説明

携帯電子機器

【課題】電力を消費せずに筐体内の発熱源を冷却する。
【解決手段】放熱板56を通ってCCD52に冷却液が循環供給されるように配管54が配設される。配管54中の冷却液は、手動式ポンプ60によって送液される。手動式ポンプ60は、筐体12の上面に配置されたポンプ押しボタン24をユーザが押圧操作して、シリンダ62内のピストン64を往復動させることにより、冷却液を送液する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電子機器に係り、特に筐体内の発熱源に冷却液を循環供給して冷却する携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラや携帯電話機などの小型の携帯電子機器では、内部の電子機器で発生した熱が筐体内に籠もりやすいという傾向がある。
【0003】
デジタルカメラの場合、CCD等の撮像素子を用いて画像を撮像するが、この撮像素子の温度が上昇すると、出力される信号のS/N比が低下し、画像にノイズが増えるという問題がある。
【0004】
そこで、特許文献1〜4では、撮像素子に流路を形成し、その流路に冷却液を流すことにより、撮像素子を冷却することが提案されている。
【特許文献1】特開平5−14786号公報
【特許文献2】特開平5−161043号公報
【特許文献3】特開平5−176209号公報
【特許文献4】特開平5−176210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1〜4では、冷却液の送液に電動式のポンプを用いているが、このような電動式のポンプを用いて冷却液の送液を行うと、消費電力が大きくなるという欠点がある。特にデジタルカメラなどの携帯電子機器では、バッテリで駆動するため、消費電力が大きくなると、使用可能時間が低下するという問題がある。また、ポンプを駆動するためのモータ等を筐体内に設置しなければならないため、その分装置が大型化するという欠点もある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、電力を消費せずに筐体内の発熱源を冷却できる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、前記目的を達成するために、携帯可能な筐体を有し、該筐体内の発熱源を通るように配設された循環流路に冷却液が循環供給されて、前記発熱源が冷却される携帯電子機器において、前記循環流路に冷却液を循環供給する手動式のポンプと、前記筐体の外装面上に設けられ、前記ポンプを駆動する駆動操作部材と、を備えたことを特徴とする携帯電子機器を提供する。
【0008】
請求項1に係る発明によれば、手動式のポンプによって冷却液の送液が行われる。これにより、電力を消費することなく、発熱源を冷却することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記目的を達成するために、前記ポンプは、前記筐体に内蔵されたシリンダと、前記シリンダに設けられた吸込口と、前記シリンダに設けられた吐出口と、前記シリンダ内を往復動するピストンと、前記吸込口に連結された第1逆止弁と、前記吐出口に連結された第2逆止弁と、からなり、前記駆動操作部材で前記ピストンを往復動させて前記循環流路に前記冷却液を循環させることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器を提供する。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、筐体の外装面上に設けられた駆動操作部材でポンプのピストンを往復動させることにより、冷却液を送液する。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記目的を達成するために、前記携帯電子機器がデジタルカメラであって、シャッタボタンが前記駆動操作部材を兼用することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯電子機器を提供する。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、携帯電子機器がデジタルカメラの場合において、シャッタボタンが駆動操作部材を兼用する。すなわち、シャッタボタンの押圧操作に連動して、ポンプのピストンが往復動し、冷却液の送液が行われる。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記目的を達成するために、携帯可能な筐体を有し、該筐体内の発熱源を通るように配設された循環流路に冷却液が循環供給されて、前記発熱源が冷却される携帯電子機器において、前記ポンプは、前記筐体の外装面上に弾性体によって弾性変形可能に形成された押圧部と、前記押圧部の内側に形成され、前記押圧部が押圧されることにより容積が変動する圧力室と、前記圧力室に設けられた吸込口と、前記圧力室に設けられた吐出口と、前記吸込口に連結された第1逆止弁と、前記吐出口に連結された第2逆止弁と、からなり、前記押圧部を押圧操作することにより、前記圧力室の容積を変動させて前記循環流路に前記冷却液を循環させることを特徴とする携帯電子機器を提供する。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、筐体の外装面上に弾性体によって弾性変形可能に形成された押圧部を押圧操作することにより、冷却液の送液が行われる。
【0015】
請求項5に係る発明は、前記目的を達成するために、前記押圧部が、前記筐体に設けられたグリップに形成され、該グリップを把持する指によって押圧操作されることを特徴とする請求項4に記載の携帯電子機器を提供する。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、押圧部がグリップに形成されており、グリップを把持する操作に連動して、冷却液の送液が行われる。
【0017】
