説明

携帯端末装置、解錠装置及び解錠方法

【課題】携帯端末装置に格納した解錠データ等の各種の制御データについて、セキュリティを低下させることなく、利用性を拡大させる。また、特定の制御データのみの使用により、目的とする機能を実現する。
【解決手段】通信機能を備えた携帯端末装置4Aであって、制御データ(鍵データ)を格納する記録媒体(ICカード8)と、データ提供手段(カード同期通信部602)とを備える。そして、通信を確立させた他の携帯端末装置4Bから識別情報を受け、該識別情報により特定人か否かを判断する。特定人であると判定した場合、前記記録媒体から前記制御データを読み出し、前記識別情報を受けた前記携帯端末装置に前記制御データを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアの解錠データ等の各種制御データの処理に用いられる装置及び方法に関し、例えば、特定人が持つ携帯端末装置等に解錠データ等の制御データを転送することを可能にした携帯端末装置、解錠装置及び解錠方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯端末装置にICカードが内蔵され、このICガードに格納された電子データを用いてドアロックを解除することが知られている。このような電子データをロック解除に用いるドアでは、携帯端末装置を部屋に置き忘れて外出すると、オートロックされたドアの解錠ができない。
【0003】
このようなドアロックの解錠に関し、ドアのテンキーから暗証番号を入力して解除すること(特許文献1)や、携帯電話機から所定のコード信号を送信し、そのコード信号に基づき、ドア解錠を行うこと(特許文献2)、サーバに予め電話番号を登録した携帯電話機から認証情報をドアロック制御手段に送信し、ドアロックを解除すること(特許文献3)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−082038号公報
【特許文献2】特開平10−317748号公報
【特許文献3】特開2005−060949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ドアロックの解錠操作に携帯端末装置を用いることは、その携帯性や操作性に優れ、暗証番号等の秘密情報を第三者に知られることなく解錠操作が行える等、セキュリティ保証の観点からも利便性が高い。オートロック機能を備えたドアの施錠では、携帯端末装置を部屋に置き忘れると、ドアロックの解錠が不可能になるが、この状態から暗証番号を用いて解錠可能とすることは、解錠の面からすれば、利便性は高められるものの、セキュリティ低下が否めない。
【0006】
また、ユーザが予め登録した携帯端末装置に解錠手段を限定すると、オートロックで施錠された部屋にその携帯端末装置を閉じ込めた場合には、キーロックを解除する手段を失う。しかし、この場合も多様な解錠手段を設定すると、その分だけセキュリティが低下することになる。
【0007】
このように簡易な暗証番号や複数の解錠手段を併用することなく、即ち、高度なセキュリティを維持しつつ、解錠を可能にすることが要請されている。
【0008】
このように、解錠データ等の各種の制御データの取扱いに関し、セキュリティの低下を来すことなく、特定人であれば多様な使用を可能にすることがデータ処理機能上から求められている。
【0009】
斯かる要求や課題について、特許文献1〜3にはその開示や示唆はなく、それを解決する構成等についての開示や示唆はない。
【0010】
そこで、本開示の携帯端末装置、解錠装置又は解錠方法の目的は、解錠データ等の各種の制御データをセキュリティを低下させることなく、利用性を拡大させることにある。
【0011】
また、本開示の携帯端末装置、解錠装置又は解錠方法の他の目的は、解除データ等の特定の制御データのみの使用により、目的とする機能を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本開示の携帯端末装置、解錠装置又は解錠方法は、携帯端末装置や解錠装置の通信機能を利用し、提供される識別情報を用いて特定人であるか否かを特定する。特定人であると特定された際には、通信を確立している携帯端末装置に制御データ、又は解錠装置に解錠データを提供する。従って、解錠データ等の各種の制御データをセキュリティ低下を伴うことなく、制御データの利用性を拡大させることができる。また、解除データ等の特定の制御データのみの使用で、解錠等の目的とする機能を実現することができる。
【0013】
そこで、本開示の携帯端末装置は、通信機能を備えた携帯端末装置であって、記録媒体と、データ提供手段とを備える。記録媒体は、制御データを格納する。また、データ提供手段は、通信を確立させた他の携帯端末装置から識別情報を受け、該識別情報によって特定人か否かを判断する。特定人であると判断した場合に前記記録媒体から前記制御データが読出され、前記識別情報を受けた前記携帯端末装置に前記制御データが提供される。
【0014】
また、本開示の携帯端末装置は、通信機能を備えた携帯端末装置であって、情報取得手段と、データ取得手段と、記録媒体とを備える。前記情報取得手段は、利用者から識別情報を取得する。前記データ取得手段は、通信を確立させた他の携帯端末装置に対して前記識別情報を送信し、該携帯端末装置で前記利用者が特定人であると判断された場合に該携帯端末装置から制御データを取得する。前記記録媒体は、前記データ取得手段で取得した前記制御データを格納する。
【0015】
また、本開示の解錠装置は、通信機能を備えた解錠装置であって、記録媒体と、データ提供手段とを備える。前記記録媒体は、解錠データを格納する。また、前記データ提供手段は、通信を確立させた他の解錠装置から識別情報を受け、該識別情報によって特定人か否かを判断する。特定人であると判断した場合に前記記録媒体から前記解錠データを読出し、前記識別情報を受けた前記解錠装置に前記解錠データが提供される。
【0016】
