説明

携帯電話端末およびスピーカユニット

【課題】 機種ごとに異なるスピーカの選択とその配置による外部出力音の違いを軽減した携帯電話端末を提供する。
【解決手段】 携帯電話端末100は、音源データを再生する音源部102を備え、入力端子を備えたスピーカユニットが装着される。携帯電話端末100の出力端子101は、音源部102に接続されている。携帯電話端末100の筐体は、スピーカユニットを装着すると、スピーカユニットの入力端子と携帯電話端末100の出力端子101とが接続される形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカをユニット化して着脱可能とした携帯電話端末およびそれに用いられるスピーカユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話端末のスピーカは、その筺体内に固定されており、スピーカの位置、大きさ、デザインなどは、機種毎に異なったものとなっている。
例えば、特許文献1では、折り畳み式携帯電話端末において、音響効果を増すために、前面と背面にスピーカを配置し、携帯電話端末を開いた状態では、前面と背面で別々のチャンネルを出力し、閉じた状態では合成したチャンネルを背面からのみ出力するといったように、使用するスピーカの組み合わせを変更するなどの工夫をしている。
【特許文献1】特開2004−96573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来の携帯電話端末にあっては、出力される音がスピーカとその配置により左右されるため、音がよく出る機種と、あまり出ない機種との間で出力音の差異が大きいという問題がある。また、ユーザは、自分の好みのスピーカ配置を選ぶことができないという問題がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、スピーカとその配置による外部出力音の違いを軽減した携帯電話端末および着脱可能なスピーカユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、入力端子を備えたスピーカユニットが装着され、音楽データを再生し、楽音信号を出力する音源部を備えた携帯電話端末において、前記音源部の出力端に接続された出力端子と、前記スピーカユニットが着脱可能であり、前記スピーカユニットを装着すると、前記入力端子と前記出力端子とが接続される筐体とを備えることを特徴とする携帯電話端末である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯電話端末であって、前記装着したスピーカユニットから、スピーカの情報を受信する情報受信手段を備え、前記音源部は、音楽データを再生し、出力する楽音信号を、前記受信したスピーカの情報に応じて変更することを特徴とする。
【0006】
また、請求項3に記載の発明は、スピーカと、前記スピーカの入力端に接続された入力端子と、請求項1に記載の携帯電話端末に着脱可能であり、前記携帯電話端末に装着すると、前記入力端子と前記携帯電話端末に設けられた出力端子とが接続される筐体とを備えることを特徴としたスピーカユニットである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のスピーカユニットであって、前記装着した携帯電話端末へ、前記スピーカの情報を送信する情報送信手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、携帯電話端末にスピーカユニットを装着する出力端子を備えることで、スピーカユニットを標準化して、外部出力音の機種毎の差異をなくすことができる。また、スピーカユニットは、携帯電話端末の形状に左右されずにスピーカのチャンネル数、位置、形を決めることができ、ユーザは、好みのスピーカユニットを選んで、自身の携帯電話端末に装着することができる。一方、携帯電話端末向けのサウンドを提供する側は、携帯電話端末の機種ではなく、対象とするスピーカユニットを絞ることで、着信音、ゲームサウンド、3Dサウンドなどをチューニングしやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態による携帯電話端末100の構成を示す概略ブロック図であり、この携帯電話端末100は、一つの筐体に収められる。図2は、同実施形態における携帯電話端末に装着するスピーカユニットの構成を示す概略ブロック図である。101は、スピーカユニット200を接続する出力端子。102は、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データを再生するFM(Frequency Modulation)音源あるいはWT(Wave Table)音源などの音源部である。音源部102は、MP3(MPEG Audio Layer−3)やADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)のオーディオデータを再生するデコーダであってもよい。103は、通話時の音声処理を行う音声処理部である。
【0009】
104は、通話時に音声を出力するスピーカである。105は、通話時に音声を入力するマイクである。106は、携帯電話基地局との通信を行う通信部である。107は、携帯電話端末100の制御を行うCPU(Central Processing Unit)である。108は、液晶ディスプレイなどの表示部である。109は、CPU107にて実行されるプログラムおよびデータを格納しているROM(Read Only Memory)である。110は、RAM(Random Access Memory)である。111は、数字キーなどの操作キー部である。112は、CPU107と各ブロックを接続するバスである。
200は、携帯電話端末100とは独立した筺体に収められたスピーカユニットであり、スピーカユニット200を携帯電話端末100に装着すると出力端子101と接続される入力端子201と、スピーカ202および203からなる。
【0010】
次に、この携帯電話端末100に、3Dサウンドをダウンロードして、該3Dサウンドを再生させる際の動作を説明する。まず、携帯電話端末100の筐体にスピーカユニット200の筐体を装着すると、出力端子101と入力端子201が接続される。この状態で、ユーザが操作キー部111を操作して、3Dサウンドのダウンロードを指示する。すると、これを受けて、CPU107が、バス112を介して、通信部106に3Dサウンドのダウンロードを指示する。通信部106は、CPU107から指示を受けると、携帯電話基地局を介して、3Dサウンドのデータをダウンロードし、バス112を介して、RAM110に格納する。
