説明

携帯端末装置及びプログラム

【課題】言語翻訳用の翻訳辞書を備えた携帯端末装置を介して相手とコミュニケーションを図る場合に、翻訳対象の情報が入力された際の当該端末筐体の変位に応じてその翻訳結果を出力できるようにする。
【解決手段】CPU1は、翻訳対象の情報が入力された際に、加速度センサ11によって検出された端末筐体の変位が特定の変位状況か否か判別し、特定の変位状況(例えば、端末筐体の傾き、上下の振り)であれば、翻訳対象として入力された情報を翻訳辞書TDで翻訳してその翻訳結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、言語翻訳用の翻訳辞書を備えた携帯端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、言語の翻訳を行う携帯端末装置は、簡単なコミュニケーションツールとして利用されている。この携帯端末装置を利用して対面相手と会話する際には、翻訳対象の情報(例えば、日本語)を入力すると共に、翻訳キーを操作してその翻訳結果(英語)を表示させたのち、対面相手にとつて翻訳結果が見易くなるように、つまり、その表示内容が相手側に向くように端末筐体を水平方向に180°回転させて端末筐体の向きを逆方向に変える。更に、端末筐体を180°回転させて元の向きに戻したのち、次の翻訳対象の情報を入力して翻訳キーを操作するという手順を何回も繰り返しながらコミュニケーションを図るようにしているが、このような煩雑な手順で会話を行うことは、手間がかかり、スピーディさに欠けるという問題がある。
【0003】
そこで、従来では、相手と互いに向かい合って応対を行う対面応対用のディスプレイ装置として、ディスプレイ画面を2分割して操作者用のウィンドウと相手用のウィンドウとに分けるようにした技術が知られている(特許文献1参照)。
また、第1言語に対する翻訳言語を反対向きに表示するようにした技術が知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平06−290016号公報
【特許文献2】特開平08−278972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術を、例えば、翻訳機能を備えた携帯端末装置に利用したものとすると、小さな端末画面を2つに分割するために、個々の分割画面は更に小さくなってその表示内容が見づらくなるほか、情報量が多くなって画面全体が煩雑な印象を受ける。また、翻訳を行う毎に翻訳開始を指示する翻訳キーを操作する必要もあり、操作性の向上という点でも問題が残る。上述したことは、特許文献2の技術についても同様であった。
【0005】
この発明の課題は、言語翻訳用の翻訳辞書を備えた携帯端末装置を介して相手とコミュニケーションを図る場合に、翻訳対象の情報が入力された際の当該端末筐体の変位に応じてその翻訳結果を出力できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、言語翻訳用の翻訳辞書を備えた携帯端末装置であって、当該端末筐体の変位を検出する検出手段と、翻訳対象の情報を入力する入力手段と、この入力手段から翻訳対象の情報が入力された際に、前記検出手段によって検出された変位が特定の変位状況か否かを判別する判別手段と、この判別手段によって特定の変位状況であると判別された際に、前記入力手段から入力された入力情報を前記翻訳辞書で翻訳してその翻訳結果を出力する翻訳手段と、を具備したことを特徴とする。
【0007】
請求項1に従属する発明として、前記判別手段は、前記検出手段によって検出された変位が、当該端末筐体が傾けられた際の特定の変位状況か否かに基づいて当該端末筐体が傾けられたか否かを判別する、ようにしたことを特徴とする請求項2記載の発明であってもよい。
【0008】
請求項1に従属する発明として、前記判別手段は、前記検出手段によって検出された変位が、当該端末筐体が振られた際の特定の変位状況か否かに基づいて当該端末筐体が振られたか否かを判別する、ようにしたことを特徴とする請求項3記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項1〜3いずれかに従属する発明として、前記翻訳手段は、前記判別手段によって特定の変位状況であると判別された際に、当該端末筐体の表示部に前記翻訳結果を出力する、ようにしたことを特徴とする請求項4記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