説明

携帯電子機器、その制御方法及びプログラム

【課題】ユーザに煩雑な操作を要求することなく、所有者以外の第三者が操作をした場合には操作を不能とするセキュリティ機能を備えた携帯電子機器を提供する。
【解決手段】所有者の操作の特徴(操作の仕方、癖)を顕著に表す情報を個人認証における認証キーとして抽出し、このような操作を特徴情報としてデータベース化する。この特徴情報に大いに違反する操作が行われた際は自動的にロックし、以降の操作を禁止する。その結果、所有者本人が使用している限りにおいては、ロックはかからず、煩雑な操作も必要ないが、所有者以外の第三者が操作したときは自動的にロックがかかり、携帯電子機器の紛失による損害の拡大を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電子機器、その制御方法及びプログラムに関する。特に、セキュリティ機能を備える携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯電子機器は広く普及しており、特に携帯電話に至っては、一人が少なくても一台は所有するほど普及している。また、これらの携帯電子機器の性能向上は目覚しく、性能向上に伴って携帯電子機器で実現できる機能も大幅に増加している。そのような機能には、電子マネーへの対応や、銀行等のネットバンキングなど金銭に関するサービスも含まれている。また、携帯電子機器においてやり取りされるメールには非常に多くの個人情報が含まれており、このような情報には非常に高い秘匿性が求められる。
【0003】
一方、携帯電子機器は屋内・屋外を問わず常に携帯し、持ち歩くユーザも多いが、その分、携帯電子機器を紛失する可能性が高くなる。上記のように、金銭に関するサービスを享受できる携帯電子機器を紛失し、悪意を持った第三者が取得した場合には、電子マネーの使用や本人になりすました詐欺行為など経済上の損害が想定される。さらに、他人には知られたくない情報が流出してしまう事態も考えられる。
【0004】
そのため、パスワードによる携帯電子機器の保護、遠隔地から紛失した携帯電子機器を探すサービス、一定時間経過した場合や携帯電子機器を閉じた場合にロックする機能、指紋センサなどを使用した生体認証など、所有者以外の第三者が携帯電子機器を使用することを禁止するセキュリティ機能が存在する。
【0005】
ここで、特許文献1にはユーザIDと無作為に入力される乱打データを、本人認証のキーとして採用する技術が開示されている。即ち、乱打データからユーザの特徴を記憶し、登録されたIDと乱打データの特徴により本人認証を行なう技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−140379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下の分析は、本発明の観点からなされたものである。
【0008】
上述のように、携帯電子機器の持つ重要な機能を考え合わせると、携帯電子機器を所有者以外の第三者が使用することを禁止するセキュリティ機能は不可欠なものとなっている。しかし、セキュリティ機能の重要性は認識しつつも、これらの機能を有効にしていないユーザも多数存在する。
【0009】
その理由は、セキュリティ機能を有効にすると携帯電子機器の使い勝手が悪くなってしまうと考えるユーザが多いためである。例えば、ロックがかかっている携帯電子機器を再び使用したいと思った場合に、ロックを解除するためのパスワードの入力は面倒であると考えるユーザも多い。すると、携帯電子機器の購入直後はパスワードによる保護をしていても、最終的にはパスワードによる保護を解除して使用することになる。
【0010】
このように、携帯電子機器におけるセキュリティ機能は、煩雑な操作を要求するものも存在し、煩雑な操作を嫌うユーザがセキュリティ機能を有効にしない場合も多い。その結果、携帯電子機器を紛失した場合の損害が大きくなってしまう。
【0011】
以上のとおり、従来技術には、解決すべき問題点が存在する。
【0012】