請求項6に係る発明は、前記目的を達成するために、携帯可能な筐体を有し、該筐体内の発熱源を通るように配設された循環流路に冷却液が循環供給されて、前記発熱源が冷却される携帯電子機器において、前記ポンプは、前記筐体に内蔵されたシリンダと、前記シリンダの一端に設けられた吸込口と、前記シリンダの他端に設けられた吐出口と、前記シリンダ内を往復動するピストンと、前記ピストンの両端を貫通して形成された流路と、前記流路に設けられた第1逆止弁と、前記吐出口に連結された第2逆止弁と、からなり、前記筐体の傾斜で前記ピストンを往復動させて前記循環流路に前記冷却液を循環させることを特徴とする携帯電子機器を提供する。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、筐体の傾斜によってポンプを構成するピストンが往復動し、自動で冷却液の送液が行われる。
【0019】
請求項7に係る発明は、前記目的を達成するために、前記シリンダが、前記筐体に対して水平に設置されることを特徴とする請求項6に記載の携帯電子機器を提供する。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、シリンダが筐体に対して水平に設置される。これにより、筐体の僅かな傾斜によってもポンプを動作させることができ、効率よく冷却液の送液が行われる。
【0021】
請求項8に係る発明は、前記目的を達成するために、携帯可能な筐体を有し、該筐体内の発熱源を通るように配設された循環流路に冷却液が循環供給されて、前記発熱源が冷却される携帯電子機器において、前記ポンプを構成するギアポンプと、回転中心に対して偏心した位置に重心を有し、前記筐体の傾斜によって回転する回転体と、前記回転体の回転を前記ギアポンプに伝達する動力伝達手段と、を備えたことを特徴とする携帯電子機器を提供する。
【0022】
請求項8に係る発明によれば、筐体の傾斜によって回転体が回転し、その回転が動力伝達手段を介してギアポンプに伝達され、冷却水が送水される。
【0023】
請求項9に係る発明は、前記目的を達成するために、携帯可能な筐体を有し、該筐体内の発熱源を通るように配設された循環流路に冷却液が循環供給されて、前記発熱源が冷却される携帯電子機器において、前記ポンプを構成するギアポンプと、回転中心に対して偏心した位置に重心を有し、前記筐体の傾斜によって回転する回転体と、回転動力を蓄積、放出する回転動力蓄積手段と、前記回転体と前記ギアポンプのいずれか一方に選択的に接続され、前記回転体に接続されると、該回転体の回転を前記回転動力蓄積手段に伝達する一方、前記ギアポンプに接続されると、前記回転動力蓄積手段に蓄積された回転動力を前記ギアポンプに伝達する動力伝達手段と、を備えたことを特徴とする携帯電子機器を提供する。
【0024】
請求項9に係る発明によれば、回転動力の伝達方向を選択的に切り替え可能な動力伝達手段が備えられており、その動力伝達手段を回転体に接続すると、回転体の回転が回転動力蓄積手段に伝達されて、回転動力蓄積手段に蓄積される。一方、その動力伝達手段をギアポンプに接続すると、回転動力蓄積手段に蓄積された回転動力がギアポンプに伝達され、ギアポンプが回転駆動されて、冷却水が送水される。すなわち、任意のタイミングで冷却水の送水を行うことができる。
【0025】
請求項10に係る発明は、前記目的を達成するために、前記循環流路がバッテリを通ることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の携帯電子機器を提供する。
【0026】
請求項10に係る発明によれば、循環流路がバッテリを通るように配設される。これにより、発熱源で奪った熱をバッテリに排熱でき、その熱でバッテリを温めて、内部の化学活性を促進させることができ、バッテリの寿命を延長させることができる。
【0027】
請求項11に係る発明は、前記目的を達成するために、前記バッテリを回避するバイパス流路と、前記バッテリの温度が規定値以上になると、前記冷却液の流れを前記バイパス流路に切り替える切替手段と、を備えたことを特徴とする請求項10に記載の携帯電子機器を提供する。
【0028】
請求項11に係る発明によれば、バッテリを回避するバイパス流路が備えられており、バッテリの温度が規定値以上になると、バイパス流路側に流れが切り替えられる。これにより、バッテリに排熱できない場合であっても、冷却液を放熱できるようになる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る携帯電子機器によれば、筐体内の発熱源を手動で冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して本発明に係る携帯電子機器を実施するための最良の形態について説明する。
【0031】
図1、図2は、それぞれ本発明が適用されたデジタルカメラの外観構成を示す正面斜視図と背面斜視図である。
【0032】
同図に示すように、このデジタルカメラ10は、いわゆるコンパクトタイプのデジタルカメラであって、携帯可能な筐体12を有している。筐体12は、片手で把持可能な矩形の箱状に形成されており、その正面の左側部にグリップ14が張り出して形成されている。
【0033】
筐体12の正面には、図1に示すように、撮影レンズ16、ストロボ18、ファインダ窓20等が設けられており、また、上面には、シャッタボタン22、ポンプ押しボタン24等が設けられている。
【0034】
撮影レンズ16は、沈胴式のズームレンズで構成されており、撮影時に筐体12から繰り出される。被写体の光学像は、この撮影レンズ16を介して筐体12の内部に設置された図示しない撮像素子(本実施の形態ではCCD)の受光面上に結像される。
【0035】
シャッタボタン22は、いわゆる「半押し」と「全押し」とからなる2段ストローク式のスイッチで構成されており、このシャッタボタン22の「半押し」によってAE(Automatic Exposure)、AF(Auto Focus)が行われ、「全押し」によって画像の記録が行われる。
【0036】
ポンプ押しボタン24は、シャッタボタン22の近傍位置(グリップ14を把持した手の人指し指で操作可能な位置)に配置されており、図示しないスプリングに付勢されて筐体12の上面から突出して設けられている。このポンプ押しボタン24は、筐体12に内蔵された手動式ポンプの駆動操作部材として機能し、押圧操作されることにより、手動式ポンプを動作させる。なお、この点については、後に詳述する。
【0037】
筐体12の背面には、図2に示すように、モニタ26、ファインダ接眼部28、電源/モードスイッチ30、マクロボタン32、ズームレバー34、ストロボボタン36、フォトモードボタン38、MENU/OKボタン40、BACKボタン42等が設けられている。