項4に従属する発明として、前記判別手段は、前記検出手段によって検出された変位が、当該端末筐体が傾けられた際の特定の変位状況か否かに基づいて当該端末筐体が傾けられたか否かを判別し、前記翻訳手段は、前記判別手段によって当該端末筐体が傾けられたと判別された際に、当該端末筐体の傾き方向に応じて前記翻訳結果の表示向きを回転させて表示する、ようにしたことを特徴とする請求項5記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項5に従属する発明として、前記翻訳手段は、前記入力手段からの入力情報と前記翻訳結果を前記表示部に出力する際に、当該端末筐体の傾き方向に応じて前記翻訳結果と前記入力情報とが逆向きとなるように前記翻訳結果の表示向きを回転させて表示する、ようにしたことを特徴とする請求項6記載の発明であってもよい。
【0012】
請求項4に従属する発明として、前記判別手段は、前記検出手段によって検出された変位が、当該端末筐体が振られた際の特定の変位状況か否かに基づいて当該端末筐体が振られたか否かを判別し、前記翻訳手段は、前記判別手段によって当該端末筐体が振られたと判別された際に、前記翻訳結果と前記入力情報とを並列表示する、ようにしたことを特徴とする請求項7記載の発明であってもよい。
【0013】
請求項7に従属する発明として、前記表示部に前記翻訳結果と前記入力情報とが並列表示されている状態において、前記判別手段によって当該端末筐体が振られたと判別された際に、前記翻訳手段は、前記翻訳結果とは異なる他の翻訳結果を次候補として表示する、ようにしたことを特徴とする請求項8記載の発明であってもよい。
【0014】
請求項7に従属する発明として、前記判別手段は、前記検出手段によって検出された変位が、当該端末筐体が振られた際の特定の変位状況か否かに基づいて当該端末筐体が振られたか否かを判別するほか、当該端末筐体が傾けられた際の特定の変位状況か否かに基づいて当該端末筐体が傾けられたか否かを判別し、前記表示部に前記翻訳結果と前記入力情報とが並列表示されている状態において、前記判別手段によって当該端末筐体が傾けられたと判別された際に、前記翻訳手段は、当該端末筐体の傾きに応じて前記翻訳結果と前記入力情報とを逆向きに表示する、ようにしたことを特徴とする請求項9記載の発明であってもよい。
【0015】
請求項1に従属する発明として、前記入力手段から翻訳対象の情報として入力された音声情報を音声認識する音声認識手段を更に備え、前記翻訳手段は、前記判別手段によって特定の変位状況であると判別された際に、前記音声認識手段の音声認識結果を前記翻訳辞書によって翻訳すると共に、その翻訳結果を音声合成して出力する、ようにしたことを特徴とする請求項10記載の発明であってもよい。
【0016】
また、上述した課題を解決するために請求項11記載の発明は、コンピュータに対して、言語翻訳用の翻訳辞書を備えた端末筐体の変位を検出する機能と、翻訳対象の情報を入力する機能と、前記翻訳対象の情報が入力された際に、前記検出された変位が特定の変位状況か否か判別する機能と、前記特定の変位状況であると判別された際に、前記入力された入力情報を前記翻訳辞書で翻訳してその翻訳結果を出力する機能と、を実現させるためのプログラムを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、言語翻訳用の翻訳辞書を備えた携帯端末装置を介して相手とコミュニケーションを図る場合に、翻訳対象の情報が入力された際の当該端末筐体の変位に応じてその翻訳結果を出力することができ、キー操作や手順などを意識することなく、円滑なコミュニケーションを実現できるようにすることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図1〜図6を参照して本発明の実施形態を説明する。
この実施形態は、携帯端末装置として携帯電話装置に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話装置の基本的な構成要素を示したブロック図である。
この携帯電話装置は、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)などのほか、言語翻訳用の翻訳機能を備えている。この翻訳機能は、日本語を英語に翻訳する和英翻訳辞書と、日本語を中国語に翻訳する日中翻訳辞書と、日本語から韓国語に翻訳する日韓翻訳辞書とを有し、その中から所望する翻訳辞書が選択されると、この選択辞書を使用して翻訳可能となっている。