本発明の一側面において、ユーザに煩雑な操作を要求することなく、所有者以外の第三者が操作をした場合には操作を不能とする携帯電子機器、その制御方法及びプログラムが、望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の視点によれば、ユーザによる操作を受け付ける操作部と、ユーザの行なっている操作から個人認証における認証キーとして使用可能な特徴情報を抽出する個人認証制御部と、前記特徴情報を記憶する特徴情報記憶部と、を備え、前記個人認証制御部は、ユーザが行った操作から抽出した前記特徴情報と前記特徴情報記憶部に記憶された前記特徴情報を比較することで、操作を行っているユーザが所有者か否かを判断し、所有者以外の第三者が操作していると判断した場合には、前記操作部からの操作を不能とする携帯電子機器が提供される。
【0014】
本発明の第2の視点によれば、ユーザによる操作を受け付ける操作部と、ユーザの行なっている操作から個人認証における認証キーとして使用可能な特徴情報を抽出する個人認証制御部と、前記特徴情報を記憶する特徴情報記憶部と、を備える携帯電子機器の制御方法であって、前記個人認証制御部が抽出した前記特徴情報と前記特徴情報記憶部に記憶された前記特徴情報を比較し、操作を行っているユーザが所有者か否かを判断する判断工程と、前記判断工程の結果から所有者以外の第三者が操作していると判断した場合には、前記操作部からの操作を不能とする操作禁止工程と、を含む携帯電子機器の制御方法が提供される。
【0015】
本発明の第3の視点によれば、ユーザによる操作を受け付ける操作部と、ユーザの行なっている操作から個人認証における認証キーとして使用可能な特徴情報を抽出する個人認証制御部と、前記特徴情報を記憶する特徴情報記憶部と、を備える携帯電子機器を制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、前記個人認証制御部が抽出した前記特徴情報と前記特徴情報記憶部に記憶された前記特徴情報を比較し、操作を行っているユーザが所有者か否かを判断する判断処理と、前記判断処理の結果から所有者以外の第三者が操作していると判断した場合には、前記操作部からの操作を不能とする操作禁止処理と、を実行するプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の各視点によれば、ユーザに煩雑な操作を要求することなく、所有者以外の第三者が操作をした場合には操作を不能とする携帯電子機器、その制御方法及びプログラムが、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の概要を説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の携帯電子機器の内部構成を示す図である。
【図3】図2に示す携帯電子機器において、携帯電子機器をロックする際の処理のフローチャートである。
【図4】図2に示す携帯電子機器において、特徴情報データベースに登録された特徴情報の内容の一例を示す図である。
【図5】図2に示す携帯電子機器におけるユーザ認識値の変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
初めに、図1を用いて本発明の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0019】
上述のように、携帯電子機器においてセキュリティ機能は非常に重要なものであるが、煩雑な操作を要求するものも多く、セキュリティ機能を有効にせず携帯電子機器を使用しているユーザも多い。
【0020】
そこで、図1に示すように、ユーザによる操作を受け付ける操作部と、ユーザの行なっている操作から個人認証における認証キーとして使用可能な特徴情報を抽出する個人認証制御部と、特徴情報を記憶する特徴情報記憶部と、を備える携帯電子機器を提供する。
【0021】
ここで、個人認証における認証キーとして使用可能な特徴情報について説明する。携帯電子機器は所有者以外の者が操作を行なうことは稀であり、一定期間経過後は、所有者が操作をする限りでは、特定の操作が繰り返し行なわれることになる。この特定の操作はその所有者と密接に関係するものであって、その所有者の操作の特徴(操作の仕方、癖)を顕著に表す操作といえる。そのため、このような特定の操作を行なうのは所有者のみであるという強い推測が働き、個人認証における認証キーとして使用可能となる。そこで、ユーザが携帯電子機器に対して行なった操作から抽出した情報であって、所有者の操作の特徴を顕著に表す情報を「特徴情報」として以降の説明を行なう。
【0022】
