説明

携帯通信端末

【課題】スライドモジュールを有効に活用して通信を行うことができる携帯通信端末を提供すること。
【解決手段】表示部側筐体部3と操作部側筐体部2とは、スライドモジュール4により開状態及び閉状態にスライド可能に連結されている。スライドモジュール4は、導電性を有し、開状態から閉状態に遷移した場合に収縮し、かつ閉状態から開状態に遷移した場合に所定のばね力で伸張するスプリングコイル4bと、該スプリングコイル4bの内側に挿入されて、該スプリングコイル4bを支持するスプリングコイルガイド4cの組み合わせにより構成されている。スプリングコイル4bは、一方端部が通信部50の給電点に接続されている。通信部50は、外部と通信を行う際に、給電点に接続されているスプリングコイル4bをアンテナのエレメントとして利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器と通信を行う機能を有する携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
スライド式の携帯電話において、第1筐体と第2筐体をスライド可能に構成するスライドモジュールと、第1筐体又は第2筐体に収容されている基板を、リアクタンス素子を介して接続を行うことにより、インピーダンス特性を改善し、アンテナ放射特性の広帯域化を図る技術が開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−325098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、携帯電話では、インピーダンス特性の改善と共に、スライドモジュールの更なる有効活用を図ることが期待されている。
【0005】
本発明は、スライドモジュールを有効に活用して通信を行うことができる携帯通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る携帯通信端末は、上記課題を解決するために、表示部とスライドモジュールを内蔵する第1筐体と、操作部を有する第2筐体と、外部と通信を行う通信部とを備え、前記第1筐体と前記第2筐体とは、前記スライドモジュールにより開状態及び閉状態にスライド可能に連結されており、前記スライドモジュールは、導電性を有し、前記開状態から前記閉状態に遷移した場合に収縮し、かつ前記閉状態から前記開状態に遷移した場合に伸張するスプリングコイルと、該スプリングコイルの内側に挿入されて、該スプリングコイルを支持するスプリングコイルガイドの組み合わせにより構成されており、前記スプリングコイルは、一方端部が前記通信部の給電点に接続され、前記通信部は、外部と通信を行う際に、前記給電点に接続されている前記スプリングコイルをアンテナのエレメントとして利用する構成である。
【0007】
また、携帯通信端末では、前記スライドモジュールは、一組で構成される前記スプリングコイルと、前記スプリングコイルガイドとが複数組で構成されており、前記通信部は、外部と通信を行う際に、前記複数のスプリングコイルによって同時に通信を行う構成が好ましい。
【0008】
また、携帯通信端末では、前記通信部は、前記スプリングコイルをアンテナのエレメントとして利用し、AM放送波、FM放送波、又は地上波デジタル放送波を受信する構成が好ましい。
【0009】
また、携帯通信端末では、前記スプリングコイルガイドは、フェライトを含む部材で構成され、前記通信部は、前記スプリングコイルをアンテナのエレメントとして利用し、AM放送波を受信する構成が好ましい。
【0010】
また、携帯通信端末では、前記スプリングコイルは、鍍金処理が施されており、前記給電点と容量結合することにより高周波的に結合する構成が好ましい。
【0011】
また、携帯通信端末では、前記通信部は、通信規格としてLTE(Long Term Evolution)を採用する構成が好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スライドモジュールを有効に活用して通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る携帯電話装置が閉状態に遷移したときの外観斜視図を示す。
【図2】本実施形態に係る携帯電話装置が開状態に遷移したときの外観斜視図を示す。
【図3】本実施形態に係る携帯電話装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】スライドモジュールの構成と動作についての説明に供する図である。
【図5】スプリングコイルと給電点の接続についての説明に供する図である。
【図6】長さの異なるスプリングコイルを採用した場合についての説明に供する図である。
【図7】通信部の動作についての説明に供する図である。
【図8】MIMOを実現するための具体的な構成を示す図である。
【図9】MIMOを実現するための具体的な構成を示す図である。
【図10】整合・給電方式の具体例についての説明に供する図である。
【図11】AM放送波を受信するための具体的な構成を示す図である。
【図12】3段のスライド式の携帯電話装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1及び図2は、本発明に係る携帯通信端末の一例である携帯電話装置1の外観斜視図を示す。また、本実施の形態では、携帯電話装置1について説明するが、本発明は携帯電話装置に限定されるものではなく、例えば、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であっても良い。