【0038】
モニタ26は、カラー表示が可能な液晶モニタで構成されている。このモニタ26は、撮影済み画像の表示画面として利用されるとともに、各種設定時にユーザインターフェースとして利用される。また、撮影時には、必要に応じてスルー画像が表示され、画角確認用の電子ファインダとして利用される。
【0039】
電源/モードスイッチ30は、電源のON/OFFする電源スイッチとしての機能と、モードの切り替えを指示するモードスイッチとして機能を有しており、「OFF位置」と「再生位置」と「撮影位置」との間をスライド自在に設けられている。デジタルカメラ10は、このモードスイッチ30を「再生位置」又は「撮影位置」に合わることにより、電源がONされ、「OFF位置」に合わせることにより、電源がOFFされる。そして、「再生位置」に合わせることにより、「再生モード」に設定されて、撮影済み画像の再生が可能になり、「撮影位置」に合わせることにより、「撮影モード」に設定されて、画像の撮影が可能になる。
【0040】
マクロボタン32は、撮影時にマクロ機能の切り替えを指示するボタンとして機能するとともに、再生時に画像のコマ戻しを指示するボタンとして機能する。また、メニュー画面等でカーソルの左方向の移動を指示するボタンとして機能する。
【0041】
ズームレバー34は、上下方向に揺動自在に設けられており、撮影時にズーミングを指示するレバーとして機能するとともに、再生時に再生画像の拡大縮小を指示するレバーとして機能する。また、メニュー画面等でカーソルの上下方向の移動を指示するボタンとして機能する。
【0042】
ストロボボタン36は、撮影時にストロボ機能の切り替えを指示するボタンとして機能するとともに、再生時に画像のコマ送りを指示するボタンとして機能する。また、メニュー画面等でカーソルの右方向の移動を指示するボタンとして機能する。
【0043】
フォトモードボタン38は、撮影モード等の設定画面をモニタ26に呼び出すボタンとして機能し、このフォトモードボタン38を押してモニタ26に呼び出される画面で撮影画像の記録画素数の設定や感度の設定、色調や階調の設定、プリント予約の設定等が行われる。
【0044】
MENU/OKボタン40は、メニュー画面の呼び出しを指示するボタンとして機能するとともに(MENUボタンの機能)、選択内容の確定、処理の実行等を指示するボタンとして機能する(OKボタンの機能)。
【0045】
BACKボタン42は、入力操作のキャンセル等を指示するボタンとして機能するとともに、モニタ表示の切り替えを指示するボタンとして機能する。
【0046】
なお、図示されていないが、筐体12の底面には開閉自在な電池蓋が設けられており、その電池蓋の内側に電池を装填するための電池挿入部と、メモリカードを装填するためのメモリカードスロットとが設けられている。
【0047】
さて、上記のように、本実施の形態のデジタルカメラ10では、筐体12の上面にポンプ押しボタン24が設けられており、このポンプ押しボタン24を押圧操作することにより、筐体12の内部に設置された手動式ポンプが動作する。この手動式ポンプは、CCDを冷却するための冷却液の送液に使用される。すなわち、本実施の形態のデジタルカメラ10には、CCDを冷却液で冷却するための冷却システムが組み込まれており、この冷却システムに手動式ポンプが使用される。
【0048】
以下、本実施の形態のデジタルカメラ10に組み込まれたCCDの冷却システムについて説明する。
【0049】
図3は、本実施の形態のデジタルカメラ10に組み込まれたCCDの冷却システム50の構成図である。
【0050】
同図に示すように、この冷却システム50は、CCD52を通るように配設された配管54に手動式ポンプ60で冷却水を循環供給させることにより、CCD52を冷却する。
【0051】
配管54は、CCD52と放熱板56を通るようにして筐体内部に配設されており、内部に冷却液が満たされている。
【0052】
CCD52の裏面には、この配管54を介して循環供給される冷却液の流路54Aが形成されている。この流路54Aは、冷却液の接触面積を大きくするため、蛇行して形成されており、この流路54Aを冷却液が流れることにより、CCD52で発生した熱が冷却液に吸熱される。
【0053】
また、放熱板56には、この配管54を介して循環供給される冷却液の流路54Bが形成されている。この流路54Bは、冷却液の接触面積を大きくするため、蛇行して形成されており、この流路54Bを冷却液が流れることにより、冷却液が放熱される。
【0054】
手動式ポンプ60は、主としてシリンダ62と、ピストン64と、第1逆止弁66Aと、第2逆止弁66Bとで構成されている。
【0055】
シリンダ62は、円筒状に形成されており、吸込口62Aと吐出口62Bとを備えている。
【0056】
ピストン64は、シリンダ62内を往復動自在に設けられており、このピストン64がシリンダ62内を往復動することにより、シリンダ62内の容積が変動する。このピストン64には、ポンプ押しボタン24が連結されており、このポンプ押しボタン24を押圧操作することにより、ピストン64がシリンダ62内を往復動する。
【0057】
なお、シリンダ62内には、スプリング68が配設されており、このスプリング68によってポンプ押しボタン24は、筐体12の上面から突出する方向に付勢されている。
【0058】
第1逆止弁66Aは、シリンダ62の吸込口62Aに連結されており、第2逆止弁66Bは、シリンダ62の吐出口62Bに連結されている。この第1逆止弁66Aと第2逆止弁66Bは、冷却液が第1逆止弁66Aから第2逆止弁66Bに向かってのみ流れるように設置され、流れの向きを揃えて設置されている。
【0059】
以上のように構成された手動式ポンプ60は、次のように動作する。すなわち、図4(b)に示すように、ポンプ押しボタン24を押すと、これに連結されたピストン64が下降し、シリンダ62内の容積が収縮する。そして、シリンダ62内の容積が収縮すると、第1逆止弁66Aが閉じるとともに、第2逆止弁66Bが開き、シリンダ62内の冷却液が吐出口62Bから排出される。この結果、配管54内を冷却液が送液される。一方、ポンプ押しボタン24の押圧力を解除すると、図4(a)に示すように、スプリング68の付勢力によって、ピストン64が上昇し、シリンダ62内の容積が膨張する。そして、シリンダ62内の容積が膨張すると、第1逆止弁66Aが開くとともに、第2逆止弁66Bが開き、吸込口62Aからシリンダ62内に冷却液が吸い込まれる。この結果、配管54内を冷却液が送液される。
