説明

携帯端末

【課題】明るい場所における表示画面の視認性を向上させることができる携帯端末を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる携帯端末10は、表示部101と、筐体102と、位置調節部103とを備えている。表示部101は、表示面1011を有している。また、表示部101は、情報を当該表示面1011に表示する。筐体102は、表示部101を格納する。位置調節部103は、表示部101の表示面1011の位置を、筐体102の厚み方向に調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末に関し、特に表示画面を備える携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示画面を備える携帯電話機や携帯オーディオプレーヤー等の携帯端末が普及している。
【0003】
携帯端末に設けられた表示画面は多くの場合、当該表示画面に近接して設けられた光源や、表示画面の裏に設けられたバックライト等によって照らされる。これらの照明により、暗い場所における表示画面の視認性の向上が図られている。
【0004】
表示画面の視認性を向上する技術として、特許文献1には、外光を取り込んで液晶パネルに照射する採光部を有する携帯情報端末に関する技術が開示されている。当該技術では、取り込む外光の量を増やすために、当該採光部が液晶パネルの本体側の軸に対向した端部を覆う形状となっている。
【0005】
一方、特許文献2には、LCDに対する遊技者の視認性を維持したまま、周囲からの視認性を低下させる技術が開示されている。この技術は、LCDの両側に遮蔽体を有し、遊技者の意思により当該遮蔽体を遊技機から突出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−312064号公報
【特許文献2】特開2007−117178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2の構成は、表示画面の周囲に外光を遮る部分が設けられていないため、明るい場所においては、外光が表示画面に当たって反射してしまう。そのため、外光が太陽の日差し等の強い光である場合は、その反射光によって画面に表示された内容が見づらくなってしまう。つまり、表示画面の視認性が低下するという問題が生じていた。
【0008】
本発明はこのような問題を解決するものであり、明るい場所における表示画面の視認性を向上させることができる携帯端末を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる携帯端末は、表示手段と、前記表示手段が格納される筐体と、前記表示手段の表示面の位置を、前記筐体の厚み方向に調節する位置調節手段と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、明るい場所における表示画面の視認性を向上させることができる携帯端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1にかかる携帯端末の外観斜視図である。
【図2】実施の形態1にかかる携帯端末の断面図である。
【図3】実施の形態1にかかる携帯端末の断面図である。
【図4】実施の形態1にかかる携帯端末の外観斜視図である。
【図5】実施の形態1にかかる携帯端末の使用例を説明するための図である。
【図6】実施の形態1にかかる携帯端末の使用例を説明するための図である。
【図7】実施の形態2にかかる携帯端末の外観斜視図である。
【図8】実施の形態2にかかる携帯端末の使用例を説明するための図である。
【図9】実施の形態3にかかる携帯電話機の分解斜視図である。
【図10】実施の形態3にかかる携帯電話機の正面図である。
【図11】実施の形態3にかかる携帯電話機の断面図である。
【図12】実施の形態3にかかる携帯電話機の断面図である。
【図13】実施の形態4にかかる携帯電話機の正面図である。
【図14】実施の形態4にかかる携帯電話機の断面図である。
【図15】実施の形態4にかかる携帯電話機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。実施の形態1にかかる携帯端末10の外観を示す斜視図及び断面図を図1及び図2に示す。携帯端末10は、表示部101、筐体102、位置調節部103を備えている。携帯端末10とは、例えば、携帯電話機や携帯オーディオプレーヤー、モバイルPC(Personal Computer)等である。
【0013】
表示部101は、携帯端末10が有する情報等を表示するものであり、例えばLCD等である。筐体102は、表示部101を格納するケースである。筐体102には表示枠があり、格納された表示部101の表示面が当該表示枠から視認可能となっている。位置調節部103は、例えばモータ等であり、表示部101の位置を調節する。
【0014】
次に、携帯端末10の内部構造について図2に示した断面図を用いて説明する。図2は、図1の破線a−aの断面図である。筐体102内部には、位置調節部103が設けられており、表示部101の表示面1011の位置を、筐体102の厚み方向に調節する。このとき、筐体102の厚み方向とは、図2に示した矢印方向であり、筐体102の厚さを示す方向である。つまり、筐体102の表示枠1021が有する四辺が形成する表示枠面に対して垂直な方向を意味する。
【0015】
続いて、本実施の形態にかかる携帯端末10の動作例について説明する。まず、通常の状態においては、図2に示したように表示面1011は、筐体102の表面付近に配置される。すなわち、表示枠面に近接して配置される。なお、位置調節部103は、図2に示した位置や構成に限られるものではない。
【0016】