【0019】
CPU1は、記憶部2内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話装置の全体動作を制御する中核的な中央演算処理装置である。記憶部2は、内部メモリであり、プログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図4及び図5に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムが格納され、また、そのデータ領域には、入力音声を認識するための音声認識辞書VDと、日本語を複数の言語(英語、中国語、韓国語)のいずれかに翻訳可能な翻訳辞書TDと、この翻訳辞書TDを用いて翻訳された各翻訳結果を翻訳候補として一時記憶する翻訳候補メモリTCなどが設けられている。記録メディア3は、着脱自在な可搬型メモリ(外部メモリ)で、例えば、SDカード、ICカードなどによって構成され、撮影画像などを保存する。メモリ4は、ワーク領域を有する内部メモリであり、必要に応じてメモリ4内の各種のデータは、記憶部2にセーブされる。
【0020】
電話通信部5は、無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能の動作時に最寄りの基地局(図示せず)との間でデータの送受信を行う電話通信手段で、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、音声信号処理部6を介して通話用スピーカSPから音声出力させ、また、通話用マイクMCからの入力音声データを音声信号処理部6から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナから発信出力させる。
【0021】
操作部7は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行うもので、数値キー、文字キー、カーソルキーなどが設けられており、CPU1は、操作部7からの入力信号に応じた処理を実行する。表示部8は、例えば、高精細液晶あるいは有機ELを使用し、待受画像などを表示するもので、長方形の表示画面を有している。音声マイク9は、翻訳対象の音声情報(例えば、日本語)などを入力するもので、CPU1は、この音声マイク9から入力された翻訳対象の音声情報を取り込み、音声認識辞書VDを用いて音声認識する。そして、CPU1は、この認識結果(例えば、日本語文字列)を翻訳辞書TDを用いて翻訳したのち、その翻訳結果を表示部8から出力させたり、音声合成して音声スピーカ10から出力させたりする。
【0022】
加速度センサ11は、携帯電話装置の筐体(端末筐体)の変位を検出するセンサであり、前後・左右方向(略水平方向)、上下方向(略鉛直方向)の加速度ベクトルを検出可能な3軸タイプのセンサである。CPU1は、翻訳機能の動作中に加速度センサ11によって検出された端末筐体の変位が特定の変位状況か否か判別し、特定の変位状況であると判別した際に、翻訳対象として入力された音声情報を翻訳辞書TDで翻訳してその翻訳結果を出力するようにしている。
【0023】
この場合、CPU1は、加速度センサ11によって検出された変位が、当該端末筐体が傾けられた際の特定の変位状況か否かに基づいて当該端末筐体が傾けられたか否かを判別したり、当該端末筐体が上下に振られた際の特定の変位状況か否かに基づいて当該端末筐体が振られたか否かを判別したりするようにしている。なお、端末筐体が傾けられたとは、端末筐体が略水平方向から略鉛直方向に所定角度の範囲内において傾けられたことを意味し、端末筐体が上下に振られたとは、略鉛直方向において所定移動量の範囲内で上下動されたことを意味している。
【0024】
図2、図3は、翻訳機能の動作中において端末筐体の変位に応じて表示部8の表示内容が変化する様子を示した図である。
図2は、言語翻訳を介したコミュニケーション時において表示部8を構成する長方形の表示画面が縦長となるような向き(縦向き)で端末筐体が把持された状態を示した図である。この表示画面の長手方向において、図中、手前側にユーザ、また、その反対側に相手がいるものとすると、図2は、端末筐体の手前側が低くその反対側が高くなるように端末筐体が傾けられた状態、つまり、表示内容がユーザにとって見易くなるように端末筐体が仰角に傾けられた状態(ユーザ側に傾けられた状態)で把持された場合を示している。これとは逆に、端末筐体の手前側が高くその反対側が低くなるように端末筐体が傾けられた場合、つまり、表示内容が対面相手にとって見易くなるように端末筐体が俯角に傾けられた場合には、対面している相手側に傾けられた状態となる。
