のように使われる無線LAN機能付き携帯電話機においては、特に建物内等の無線LAN環境にあるエリアで使用するときに限り無線LANモード(無線LAN機能の通信モード)を動作させ、無線LAN環境のないエリアでは省電力化の観点から無線LANモードをキー操作により停止させ、通信モードの切替を行うシステムが考えられるが、このようなシステムは通信モードの切り替えのためのキー操作が煩わしいという問題がある。
【0003】
また、無線LANエリアの入り口等に非接触リーダ/ライタ(R/W)を設置し、該エリアに入るときに非接触リーダ/ライタ(R/W)に携帯電話機等の情報処理装置をかざすことにより、移動体通信網上の通信モードに加えて無線LANの通信モードを追加するように切り替えるシステムシステムが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−319878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線LANエリアの入り口等に設置した非接触リーダ/ライタにより、それまで携帯電話機等の情報処理装置に設定されていた移動体通信網上の通信モードに加えて、自動的に無線LANの通信モードを追加するように切り替えるシステムは、ユーザの操作が不要であるから利便性が高いが、無線LANエリア内において、必ずしも無線LAN環境が整っていなかったり、当該エリアでは移動体通信網上の通信環境にない場合等があり、このような場合には、何れか又は複数の通信モードの稼動により無駄な電力消費が生じる。
【0005】
本発明の目的は、通信モードの切り替えによる無駄な電力消費を防止することが可能な携帯端末システム、携帯端末、通信モード切替方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の携帯端末システムは、近距離通信装置と、前記近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替える制御部を備える携帯端末と、からなる携帯端末システムにおいて、前記携帯端末の制御部は1ないし複数の通信方式の通信モードに切り替え後に圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式を含まない通信方式の通信モードへ切り替えることを特徴とする。
【0007】
本発明の第1の携帯端末は、近距離通信装置と近距離通信が可能な非接触通信部と、前記非接触通信部が前記近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替える制御部とを備える携帯端末であって、前記制御部は1ないし複数の通信方式の通信モードに切り替え後に、圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式を含まない通信方式の通信モードへ切り替えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の通信モード切替方法は、携帯端末の通信モード切替方法であって、近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替えるステップと、前記通信モードに切り替え後に圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式を含まない通信方式の通信モードへ切り替えるステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の第1のプログラムは、携帯端末の通信モード切替用のプログラムであって、近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替えるステップと、前記通信モードに切り替え後に圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式を含まない通信方式の通信モードへ切り替えるステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯端末の自動的な圏内の通信方式への通信モードの切り替えにより無駄な電力消費を防止することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の携帯端末システム、携帯端末、通信モード切替方法及びプログラムの実施形態について説明する。
【0012】
