説明

携帯端末装置

【課題】 光発電パネルによる過充電と光発電パネル面の物理的劣化を未然に防止できる携帯端末装置を提供する。
【解決手段】 第1の筐体1と第2筐体2をヒンジ部3を介して連結する。ヒンジ部3は、相互に直交する第1回転軸と第2回転軸2を有し、両筐体1,2を厚み方向の重ね合わせと表裏反転が可能になるように連結する。光発電パネル14は第2の筐体2の表裏の一方の面に配置する。第2の筐体2は、光発電パネル14を表に向けての重ね合わせと、裏に向けての重ね合わせを適宜選択することができる。バッテリ10が過充電になるときには光発電パネル14を裏に向け、バッテリ10の補充電を行う場合には光発電パネル14を表に向ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光発電パネルを備えた携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やPDA等の携帯端末装置は、一般に外部に持ち歩いての使用を前提とするため、内蔵バッテリの長時間の使用が望まれる。しかし、バッテリ容量の増大には限界があるため、この種の端末装置においては、装置内部の低電力化と共に外部電源を必要としない充電技術の開発が期待されている。
【0003】
従来、これに応えるべく携帯端末装置として、折り畳み開閉が可能な一対の筐体のうちの、一方の筐体の外側面に光発電パネル(ソーラーパネル)を取り付け、太陽光等の充分な光量を確保できる環境下において、光発電パネルを通して内部バッテリに充電できるようにしたものが案出されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−140521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来の携帯端末装置は、折り畳み開閉が可能な筐体の外側面に光発電パネルを設けたものであるため、筐体を折り畳んだ状態においては、光のある環境下でバッテリ充電が常に継続されることになる。この場合、光発電パネルによる充電はバッテリの残容量に関係なく継続されるため、バッテリが満充電状態のときにも発電が行われ、そのことがバッテリの劣化に繋がることが懸念される。
【0005】
また、上記の従来の携帯端末装置は、光発電パネルが常に筐体の外側に露出するため、硬い部材との接触によって光発電パネルの破損や傷つき等が生じ易く、こうして光発電パネルに物理的な劣化が生じると、発電効率が低下することが懸念される。
【0006】
そこで、この発明は、光発電パネルによる過充電と光発電パネルの物理的劣化を未然に防止できる携帯端末装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この出願の請求項1に記載の発明は、一対の筐体と、相互に直交する第1回転軸と第2回転軸とを有して前記一対の筐体を連結し、前記第1回転軸を中心とした前記一対の筐体の回動により前記一対の筐体の厚み方向の重ね合せを可能とし、前記第2回転軸を中心とした前記一対の筐体の一方の回動により前記一方の筐体の表裏反転を可能とするヒンジ部と、前記一方の筐体の表裏一方の面に配置される光発電部材と、前記光発電部材の発電に伴う電力を前記一対の筐体のいずれかに設けられたバッテリ又は電子部品に供給する電力供給手段と、を備えた構成とした。
この場合、一対の筐体は、第1回転軸を中心として開閉可能に回動されて厚み方向の重ね合わせが可能であり、光発電部材が配置される一方の筐体は第2回転軸を中心として表裏反転可能に回動される。このため、一方の筐体を他方の筐体に厚み方向に重ね合わせるときには、一方の筐体の反転回動により光発電部材を表に向ける(露出させる)か裏に向ける(一方の筐体に対向させる)かを適宜選択することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯端末装置において、前記バッテリの充電の要否を判断する充電要否判断手段と、前記充電要否判断手段の判断結果に応じて充電の要または不要を報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする。
この場合、ユーザーは報知手段による報知を受けることにより、的確なタイミングで充電や充電停止を行うことが可能となる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の携帯端末装置において、前記光発電部材の発電状態を検出する発電状態検出手段を有し、前記充電要否判断手段は、前記バッテリが第1設定値以上の電力状態にあるときに前記光発電部材による前記バッテリの充電が不要であると判断し、前記報知手段は、前記充電要否判断手段により前記バッテリが前記第1設定値以上の電力状態であり、且つ前記発電状態検出手段にて前記光発電部材が発電状態にあることが検出された場合に、前記光発電部材による前記バッテリの充電が不要であることを報知することを特徴とする。