【0015】
携帯電話装置1は、操作部側筐体部2(第1の筐体)と、表示部側筐体部3(第2の筐体)を備えて構成される。操作部側筐体部2は、表面部10に、操作キー群11と、マイク12が配置される。操作キー群11は、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作ボタンにより構成されている。マイク12は、携帯電話装置1の使用者が通話時に発した音声が入力される。
【0016】
また、表示部側筐体部3は、表面部20に、LCD表示部21と、第1のスピーカ22と、第2のスピーカ23と、決定操作キー群24が配置される。LCD表示部21は、各種情報が表示される。第1のスピーカ22は、通話の相手側の音声が出力される。決定操作キー群24は、各種操作における決定やスクロール等を行うボタンにより構成されている。
【0017】
なお、携帯電話装置1は、上述した以外にも他の構成要素が配置されている。他の構成要素は、例えば、被写体を撮像するCCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等により構成される撮像部や、音楽を外部に出力するスピーカ等である。
【0018】
また、操作部側筐体部2の上端部と表示部側筐体部3の下端部とは、スライド機構を有する連結部(以下、スライドモジュール4という)を介して連結されている。したがって、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3を互いに重ね合わせ、表示部側筐体部3で操作部側筐体部2の上面を覆う状態(スライドダウン状態であって、以下、閉状態という。)と(図1を参照。)、表示部側筐体部3を操作部側筐体部2に対して長手方向へスライドさせて操作部側筐体部2の覆われていた部分(操作キー群11とマイク12)が露出する状態(スライドアップ状態であって、以下、開状態という。)を自在に遷移することができる(図2を参照。)。
【0019】
また、図3は、携帯電話装置1の構成を示す機能ブロック図である。携帯電話装置1は、図3に示すように、操作部側筐体部2に、操作キー群11と、マイク12と、メインアンテナ40aと、サブアンテナ40bと、RF回路部41と、LCD制御部42と、音声処理部43と、メモリ44と、制御部45と、再生部46を備え、表示部側筐体部3に、LCD表示部21と、第1のスピーカ22と、第2のスピーカ23と、決定操作キー群24と、ドライバIC25を備えている。なお、決定操作キー群24は、操作部側筐体部2に配置されても良い。また、以下では、必要に応じて、操作キー群11と決定操作キー群24を総括して操作部60という。
【0020】
メインアンテナ40a及びサブアンテナ40bは、第1の使用周波数帯(例えば、800MHz)で基地局等と通信を行い、GPS通信のための第2の使用周波数帯(例えば、1.5GHz)に対応できるデュアルバンド対応構成である。なお、本実施の形態では、第1の使用周波数帯として、800MHzとしたが、これ以外の周波数帯であっても良い。また、メインアンテナ40a及びサブアンテナ40bは、第1の使用周波数帯で外部装置と通信を行い、GPS通信のための第2の使用周波数帯に対応できるアンテナを別途設けても良い。
【0021】
RF回路部41は、メインアンテナ40a又はサブアンテナ40bによって受信した信号を復調処理し、処理後の信号を制御部45に供給する。そして、制御部45から供給された信号を変調処理し、メインアンテナ40a又はサブアンテナ40bを介して外部装置(基地局)に送信する。また、その一方で、メインアンテナ40a又はサブアンテナ40bによって受信している信号の強度を制御部45に通知する。また、メインアンテナ40a、サブアンテナ40b及びRF回路部41を総括して、通信部50という。
【0022】
LCD制御部42は、制御部45の制御にしたがって、所定の画像処理を行い、処理後の画像データをドライバIC25に出力する。ドライバIC25は、LCD制御部42から供給された画像データをフレームメモリに蓄え、所定のタイミングでLCD表示部21に出力する。
【0023】
音声処理部43は、制御部45の制御にしたがって、RF回路部41から供給された信号に対して所定の音声処理を行い、処理後の信号を第1のスピーカ22に供給する。第1のスピーカ22は、音声処理部43から供給された信号を音声に変換して外部に出力する。
【0024】
また、音声処理部43は、制御部45の制御にしたがって、マイク12から入力された信号を処理し、処理後の信号をRF回路部41に供給する。RF回路部41は、音声処理部43から供給された信号に所定の処理を行い、処理後の信号(高周波信号)をメインアンテナ40a又はサブアンテナ40bに供給する。メインアンテナ40a又はサブアンテナ40bは、供給された信号を電波として外部に出力する。
【0025】
メモリ44は、例えば、ワーキングメモリを含み、制御部45による演算処理に利用される。また、メモリ44には、複数のアプリケーションや当該アプリケーションが必要とする各種のテーブルや、音楽データや、映画データ等が記憶されている。また、メモリ44は、着脱可能な外部メモリを兼ねていても良い。
【0026】
再生部46は、例えば、メモリ44に格納されている映画データに対して再生処理を行い、再生処理後の映像信号をLCD制御部42に供給し、音声信号を第2のスピーカ23に供給する。なお、再生部46は、映像信号と音声信号を同期ずれがないように再生処理を行って、それぞれをLCD制御部42と第2のスピーカ23に供給している。したがって、LCD表示部21から出力される映像と、第2のスピーカ23から出力される音声は、同期がとれたものとなっている。
