説明

携帯電話端末およびメールの表示方法

【課題】 メールの内容を容易に見ることができるとともに、全ての内容を確実に確認することが可能な携帯電話端末およびメール表示方法を提供する。
【解決手段】 待ち受け時にメールを受信すると、予め設定された着信音や振動で通知するとともに、ディスプレイ27aの一部、たとえば画面の最下部のメール表示領域に着信したメールの内容を順次バナー表示する。ユーザがメールの一部を見逃してしまった場合は、操作キー24aのうちのFキーを押すという操作を行うことで既に表示した部分が再度表示される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メールの送受信機能を有する携帯電話端末およびメール表示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、メールの送受信機能を有する携帯電話の場合、待ち受け状態でメールを受信すると、メモリに記憶するとともにユーザに対してメール着信の通知がなされる。ユーザは、メールの表示モードあるいはメーラーを起動させてディスプレイにメール一覧を表示させ、メール一覧中から表示させたいメールを指定することでメールの内容が表示されるようになっている。このように表示して読まれたメールは既読メールとなり、メール一覧では既読の表示(アイコンである場合もある)がなされる。
【0003】従来の携帯電話の待ち受け状態ではメールを受信したことが分かるのみで、メールの表示モードあるいはメーラーを起動させるなどの操作を行わないとメールの内容を見ることはできない。そこで、メールを表示させる操作を行わなくても受信したメールの内容を見る方法として、たとえば、特開平10−269154号公報記載の電子メールの着信通知方式によれば、電子メールの受信時に、あらかじめ設定された条件に基づいて受信メールを検索し、条件に合致した場合には必要な情報をテロップとして画面上に表示する。
【0004】特開平11−155111号公報記載のデジタル衛星放送受信装置は、デジタル衛星放送に重畳されて送信される個人メールなどのデジタル情報を画面の所定位置にテロップ表示する。
【0005】特開2000−165772号公報記載のテレビジョン受像機は、受信した電子メールの概要をテレビジョン画像にスーパーインポーズして表示する。
【0006】特開2000−278751号公報記載の携帯通信端末は、メール表示領域を表示しているときに、所定のキーを入力することでスクロールすることなくメール作成領域を表示する。
【0007】特開2001−8184号公報記載のデジタル放送のメール表示方法は、受信したデジタル信号から分離したメール情報を、映像信号に重畳させて画面の一部に表示する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術では、自動的に受信したメールの内容表示が開始するため、最初に表示された部分を見逃す場合があり、メールの内容を全て見るには最初の部分の表示が再度巡ってくるまで待つ必要がある。
【0009】また、内容を全て見たメールを既読メールとしたい場合は、メールの表示モードあるいはメーラーを起動させてメール一覧画面を表示させなければならず、逆に自動的に表示したメールを自動で既読メールとしてしまうと、見逃したメールまで既読メールとなってしまうという問題がある。
【0010】本発明の目的は、メールの内容を容易に見ることができるとともに、全ての内容を確実に確認することが可能な携帯電話端末およびメールの表示方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、メールの送受信機能を有する携帯電話端末において、表示画面の一部にメールの内容を表示するメール表示領域を有するディスプレイと、待ち受け時に、受信したメールの内容を前記メール表示領域に文頭から順次表示し、所定の操作が行われると、既に表示したメールの内容を再度表示するメール表示手段とを有することを特徴とする携帯電話端末である。
【0012】本発明に従えば、待ち受け時に、受信したメールの内容をメール表示領域に順次表示し、所定の操作が行われると、既に表示したメールの内容を再度表示するので、メールの内容を容易に見ることができるとともに、次の表示を待つことなく見逃した部分をすぐに表示して全ての内容を確実に確認することができる。
【0013】また本発明は、受信したメールの内容が予め定める条件に一致するか否かを判断する判断手段を有し、前記メール表示手段は、前記判断手段が一致したと判断したときにメールの内容を表示することを特徴とする。