そして、図3に示すように、位置調節部103は、表示面1011が筐体102の表示枠面から離れるように、筐体102の厚み方向に表示面1011の位置を調節する。このように調節することにより、表示面1011は、筐体102の表示枠面から奥まった位置に配置される(図4参照)。
【0017】
以上のように、表示面1011が筐体102の表示枠面から奥まることにより、表示面1011への外光の入射を遮ることができる。以下において、図5、図6を用いて詳細に説明する。
【0018】
図5及び図6は、光源90の下における携帯端末10の使用例を示す図である。図5は、表示面1011が筐体102の表示枠面に近接している場合の断面図である。表示面1011が表示枠面に近接していると、表示面1011への外光91の入射を遮る部分がない。そのため、図5に示すように、表示面1011に当たった外光91は反射してしまう。したがって、反射光92が目に入り、表示面1011の視認性が低下してしまう。
【0019】
一方、図6に示した携帯端末10は、図4に示した破線b−bの断面図である。上述したように、表示面1011は筐体102の表示枠面から離れている。そのため、光源90と筐体102の表示枠とを結ぶ線(図6の矢印)よりも下側(図6のハッチング部分)には外光91は入射されない。つまり、筐体102の周面1022が庇の役割を果たし、表示面1011への入射光は周面1022によって遮られる。その結果、外光91が表示面1011に反射して生じる反射光92を抑えることができる。
【0020】
このように、表示面1011が筐体102の表示枠面から奥まった位置に配置されるように、携帯端末10は、位置調節部103によって表示面1011の位置を調節することができる。また、携帯端末10は、表示面1011が筐体102の表示枠面に近接するように表示面1011の位置を調節することもできる。つまり、表示面1011に対する光源90の角度に合わせて表示面1011の位置を調節することができる。このような構成により、光源90の角度に対応して、外光91の表示面1011への入射を遮断し、かつ、表示面1011の奥まりに起因する表示内容の見えにくさを低減することができる位置に表示面1011を配置することができる。
【0021】
以上のように、本実施の形態にかかる携帯端末10の構成においては、表示面1011が筐体102の内部に奥まることができる。そのため、明るい場所においては、外光91による反射光92を防止でき、視認性が向上する。なお、表示面1011が筐体102の内部に奥まることにより、表示面1011の外周全てを取り囲む四辺が周面1022に囲まれるため、光源の位置が変化した場合においても、同様に視認性向上の効果を得ることができる。
【0022】
実施の形態2
本発明にかかる実施の形態2について説明する。実施の形態2にかかる携帯端末20の斜視図及び断面図を図7及び図8に示す。図7に示した携帯端末20は、表示部101の四隅に位置調節部103が設けられている。本実施の形態において、位置調節部103は、表示面1011と筐体102の表示枠面とがなす角度を調節する。図7には一例として、表示面1011の下辺が筐体102内部に奥まっている場合を示している。すなわち、表示面1011が傾いている状態である。
【0023】
図8を用いて、携帯端末20の使用例を説明する。図8に示した断面図は、図7に示した破線c−cの断面図である。図5において説明したように、表示面1011を表示枠面に近接させると外光91の反射光92によって視認性が低下してしまう。その場合には、位置調節部103により表示面1011の下辺が表示枠面から離れるように表示面1011の角度kを調節する。すると、図8に示すように外光91が表示面1011に当たるのを避けることができる。その結果、反射光が生じないので、明るい場所においても視認性が低下することはない。
【0024】
また、上記したように、位置調節部103は表示面1011の四隅にそれぞれ設けられている。そのため、上辺または下辺が表示枠面から離れるように角度を調節するだけでなく、左辺または右辺が表示枠面から離れるように角度を調節することも可能である。したがって、光源90の位置が変わった場合においても、反射光に起因する表示面1011の視認性低下を防止することができる。
【0025】
さらに、携帯端末20の利用者の周囲にいる利用者以外の者に対しては、表示面1011が傾くことにより、利用者以外の者の表示面1011への視線を避けることができる。その結果、表示面1011の覗き見防止という効果も得られる。
【0026】
実施の形態3
本発明にかかる実施の形態3について説明する。本実施の形態においては、携帯端末として携帯電話機30を用いた場合を説明する。携帯電話機30の分解斜視図を図9に示す。
【0027】
携帯電話機30は、透明アクリル板301、液晶表示部302、ねじ部303、フレーム304、基板305、モータ306、フロントケース307を備える。なお、図9に示した構成は、折り畳み式携帯電話機の表示部分のみであり、ボタン等の操作部は省略する。
【0028】
携帯電話機30の構成例について説明する。液晶表示部302は、フレーム304に組み込まれる。フレーム304は、四隅にねじ部303を有している。一方、基板305は、フロントケース307に固定される。基板305の四隅にはナット形状を有するモータ306が取り付けられている。当該ナット形状にフレーム304のねじ部303が挿入される。そして、最後に透明アクリル板301が貼り付けられる。当該透明アクリル板301により、外部からフロントケース307内にゴミが入ることを防ぐ。
【0029】
続いて、図10〜12を用いて携帯電話機30の動作例を説明する。図9に示した分解斜視図の組み立て後の正面図を図10に示す。また、図10の破線d−dの断面図を図11に示す。図11は、通常の状態、つまり液晶表示部302が透明アクリル板301(フロントケース307の表示枠面)に近接している状態である。