また、本開示の解錠方法は、携帯端末装置を用いる解錠方法であって、特定人判断ステップと、解錠データ提供ステップとを含む。前記特定人判断ステップは、通信を確立させた他の携帯端末装置から識別情報を受け、該識別情報により特定人か否かを判別する。また、前記解錠データ提供ステップは、特定人であると判定した場合に解錠データが格納された記録媒体から前記解錠データを読み出して前記携帯端末装置に提供する。
【発明の効果】
【0017】
本開示の携帯端末装置、解錠装置又は解錠方法によれば、次のような効果が得られる。
【0018】
(1) 解錠データ等の各種の制御データをセキュリティレベルの低下を伴うことなく、制御データの利用性の拡大を図ることができる。
【0019】
(2) 解除データ等の特定の制御データのみの使用で、解錠等の目的とする機能を実現することができ、セキュリティを維持することができる。
【0020】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】解錠システムの構成を示す図である。
【図2】携帯端末装置のカード同期通信機能部の構成例を示す図である。
【図3】携帯端末装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図4】ICカードのハードウェア構成例を示す図である。
【図5】メモリの一例を示す図である。
【図6】開状態における携帯電話機の構成を示す図である。
【図7】携帯電話機による解錠実行の状態を示す図である。
【図8】カード同期通信処理のフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態に係る解錠システムの通信確立処理を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態に係るカード同期通信処理を閉めすフローチャートである。
【図11】他の実施の形態に係るPDAの前面側の構成を示す図である。
【図12】他の実施の形態に係るPDAの背面側の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1の実施の形態〕
【0023】
第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は、解錠システムの一例を示す図である。図1に示す構成は一例であって、本発明は斯かる構成に限定されるものではない。
【0024】
この解錠システム2は、通信機能を備える携帯端末装置又は解錠装置の一例である。この解錠システム2では、携帯端末装置等で取り扱う制御データとして、例えば、解錠データ、即ち、ドア等のキーロックを解錠する鍵データがある。そして、この鍵データを格納している第1の携帯端末装置から、利用権限を有する特定人であるとの判断を受けた場合、その鍵データの転送を受けた第2の携帯端末装置で第1の携帯端末装置に代わって解錠が行える。即ち、鍵データ等の制御データの利用性が拡大される。この解錠システム2は、図1に示すように、解錠を行うための鍵データを備えた第1の携帯端末装置4A、キーロックの解錠を行う利用者が、解錠処理の実行時に所持している第2の携帯端末装置4B等で構成される。
【0025】
これらの携帯端末装置4A及び携帯端末装置4Bは、例えば、カード同期通信機能部6、ICカード8、生体情報センサ10等で構成されている。カード同期通信機能部6は、後述する個人識別処理や携帯端末装置4Aと携帯端末装置4Bとの間で、各種のデータ通信及び/又はデータ転送処理等の同期を取るための機能部である。ICカード8は、記録されている鍵データを利用した解錠装置の一例である。
【0026】
生体情報センサ10は、携帯端末装置4Bに備えられ、携帯端末装置4Bを所持する利用者が通信先である携帯端末装置4Aに格納されている制御データの利用権限を有する特定者か否かを識別するための識別情報を取得する識別情報取得手段の一例であって、識別情報として、指紋情報や静脈情報、虹彩情報等の生体情報を用いている。
【0027】
なお、この場合、識別用の生体情報データを取得する携帯端末装置4B側のみに生体情報センサ10を設置しているが、これに限られるものではなく、鍵データを送信する携帯端末装置4A側にも生体情報センサ10を備えてもよい。即ち、この解錠システム2による鍵データの転送では、元の解錠装置である携帯端末装置4Aの利用においても生体認証を行っており、この携帯端末装置4Aの利用権限を有している者に対して、携帯端末装置4B側においても、鍵データの利用を可能にするものである。
【0028】
このような構成において、この解錠システム2では、携帯端末装置4A、4Bの間でデータ通信の発信、データ通信の接続、指紋データの転送、ICカードデータである鍵データの転送、データ通信の切断の各処理が行われる。そして、解錠のための制御データである鍵データを携帯端末装置4Aから携帯端末装置4B側へとコピーし、格納することにより、解錠処理に用いられる携帯端末装置4B側に一時的に解錠機能を移すものである。そのため、携帯端末装置4A、4Bは、上記の構成を備えるとともに、同一又は同程度の構成及び機能を有するものである。
【0029】
即ち、携帯端末装置4Bがこの解錠システム2を利用して解錠を行う場合、キーロックに対するセキュリティを維持するため、その利用者が、解錠装置である携帯端末装置4Aの利用権限を有することを条件としている。例えば、取得した識別情報である生体情報を携帯端末装置4A側に送信し、携帯端末装置4A側で識別処理を行って、解錠データである鍵データの利用権限を有する特定者であると判断した場合には、携帯端末装置4Aの認証を得たとして携帯端末装置4B側へと鍵データの転送を行うこととしている。
【0030】
次に、携帯端末装置4A、4Bの構成について、図2、図3、図4及び図5を参照する。図2は、携帯端末装置のカード同期通信機能部の構成例を示す図、図3は、携帯端末装置のハードウェア構成例を示す図、図4は、ICカードのハードウェアの構成例を示す図、図5は、メモリの構成例を示す図である。図2、図3、図4及び図5に示す構成は一例であって、本発明は斯かる構成に限定されるものではない。また、図2、図3、図4及び図5において、図1と同一部分には、同一符号を付してある。