個人認証制御部では、図1の携帯電子機器をユーザが携帯電子機器を操作するたびに、その操作から特徴情報を抽出する。その後、特徴情報記憶部に問い合わせをし、ユーザが行なった操作から抽出した特徴情報と特徴情報記憶部に記憶された特徴情報を比較する。比較した結果、特徴情報記憶部に登録された内容からかけ離れたものであれば所有者以外の第三者が操作しているものと判断し、携帯電子機器の操作を禁止する。
【0023】
以上のように、携帯電子機器において、ユーザの操作から抽出した特徴情報をデータベース化し、それらの特徴情報に大いに違反する操作が行なわれた際は自動的にロックをかける携帯電子機器を提供する。その結果、所有者本人が使用している限りにおいては、ロックはかからず、所有者以外の第三者が操作した時は自動的にロックがかかり、携帯電子機器の紛失による損害の拡大を防止することができる。
【0024】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る携帯電子機器1の内部構成を示す図である。図2に示す携帯電子機器1は、操作部10と、表示部20と、制御部30と、特徴情報データベース40から構成されている。
【0025】
操作部10は、操作キーやタッチパネルなどが該当し、ユーザは操作部10により携帯電子機器1を操作する。
【0026】
表示部20では、メールの内容や携帯電子機器1のメニューなど、ユーザが操作する際に必要な情報を表示する。
【0027】
制御部30は、操作部10及び表示部20を制御する。
【0028】
制御部30は個人認証制御部301を備えている。個人認証制御部301は、ユーザが携帯電子機器1に対して行った操作から、その特徴情報を抽出する。
【0029】
携帯電子機器は、一人につき一台所有するのが通常であり、所有者が携帯電子機器1を操作する時間が圧倒的に長いといえる。従って、ユーザごとに釦を押すタイミングや頻繁に訪れるWEBサイトなど、特定のユーザのみに依存する携帯電子機器1の操作が存在する。そこで、このような特定のユーザに依存する操作(特徴情報)を、個人認証における認証キーとして採用する。個人認証制御部301では、携帯電子機器1に対する操作から特徴情報を抽出し、その内容の検証を行なう。
【0030】
個人認証における認証キーとして採用可能な特徴情報の例としては、朝起きてからの操作手順、メール作成時の釦を押下するスピード又は予測変換機能の使用の態様、サイト閲覧手順などが考えられる。朝起きてからの操作手順とは、携帯電子機器1の目覚まし機能を停止後、特定のサイトを閲覧し、その後、着信メールの確認を行なう等の手順である。また、サイト閲覧手順とは、デスクトップのメニューから遷移していくのか、又は、ブックマークを使ってサイトを閲覧するか等が考えられる。さらには、携帯電子機器1のメニューをどのように操作するかも認証キーとなり得る。例えば、ショートカットを使用して目的とするメニューの呼び出しを行なうのか、各メニュー項目の閲覧時間(素早くメニューを移動しているか、ゆっくり内容を確認しているか)等である。
【0031】
なお、個人認証制御部301では、携帯電子機器1を操作しているユーザを識別するためのユーザ認識値を保持している。ユーザ認識値の具体的な使用方法は後述する。
【0032】
特徴情報データベース40は、ユーザが携帯電子機器1に対して行った操作から得られる特徴情報を記憶するためのデータベースであって、上述の特徴情報記憶部に相当する。個人認証制御部301で抽出した特徴情報は、特徴情報データベース40に記憶されている。
【0033】
携帯電子機器1が工場から出荷され、ユーザが初めて手にした時には特徴情報データベース40には何も登録されていない。携帯電子機器1の購入後、一定期間は個人認証制御部301が特徴ある操作と識別したものを個人認証における認証キー(特徴情報)として特徴情報データベース40に蓄積していく。さらに、それぞれの特徴情報には重みがあり、特徴情報データベース40にデータを蓄積している期間に頻繁に行なわれた操作に対しては大きな重みを付与する。その結果、重みの大きい特徴情報(操作)は、特定のユーザによる携帯電子機器1の操作を顕著に表すものといえる。
【0034】
次に、図3を使って携帯電子機器1の動作について説明する。図3は、特徴情報の抽出と、その特徴情報に基づいた携帯電子機器1の保護に関する処理のフローチャートである。この処理は、携帯電子機器1が動作している間は常時行なわれる。
【0035】
