説明

携帯電話機

【課題】 着信メロディの再生とともに、作曲者名等の表示も行うことができる携帯電話機を提供する。
【解決手段】 携帯電話機のユーザは、ダウンロードセンタへ電話をかけ、望みの楽曲を指定してダウンロードを依頼する。ダウンロードセンタからの楽曲データは、通信部6によって受信され、着信音発生部12のメモリに書き込まれる。そして、着信があると、R/Wコントローラはこの発生指示を受け、メモリから楽曲データを読み出し、その楽音データを音源回路へ出力し、また、その他の表示データを表示制御部19へ出力する。音源回路は楽音データに基づいて着信メロディを形成し出力する。表示制御部19は表示データを表示パネル24に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、好みの着信メロディをダウンロードセンタからダウンロードして使用することができる携帯電話機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、携帯電話機の着信音は「ピーピー」という単調な音であったが、近年、有名な曲のメロディを着信音として使用することが行われつつあり、さらに最近は、この着信メロディを多数記憶させたダウンロードセンタ(コンピュータ)から、電話回線を介して好みの着信メロディを配信してもらって使用することも行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ダウンロードセンタから配信するデータには、単なる楽音データだけでなく、作曲者名、作詞者名、発売元、歌手名等の表示データも含めることができれば、より望ましい。このようなデータが携帯電話機に表示されれば、曲の宣伝になり、CD等の販売も増える可能性がある。しかしながら、従来の携帯電話機は、単に着信メロディを再生する機能しか有しておらず、このため、ダウンロードセンタが作曲者名等を楽音データと共に配信しても表示することができなかった。この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、着信メロディの再生とともに、作曲者名等の表示も行うことができる携帯電話機を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ダウンロードセンタから送信される少なくとも楽音データと表示データとを含む楽曲データを受信する受信手段と、前記受信した楽音データと表示データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された楽音データに基づいて着信音を形成する着信音形成手段と、前記記憶手段に記憶された表示データに基づいて表示を行う表示手段とを具備することを特徴としている。
【0005】また、請求項2に記載の発明は、ダウンロードセンタから送信される楽曲データを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された楽曲データから楽音データ、表示データを各々抽出して出力するコントローラと、前記コントローラから出力された楽音データに基づいて着信音を形成する着信音形成手段と、前記コントローラから出力された表示データに基づいて表示を行う表示手段とを設けたことを特徴とする。また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の携帯電話機において、前記着信音形成手段が、音源信号が記憶された音源メモリと、前記音源メモリ内のデータを前記楽音データに基づいて読み出す読出手段と、前記読出手段によって読み出されたデータをアナログ信号に変換するディジタル/アナログ変換器とを具備することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しこの発明の一実施の形態について説明する。図1は同実施の形態による携帯電話機の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は回路各部を制御するCPU(中央処理装置)、2はCPU1のプログラムが記憶されたROM(リードオンリメモリ)、3はデータ記憶用のRAM(ランダムアクセスメモリ)である。このRAM3はバッテリバックアップがされている。4は電話番号入力用のテンキー、各種ファンクションキー等が設けられた操作部である。
【0007】6はアンテナ7を有する通信部であり、送信データを搬送波に乗せてアンテナ7から送信し、また、アンテナ7を介して着信した着信信号を復調してCPU1または音声処理部8へ出力する。音声処理部8はマイクロフォン9から出力された音声信号をディジタルデータに変換し、さらに圧縮し送信データとして通信部6へ出力し、また、通信部6から出力される音声データをアナログ音声信号に変換し、スピーカ10へ出力する。12は着信音発生部であり、その詳細を図2に示す。この図において、13はインターフェイス回路、14はリード/ライト可能な半導体メモリであり、着信メロディを形成するための楽曲データが書き込まれる。16はメモリ14の書き込み/読み出しを行うR/Wコントローラである。
【0008】ここで、メモリ14に書き込まれる楽曲データについて説明する。図3は同楽曲データの構成を示す図であり、この図において、「ヘッダ」は楽曲データの先頭位置を示すデータである。「楽音データ」は着信音形成のためのデータであり、楽音の音高を示す音高データ、長さを示す音長データ、音色を示す音色データ等から構成される。「著作情報」は、作曲者名、作詞者名等を表示するためのデータ、「歌詞」、「楽譜」は各々歌詞、楽譜を表示のためのデータである。「アニメーション情報」は、その着信音に対応する画像等を表示するためのデータ、「リザーブ領域」とは例えばコマーシャル等の特別情報を表示するためのデータが書き込まれる領域である。
【0009】上述した楽曲データは、CPU1からバスラインおよびインターフェイス回路13を介してR/Wコントローラ16へ供給される。R/Wコントローラ16はその楽曲データをメモリ14に書き込む。そして、CPU1から着信音発生指令を受けて、メモリ14から上述した楽曲データを読み出し、その内の楽音データを音源回路17へ出力し、また、それ以外の表示用のデータを端子18を介して表示制御部19へ出力する。音源回路17は、内部に楽音波形を記憶した波形メモリを有し、R/Wコントローラ16から出力される音高データに応じた速度で波形メモリ内のデータを読み出し、DAC(ディジタル/アナログ変換器)22へ出力する。この場合、音色データによって波形種類が選択され、音長データによって楽音の持続時間が決められる。DAC22は音源回路から出力されたデータをアナログ楽音信号に変換し、スピーカ23へ出力する。これにより、スピーカ23から着信メロディが発生する。