【0031】
これらの携帯端末装置4A、4Bは、ICカードを利用したドアロック等の解錠を行う解錠装置の一例であって、既述のように、カード同期通信機能部6を利用して鍵データの転送を行う。このカード同期通信機能部6には、図2に示すように、例えば、カード同期通信部602、ICカード制御部604、データ通信制御部606、呼制御部608、無線制御部610で構成されている。
【0032】
カード同期通信部602は、携帯端末装置4A、4B間で解錠用の制御データを転送して提供するデータ提供手段(携帯端末装置4A側)、又は該制御データを取得するデータ取得手段(携帯端末装置4B側)の一例である。そして、例えば、携帯端末装置4A、4BのCPU(Central Processing Unit)等でカード同期通信処理プログラムを実行することにより、ICカード制御部604に対して鍵データの読み出し指示、鍵データの転送、又は鍵データの書き込み指示を行う。また、後述するカード同期通信処理において、ICカード機能の制限、データの消去等に関する監視、指示を行う。
【0033】
ICカード制御部604は、ICカード8に対するデータの読み出しや書き込み処理に関する制御手段の一例であって、解錠データの転送処理において、ICカード8から鍵データの読み出し、又はICカード8に対して書き込みを行うための指示を出す。
【0034】
データ通信制御部606は、携帯端末装置4A、4B間のデータ通信を制御する手段の一例であって、携帯端末装置4A、4B間でICカード8に格納されている鍵データの転送処理や、個人識別を行うための生体情報の送受信等の制御を行う。
【0035】
呼制御部608は、CPU12(図3)の制御に基づき、呼制御を行う制御手段であって、基地局や解錠システム2を構成する携帯端末装置4A、4B間の呼を確立し、通話、メール送受信、鍵データ等の転送処理の間、接続を維持する。
【0036】
無線制御部610は、後述する無線部18(図3)の制御手段であって、CPU12の制御に基づき、メールやデータの送受信や通話のための送受信を含む無線制御を行うものである。
【0037】
また、携帯端末装置4A、4Bは、図3に示すように、ICカード8、生体情報センサ10、CPU12、メモリ14、生体照合装置16、無線部18、表示部20、操作入力部22等で構成されている。
【0038】
ICカード8は、既述のように、ドアロック等を解錠するための鍵データを格納する記録媒体であり、接触又は非接触形式で外部の読取り装置との間でデータの送受信を行う。このICカード8をドア等のロック装置等に備えられた読取り装置に近づけ、かざすことで格納された鍵データを送受信し、キーロックを解錠する。ICカード8は、図4に示すように、ICカード8内での演算処理を行うCPU82、ICカード8の制御プログラム等を記憶しているROM(Read Only Memory) 84、プログラムの実行処理等のワーキングエリアとして利用されるRAM(Random Access Memory) 86、例えばアンテナコイル等で構成され、非接触でデータ通信を行う外部通信端子88等で構成されている。このICカード8として、例えば、Felica(登録商標)等を利用してもよい。
【0039】
生体情報センサ10は、既述のように、利用者の生体情報を取得する手段であって、例えば、指紋センサ、静脈センサ等で構成されている。CPU12は、携帯端末装置4A、4Bの基本制御を規定したOS(Operating System)の実行や、後述するカード同期通信処理プログラム等に基づく演算処理を行う手段である。
【0040】
メモリ14は、プログラムや各種データを記憶するための記憶手段であって、図5に示すように、例えば、OSや解錠処理プログラム、鍵データを転送するカード同期通信処理プログラム、照合処理プログラム等を記憶するプログラム記憶部42、取得したデータを記憶するデータ記憶部44、このプログラムを実行するワーキングエリアとして用いられるRAM(Random Access Memory) 46等で構成されている。
【0041】
生体照合装置16は、携帯端末装置4Bの利用者が解錠処理を実行する権限を有する特定者か否かを識別する識別手段の一例であって、例えば、生体情報センサ10で取得した指紋情報や静脈情報の照合処理を行い、携帯端末装置4Aの利用権限を有する者の生体情報か否かの判断を行う。即ち、この解錠システム2では、解錠装置として設定された携帯端末装置4Aに記録されている鍵データを携帯端末装置4Bにコピーし、この携帯端末装置4Bを用いて解錠処理を行うことから、キーロックに対するセキュリティレベルを維持するために、取得した生体情報と登録情報との照合による認証を行う。
【0042】
無線部18は、無線通信を行うためのアンテナ50を備え、基地局等を介して携帯端末装置4A、4B間の電話機能、パケット通信機能等の無線通信を行う無線通信手段であって、通話、メールの送受信等を行う。この解錠システム2で利用する通信は、一般公衆回線を利用しており、鍵データの転送にはセキュリティを高めたセキュア通信を用いる。また、携帯端末装置4A、4B同士が近距離の場合には、データ転送が可能な近距離無線通信として、例えば赤外線通信やBluetooth (登録商標)等を利用してもよい。
【0043】
表示部20は、画面表示が可能なLCD(Liquid Crystal Display) 表示素子等で構成された表示手段であって、例えば、カード同期通信処理の実行指示画面やメール等を表示する表示画面を備える。
【0044】
操作入力部22は、情報入力手段であって、キーパッド部を備え、文字等の記号入力キーや表示情報を選択するカーソルキーや、選択された情報を決定する決定キー等を備える。
【0045】
次に、携帯電話機の外観構成について、図6及び図7を参照する。図6は、開状態における携帯電話機の構成を示す図、図7は、携帯電話機による解錠実行の状態を示す図である。なお、図6及び図7に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0046】
