説明

携帯端末装置及び指紋認証方法

【課題】指紋認証の際の指紋読み取りの成功確率を向上させる携帯端末装置及び指紋認証方法を提供する。
【解決手段】指紋認証部8は、2つの異なる指紋読取部、第1指紋読取部81と第2指紋読取部82とを有し、認証処理部83は、第1指紋読取部81が読み取った指紋データD1と、第2指紋読取部82が読み取った指紋データD2とを正規指紋データDRと比較することにより認証処理を行うが、指紋データD1とD2のうちいずれか一方のみ正規指紋データDRと適合した場合に、予め設定された設定内容に従って認証を行う。すなわち、指紋データD1とD2のうちの片方のみ適合していた場合に認証失敗と判定するか、或いは指紋データD1とD2のうちの片方のみ適合していた場合でも認証成功と判定するかが、予めされた設定によって変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指紋認証により特定の個人を認証可能な携帯端末装置及び指紋認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、携帯電話機等の携帯端末装置が非常に普及しており、多くの人が自分専用の携帯端末装置を所持するようになっている。
【0003】
これら個人が所持する携帯端末装置は、所有者の個人情報等、外部に漏らさない方がよい情報を記憶・保持するものが多い。このため、これらの携帯端末装置の中には、個人認証を行い、認証に成功しない人物の操作に対して応答しない、或いは限られた情報のみ開示するように構成されたものがある。
【0004】
例えば、特許文献1には、指紋認証手段を設けた携帯端末装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、個人認証の精度を向上させるために、顔画像による認証手段、音声による認証手段、指紋認証手段のうち、いずれか2つ以上を組み合わせて用い、個人認証を行う個人認証装置及び方法が開示されている。
【特許文献1】特開2006−311141号公報
【特許文献2】特開2000−259828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に開示された携帯端末装置は、折り畳み式の携帯端末においてヒンジ部に指紋認証手段を設け、ユーザが指を当てたり、なぞらせたりすることによって指紋を読み取り、個人認証を行っている。特許文献2においては、指紋認証の際の具体的な動作についての詳細は説明されていない。
【0007】
ところで、携帯端末装置(特に携帯電話機)は筐体のサイズが小さいものが多く、大きな指紋認証スペースをとることができない場合が多い。従って、例えば上述した特許文献1の携帯端末装置では、ユーザが指紋認証装置に軽く指をなぞらせただけでは、指をなぞらせる際の速度、なぞらせた指の面積等の要因によっては、指紋認証装置が指紋を読み取ることができない場合があった。また、ユーザの指の状態によっては、指紋認証装置が指紋を読み取ることができない場合があった。すなわち、静電容量により指紋を読み取る形式の指紋認証装置の場合には、指が湿っていたり、濡れていたりすると指紋を読み取ることができない場合があり、また、光学的に指紋を読み取る形式の指紋認証装置の場合には、指が汚れていると指紋を読み取ることができない場合があった。
【0008】
従って、指紋認証装置を有する携帯端末装置において、ユーザが指紋認証を行い携帯端末装置の各機能を利用しようとしても、指紋認証装置がうまく一度で指紋を読み取ることができず、使い勝手が悪い場合がある、という不利益があった。
【0009】
本発明は上記した不利益を解消するためになされたものであり、指紋認証の際の指紋読み取りの成功確率を向上させる携帯端末装置及び指紋認証方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、第1の発明の携帯端末装置は、指紋認証処理を行う指紋認証部と、記憶部と、を有し、前記指紋認証部は、指紋を読み取るための複数の指紋読取部と、前記複数の指紋読取部が指紋を読み取り生成した複数の指紋データを、正規のユーザの指紋データである正規指紋データと比較し、全ての指紋データが前記正規指紋データに適合する場合には認証成功であると判定し、全ての指紋データが前記正規指紋データに適合しない場合には認証失敗であると判定し、一部の指紋データのみが前記正規指紋データに一致する場合には、予め設定され前記記憶部に記憶された設定データを基に、認証成功であると判定するか、認証失敗であると判定するかを変化させる認証処理部と、を有する。
