説明

携帯端末装置

【課題】パッキンの粘着部を嵌合溝の底面にだけ円滑に貼着させ正しく嵌合溝内に固定させることで、パッキンを携帯端末装置本体に安定して固定する。
【解決手段】携帯端末装置本体2と、携帯端末装置本体2の下面に装着されるバッテリカバー5と、携帯端末装置本体2の下面とバッテリカバー5との間に挟持される略環状のパッキン3と、を有する携帯端末装置1であって、携帯端末装置本体2の下面は、パッキン3を嵌合可能な略環状の嵌合溝8を有し、パッキン3は、当該パッキン3の長手方向に沿って延設され、略環状の嵌合溝8に嵌合可能な幅寸法を備えた通常幅部3Aと、当該パッキン3の長手方向に沿った少なくとも1箇所に設けられ、通常幅部3Aよりも小さな幅寸法を備えた小幅部3Bと、小幅部3Bの嵌合溝8の底面8a側の面に設けられ、当該嵌合溝8の底面8aに貼着するための両面テープ9と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばカラオケ装置を遠隔操作するためのリモコン装置として用いる携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、部材どうしの継ぎ目部分における密閉機構としては、一方の部材の表面に嵌合溝を設け、この嵌合溝にパッキンなどのシール部材を嵌合させて他方の部材を当該シール部材に密接させることで、シール部材より内側を密閉する密閉機構が多く利用されている。
【0003】
このような嵌合溝における密閉構造に関する従来技術として、例えば、特許文献1に記載のものが既に公知である。この従来技術では、嵌合溝の随所に、断面形状がL型に形成された係止部が設けられる。係止部においては、嵌合溝の一方側の側壁が欠落して開口されており、他方側の側壁と底面とによりL型の断面形状が形成されている。この構造により、嵌合溝に嵌合されたシール部材は、上記開口部分に係止されることで、脱落を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−300482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えばカラオケ装置を遠隔操作するために、従来、リモコン装置として、電子早見本などの携帯端末(以下、携帯端末装置)が提供されている。一般的に、カラオケ装置本体は大型の筐体を有しているため室内の隅などに配置されている。利用者は、卓上に載置された小型の携帯端末装置を操作することで、例えば赤外線通信などを介してカラオケ装置本体の操作を行えるようになっている。しかし、卓上には上記携帯端末装置とともに飲食物も載置される場合が多い。したがって、卓上が濡れてしまう可能性を考慮すると、当該携帯端末装置の下面においてバッテリカバーなどを装着している継ぎ目部分に、防水のために上記のような密閉機構を備える必要がある。
【0006】
ここで、上記従来技術のように嵌合溝の一方側の側壁を開口させる構成は、上記防水目的の密閉機構としては十分ではない。また、特に、携帯端末装置の場合には、その下面のバッテリカバーを着脱する頻度が高いため、嵌合溝におけるシール部材の固定を確実にして脱落を防ぐ必要がある。そこで、シール部材の固定時に、シール部材全体を嵌合溝に嵌合させるとともに、例えば接着剤又は両面テープなどの粘着部を介してシール部材の嵌合溝底面側の面(上面)を嵌合溝の底面に貼着して密着させる方法が考えられる。
【0007】
しかしながら、この場合、例えばOリングやパッキンのような細い線状又は環状のシール部材を操作者が手に持ち、同様に細い環状の嵌合溝に挿入する場合、シール部材の粘着部を嵌合溝の底面でなく嵌合溝の縁部や側面等に誤って付着させやすい。したがって、シール部材の粘着部を嵌合溝の底面にだけ円滑に貼着させ、シール部材を正しく嵌合溝内に固定することが難しい。
【0008】