【0025】
表示画面が縦向きの状態において、図2に示すように端末筐体がユーザ側に傾けられている場合に、翻訳対象の情報として日本語の“こんにちは”が入力されると、この入力情報は画面の長手方向の一端部(ユーザ側端部)に正立した状態で横書き表示される。この状態において、端末筐体が相手側に傾けられると、この入力情報の翻訳を開始して、その翻訳結果である“Hello!”を画面の長手方向の他端部(相手側端部)に表示させるが、その際、翻訳結果は、ユーザ側から見ると逆向きの状態(倒立した状態)、つまり、相手側から見ると正立した状態で横書き表示される。
【0026】
図3は、長方形の表示画面が横長となるような向き(横向き)で端末筐体が把持された状態を示した図である。そして、上述した図2の場合と同様に、図3は、端末筐体の手前側が低くその反対側が高くなるように端末筐体が傾けられた状態(ユーザ側に傾けられた状態)で把持された場合を示している。これとは逆に、端末筐体の手前側が高くその反対側が低くなるように傾けられた場合には、対面している相手側に傾けられた状態となる。このように表示画面が横向きの状態において、端末筐体がユーザ側に傾けられていると、入力情報は表示画面に正立した状態で表示されるが、端末筐体が相手側に傾けられると、その翻訳結果はユーザ側から見ると逆向きの倒立した状態で表示される。
【0027】
次に、この実施形態における携帯電話装置の動作概念を図4及び図5に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施形態特有の動作を実行することもできる。
なお、図4及び図5は、携帯電話装置の全体動作のうち、本実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャートであり、この図4及び図5のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
【0028】
図4及び図5は、翻訳機能を起動させた翻訳モードにおいて実行開始される翻訳処理を示したフローチャートである。なお、図6は、翻訳機能の動作中において端末筐体の変位に応じて表示部8の表示内容が変化する様子を具体的に示した図で、以下、図6を参照しながら翻訳処理を具体的に説明するものとする。
先ず、CPU1は、英語、中国語、韓国語のメニュー項目として一覧表示する翻訳語メニューを出力させたのち(ステップS1)、このメニュー画面の中から所望するメニュー項目が選択されると(ステップS2)、この選択言語に対応する翻訳辞書TDが使用可能なアクティブ状態とすると共に(ステップS3)、音声マイク9からの音声入力待ち状態となる(ステップS4)。
【0029】
この音声入力待ち状態において、図6(1)に示すように、翻訳対象の情報として、例えば、“こんにちは”が音声マイク9から入力されると、CPU1は、この音声情報を音声認識辞書VDを用いて音声認識したのち(ステップS5)、加速度センサ11から端末筐体の変位を取得し(ステップS6)、この端末筐体の変位に基づいて端末筐体の向きとその傾きを決定する(ステップS7)。そして、この端末筐体の向きと傾きに応じて上述の音声認識結果(入力情報)を表示画面に表示させる(ステップS8)。
【0030】
例えば、画面の向きが縦長で端末筐体がユーザ側に傾けられている状態では、図2に示したように入力情報が正立した状態で横書き表示され、また、画面の向きが横長で端末筐体がユーザ側に傾けられている状態では、図3に示したように入力情報が正立した状態で横書き表示される。そして、加速度センサ11で端末筐体の変位が検出されたかを調べ(ステップS9)、端末筐体が変位していなければ、翻訳モードの終了を指示する終了操作が行われるまで(ステップS16)、上述のステップS9に戻り、端末筐体が変位したかを調べる。
【0031】
いま、端末筐体の変位が検出されると(ステップS9でYES)、CPU1は、その変位状況(所定時間当たりの振動数や振動の大きさなど)に基づいて端末筐体が上下に振られたかを調べる(ステップS10)。例えば、所定時間当たりの振動数は1秒間に2回以上、振動の大きさは2cm以上の場合に端末筐体が上下に振られたと判断する。いま、端末筐体が上下に振られたときには(ステップS10でYES)、この認識結果(入力情報)を翻訳済であるかを調べ(ステップS11)、翻訳前であれば、翻訳辞書TDを用いて認識結果を翻訳する処理を行う(ステップS12)。
【0032】