【0011】
第2の発明の指紋認証方法は、指紋を読み取るための複数の指紋読取部を有する携帯端末装置の指紋認証方法であって、前記複数の指紋読取部が指紋を読み取り生成した複数の指紋データを、正規のユーザの指紋データである正規指紋データと比較し、全ての指紋データが前記正規指紋データに適合する場合には認証成功であると判定し、全ての指紋データが前記正規指紋データに適合しない場合には認証失敗であると判定し、一部の指紋データのみが前記正規指紋データに一致する場合には、予め設定された設定データを基に、認証成功であると判定するか、認証失敗であると判定するかを変化させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、指紋認証の際の指紋読み取りの成功確率を向上させる携帯端末装置及び指紋認証方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の携帯電話装置の一例としての携帯電話100について説明する。
【0014】
図1は、本実施形態において説明する携帯電話100の構成の一例を示したブロック図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の携帯電話100は、通信部1、操作部2、音声処理部3、スピーカ4、マイク5、表示部6、記憶部7、指紋認証部8、制御部9を有する。
【0016】
通信部1は、複数の通信システムを捕捉し、通信ネットワークに接続される図示しない基地局との間で無線通信を行い、各種データの送受信を行う。各種データとは、音声通話時の音声データ、メール送受信時のメールデータ、ウェブ閲覧時のウェブページデータ等である。
【0017】
操作部2は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キーなど、各種の機能が割り当てられたキーを有しており、これらのキーがユーザによって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これをユーザの指示として制御部9に出力する。
【0018】
音声処理部3は、スピーカ4から出力される音声信号やマイク5において入力される音声信号の処理を行う。すなわち、マイク5から入力される音声を増幅し、アナログ/デジタル変換を行い、更に符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部9に出力する。また、制御部9から供給される音声データに復号化、デジタル/アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換してスピーカ4に出力する。
【0019】
表示部6は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)パネル等により構成された表示デバイスであり、携帯電話100の各種動作に応じた表示を行う。例えば、音声発着信時には発着信先を表示したり、メール送受信時にはメール送信画面や着信画面を表示したり、待ち受け画面を表示したり類を表示したりする。
【0020】
記憶部7は、携帯電話100の各種処理に利用される各種データを記憶する。例えば、制御部9が実行するコンピュータのプログラム、通信相手の電話番号や電子メールアドレス等の個人情報を管理するアドレス帳、着信音やアラーム音を再生するための音声ファイル、待ち受け画面用の画像ファイル、各種の設定データ、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータなどを保持する。なお、上記した記憶部7は、例えば不揮発性の記憶デバイス(不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、光ディスク装置など)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(例えばSRAM、DRAM)などによって構成される。
【0021】
また、記憶部7は後述する設定データを記憶する。
【0022】
また、記憶部7は後述する指紋認証部8が指紋認証時に使用する正規指紋データDRを記憶する。この正規指紋データDRは、例えば携帯電話100の購入時に、正規ユーザが登録した指紋データである。
【0023】
指紋認証部8は、ユーザの指紋を読み取り、個人認証処理を行う。
【0024】