この携帯電話機60は携帯端末装置4A、4Bの一例であって、図6に示すように、第1の筐体部62と、第2の筐体部64とがヒンジ部66で開閉可能に連結されている。筐体部62にはカーソルキー、記号入力キー等を含む操作入力部68、音声入力部としてのマイクロフォン70、生体情報センサ72等が設置され、筐体部64には表示画面74を備える表示部76、レシーバ78等が設置されている。操作入力部68、生体情報センサ72、表示部76は、既述の操作入力部22、生体情報センサ10、表示部20に対応している。
【0047】
さらに、この携帯電話機60による解錠では、図7に示すように、例えば、筐体部62の内部にICカード80を備えており、ドア等のキーロックを解錠する場合には、携帯電話機60をロック装置90のリーダ・ライタ部92にかざして近づけることで、ICカード80に格納されている鍵データをリーダ・ライタ部92側に送信する。そして、ロック装置90では、受信した鍵データが制御部94で認識されることによりドア等のキーロックが解除される。
【0048】
次に、解錠方法又は解錠プログラムによるカード同期通信処理について、図8を参照する。図8は、カード同期通信処理を示すフローチャートである。なお、図8に示す処理内容は一例であって、これに限定されない。
【0049】
このカード同期通信処理では、例えば、ドア等のキーロックの解錠装置である携帯端末装置4Aを部屋の中に閉じ込めてしまった場合に、別の携帯端末装置4Bに解錠のための鍵データを転送して、部屋のキーロックの解錠を行う。即ち、この解錠システム2では、所持している携帯端末装置4Bにより、携帯端末装置4Aを遠隔操作し、解錠のための鍵データを携帯端末装置4B側へと転送させる処理を行う。
【0050】
そこで、携帯端末装置4Bでは、携帯端末装置4Aに対して、鍵データの送信指示をし、携帯端末装置4A、4B間でデータ送信を行うための通信状態を形成するが、このような遠隔操作によるデータの転送を行う場合、ロックされたドアに対して高度なセキュリティを維持する必要がある。そのため、鍵データを他の携帯端末装置4Bに転送する際に、その利用者に対して生体照合を行う。この照合により、鍵データの送信を求める携帯端末装置4Bの利用者が、本来の解錠装置である携帯端末装置4Aの利用権限を有するとの識別を受けた場合には、鍵データの転送を行い、携帯端末装置4Bで解錠を行う。
【0051】
カード同期通信処理では、まず携帯端末装置4A、4B間の通信状態を確立する。鍵データを要求する携帯端末装置4Bから携帯端末装置4Aに対してデータ通信を開始する(ステップS11)。このデータ通信では、携帯端末装置4B側から携帯端末装置4A側に対して、例えばベアラ(Bearer)通信等のパケット通信により「SET UP」の要求を送信すると、携帯端末装置4A側から「CALL CONF」の応答が返信され、自動着信により「CALL CONN」の応答が行われる(ステップS12)。これにより、携帯端末装置4A、4B間にデータ通信を確立する。この場合、例えば、携帯端末装置4A側では、携帯端末装置4Bからの「SET UP」の受信を契機にプログラム記憶部42に記憶されているカード同期通信プログラムを実行する。
【0052】
通信が確立したら、携帯端末装置4Aにおける照合処理に移行する。携帯端末装置4Bでは、生体情報センサ10で取得した、例えば、指紋等の生体情報のバイナリ(binary)データを携帯端末装置4A側に送信する(ステップS13)。指紋データを受信した携帯端末装置4Aでは、個人の識別処理として、受信した指紋データと、予め登録されている指紋データとの照合を行い、携帯端末装置4Bの利用者が携帯端末装置4Aの利用権限を有するか否かの指紋照合を行う(ステップS14)。この照合処理により、上記のように、本来のキーロックの解錠装置である携帯端末装置4Aの利用権限を有さない者に対して、鍵データの転送を行わないようにすることで、キーロックされているドア等に対するセキュリティを維持することができる。
【0053】
生体情報による照合処理が行われたら、その照合結果に応じて、鍵データの転送処理に移行する。指紋の照合結果が一致した場合(ステップS14のYES)、携帯端末装置4AではICカード制御部604によりICカード8(4A)からドアロック解徐用のICカードデータとして、ドアロック解除用のバイナリデータを読み出し、カード同期通信部602(4A)を介して携帯端末装置4B側へと転送を行う(ステップS15)。
【0054】
鍵データを受信した携帯端末装置4B側では、この鍵データであるドアロック解除用のバイナリデータをICカード制御部604(4B)を介してICカード8(4B)に格納して保存する(ステップS16)。そして、このドアロック解除用のバイナリデータを利用してドアロックの解除処理を行う(ステップS17)。
【0055】
ロック解除のための鍵データの転送処理、及びロック解除処理が終了したら、携帯端末装置4A、4B間の同期通信の終了処理に移行する。この場合、ドアロックの解除処理(ステップS17)を契機とし、又は利用者による携帯端末装置4Bの操作に応じて、携帯端末装置4A側に対してデータ通信を終了するための「CLEAR」の指示を送信する(ステップS18)。この「CLEAR」の指示を受けた携帯端末装置4A側では、データ通信終了処理として、通信の切断を行う(ステップS19)。
【0056】
データ通信終了指示に応じて、携帯端末装置4B側では、例えば、ICカード制御部604(4B)の指示により、ICカード8(4B)に記録されているICカードデータ(ドアロック解除用のバイナリデータ)の消去処理を行う(ステップS20)。即ち、この解錠システム2では、本来の解錠装置である携帯端末装置4Aに代えて、一時的に携帯端末装置4Bを解錠装置とするものであり、例えば、所定回数の解錠処理を行った場合や、携帯端末装置4Aとの通信が終了した場合には、解錠装置としての権限を消滅させる。
【0057】
また、携帯端末装置4Aにおける指紋照合処理において、照合データが不一致の場合(ステップS14のNO)、即ち、この利用者が携帯端末装置4Aの利用権限を有しない者であるので、ICカードデータであるドアロック解除用のバイナリデータの転送は行わずに、データ通信の終了処理に移行する(ステップS19)。