ステップS01では、制御部30が、操作部10を介して行なわれた操作を個人認証制御部301に入力する。個人認証制御部301では、制御部30から入力された操作から特徴情報を抽出し、抽出した特徴情報が特徴情報データベース40に登録されているか否かを、特徴情報データベース40に対して問い合わせる。
【0036】
ステップS02では、特徴情報データベース40において、個人認証制御部301から受けた問い合わせに関する検索を行なう。その後、特徴情報データベース40は、個人認証制御部301に対して問い合わせ結果について返答する。検索した結果、個人認証制御部301から受けた問い合わせ(特徴情報)が、特徴情報データベース40に登録されていなければステップS03に遷移する。検索した結果、個人認証制御部301から受けた問い合わせ(特徴情報)が、特徴情報データベース40に登録されていればステップS04に遷移する。但し、すでに登録されている特徴情報であっても、登録内容と差分が存在する場合にはその差分についての登録依頼を、個人認証制御部301から特徴情報データベース40に対して行なう。
【0037】
ステップS03では、ステップS01で特徴情報データベース40に問い合わせした特徴情報を特徴情報データベース40に登録する。その後、ステップS06に遷移する。
【0038】
ステップS04では、ユーザの操作から抽出した特徴情報と特徴情報データベース40に登録されている特徴情報との比較を行なう。特徴情報の比較は、個人認証制御部301において行なう。個人認証制御部301において、携帯電子機器1に対して行なわれた操作と、特徴情報データベース40に登録された内容の比較を行ない、その操作は所有者が行なったものか、所有者以外の第三者が行なったものかの判断を行なう。
【0039】
図4は、特徴情報データベース40に登録された特徴情報の内容を示す図である。例えば、ユーザが行なった操作が文字入力に関するものであれば、図4の1行目と2行目の項目が該当する。次に、比較対象の特徴情報が、文字の入力スピードに関するものであれば、図4の1行目の内容を確認する。さらに、その文字の入力スピードが、60文字/分であれば特徴情報データベース40に登録されている内容と一致するので、操作しているユーザは所有者本人である判断することができる。
【0040】
しかし、文字の入力スピードが、30文字/分であれば特徴情報データベース40に登録された内容とはかけ離れているので、操作しているユーザは所有者以外の第三者であると判断する。なお、ユーザの操作から抽出した特徴情報と特徴情報データベース40に登録された内容の比較の際には、内容が完全に一致しないものであっても、一定の範囲内であれば、所有者の操作と判断するなどの調整を予め行なっておくことも可能である。
【0041】
携帯電子機器1を操作しているのが、所有者であると判断すれば、ステップS05に遷移する。携帯電子機器1を操作しているのが、所有者以外の第三者であると判断すれば、ステップS06に遷移する。
【0042】
ステップS05は、携帯電子機器1に対して行なわれた操作が、所有者によるものであると判断された後の処理であるので、その判断結果をユーザ認識値に反映させる。例えば、上述の文字入力の例でいえば、重みが0.1(図4の1行目参照)であるので、ユーザ認識値に0.1を加算する。その後、ステップS01に遷移し、処理を継続する。
【0043】
ステップS06は、携帯電子機器1に対して行なわれた操作が、所有者以外の第三者によるものであると判断された後の処理であるので、その判断結果をユーザ認識値に反映させる。例えば、上述の文字入力の例でいえば、重みが0.1(図4の1行目参照)であるので、ユーザ認識値から0.1を減算する。ここで、ステップS03を経由して、ステップ06に遷移した場合には、携帯電子機器1に対して行なわれた操作は、特徴情報データベース40に登録されたものではないといえる。従って、ステップS03を経由する携帯電子機器1に対する操作は、所有者以外の第三者が行なったものと推測することができる。そこで、この場合にも、予め定められた重みを、ユーザ認識値から減算する。その後、ステップS07に遷移する。
【0044】
ステップS07では、ユーザ認識値が予め定められた閾値以上か否か判断する。閾値以上であれば、ステップS01に遷移し、処理を継続する。閾値未満であれば、ステップS08に遷移する。
【0045】