図1は本発明の第1の実施形態の携帯端末システム、携帯端末、通信モード切替方法及びプログラムを示す図である。本実施形態の携帯端末システムは、図1(a)に示すように、1ないし複数の通信方式(同図(a)は携帯電話機網を使った移動体通信の例)が利用可能な通信環境のエリアAと、1ないし複数の通信方式(同図(a)は移動体通信及び無線LANの例)が利用可能な通信環境のエリアBとからなり、エリアBの入り口等に設置した非接触ICカード等を搭載した近距離通信装置2及びユーザが携帯する近距離通信機能付き携帯端末1から構成される。
【0013】
ユーザの携帯端末1がエリアAにおいて、1ないし複数の通信方式の通信モードで動作中に、ユーザの移動に伴いエリアBに移動する際、携帯端末1が近距離通信装置2と近距離通信を行うと、エリアBに設定された1ないし複数の通信方式に通信モードが切り替わり、この後、携帯端末1は切り替わった1ないし複数の通信方式が圏外か否かを判断し、圏内のみの通信方式に切り替わる。例えば、同図(a)の場合、移動体通信網及び無線LANの両方が圏内の場合は移動体通信網及び無線LANの両方の通信方式に切り替わり、一方が圏内の場合は当該一方の通信方式に切り替わる。
【0014】
また、本実施形態の通信モード切替方法は、図1(a)に示す携帯端末システムに係る携帯端末の通信モード切替方法であって、図1(b)に示すように、近距離通信装置2との近距離通信を行うステップ(S01)と、予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替えるステップ(S02)と、前記通信モードに切り替え後に圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式を含まない通信方式の通信モードへ切り替えるステップ(S03)と、を含む。以上のような通信モードの切り替えにより無駄な電力消費が節約される。
【0015】
(第2の実施形態)
図2は本発明の第2の実施形態の携帯端末の構成を示す図である。
【0016】
本携帯端末1は、端末全体の制御を行う制御手段である制御部10、ユーザの入力操作に対するインターフェースとしてのユーザ操作部11、各種データや制御部10の制御プログラムを格納する格納手段としてのROM(Read Only Memory)、制御部10のワークエリアとしての使用や、一時的なユーザ設定を格納するRAM(Random Access Memory)等からなるメモリ12、本携帯端末1の電源部13、制御部10の指示により各種表示が可能なLCD(Liquid Crystal Display)14、携帯電話機網で通信する場合の無線部となる携帯電話機無線部15、無線LAN通信を行う場合の無線部となる無線LAN無線部16、及び非接触ICカード等が搭載された近距離通信装置2に接近時に近距離通信(非接触近距離無線通信)により、非接触ICカード等からの信号を受信する非接触ICカード読取等を行う無線部としての非接触通信部17を備える。また、制御部10は携帯端末1を制御する端末制御部101、非接触通信部17からのデータを制御する非接触通信制御部102として機能する。
【0017】
ここで、端末制御部101は、ユーザ操作部11からの入力操作による近距離通信装置2に搭載されている非接触ICカードの識別情報等の登録機能と、切り替える通信モードの選択情報等の登録機能と、非接触通信制御部102からの前記非接触ICカードとの通信の通知を受け、選択された通信モードに切り替える制御機能と、を有する。
【0018】
つまり、非接触通信制御部102は、非接触通信部17が近距離通信装置2の非接触ICカードと近距離無線通信を行った場合に、当該非接触ICカードの識別情報等を検出して端末制御部101に通知し、端末制御部101は前記非接触ICカードの識別情報等を受信すると、該非接触ICカードが予め登録された非接触ICカードか否かを判断し、登録された非接触ICカードの場合に、予め選択、設定されている通信モード(移動体通信方式、無線LAN通信方式、移動体通信方式と無線LAN通信方式等)に基づいて、現時点の通信モード(例えば移動体通信方式)から予め選択、設定されている通信モード(例えば移動体通信方式と無線LAN通信方式等)に切り替える。
【0019】
(第2の実施形態の動作)
本発明の第2の実施形態の動作をフローチャートにより以下説明する。本実施形態の携帯端末は、切り替える通信モードとして、携帯電話機網を使った移動体通信ベアラのみや無線LANのみのような1つの通信ベアラだけの通信モードだけでなく、複数のベアラを選択することが可能であるが、第2の実施形態として、携帯電話機網を使った移動体通信の通信モードから、同携帯電話機網を使った移動体通信及び無線LAN通信の通信モードへの切り替えを行う場合について以下説明する。
【0020】
図3は第2の実施形態の処理フローチャートを示す図である。