【0060】
このように、手動式ポンプ60は、ポンプ押しボタン24の押圧操作によって動作し、冷却液を送液する。
【0061】
本実施の形態のデジタルカメラ10に組み込まれたCCD52の冷却システム50は以上のように構成される。以下、この冷却システム50の作用について説明する。
【0062】
デジタルカメラ10は、継続的に使用することにより、内部の電子部品が発熱し、筐体内部の温度が上昇する。
【0063】
一方、CCD52は、温度が上昇すると、出力信号のS/N比が低下し、画像にノイズが増える。
【0064】
そこで、ユーザは、撮影の合間などの手の空いた時、ポンプ押しボタン24を押圧操作し、手動式ポンプ60を動作させる。
【0065】
これにより、配管54に冷却液が流れ、CCD52に冷却液が循環供給されて、CCD52が冷却される。すなわち、配管54を流れる冷却液が、CCD52の裏面に形成された流路54Aを通ることにより、CCD52の熱が冷却液に奪われ、CCD52が冷却される。また、CCD52を通った冷却液は、放熱板56を通ることにより、CCD52から奪った熱が放熱され、冷却される。
【0066】
このように本実施の形態の冷却システム50では、ポンプ押しボタン24を押圧操作することにより、手動式ポンプ60が動作し、CCD52に冷却液が循環供給されて、CCD52が冷却される。
【0067】
これにより、電力を消費することなく、高画質な画像を撮影することができる。
【0068】
なお、上記実施の形態では、ポンプ押しボタン24の押圧操作によって、手動式ポンプ60を動作させる構成としているが、手動式ポンプ60を駆動操作する駆動操作部材の形式は、これに限定されるものではない。使用するポンプの形態等や設置する位置等に応じて適宜最適なものを使用することが好ましい。
【0069】
たとえば、図5に示すように、筐体12の外装面上にスライド式のレバー24Aをスライド自在に設け、このスライド式のレバーをスライド操作させることにより、手動式ポンプ60のピストン64を往復動させて、冷却液の送液を行うようにしてもよい。
【0070】
また、使用するポンプも手動で駆動可能なものであればよく、他の構成のポンプを用いてもよい。
【0071】
図6は、手動式ポンプの他の一例を示す構成図である。この手動式ポンプ70は、筐体12のグリップ14の左端に形成された押圧部14Aを押圧することにより作動する。
【0072】
図6に示すように、グリップ14の表面は、全体がゴム等の弾性体74によって覆われている。このグリップ14の左端には、グリップ14を把持した手の指先がかかる位置(図7参照)に押圧部14Aが形成されている。押圧部14Aは、円弧状形成されており、その内側には圧力室72が形成されている。
【0073】
圧力室72は、グリップ14の内側に空洞として形成されており、押圧部14Aが押圧されることにより、その容積が収縮する。一方、その押圧部14Aの押圧を解除すると、押圧部14Aの弾性復帰により、容積が膨張する。
【0074】
この圧力室72の筐体側の面は、円弧状に形成されており、その筐体側の面には、吸込口72Aと吐出口72Bとが形成されている。そして、その吸込口72Aには、第1逆止弁66Aが連結されており、吐出口72Bには、第2逆止弁66Bが連結されている。この第1逆止弁66Aと第2逆止弁66Bは、冷却液が第1逆止弁66Aから第2逆止弁66Bに向かってのみ流れるように設置され、流れの向きを揃えて設置されている。
【0075】
以上のように構成された手動式ポンプ70は、次のように動作する。すなわち、図8(b)に示すように、グリップ14を把持した手の指で押圧部14Aを押すと、押圧部14Aが弾性変形し、圧力室72の容積が収縮する。そして、圧力室72の容積が収縮すると、第1逆止弁66Aが閉じるとともに、第2逆止弁66Bが開き、圧力室72内の冷却液が吐出口72Bから排出される。この結果、配管54内を冷却液が送液される。一方、押圧部14Aの押圧力を解除すると、図8(a)に示すように、押圧部14Aの弾性復元力によって、押圧部14Aが元の形状に弾性復帰し、圧力室72の容積が膨張する。そして、圧力室72の容積が膨張すると、第1逆止弁66Aが開くとともに、第2逆止弁66Bが開き、吸込口72Aから圧力室72内に冷却液が吸い込まれる。この結果、配管54内を冷却液が送液される。
【0076】
このように、手動式ポンプ70は、グリップ14に形成された押圧部14Aの押圧操作によって動作し、冷却液を送液する。
【0077】
なお、上記構成の手動式ポンプ70において、押圧部14Aを設置する位置は、グリップ14に限定されるものではなく、他の位置に設けてもよい。たとえば、筐体12の上面に形成し、筐体12を把持した手の人指し指で操作可能な位置に配置してもよい。また、筐体12の背面に形成し、筐体12を把持した手の親指で操作可能な位置に配置してもよい。なお、上記例のように、グリップ14に形成し、グリップ14を把持した手の指先がかかる位置に配置することにより、無理なくかつ簡単に手動式ポンプ70を動作させることができる。
【0078】
この他、冷却システム50に使用する手動式ポンプとしては、ベーンポンプや、図9に示すようにギアポンプ80を用いてもよい。この場合、たとえば、同図に示すように、筐体12の外装面上に回転式のダイヤル24Bを回転自在に設け、このダイヤル24Bを回転させることにより、ギアポンプ80を駆動する。すなわち、ダイヤル24Bの回転軸とギアポンプ80の駆動軸とをギア列82で連結し、ダイヤル24Bの回転をギアポンプ80の駆動軸に伝達可能に構成する。
【0079】
なお、ボタンやダイヤル等の駆動操作部材を用いて手動式ポンプの駆動を行う場合、その駆動操作部材の設置場所は、特に限定されるものではないが、グリップ14を把持した際、その把持した手の指で操作可能な位置に配置することが好ましい。
【0080】
また、本実施の形態では、手動式ポンプの駆動を専用の駆動操作部材で行うように構成しているが、カメラの撮影操作部材で兼用するようにしてもよい。たとえば、シャッタボタンやズームボタン等と兼用し、これらの押圧操作に連動して動作するようにしてもよい。
【0081】