ステップS08では、個人認証制御部301において、携帯電子機器1の操作を禁止する(ロックをかける)。即ち、携帯電子機器1に対して行なわれた操作が、それまでに蓄積してきた所有者の操作の特徴を示す操作から、かけ離れたものであり、所有者以外の第三者が操作している可能性が非常に高いためである。
【0046】
図5は、一日におけるユーザ認識値の変化の一例を示す図である。図5から、1時から携帯電子機器1に対する操作が行なわれ、その際のユーザ認識値は上昇していることから、所有者本人が操作を行なっているものと認められる。しかし、14時を境にユーザ認識値が減少を始めているので、ユーザ以外の第三者が、携帯電子機器1を操作していると認められる。そして、14時以降も、第三者が操作を続けている。その後、22時にユーザ認識値が閾値を下回った時点で携帯電子機器1はロックされている。従って、22時以降の第三者による操作は禁止される。
【0047】
なお、実際に携帯電子機器1に対してロックをかける際の動作には、携帯電子機器1の電源がONである間は、継続してユーザ認識値の操作を行ない、閾値未満となれば携帯電子機器をロックする動作が考えられる。又は、本人認証の開始とロックの実施は一日単位とすることもできる。例えば、日付が変わるとユーザ認識値は一度初期化され、一日が終わる時点でユーザ認識値が閾値未満であれば、携帯電子機器1に対してロックをかけることも考えられる。
【0048】
以上のように、携帯電子機器1を主に操作するユーザは、その所有者であることに着目し、携帯電子機器を操作する際の操作の仕方や癖といった、その所有者本人の操作の特徴を顕著に表す情報(特徴情報)を、個人認証における認証キーとして特徴情報データベース40に蓄積しておく。そして、特徴情報データベース40に登録された操作からかけ離れた操作が継続して行なわれた場合には、所有者以外の第三者が操作をしていると判断し、携帯電子機器1をロックする(操作を不能にする)。その結果、携帯電子機器1の所有者が操作を行なっている際には、セキュリティ機能が動作していることは認識されず、所有者以外の第三者が操作を行なった際には、自動的にロックがかかり、携帯電子機器を紛失したとしても、個人データの流出や不正使用による損害を防止することができる。即ち、所有者が携帯電子機器を使用する際には、何ら煩雑な操作を要求せず、万が一、携帯電子機器を紛失してしまった際には、操作が不能になり、さらなる被害の拡大を防止することができる。
【0049】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0050】
(付記1)ユーザによる操作を受け付ける操作部と、ユーザの行なっている操作から個人認証における認証キーとして使用可能な特徴情報を抽出する個人認証制御部と、前記特徴情報を記憶する特徴情報記憶部と、を備え、前記個人認証制御部は、ユーザが行った操作から抽出した前記特徴情報と前記特徴情報記憶部に記憶された前記特徴情報を比較することで、操作を行っているユーザが所有者か否かを判断し、所有者以外の第三者が操作していると判断した場合には、前記操作部からの操作を不能とする携帯電子機器。
【0051】
(付記2)前記個人認証制御部は、操作を行っているユーザが所有者であるかの確かさを示すユーザ認識値を保持し、ユーザが行なった操作が所有者の操作であると判断すれば前記ユーザ認識値を増加又は減少させる第1の変更を行ない、ユーザが行なった操作が所有者以外の第三者の操作であると判断すれば前記ユーザ認識値を前記第1の変更とは増減が異なる第2の変更を行い、さらに、前記ユーザ認識値と所定の閾値を比較することで前記操作部における操作を不能とする携帯電子機器。
【0052】
(付記3)前記個人認証制御部は、予め定められた期間、ユーザが行った操作から抽出した前記特徴情報を前記特徴情報記憶部に記憶し、前記予め定められた期間は前記操作部における操作を不能とはしない携帯電子機器。
【0053】
(付記4)前記特徴情報記憶部には、複数の前記特徴情報と、前記特徴情報のそれぞれに対応した重みが記憶されている携帯電子機器。
【0054】
(付記5)前記個人認証制御部は、前記特徴情報記憶部に記憶された前記重みに従って、前記ユーザ認識値を増加又は減少させる携帯電子機器。
【0055】