まず、ユーザはユーザ操作部11の操作により、あらかじめ携帯端末の非接触通信機能を起動させ、非接触ICカードの読取機能を稼動状態とし、あらかじめ通信モードの切り替え制御のトリガとなる近距離通信装置2の非接触ICカードの識別情報等をメモリ等に記録することにより携帯端末1に登録するとともに、前記非接触ICカードの読取時に切り替えるべき通信モードを選択する(S11)。
【0021】
ここで非接触ICカードの読取り機能の起動は、ユーザのキー操作による起動や、折りたたみ型携帯端末の場合には折り畳まれた状態から開いた状態にすることに連動させて起動させるように構成することができ、また、他の設定手段とすることもできる。本実施形態では、ユーザは切り替え先の通信モードとして、携帯電話機網を使った移動体通信と無線LANによる通信の各通信モードを選択、設定する。
【0022】
次に、ユーザは携帯端末を携帯して所定エリアの入り口等に移動し、当該入り口等に設置された近距離通信装置2の該非接触ICカードの配置箇所に携帯端末をかざすと、携帯端末は非接触通信部17で前記非接触ICカードの識別情報等を読み取り、非接触通信制御部102は非接触ICカードの識別情報等を入力し端末制御部101に通知する(S12)。
【0023】
端末制御部101は、非接触通信制御部102から通知された識別情報等により、近距離通信装置2の非接触ICカードが登録された非接触ICカードであるか否かを判断する(S13)。
【0024】
端末制御部101は入力した非接触ICカードの識別情報等により事前に登録された近距離通信装置であると判定すると、あらかじめ選択されていた通信ベアラである携帯電話機網を使った移動体通信と無線LANによる通信を許可する通信モードに切り替える(S14)。次に端末制御部101は、携帯電話無線部15及び無線LAN無線部16を制御し、携帯電話機網を使った移動体通信と無線LANによる通信の通信モードによる電界強度のサーチ処理を行い(S15)。各通信モードの通信方式の圏内の情報等を取得する処理により、圏内か圏外かを判定する(S16)。
【0025】
端末制御部101はサーチ処理の結果、何れの通信方式でも圏内が検出された場合、携帯電話機網を使った移動体通信と無線LANによる通信の通信モードへの切り替えを確定する(S16、NO)。
【0026】
また、ステップS16で何れかの通信方式で圏外が検出された場合は(S16、YES)、すべて圏内か否かを判断し(S17)、すべて圏外でなく、圏内がある場合は、圏内のみの通信モードへ切り替える(圏内だけの通信方式が許可された通信モードとする)(S18)。つまり、携帯電話機網を使った移動体通信と無線LANによる通信の通信モードの圏内のみの通信モードへ切り替える。
【0027】
更にステップS17ですべて圏外の場合は、ステップS14で切り替えた通信モードを元に戻す(S19)。つまり、携帯電話機網を使った移動体通信の通信モードに切り替える。
【0028】
また、ステップS13で近距離通信装置2の非接触ICカードが携帯端末1に登録されていない非接触ICカードの場合は、端末制御部101は通信モードを切り替えることなく、それぞれまでの携帯電話機網を使った移動体通信を許可する通信モードのままとする(S20)。
【0029】
本実施形態によれば、自動的な圏内の通信方式への通信モードの切り替えにより無駄な電力消費を抑制できる。また、非接触ICカードの登録と、切り替える通信モードの選択、設定とを行っておくことにより、切替え先の通信方式への切り替えを簡単に行うことができる。また、複数の非接触ICカードの登録とそれぞれの通信モードの選択、設定を行うことにより、非接触ICカード別の通信方式への切り替えを関連付けて行うことが可能であるから、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0030】
(第3の実施形態)
第2の実施形態は携帯端末が建物等の入り口等を通過時に通信モードの切り替えを行うものであるが、近距離通信装置2からのトリガにより切り替えた通信モードで、直ちに当該通信方式が圏内(圏外)が検出できる環境にない場合があり得る。このような状況への対応として切り替えた通信方式で電界強度のサーチ処理を所定回数行って圏内(圏外)を検出して最終的な通信方式の切り替え処理を行う。
【0031】
第3の実施形態は、携帯端末1の制御部10は非接触通信制御部103で非接触ICカード等を搭載した近距離通信装置から非接触ICカードの識別情報を受信し、端末制御部101が設定された通信モードに切り替える機能、及び切り替えた通信モードの無線部(携帯電話無線部15、無線LAN無線部16等)のサーチ処理を所定回数N(例えばN=3)実施して圏内(圏外)を検出して通信モードの切り替え処理を行う機能を備える。
【0032】