この場合、ユーザーは報知手段による報知を受けることにより、バッテリが過充電となる虞があるときに充電を好適に止めることができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の携帯端末装置において、前記光発電部材の発電状態を検出する発電状態検出手段を有し、前記報知手段は、前記充電要否判断手段により前記バッテリの充電が必要であると判断され、且つ前記発電状態検出手段にて前記光発電部材が非発電状態にあることが検出されると、前記光発電部材が要であることを報知することを特徴とする。
この場合、ユーザーは報知手段による報知を受けることにより、バッテリの電力が不足しており、光発電部材による充電が必要であることを好適に知ることができる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の携帯端末装置において、前記報知手段は、前記充電要否判断手段により前記バッテリが第2設定値以下の電力状態であると判断された場合に、前記発電状態検出手段にて前記光発電部材が非発電状態にあることが検出されると、前記充電が要であることを報知し、前記充電要否判断手段により前記バッテリが前記第2設定値よりも低い第3設定値以下の電力状態であると判断された場合には、前記発電状態検出手段により検出される前記光発電部材の充電状態に関係なく、前記充電が要であることを報知することを特徴とする。
この場合、光発電部材が非発電状態にあるときには、バッテリの電力状態が第2設定値以下に低下した段階で報知手段による報知が行われる。したがって、このときユーザーは報知手段による報知を受け、光発電部材を発電状態として電力不足対策を早期に行うことができる。一方、バッテリの電力状態が第3設定値以下に低下した段階では、前記光発電部材の発電状態に関係なく報知手段による報知が行われる。したがって、ユーザーは報知手段による報知を受け、光発電部材や外部電源等からの充電を急速に行うことができる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項3〜6いずれか1項に記載の携帯端末装置において、前記発電状態検出手段は、前記光発電部材による発電電圧に基づき前記発電状態を検出することを特徴とする。
この場合、光発電部材の発電状態を好適に検出することができる。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項3〜6いずれか1項に記載の携帯端末装置において、前記発電状態検出手段は、前記一対の筐体の前記厚み方向の重ね合わせ状態と前記一方の筐体の表裏反転状態に基づき、前記一対の筐体が前記厚み方向に重ね合わされて、且つ前記光発電部材が配置される前記一方の筐体の表裏一方の面が前記他方の筐体に対向した状態であると判断されると、前記光発電部材が非発電状態にあることを検出することを特徴とする。
この場合、光発電部材の発電状態を一対の筐体の重ね合わせ状態と一方の筐体の表裏反転状態とに基づき、一対の筐体が厚み方向に重ね合わされて、且つ光発電部材が配置される一方の筐体の表裏一方の面が他方の筐体に対向された状態であると判断されると、光発電部材が非発電状態にあると検出されるので、光発電部材の非発電状態を簡素な構成によって好適に検出することができる。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項2〜7のいずれか1項に記載の携帯端末装置において、前記充電要否判断手段によるバッテリの電力状態の判断は、前記バッテリの残電圧に基づいて行うことを特徴とする。
この場合、バッテリの電力状態を適正に判断することができる。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の携帯端末装置において、前記光発電部材が配置される前記一方の筐体の前記表裏一方の面と、この面が対向して配置され得る他方の筐体の一面との少なくとも一方に、前記光発電部材と前記他方の筐体との当接を抑制する当接抑制部材を設けたことを特徴とする。
この場合、光発電部材の他方の筐体との当接を好適に抑制することができる。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の携帯端末装置において、前記バッテリを、前記光発電部材が配置されない他方の筐体に配設したことを特徴とする。