本発明の目的は、シール部材の粘着部を嵌合溝の底面にだけ円滑に貼着させシール部材を正しく嵌合溝内に固定させることで、シール部材を携帯端末装置本体に安定して固定できる携帯端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明は、携帯端末装置本体と、前記携帯端末装置本体の下面に装着されるカバー部材と、前記携帯端末装置本体の下面と前記カバー部材との間に挟持される略線状又は略環状のパッキンと、を有する携帯端末装置であって、前記携帯端末装置本体の下面は、前記パッキンを嵌合可能な略環状の嵌合溝を有し、前記パッキンは、当該パッキンの長手方向に沿って延設され、前記略環状の嵌合溝に嵌合可能な幅寸法を備えた通常幅部と、当該パッキンの長手方向に沿った少なくとも1箇所に設けられ、前記通常幅部よりも小さな幅寸法を備えた小幅部と、前記小幅部の前記嵌合溝の底面側の面に設けられ、当該嵌合溝の底面に貼着するための粘着部と、を有することを特徴とする。
【0010】
本願第1発明の携帯端末装置は、携帯端末装置本体と、その下面に装着するバッテリカバーなどのカバー部材との間に、防水などを目的とする略線状又は略環状のパッキンを備えている。携帯端末装置本体の下面には、パッキン全体を嵌合して固定するための略環状の嵌合溝が設けられている。パッキンの固定時には、パッキン全体を嵌合溝に嵌合させるとともに、例えば接着剤又は両面テープなどの粘着部を介してパッキンの嵌合溝底面側の面(上面)を嵌合溝の底面に貼着して密着させる。
【0011】
ここで、パッキンのような細い線状又は環状の部材を操作者が手に持ち、同様に細い環状の嵌合溝に挿入する場合、パッキンの粘着部を嵌合溝の底面でなく嵌合溝の縁部や側面等に誤って付着させやすい。したがって、パッキンの粘着部を嵌合溝の底面にだけ円滑に貼着させ、パッキンを正しく嵌合溝内に固定することが難しい。
【0012】
そこで、本願第1発明においては、パッキンの長手方向に沿った少なくとも1箇所に、他の通常幅部よりも幅寸法が小さい小幅部を設けるとともに、この小幅部の嵌合溝の底面側の面(上面)にだけ限定して粘着部を設けている。これにより、パッキンを嵌合溝に挿入する際には、粘着部のあるパッキンの上記小幅部を嵌合溝の縁部や側面と離間した状態で円滑に嵌合溝内にはめ込み、パッキンの嵌合溝底面側に設けられた粘着部を迅速かつ確実に嵌合溝の底部へ貼着して固定することができる。その際、上記小幅部以外の通常幅部では、粘着部が設けられていないことから従来構造のような嵌合溝の縁部や側面への付着はなく、単純なはまり込みによって嵌合溝に嵌合させることができる。
【0013】
以上の結果、パッキンの粘着部を嵌合溝の底面にだけ円滑に貼着させパッキンを正しく嵌合溝内に固定できるので、パッキンを携帯端末装置本体に安定して固定できる。
【0014】
上記目的を達成するために、第2の発明は、携帯端末装置本体と、前記携帯端末装置本体の下面に装着されるカバー部材と、前記携帯端末装置本体の下面と前記カバー部材との間に挟持される略線状又は略環状のパッキンと、を有する携帯端末装置であって、前記携帯端末装置本体の下面は、前記パッキンを嵌合可能な略環状の嵌合溝を有し、前記嵌合溝は、溝方向に沿って延設され、前記パッキンを嵌合可能な幅寸法を備えた通常溝部と、溝方向に沿った少なくとも1箇所に設けられ、前記通常溝部よりも大きな幅寸法を備えた太溝部と、を有し、前記パッキンは、前記嵌合溝の前記太溝部に対応する領域の当該太溝部の底面側の面に設けられ、当該太溝部の底面に貼着するための粘着部を有することを特徴とする。
【0015】
本願第2発明の携帯端末装置は、携帯端末装置本体と、その下面に装着するバッテリカバーなどのカバー部材との間に、防水などを目的とする略線状又は略環状のパッキンを備えている。携帯端末装置本体の下面には、パッキン全体を嵌合して固定するための略環状の嵌合溝が設けられている。パッキンの固定時には、パッキン全体を嵌合溝に嵌合させるとともに、例えば接着剤又は両面テープなどの粘着部を介してパッキンの嵌合溝底面側の面(上面)を嵌合溝の底面に貼着して密着させる。
【0016】