指紋認証部8の詳細及び指紋認証処理については後述する。
【0025】
制御部9は、携帯電話100の全体的な動作を統括的に制御する。すなわち、携帯電話100の各種処理(回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成と送受信、インターネットのWebサイトの閲覧など)が操作部2の操作に応じて適切な手順で実行されるように、上述した各ブロックの動作(通信部1における信号の送受信、音声処理部3における音声の入出力、表示部6における画像の表示など)を制御する。さらに、操作部2等の操作入力に応じて、指紋認証が要求された場合には、指紋認証部8に指紋認証処理を実行させる。
【0026】
そして、指紋認証部8から通知された認証結果に応じて、操作部2からの操作入力への応答を変化させる。すなわち、指紋認証が成功であった場合には、現在のユーザを正規ユーザであるとして、その操作入力に応じるが、指紋認証が失敗であった場合には、現在のユーザが正規ユーザでないとして、その操作入力に応じず、認証が失敗であった旨を表示部6に表示させたりする。これにより、携帯電話100のセキュリティが向上する。
【0027】
以下、本実施形態の指紋認証部8及び指紋認証部8の実行する指紋認証処理について説明する。
【0028】
指紋認証部8は、ユーザの指紋を読み取り、読み取った指紋を記憶部7に記憶された正規指紋データDRと比較することにより指紋認証を行う。
【0029】
指紋認証部8は、第1指紋読取部81、第2指紋読取部82、認証処理部83を有し、これら2つの指紋読取部によりユーザの指紋読み取りを行った後、認証処理部による個人認証を行う。
【0030】
第1指紋読取部81及び第2指紋読取部82は、指紋を読み取るための読取部である。
【0031】
指紋読取装置には、短冊状のセンサを有し、センサに置いた指を一定のスピードで滑らすことで指紋全体の2次元画像を取得する方式であるスイープ型や、指紋全体を一度に取得するエリア型があり、その中でも全反射法光学式、光路分離法光学式、指内拡散光検出型光学式、指内部特性検出型光学式、表面突起不規則反射式などの光学式センサ、静電容量式、電界式、感熱式、感圧式、超音波方式などの非光学式センサが存在する。
【0032】
本発明の指紋読取部としては、上述したいずれの読取装置を採用してもよいが、携帯電話100の携帯性を考慮し、サイズが小さい読取装置を実現するスイープ型を選択することが望ましい。
【0033】
スイープ型指紋読取装置では、指の長さよりも十分に短く小面積の矩形読取面を有している。ユーザの指が読取面に対して移動するか、或いは、携帯電話100全体が動くことにより読取面が指に対して移動するかしながら、読取面に接した部位の指紋を読み取る。
【0034】
ここで、本実施形態では、第1指紋読取部81と、第2指紋読取部82とで異なる読取方式を採用する。例えば、第1指紋読取部81が静電容量式である場合には、第2指紋読取部82を感圧式にしたり、第1指紋読取部81が光路分離法光学式である場合には、第2指紋読取部82を超音波方式にしたりする。 このように第1指紋読取部81と第2指紋読取部82の読み取り方式を異ならせることにより、片方の読取部が指紋の読み取りに失敗した場合でも、もう片方の読取部が読取に成功することを期待でき、指紋読み取りの成功率が向上する。
【0035】
また、第1指紋読取部81と、第2指紋読取部82とは、携帯電話100の筐体のそれぞれ別の面に設けられている。
【0036】
携帯電話100の筐体について説明する。
【0037】
図2は、携帯電話100の筐体の外観の一例を示した図である。
【0038】
図2(a)は表面101側から見た図、図2(b)は裏面102側から見た図である。
【0039】
図2に示すように、携帯電話100は、表面101、裏面102、側面103及び104、上面105、下面106を有する。
【0040】
表面101には、操作部2、スピーカ4、マイク5、表示部6が設けられている。
【0041】
本実施形態の第1指紋読取部81と第2指紋読取部82は、携帯電話100の6面のうち、対向する2面か、或いは隣り合う2面に設けられる。
【0042】
図3は、第1指紋読取部81と第2指紋読取部82とを対向する2面に設置した場合の設置例を示した図である。
【0043】
図3(a)では、携帯電話100の表面101に第1指紋読取部81が、裏面102に第2指紋読取部82が設けられた一例を示している。この場合、表面101に設置される操作部2、スピーカ4、マイク5、表示部6の設置の邪魔にならない位置に第1指紋読取部81を配置する必要がある。例えば図3(a)に示すように、操作部2の下部に設置する等すればよい。
