説明

携帯通信端末

【課題】
ユーザに意識的に不在着信の有無を確認させることなく、携帯通信端末の状態に応じて、効率よく不在着信を報知することが可能な携帯通信端末を提供する。
【解決手段】
本発明の一態様にかかる携帯電話機100は、無線通信回線を介して受けた振動による着信の報知に対し、応答操作がなされなかった不在着信を報知する携帯通信端末であって、着信時にユーザが動状態か静状態かを検知する加速度センサ101と、加速度センサ101から出力される検知信号に基づいて、着信時に動状態でありその後に静状態へ移行したと判定した場合に、不在着信を報知するバイブレータ104とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信端末に関し、特に詳しくは、不在着信を報知する機能を有する携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のコンピュータ技術の進歩に伴い携帯通信端末が普及している。その携帯通信端末の中でも、基地局との間で無線通信を行う、携帯電話機やPHS(Personal Handy phone System)(以下、PHSも含めて携帯電話機とする)の普及率は、爆発的に上昇している。
【0003】
従来の携帯電話機において、着信、メール着信などがあった場合、これらの事象が発生した時点で、あらかじめ設定しておいた着信音の鳴動やバイブレータの振動によって着信を報知する。この報知に対して、携帯電話機のユーザが周囲の騒音や歩行中の振動などにより気づかないことがある。このような場合、着信については不在着信として、メールについては未開封メールとして、表示部へのアイコンの表示などを利用してユーザに報知していた。
【0004】
しかしながら、上述のように着信を認識できなかった場合、ユーザ自身が表示部を見て不在着信の有無を意識的に確認しなければ、その不在着信を認識することができない。このような問題を解決すべく、様々な技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−319996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1では、不在着信がある場合、その不在着信に対してユーザが何らかの応答をするまで、所定の時間間隔ごとにバイブレータによる振動などの報知動作を行うことによって、不在着信の存在をユーザに繰り返し報知する。しかしながら、携帯電話機を放置していた場合などにおいては、電力が無駄に消費されるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる携帯移動端末は、無線通信回線を介して受けた着信に対し、応答操作がなされなかった不在着信の存在を報知する携帯通信端末であって、携帯通信端末の状態を検知する検知部と、前記携帯通信端末の状態の変化に応じて出力される前記検知部からの信号に基づいて、前記不在着信を報知する報知部とを有するものである。このような構成を有することによって、ユーザに意識的に不在着信の有無を確認させることなく、携帯通信端末の状態に応じて、効率よく不在着信を報知することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザに意識的に不在着信の有無を確認させることなく、携帯通信端末の状態に応じて、効率よく不在着信を報知することが可能な携帯通信端末を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1にかかる携帯通信端末について、図1を参照して説明する。図1は、実施の形態にかかる携帯通信端末の一例である携帯電話機100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる携帯電話機100は、加速度センサ101、記憶部102、表示部103、バイブレータ104、制御部105を備えている。本発明において注目すべき点は、加速度センサ101により検知された携帯電話機100の振動状態に応じて、不在着信の報知を行う点である。
【0009】
加速度センサ101は、携帯電話機100の振動を検知する。記憶部102は、不在着信の有無を記憶する。表示部103は、不在着信がある場合に、アイコンなどによる表示を行い、ユーザに対して不在着信の存在を報知する。バイブレータ104は、着信時にバイブレータ104により着信を報知する設定がなされている場合においては、着信があったときに振動によりユーザに対して着信を報知する。また、バイブレータ104は、ユーザが着信に気付かず不在着信となった場合に、加速度センサ101によって検知された携帯電話機100の振動状態の変化に応じて、不在着信の存在を報知する。このバイブレータ104による不在着信の報知については、後に詳述する。制御部105は、これら各部の動作を制御する。
【0010】
ここで、図2を参照して、実施の形態にかかる携帯電話機100の動作について詳細に説明する。図2は、携帯電話機100の動作を説明するためのフローチャートである。
【0011】
図2に示すように、まず携帯電話機100に着信する(ステップ101)。この着信に対してユーザが何らかの応答をなした場合、例えば、かかってきた電話に出る、送信されたメールを開封するなどの行為を行った場合、不在着信はなしとされる(ステップS102)。この場合、表示部103に不在着信の表示を行わない。
【0012】
一方、ユーザが周囲の騒音や歩行中の振動などにより着信に気付かず、応答しなかった場合、不在着信となる。この場合、制御部105は、不在着信があることを記憶部102に記憶させるとともに、不在着信があることを表示部103に表示させる。また同時に、制御部105は、加速度センサ101により着信時に携帯電話機100の振動が検知されていたかどうかを判断する(ステップS103)。加速度センサ101により振動が感知されていた場合、制御部105は、携帯電話機100の着信時の設定において、バイブレータ104の振動により着信を報知する設定であるかを判断する(ステップS104)。