本願第2発明においては、携帯端末装置本体の嵌合溝における、溝方向に沿った少なくとも1箇所に、他の通常溝部よりも幅寸法が大きい太溝部を設けている。また、パッキンは、嵌合溝の太溝部に対応する領域の太溝部の底面側の面(上面)に粘着部を設けている。これにより、パッキンを嵌合溝に挿入する際には、粘着部のある部分(太溝部に対応する部分)を太溝部の縁部や側面と離間した状態で円滑に太溝部内にはめ込み、パッキンの太溝部底面側に設けられた粘着部を迅速かつ確実に太溝部の底部へ貼着して固定することができる。その際、上記太溝部以外の通常溝部に対応する部分のパッキンには、粘着部が設けられていないことから従来構造のような嵌合溝の縁部や側面への付着はなく、単純なはまり込みによって嵌合溝の通常溝部に嵌合させることができる。
【0017】
以上の結果、パッキンの粘着部を嵌合溝の底面にだけ円滑に貼着させパッキンを正しく嵌合溝内に固定できるので、パッキンを携帯端末装置本体に安定して固定できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、シール部材の粘着部を嵌合溝の底面にだけ円滑に貼着させシール部材を正しく嵌合溝内に固定させることができるので、シール部材を携帯端末装置本体に安定して固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態の携帯端末装置を正しく載置した状態を斜視で表した図である。
【図2】携帯端末装置の下面に装着されている各部材を分解した状態を表した図である。
【図3】パッキンの下面図、正面図、及び上面図である。
【図4】通常幅部における嵌合溝への固定態様を説明する図である。
【図5】小幅部における嵌合溝への固定態様を説明する図である。
【図6】携帯端末装置本体の下面図である。
【図7】パッキンを同一幅寸法として嵌合溝に太溝部を設けた変形例の、嵌合溝の下面図である。
【図8】パッキンを同一幅寸法として嵌合溝に太溝部を設けた変形例の、パッキンの下面図、正面図、及び上面図である。
【図9】パッキンを同一幅寸法として嵌合溝に太溝部を設けた変形例の、太溝部におけるパッキンの固定態様を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明の携帯端末装置をカラオケ用に適用した場合の実施形態である。
【0021】
図1、図2を用いて、本実施形態の携帯端末装置の全体構成を説明する。なお、図1は携帯端末装置1を通常の使用状態において載置した状態を斜視で表しており、以下においてこの図1中の上下方向を当該携帯端末装置1における上下方向とする。また、図2は携帯端末装置1の下面に装着されている各部材を分解した状態を表しており、この図2中の上方向が図1中の下方向に対応し、図2中の下方向が図1中の上方向に対応する。
【0022】
図1、図2において、携帯端末装置1は、携帯端末装置本体2と、パッキン3と、バッテリパック4と、バッテリカバー5とを有している。
【0023】
図1に示すように、携帯端末装置本体2の上面中央には、表示機能と操作機能を兼ね備えたタッチパネル6が設けられている。このタッチパネル6に操作メニューや曲目(図中では特に図示せず)などが表示されるとともに、利用者が指先などで所定の表示ボタンに接触することで、対応する操作指令を特に図示しないカラオケ装置本体へ赤外線通信などを介して送信する。また、タッチパネル6の下方側(図中の手前側)には、演奏停止、演奏スピード調整、音量調整などの操作を行うための各種の専用ボタン7が設けられている。
【0024】
また、図2に示すように、携帯端末装置本体2の下面には、略矩形形状の嵌合溝8が環状に形成されている。この嵌合溝8は、その全周に渡って幅方向の寸法が略同一に形成されている(後述の図4、図5参照)。
【0025】
上記パッキン3は、例えば防水性及び弾性を有するゴムやポリマーなどの材料からなり、その全体の形状が嵌合溝8とほぼ同じ略矩形形状に形成されている(あるいは略線状の紐形状のものを嵌合溝8に嵌合してもよい)。このパッキン3が、上記嵌合溝8の内部に嵌合されるとともに、その嵌合内部で部分的に貼着することで、携帯端末装置本体2に固定される。なお、このパッキン3の詳細な構成、及び嵌合溝8に対する固定態様については、後に詳しく説明する。