【0044】
図3(a)に示した設置例では、図3(b)に示すように、第1指紋読取部81で親指、第2指紋読取部82で人差し指の指紋を読み取ることが想定されている。もちろん、反対に第1指紋読取部81で人差し指、第2指紋読取部82で親指の指紋を読み取るようにしてもよい。
【0045】
また、反対に表面101に第2指紋読取部82を、裏面102に第1指紋読取部81を設けてもよい。
【0046】
或いは、側面103に第1指紋読取部81を、側面104に第2指紋読取部82を設けてもよい。この様子を図3(c)に示す。この場合、図3(d)に示すように携帯電話100が持たれ、第1指紋読取部81で親指の、第2指紋読取部82で人差し指の指紋を読み取ることを想定している。ただし、携帯電話100が反対向きに持たれた場合(図3(d)では表面101が図の左側を向いているが、反対に表面101が図の右を向くように持たれた場合)でも、第1指紋読取部81が人差し指の、第2指紋読取部82が親指の指紋を読み取るようにすればよい。
【0047】
図4は、第1指紋読取部81と第2指紋読取部82とを隣り合う2面に設置した場合の設置例を示した図である。
【0048】
図4(a)は、側面103に第1指紋読取部81を、下面106に第2指紋読取部82を設置した例を示す図である。この場合、指の触れやすさを考慮し、側面103内の第1指紋読取部81の位置は、側面103の中央よりも下面106よりの位置とすることが望ましい。
【0049】
もちろん、図4(a)とは反対に、側面104に第1指紋読取部81を設置してもよい。或いは、上面105に第2指紋読取部82を設置してもよい。ただし、この場合は、側面103における第1指紋読取部81の位置を、側面103の中央よりも上面105よりの位置とすることが望ましい。
【0050】
さらに、側面103に第2指紋読取部82を、下面106に第1指紋読取部81を設置してもよい。
【0051】
また、図4(b)は、裏面102に第1指紋読取部81を、側面104に第2指紋読取部82を設置した例を示す図である。この場合、指の触れやすさを考慮し、裏面102内の第1指紋読取部81の位置は、裏面102の中央よりも側面104よりの位置とすることが望ましい。
【0052】
もちろん、図4(b)とは反対に、側面103に第2指紋読取部82を設置してもよい。ただし、この場合は、裏面102における第1指紋読取部81の位置を、裏面102の中央よりも側面103よりの位置とすることが望ましい。
【0053】
さらに、表面101に第1指紋読取部81を設置してもよい。この場合、表面101に設置される操作部2、スピーカ4、マイク5、表示部6の設置の邪魔にならない位置に第1指紋読取部81を配置する必要がある(図示しない)。
【0054】
また、図4(c)は、表面101に第1指紋読取部81を、下面106に第2指紋読取部82を設置した例を示す図である。この場合、表面101に設置される操作部2、スピーカ4、マイク5、表示部6の設置の邪魔にならない位置に第1指紋読取部81を配置する必要がある。例えば図4(c)に示すように、操作部2の下部に設置する等すればよい。
【0055】
もちろん、図4(c)とは反対に、裏面102に第1指紋読取部81を設置してもよい。或いは、上面105に第2指紋読取部82を設置してもよい。ただし、この場合は、表面101における第1指紋読取部81の位置を、表面101の中央よりも上面105よりの位置とすることが望ましい。すなわち、表示部6のさらに上面105よりに設置することが望ましい。
【0056】
さらに、表面101に第2指紋読取部82を、下面106に第1指紋読取部81を設置してもよい。
【0057】
なお、上述した図3及び図4に係る説明において、第1指紋読取部81及び第2指紋読取部82の各面内の位置について特に触れていない場合には、図3及び図4に示すように、各面のほぼ中央付近に第1指紋読取部81或いは第2指紋読取部82を設置しても良いし、ユーザビリティが向上するように、中央からずらした位置に設置してもよい。第1指紋読取部81と、第2指紋読取部82とにユーザが容易に同時に指を当てる(なぞらせる)ことが可能であるように、第1指紋読取部81と第2指紋読取部82との距離が大きく離れないように設置すればよい。

図6は、第1指紋読取部81と第2指紋読取部82とを同一面、かつ、隣接した位置に設置した場合の設置例を示した図である。
