説明

携帯端末装置

【課題】比較的簡単な構成および操作で現在の状況を設定登録して、着信応答不可状態を適切に伝えることを可能にする。
【解決手段】自動音声ガイダンスがONに設定される(S101)と、着信LEDのみを点灯作動させる着信設定モードに自動的に切り替えられる(S102)。その後、電話が掛かってくると、対象者制限設定がなされているかどうかを確認し(S103)、制限設定がない場合(S110)、および制限設定があり(S104)かつ発信端末の電話番号が電話帳に登録されている場合(S108)は、予め登録してあった着信に応答できない理由及び通話可能時間帯を示す内容の音声ガイダンスを発信先に自動送信する(S109)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機能を有する携帯端末装置に関し、特に携帯電話に着信があったときに周囲との関係で通話することができない状況が生じている場合の対処技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機は、現在世の中に広く普及しており、今や日本での稼動台数は1億台に迫る勢いである。また、使用する年齢層も子供からお年寄りまでと幅広く、使用する用途も様々である。その中で一番多く使用される機能は言うまでもなく携帯電話本来の用途である通話であるが、会議中や公共交通機関への乗車中時など、電話を着信しても直ぐには応答できない状況において、電話が掛かってきてしまい、やむを得ず応答して周囲に迷惑を掛けてしまったり、通話したい(通話出来ない状況を伝えたい)けれど伝達出来なかったり、繰り返し何度も着信があって不愉快になったりと、携帯電話の通話に関しては、様々な問題がある。
【0003】
このような問題を解消する携帯電話サービスとして留守録応答サービスがあり、電話の受信者が留守録設定をしていれば着信に応答しなくても、電話の送信者は、相手にメッセージを録音して残すことができる。しかしながら、電話の送信者が一方的にメッセージを残すだけで用事が済むケースは少なく、多くの場合、相手に電話しなおしてもらうようにメッセージを残すか、あるいはメッセージを残さずに、後で改めて電話しなおすことになる。その際、電話の送信者は、相手が留守録を設定している理由が分からないので、いつ電話しなおせばいいのか判断できず、このため、何度も電話をかけなおすことになったり、電話による連絡の機会を失ってしまう場合もある。
【0004】
このような問題の解消手段として、特許文献1では、移動体端末上で着信モード情報を選択するとともに、自己の着信モード情報の共有を許可する通知グループを選定してセンタ装置に伝送し、センタ装置はこのデータに基づき当該端末の着信モード情報を更新し、このデータに記述された通知グループのメンバー各自に着信モード情報を送信し、通知メンバーである移動体端末は、センタから前記移動体端末の着信モード情報を受信し、これに記述された状態情報(会議中、移動中など)を発呼の際に利用することにより、また、センタ装置は着呼を検出したとき、センタ装置内に格納された相手先の着信モード情報があるか否かを判断し、当該設定がある場合は、着信動作設定に基づき、自動応答してガイダンスを送信し、所定の着信動作をした後に自動切断することにより、不要なトラヒックの発生を回避して回線の混雑を緩和する技術が提案されている。
【0005】
また、特許文献2では、携帯電話機に電子メール送受信機能およびスケジュール登録機能を備え、受信した電子メールが着信応答可否の問い合わせの電子メールであるか否かを判定する手段と、受信した電子メールが着信応答可否の問い合わせの電子メールであると判定された場合に、スケジュール登録機能を利用して登録された、現在時刻におけるスケジュールを参照し、それに基づいて、直ぐに着信応答可能であるか否かを判定する手段と、直ぐに着信応答可能であると判定された場合に、着信応答可能の旨のメッセージを含む電子メールを、着信応答可否の問い合わせの電子メールの送信元に自動的に返信する手段と、直ぐには着信応答できないと判定された場合に、スケジュール登録機能を利用して着信応答可能となる時期を判定し、着信応答できない旨のメッセージと、着信応答可能となる時期の情報を示すメッセージとを含む電子メールを、着信応答可否の問い合わせの電子メールの送信元に自動的に返信する手段を設けることにより、この携帯電話に電話をかけようとする送信者が、最初に、着信応答可否の問い合わせの電子メールを送信し、それに対して返信されてきた電子メールを参照することによって、送信相手が直ぐに着信応答可能か否か、および、直ぐに着信応答できない場合には、いつになれば着信応答可能になるかを確認できるようにする技術が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−219482号公報