図4は本発明の第3の実施形態の処理フローチャートを示す図である。第3の実施形態の処理動作はステップS31からS34(S41)までは第2の実施形態と同様である。
【0033】
つまり、ユーザはあらかじめユーザ操作部11により携帯端末1の非接触通信機能を起動させ、非接触ICカードの読取機能を稼動状態とし、あらかじめ通信モードの切り替え制御のトリガとなる近距離通信装置2の非接触ICカードの識別情報を携帯端末に登録するとともに、前記非接触ICカードの読取時に切り替えるべき通信モードを選択する。例えば、切り替え先の通信モードとして、携帯電話機網を使った移動体通信と無線LANによる通信の各通信モードを選択、設定する(S31)。
【0034】
次に、ユーザは携帯端末を携帯して所定エリアの入り口等に移動し、当該入り口等に設置された近距離通信装置2の非接触ICカードの配置箇所に携帯端末をかざすと、携帯端末は非接触通信部17で前記非接触ICカードの識別情報等を読み取り、非接触通信制御部102は非接触ICカードの識別情報等を入力し端末制御部101に通知する(S32)。
【0035】
端末制御部101は、非接触通信制御部102から通知された識別情報等により、該非接触ICカードが登録された近距離通信装置であるか否かを判断する(S33)。端末制御部101は入力した識別情報等により事前に登録された近距離通信装置である判定すると、あらかじめ選択されていた通信ベアラである携帯電話機網を使った移動体通信と無線LANによる通信を許可する通信モードに切り替える(S34)。また、ステップS33で登録されていない近距離通信装置の場合は、通信モードを切り替えることなく、それぞれまでの携帯電話機網を使った移動体通信を許可する通信モードのままとする(S41)。
【0036】
そして、第3の実施形態のステップS36以降の動作が第2の実施形態の動作と異なる。つまり、端末制御部101は、切替後の携帯電話無線部15及び無線LAN無線部16を制御し、携帯電話機網を使った移動体通信と無線LANによる通信の各通信方式の通信モードによるサーチ処理を行い(S35)。各通信方式が圏内か圏外かを判定する(S36)。
【0037】
端末制御部101は、サーチ処理の結果から何れの通信方式でも圏内が検出された場合、携帯電話機網を使った移動体通信と無線LANによる通信の通信モードへ切り替えを確定する(S36、NO)。
【0038】
また、ステップS36で何れかの通信方式で圏外(圏内の非検出)が検出された場合は(S36、YES)、サーチ処理の回数を判断し(S37)、1(<N)回目であれば、2回目のサーチ処理を実施し(S35)、再度、各通信モードの通信方式で何れかで圏外が検出されたか否かを判断し(S36)、何れの通信方式も圏内が検出された場合は、通信モードへの切り替えを確定し、また、何れかの通信方式で圏外が検出された場合は、同様にステップS37、S35を繰り返す。
【0039】
この後、ステップS37でサーチ処理の回数がN回目と判断された場合(S37、YES)、すべて圏外か否かを判断し(S38)、何れかの通信方式で圏内が検出された場合(S38、NO)、当該圏内のみの通信モードへ切り替える(S39)。また、ステップS38ですべての通信方式で圏外が判定された場合は(S38、YES)、端末制御部101は通信モードを元の通信モード(携帯電話機網を使った移動体通信)に戻す切り替えを行う(ステップS40)。
【0040】
(第4の実施形態)
第2、第3の実施形態においては、通信モードの切り替えに関して説明したが、実際には通信モードの切り替え時には携帯端末の設定を変更する場合がある。例えば、無線LANの場合では無線LAN通信といってもセキュリティ設定やチャネル設定などの、各無線LAN環境・アクセスポイントに応じた設定が必要である。これらの設定はプロファイルと呼ばれるが、その都度、キー操作を行うのは煩わしいので、通信モードの切り替えとともに携帯端末のプロファイルなどの設定を変更するように構成することができる。
【0041】
図5は本発明の第4の実施形態の処理フローチャートを示す図である。本実施形態ではユーザ操作部11からのプロファイル設定操作により、端末制御部101は通信モードの切替時のプロファイル設定をメモリ等に記憶し、該記憶情報により非接触ICカードの読取と連動して通信モードの切り替えと同時にプロファイルなどの設定変更を行う制御機能を有する。
【0042】
図5に示すステップS52〜S57、S61の処理は図3に示すステップS12〜S17、S20と同様である。
【0043】
ユーザはユーザ操作部11を通して非接触通信機能を起動させて非接触ICカード及び切替える通信モードをあらかじめ携帯端末に登録するとともに、非接触ICカード読取時に切り替える通信ベアラとモード切替後の設定を確定しておく(S51)。