【0058】
なお、ここに示す個人識別処理では、生体照合の対象として指紋情報を利用したが、これに限られず、個人を特定できる生体情報であればよく、例えば、静脈情報や虹彩情報等を利用してもよい。また、携帯端末装置4A、4B間で送受信する指紋データや鍵データのデータ形式は、上記のようにコンピュータが処理可能なバイナリ形式のものであればよく、生体認証機能や解錠機能等のそれぞれの構成に適した形式であればよい。
【0059】
斯かる構成により、鍵データの利用権限を持つ特定人であれば、鍵データを転送して解錠等の機能操作を行えることから、制御データの利用性を拡大させることができる。これにより、他の複数の解錠手段の併用が不要となり、セキュリティレベルを維持することができる。また、携帯端末装置に鍵データを転送コピーする場合、利用権限を持つ特定人か否かの判断処理を行うことで、不正にデータ取得するのを防止でき、セキュリティレベルを維持することができる。さらに、鍵データをコピーした携帯端末装置に対しては、解錠処理の終了に応じて、そのデータを消去させることで、解錠可能な携帯端末装置が増えるのを防止するので、セキュリティレベルの低下を防ぐこともできる。本来の解錠装置である携帯端末装置によりロックを解除する場合と同程度の識別処理を行うことで、処理手順を増やすことなく、且つセキュリティレベルを落とすことなく、解錠することができる。
【0060】
以上説明した実施の形態の特徴事項や利点等を列挙すれば、以下の通りである。
【0061】
(1) 指紋センサ等を備えた携帯端末装置にカード同期通信機能を備える構成である。
【0062】
(2) 解錠機能を備えた携帯端末装置を室内等に置き忘れた状態でオートロックがかかってしまった場合でも、その携帯端末装置のICカード情報を利用してドアロックの解除をすることができる。
【0063】
(3) 解錠機能を備えた携帯端末装置のICカード情報を利用してドアロックを解除できるので、他の解錠手段として、例えば、暗証番号等を設ける必要がなく、セキュリティの低下を防止できる。
【0064】
〔第2の実施の形態〕
【0065】
次に、第2の実施の形態について、図9及び図10を参照する。図9は、第2の実施の形態に係る解錠システムの通信確立処理を示すフローチャート、図10は、第2の実施の形態に係るカード同期通信処理を示すフローチャートである。なお、図9及び図10に示す処理内容や処理手順は一例であって、これに限定されない。
【0066】
この実施の形態では、データ通信接続の確立における携帯端末装置4B側の処理内容の一例とともに、ドアロック解除用のカード情報である鍵データの転送処理の変形例について説明する。
【0067】
データ通信接続を確立するため、携帯端末装置4B側では、例えば、プログラム記憶部42に記憶されているカード同期通信処理プログラムを実行させて、カード同期通信機能を起動させる(ステップS31)。次に、データ通信を行う相手を設定する処理として、携帯端末装置4Aとカード同期する旨の選択を行う(ステップS32)。この選択では、例えば、接続先である携帯端末装置4Aの電話番号やネットワーク上のアドレス情報等を操作入力部22で入力してもよく、また、携帯端末装置4Bに予めカード同期通信処理が可能な端末装置を登録しておき、携帯端末装置4Bの利用者による選択入力を受けるようにしてもよい。
【0068】
接続先の選択をしたら、携帯端末装置4Aとの通信接続を開始する(ステップS33)。携帯端末装置4Bから携帯端末装置4A側に対してデータ通信接続をするための要求を発呼し、携帯端末装置4Aからの応答を受信する。これにより、高度なセキュリティを維持できるデータ通信を行うためのプロトコルとして、例えば、TCP(Transmission Control Protocol )コネクション/SSL(Secure Socket Layer )通信が確立する。
【0069】
このように、データ通信の確立が行われた後、図10に示すように、カード同期通信処理に移行する。
【0070】
このカード同期通信処理では、ドアロックに対するセキュリティレベルを高めるため、鍵データをコピー転送した場合には、携帯端末装置4A側において、ICカード8(4A)に記録されているドアロック解除用のカードデータ(鍵データ)を一時的に削除、又は無機能化する処理を行う。そして、携帯端末装置4B側において、解錠処理が行われたときには、その鍵データの復旧処理を行う。
【0071】
カード同期通信処理の開始として、携帯端末装置4Bから携帯端末装置4A側に対してカード同期通信処理の実行開始指示を送信し(ステップS41)、携帯端末装置4Aから携帯端末装置4Bにその応答を送信する(ステップS42)。この応答送信において、例えば、携帯端末装置4Aがカード同期通信を実行可能な状態か否かの情報を送信するようにしてもよい。
【0072】
携帯端末装置4A、4B間でカード同期通信処理の起動が確認された場合、既述のように、携帯端末装置4Bで取得した利用者の生体情報を携帯端末装置4A側に送信する(ステップS43)。携帯端末装置4A側において、生体情報の照合処理を行い(ステップS44)、登録されている生体情報と一致した場合(ステップS44のYES)、携帯端末装置4B側にドアロック解除用のカードデータである鍵データを送信する(ステップS45)。
【0073】
このカードデータを受信した携帯端末装置4Bでは、例えば、ICカード制御部604(4B)の指示により、ICカード8(4B)にこのカードデータを一時保存する(ステップS46)。そして、カードデータを保存したら、携帯端末装置4Bから携帯端末装置4A側に対して、受信した旨等の応答を送信する(ステップS47)。この応答の受信を契機として、携帯端末装置4A側では、例えばICカード制御部604(4A)の指示により、ドアロック解除用のカードデータを一時的に削除し、又は無効化する処理を行う(ステップS48)。即ち、ドア等のロックに対して、携帯端末装置4Aでの解錠を不可能にし、解錠可能な携帯端末装置を携帯端末装置4Bのみに制限している。