【0027】
制御部45は、携帯電話装置1の全体を制御しており、中央処理装置(CPU)等を用いて構成される。また、制御部45は、原則的に現在アクティブに起動されているアプリケーションに応じて、操作キー群11や決定操作キー群24を構成する各キーに割り当てる記号や機能を変化させる制御を行っている。また、メモリ44には、複数のキーアサインテーブルが格納されており、制御部45は、起動されているアプリケーションに応じて、参照するキーアサインテーブルを切り替え、操作キー群11や決定操作キー群24から送信されてくるキーの位置情報に基づいて所定のキーアサインテーブルを参照し、所定の処理を実行する。
【0028】
ここで、スライドモジュール4の具体的な構成について説明する。スライドモジュール4は、図4(a)に示すように、筒型のスプリングガイド4aに、スプリングコイル4bと、当該スプリングコイル4bの内側に挿入されて、当該スプリングコイル4bを支持するスプリングコイルガイド4cと、スプリングコイルガイド4c上を摺動可能に取り付けられている可動部4dを内蔵して構成されている。
また、スプリングコイル4bは、一方端部(図4(a)中のAで囲った部分)がスライドモジュール4の壁面4eに固定されており、他方端部(図4(a)中のBで囲った部分)が可動部4dに固定されている。
【0029】
また、スプリングガイド4aは、図4(a)に示すように、上面に所定の形状で開口部4fが形成されており、当該開口部から可動部4dに形成されている突起部4gが露出する構造になっている。
【0030】
スライドモジュール4は、スプリングガイド4aの開口部4fから露出している可動部4dの突起部4gを、一方向にスライドさせると、スプリングコイル4bを収縮し(図4(b))、他方向にスライドさせると、復元力によってスプリングコイル4bが伸張するように構成されている(図4(c))。
【0031】
また、スライドモジュール4は、表示部側筐体部3の表面部20ではない面(操作部側筐体部2の表面部10に対向している面)に左右一対で配置され、可動部4dの突起部4gの先端が操作部側筐体部2の表面部10の所定の場所に固定されている。ここで、可動部4dの突起部4gの先端は、出っ張ったフランジ状に形成されている。
【0032】
このように構成されることにより、携帯電話装置1は、閉状態においては、スプリングガイド4a内において、スプリングコイル4bが収縮しているが、閉状態から開状態に遷移させた場合には、復元力によってスプリングコイル4bが伸張するため、スムーズに開状態に遷移することができる。なお、図示しないが、携帯電話装置1は、閉状態を維持するために、少なくとも、左右一対のスプリングコイル4bによる復元力のみによって開状態に遷移しないように固定部材により固定されている。そして、携帯電話装置1は、閉状態において、固定部材から開放されるだけの外力が掛かることによって、スムーズに開状態に遷移する構成になっている。
【0033】
また、図4(d)は、閉状態における携帯電話装置1を透過的に表した斜視図を示し、図4(e)は、閉状態における携帯電話装置1の側面からみた断面図を示し、図4(f)は、閉状態における携帯電話装置1を上面から透過した透過図をそれぞれ示している。
【0034】
また、図4(g)は、開状態における携帯電話装置1を透過的に表した斜視図を示し、図4(h)は、開状態における携帯電話装置1の側面からみた断面図を示し、図4(i)は、開状態における携帯電話装置1を上面から透過した透過図をそれぞれ示している。
【0035】
このように構成される携帯電話装置1は、スライドモジュールの構成を通信部50による通信に有効に活用することが可能な構成になっている。以下に当該構成について詳細に説明する。
【0036】
携帯電話装置1は、上述したように、LCD表示部21とスライドモジュール4を内蔵する表示部側筐体部3と、操作部60を有する操作部側筐体部2と、外部と通信を行う通信部50とを備える。
【0037】
表示部側筐体部3と操作部側筐体部2とは、スライドモジュール4により開状態及び閉状態にスライド可能に連結されている。また、スライドモジュール4は、導電性を有し、開状態から閉状態に遷移した場合に収縮し、かつ閉状態から開状態に遷移した場合に所定の復元力で伸張するスプリングコイル4bと、当該スプリングコイル4bの内側に挿入されて、当該スプリングコイル4bを支持するスプリングコイルガイド4cの組み合わせにより構成されている。また、スプリングコイル4bは、図5に示すように、一方端部(図5中のAで囲った部分)が通信部50(不図示)の給電点50aに接続されている。また、通信部50は、外部と通信を行う際に、給電点50aに接続されているスプリングコイル4bをアンテナのエレメントとして利用する。
【0038】
このように構成されることによって、携帯電話装置1は、閉状態から開状態へスムーズに遷移させるためのスプリングコイル4bを、積極的にアンテナのエレメントとしても利用するので、例えば、従来必要であった通信部50のアンテナのエレメントを不要にでき、小型化及びコストダウンの要請に応えることが可能になる。なお、携帯電話装置1は、開状態と閉状態によってスプリングコイル4bの長さが変わるので、状態に応じて、共振周波数を調整するコンデンサの容量を適宜変更する構成であっても良い。
【0039】
また、携帯電話装置1は、図5に示すように、左右一対のスプリングコイル4bをアンテナのエレメントに利用できるので、ダイバーシティー方式による受信方法を採用しても良い。
【0040】