そして、翻訳結果を翻訳候補メモリTCに一時記憶させる(ステップS13)。なお、翻訳結果として複数の候補(例えば、Hello、Good Morning、…)が存在する場合には、この第1候補を除いて、それ以外の各候補だけを翻訳候補メモリTCに一時記憶させるようにしてもよい。そして、この翻訳結果の第1候補を入力情報と共に並列表示させる(ステップS14)。図6(2)は、この場合の表示状態を示したもので、翻訳結果の第1候補“Hello!”が入力情報“こんにちは”と共に並列表示された状態を示している。その後、上述のステップS9に戻る。
【0033】
続いて、再度、端末筐体が上下に振られたときには(ステップS10でYES)、上述のステップS11で翻訳済みであると判別される結果、翻訳候補メモリTCに一時記憶されている翻訳結果の中から次候補を抽出して入力情報と共に並列表示させる(ステップS15)。図6(3)は、この場合の表示状態を示したもので、第2候補“Good Morning”が入力情報“こんにちは”と共に並列表示された状態を示している。その後、上述のステップS9に戻る。
【0034】
一方、端末筐体が変位したが(ステップS9でYES)、上下に振られた場合でなければ(ステップS10でNO)、図5のフローに移り、俯角の角度などの変位状況に基づいて端末筐体が傾けられたかを調べる(ステップ17)。例えば、俯角の角度が45°±25°の範囲であれば、端末筐体が傾けられたと判断する。このように端末筐体が傾けられたときには、その傾き方向を決定する(ステップS18)。すなわち、端末筐体の手前側が高くその反対側が低くなるように傾けられたのか(相手側に傾けられたのか)、端末筐体の手前側が低くその反対側が高くなるように傾けられたのか(ユーザ側に傾けられたのか)を決定する。
【0035】
そして、今回の音声認識結果(入力情報)は翻訳済であるかを調べ(ステップS19)、翻訳の前であれば、翻訳辞書TDを用いて認識結果を翻訳する処理を実行したのち(ステップS20)、この翻訳結果を翻訳候補メモリTCに一時記憶させる(ステップS21)。なお、翻訳結果に複数の候補が有る場合に、この第1候補を除いて、それ以外の各候補だけを翻訳候補メモリTCに一時記憶させるようにしてもよい。その後、翻訳結果の第1候補を端末筐体の傾き方向に応じて追加表示させる(ステップS22)。
【0036】
図6(4)は、端末筐体が相手側に傾けられた状態での表示例を示した図である。
この場合、入力情報“こんにちは”の表示状態を変えずに、その翻訳結果の第1候補“Hello!”がユーザ側から見ると逆向きの状態(倒立した状態)、つまり、相手側から見ると正立した状態となるように翻訳結果の表示向きを180°回転させて横書き表示される。これによって入力情報と翻訳結果とは逆向きに表示される。そして、表示された翻訳結果を音声合成して音声スピーカ10から出力させたのち(ステップS24)、上述のステップS2に戻り、次の翻訳対象の音声入力待ちとなる。
【0037】
また、図6(2)に示す表示状態において、端末筐体が傾けられたときには(ステップS17でYES)、その傾き方向を決定する(ステップS18)。そして、次のステップS19では翻訳済みであると判別される結果、表示済みの翻訳結果の表示方向を、決定した傾き方向に変えて表示させる(ステップS23)。ここで、端末筐体が相手側に傾けられた場合には、図6(4)に示すように、翻訳結果“Hello!”が相手側に向くように180°回転させて表示させる。その後、この翻訳結果を音声合成して出力させたのち(ステップS24)、上述のステップS2に戻り、次の翻訳対象の音声入力待ちとなる。
【0038】
同様に、図6(3)に示す表示状態において、端末筐体が傾けられたときには(ステップS17でYES)、その傾き方向を決定する(ステップS18)。そして、次のステップS19では翻訳済みであると判別される結果、図6(5)に示すように翻訳結果“Good Morning”を相手側に表示させる。その後、この翻訳結果を音声合成して出力させたのち(ステップS24)、上述のステップS2に戻り、次の翻訳対象の音声入力待ちとなる。
【0039】
以上のように、この実施形態においてCPU1は、翻訳対象の情報が入力された際に、加速度センサ11によって検出された端末筐体の変位が特定の変位状況か否か判別し、特定の変位状況であれば、翻訳対象として入力された情報を翻訳辞書TDで翻訳してその翻訳結果を出力するようにしたので、異言語で相手とコミュニケーションを図る場合に、翻訳対象の情報が入力された際の当該端末筐体の変位に応じてその翻訳結果を出力することができ、キー操作や手順などを意識することなく、円滑なコミュニケーションを実現することができる。