【0074】
そして、携帯端末装置4Bにおいて、ドアロック解除が行われると(ステップS49)、例えば、携帯端末装置4BのICカード制御部604(4B)の指示により、ドアロック解除用のカードデータの削除を行う(ステップS50)。
【0075】
カードデータの削除を行った場合、携帯端末装置4Bから携帯端末装置4Aにドアロック解除成功通知を送信する(ステップS51)。携帯端末装置4Aでは、例えば、この成功通知の受信を契機に、カード同期通信部602(4A)からICカード制御部604(4A)に対してドアロック解除用のカードデータの復旧指示を行う(ステップS52)とともに、携帯端末装置4B側に対して、成功通知に対する応答を送信する(ステップS53)。この成功通知の応答を受信したことを契機として、TCPコネクションを解放して、カード同期通信処理を終了する。
【0076】
また、携帯端末装置4Aにおける生体情報の照合処理において、登録されている生体情報と一致しなかった場合(ステップS44のNO)、特定の利用者ではないため、携帯端末装置4B側に対してエラー通知を行い(ステップS54)、TCPコネクションを解放して、カード同期通信処理を終了する。このエラー通知は、例えば、携帯端末装置4Bの表示部20に表示してもよい。
【0077】
なお、このカード同期通信処理において、ドアロック解除の成功通知(ステップS51)又は成功通知の応答(ステップS53)が送受信される前にこの解錠システム間のSSL通信が切断された場合には、その通信切断を契機に、ドアロックの解除権限を元の状態に戻すために、携帯端末装置4Aのドアロック解除用のカードデータを復旧させるとともに、携帯端末装置4Bに転送されたカードデータを消去する処理を行う。
【0078】
斯かる構成によっても、高度なセキュリティを維持しつつキーロックを解除することができる。また、ドアロック解除用のカードデータの受信応答に応じて携帯端末装置4A側のカードデータを無効力化させ、また、携帯端末装置4B側からのドアロック解除成功通知を受け、携帯端末装置4Aのカードデータ復旧後の応答通信の確認を契機に携帯端末装置4A間の通信を解除することで、ロック解除可能な携帯端末装置の数を一時的にも増やさないので、セキュリティレベルの維持を図ることができる。
【0079】
〔他の実施の形態〕
【0080】
(1) 上記実施の形態では、解錠装置を構成する携帯端末装置4A、4Bとして携帯電話機60(図6、図7)を例示したが、本発明は携帯電話機に限定されるものではなく、図11及び図12に示すように、携帯端末装置として例えば、携帯情報端末機(PDA:Personal Digital Assistant)100を用いてもよい。このPDA100は、データ通信機能やICカード機能を備え、例えば、前面側に表示画面102を備えた表示部104、カーソルキー等の操作入力部106を備え、背面側に生体情報センサ108、ICカード110を備えており、他のPDAや携帯電話機等の携帯端末装置との間で解錠システム2を構成することができる。また、携帯型のパーソナルコンピュータ(PC)等の通信機能を備え、データ転送が可能な機器を用いてもよい。斯かる構成によっても、セキュリティレベルを維持しつつ、鍵データ等の制御データの転送により、ドアロックの解錠等、利用性の拡大を図ることができる。
【0081】
(2) 上記実施の形態では、携帯端末装置4B側において、ロック解除処理を行った後のカードデータの削除処理(ステップS50:図10)への移行は、利用者によるカード同期通信処理の終了操作に基づいて行ってもよい。また、例えば、携帯端末装置4B側において、ICカード8からロック装置側へと鍵データを送信し、解錠処理を行ったことをICカード制御部604等で監視してもよく、所謂ワンタイムパス形式として、このデータ送信を契機に鍵データの削除処理モードに移行するようにしてもよい。斯かる構成によれば、携帯端末装置4Bにおいて、解錠処理が行われたことが把握され、鍵データの削除処理が確実に行われるので、セキュリティレベルの低下を防止することができる。
【0082】
(3) また、上記実施の形態では、携帯端末装置4B側におけるICカード8に記録したドアロック解除用の鍵データの削除処理は、ドアロックの解除動作を行ったことを契機としているが、これに限られず、例えば、携帯端末装置4Bにタイマー等の計時手段を設け、携帯端末装置4A側から鍵データを受信してから所定時間が経過したことを契機として鍵データの消去処理を行うようにしてもよい。また、同様に、携帯端末装置4Aにおいても、鍵データの転送から所定時間が経過したことを契機に解錠機能の復旧を行うようにしてもよい。斯かる構成によれば、ドアロック解除処理が実行されずに長時間が経過した場合でも、鍵データが携帯端末装置4B側に残ることがなく、本来の解錠権限を有する携帯端末装置4A側に戻るので、セキュリティを維持することができる。
【0083】
(4) 上記実施の形態では、携帯端末装置4Aでの識別処理に、携帯端末装置4Bで取得した生体情報を利用した生体照合のみを行っているが、これに限られず、例えば、生体照合処理と、暗証番号の入力による識別処理を併用してもよい。斯かる構成によれば、キーロックに対するセキュリティをより高めることができる。
【0084】
(5) 上記実施の形態では、携帯端末装置4Bで取得した生体情報を用いて携帯端末装置4A側で個人の識別を行っているが、これに限られず、取得した生体情報を携帯端末装置4Bで照合処理を行うようにしてもよい。この場合、例えば、解錠システム2により、携帯端末装置Aの照合情報を転送して照合を行うようにしてもよい。斯かる構成によれば、生体情報の取得と照合処理を同一の機器で行うので、識別判断がより迅速に行える。
【0085】
(6) 上記実施の形態では、転送された鍵データを例えば、ICカード8(4B)のRAM86に記憶しているが、これに限られず、携帯端末装置4Bのデータ記憶部44に記憶してもよい。そして、キーロックの解除実行時には、例えばICカード制御部604(4B)等により、データ記憶部44から鍵データを読み出して、ICカード8に転送するようにしてもよい。