この場合、光発電部材の発熱や太陽光による輻射熱がバッテリ部分に伝達され難くなる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、一方の筐体を他方の筐体に重ね合わせる場合に、第1の筐体の光発電部材を表側にも裏側にも適宜向けることができるため、光発電部材による発電が不要なときに光発電部材を他方の筐体側に向けることにより、光発電部材による過充電と光発電部材の傷付き等の物理的劣化を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4は、この発明にかかる携帯端末装置の一例である携帯電話機の外観図である。この携帯電話機は、第1の筐体1と、第2の筐体2と、これら2つの筐体1,2を厚み方向に重ね合わせ可能に端部相互を連結するヒンジ部3を備えている。ヒンジ部3は、第1の筐体1の端部に設けられた第1回転軸4と、第1の筐体1に対して第1回転軸4を中心にして重ね合わせ方向に回動可能に連結された中間連結体5と、この中間連結体5に第2の筐体2を表裏反転方向に回動可能に連結する第2回転軸6を備えている。第1回転軸4と第2回転軸6は相互に直交し、第1の筐体1と第2の筐体2は、第1回転軸4を中心に重ね合わせ方向に回動して開閉可能に連結されており、第2の筐体2は、第1の筐体1に対して表裏反転方向の回動が可能となっている。
【0019】
第1の筐体1の上面1a(第2の筐体2との重ね合わせ面)には、通話キー、終話キー、数字キー等の押圧操作可能な複数の操作キー7が設けられている。また、第1の筐体1のヒンジ部3と逆側の端面には充電器8の充電接続コネクタ8aを接続するための充電ポート9が設けられ、第1の筐体1の内部には充電による繰り返し使用が可能なバッテリ10が内蔵されている。第2の筐体2の表裏の一方の面(第2の表面)11には、液晶ディスプレイ等の表示部12が設けられ、第2の筐体2の表裏の他方の面(第1の表面)13には、光の入射を受けて電力を発生する略長方形状の光発電パネル14(光発電部材)が設けられている。
尚、図2〜図4は、第1の筐体1と第2の筐体2を、第1回転軸4を中心に回動して相互に重ね合わせた状態を示し、このうち、図2,図4のものは、第2回転軸6を中心とする反転操作によって第2の筐体2の他方の面が外側に向けられており、図3のものは、同様の反転操作によって第2の筐体2の一方の面が外側に向けられている。
【0020】
第1の筐体1と第2の筐体2には、磁石と磁気抵抗素子を対にして構成したMRセンサ(開閉検出手段,表裏検出手段)15a,15b,15c,15d(発電状態検出手段)が取り付けられ、このMRセンサ15a,15b,15c,15dによって筐体1,2の開閉状態を検出し得るようになっている。具体的には、第1の筐体1の上面1aの左右位置に磁気抵抗素子15a,15bが配設され、第2の筐体2の第2の表面11には表示部の向かって左位置に第1磁石15cが配設され、同第1の表面13の光発電パネル14の向かって左位置には第2磁石15dが配設され、これら磁石15c,15dと磁気抵抗素子15a,15bとの反応を検出して両筐体1,2の開閉状態及び第2の筐体2の表裏状態を検出する。また、第1の筐体1のヒンジ部3と逆側寄り上面には、上方に突出する一対の突起30が設けられている。この突起30は、第1の筐体1に第2の筐体2を重ね合わせた閉状態であるときに、第2の筐体の面11、13上の表示部12や光発電パネル14から外れた位置に当接するようになっている。突起30は表示部12又は光発電パネル14を伏せた状態で第2の筐体2が閉じられたときに、光発電パネル14が第1の筐体1側と干渉するのを防止するためのものであり、この実施形態では第1の筐体1と一体に形成されている。尚、この突起30は当接抑制部材を構成するものであり、緩衝作用を有する軟質材料によって形成するようにしても良い。
【0021】
図5は、この携帯電話機の概略構成を示すものである。第1の筐体の内部には各種機能の制御等を行うコントローラ16が設けられており、同図に示すように、このコントローラ16には、操作キー7のキー操作信号を処理するキー入力回路17と、表示部12の表示信号を処理する表示回路18と、スピーカ19(報知手段)やマイクロフォン20等の音声信号を処理する音声処理回路21と、アンテナ22を通した通信のための通信回路23と、内蔵カメラを制御するためのカメラ制御回路24が接続されている。また、コントローラ16はプログラムや各種の値等が記憶されるメモリ25に接続されると共に、装置内の電源制御を行う電源制御回路26(電力供給手段)に接続され、さらに、MRセンサ15からは筐体1,2の開閉状態や閉状態での第2の筐体2の表裏状態に応じた信号が入力されるようになっている。
【0022】
図6は、この携帯電話機の電源管理に係わる部分のコントローラ16を中心とした概略構成図を示すものである。同図に示すように、コントローラ16内の演算部31では、MRセンサ15から筐体1,2の状態信号を入力されると共に、バッテリ10と光発電パネル14から夫々電圧信号Vb,Vsを入力され、これらの入力信号Vb,Vsを適宜メモリ25に記憶されている各種の閾値Vb1,Vb2,Vb3,Vs1と比較演算することによって光発電パネル14等を用いたバッテリ10の充電の要否を判断する。そして、制御部32では、充電の要否の判断結果である演算部31の出力を受け、その出力に応じた警告をスピーカ19から出力する。したがって、この実施形態においては、コントローラ16の演算部31が充電要否判断手段の要部を構成し、コントローラ16の制御部32とスピーカ19が報知手段の要部を構成している。