図10は、シャッタボタンがポンプ押しボタンを兼用した場合の冷却システムの構成図である。
【0082】
同図に示すように、手動式ポンプ60のピストン64にシャッタボタン22を連結し、このシャッタボタン22の押圧動作によって、ピストン64が往復動するように構成する。
【0083】
ここで、符号22Aは、シャッタボタン22を付勢する板バネユニットであり、この板バネユニット22Aによって、シャッタボタン22の半押しと全押しが可能になる。
【0084】
なお、このようにシャッタボタン22は、板バネユニット22Aによって付勢されることから、シャッタボタン22がポンプ押しボタンを兼用した場合、ピストン64を付勢するスプリングが不要になる。これにより、構成を簡略化することができる。
【0085】
このようにシャッタボタン22がポンプ押しボタン22を兼用する場合、手動式ポンプ60は、次のように動作する。すなわち、図11(b)に示すように、シャッタボタン22を半押しすると、これに連結されたピストン64が下降し、シリンダ62内の容積が収縮する。そして、シリンダ62内の容積が収縮すると、第1逆止弁66Aが閉じるとともに、第2逆止弁66Bが開き、シリンダ62内の冷却液が吐出口62Bから排出される。この結果、配管54内を冷却液が送液される。
【0086】
また、図11(c)に示すように、シャッタボタン22を全押しすると、これに連結されたピストン64が更に下降し、シリンダ62内の容積が更に収縮する。そして、シリンダ62内の容積が更に収縮すると、シリンダ62内の冷却液が吐出口62Bから排出される。この結果、配管54内を冷却液が送液される。
【0087】
一方、シャッタボタン22の押圧力を解除すると、図11(a)に示すように、板バネユニット22Aの付勢力によって、ピストン64が上昇し、シリンダ62内の容積が膨張する。そして、シリンダ62内の容積が膨張すると、第1逆止弁66Aが開くとともに、第2逆止弁66Bが閉じ、吸込口62Aからシリンダ62内に冷却液が吸い込まれる。この結果、配管54内を冷却液が送液される。
【0088】
このように、ポンプ押しボタンをシャッタボタン22と兼用することにより、シャッタボタン22の押圧操作に連動して自動で手動式ポンプ60を作動させることができる。
【0089】
また、ポンプ押しボタンをシャッタボタン22と兼用することにより、電源がOFFされている時や再生モードの時でも手動式ポンプ60を動作させることができる。
【0090】
ズームボタン等の他のボタンで兼用する場合も同様の構成とすることで、ポンプ押しボタンと兼用することができる。
【0091】
なお、手動式ポンプの駆動動作部材にスライド式の駆動操作部材を採用した場合には、スライド式のカメラの操作部材(たとえば、スライド式のモードスイッチ、ズームスイッチ等)と兼用されるように構成し、回転式の駆動操作部材を採用した場合には、回転式のカメラの操作部材(たとえば、回転式のモードダイヤルや操作ダイヤル等)と兼用されるように構成する。
【0092】
図12は、デジタルカメラに組み込まれたCCDの冷却システムの他の実施の形態の構成図である。
【0093】
この冷却システム100は、冷却水の送液を行うポンプが、筐体の傾斜によって駆動される。
【0094】
なお、ポンプの駆動機構以外の構成は、上記実施の形態の冷却システム50と同じなので、ここでは、ポンプの駆動機構についてのみ説明し、他の構成については、上記実施の形態の冷却システム50と同じ符号を付して、その説明は省略する。
【0095】
図12に示すように、冷却液の送液を行うポンプ110は、ギアポンプで構成されている。このギアポンプ110の駆動軸には、回転体112が連結されており、この回転体112の回転が、ギアポンプ110に伝達されて、ギアポンプ110が駆動される。
【0096】
回転体112は、爪歯車114、板バネ116、アーム118及びウェイト120で構成されている。
【0097】
爪歯車114は、ギアポンプ110の駆動軸に連結されており、この爪歯車114が回転することにより、ギアポンプ110の駆動軸が回転する。
【0098】
板バネ116は、一端が筐体内の図示しないフレームに固定されており、他端が爪歯車114に噛み合わされている。爪歯車114は、この板バネ116により逆回転が規制され、一方向にのみ回転する。
【0099】
アーム118は、棒状に形成されており、基端部が爪歯車114に固定されている。したがって、アーム118が回転すると、爪歯車114も回転する。
【0100】
ウェイト120は、アーム118の先端に固着されている。回転体112は、このウェイト120の重量によって爪歯車114の軸芯と異なる位置に重心が配置される。
【0101】
以上の構成により、筐体を傾斜させると、回転体112が回転し、この回転がギアポンプ110の駆動軸に伝達されて、ギアポンプ110が駆動される。
【0102】
すなわち、筐体を傾斜させると、ウェイト120の作用、すなわち、ウェイト120が重力方向に移動しようとする作用によってアーム118が一方向に回転し、この結果、アーム118が固着された爪歯車114が一方向に回転する。そして、この爪歯車114が回転することにより、爪歯車114が連結されたギアポンプ110の駆動軸が回転し、ギアポンプ110が駆動される。
【0103】
このように、本実施の形態の冷却システムによれば、筐体を傾斜させることにより、自動的にポンプが駆動され、冷却液の送液が行われる。このポンプの駆動は、電力を消費しないため、バッテリを消耗させることなく、CCD52を冷却することができる。
【0104】
なお、上記実施の形態では、筐体を傾斜させると常に冷却液の送液が行われるように構成されているが、回転体112の回転動力を蓄積し、任意のタイミングで冷却液の送液が行われるように構成してもよい。
【0105】
図13は、任意のタイミングで冷却液の送液を行うための冷却システムの構成図である。
【0106】
同図に示すように、この冷却システム200では、回転体112の回転動力(回転エネルギ)をゼンマイ210に蓄積し、切替スイッチ212により、任意のタイミングでギアポンプ110に伝達する。
【0107】
なお、回転体の動力伝達機構以外の構成は、上記実施の形態の冷却システム100と同じなので、ここでは回転体の動力伝達機構についてのみ説明し、他の構成については、上記実施の形態の冷却システム100と同じ符号を付して、その説明は省略する。