【0058】
図6(a)は、表面101の表示部6と操作部2との間に、第1指紋読取部81と、第2指紋読取部82を隣接設置した例を示す図である。この場合、一本の指での触れやすさを考慮し、表面101の表示部6に近接した位置に第1指紋読取部81を設置し、表面101の操作部に近接した位置に第2指紋読取部82を設置する。第1指紋読取部81と、第2指紋読取部82とにユーザが容易に連続して指を当てる(なぞらせる)ことが可能であるように、第1指紋読取部81と第2指紋読取部82との距離が大きく離れないように設置すればよい。図6(a)では、それぞれの指紋読取部を、携帯端末100の幅方向に対して平行に配置したが、幅方向にたいして直角や、斜めに配置しても良い。
図6(b)は、裏面102に、第1指紋読取部81と、第2指紋読取部82を隣接した位置に設置した例を示す図である。この場合も図(a)と同様に携帯端末100の幅方向に対して平行に配置したが、幅方向にたいして直角や、斜めに配置しても良い。
また、上記例では、携帯端末100の表面101と裏面102について述べたが、向かって右の側面103、向かって左の側面104、上面105、下面106の何れに配置しても良い。
【0059】
なお、上述した図6に係る説明において、第1指紋読取部81及び第2指紋読取部82の各面内の位置について特に触れていない場合には、図6に示すように、各面のほぼ中央付近に第1指紋読取部81或いは第2指紋読取部82を設置しても良いし、ユーザビリティが向上するように、中央からずらした位置に設置してもよい。第1指紋読取部81と、第2指紋読取部82とにユーザが容易に連続的に指を当てる(なぞらせる)ことが可能であるように、第1指紋読取部81と第2指紋読取部82との距離が大きく離れないように設置すればよい。
【0060】
認証処理部83は、上記説明した第1指紋読取部81と、第2指紋読取部82とが読み取った指紋データを利用し、記憶部7に記憶された正規指紋データDRと比較して、第1指紋読取部81と第2指紋読取部82とが読み取った指紋データの持ち主が正規ユーザであるか否かの認証を行う。
【0061】
なお、認証処理部83が読み取られた指紋データと正規指紋データDRとを比較し、同一のものであるか否かを判別し個人を認証する方法については、本発明では限定しない。既存の技術を利用することが可能である。
【0062】
以下、認証処理部83の認証処理時の動作例を説明する。
【0063】
図5は、認証処理部83の認証処理時の動作例を示したフローチャートである。
【0064】
ステップST1:
認証処理部83は、制御部9からの認証要求を取得する。
【0065】
ステップST2:
認証処理部83は、第1指紋読取部81と第2指紋読取部82からそれぞれが読み取った指紋データを取得する。以下では、第1指紋読取部81が取得した指紋データをD1、第2指紋読取部82が取得した指紋データをD2と称する。
【0066】
ステップST3:
認証処理部83は、指紋データD1及びD2を正規指紋データDRと比較する。
【0067】
指紋データD1とD2のいずれか片方のみ正規指紋データDRと適合する場合はステップST4に、指紋データD1、D2ともに正規指紋データDRと適合する場合はステップST5に、指紋データD1とD2の両方が正規指紋データDRを適合する場合はステップST6に進む。
【0068】
ステップST4:
認証処理部83は、指紋データD1とD2のうちの片方のみ正規指紋データDRと適合していた場合の設定を記述した設定データを参照する。すなわち、片方のみ適合の場合でも、指紋認証成功と判定するか、或いは指紋認証失敗と判定するかが予め設定されており、記憶部7に設定データとして記憶されている。本ステップでは認証処理部83はこの設定を参照して当該設定に従う。なお、この設定は、例えば予めユーザによって操作部2等を介して行われ、設定データとして記憶部7に記憶されている。
【0069】
設定データの設定が、指紋データD1とD2のうちの片方のみ適合していた場合では認証失敗とする設定であった場合にはステップST5に進み、指紋データD1とD2のうちの片方のみ適合していた場合でも認証成功とする設定であった場合にはステップST6に進む。
【0070】
ステップST5:
認証処理部83は、指紋データD1及びD2を認証失敗と判定する。
【0071】
ステップST6:
認証処理部83は、指紋データD1及びD2を認証成功と判定する。
【0072】
ステップST7:
認証処理部83は、ステップST5及びST6における認証の結果を制御部9に通知する。