【0044】
非接触通信部17により非接触ICカードが読み取られると(S52)、それが登録された非接触ICカードであるか否かを端末制御部101にて判断する(S53)。端末制御部101が登録された非接触ICカードと判定すると、あらかじめ選択された通信ベアラを許可するモードへ切り替え(S54)、モード切替後の通信方式による電界強度のサーチを行い(S55)、切り替えた通信方式で全て圏内が検出された場合は(S56、NO)、切り替えた通信方式の携帯端末の設定を行う(S58)。
【0045】
また、切り替えた通信方式に一部圏内の通信方式が検出された場合は(S57、NO)、当該通信方式のみの通信方式に切替えるとともに、携帯端末の設定を行う(S59)。また、全てが圏外である場合は(S57、YES)、通信モードを元に戻す(S60)。
【0046】
本実施形態によれば、自動的な圏内の通信方式への通信モードの切り替えにより無駄な電力消費を抑制できる。また、非接触ICカードの登録と、切り替える通信モード及びプロファイルの選択、設定を行っておくことにより、切り替え先の通信方式への切り替えとプロファイル変更を行うことができる。また、複数の非接触ICカードの登録とそれぞれの切り替え通信モードの選択、設定、プロファイル変更などを行うことにより、非接触ICカード別の通信方式への切り替えとプロファイル変更を関連付けて行うことも可能であるから、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0047】
(第5の実施形態)
本実施形態は第4の実施形態と同様に第3の実施形態で通信モードの切り替えと同時に携帯端末のプロファイルなどの設定を変更するようにしたものである。
【0048】
図6は本発明の第5の実施形態の処理フローチャートを示す図である。本実施形態でもユーザ操作部11からのプロファイル設定操作により、端末制御部101は通信モードの切替時のプロファイル設定をメモリ等に記憶し、該記憶情報により非接触ICカードの読取と連動して通信モードの切り替えと同時にプロファイルなどの設定を行う制御機能を有する。
【0049】
図6に示すステップS72〜S78、S82の処理は図4に示すステップS32〜S37、S41と同様である。
【0050】
ユーザはユーザ操作部11を通して非接触通信機能を起動させて非接触ICカード及び切替える通信モードをあらかじめ携帯端末に登録するとともに、非接触ICカード読取時に切り替える通信ベアラとモード切替後の設定を確定しておく(S71)。
【0051】
非接触通信部17により非接触ICカードが読み取られると(S72)、それが登録された非接触ICカードであるか否かを端末制御部101にて判断する(S73)。端末制御部101が登録された非接触ICカードと判定すると、あらかじめ選択された通信ベアラを許可するモードへ切り替え(S74)、モード切替後の通信方式による電界強度のサーチを行い(S75)、切替えた通信方式が全て圏内が検出された場合は(S76、NO)、切り替えた通信方式の携帯端末の設定を行う(S79)。
【0052】
また、N回のサーチで(S77)切替えた通信方式に一部圏内の通信方式が検出された場合は(S78、NO)、当該通信方式のみの通信方式に切替えるとともに、携帯端末の設定を行う(S80)。また、全てが圏外である場合は(S78、YES)、通信モードを元に戻す(S81)。
【0053】
本実施形態によれば、自動的な圏内の通信方式への通信モードの切り替えにより無駄な電力消費を抑制できる。また、複数の非接触ICカードを携帯端末に登録しておくことによって、その非接触ICカードとプロファイルの設定とが関連付けることが可能であり、例えば切替先の無線LANのプロファイル変更など、非接触ICカード別の切替え先の通信方式の設定変更を簡単に行うことができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0054】
(他の実施形態)
以上の実施形態においては、通信環境の異なるエリアの境界エリアへ移動時にそれまでの通信方式と切り替え先の通信方式として、携帯電話機網を使った移動体通信から同携帯電話機網を使った移動体通信と無線LAN通信モードへの切り替えの例で説明したが、本発明は1ないし複数の通信方式の切り替えに切り替え元の1ないし複数の通信方式との関係から各種の組み合わせが適用可能である。
【0055】
図7は本発明の通信モードの切り替え例を示す図である。同図(a)〜(c)に示すように、携帯電話機網を使った移動体通信と無線LSN通信の間の切り替え、携帯電話機網を使った移動体通信と携帯電話機網を使った移動体通信及び無線LSN通信の間の切り替え、無線LSN通信と携帯電話機網を使った移動体通信と及び無線LSN通信の間の切り替え、が可能であり、更に、無線LSN通信と携帯電話機網を使った移動体通信はそれぞれ1〜複数とすることが可能である。また更に、PHS通信、その他の通信方式の組み合わせとすることが可能である。