【0023】
この実施形態の場合、スピーカ19による警告は以下の(1)〜(3)のものが設定されている。
(1)バッテリ10が過充電状態にあるときに光発電パネル14による充電の停止を促す警告。
(2)バッテリ10の残容量が大きく低下しているときに充電器8による急速充電を促す警告。
(3)バッテリ10の残容量がある程度以上に低下しているときに光発電パネル14による補充電を促す警告。
【0024】
そして、上記の(1)の警告を行うべく判断は、バッテリ10の電圧信号Vbが満充電状態に近いレベルを示す満充電判断閾値(第1設定値)Vb1以上であるかどうかによって判断し、さらに、光発電パネル14が発電中(「発電中」とは、光発電パネル14が充電可能な発電状態にあることを言うものとする。)であるかどうかの判断は、光発電パネル14の電圧信号Vsが光発電判断閾値Vs1以上であるかどうかによって判断する。したがって、この実施形態においては、光発電パネル14から電圧信号Vsを出力する電源制御回路26と、コントローラ16の演算部31とが発電状態検出手段を構成している。
また、上記の(2)の警告を行うべく判断は、光発電パネル14が発電中であるかどうかに関係なく、バッテリ10の電圧信号Vbが、残容量が大きく低下しているレベルを示す急速充電判断閾値Vb3(第3設定値)に満たないかどうかによって判断する。
また、上記の(3)の警告を行うべく判断は、光発電パネル14が発電を行っているかどうかと、バッテリ10の電圧信号Vbが、残容量がある程度以上に低下しているレベルを示す補充電判断閾値Vb2(第2設定値)に満たないかどうかの複合判断によって判断する。上記の(3)の警告は、光発電パネル14が発電を行っておらず、かつ、バッテリ10の電圧信号Vbが補充電判断閾値Vb2に満たない場合に発される。
尚、満充電判断閾値Vb1、急速充電判断閾値Vb3、補充電判断閾値Vb2の大小関係は、図7に示すようにVb3<Vb2<Vb1であり、Vb3〜Vb1の間の電圧領域がほぼバッテリ10の使用可能領域と合致している。
【0025】
以下、コントローラ16による警告処理の流れを、光発電パネル14の充電停止の警告処理と光発電パネル14等による充電促進の警告処理に分けて夫々図8,図9のフローチャートに従って説明する。
<充電停止の警告処理>
図8において、ステップS101では、バッテリ10の電圧信号Vbが満充電判断閾値Vb1以上であるかどうかを判断し、電圧信号Vbが満充電判断閾値Vb1以上であるときにだけ次のステップS102に進む。
ステップS102では、光発電パネル14の電圧信号Vsが光発電判断閾値Vs1以上であるかどうか、つまり光発電パネル14が発電中であるかどうかを判断し、発電中でない場合には、ステップS103に進み、発電中の場合にはステップ104に進む。ステップS103では、充電器8を用いた外部電源によるバッテリ充電を行っている場合には充電器8による充電を完了し、外部電源による充電を行っていない場合にはそのまま処理を終了する。そして、ステップS104においては、現在、満充電状態で光発電パネル14による発電が続けられているため、その発電の停止をユーザーに促すべく警告音をスピーカ19から発する。
【0026】
<充電促進の警告処理>
図9において、ステップS201では、MRセンサ15からの信号を基に筐体1,2が厚み方向に重ね合わさっておらず開いている状態(開状態)にあるかどうかを判断し、開いている状態のときにはステップS202に進み、筐体1,2が厚み方向に重ね合わさっており閉じている状態(閉状態)のときにはステップS204へと進む。
ステップS202では、バッテリ10の電圧信号Vbが急速充電判断閾値Vb3に満たないかどうかを判断し、閾値Vb3以上の場合にはステップS201に戻り、閾値Vb3に満たない場合には次のステップS203へと進む。ステップS203においては、充電器8を用いた外部電源による充電を促すべく警告音をスピーカ19から発する。尚、ステップS203における警告音はステップS104での警告音とは異なるように設定され、例えば、大きな音量に設定されている。
一方、ステップS204では、光発電パネル14の電圧信号Vsと光発電判断閾値Vs1との比較によって光発電パネル14が発電停止中(光発電パネル14が伏せ状態)であるかどうかを判断し、発電中の場合にはステップS202に進み、発電停止中の場合にはステップS205へと進む。
ステップS205では、バッテリ10の電圧信号Vbが補充電判断閾値Vb2に満たないかどうかを判断し、閾値Vb2以上の場合にはステップS201に戻り、閾値Vb2に満たない場合には次のステップS206へと進む。ステップS206においては、光発電パネル14による発電を促す警告、つまり光発電パネル14を表側に向けるべく警告をスピーカ19を通して行う。尚、ステップS206における警告音も、他の警告音とは異なるように設定されている。
【0027】