ここで、ダイバーシティー方式には、切り替え方式と合成方式の2通りある。切り替え方式は、2つのブランチ(2つのアンテナと場合によっては2つの受信機)で通信品質の高い受信機を選択し、受信品質を保つ方式である。また、合成方式は、2つのブランチの入力を合成し、受信品質を高める方式である。携帯電話装置1は、切り替え方式又は合成方式のいずれを採用しても良い。
【0041】
また、スライドモジュール4は、上述では、表示部側筐体部3の表面部20ではない面(操作部側筐体部2の表面部10に対向している面)に左右一対で配置されるものとして説明したが、これに限られず、一組で構成されるスプリングコイル4bと、スプリングコイルガイド4cが複数組(2組以上)で構成されても良い。このような構成の場合には、通信部50は、外部と通信を行う際に、複数のスプリングコイル4bによって同時に通信を行い、擬似的な広帯域通信を行う。
【0042】
このように構成されることによって、携帯電話装置1は、いわゆる複数のアンテナを組み合わせてデータの送受信の帯域を広げる無線通信技術の一つであるMIMO(Multiple Input Multiple Output)を実現することができる。よって、携帯電話装置1は、スプリングコイル4bの数がn個ならば、理論的には、帯域幅をn倍に拡張することができる。
【0043】
このようにして、携帯電話装置1は、閉状態から開状態へスムーズに遷移させるための複数のスプリングコイル4bを、積極的にMIMO用として、複数のアンテナエレメントとしても利用するので、MIMO専用のアンテナエレメントを必要とせず、小型化及びコストダウンの要請に応えつつ、広帯域通信を実現することができる。なお、携帯電話装置1は、開状態と閉状態によってスプリングコイル4bの長さが変わるので、状態に応じて、共振周波数を調整するコンデンサの容量を適宜変更する構成であっても良い。
【0044】
また、携帯電話装置1は、MIMOのみでなく、上述したダイバーシティー方式や、ビーム・フォーミング方式を必要に応じて、適宜に切り替える構成であっても良い。例えば、携帯電話装置1は、高いピーク・データ速度を得たい場合にはMIMOを選択し、良好なカバレッジを得たい場合にはダイバーシティー方式やビーム・フォーミング方式を選択する。また、携帯電話装置1は、高いキャパシティを得たい場合にはビーム・フォーミング方式又はマルチレイヤ伝送方式との組み合わせを選択する。
【0045】
また、通信部50は、スプリングコイル4bをアンテナのエレメントとして利用し、AM放送波(522kHz〜1629kHz)、FM放送波(76.0MHz〜90.0MHz)、又は地上波デジタル放送波(470MHz〜770MHz)を受信する構成が好ましい。
【0046】
このようにして、携帯電話装置1は、閉状態から開状態へスムーズに遷移させるためのスプリングコイル4bを、積極的にAM放送波、FM放送波又は地上波デジタル放送波を受信するアンテナとしても利用するので、AM放送波、FM放送波又は地上波デジタル放送波を受信する専用のアンテナを必要とせず、小型化及びコストダウンの要請に応えることができる。
【0047】
なお、携帯電話装置1は、スプリングコイル4bをAM放送波の受信用のアンテナとして利用する場合には、閉回路(ループ)になるように構成する。また、携帯電話装置1は、開状態と閉状態によってスプリングコイル4bの長さが変わるので、状態に応じて、共振周波数を調整するコンデンサの容量を適宜変更する構成であっても良い。
【0048】
また、スプリングコイルガイド4cは、フェライトを含む部材で構成されることが好ましい。このような構成の場合には、通信部50は、スプリングコイル4bをアンテナのエレメントとして利用し、AM放送波を受信する。
【0049】
このようにして、携帯電話装置1は、スプリングコイルガイド4cをフェライトバーとして利用するので、スプリングコイルガイド4cとスプリングコイル4bとによって、いわゆるフェライトバーアンテナを構成することができ、効率良くAM放送波を受信することができる。また、スプリングコイルガイド4cをコアとして、スプリングコイル4bは、スプリングガイド4aに内蔵されるため、スプリングガイド4aによるシールド効果を享受でき、雑音を抑制することができる。
【0050】
なお、携帯電話装置1は、スプリングコイル4bをAM放送波の受信用のアンテナとして利用するので、スプリングコイル4bを閉回路(ループ)になるように構成している。また、携帯電話装置1は、開状態と閉状態によってスプリングコイル4bの長さが変わるので、状態に応じて、共振周波数を調整するコンデンサの容量を適宜変更する構成であっても良い。
【0051】
また、スプリングコイル4bの一方端部は、鍍金処理が施されており、給電点50aと容量結合することにより高周波的に結合する構成であることが好ましい。なお、鍍金処理の詳細については、後述する。
【0052】
ここで、スプリングコイル4bは、開状態と閉状態を相互に遷移することによって、長さが変化するので、アンテナとして利用されると、共振周波数がずれることになる。そこで、携帯電話装置1は、スプリングコイル4bの一方端部と給電点50aとが容量結合されるので、この共振周波数のずれを吸収することができる。
【0053】
よって、携帯電話装置1は、スプリングコイル4bの表面を鍍金処理されており、かつ、スプリングコイル4bの一方端側と給電点50aが容量結合されているので、閉状態から開状態へスムーズに遷移させるスプリングコイル4bの本来的な機能(復元力)を損なうことなく、スプリングコイル4bをアンテナエレメントしても活用することができる。
【0054】