【0056】
また、ユーザが携帯端末に事前に非接触ICカード等の登録及び切り替え通信モードの選択、設定を行う構成例を示したが、非接触ICカード等の登録は携帯端末に予め設定するように構成してよいし、切り替え通信モードはエリアの境界等の非接触ICカード等を搭載する近距離通信装置側から指定するようにし、携帯端末の接近時に前記近距離通信装置から指定信号を出力し、携帯端末は前記指定信号を受信して通信モードを切り替えるように構成することができる。
【0057】
また、以上の各実施形態において、通信モードの切り替え前後で同じ通信方式が許可される場合には、同じ通信方式でのサーチを省略し、許可されていなかった通信方式でのみサーチを行うように構成することができる。例えば、携帯電話機網を用いた移動体通信のみが許可されたモードから、移動体通信と無線LANの双方を許可する通信モードへ切り替える場合には、無線LAN無線部16を用いて帰属可能な無線LANアクセスポイントが存在するか否かをサーチすればよく、切り替え前の通信モードで許可されていた通信方式である携帯電話機網を使った移動体通信のサーチを改めて行う必要はない。サーチの結果、無線LAN通信が圏外の場合には、携帯電話機網を使った移動体通信のみの通信モードのままとするように構成できる。
【0058】
更に、携帯端末の一方のエリアから他方のエリアへの移動時の近距離通信装置との通信による通信モードの切り替え動作を説明したが、本発明は他方のエリアから一方のエリアへの移動時にも適用可能である。この場合、新たな近距離通信装置を設置することで実施することが可能であるが、一方のエリアから他方のエリアへの移動した情報を携帯端末に記憶させることにより、他方のエリアから一方のエリアへの移動時にも同一の近距離通信装置との通信により、当該情報に基づいて元の通信モードに切り替えるように構成することが可能である。この場合にも以上の各実施形態の処理が適用できることは明らかである。
【0059】
次に、本発明の以上の実施形態の処理は、ハードウェアにより実行させることが可能であるとともに、ソフトウェアにより実行させることが可能である。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、以上の各実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをメモリ12等の記憶部に格納し、制御部を構成するコンピュータ(CPU、MPU(Micro Processing Unit))が前記記憶部に格納されたプログラムコードを読み込み、前記端末制御部101及び非接触通信制御部102等の機能を実現するように構成する。
【0060】
また、プログラムコードを記憶した記憶媒体を使用し、この記憶媒体からプログラムコードを読み出し、前記記憶部に格納することができる。記録部へのプログラムの格納は、必要に応じて携帯電話無線部15、無線LAN無線部16等を介して、ローカルエリアネットワーク、インターネット等の通信媒体を利用して行われるように構成することができる。
【0061】
この場合も前記記憶媒体又は記憶部のプログラムコード自体が以上説明した各実施形態の機能を実現することになり本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、磁気ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、不揮発性のメモリーカード等とすることができる。
【0062】
各実施形態も制御部を構成するCPUは記憶部のプログラムを読み込み、読み込んだプログラムにより制御され、キー操作部から入力される指令に応じて、以上説明した各種の機能を実現する処理を実行する。
【0063】
以上説明したように、携帯電話機網を用いた移動体通信と無線LAN通信のように複数の通信方式を利用できる携帯端末に非接触ICカード等の情報を読み込ませるだけで、ユーザがキー操作することなく、圏内の通信方式の通信モードに切り替えることができるため、本発明により利便性が向上するとともに、無駄な電力消費を抑制することが可能となる。
【0064】
本発明の各実施形態は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施形態の携帯端末システム、携帯端末、通信モード切替方法及びプログラムを示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の携帯端末の構成を示す図である。