【0026】
上記バッテリパック4は、その内部にバッテリを備えており、上記嵌合溝8の環状内の適宜の箇所に設けた連結具・係止部等により、携帯端末装置本体2の下面に対し、接続可能に構成されている。
【0027】
上記バッテリカバー5は、携帯端末装置本体2の下面に接続された上記バッテリパック4に対して、その全体を覆うように装着される。バッテリカバー5が携帯端末装置本体2の下面に装着された際には、当該バッテリカバー5の外周縁部がその全周に渡って上記パッキン3と密接する。これにより、パッキン3全体が携帯端末装置本体2とバッテリカバー5との間に密接挟持され、その環状内の領域を防水可能に密閉する。なお、このバッテリカバー5が、各請求項記載のカバー部材として機能する。
【0028】
上記パッキン3を携帯端末装置1の下方(図2中の上方)から見ると図3(a)に示す外観となり、正面側方(図2中の左手前側)から見ると図3(b)に示す外観となり、上方(図2中の下方)から見ると図3(c)に示す外観となる。
【0029】
これら図3(a)〜(c)に示すように、パッキン3は、通常幅部3Aと小幅部3Bとを有している。通常幅部3Aは、当該パッキン3の長手方向に沿って延設され、上記嵌合溝8に嵌合可能な幅寸法を備えている。小幅部3Bは、当該パッキン3の長手方向に沿った少なくとも1箇所(この例の6箇所)に設けられ、上記通常幅部3Aより小さな幅寸法を備えている。パッキン3のほとんどの部分は通常幅部3Aであり、全体の略矩形形状における2辺の長辺部分にそれぞれ2箇所、2辺の短辺部分にそれぞれ中央の1箇所、それぞれ同じ長さに上記小幅部3Bが設けられている。そして、各小幅部3Bの領域における上面、つまり嵌合溝8の底面8a(後述の図4(a)及び図4(b)参照)側に対向する面には、それぞれ嵌合溝8の底面8aに貼着するための両面テープ9が設けられている。なお、本実施形態においてはこの両面テープ9が、各請求項記載の粘着部として機能するが、これに代えて同じ領域に接着剤などを塗布し粘着部として機能するようにしてもよい。
【0030】
ここで、パッキン3を嵌合溝8へ挿入する際の、上記通常幅部3Aと上記小幅部3Bのそれぞれにおける固定態様を説明する。通常幅部3Aの場合は、上記図2中の矢視IV−IV断面に対応する図4に示すような固定態様となる。なお、図4中の上方向が図1中の下方向に対応し、図4中の下方向が図1中の上方向に対応する(後述の図5においても同様)。図4(a)に示すように、通常幅部3Aにおける幅寸法Wnは断面が略U字形状に形成された嵌合溝8の幅寸法Wmとほぼ同じ寸法に設定されている。このため、図4(b)に示すように通常幅部3Aを嵌合溝8に挿入した際には、上述したように通常幅部3Aを嵌合溝8に単純に嵌合できる。なお、嵌合溝8に対する通常幅部3Aの嵌合は、中間嵌め又はしまり嵌めの関係となるように、通常幅部3Aの幅寸法Wnは嵌合溝8の幅寸法Wmよりもやや大きく設定されていてもよい。
【0031】
一方、小幅部3Bの場合は、上記図2中の矢視V−V断面に対応する図5に示すような固定態様となる。すなわち、図5(a)に示すように、小幅部3Bにおける幅寸法Wsは上述したように通常幅部3Aの幅寸法Wnより小さく設定されており、つまり小幅部3Bの幅寸法Wsは嵌合溝8の幅寸法Wmより小さく設定されている。また、この小幅部3Bの上面(図5(a)〜(c)中における下側の面)、つまり嵌合溝8の底面8a側に対応する面には、上述したように両面テープ9が設けられている。このため、図5(b)に示すように小幅部3Bを嵌合溝8に挿入した際には、小幅部3Bの上面(図5(a)〜(c)中における下側の面)を嵌合溝8の底面8aに貼着できる。
【0032】