【0040】
端末筐体が傾けられた際の特定の変位状況か否かに基づいて当該端末筐体が傾けられたか否かを判別するようにしたので、ユーザにあっては端末筐体を傾けるだけで翻訳結果を出力させることができる。
【0041】
端末筐体が傾けられた際の特定の変位状況か否かに基づいて当該端末筐体が振られたか否かを判別するようにしたので、ユーザにあっては端末筐体を振るだけで翻訳結果を出力させることができる。
【0042】
端末筐体の変位に応じて翻訳結果を表示させることができるので、その表示内容を端末筐体の変位に応じて変更することができる。
【0043】
端末筐体が傾けられた際に、この傾き方向に応じて翻訳結果の表示向きを回転させて表示するようにしたので、端末筐体自体を180°回転させなくとも表示内容を相手にとって見易い状態で表示させることができる。
【0044】
端末筐体の傾き方向に応じて翻訳結果と入力情報とが逆向きとなるように表示するようにしたので、ユーザ及び相手にとって表示内容を見易い状態で表示させることができる。
【0045】
端末筐体が振られた際に、翻訳結果と入力情報とを並列表示するようにしたので、ユーザにあっては端末筐体を振るだけで翻訳結果と入力情報とを見ることができる。
【0046】
翻訳結果と入力情報とが並列表示されている状態において、端末筐体が振られた際に、次候補を表示するようにしたので、ユーザにあっては端末筐体を振るだけで次候補を見ることができる。
【0047】
翻訳結果と入力情報とが並列表示されている状態において、端末筐体が傾けられた際に、この傾きに応じて翻訳結果と入力情報とを逆向きに表示するようにしたので、ユーザにあっては翻訳結果と入力情報を確認したのち、端末筐体を傾けるだけで翻訳結果に見せることができる。
【0048】
翻訳対象の入力音声を音声認識し、端末筐体の変位に応じて音声認識結果を翻訳してその翻訳結果を音声合成して出力するようにしたので、音声によるコミュニケーションが可能となる。
【0049】
なお、上述した実施形態においては、端末筐体の上下の振りを検出するようにしたが、端末筐体の左右の振りを検出するようにしてもよい。また、端末筐体の上下の振りと左右の振りとで異なるように翻訳結果の出力動作を制御するようにしてもよい。
【0050】
また、上述した実施形態においては、翻訳辞書として和英翻訳辞書、日中翻訳辞書、日韓翻訳辞書を示したが、翻訳辞書の種類はこれに限らず、英和翻訳辞書など任意である。
その他、携帯端末装置としては、携帯電話装置に限らず、例えば、翻訳機能付きのPDA(個人用の携帯情報端末)、携帯翻訳装置などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この実施形態は、表示端末装置として携帯電話装置に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話装置の基本的な構成要素を示したブロック図である。
【図2】表示画面が縦長となるような縦向きの状態において、端末筐体の変位(ユーザ側に傾けられた状態)に応じて表示部8の表示内容が変化する様子を示した図。
【図3】表示画面が横長となるような横向きの状態において、端末筐体の変位(ユーザ側に傾けられた状態)に応じて表示部8の表示内容が変化する様子を示した図。
【図4】翻訳機能を起動させた翻訳モードにおいて実行開始される翻訳処理を示したフローチャート。
【図5】図4に続くフローチャート。
【図6】(1)〜(5)は、翻訳機能の動作中において端末筐体の変位(端末筐体の傾き、上下の振り)に応じて表示部8の表示内容が変化する様子を具体的に示した図。
【符号の説明】
【0052】
1 CPU
2 記憶部
7 操作部
8 表示部
9 音声マイク
10 音声スピーカ
11 加速度センサ
VD 音声認識辞書
TD 翻訳辞書
TC 翻訳候補メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
言語翻訳用の翻訳辞書を備えた携帯端末装置であって、
当該端末筐体の変位を検出する検出手段と、
翻訳対象の情報を入力する入力手段と、
この入力手段から翻訳対象の情報が入力された際に、前記検出手段によって検出された変位が特定の変位状況か否かを判別する判別手段と、
この判別手段によって特定の変位状況であると判別された際に、前記入力手段から入力された入力情報を前記翻訳辞書で翻訳してその翻訳結果を出力する翻訳手段と、