【0108】
図13に示すように、回転体112を構成する爪歯車114には、出力ギア214が連結されている。一方、ギアポンプ110の駆動軸には、入力ギア216が連結されている。
【0109】
上記切替スイッチ212は、筐体12の外装面上(たとえば、上面)に設けられており、「ON位置」と「OFF位置」との間をスライド自在に設けられている。この切替スイッチ212には、支柱218が一体的に連結されている。そして、この支柱218には、切替ギア220が回転自在に支持されている。
【0110】
切替ギア220は、図14(b)に示すように、切替スイッチ212をON位置に移動させると、入力ギア216に噛み合わされる。また、図14(a)に示すように、切替スイッチ212をOFF位置に移動させると、出力ギア214に噛み合わされる。
【0111】
ゼンマイ210は、一端が、この切替ギア220の回転軸に固定されており、他端が、支柱218に設けられた支持部218Aに固定されている。
【0112】
以上のように構成された冷却システムによれば、筐体12を傾斜させると、ウェイト120の作用によって、回転体112が一方向に回転する。
【0113】
ここで、図14(a)に示すように、切替スイッチ212がOFF位置に位置している場合、すなわち、切替ギア220が出力ギア214に噛み合わせされている場合、回転体112が回転すると、その回転動力が出力ギア214を介して切替ギア220に伝達される。この切替ギア220に伝達された回転動力は、切替ギア220に連結されたゼンマイ210に蓄積される。
【0114】
このように、切替スイッチ212をOFF位置に位置させた状態、すなわち、切替ギア220を出力ギア214に噛み合わせた状態で筐体12を傾斜させることにより、ゼンマイ210に回転動力が蓄積される。
【0115】
このように蓄積された回転動力は、図14(b)に示すように、切替スイッチ212をON位置に移動させることにより、ギアポンプ110の駆動軸に放出され、ギアポンプ110が駆動される。すなわち、切替スイッチ212をON位置に移動させると、切替ギア220が入力ギア216に噛み合わされ、ゼンマイ210に蓄積された回転動力が入力ギア216に放出されて、入力ギア216が回転する。そして、この入力ギア216が回転することにより、ギアポンプ110の駆動軸が回転し、ギアポンプ110が駆動される。
【0116】
このように、本実施の形態の冷却システム200によれば、切替スイッチ212のスライド操作によって、任意のタイミングでギアポンプ110を駆動することができる。これにより、必要なときにCCD52を冷却できる。
【0117】
なお、このようなポンプの駆動動力を蓄積する機構は、駆動操作部材で手動式ポンプを駆動するシステムにも適用することができる。
【0118】
図15は、筐体の傾斜によって駆動されるポンプが使用された冷却システムの他の一例を示す構成図である。
【0119】
なお、ポンプ以外の構成は、上記実施の形態の冷却システム100と同じなので、ここでは、ポンプ構成についてのみ説明し、他の構成については、上記実施の形態の冷却システム100と同じ符号を付して、その説明は省略する。
【0120】
同図に示すように、この冷却システム300のポンプ310は、主として、筐体内部に設置されたシリンダ312と、そのシリンダ312内を往復動自在に設けられたピストン314と、第1逆止弁316Aと、第2逆止弁316Bとで構成されている。
【0121】
シリンダ312は、筒状に形成されており、図示しない筐体内のフレームに固定されて、筐体に対して水平に設置されている(筐体を水平面上に置いたとき、水平になるように設置されている)。このシリンダ312の一端には吸込口312Aが形成されており、他端には吐出口312Bが形成されている。
【0122】
ピストン314は、円柱状に形成されており、シリンダ312内を往復動自在に設けられている。このピストン314の中央には、軸線に沿って流路318が形成されており、この流路318に第1逆止弁316Aが設けられている。
【0123】
第2逆止弁316Bは、シリンダ312の吐出口312Bに接続されており、第1逆止弁316Aと向きを合わせて設置されている。すなわち、冷却液が第1逆止弁316Aから第2逆止弁316Bに向かってのみ流れるように設置されている。
【0124】
以上のように構成されたポンプ310によれば、図16(a)に示すように、たとえば、筐体12を時計回りの方向に回転させて傾斜させると、シリンダ312内のピストン314が、吸込口312Aの方向に移動する。ピストン314が吸込口312Aの方向に移動すると、ピストン内の流路318に設置された第1逆止弁316Aが開き、吸込口312Aを介してシリンダ312内に冷却液が吸い込まれる。これにより、配管54内を冷却液が送液される。
【0125】
一方、このようにしてシリンダ312内に吸い込まれた冷却液は、図16(b)に示すように、筐体12を反時計回りの方向に回転させて傾斜させると、ピストン314に押されて、吐出口312Bから吐き出される。すなわち、筐体12を反時計回りの方向に回転させて傾斜させると、シリンダ312内のピストン314が、吐出口312Bの方向に移動する。そして、ピストン内の流路318に設置された第1逆止弁316Aが閉じるとともに、吐出口312Bに接続された第2逆止弁316Bが開き、ピストン314に押されて、シリンダ312内の冷却液が、吐出口312Bから吐き出される。これにより、配管54内を冷却液が送液される。
【0126】
このように、筐体12を傾斜させることにより、シリンダ312内をピストン314が移動し、自動で冷却液が送液される。
【0127】
なお、本例では、シリンダ312を筐体12に対して水平に設置しているが、シリンダ312の設置角度は、これに限定されるものではない。ただし、本例のように、筐体12に対してシリンダ312を水平に設置することにより、少しの傾斜でポンプ310を動作させることができ、効率よくポンプ310を可動させることができる。
【0128】
なお、上記実施の形態では、CCDを冷却する場合について説明したが、他の電子部品等を冷却することもできる。たとえば、CCDに加えてプロセッサを冷却するように構成することもできる。この場合、CCDに加えてプロセッサを通るように配管を配設する。また、CCDは冷却せず、プロセッサのみを冷却するように構成することもできる。この場合、プロセッサと放熱板を通るように配管を配設する。このように、冷却する部品は任意に設定でき、その部品を通るように配管を配設すればよい。