すなわち、本実施形態においては、パッキン3を嵌合溝8に挿入する際には、両面テープ9が設けられた小幅部3Bを嵌合溝8の縁部8cや側面8bと離間した状態で円滑に嵌合溝8内にはめ込むことで、パッキン3の嵌合溝の底面8a側に設けられた両面テープ9を迅速かつ確実に嵌合溝8の底部へ貼着して固定することができる。その際、上記小幅部3B以外の通常幅部3Aでは、両面テープ9が設けられていないことから従来構造のような嵌合溝8の縁部8cや側面8bへの付着はなく、単純なはまり込みによって嵌合溝8に嵌合させることができる。
【0033】
以上の結果、本実施形態によれば、パッキン3の両面テープ9を嵌合溝8の底面にだけ円滑に貼着させ、パッキン3を正しく嵌合溝8内に固定できるので、パッキン3を携帯端末装置本体2に安定して固定できる。
【0034】
なお、上記小幅部3Bは、嵌合溝8の両側の縁部8cや側面8bに対して十分な距離で離間できるよう、できるだけ通常幅部3Aの幅方向中央位置に配置されることが望ましい。また、パッキン3及び嵌合溝8は環状形状に限られず、それぞれ線状に形成して嵌合可能に構成してもよい。
【0035】
また、上述したようにパッキン3は弾性を有する材料からなるため、手作業によりパッキン3の挿入を行った場合にはパッキン3が長手方向に引き延ばされ、各小幅部3Bが不適切な位置で嵌合溝8に貼着される可能性がある。これに対して、携帯端末装置本体2の下面図を表す図6に示すように、それぞれの小幅部3Bが適正に挿入されるべき位置の嵌合溝8の近傍に、目印としてのマーキング10を設けもよい。この場合には、手作業でパッキン3を嵌合溝8に挿入する場合でも、各マーキング10の位置に小幅部3Bを合わせるよう挿入することで、パッキン3内部に不適切な歪みを与えることなく適正に挿入することができる。
【0036】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、嵌合溝8の全周に渡ってその幅寸法を同一とし、パッキン3の所定箇所に小幅部3Bを設けてその領域だけ貼着させていたが、本発明はこれに限られない。例えば、パッキンの全周に渡ってその幅寸法を同一とし、嵌合溝の所定箇所に太溝部を設け、それら太溝部に対応する領域でパッキンを貼着させる構成としてもよい。
【0037】
この変形例における嵌合溝11は、本変形例の携帯端末装置本体2の要部抽出下面図である図7に示すように、通常溝部11Aと太溝部11Bとを有している。通常溝部11Aは、溝方向に沿って延設されてパッキン12を嵌合可能な幅寸法を備えている。太溝部11Bは、溝方向に沿ったこの例の6箇所に設けられて上記通常溝部11Aよりも大きな幅寸法を備えている。嵌合溝11のほとんどの部分は通常溝部11Aであり、全体の略矩形形状における2辺の長辺部分にそれぞれ2箇所、2辺の短辺部分にそれぞれ中央の1箇所の配置でそれぞれ同じ長さに太溝部11Bが設けられている。
【0038】
図8(a)〜(c)はそれぞれ、上記実施形態における図3(a)〜(c)に対応する図である。これら図8(a)〜(c)に示すように、本変形例におけるパッキン12は、その全周に渡って同一の幅寸法に設定されている。そして、このパッキン12において、上記嵌合溝11の太溝部11Bに対応する領域の上面には、それぞれ太溝部11Bの底面11Ba(後述の図9参照)に貼着するための両面テープ9が粘着部として設けられている。
【0039】
以上のような構成の嵌合溝11とパッキン12の場合、通常溝部11Aにおいては上記実施形態の図4と同等の固定態様でパッキン12が通常溝部11Aに挿入され、嵌合固定される。一方、太溝部11Bにおいては、上記図5に対応する図9に示すような固定態様となる。すなわち、図9(a)に示すように、太溝部11Bにおける幅寸法Wm2は上述したように通常溝部11Aの幅寸法Wmより大きく設定されており、つまり太溝部11Bの幅寸法Wm2はパッキン12の幅寸法Wnより大きく設定されている。また、この太溝部11Bに対応するパッキン12の上面(図9中における下側の面)、つまり太溝部11Bの底面側に対応する面には、上述したように両面テープ9が設けられている。このため、図9(b)に示すようにパッキン12を太溝部11Bに挿入した際には、パッキン12の上面を太溝部11Bの底面11Baに貼着できる。