【図3】第2の実施形態の処理フローチャートを示す図である。
【図4】本発明の第3の実施形態の処理フローチャートを示す図である。
【図5】本発明の第4の実施形態の処理フローチャートを示す図である。
【図6】本発明の第5の実施形態の処理フローチャートを示す図である。
【図7】本発明の通信モードの切り替え例を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 携帯端末
2 近距離通信装置
11 ユーザ操作部
12 メモリ
13 電源部
14 LCD
15 携帯電話無線部
16 無線LAN無線部
17 非接触通信部
101 端末制御部
102 非接触通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離通信装置と、前記近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替える制御部を備える携帯端末と、からなる携帯端末システムにおいて、前記携帯端末の制御部は1ないし複数の通信方式の通信モードに切り替え後に圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式を含まない通信方式の通信モードへ切り替えることを特徴とする携帯端末システム。
【請求項2】
前記携帯端末の制御部は、ユーザ操作部からの操作により前記近距離通信装置及び切り替える前記1ないし複数の通信方式を予め登録、設定することを特徴とする請求項1記載の携帯端末システム。
【請求項3】
前記携帯端末の制御部は、ユーザ操作部からの操作により切り替える通信方式の端末設定を予め設定し、前記圏外の通信方式を含まない通信方式への切り替え時に端末設定を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の携帯端末システム。
【請求項4】
前記携帯端末の制御部は、前記切り替え後の通信方式が全て圏外の場合に通信モードを切り替え前の通信方式の通信モードに切り替えることを特徴とする請求項1から3の何れかの請求項記載の携帯端末システム。
【請求項5】
前記携帯端末の制御部は、前記切り替え後の通信方式で電界強度のサーチを行い、所定回数のサーチでも圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式を含まない通信方式の通信モードへ切り替えることを特徴とする請求項1から4の何れかの請求項記載の携帯端末システム。
【請求項6】
前記通信モードの切り替えは、少なくとも携帯電話機網を使った移動体通信方式と無線LAN通信との間の切り替えを含むことを特徴とする請求項1から5の何れかの請求項記載の携帯端末システム。
【請求項7】
前記近距離通信は、非接触ICカードによる通信であることを特徴とする請求項1から6の何れかの請求項記載の携帯端末システム。
【請求項8】
近距離通信装置と近距離通信が可能な非接触通信部と、前記非接触通信部が前記近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替える制御部とを備える携帯端末であって、前記制御部は1ないし複数の通信方式の通信モードに切り替え後に、圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式を含まない通信方式の通信モードへ切り替えることを特徴とする携帯端末。
【請求項9】
前記制御部は、ユーザ操作部の操作により前記近距離通信装置及び切り替える前記1ないし複数の通信方式を予め登録、設定することを特徴とする請求項8記載の携帯端末。
【請求項10】
前記制御部は、ユーザ操作部の操作により切り替える通信方式の端末設定を予め設定し、前記圏外の通信方式を含まない通信方式への切り替え時に端末設定を行うことを特徴とする請求項8又は9記載の携帯端末。
【請求項11】
前記制御部は、前記切り替え後の通信方式が全て圏外の場合に通信モードを切り替え前の通信方式の通信モードに切り替えることを特徴とする請求項8から10の何れかの請求項記載の携帯端末。
【請求項12】
前記制御部は、前記切り替え後の通信方式で電界強度のサーチを行い、所定回数のサーチでも圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式を含まない通信方式の通信モードへ切り替えることを特徴とする請求項8から11の何れかの請求項記載の携帯端末。
【請求項13】
前記通信モードの切り替えは、少なくとも携帯電話機網を使った移動体通信方式と無線LAN通信との間の切り替えを含むことを特徴とする請求項8から12の何れかの請求項記載の携帯端末。