【0011】
ユーザが操作キー部111を操作して、ダウンロードした3Dサウンドの再生を指示すると、これを受けて、CPU107が、バス112を介して、RAM110より3Dサウンドのデータを読み出す。CPU107は、読み出した3Dサウンドのデータを、バス112を介して、音源部102に出力する。音源部102は、3Dサウンドのデータを受けると、これを再生して、楽音信号を出力端子101より出力する。出力端子101には、スピーカユニット200の入力端子201が接続されているので、これらの端子を介して、音源部102の出力した楽音信号は、スピーカ202、203に入力される。スピーカ202、203は、楽音信号を入力されると、鳴動して、楽音を発生する。
携帯電話端末100とスピーカユニット200との装着部分の形状と、携帯電話端末100の出力端子101と、スピーカユニット200の入力端子201とを標準化することで、図3に示すように異機種の携帯電話端末300、301の間で共通に、スピーカユニット302、303、304を目的に応じて付け替えて使用することができる。
【0012】
なお、スピーカユニットの形態としては、使用形態に応じて、次の(a)から(e)に挙げるような形態であってもよい。以下の(a)〜(e)は、それぞれ図4の(a)〜(e)に対応する。
(a)3Dサウンドスピーカユニット
3Dサウンド効果がわかりやすいスピーカユニットであり、口径が縦25mm、横8mm程度の楕円形のスピーカを、ユニットの側面に配置する。
(b)5.1チャンネルスピーカユニット
映画などを楽しむためのスピーカユニットであり、複数スピーカをユニット上に並べて、5.1チャンネルサラウンドを実現する。
(c)重低音スピーカユニット
ラジカセのように携帯電話端末の音楽を複数人で楽しむためのユニットであり、口径が40〜80mm、周波数特性が150〜20KHz、出力が2W程度のスピーカを配置する。スピーカユニットが、携帯電話端末の筺体より大きくなるため、装着した状態で持ち歩くには不向きである。
【0013】
(d)デコレーションスピーカユニット
発光LEDを埋め込んで、スピーカの発音と同期して光るビジュアルスピーカユニットである。スピーカは、口径が20mm、出力が300mW程度の通常の携帯電話端末用のスピーカを用いる。LEDを駆動させる信号は、携帯電話端末の音源102にて生成して出力端子101よりスピーカユニットへ送る。LEDの駆動信号は、音源102にて生成された楽音信号からある特定の帯域の成分を抽出し、その抽出した信号を直接駆動信号として出力してもよい。あるいは、楽音信号が、シーケンスデータから作られる場合は、シーケンスデータの特定パートのON、特定ノートのONなどのタイミングで駆動信号をONとするとしてもよい。
(e)テレビ電話用スピーカユニット
携帯電話端末をテレビ電話として使用する際に、相手の声を聞き取りやすくするスピーカユニットである。周波数特性が、200〜12KHz程度のスピーカを使用する。
【0014】
なお、スピーカユニット200が装着されたときに、スピーカユニット200から別の端子を介して携帯電話端末100にスピーカの情報が送られるようにしてもよい。つまり、スピーカユニットの種類(前述のスピーカユニットの形態(a)〜(e)の何れであるか)、またはスピーカの数、位置、特性などの具体的な情報を携帯電話端末100に送信し、携帯電話端末100ではその情報に応じて出力する音の周波数特性や3Dサウンド効果の特性を変化させる。例えば、重低音スピーカユニットが装着された場合、そのスピーカの情報が端子を介してCPU107に送られ、CPU107はその情報に応じて音源部102に高音側を強調するように指示する。また、例えば、3Dサウンドスピーカユニットが装着された場合、そのスピーカの情報が端子を介してCPU107に送られ、CPU107はその情報に応じて再生する3D楽曲データに含まれている仮想音源の位置を示すパラメータを、仮想音源位置が広範囲になるように変更して音源部102に出力する。このようにすることで、装着されたスピーカユニットの特性に合わせて再生音を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施形態による携帯電話端末の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】同実施形態におけるスピーカユニットの構成を示す概略ブロック図である。
【図3】同実施形態におけるスピーカユニットの使用方法を説明する図である。
【図4】同実施形態におけるスピーカユニットの形態例を説明する図である。
【符号の説明】
【0016】
100…携帯電話端末、101…出力端子、102…音源部、103…音声処理部、104…スピーカ、105…マイク、106…通信部、107…CPU、108…表示部、109…ROM、110…RAM、111…操作キー部、112…バス、200…スピーカユニット、201…入力端子、202…スピーカ、203…スピーカ、300…携帯電話端末、301…携帯電話端末、302…スピーカユニット、303…スピーカユニット、304…スピーカユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子を備えたスピーカユニットが装着され、音楽データを再生し、楽音信号を出力する音源部を備えた携帯電話端末において、
前記音源部の出力端に接続された出力端子と、
前記スピーカユニットが着脱可能であり、前記スピーカユニットを装着すると、前記入力端子と前記出力端子とが接続される筐体と
を備えることを特徴とする携帯電話端末。
【請求項2】
前記装着したスピーカユニットから、スピーカの情報を受信する情報受信手段を備え、
前記音源部は、音楽データを再生し、出力する楽音信号を、前記受信したスピーカの情報に応じて変更すること
を特徴とする請求項1に記載の携帯電話端末。
【請求項3】
スピーカと、
前記スピーカの入力端に接続された入力端子と、
請求項1に記載の携帯電話端末に着脱可能であり、前記携帯電話端末に装着すると、前記入力端子と前記携帯電話端末に設けられた出力端子とが接続される筐体と
を備えることを特徴とするスピーカユニット。
【請求項4】
前記装着した携帯電話端末へ、前記スピーカの情報を送信する情報送信手段を備えることを特徴とする請求項3に記載のスピーカユニット。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−110294(P2007−110294A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297341(P2005−297341)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】