【0013】
加速度センサ101により振動が検知され、かつ、バイブレータ104により着信を報知する設定であった場合、例えば、歩行などによるユーザ自身の振動で、ユーザが着信に気づかなかったと考えられる。したがって、加速度センサ101により携帯電話機100の振動が検知されている間は、再度バイブレータ104により不在着信の報知を行っても、ユーザは気づかない。したがって、加速度センサ101により携帯電話機100の振動が検知されなくなるまで、不在着信の報知を待つ必要がある(ステップS105)。
【0014】
その後、制御部105は、加速度センサ101により携帯電話機100の振動を感知しているか否かの判断をする(ステップS106)。加速度センサ101により携帯電話機100の振動が検知されなくなると、バイブレータ104を一定期間振動させてユーザに不在着信があることを報知する(ステップS107)。このように、携帯電話機100の振動が検知されなくなってから、バイブレータ104の振動により不在着信を報知することによって、ユーザは不在着信の存在をより確実に認知できる。
【0015】
そして、制御部105は、この不在着信の報知に対して、ユーザが何らかの応答をしたかどうかを判断する(ステップS108)。例えば、不在着信の発信者に対して電話をかけなおすなどを行った場合、不在着信はなしとされる(ステップS109)。そして、制御部105は、記憶部102に不在着信なしと記憶させる。
【0016】
一方、不在着信の報知に対して、ユーザがなんらの応答もしなかった場合、例えば、ユーザが携帯電話機100をかばんなどに入れて持ち歩いており、バイブレータ104による報知に気がつかないと考えられる。この場合、バイブレータ104による無駄な電力消費を避けるため、通常の不在着信報知動作に戻る(ステップS110)。
【0017】
ここで、通常の不在着信報知動作に戻る前に、所定の回数だけバイブレータ104の振動による不在着信の報知を繰り返す動作としてもよい。また、通常の不在着信報知動作とは、例えば、表示部103に不在着信ありの表示を行う、着信ランプを一定周期で点滅させるなどの動作である。
【0018】
また、ステップS104において、携帯電話機100の着信時の設定においてバイブレータ104の振動により着信を報知する設定ではなく、着信音により着信を報知する設定である場合、例えば、ユーザが携帯電話機100を持ち歩いているが周囲の騒音などで着信音に気付かなかったと考えられる。そこで、着信があってから所定の時間をおいてバイブレータ104を振動させて、不在着信があることをユーザに報知する(ステップ111)。このようにすることで、ユーザが着信音には気づかなかった場合でも、バイブレータ104の振動により、不在着信を認知することができる。
【0019】
そして、制御部105は、このバイブレータ104による不在着信の報知に対して、ユーザが何らかの応答をしたかどうかを判断する(ステップS112)。そして、何らかの応答を行った場合、不在着信はなしとされ(ステップS113)、制御部105は記憶部102に不在着信なしと記憶させる。これに対して応答がない場合、ステップ105へ移行して、上述と同様に加速度センサ101により振動が検知されなくなるまで待ち、バイブレータ104による不在着信の報知動作を行う。
【0020】
また、ステップS103において、加速度センサ101により振動が検知されていない場合、制御部105は、携帯電話機100の設定において、着信時にバイブレータ104が振動する設定であるかを判断する(ステップS114)。
【0021】
加速度センサ101により振動が検知されず、かつ、バイブレータ104により着信を報知する設定であった場合、例えば、ユーザが携帯電話機100を身に着けていないと考えられる。この場合には、不在着信の報知を行っても、ユーザは不在着信を認知することはできず、無駄に電力を消費してしまうこととなる。したがって、通常の不在着信報知動作を行う(ステップ115)。
【0022】
また、ステップ114において、バイブレータ104により着信を報知する設定がなされていなかった場合、ユーザが周囲の騒音などで着信音に気付かなかったか、あるいは携帯電話機100を身につけていないと考えられる。したがって、加速度センサ101によって携帯電話機100の振動が検知されるまで待つ必要がある(ステップS116)。その後、制御部105は、加速度センサ101が振動を検知したか否かを判断する(ステップS117)。振動ありと判断されると、着信時の設定と同じ動作によってユーザに対して不在着信があることを報知する(ステップS118)。例えば、着信音により着信を報知する設定の場合は、着信音によって、不在着信の報知を行う。
【0023】
これに対してユーザの応答がない場合には、周囲の騒音などで着信音に気付かなかったと考えられる。そこで、ステップS105に移行して、上述と同様に加速度センサ101により振動が検知されなくなるまで待ち、バイブレータ104による不在着信の報知動作を行う。
【0024】
以上の不在着信の報知動作において、バイブレータ104の振動パターンを通常着信時の振動パターンとは異なるパターンとして、着信と区別できる様にしても良い。また、不在着信の報知だけでなく、未開封メールの報知動作としてもよい。
【0025】
また、図2の各ステップ間には、必要に応じてタイマーによる待ち時間を設けてもよい。このような構成とすることによって、バイブレータ104による不必要な電力消費を抑制することができる。また、加速度センサ101での携帯電話機100の振動の検知時間は、任意に設定することが可能である。例えば、0.2秒間隔の測定で連続5回振動が検知された場合に振動ありの結果となるように設定することができる。
【0026】
実施の形態2.