以上のようにこの携帯電話機は、第1の筐体1と第2の筐体2とを開閉可能に連結すると共に、第2の筐体2を第1の筐体1に対して表裏反転可能に連結し、第2の筐体2の表裏の片面(第1の表面)13に光発電パネル14を配置してあるため、充電の必要のないときに、光発電パネル14側の面(第1の表面13)を伏せて第1の筐体1に対向させた状態で両筐体1,2を重ね合わて閉じることができる。したがって、光発電パネル14を伏せて閉状態にとすることにより、光発電パネル14による発電が継続されることによってバッテリ10が過充電になる不具合を防止することができると共に、光発電パネル14面が露出状態とならないため、周囲の部材と接触することによる破損や傷つき等も同時に防止することができる。
【0028】
さらに、この携帯電話機においては、満充電状態で光発電パネル14の発電に伴い充電が継続されると、そのことを警告手段であるスピーカ19の警告音によってユーザーに知らせることができるため、ユーザーは光発電パネル14を第1の筐体1に対向させる状態とする等により速やかに光発電パネル14による充電を停止することができる。尚、警告が発された場合には、光発電パネル14側の面13を第1の筐体1に対向させなくとも、光パネル14を被覆する等により光発電パネル14に光を入射させないようにして、当該充電を停止させることも可能である。
【0029】
また、この実施形態の携帯電話機では、光発電パネル14が発電を行っている場合と発電を行っていない場合とで異なる充電判断閾値Vb3,Vb2を使い分け、光発電パネル14が発電を行っている場合には、発電を行っていない場合よりも低い閾値電圧Vb3で急速充電を促し、発電を行っていない場合には、それよりも高い閾値電圧Vb2で補充電を促すようになっているため、警告頻度を必要以上に増やすことなく、的確なタイミングで充電を促すことができる。
【0030】
この実施形態の場合、光発電パネル14が第2の筐体2に配置される一方で、バッテリ10が第1の筐体1側に配置されているため、光発電パネル14の発熱や太陽光による輻射熱がバッテリ10に伝達されにくく、したがって、熱によるバッテリ10の劣化をより有効に防止することができる。
【0031】
尚、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態は、携帯端末装置の一例として携帯電話機について説明したが、この発明にかかる携帯端末装置はPDA等であっても良い。また、警告手段はスピーカを用いる音による警告手段に限らず、発光体を用いる光による警告手段や、ディスプレイ表示や振動等による警告手段であっても良い。
【0032】
また、上記の実施形態においては、光発電パネル14の電圧信号Vsを基にして発電状態を検出するようにしているが、第1の筐体1と第2の筐体2の重ね合わせ状態と、第2の筐体2の表裏反転状態とを検出し、これらの検出結果から光発電パネル14による発電の有無(状態)を推定するようにしても良い。具体的には、第1の筐体1と第2の筐体2とが重ね合わせ状態(閉状態)にあり、且つ第2の筐体2の光発電パネル14側の面(第1の表面)13が第1の筐体1に対向された状態(光発電パネル14が露出していない状態)である場合には、光発電パネル14が非発電状態にあり、それ以外の状態(光発電パネル14が露出している状態)である場合には、発電状態にあると推定することができる。この場合の両筐体1,2の状態検出は、例えば、上記のMRセンサ15a,15b,15c,15d等によって行うことができる。
【0033】
さらに、第1の筐体と第2の筐体を連結するヒンジ部は、相互に直交する2軸を有するものであれば上記以外の形態であっても良い。例えば、第1の筐体に支持される第1回転軸を第1の筐体の上面と直交するように設け、第1の筐体と第2の筐体とを略平行に保ったまま、両筐体を第1回転軸を中心に回転させて両筐体を開閉することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の一実施形態を示すものであり、開いた状態の携帯電話機の平面図。
【図2】同実施形態を示すものであり、光発電パネルを上に向けて折り畳んだ携帯電話機の平面図。
【図3】同実施形態を示すものであり、表示部を上に向けて折り畳んだ携帯電話機の平面図。
【図4】同実施形態を示すものであり、光発電パネルを上に向けて折り畳んだ携帯電話機の側面図。
【図5】同実施形態の携帯電話機の概略回路構成図。
【図6】同実施形態のコントローラを中心とした電源管理に係わる部分の概略構成図。
【図7】同実施形態のバッテリ電圧を説明するための線図。
【図8】同実施形態の制御の流れを示すフローチャート。
【図9】同実施形態の制御の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0035】
1…第1の筐体(筐体)
2…第2の筐体(筐体)
3…ヒンジ部
4…第1回転軸
6…第2回転軸
10…バッテリ
11…一方の面
13…他方の面
14…光発電パネル(光発電部材)
15a,15b,15c,15d…MRセンサ(発電状態検出手段)