また、通信部50は、通信規格としてLTE(Long Term Evolution)を採用する。
【0055】
ここで、LTEは、携帯電話の高速なデータ通信仕様の一つで、第3世代携帯電話方式「W−CDMA」の高速データ通信規格「HSDPA」をさらに進化させた規格である。また、LTEでは、下り100Mbps以上/上り50Mbps以上の高速通信が行えることが規定されている。
【0056】
したがって、携帯電話装置1は、閉状態から開状態へスムーズに遷移させるためのスプリングコイル4bを、積極的にアンテナのエレメントとしても利用し、MIMO等の実現を図ることができるので、次世代通信技術にも対応することができる。
【0057】
<他の実施例1>
また、スプリングコイル4bのそれぞれは、相対的に長さが異なっている構成であっても良い。このような構成の場合には、閉状態及び開状態においては、図6(a)、(b)に示すように、スプリングコイル4bは、それぞれ長さが相対的に異なることになる。
【0058】
そうすると、携帯電話装置1は、開状態及び閉状態において、長さの異なる4種類のスプリングコイル4bを形成することになる。例えば、通信部50は、図7(a)、(b)に示すように、ある周波数帯Xにおいて、長い方のスプリングコイル4bによって低周波数帯X1の信号を受信し、短い方のスプリングコイル4bにより高周波数帯X2の信号を受信する。
【0059】
具体的には、通信部50は、開状態において、長い方のスプリングコイル4bによって低周波数帯の信号を受信(FM放送波のローバンド帯(76.0MHz〜83MHz)、又は地上波デジタル放送波のローバンド帯(470MHz〜620MHz))し、短い方のスプリングコイル4bにより高周波数帯の信号を受信する(FM放送波のハイバンド帯(83.0MHz〜90MHz)又は地上波デジタル放送波のハイバンド帯(620MHz〜770MHz))。このようにして、通信部50は、FM放送波(76.0MHz〜90.0MHz)又は地上波デジタル放送波(470MHz〜770MHz)の全受信周波数帯域の信号を受信する。また、携帯電話装置1は、左右のスプリングコイルの長さを変更しなくても、左右のスプリングコイルの巻き数やピッチを異ならすことによっても、FM放送波や地上波デジタル放送波の全受信周波数帯をカバーすることができる。
【0060】
また、携帯電話装置1は、開状態においてFM放送波を受信し、閉状態において地上波デジタル放送波を受信するような構成であっても良い。また、携帯電話装置1は、閉状態から開状態に遷移したことを契機として、FM放送波を受信するアプリケーションを起動し、また、開状態から閉状態に遷移したことを契機として、地上波デジタル放送波を受信するアプリケーションを起動する構成であっても良い。
【0061】
また、携帯電話装置1は、図6(a)、(b)に示すように、メインアンテナ40aが操作部側筐体部2の一方端部側に配置され、サブアンテナ40bが操作部側筐体部2の他方端部側に配置されている。
【0062】
このように構成されることによって、携帯電話装置1は、メインアンテナ40a及びサブアンテナ40bを利用して、800MHzを中心周波数とする周波数帯において通話通信を行い、開状態においては、長さの異なるスプリングコイル4bを利用してFM放送波の受信を行い、閉状態においては、長さの異なるスプリングコイル4bを利用して地上波デジタル放送波の受信を行うことができる。
【0063】
また、携帯電話装置1は、スプリングコイル4bが収縮している閉状態(図6(a))においては、スプリングコイル4bの一方端部(図6(a)中のAで囲った部分)と給電点50a接続し、スプリングコイル4bをアンテナエレメントとして使用する。また、携帯電話装置1は、スプリングコイル4bが伸張している開状態時(図6(b))においては、スプリングコイル4bの一方端部と給電点50aとの接続状態を解除し、スプリングコイル4bの他方端部(図6(b)中のAで囲った部分)と給電点50bを接続し、スプリングコイル4bをアンテナエレメントとして使用する。なお、携帯電話装置1は、開状態及び閉状態のいずれにおいてもスプリングコイル4bの一方端部(図6(a)中のAで囲った部分)と給電点50a接続する構成であっても良い。
【0064】
<他の実施例2>
つぎに、上述したMIMOを実現するための具体的な構成について説明する。本実施例では、携帯電話装置1は、スプリングコイル101、102により同時にデータの受信を行い、アンテナ103、104により同時にデータの送信を行う(図8)。
【0065】
このように構成されることによって、携帯電話装置1は、2本のアンテナを組み合わせてデータの送信を行い、かつ、別の2本のアンテナを組み合わせてデータの受信を行って、送受信の帯域を広げるMIMOを実現することができる。
【0066】
ここで、スプリングコイル101、102は、開状態と閉状態を相互に遷移することによって、長さが変化するので(図8(a)、(b))、アンテナとして利用されると、共振周波数がずれることになる。そこで、携帯電話装置1は、詳細は後述する整合・給電方式を採用することによって、スプリングコイル101、102の一方端部とそれぞれの給電点105、106の接続状態を工夫することによって、この共振周波数のずれを吸収することができる。よって、携帯電話装置1は、開状態及び閉状態のいずれの状態においても、スプリングコイル101、102の本来的な機能(復元力)を損なうことなく、アンテナエレメントしても活用して、良好な通信を行うことができる。なお、図8(a)は、開状態を示し、図8(b)は、閉状態を示している。
【0067】