【特許文献2】特開2005−033565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の発明によれば、会議中、公共交通機関への乗車中、あるいは自動車運転中など、電話を着信しても直ぐには応答できない状況をセンタ装置に送信して登録しておけば、当該電話に対して着信があった場合、センタ装置が発信端末に自動応答して、着信端末の現在の状況(会議中、移動中など)の音声ガイダンスを送信して所定の着信動作をした後に自動切断するので、電話の送信者は、相手が電話に応答できない理由を把握することができ、またいつ電話しなおせばいいのかの判断材料も得られるので、携帯電話通話における利便性向上と、携帯電話マナーの向上を図る事が可能であるが、そのために、センタ装置を設けなければならず、また、移動体端末は、該端末上で着信モード情報を選択するとともに、自己の着信モード情報の共有を許可する通知グループを選定してセンタ装置に伝送する処理を行う必要がある。
【0008】
また特許文献2に記載の発明では、携帯電話に電話をかけようとする送信者は、送信相手が直ぐに着信応答可能か否か、および、直ぐに着信応答できない場合には、いつになれば着信応答可能になるかを確認するために、前もって電子メールを送信して確認する操作を行わなければならず、却って操作が面倒であり、また着信応答可能の場合には二重手間となるという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、携帯電話端末に対して、比較的簡単な構成および操作で現在の状況を設定登録することにより、着信に対して着信応答不可状態を適切に伝えることを可能にして、携帯電話通信における利便性向上と、携帯電話マナーの向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の携帯端末装置は、ユーザーにより設定された電話着信に対する通話不可理由及び通話可能時間帯を含む返信情報を登録する返信情報登録手段と、該登録された返信情報に基づいて前記通話不可理由及び通話可能時間帯を含む内容を音声で通知する音声ガイダンスを作成する音声ガイダンス作成手段と、自動音声ガイダンス設定がされているときの電話着信に対して前記音声ガイダンス作成手段で作成された音声ガイダンスを発信端末に自動送信する電話応答不可時自動返信手段を備えていることを特徴としている。
【0011】
本発明では、携帯端末への電話着信時に、当該携帯端末に自動音声ガイダンス設定がされている場合には、発信端末に対して前記通話不可理由(例えば会議中)及び通話可能時間帯(例えば19時以降通話可能)を音声ガイダンスにより自動送信することができるので、ユーザーは、通話不可理由が発生する前に、携帯端末に電話応答不可情報等を登録する比較的簡単な構成及び操作により、通話出来ない状況で電話着信があっても発信者に状況を伝達する事が可能となり、かつ、発信者も相手方の状況を把握する事で何度も電話を掛け直す必要がなくなり、携帯電話の利便性を大きく向上させる事が可能となる。
【0012】
また前記返信情報登録手段には、前記音声ガイダンスを自動送信する対象端末を制限する情報も登録可能に構成することができ、前記電話応答不可時自動返信手段は、前記返信情報登録手段に前記対象端末を制限する情報が登録されているときには、前記発信端末が前記制限された対象端末に該当するときのみ、前記音声ガイダンスを自動送信する機能を有する構成とすることができる。
【0013】
また携帯電話端末は着信報知手段として、着信音発生装置と、マナーモード時等に動作させるバイブレータと、LED発光装置を備えているが、本発明の前記自動音声ガイダンス設定がされているときの電話着信時には、電話着信報知手段として前記LED発光装置のみを動作させることを特徴としており、それにより、ユーザーにより設定されていた着信設定がいかなるモードであったとしても、着信音やバイブレーションを作動させないモードへ自動で切り替わるので、不快な着信音・バイブレーション音による他人への迷惑防止を図る事が可能であり、携帯電話マナー向上にも繋がる。
【0014】
また、前記電話応答不可時自動返信手段は、前記LED発光装置による着信報知開始から所定時間経過後に、前記発信端末に対する前記通話不可理由及び通話可能時間帯の音声ガイダンスによる自動送信を開始するように構成することができ、前記LED発光装置による着信報知開始から所定時間経過する前にオフフックされたときには、前記発信端末との間の通話を開始可能に構成することができる。
【0015】
このような構成とすれば、例えば通話不可理由として会議中が設定登録されているような場合等において、会議の途中に休憩時間が設けられ、休憩時間中にユーザーがLED発光により電話着信に気づいたような場合、自動返信情報が設定登録されていても直にオフフックすれば通話を行うことが可能となるので、携帯電話マナー向上を図りつつ、より利便性を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、比較的簡単な構成、及び操作によって、電話着信に対してユーザーが通話を自粛しなければならない状況であっても、周囲に迷惑をかけることなく発信者にその状況を自動的に伝達することができ、発信者も相手方の状況を把握する事が可能となるので、何度も電話を掛け直す必要がなくなり、相手方にも迷惑を掛ける心配がなくなる。