発明の実施の形態2にかかる携帯通信端末について、図3を参照して説明する。図3は、実施の形態にかかる携帯通信端末の一例である携帯電話機100の構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施の形態にかかる携帯電話機100は、タッチセンサ106、記憶部102、表示部103、バイブレータ104、制御部105を備えている。本実施の形態において、実施の形態1と異なる点は、加速度センサ101の代わりにタッチセンサ106を設けた点である。なお、図3において、図1と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。タッチセンサ106は、通常の操作ボタンとは異なり、ユーザが携帯電話機100を把持した場合に接触する位置に、ユーザが操作ボタンとは認識しない態様で設けられている。
【0027】
本実施の形態にかかる携帯電話機100では、不在着信があった場合に、携帯電話機100に設けられたタッチセンサ106に接触すると、タッチセンサ106がそれを感知し、一定時間バイブレータ104を振動させて、ユーザに不在着信があることを報知する。本実施の形態の場合は、不在着信に対してなんらの応答もしていない場合、ユーザ自身が不在着信の報知動作を行わないように設定しない限り、ユーザがタッチセンサ106に接触するたびに、バイブレータ104による不在着信の報知を何度でも行うようにすることができる。このような構成を有することによって、確実にユーザに不在着信の有無を認識させることができる。また、一方で、ユーザがタッチセンサ106に触れさえしなければ、不在着信の報知は行われず、バイブレータ104は振動しないため、無駄な電力の消費を抑制することが可能である。
【0028】
また、加速度センサ101とタッチセンサ106とを両方設けることも可能である。例えば、歩行中などには加速度センサ101のみが動作するように設定し、携帯電話機の振動状態の変化に応じて、不在着信の報知を行うようにすることができる。また、かばんの中に携帯電話機100を入れておく場合などには、タッチセンサ106が動作するように設定し、かばんから取り出さずに不在着信の有無を確認することも可能である。
【0029】
また、上述の例に限らず、マイクを設け、周囲の騒音を検知するようにしてもよい。この場合、周囲の騒音のレベルに応じて、不在着信の報知手段を変更するようにしてもよい。
【0030】
以上のように、本発明の携帯電話機100では、周囲の騒音やユーザ自身の歩行中の振動などにより、着信時の着信音やバイブレータ104の振動に気付かず不在着信となった場合に、携帯電話機100の振動などの状態に応じて不在着信の報知を行う。このため、ユーザに不在着信をより確実に報知することができる。また、本発明によれば、不在着信を報知するためにバイブレータ104を定期的に振動させる必要がなく、また携帯電話機100の設定などの条件によってはバイブレータ104を振動させる不在着信の報知を行わないため、比較的電流の消費を押さえることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施の形態1にかかる携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかる携帯電話機の動作を説明するフローチャートである。
【図3】実施の形態2にかかる携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0032】
100 携帯電話機
101 加速度センサ
102 記憶部
103 表示部
104 バイブレータ
105 制御部
106 タッチセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信回線を介して受けた着信に対し、応答操作がなされなかった不在着信を報知する携帯通信端末であって、
前記携帯通信端末がユーザにより把持されたかどうかを検知する検知部と、
前記検知部から出力される検知信号に基づいて、前記携帯通信端末がユーザにより把持されたと判定した場合に、前記不在着信を報知する報知部と、
を有する携帯通信端末。
【請求項2】
前記検知部は、振動または接触を検知する請求項1に記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記検知部は、加速度センサまたはタッチセンサである請求項1又は2に記載の携帯通信端末。
【請求項4】
無線通信回線を介して受けた振動による着信の報知に対し、応答操作がなされなかった不在着信を報知する携帯通信端末であって、
着信時にユーザが動状態かどうかを検知する検知部と、
前記検知部から出力される検知信号に基づいて、着信時に動状態でなくその後に動状態へ移行したと判定した場合に、前記不在着信を報知する報知部と、
を有する携帯通信端末。
【請求項5】
前記検知部は、振動を検知する加速度センサである請求項4に記載の携帯通信端末。
【請求項6】
前記報知部は、振動、音、光のうちのいずれか、またはこれらの組み合わせにより前記不在着信の報知を行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の携帯通信端末。
【請求項7】
無線通信回線を介して受けた振動による着信の報知に対し、応答操作がなされなかった不在着信を報知する携帯通信端末であって、
着信時にユーザが動状態か静状態かを検知する検知部と、
前記検知部から出力される検知信号に基づいて、着信時に動状態でありその後に静状態へ移行したと判定した場合に、前記不在着信を報知する報知部と、
を有する携帯通信端末。
【請求項8】
無線通信回線を介して受けた着信に対し、応答操作がなされなかった不在着信を報知する携帯通信端末であって、
前記携帯通信端末の振動を検知する検知部と、
前記検知部からの検知信号に基づいて出力される検知信号に基づいて、ユーザが動状態から静状態へ移行したと判定した場合に、前記不在着信を報知する報知部と、
を有する携帯通信端末。
【請求項9】
前記検知部は、振動を検知する加速度センサである請求項7又は8に記載の携帯通信端末。
【請求項10】
前記報知部は、少なくとも振動により前記不在着信の報知を行う請求項7、8又は9に記載の携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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