【0073】
以上説明したように、認証処理部83は指紋データD1とD2のうちいずれか一方のみ正規指紋データDRと適合した場合に、予め設定された設定内容に従って認証を行う。すなわち、指紋データD1とD2のうちの片方のみ適合していた場合に認証失敗と判定するか、或いは指紋データD1とD2のうちの片方のみ適合していた場合でも認証成功と判定するかが、予め記憶された設定によって変化するようになっている。このため、本実施形態の携帯電話100では、ユーザが携帯電話100のセキュリティを強化したいと思った場合等には、予め指紋データD1とD2のうちの片方のみ適合していた場合には認証失敗と判定するように設定しておけばよいし、第1指紋読取部81及び第2指紋読取部82の指紋読み取りエラーの可能性を考慮した場合には、片方の指紋データのみ正規指紋データDRと適合しても認証するように設定しておけばよい。
【0074】
以上説明したように、本実施形態の携帯電話100によれば、2つの異なる指紋読取部、第1指紋読取部81と第2指紋読取部82とを設けた。このため、指紋読取部が1つの場合と比較して2倍となり、指紋の読み取りに失敗する確率を減らすことができる。また、第1指紋読取部81と第2指紋読取部82とではタイプの異なる方式の指紋読取装置を採用したため、条件による読み取り失敗を減らすことができる。すなわち、例えば、第1指紋読取部81が、静電容量式の指紋読取装置であった場合には、ユーザの指先が湿っていた時等には読取に失敗する恐れが増大するが、第2指紋読取部82が、例えば感圧式の指紋読取装置であった場合にはユーザの指先が湿っていても読み取ることができる公算が高くなる。また、第1指紋読取部81が、光学式の指紋読取装置であった場合には、ユーザの指先が汚れていた時等には読取に失敗する恐れが増大するが、第2指紋読取部82が、例えば感温式の指紋読取装置であった場合にはユーザの指先が汚れていても読み取ることができる可能性がある。
【0075】
また、第1指紋読取部81と第2指紋読取部82とは、筐体のいずれか対向する面、あるいは隣り合う2面に設けられているため、ユーザが容易にその両方に指を当てる、或いはなぞらせることができるように設計されている。
【0076】
さらに、本実施形態の携帯電話100によれば、認証処理部83は、第1指紋読取部81が読み取った指紋データD1と、第2指紋読取部82が読み取った指紋データD2とを正規指紋データDRと比較することにより認証処理を行うが、指紋データD1とD2のうちいずれか一方のみ正規指紋データDRと適合した場合に、予め設定された設定データの内容に従って認証を行う。すなわち、指紋データD1とD2のうちの片方のみ適合していた場合に認証失敗と判定するか、或いは指紋データD1とD2のうちの片方のみ適合していた場合でも認証成功と判定するかが、予めされた設定によって変化するようになっている。このため、ユーザが携帯電話100のセキュリティを強化したいと思った場合等には、予め指紋データD1とD2のうちの片方のみ適合していた場合には認証失敗と判定するように設定しておけばよいし、第1指紋読取部81及び第2指紋読取部82の指紋読み取りエラーの可能性を考慮した場合には、片方の指紋データのみ正規指紋データDRと適合しても認証するように設定しておけばよく、使い勝手が向上する。
【0077】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
【0078】
すなわち、本発明の実施に際しては、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【0079】
上述した実施形態においては、指紋認証部8は2つの指紋読取部を有するとしたが、本発明はこれには限定されず、例えば3つ以上の指紋読取部を有して構成されてもよい。
【0080】
また、上述した実施形態では、第1指紋読取部81と第2指紋読取部82とが携帯電話100の筐体の対向する面或いは隣り合う2面に設けられるとしたが、本発明はこれには限定されない。例えば、特に指紋読取部が複数(3個以上)設けられる場合等に、筐体の同一の面に複数(例えば上下・左右の両端部等)に設けられてもよい。
【0081】
また、3つ以上の指紋読取部を設ける場合には、認証処理部83は、全ての指紋データが正規指紋データDRと適合した場合に認証成功と判定し、全ての指紋データが正規指紋データDRと適合しない場合に認証失敗であると判定し、一部の指紋データのみ正規指紋データDRと適合する場合には、予めされた設定に従って認証失敗と判定するか認証成功であると判定するかを決定するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、本実施形態の携帯電話の構成の一例を示したブロック図である。