【0017】
また、通話禁止場所(電車内や公共の場所等)での不必要な通話の抑制や、不快な着信音・バイブレーション音による他人への迷惑防止を図る事も可能となり、携帯電話マナー向上にも繋げる事が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明が適用される携帯電話機の要部構成を示すブロック図である。
【0019】
携帯電話機10は、通話機能、電子メール送受信機能、スケジュール登録機能を含む様々な情報処理機能を備えており、これら各種情報処理を実施し、接続された各部の動作を統括制御して、発信、着信、通話、待ち受け、表示などの制御を行うコンピュータとして構成されたCPU等からなる制御部11を有している。制御部11には、メモリ12、無線部13、LCDあるいは有機EL等からなる表示部14、キー入力部15、音声処理部16、着信音発生部17、バイブレータ18、LED表示部19などが接続されている。
【0020】
メモリ12には、制御部11に上記種々の処理動作を実行させるためのプログラムが記憶されており、本発明の電話応答不可自動返信動作を実行するためのプログラムも記憶されている。また、発信履歴、着信履歴、受信メールなどの情報、電話帳機能に対応した電話番号およびメールアドレスなどのデータ、スケジュール登録機能に対応したスケジュール情報、あるいは本発明の返信情報登録手段で設定登録した情報などもメモリ12に記憶される。さらに、制御部11が動作中に使用するデータ等を一時的に記憶するワークエリアとして用いられる。
【0021】
無線部13は、基地局との間でアンテナを介して無線信号の送受信処理を行う。表示部14には、電子メールの内容や、スケジュール登録機能に対応したスケジュール情報、あるいは本発明の通話不可時の返信情報登録機能に対応した表示などの各種情報を表示可能である。キー入力部15は、使用者が各種情報を入力するのに用いられ、また本発明の通話不可時の自動返信情報を登録する際に登録内容を入力するために用いられる。
【0022】
音声処理部16は、通話時に制御部11と送受話器間において信号のD/A変換、A/D変換、増幅処理等を行う。着信音発生部17、バイブレータ18、LED発光部19は、電話着信時に制御部11からの制御指示を受けて使用者に着信を知らせるための着信音、振動、LED発光を行う。
【0023】
図2は、本実施例の携帯電話機への着信に対して通話不可理由を自動返信する場合の設定内容例を示す説明図であり、図3は、図2に示す設定例に従って自動作成された音声ガイダンスの例を示す説明図である。
【0024】
まず、ユーザーは携帯電話による通話を自粛しなければならない状況が生じた場合に、本発明の電話応答不可自動返信動作を実行するためのプログラムを起動して、表示部14に、図2に示す自動返信時の設定入力画面を表示させ、キー入力部15から、通話出来ない理由と通話可能時間帯、再発信希望有無、対象者制限情報等を入力し、自動返信情報として事前に設定登録する。
【0025】
図2に示す設定内容の「対象者制限」とは、掛かってくる電話全てに対して音声ガイダンスを流しても良い場合は「制限なし」を入力し、自分の携帯電話に登録済みの者から着信があった場合のみガイダンスを流したい場合は「登録者のみ」を選択出来る機能であり、ユーザーの意思により自由に設定が可能である。尚、図2に示す入力例はあくまでも一例であり、この実施例が本発明の技術的範囲を制限するものではない。
【0026】
上記入力が完了すると、入力内容に基づいて、音声ガイダンスが自動で作成され、音声として出力される。音声ガイダンス内容の一例として、図3に示すような例文が音声出力される。ユーザーは音声出力されたガイダンス内容を確認し、問題がなければそのまま入力内容を登録する。仮にガイダンス内容を修正したい場合には、図2の内容を再度入力し直す事で修正が可能である。
【0027】
また、携帯端末装置10には時計機能が備えられており、本実施例の自動音声ガイダンス設定がされているときに前記登録されている電話応答不可情報に含まれている通話可能時間帯と前記時計の示す時刻とを比較し、前記時計の示す時刻が前記通話可能時間帯に入ったとき、前記自動音声ガイダンス設定を自動解除する機能を有しており、従って、電話応答不可時間帯が解消した(例えば会議が終了した)後には、自動音声ガイダンス設定の解除操作を行わなくても、自動的に通常の着信待ち受け状態に復帰することができる。
【0028】
図4は、本実施例の携帯電話機への電話着信時における動作を示すフローチャートである。以下、図1〜図4を参照して、本実施例の動作について説明する。
【0029】
図2に示す自動返信時の設定入力画面により入力内容が登録された状態において、自動音声ガイダンスがONに設定される(S101)と、ユーザーにより設定されていた着信設定がいかなるモードであったとしても、着信音発生部17およびバイブレータ18を作動させないモード(但し、着信LED発光部19は点灯作動させる)に自動的に切り替えられる(S102)。
【0030】