【0086】
(7) 上記実施の形態では、携帯端末装置4Bによるロック解除処理を携帯端末装置4Aとの通信接続中に行っているが、これに限られず、通信終了後にロック解除を行うようにしてもよい。
【0087】
この場合、携帯端末装置4Bにおけるロック解除処理の実行可能期間、及び携帯端末装置4Aにおけるロック解除機能の制限期間は、例えば、データ通信の解除を契機に所定時間が経過することを計時し、この所定時間が経過したら、ロック解除データの復旧、及び消去処理を行うようにしてもよい。その他、携帯端末装置4Bにおけるロック解除処理の実行可能回数を決めて監視し、その回数分の解除処理が実行されたら携帯端末装置4Bから携帯端末装置4Aに対して再び通信を行い、ドアロック解除終了の通知を行うようにしてもよい。また、上記の構成を併用してもよく、解錠実行の回数が所定回数に達する前に所定時間が経過した場合や再度の通信が行われない場合には、携帯端末装置4A及び4Bにおいて、ロック解除データの削除又は復旧を行うようにしてもよい。斯かる構成によれば、セキュリティレベルを落とすことなく解錠処理を行えるとともに、解錠可能な携帯端末装置が増えるのを防止でき、高度なセキュリティを維持することができる。
【0088】
次に、以上述べた実施の形態から抽出される技術的思想を請求項の記載形式に準じて付記として列挙する。本発明に係る技術的思想は上位概念から下位概念まで、様々なレベルやバリエーションにより把握できるものであり、以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0089】
(付記1) 通信機能を備えた携帯端末装置であって、
制御データを格納する記録媒体と、
通信を確立させた他の携帯端末装置から識別情報を受け、該識別情報によって特定人か否かを判断し、特定人であると判定した場合に前記記録媒体から前記制御データを読み出し、前記識別情報を受けた前記携帯端末装置に前記制御データを提供するデータ提供手段と、
を備えることを特徴とする携帯端末装置。
【0090】
(付記2) 通信機能を備えた携帯端末装置であって、
利用者から識別情報を取得する情報取得手段と、
通信を確立させた他の携帯端末装置に対して前記識別情報を送信し、該携帯端末装置で前記利用者が特定人であると判定された場合に該携帯端末装置から制御データを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段で取得した前記制御データを格納する記録媒体と、
を備えることを特徴とする携帯端末装置。
【0091】
(付記3)
前記データ提供手段は、前記制御データの提供を行った場合、前記制御データの利用を制限することを特徴とする付記1記載の携帯端末装置。
【0092】
(付記4) 前記データ提供手段は、前記他の携帯端末装置に前記制御データの提供を行ってから所定期間が経過した場合、前記他の携帯端末装置との通信が切断した場合、又は前記他の携帯端末装置からの指示応答がある場合の少なくとも1つに該当する場合に、制限した前記制御データの利用を可能にすることを特徴とする付記3記載の携帯端末装置。
【0093】
(付記5) 前記データ取得手段は、前記制御データの取得から所定期間が経過した場合、前記携帯端末装置との通信が切断した場合、又は前記携帯端末装置からの指示応答がある場合の少なくとも1つに該当する場合に、取得した前記制御データを削除することを特徴とする付記2記載の携帯端末装置。
【0094】
(付記6) 前記制御データは、キーロックを解錠する解錠データであることを特徴とする付記1ないし5記載の携帯端末装置。
【0095】
(付記7) 通信機能を備えた解錠装置であって、
解錠データを格納する記録媒体と、
通信を確立させた他の解錠装置から識別情報を受け、該識別情報によって特定人か否かを判断し、特定人であると判断した場合に前記記録媒体から前記解錠データを読み出し、前記識別情報を受けた前記解錠装置に前記解錠データを提供するデータ提供手段と、
を備えることを特徴とする解錠装置。
【0096】
(付記8) 通信機能を備えた解錠装置であって、
利用者から識別情報を取得する情報取得手段と、
通信を確立させた他の解錠装置に対して前記識別情報を送信し、該解錠装置で前記利用者が特定人であると判断された場合に該解錠装置から解錠データを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段で取得した前記解錠データを格納する記録媒体と、
を備えることを特徴とする解錠装置。
【0097】
(付記9) 前記データ提供手段は、前記解錠装置に前記解錠データの提供を行った場合、前記解錠データの利用を制限することを特徴とする付記7記載の解錠装置。
【0098】
(付記10) 前記データ提供手段は、前記解錠装置に前記解錠データの提供から所定期間が経過した場合、前記解錠装置との通信が切断した場合、又は前記解錠装置からの指示応答がある場合の少なくとも1つに該当する場合に、制限した前記解錠データの利用を可能にすることを特徴とする付記9記載の解錠装置。
【0099】
(付記11) 前記データ取得手段は、前記解錠データの取得から所定期間が経過した場合、前記解錠装置との通信を切断した場合、又は前記解錠装置から応答がある場合の少なくとも1つに該当する場合に、取得した前記解錠データを削除することを特徴とする付記8記載の解錠装置。
【0100】
(付記12) 携帯端末装置を用いる解錠方法であって、
通信を確立させた他の携帯端末装置から識別情報を受け、該識別情報により特定人か否かを判別するステップと、
特定人であると判定した場合に解錠データが格納された記録媒体から前記解錠データを読み出して前記携帯端末装置に提供するステップと、
を含むことを特徴とする解錠方法。
【0101】
(付記13) 携帯端末装置を用いる解錠方法であって、
利用者の識別情報を取得するステップと、
通信を確立した他の携帯端末装置に対して上記識別情報を送信し、特定人であると判断を受けた場合に、該携帯端末装置から解錠データを取得するステップと、