また、携帯電話装置1は、スプリングコイル101、102により同時にデータの送信を行い、アンテナ103、104により同時にデータの受信を行っても良い。
【0068】
また、携帯電話装置1は、図9に示すように、4本のアンテナを組み合わせてデータの送信を行い、かつ、別の4本のアンテナを組み合わせてデータの受信を行って、送受信の帯域をさらに広げたMIMOを実現することができる。
【0069】
具体的には、携帯電話装置1は、スプリングコイル101が第1スプリングコイル101aと第2スプリングコイル101bに分離され、スプリングコイルガイド上を摺動するスペーサ101cが第1スプリングコイル101aと第2スプリングコイル101bの間に配置される構成になっている。スペーサ101cは、第1スプリングコイル101aと第2スプリングコイル101bを電気的に絶縁状態にする機能を有している。
【0070】
また、携帯電話装置1は、第1スプリングコイル101aに接続される第1給電点105aと、第2スプリングコイル101bに接続される第2給電点105bと、第1給電点105aに接続されるスイッチ部107と、接続パターンを介してスイッチ部107に接続される給電パッド部108を備えている。
【0071】
スイッチ部107は、制御部45に接続されており、制御部45の制御にしたがって、ON状態とOFF状態の切り替えを行う。制御部45は、開状態を検知した場合には、スイッチ部107をOFF状態に制御し、第1給電点105aと給電パッド部108を電気的に導通しないようにする。また、制御部45は、閉状態を検知した場合には、スイッチ部107をON状態に制御し、第1給電点105aと給電パッド部108が電気的に導通するようにする。また、携帯電話装置1は、閉状態においては、スイッチ部107を介して第1給電点105aと給電パッド部108が電気的に導通し、第1スプリングコイル101aと給電パッド部108とが高周波的に接続する構成になっている。
【0072】
したがって、携帯電話装置1は、閉状態においては、第1スプリングコイル101aと第1給電点105aが直接的に接続されないが、給電パッド部108とスイッチ部107を介して、第1スプリングコイル101aと第1給電点105aを電気的に接続するので、第1スプリングコイル101aをアンテナエレメントとしても活用することができる。また、携帯電話装置1は、開状態及び閉状態のいずれにおいても第2スプリングコイル101bと第2給電点105bが電気的に接続される構成であるので、第2スプリングコイル101bもアンテナエレメントとしても活用することができる。
【0073】
また、スプリングコイル102側も同様に、携帯電話装置1は、スプリングコイル102が第1スプリングコイル102aと第2スプリングコイル102bに分離され、スプリングコイルガイド上を摺動するスペーサ102cが第1スプリングコイル102aと第2スプリングコイル102bの間に配置される構成になっている。スペーサ102cは、第1スプリングコイル102aと第2スプリングコイル102bを電気的に絶縁状態にする機能を有している。
【0074】
また、携帯電話装置1は、第1スプリングコイル102aに接続される第1給電点106aと、第2スプリングコイル102bに接続される第2給電点106bと、第1給電点106aに接続されるスイッチ部109と、接続パターンを介してスイッチ部109に接続される給電パッド部110を備えている。
【0075】
スイッチ部109は、制御部45に接続されており、制御部45の制御にしたがって、ON状態とOFF状態の切り替えを行う。制御部45は、開状態を検知した場合には、スイッチ部109をOFF状態に制御し、第1給電点106aと給電パッド部110を電気的に導通しないようにする。また、制御部45は、閉状態を検知した場合には、スイッチ部109をON状態に制御し、第1給電点106aと給電パッド部110が電気的に導通するようにする。また、携帯電話装置1は、閉状態においては、スイッチ部109を介して第1給電点106aと給電パッド部110が電気的に導通し、第1スプリングコイル101aと給電パッド部110とが高周波的に接続する構成になっている。
【0076】
したがって、携帯電話装置1は、閉状態においては、第1スプリングコイル102aと第1給電点106aが直接的に接続されないが、給電パッド部110とスイッチ部109を介して、第1スプリングコイル102aと第1給電点106aを電気的に接続するので、第1スプリングコイル102aをアンテナエレメントとしても活用することができる。また、携帯電話装置1は、開状態及び閉状態のいずれにおいても第2スプリングコイル102bと第2給電点105bが電気的に接続される構成であるので、第2スプリングコイル102bもアンテナエレメントとしても活用することができる。
【0077】
また、携帯電話装置1は、アンテナ103a、103b、104a、104bを備えている。
このように構成されることによって、携帯電話装置1は、4本のアンテナ(アンテナ103a、103b、104a、104b)を組み合わせてデータの送信を行い、かつ、別の4本のアンテナ(第1スプリングコイル101a、第2スプリングコイル101b、第1スプリングコイル102a及び第2スプリングコイル102b)を組み合わせてデータの受信を行って、送受信の帯域を広げるMIMOを実現することができる。
【0078】