その後、電話が実際に掛かってくると、対象者制限設定がなされているかどうかを確認する(S103)。制限設定が登録されている場合(S104)は、発信端末の電話番号を確認し(S105)、該発信端末の電話番号が電話帳に登録済みであるか否かを自動検索する(S106)。番号が登録されていない場合(S107)は、通常の通話手順に移行する事になり、一定時間着信LED発光表示のみが行われ、その間にオフフックされなければ着信終了となって自動切断される。
【0031】
(S106)の自動検索の結果、発信端末の電話番号が電話帳内に登録されている場合(S108)は、予め登録してあった内容を発信先に音声ガイダンスとして自動で流す(S109)。また、(S103)にて制限登録されていない場合(S110)も、自動ガイダンスを流す手順(S109)に移行する。尚、自動返信機能を設定している場合であっても、ユーザーの意思により、通話は可能(S111)である。
【0032】
そのため、電話着信後、所定時間(数秒程度)LED発光による着信表示を行い、その間にユーザーがオフフックして応答した場合(S111)には、相手端末との間で通話することができる。LED発光による着信表示後、前記所定時間の間にユーザーによるオフフック操作がなされなかった場合には、自動ガイダンスを流す手順(S109)に移行して、図3に示す例文のような音声ガイダンスを相手端末へ送出した後、通話終了処理する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例を示す携帯電話機の要部構成ブロック図である。
【図2】本実施例の携帯電話機への着信に対して通話不可理由を自動返信する場合の設定内容例を示す説明図である。
【図3】図2に示す設定例に従って自動作成された音声ガイダンスの例を示す説明図である。
【図4】本実施例の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
10 携帯電話機
11 制御部
12 メモリ
13 無線部
14 表示部
15 キー入力部
16 音声処理部
17 着信音発生部
18 バイブレータ
19 LED発光部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーにより設定された電話着信に対する通話不可理由及び通話可能時間帯を含む返信情報を登録する返信情報登録手段と、該登録された返信情報に基づいて前記通話不可理由及び通話可能時間帯を含む内容を音声で通知する音声ガイダンスを作成する音声ガイダンス作成手段と、自動音声ガイダンス設定がされているときの電話着信に対して前記音声ガイダンス作成手段で作成された音声ガイダンスを発信端末に自動送信する電話応答不可時自動返信手段を備えていることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記返信情報登録手段には、前記音声ガイダンスを自動送信する対象端末を制限する情報も登録可能に構成されており、前記電話応答不可時自動返信手段は、前記返信情報登録手段に前記対象端末を制限する情報が登録されているときには、前記発信端末が前記制限された対象端末に該当するときのみ、前記音声ガイダンスを自動送信する機能を有していることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
電話着信報知手段として、着信音発生装置と、バイブレータと、LED発光装置を備えており、前記自動音声ガイダンス設定がされているときの電話着信に対しては、前記着信音発生装置およびバイブレータの動作を停止し、LED発光装置のみを動作させる機能を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記電話応答不可時自動返信手段は、前記LED発光装置による着信報知開始から所定時間経過後に、前記発信端末に対する前記音声ガイダンスによる自動送信を開始する機能を有しており、前記LED発光装置による着信報知開始から所定時間経過する前に該電話着信に対するオフフックがされたときには、前記発信端末との間の通話を開始することを特徴とする請求項3に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記自動音声ガイダンス設定がされているときに前記登録されている電話応答不可情報に含まれている通話可能時間帯と当該携帯端末装置に内蔵された時計の示す時刻とを比較し、前記時計の示す時刻が前記通話可能時間帯に入ったとき、前記自動音声ガイダンス設定を自動解除する機能を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯端末装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−294855(P2008−294855A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139654(P2007−139654)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】