【図2】図2は、携帯電話の筐体の外観の一例を示した図である。
【図3】図3は、第1指紋読取部と第2指紋読取部とを対向する2面に設置した場合の設置例を示した図である。
【図4】図4は、第1指紋読取部と第2指紋読取部とを隣り合う2面に設置した場合の設置例を示した図である。
【図5】図5は、認証処理部の認証処理時の動作例を示したフローチャートである。
【図6】図6は、第1指紋読取部と第2指紋読取部とを同一面、かつ、隣接した位置に設置した場合の設置例を示した図である。
【符号の説明】
【0083】
100…携帯電話、101…表面、102…裏面、103…側面、104…側面、105…上面、106…下面、1…通信部、2…操作部、3…音声処理部、4…スピーカ、5…マイク、6…表示部、7…記憶部、8…指紋認証部、81…第1指紋読取部、82…第2指紋読取部、83…認証処理部、9…制御部、D1…第1指紋読取部81が取得した指紋データ、D2…第2指紋読取部82が取得した指紋データ、DR…正規指紋データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指紋認証処理を行う指紋認証部と、
記憶部と、
を有し、
前記指紋認証部は、
指紋を読み取るための複数の指紋読取部と、
前記複数の指紋読取部が指紋を読み取り生成した複数の指紋データを、正規のユーザの指紋データである正規指紋データと比較し、全ての指紋データが前記正規指紋データに適合する場合には認証成功であると判定し、全ての指紋データが前記正規指紋データに適合しない場合には認証失敗であると判定し、一部の指紋データのみが前記正規指紋データに一致する場合には、予め設定され前記記憶部に記憶された設定データを基に、認証成功であると判定するか、認証失敗であると判定するかを変化させる認証処理部と、
を有する
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記複数の指紋読取部は、少なくとも2種類以上の方式の指紋読取方式で指紋を読み取る
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記指紋認証部は、第1指紋読取部と第2指紋読取部の2つの指紋読取部を有し、
前記第1指紋読取部と、前記第2指紋読取部とは、前記携帯端末装置の筐体の有する各面のうち、対向する2面にそれぞれ設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記指紋認証部は、第1指紋読取部と第2指紋読取部の2つの指紋読取部を有し、
前記第1指紋読取部と、前記第2指紋読取部とは、前記携帯端末装置の筐体の有する各面のうち、隣り合う2面にそれぞれ設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記指紋認証部は、第1指紋読取部と第2指紋読取部の2つの指紋読取部を有し、
前記第1指紋読取部と、前記第2指紋読取部とは、前記携帯端末装置の筐体の有する各面のうち、同一面、かつ、隣接して、それぞれ設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
指紋を読み取るための複数の指紋読取部を有する携帯端末装置の指紋認証方法であって、
前記複数の指紋読取部が指紋を読み取り生成した複数の指紋データを、正規のユーザの指紋データである正規指紋データと比較し、全ての指紋データが前記正規指紋データに適合する場合には認証成功であると判定し、全ての指紋データが前記正規指紋データに適合しない場合には認証失敗であると判定し、一部の指紋データのみが前記正規指紋データに一致する場合には、予め設定された設定データを基に、認証成功であると判定するか、認証失敗であると判定するかを変化させる
指紋認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−99113(P2009−99113A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81788(P2008−81788)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】