また、第1スプリングコイル101a、第2スプリングコイル101b、第1スプリングコイル102a及び第2スプリングコイル102bは、開状態と閉状態を相互に遷移することによって、長さが変化するので(図9(a)、(b))、アンテナとして利用されると、共振周波数がずれることになる。そこで、携帯電話装置1は、詳細は後述する整合・給電方式を採用することによって、第1スプリングコイル101aの一方端部と第1給電点105a(閉状態においては、第1スプリングコイル101aの一方端部と給電パッド部108)、第2スプリングコイル101bの一方端部と第2給電点105b、第1スプリングコイル102aの一方端部と第1給電点106a(閉状態においては、第1スプリングコイル102aの一方端部と給電パッド部110)及び第2スプリングコイル102bの一方端部と第2給電点106bの接続状態を工夫することによって、この共振周波数のずれを吸収することができる。
【0079】
よって、携帯電話装置1は、開状態及び閉状態のいずれの状態においても、第1スプリングコイル101a、第2スプリングコイル101b、第1スプリングコイル102a及び第2スプリングコイル102bの本来的な機能(復元力)を損なうことなく、アンテナエレメントしても活用して、良好な通信を行うことができる。なお、図9(a)は、開状態を示し、図8(b)は、閉状態を示している。
【0080】
また、携帯電話装置1は、第1スプリングコイル101a、第2スプリングコイル101b、第1スプリングコイル102a及び第2スプリングコイル102bにより同時にデータの送信を行い、アンテナ103a、103b、104a、104bにより同時にデータの受信を行っても良い。
【0081】
<整合・給電方式の具体例>
つぎに、整合・給電方式について説明する。なお、以下では説明の便宜上、開状態においては、スプリングコイル101の一方端部と給電点105の接続状態(図8(a))を代表とし、閉状態においては、スプリングコイル101の一方端部と給電点105の接続状態(図8(b))を代表として説明する。
【0082】
例えば、図10(a)に示すように、スプリングコイル101の一方端側と給電点105とを鍍金ストロー111により接続する。鍍金ストロー111とは、例えば、樹脂により構成されている中空の円筒において、外側が金属で鍍金されている部材のことである。
【0083】
スプリングコイル101と鍍金ストロー111とは、容量結合により高周波的に接続されている。また、給電点105と鍍金ストロー111とは、接続線により電気的に接続されている。
【0084】
よって、携帯電話装置1は、スプリングコイル101と鍍金ストロー間における容量結合がインピーダンス不整合(図10(a)中のL分)を緩和するので、開状態と閉状態のいずれにおいても、良好な通信を行うことができる。
【0085】
また、携帯電話装置1は、図10(b)に示すように、スプリングコイル101と給電点105を給電ランド112により接続する構成であっても良い。このような構成の場合には、給電ランド112と給電点105は、第1給電線113aと、第1給電線113aとは長さが異なる第2給電線113bにより結線されている。
【0086】
ここで、第1給電線113aと第2給電線113bの長さを異ならせることによって、給電ランド112と給電点105の間で、インピーダンス整合回路が形成されることになる。例えば、携帯電話装置1は、スプリングコイル101により受信された高周波電流が、給電ランド112から第1給電線113aを介して給電点115に到達する経路と、給電ランド112から第2給電線113bを介して給電点115に到達する経路に分岐するので、インピーダンス整合が図られ、インピーダンスの不整合を緩和することができる。
【0087】
また、インピーダンス整合回路として機能するには、第1給電線113aと第2給電線113bの長さの調整によって行える。ここで、第1給電線113aに対して第2給電線113bを比較的長くすることにより広帯域化に寄与することが実験により判明している。
【0088】
よって、携帯電話装置1は、給電ランド112と給電点105の間を長さの異なる第1給電線113aと第2給電線113bにより結線するので、開状態と閉状態におけるインピーダンス不整合(図10(b)中のL分)を緩和することができ、開状態と閉状態のいずれにおいても、良好な通信を行うことができる。
【0089】
<他の実施例3>
つぎに、上述したAM放送波を受信するための具体的な構成について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、スプリングコイル102のみをアンテナエレメントして利用するものとして説明する。
【0090】
携帯電話装置1は、図11に示すように、スプリングコイル102の一方端部に接続される給電点106と、給電点106に接続されるスイッチ部121と、接続パターンを介してスイッチ部121に接続される給電パッド部122を備えている。また、携帯電話装置1は、スプリングコイル102の他方端側にコンデンサ123を介して給電点106が接続されており、ループアンテナを構成している。
【0091】
コンデンサ123は、直流信号を遮断しつつ、高周波信号であるAM放送波(522kHz〜1629kHz)を通過させるような容量に設定しておく。
また、スプリングコイル102により形成される中空部分に挿入されるスプリングコイルガイドは、フェライトを含む部材で構成されていることが好ましい。また、スプリングコイルガイド4cの外形の形状は、丸型の形状又は四角形の形状が好ましい。
【0092】