【請求項14】
前記近距離通信は、非接触ICカードによる通信であることを特徴とする請求項8から13の何れかの請求項記載の携帯端末。
【請求項15】
携帯端末の通信モード切替方法であって、近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替えるステップと、前記通信モードに切り替え後に圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式を含まない通信方式の通信モードへ切り替えるステップと、を含むことを特徴とする通信モード切替方法。
【請求項16】
前記携帯端末のユーザ操作部の操作により前記近距離通信装置及び切り替える前記1ないし複数の通信方式を予め登録、設定するステップを含むことを特徴とする請求項15記載の通信モード切替方法。
【請求項17】
前記携帯端末のユーザ操作部の操作によりユーザ操作部の操作により切り替える通信方式の端末設定を予め設定するステップを含み、前記圏外の通信方式を含まない通信方式へ切り替えるステップは、当該切り替え時に端末設定を行うことを特徴とする請求項15又は16記載の通信モード切替方法。
【請求項18】
前記制御部は、前記切り替え後の通信方式が全て圏外の場合に通信モードを切り替え前の通信方式の通信モードに切り替えるステップを含むことを特徴とする請求項15から17の何れかの請求項記載の通信モード切替方法。
【請求項19】
前記制御部は、前記切り替え後の通信方式で電界強度のサーチを行い、所定回数のサーチでも圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式を含まない通信方式の通信モードへ切り替えるステップを含むことを特徴とする請求項15から18の何れかの請求項記載の通信モード切替方法。
【請求項20】
前記通信モードの切り替えは、少なくとも携帯電話機網を使った移動体通信方式と無線LAN通信との間の切り替えを行うステップを含むことを特徴とする請求項15から19の何れかの請求項記載の通信モード切替方法。
【請求項21】
前記近距離通信は、非接触ICカードによる通信であることを特徴とする請求項15から20の何れかの請求項記載の通信モード切替方法。
【請求項22】
携帯端末の通信モード切替用のプログラムであって、近距離通信装置との近距離通信時に予め設定された1ないし複数の通信方式の通信モードへ切り替えるステップと、前記通信モードに切り替え後に圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式を含まない通信方式の通信モードへ切り替えるステップと、を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項23】
前記携帯端末のユーザ操作部の操作により前記近距離通信装置及び切り替える前記1ないし複数の通信方式を予め登録、設定するステップを含むことを特徴とする請求項22記載のプログラム。
【請求項24】
前記携帯端末のユーザ操作部の操作により切り替える通信方式の端末設定を予め設定するステップを含み、前記圏外の通信方式を含まない通信方式へ切り替えるステップは、当該切り替え時に端末設定を行うことを特徴とする請求項22又は23記載のプログラム。
【請求項25】
前記制御部は、前記切り替え後の通信方式が全て圏外の場合に通信モードを切り替え前の通信方式の通信モードに切り替えるステップを含むことを特徴とする請求項22から24の何れかの請求項記載のプログラム。
【請求項26】
前記制御部は、前記切り替え後の通信方式で電界強度のサーチを行い、所定回数のサーチでも圏外の通信方式を検出した場合に、当該圏外の通信方式を含まない通信方式の通信モードへ切り替えるステップを含むことを特徴とする請求項22から25の何れかの請求項記載のプログラム。
【請求項27】
前記通信モードの切り替えは、少なくとも携帯電話機網を使った移動体通信方式と無線LAN通信との間の切り替えを行うステップを含むことを特徴とする請求項22から26の何れかの請求項記載のプログラム。
【請求項28】
前記近距離通信は、非接触ICカードによる通信であることを特徴とする請求項22から27の何れかの請求項記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−103645(P2010−103645A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271332(P2008−271332)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】