【0129】
また、上記実施の形態では、CCDから奪った熱を放熱板56で放熱するように構成しているが、放熱部の構成は、これに限定されるものではない。たとえば、筐体の外装面上(たとえば、底面や裏面等)に流路を形成し、この流路に冷却液を循環供給させて、CCD等の発熱源から奪った熱を放熱するようにしてもよい。
【0130】
また、図17に示すように、バッテリ90の近傍、より好ましくはバッテリ90に接するように、放熱板56を配置し、CCD等の発熱源から奪った熱をバッテリ90に排熱するようにしてもよい。これにより、低温時、CCD等の熱源から奪った熱でバッテリ90を温めることができ、バッテリ90の持ちをよくすることができる。
【0131】
なお、バッテリ90の近傍に放熱板56を設置するのではなく、バッテリ90を収納するバッテリ収納室に冷却液の流路を形成し、この流路に冷却液を流して、バッテリ90に熱を逃がすようにしてもよい。
【0132】
なお、バッテリ自体も熱源となることから、バッテリ90に熱を逃がす場合は、図18に示すように、バッテリ90に接するように第1放熱板56Aを設置するとともに、その後段位置に第2放熱板56Bを設置することが好ましい。これにより、バッテリ90の温度が上昇した場合、そのバッテリ90で発生した熱を第1放熱板56Aで奪うことができ、その奪った熱を第2放熱板56Bで放熱することができる。
【0133】
なお、図19に示すように、バッテリ90を回避するようにバイパス配管54Cを配設し、三方バルブ92によって冷却液の流れを選択的に変えられるようにしてもよい。すなわち、三方バルブ92によって、バッテリ90を通るように冷却液を流す場合(図中矢印A方向)と、バッテリ90を回避するように冷却液を流す場合(図中矢印B方向)とを切り替えられるようにする。
【0134】
これにより、バッテリ90の温度が低い場合は、バッテリ90を通るように冷却液を流し、バッテリ90の温度が上がってきた場合は、バッテリ90を回避するように冷却液を流すことができる。
【0135】
なお、三方バルブ92の動作は、手動で行うようにしてもよいし、自動で行うようにしてもよい。
【0136】
手動で行う場合は、たとえば、筐体12の外装面上に切替スイッチ等を設け、この切替スイッチからの入力に基づいて三方バルブ92の駆動を制御し、流れの向きを切り替えるように構成する。
【0137】
一方、自動で行う場合は、バッテリ90の温度を検出する温度センサを設け、この温度センサの出力に応じて制御手段(たとえば、カメラ全体の動作を統括制御するCPU等)で三方バルブ92の駆動を制御する。すなわち、温度センサで検出されるバッテリ90の温度が、あらかじめ設定された温度以下になると、制御手段は、バッテリ90に冷却液が流れるように(図中矢印A方向に流れるように)、三方バルブ92を制御する。一方、温度センサで検出されるバッテリ90の温度が、あらかじめ設定された温度を超えると、制御手段は、バッテリ90を回避して冷却液が流れるように(図中矢印B方向に流れるように)、三方バルブ92を制御する。これにより、バッテリ90の温度が低い場合は、バッテリ90を通るように冷却液を自動で流し、バッテリ90の温度が高い場合は、バッテリ90を回避するように冷却液を自動で流すことができる。
【0138】
この他、形状記憶合金やバイメタルを用いて三方バルブ92の動作を制御し、冷却液の流れの向きを自動で切り替えるようにしてもよい。すなわち、たとえば、形状記憶合金やバイメタルによって三方バルブ92の流れの向きが温度に応じて自動的に切り替わるように構成する(あらかじめ設定された温度以下になると、バッテリ90に冷却液が流れ、あらかじめ設定された温度を超えると、バッテリ90を回避して冷却液が流れるように構成する)。そして、この三方バルブ92をバッテリ90の近傍、より好ましくは、バッテリ90に接するように設置する。これにより、温度に応じて三方バルブ92の流れの向きが自動的に切り替えられる。すなわち、あらかじめ設定された温度以下になると、バッテリ90に冷却液が流れ、あらかじめ設定された温度を超えると、バッテリ90を回避して冷却液が流れるように三方バルブ92が動作する。この場合、三方バルブ92の駆動にも電力を消費せずに済む。
【0139】
なお、上記一連の実施の形態では、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例に説明したが、本発明の適用はこれに限定されるものではない。筐体内部に発熱源(たとえば、撮像素子やプロセッサ等)を有する携帯電子機器であれば、全てに適用することができる。たとえば、携帯電話機(カメラ付きを含む)やビデオカメラ、PDA、ノートパソコン等にも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】デジタルカメラの外観構成を示す正面斜視図
【図2】デジタルカメラの外観構成を示す背面斜視図
【図3】冷却システムの構成図
【図4】手動式ポンプの動作説明図
【図5】駆動操作部材の他の一例を示す構成図
【図6】手動式ポンプの他の一例を示す構成図
【図7】図6に示す手動式ポンプの動作説明図
【図8】図6に示す手動式ポンプの動作説明図
【図9】手動式ポンプの他の一例を示す構成図
【図10】シャッタボタンがポンプ押しボタンを兼用した場合の構成図
【図11】図10に示すシャッタボタンの動作説明図
【図12】冷却システムの他の実施の形態の構成図
【図13】任意のタイミングで冷却液の送液を行うための冷却システムの構成図
【図14】図13に示す冷却システムの動作説明図
【図15】冷却システムの他の一例を示す構成図
【図16】図15に示す冷却システムの動作説明図
【図17】冷却システムの他の一例を示す構成図
【図18】冷却システムの他の一例を示す構成図
【図19】冷却システムの他の一例を示す構成図
【符号の説明】
【0141】