【0040】
以上説明したように、本変形例においては、パッキン12を嵌合溝11に挿入する際には、両面テープ9のある部分(太溝部11Bに対応する部分)を太溝部11Bの縁部11Bcや側面11Bbと離間した状態で円滑に太溝部11B内にはめ込み、パッキン12の太溝部底面側に設けられた両面テープ9を迅速かつ確実に太溝部11Bの底部11Baへ貼着して固定することができる。その際、上記太溝部11B以外の通常溝部11Aに対応する部分のパッキン12には、両面テープ9が設けられていないことから従来構造のような嵌合溝11の縁部11Acや側面11Abへの付着はなく、単純なはまり込みによって嵌合溝11の通常溝部11Aに嵌合させることができる。以上の結果、本変形例においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0041】
なお本変形例の場合は、太溝部11Bが上記図6に示したマーキング10の代わりとして利用できる。つまり、手作業でパッキン12を嵌合溝11に挿入する場合に、パッキン12の両面テープ9を設けた部分を各太溝部11Bに合わせるよう挿入することで、パッキン12内部に不適切な歪みを与えることなく適正に挿入することができる。
【0042】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0043】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0044】
1 携帯端末装置
2 携帯端末装置本体
3 パッキン
3A 通常幅部
3B 小幅部
4 バッテリパック
5 バッテリカバー(カバー部材)
6 タッチパネル
7 専用ボタン
8 嵌合溝
9 両面テープ(粘着部)
10 マーキング
11 嵌合溝
11A 通常溝部
11B 太溝部
12 パッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置本体と、
前記携帯端末装置本体の下面に装着されるカバー部材と、
前記携帯端末装置本体の下面と前記カバー部材との間に挟持される略線状又は略環状のパッキンと、
を有する携帯端末装置であって、
前記携帯端末装置本体の下面は、
前記パッキンを嵌合可能な略環状の嵌合溝を有し、
前記パッキンは、
当該パッキンの長手方向に沿って延設され、前記略環状の嵌合溝に嵌合可能な幅寸法を備えた通常幅部と、
当該パッキンの長手方向に沿った少なくとも1箇所に設けられ、前記通常幅部よりも小さな幅寸法を備えた小幅部と、
前記小幅部の前記嵌合溝の底面側の面に設けられ、当該嵌合溝の底面に貼着するための粘着部と、
を有することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
携帯端末装置本体と、
前記携帯端末装置本体の下面に装着されるカバー部材と、
前記携帯端末装置本体の下面と前記カバー部材との間に挟持される略線状又は略環状のパッキンと、
を有する携帯端末装置であって、
前記携帯端末装置本体の下面は、前記パッキンを嵌合可能な略環状の嵌合溝を有し、
前記嵌合溝は、
溝方向に沿って延設され、前記パッキンを嵌合可能な幅寸法を備えた通常溝部と、
溝方向に沿った少なくとも1箇所に設けられ、前記通常溝部よりも大きな幅寸法を備えた太溝部と、
を有し、
前記パッキンは、
前記嵌合溝の前記太溝部に対応する領域の当該太溝部の底面側の面に設けられ、当該太溝部の底面に貼着するための粘着部を有する
ことを特徴とする携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−119627(P2012−119627A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270508(P2010−270508)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】