(付記6)ユーザによる操作を受け付ける操作部と、ユーザの行なっている操作から個人認証における認証キーとして使用可能な特徴情報を抽出する個人認証制御部と、前記特徴情報を記憶する特徴情報記憶部と、を備える携帯電子機器の制御方法であって、前記個人認証制御部が抽出した前記特徴情報と前記特徴情報記憶部に記憶された前記特徴情報を比較し、操作を行っているユーザが所有者か否かを判断する判断工程と、前記判断工程の結果から所有者以外の第三者が操作していると判断した場合には、前記操作部からの操作を不能とする操作禁止工程と、を含む携帯電子機器の制御方法。
【0056】
(付記7)前記個人認証制御部は、操作を行っているユーザが所有者であるかの確かさを示すユーザ認識値を保持し、前記判断工程は、ユーザが行なった操作が所有者の操作であると判断すれば前記ユーザ認識値を増加又は減少させる第1の変更を行い、ユーザが行なった操作が所有者以外の第三者の操作であると判断すれば前記ユーザ認識値を、前記第1の変更とは増減が異なる第2の変更を行なう工程を含み、前記操作禁止工程は、前記ユーザ認識値と所定の閾値を比較することで前記操作部における操作を不能とする携帯電子機器の制御方法。
【0057】
(付記8)前記個人認証制御部は、予め定められた期間、ユーザが行った操作から抽出した前記特徴情報を前記特徴情報記憶部に記憶し、前記操作禁止工程は、前記予め定められた期間は前記操作部における操作を不能とはしない携帯電子機器の制御方法。
【0058】
(付記9)前記特徴情報記憶部には、複数の前記特徴情報と、前記特徴情報のそれぞれに対応した重みが記憶されており、前記判断工程は、前記特徴情報記憶部に記憶された前記重みに従って、前記ユーザ認識値を増加又は減少させる携帯電子機器の制御方法。
【0059】
(付記10)ユーザによる操作を受け付ける操作部と、ユーザの行なっている操作から個人認証における認証キーとして使用可能な特徴情報を抽出する個人認証制御部と、前記特徴情報を記憶する特徴情報記憶部と、を備える携帯電子機器を制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、前記個人認証制御部が抽出した前記特徴情報と前記特徴情報記憶部に記憶された前記特徴情報を比較し、操作を行っているユーザが所有者か否かを判断する判断処理と、前記判断処理の結果から所有者以外の第三者が操作していると判断した場合には、前記操作部からの操作を不能とする操作禁止処理と、を実行するプログラム。
【0060】
(付記11)前記個人認証制御部は、操作を行っているユーザが所有者であるかの確かさを示すユーザ認識値を保持し、前記判断処理は、ユーザが行なった操作が所有者の操作であると判断すれば前記ユーザ認識値を増加又は減少させる第1の変更を行い、ユーザが行なった操作が所有者以外の第三者の操作であると判断すれば前記ユーザ認識値を、前記第1の変更とは増減が異なる第2の変更を行なう処理を含み、前記操作禁止処理は、前記ユーザ認識値と所定の閾値を比較することで前記操作部における操作を不能とするプログラム。
【0061】
(付記12)前記個人認証制御部は、予め定められた期間、ユーザが行った操作から抽出した前記特徴情報を前記特徴情報記憶部に記憶し、前記操作禁止処理は、前記予め定められた期間は前記操作部における操作を不能とはしないプログラム。
【0062】
(付記13)前記特徴情報記憶部には、複数の前記特徴情報と、前記特徴情報のそれぞれに対応した重みが記憶されており、前記判断処理は、前記特徴情報記憶部に記憶された前記重みに従って、前記ユーザ認識値を増加又は減少させるプログラム。
【0063】
なお、上記の特許文献等の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。例えば、個人の操作(振る舞い)によりユーザを特定する技術の研究は盛んに行なわれており、指以外の操作であってもユーザが特定できる操作から携帯電子機器をロックすることは可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 携帯電子機器
10 操作部
20 表示部
30 制御部
40 特徴情報データベース
301 個人認証制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる操作を受け付ける操作部と、
ユーザの行なっている操作から個人認証における認証キーとして使用可能な特徴情報を抽出する個人認証制御部と、
前記特徴情報を記憶する特徴情報記憶部と、
を備え、