【0010】表示制御部19(図1)は、CPU1から供給される表示データまたは上述した着信音発生部12から供給される表示データを一旦内部の画像メモリに記憶させ、そして、液晶による表示パネル24に表示させる。
【0011】次に、上述した携帯電話機の動作を説明する。まず、携帯電話機のユーザは、着信メロディの配信を行うダウンロードセンタへ電話をかけ、望みの楽曲を指定してダウンロードを依頼する。ダウンロードセンタは、その依頼を受け、図3に示すフォーマットの楽曲データをユーザの携帯電話機へ送信する。その楽曲データは、アンテナ7を介して通信部6によって受信され、CPU1へ出力される。CPU1は通信部6から出力された楽曲データを一旦RAM3に書き込み、次いで着信音発生部12へ出力する。着信音発生部12のR/Wコントローラ16は供給された楽曲データをメモリ14に書き込む。
【0012】次に、通常の着信があると、アンテナ7を介して受信した着信信号を通信部6が復調し、これにより得られた着信データをCPU1へ出力する。CPU1はこの着信データを受け、発信元の電話番号をRAM3に記憶させると共に、着信音発生部12へ発生指示を出力する。この発生指示はインターフェイス回路13を介してR/Wコントローラ16へ供給される。R/Wコントローラ16はこの発生指示を受け、メモリ14から楽曲データを読み出し、その楽音データを音源回路17へ出力し、また、その他の表示データを表示制御部19へ出力する。
【0013】楽音データが音源回路17へ供給されると、スピーカ23から着信メロディが発生する。また、表示データが表示制御部19へ供給されると、表示制御部19が表示データの先頭の著作情報(図3)を表示パネル24に表示させる。図4(ハ)および(ニ)に著作情報の表示の一例を示す。ユーザがこの著作情報を見た後、受信ボタンを押すと、CPU1がこれを検知し、まず、着信音停止指令を着信音発生部12へ出力する。この着信音停止指令はインターフェイス回路13を介してR/Wコントローラ16へ供給される。R/Wコントローラ16はこの指令を受け、音源回路17へ着信音停止を指示する。これにより、着信メロディが停止する。なお、この場合、表示パネル24の表示は変化しない。次に、CPU1は、音声処理部8および通信部6へ回線接続指示を出力する。以後、発信元と回線が接続され、マイクロフォン9の音声信号が発信元へ送信され、また、発信元からの音声データに基づく音声がスピーカ10から発音される。
【0014】次に、ユーザが表示変更を指示する操作部4のキー操作を行うと、CPU1がこれを検知し、表示変更指示を表示制御部19へ出力する。表示制御部19はこの指示を受け、次の歌詞データを表示パネル24に出力する。これにより、図4(ロ)に示す歌詞が表示パネル24に表示される。そして、ユーザが操作部4のスクロールボタンを押すと、歌詞表示がスクロールされる。次に、ユーザが再び表示変更を指示するキー操作を行うと、表示制御部19が次の楽譜データを表示パネル24に出力する。これにより、図4(イ)に示す楽譜が表示パネル24に表示され、ユーザが操作部4のスクロールボタンを押すと、楽譜表示がスクロールされる。以下、同様にして、ユーザがキー操作を行う毎にアニメーション情報(図4(ホ)参照)、リザーブ領域の情報が表示される。なお、上述したアニメーション情報の表示において、Javaを使用し、アニメーション人形が着信メロディに合わせて踊るようにしてもよい。以上が着信時の動作および楽曲データ表示の動作である。なお、着信メロディの発生および表示データの表示は着信に連動しての発生に限定されない。例えば、着信メロディを購入する際、内容確認のため着信メロディを発生したり、表示データを表示するようにしてもよい。また、好みの時にユーザ操作により着信メロディを発生したり、表示データを表示できるようにしてもよい。なお、発信時の動作は従来の携帯電話機と同様であり、その説明を省略する。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、ダウンロードセンタから配信された楽曲データから楽音データ、表示データを各々抽出して出力するコントローラと、このコントローラから出力された楽音データに基づいて着信音を形成する着信音形成手段と、コントローラから出力された表示データに基づいて表示を行う表示手段とを設けたので、着信メロディと同時に着信画像をも表示することができ、これにより、画面表示が楽しくなると共に、作曲者等にとっては、曲の宣伝ができる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】 同実施形態における着信音発生部12の構成を示すブロック図である。
【図3】 ダウンロードセンタから配信される楽曲データのフォーマットを示す図である。
【図4】 同実施形態における表示パネル24の表示例を示す図である。
【符号の説明】
1…CPU、2…ROM、3…RAM、4…操作部、6…通信部、8…音声処理部、12…着信音発生部、14…メモリ、16…R/Wコントローラ、17…音源回路、19…表示制御部、22…DAC。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ダウンロードセンタから送信される少なくとも楽音データと表示データとを含む楽曲データを受信する受信手段と、前記受信した楽音データと表示データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された楽音データに基づいて着信音を形成する着信音形成手段と、前記記憶手段に記憶された表示データに基づいて表示を行う表示手段と、を具備してなる携帯電話機。
【請求項2】 ダウンロードセンタから送信される楽曲データを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された楽曲データから楽音データ、表示データを各々抽出して出力するコントローラと、前記コントローラから出力された楽音データに基づいて着信音を形成する着信音形成手段と、前記コントローラから出力された表示データに基づいて表示を行う表示手段と、を具備してなる携帯電話機。
【請求項3】 前記着信音形成手段は、音源信号が記憶された音源メモリと、前記音源メモリ内のデータを前記楽音データに基づいて読み出す読出手段と、前記読出手段によって読み出されたデータをアナログ信号に変換するディジタル/アナログ変換器とを具備することを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2001−186223(P2001−186223A)
【公開日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−368482
【出願日】平成11年12月24日(1999.12.24)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】