取得した解錠データを記録媒体に格納するステップと、
を含むことを特徴とする解錠方法。
【0102】
(付記14) 前記他の携帯端末装置に前記解錠データの提供を行った場合、前記解錠データの利用を制限するステップを含むことを特徴とする付記12記載の解錠方法。
【0103】
(付記15) 前記携帯端末装置に前記解錠データの提供から所定期間が経過した場合、前記携帯端末装置との通信が切断した場合、又は前記携帯端末装置から応答がある場合の少なくとも1つに該当する場合に、制限した前記解錠データの利用を可能にするステップを含むことを特徴とする付記14記載の解錠方法。
【0104】
(付記16) 前記解錠データの取得から所定期間が経過した場合、前記携帯端末装置との通信が切断した場合、又は前記携帯端末装置から応答がある場合の少なくとも1つに該当する場合に、取得した前記解錠データを削除するステップを含むことを特徴とする付記13記載の解錠方法。
【0105】
(付記17) コンピュータで実現する解錠プログラムであって、
通信を確立した他の携帯端末装置から識別情報を受け、該識別情報により特定人か否かを判別する機能と、
特定人であると判定した場合に解錠データを格納している記録媒体から前記解錠データを読み出して前記携帯端末装置に提供する機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする解錠プログラム。
【0106】
(付記18) コンピュータで実現する解錠プログラムであって、
利用者の識別情報を取得する機能と、
通信を確立した他の携帯端末装置に対して上記識別情報を送信し、該携帯端末装置で特定人であると判断をされた場合に、該携帯端末装置から解錠データを取得する機能と、
取得した前記解錠データを記録媒体に格納する機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする解錠プログラム。
【0107】
以上説明したように、携帯端末装置、解錠装置、解錠方法及び解錠プログラムの実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本開示の携帯端末装置、解錠装置又は解錠方法は、携帯端末装置を利用した解錠操作において、特定された利用者が所持する携帯端末装置に解錠データ等の制御データを転送可能にすることで、セキュリティを低下させることなく、利用性を拡大させることができ、また、多様なの解錠手段を設けることがなく、解除データ等の特定の制御データのみを使用することで高いセキュリティレベルを維持することができ、有用である。
【符号の説明】
【0109】
2 解錠システム
4A、4B 携帯端末装置
6 カード同期通信機能部
8 ICカード
10 生体情報センサ
12 CPU
14 メモリ
16 生体照合装置
18 無線部
20 表示部
22 操作入力部
602 カード同期通信部
604 ICカード制御部
606 データ通信制御部
608 呼制御部
610 無線制御部
42 プログラム記憶部
44 データ記憶部
46 RAM
50 アンテナ
60 携帯電話機
72 生体情報センサ
74 表示画面
76 表示部
80 ICカード
82 CPU
84 ROM
86 RAM
88 外部通信端子
90 ロック装置
92 リーダ・ライタ部
94 制御部
100 PDA
102 表示画面
104 表示部
106 入力操作部
108 生体情報センサ
110 ICカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機能を備えた携帯端末装置であって、
制御データを格納する記録媒体と、
通信を確立させた他の携帯端末装置から識別情報を受け、該識別情報によって特定人か否かを判断し、特定人であると判定した場合に前記記録媒体から前記制御データを読み出し、前記識別情報を受けた前記携帯端末装置に前記制御データを提供するデータ提供手段と、
を備えることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
通信機能を備えた携帯端末装置であって、
利用者から識別情報を取得する情報取得手段と、
通信を確立させた他の携帯端末装置に対して前記識別情報を送信し、該携帯端末装置で前記利用者が特定人であると判定された場合に該携帯端末装置から制御データを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段で取得した前記制御データを格納する記録媒体と、
を備えることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
前記制御データは、キーロックを解錠する解錠データであることを特徴とする請求項1又は2記載の携帯端末装置。
【請求項4】
通信機能を備えた解錠装置であって、
解錠データを格納する記録媒体と、
通信を確立させた他の解錠装置から識別情報を受け、該識別情報によって特定人か否かを判断し、特定人であると判断した場合に前記記録媒体から前記解錠データを読み出し、前記識別情報を受けた前記解錠装置に前記解錠データを提供するデータ提供手段と、
を備えることを特徴とする解錠装置。
【請求項5】
携帯端末装置を用いる解錠方法であって、
通信を確立させた他の携帯端末装置から識別情報を受け、該識別情報により特定人か否かを判別するステップと、
特定人であると判定した場合に解錠データが格納された記録媒体から前記解錠データを読み出して前記携帯端末装置に提供するステップと、
を含むことを特徴とする解錠方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−209608(P2010−209608A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58148(P2009−58148)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(399076998)株式会社富士通ビー・エス・シー (56)
【Fターム(参考)】