16…コントローラ(充電要否判断手段,発電状態検出手段)
19…スピーカ
26…電源制御回路(電力供給手段,発電状態検出手段)
30…突起(当接抑制部材)
Vb1…満充電判断閾値(第1設定値)
Vb2…補充電判断閾値(第2設定値)
Vb3…急速充電判断閾値(第3設定値)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の筐体と、
相互に直交する第1回転軸と第2回転軸とを有して前記一対の筐体を連結し、前記第1回転軸を中心とした前記一対の筐体の回動により前記一対の筐体の厚み方向の重ね合せを可能とし、前記第2回転軸を中心とした前記一対の筐体の一方の回動により前記一方の筐体の表裏反転を可能とするヒンジ部と、
前記一方の筐体の表裏一方の面に配置される光発電部材と、
前記光発電部材の発電に伴う電力を前記一対の筐体のいずれかに設けられたバッテリ又は電子部品に供給する電力供給手段と、を備えた
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記バッテリの充電の要否を判断する充電要否判断手段と、
前記充電要否判断手段の判断結果に応じて充電の要または不要を報知する報知手段と、を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記光発電部材の発電状態を検出する発電状態検出手段を有し、
前記充電要否判断手段は、前記バッテリが第1設定値以上の電力状態にあるときに前記光発電部材による前記バッテリの充電が不要であると判断し、
前記報知手段は、前記充電要否判断手段により前記バッテリが前記第1設定値以上の電力状態であり、且つ前記発電状態検出手段にて前記光発電部材が発電状態にあることが検出された場合に、前記光発電部材による前記バッテリの充電が不要であることを報知する
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記光発電部材の発電状態を検出する発電状態検出手段を有し、
前記報知手段は、前記充電要否判断手段により前記バッテリの充電が必要であると判断され、且つ前記発電状態検出手段にて前記光発電部材が非発電状態にあることが検出されると、前記光発電部材が要であることを報知する
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記報知手段は、前記充電要否判断手段により前記バッテリが第2設定値以下の電力状態であると判断された場合に、前記発電状態検出手段にて前記光発電部材が非発電状態にあることが検出されると、前記充電が要であることを報知し、前記充電要否判断手段により前記バッテリが前記第2設定値よりも低い第3設定値以下の電力状態であると判断された場合には、前記発電状態検出手段により検出される前記光発電部材の充電状態に関係なく、前記充電が要であることを報知する
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記発電状態検出手段は、前記光発電部材による発電電圧に基づき前記発電状態を検出することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記発電状態検出手段は、前記一対の筐体の前記厚み方向の重ね合わせ状態と前記一方の筐体の表裏反転状態に基づき、前記一対の筐体が前記厚み方向に重ね合わされて、且つ前記光発電部材が配置される前記一方の筐体の表裏一方の面が前記他方の筐体に対向した状態であると判断されると、前記光発電部材が非発電状態にあることを検出する
ことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項8】
前記充電要否判断手段によるバッテリの電力状態の判断は、前記バッテリの残電圧に基づいて行う
ことを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記光発電部材が配置される前記一方の筐体の前記表裏一方の面と、この面が対向して配置され得る他方の筐体の一面との少なくとも一方に、前記光発電部材と前記他方の筐体との当接を抑制する当接抑制部材を設けた
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項10】
前記バッテリを、前記光発電部材が配置されない他方の筐体に配設したことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の携帯端末装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−96849(P2007−96849A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−284496(P2005−284496)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】