10…デジタルカメラ、12…筐体、14…グリップ、14A…押圧部、16…撮影レンズ、18…ストロボ、20…ファインダ窓、22…シャッタボタン、24…ポンプ押しボタン、24A…レバー、24B…ダイヤル、26…モニタ、28…ファインダ接眼部、30…電源/モードスイッチ、32…マクロボタン、34…ズームレバー、36…ストロボボタン、38…フォトモードボタン、40…MENU/OKボタン、42…BACKボタン、50…冷却システム、52…CCD、54…配管、54A、54B…流路、56…放熱板、56A…第1放熱板、56B…第2放熱板、60…手動式ポンプ、62…シリンダ、62A…吸込口、62B…吐出口、64…ピストン、66A…第1逆止弁、66B…第2逆止弁、70…手動式ポンプ、72…圧力室、72A…吸込口、72B…吐出口、80…ギアポンプ、82…ギア列、90…バッテリ、100…冷却システム、110…ポンプ、112…回転体、114…爪歯車、116…板バネ、118…アーム、120…ウェイト、200…冷却システム、210…ゼンマイ、212…切替スイッチ、214…出力ギア、216…入力ギア、218…支柱、218A…支持部、220…切替ギア、300…冷却システム、310…ポンプ、312…シリンダ、314…ピストン、316A…第1逆止弁、316B…第2逆止弁、318…流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な筐体を有し、該筐体内の発熱源を通るように配設された循環流路に冷却液が循環供給されて、前記発熱源が冷却される携帯電子機器において、
前記循環流路に冷却液を循環供給する手動式のポンプと、
前記筐体の外装面上に設けられ、前記ポンプを駆動する駆動操作部材と、
を備えたことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記ポンプは、
前記筐体に内蔵されたシリンダと、
前記シリンダに設けられた吸込口と、
前記シリンダに設けられた吐出口と、
前記シリンダ内を往復動するピストンと、
前記吸込口に連結された第1逆止弁と、
前記吐出口に連結された第2逆止弁と、
からなり、前記駆動操作部材で前記ピストンを往復動させて前記循環流路に前記冷却液を循環させることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記携帯電子機器がデジタルカメラであって、シャッタボタンが前記駆動操作部材を兼用することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
携帯可能な筐体を有し、該筐体内の発熱源を通るように配設された循環流路に冷却液が循環供給されて、前記発熱源が冷却される携帯電子機器において、
前記ポンプは、
前記筐体の外装面上に弾性体によって弾性変形可能に形成された押圧部と、
前記押圧部の内側に形成され、前記押圧部が押圧されることにより容積が変動する圧力室と、
前記圧力室に設けられた吸込口と、
前記圧力室に設けられた吐出口と、
前記吸込口に連結された第1逆止弁と、
前記吐出口に連結された第2逆止弁と、
からなり、前記押圧部を押圧操作することにより、前記圧力室の容積を変動させて前記循環流路に前記冷却液を循環させることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項5】
前記押圧部が、前記筐体に設けられたグリップに形成され、該グリップを把持する指によって押圧操作されることを特徴とする請求項4に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
携帯可能な筐体を有し、該筐体内の発熱源を通るように配設された循環流路に冷却液が循環供給されて、前記発熱源が冷却される携帯電子機器において、
前記ポンプは、
前記筐体に内蔵されたシリンダと、
前記シリンダの一端に設けられた吸込口と、
前記シリンダの他端に設けられた吐出口と、
前記シリンダ内を往復動するピストンと、
前記ピストンの両端を貫通して形成された流路と、
前記流路に設けられた第1逆止弁と、
前記吐出口に連結された第2逆止弁と、
からなり、前記筐体の傾斜で前記ピストンを往復動させて前記循環流路に前記冷却液を循環させることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項7】
前記シリンダが、前記筐体に対して水平に設置されることを特徴とする請求項6に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
携帯可能な筐体を有し、該筐体内の発熱源を通るように配設された循環流路に冷却液が循環供給されて、前記発熱源が冷却される携帯電子機器において、
前記ポンプを構成するギアポンプと、
回転中心に対して偏心した位置に重心を有し、前記筐体の傾斜によって回転する回転体と、
前記回転体の回転を前記ギアポンプに伝達する動力伝達手段と、
を備えたことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項9】
携帯可能な筐体を有し、該筐体内の発熱源を通るように配設された循環流路に冷却液が循環供給されて、前記発熱源が冷却される携帯電子機器において、
前記ポンプを構成するギアポンプと、
回転中心に対して偏心した位置に重心を有し、前記筐体の傾斜によって回転する回転体と、
回転動力を蓄積、放出する回転動力蓄積手段と、
前記回転体と前記ギアポンプのいずれか一方に選択的に接続され、前記回転体に接続されると、該回転体の回転を前記回転動力蓄積手段に伝達する一方、前記ギアポンプに接続されると、前記回転動力蓄積手段に蓄積された回転動力を前記ギアポンプに伝達する動力伝達手段と、
を備えたことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項10】
前記循環流路がバッテリを通ることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の携帯電子機器。
【請求項11】
前記バッテリを回避するバイパス流路と、
前記バッテリの温度が規定値以上になると、前記冷却液の流れを前記バイパス流路に切り替える切替手段と、
を備えたことを特徴とする請求項10に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−306053(P2007−306053A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129376(P2006−129376)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】