また、スイッチ部121は、制御部45に接続されており、制御部45の制御にしたがって、ON状態とOFF状態の切り替えを行う。制御部45は、開状態を検知した場合には、スイッチ部121をOFF状態に制御し、給電点106と給電パッド部122を電気的に導通しないようにする。また、制御部45は、閉状態を検知した場合には、スイッチ部121をON状態に制御し、給電点106と給電パッド部122が電気的に導通するようにする。また、携帯電話装置1は、閉状態においては、スイッチ部121を介して給電点106と給電パッド部122が電気的に導通し、スプリングコイル102と給電パッド部122とが高周波的に接続する構成になっている。
【0093】
したがって、携帯電話装置1は、開状態においては(図11(a))、スイッチ部121がOFF状態になるので、コンデンサ123を介して、給電点106にスプリングコイル102の両端部が接続されて、ループアンテナを構成し、一方、閉状態においては(図11(b))、スイッチ部121がON状態になるので、スイッチ部121、給電パッド部122及びコンデンサ123を介して、給電点106にスプリングコイル102の両端部が接続されて、ループアンテナを構成するので、スプリングコイル102をアンテナエレメントとしても活用することができる。
【0094】
<他の実施例4>
また、上述した実施例では、開状態及び閉状態の2段のスライド式の携帯電話装置1について説明したが、本発明に係る携帯電話装置の形態としては特にこれに限られず、例えば、3段以上の多段のスライド式でも良い。
【0095】
ここで、3段のスライド式の携帯電話装置1について、段階に応じてアプリケーションをどのように切り替え制御を行うかについて説明する。
携帯電話装置1は、開状態の一つである伸張状態(図12(a))と、開状態の一つである半伸張状態(図12(b))と、閉状態(図12(c))の3状態に遷移可能に構成されている。
【0096】
携帯電話装置1は、例えば、伸張状態においてFM放送波を受信し、半伸張状態において地上波デジタル放送波のローバンド帯(470MHz〜620MHz)を受信し、閉状態において地上波デジタル放送波のハイバンド帯(620MHz〜770MHz)を受信するように構成される。
また、携帯電話装置1は、伸張状態に遷移したことを契機として、FM放送波を受信するアプリケーションを起動し、また、半伸張状態又は閉状態に遷移したことを契機として、地上波デジタル放送波を受信するアプリケーションを起動する構成であっても良い。
【0097】
このようにして、携帯電話装置1は、多段のスライド式においても、スムーズに状態を遷移させるスプリングコイル101、102の本来的な機能(復元力)を損なうことなく、スプリングコイル101、102をアンテナエレメントしても活用することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 携帯電話装置
2 操作部側筐体部
3 表示部側筐体部
4 スライドモジュール
4a スプリングガイド
4b スプリングコイル
4c スプリングコイルガイド
4d 可動部
4e 壁面
4f 開口部
4g 突起部
40a メインアンテナ
40b サブアンテナ
50 通信部
50a 給電点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部とスライドモジュールを内蔵する第1筐体と、
操作部を有する第2筐体と、
外部と通信を行う通信部とを備え、
前記第1筐体と前記第2筐体とは、前記スライドモジュールにより開状態及び閉状態にスライド可能に連結されており、
前記スライドモジュールは、導電性を有し、前記開状態から前記閉状態に遷移した場合に収縮し、かつ前記閉状態から前記開状態に遷移した場合に伸張するスプリングコイルと、該スプリングコイルの内側に挿入されて、該スプリングコイルを支持するスプリングコイルガイドの組み合わせにより構成されており、
前記スプリングコイルは、一方端部が前記通信部の給電点に接続され、
前記通信部は、外部と通信を行う際に、前記給電点に接続されている前記スプリングコイルをアンテナのエレメントとして利用する携帯通信端末。
【請求項2】
前記スライドモジュールは、一組で構成される前記スプリングコイルと、前記スプリングコイルガイドとが複数組で構成されており、
前記通信部は、外部と通信を行う際に、前記複数のスプリングコイルによって同時に通信を行う請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記通信部は、前記スプリングコイルをアンテナのエレメントとして利用し、AM放送波、FM放送波、又は地上波デジタル放送波を受信する請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項4】
前記スプリングコイルガイドは、フェライトを含む部材で構成され、
前記通信部は、前記スプリングコイルをアンテナのエレメントとして利用し、AM放送波を受信する請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項5】
前記スプリングコイルは、鍍金処理が施されており、前記給電点と容量結合することにより高周波的に結合する構成である請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項6】
前記通信部は、通信規格としてLTE(Long Term Evolution)を採用する請求項1記載の携帯通信端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−211354(P2011−211354A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75195(P2010−75195)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】