を具備したことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記判別手段は、前記検出手段によって検出された変位が、当該端末筐体が傾けられた際の特定の変位状況か否かに基づいて当該端末筐体が傾けられたか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記判別手段は、前記検出手段によって検出された変位が、当該端末筐体が振られた際の特定の変位状況か否かに基づいて当該端末筐体が振られたか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記翻訳手段は、前記判別手段によって特定の変位状況であると判別された際に、当該端末筐体の表示部に前記翻訳結果を出力する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記判別手段は、前記検出手段によって検出された変位が、当該端末筐体が傾けられた際の特定の変位状況か否かに基づいて当該端末筐体が傾けられたか否かを判別し、
前記翻訳手段は、前記判別手段によって当該端末筐体が傾けられたと判別された際に、当該端末筐体の傾き方向に応じて前記翻訳結果の表示向きを回転させて表示する、
ようにしたことを特徴とする請求項4記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記翻訳手段は、前記入力手段からの入力情報と前記翻訳結果を前記表示部に出力する際に、当該端末筐体の傾き方向に応じて前記翻訳結果と前記入力情報とが逆向きとなるように前記翻訳結果の表示向きを回転させて表示する、
ようにしたことを特徴とする請求項5記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記判別手段は、前記検出手段によって検出された変位が、当該端末筐体が振られた際の特定の変位状況か否かに基づいて当該端末筐体が振られたか否かを判別し、
前記翻訳手段は、前記判別手段によって当該端末筐体が振られたと判別された際に、前記翻訳結果と前記入力手段から入力された入力情報とを並列表示する、
ようにしたことを特徴とする請求項4記載の携帯端末装置。
【請求項8】
前記表示部に前記翻訳結果と前記翻訳対象の情報とが並列表示されている状態において、前記判別手段によって当該端末筐体が振られたと判別された際に、前記翻訳手段は、前記翻訳結果とは異なる他の翻訳結果を次候補として表示する、
ようにしたことを特徴とする請求項7記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記判別手段は、前記検出手段によって検出された変位が、当該端末筐体が振られた際の特定の変位状況か否かに基づいて当該端末筐体が振られたか否かを判別するほか、当該端末筐体が傾けられた際の特定の変位状況か否かに基づいて当該端末筐体が傾けられたか否かを判別し、
前記表示部に前記翻訳結果と前記入力情報とが並列表示されている状態において、前記判別手段によって当該端末筐体が傾けられたと判別された際に、前記翻訳手段は、当該端末筐体の傾きに応じて前記翻訳結果と前記入力情報とを逆向きに表示する、
ようにしたことを特徴とする請求項7記載の携帯端末装置。
【請求項10】
前記入力手段から翻訳対象の情報として入力された音声情報を音声認識する音声認識手段を更に備え、
前記翻訳手段は、前記判別手段によって特定の変位状況であると判別された際に、前記音声認識手段の音声認識結果を前記翻訳辞書によって翻訳すると共に、その翻訳結果を音声合成して出力する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項11】
コンピュータに対して、
言語翻訳用の翻訳辞書を備えた端末筐体の変位を検出する機能と、
翻訳対象の情報を入力する機能と、
前記翻訳対象の情報が入力された際に、前記検出された変位が特定の変位状況か否か判別する機能と、
前記特定の変位状況であると判別された際に、前記入力された入力情報を前記翻訳辞書で翻訳してその翻訳結果を出力する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−33414(P2010−33414A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196254(P2008−196254)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】