前記個人認証制御部は、ユーザが行った操作から抽出した前記特徴情報と前記特徴情報記憶部に記憶された前記特徴情報を比較することで、操作を行っているユーザが所有者か否かを判断し、所有者以外の第三者が操作していると判断した場合には、前記操作部からの操作を不能とすることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記個人認証制御部は、操作を行っているユーザが所有者であるかの確かさを示すユーザ認識値を保持し、ユーザが行なった操作が所有者の操作であると判断すれば前記ユーザ認識値を増加又は減少させる第1の変更を行ない、ユーザが行なった操作が所有者以外の第三者の操作であると判断すれば前記ユーザ認識値を前記第1の変更とは増減が異なる第2の変更を行い、さらに、前記ユーザ認識値と所定の閾値を比較することで前記操作部における操作を不能とする請求項1の携帯電子機器。
【請求項3】
前記個人認証制御部は、予め定められた期間、ユーザが行った操作から抽出した前記特徴情報を前記特徴情報記憶部に記憶し、前記予め定められた期間は前記操作部における操作を不能とはしない請求項1又は2の携帯電子機器。
【請求項4】
前記特徴情報記憶部には、複数の前記特徴情報と、前記特徴情報のそれぞれに対応した重みが記憶されている請求項1乃至3いずれか一に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記個人認証制御部は、前記特徴情報記憶部に記憶された前記重みに従って、前記ユーザ認識値を増加又は減少させる請求項4の携帯電子機器。
【請求項6】
ユーザによる操作を受け付ける操作部と、
ユーザの行なっている操作から個人認証における認証キーとして使用可能な特徴情報を抽出する個人認証制御部と、
前記特徴情報を記憶する特徴情報記憶部と、
を備える携帯電子機器の制御方法であって、
前記個人認証制御部が抽出した前記特徴情報と前記特徴情報記憶部に記憶された前記特徴情報を比較し、操作を行っているユーザが所有者か否かを判断する判断工程と、
前記判断工程の結果から所有者以外の第三者が操作していると判断した場合には、前記操作部からの操作を不能とする操作禁止工程と、
を含むことを特徴とする携帯電子機器の制御方法。
【請求項7】
前記個人認証制御部は、操作を行っているユーザが所有者であるかの確かさを示すユーザ認識値を保持し、
前記判断工程は、ユーザが行なった操作が所有者の操作であると判断すれば前記ユーザ認識値を増加又は減少させる第1の変更を行い、ユーザが行なった操作が所有者以外の第三者の操作であると判断すれば前記ユーザ認識値を、前記第1の変更とは増減が異なる第2の変更を行なう工程を含み、
前記操作禁止工程は、前記ユーザ認識値と所定の閾値を比較することで前記操作部における操作を不能とする請求項6の携帯電子機器の制御方法。
【請求項8】
前記個人認証制御部は、予め定められた期間、ユーザが行った操作から抽出した前記特徴情報を前記特徴情報記憶部に記憶し、
前記操作禁止工程は、前記予め定められた期間は前記操作部における操作を不能とはしない請求項6又は7の携帯電子機器の制御方法。
【請求項9】
前記特徴情報記憶部には、複数の前記特徴情報と、前記特徴情報のそれぞれに対応した重みが記憶されており、
前記判断工程は、前記特徴情報記憶部に記憶された前記重みに従って、前記ユーザ認識値を増加又は減少させる請求項6乃至8いずれか一に記載の携帯電子機器の制御方法。
【請求項10】
ユーザによる操作を受け付ける操作部と、
ユーザの行なっている操作から個人認証における認証キーとして使用可能な特徴情報を抽出する個人認証制御部と、
前記特徴情報を記憶する特徴情報記憶部と、
を備える携帯電子機器を制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記個人認証制御部が抽出した前記特徴情報と前記特徴情報記憶部に記憶された前記特徴情報を比較し、操作を行っているユーザが所有者か否かを判断する判断処理と、
前記判断処理の結果から所有者以外の第三者が操作していると判断した場合には、前記操作部からの操作を不能とする操作禁止処理と、
を実行するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−150530(P2012−150530A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6579(P2011−6579)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】