【0030】
液晶表示部302の移動は、ねじ部303とモータ306とによる伸縮動作によって行われる。ねじ部303はナット形状を有するモータ306に挿入されている。当該モータ306が回転駆動することによって、フレーム304が携帯電話機30の厚み方向に上下移動する。液晶表示部302は、フレーム304に取り付けられているため、フレーム304の移動に伴って上下移動する。なお、伸縮動作が可能であれば、伸縮部はねじ部303及びモータ306に限られない。また、モータ306の駆動制御については、携帯電話機30の操作部の操作によって制御してもよいし、携帯電話機30に設けられた光センサの光検出信号等によって制御してもよい。
【0031】
液晶表示部302が移動後の状態、つまり液晶表示部302がフロントケース307内部に奥まっている状態を図12に示す。このときは、図5において説明したように、液晶表示部302がフロントケース307内部に奥まることによって生じる周面3071が庇の役割を果たす。その結果、外光が液晶表示部302に入射することを防ぎ、明るい場所における視認性の向上を図ることができる。
【0032】
このとき、表示面1011を常に筐体102の表示枠面から奥まった状態にしていると、透明アクリル板301の筐体102内部側には透明アクリル板301を支持するものがない状態となる。そのため、透明アクリル板301は、表示枠のみに支持されることとなるため、携帯電話機30の落下等による外部からの衝撃に対する強度が低下してしまう。
【0033】
一方、本発明にかかる携帯電話機30は、外光の影響を受けない場合にはモータ306の駆動によって液晶表示部302を透明アクリル板301に近接させることができる。このように、液晶表示部302を透明アクリル板301に近接させることによって、透明アクリル板301を筐体102内部側からも支持する構造となる。そのため、透明アクリル板301の強度が低下することを回避できる。したがって、利用者が携帯電話機30を持ち歩いている場合など、透明アクリル板に301に外部衝撃が加わりやすい状況においては、液晶表示部302を表示枠面に近接させておくことにより、透明アクリル板301の保護を図ることができる。
【0034】
実施の形態4
本発明にかかる実施の形態4について説明する。本実施の形態にかかる携帯電話機40を図13〜図15に示す。携帯電話機40は、携帯電話機30の構成に加えて、スプリング401を備えている。図13に示す携帯電話機40の外見は図10に示した携帯電話機30の外見と同様であるが、内部構造が異なっている。
【0035】
図13の破線e−eの断面図を図14に示す。携帯電話機40は、フレーム304の中央にねじ部303が1つ設けられている。それに対応して、基板305のモータ306も基板中央部に1つ設けられている。また、図13の破線f−fの断面図を図15に示す。携帯電話機40には、フレーム304と基板305とに連結されたスプリング401が基板305の四隅に配置されている。なお、四隅に配置されるものは弾性体であればよく、スプリングに限られたものではない。
【0036】
本実施の形態においても、実施の形態3の動作と同様に、モータ306が回転駆動して、ねじ部303に連結されたフレーム304及び液晶表示部302を携帯電話機40の厚み方向に上下移動させる。このとき、四隅に設置されたスプリング401の弾性作用により、液晶表示部302を均一に上下移動させることができる。したがって、モータ306が1つであっても、実施の形態3と同様の動作が可能であり、視認性向上の効果を得ることができる。その結果、製造コスト削減を図ることができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
10、20 携帯端末
30、40 携帯電話機
90 光源
91 外光
92 反射光
101 表示部
102 筐体
103 位置調節部
301 透明アクリル板
302 液晶表示部
303 ねじ部
304 フレーム
305 基板
306 モータ
307 フロントケース
401 スプリング
1011 表示面
1021 表示枠
1022、3071 周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
前記表示手段が格納される筐体と、
前記表示手段の表示面の位置を、前記筐体の厚み方向に調節する位置調節手段と、
を備える携帯端末。
【請求項2】
前記位置調節手段は、前記表示手段の前記表示面と前記筐体の表示枠面との距離を調節する請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記筐体は、前記表示手段の前記表示面を取り囲む周面を備える請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記位置調節手段は、前記表示枠面と前記表示面とがなす角度を調節する請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記位置調節手段は、前記表示手段と前記筐体との間に伸縮手段を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記位置調節手段は、前記表示手段と前記筐体との間に弾性体をさらに有する請求項5に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−112902(P2011−112902A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269823(P2009−269823)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】