【0014】本発明に従えば、受信したメールの内容が、予め定める条件に一致したと判断したときにメールの内容を表示するので、無駄な表示をせずに、表示させたいメールのみを表示することができる。
【0015】また本発明は、所定の操作が行われなければ前記メール表示領域に表示されているメールを未読メールのまま変更せず、所定の操作が行われれば未読メールから既読メールに変更する変更手段を有することを特徴とする。
【0016】本発明に従えば、所定の操作が行われなければ前記メール表示領域に表示されているメールを未読メールのまま変更せず、所定の操作が行われれば未読メールから既読メールに変更するので、確実にユーザが内容を確認したメールのみを既読メールとすることができる。
【0017】また本発明は、前記携帯電話端末は折りたたみ式であって、折りたたまれた状態から開かれた状態に変化したとき、前記メール表示手段はメールの内容を文頭から表示することを特徴とする。
【0018】本発明に従えば、折りたたみ式の場合、折りたたまれた状態から開かれた状態に変化したときにメールの内容を文頭から表示するので、折りたたみ式の携帯電話端末であっても、メールの全ての内容を確実に確認することができる。
【0019】また本発明は、メールの送受信機能を有する携帯電話端末のメール表示方法において、待ち受け時に、受信したメールの内容をディスプレイの表示画面の一部であるメール表示領域に文頭から順次表示し、所定の操作が行われると、既に表示したメールの内容を再度表示することを特徴とする携帯電話端末のメール表示方法である。
【0020】本発明に従えば、待ち受け時に、受信したメールの内容をディスプレイの表示画面の一部であるメール表示領域に順次表示し、所定の操作が行われると、既に表示したメールの内容を再度表示するので、メールの内容を容易に見ることができるとともに、次の表示を待つことなく見逃した部分をすぐに表示して全ての内容を確実に確認することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態である携帯電話端末1の外観図である。携帯電話端末1は、第1の筐体11と第2の筐体12とがヒンジで結合された折りたたみ式の携帯電話端末である。第1の筐体11の上部側にはアンテナ21が上方に突出するように設けられ、第1の面15に、マイク25a、スピーカ25bおよびディスプレイ27aが配設されている。第2の筐体12の第2の面16には、通話開始キー、通話終了キー、「0」〜「9」の数字キー、*(アスタリスク)キー、#(シャープ)キー、F(ファンクション)キーなどの各種キーからなる操作キー24aが配設されている。
【0022】ユーザは数字キーおよび通話開始キーで相手の電話番号を入力して発信したり、着信があった場合は、通話開始キーを押して応答する。通話時の音声はマイク25aに入力し、相手の音声はスピーカ25bから出力される。
【0023】ディスプレイ27aは、待ち受け時には設定された待ち受け画面や現在時刻などを表示する。着信時には相手の電話番号を表示し、電話帳に登録されていれば電話番号に加えて相手の名前なども表示する。
【0024】また、第1の筐体11の下端付近には小さな孔23aが形成されており、孔23aの内部にはスイッチが設けられている。第2の筐体12の上端付近には小さな突起23bが設けられており、折りたたまれた状態では突起23bが孔23aに入ってスイッチを押した状態となる。これによって、携帯電話端末1が折りたたまれた状態にあるか開いた状態にあるかを検出することができる。
【0025】待ち受け時にメールを受信した場合は、予め設定された着信音や振動で通知するとともに、ディスプレイ27aの一部、たとえば画面の最下部のメール表示領域に着信したメールの内容を順次バナー表示する。ユーザは、メールを表示させるための操作をすることなくメールの内容を見ることができる。メールの一部を見逃してしまった場合、所定の操作、たとえば操作キー24aのうちのFキーを押すという操作を行うと既に表示した部分が再度表示される。
【0026】メールの内容には、送信者(From)、題名(Subject)およびメール本文が含まれる。メールの内容を表示する場合は、送信者を文頭として題名、メール本分の順に表示し、再度表示する場合もあらためて送信者、題名、メール本分の順に表示する。また、送信者および題名はメール表示領域の一部に常に表示しておき、メール本文の文頭から順次表示させ、再度表示させる場合は、メール本文のみを文頭から表示させるようにしてもよい。
【0027】ディスプレイ27aに自動表示させるメールは、受信した全てのメールであってもよいし、条件を予め定めておき、条件に一致したメールのみを表示させてもよい。条件としては、送信者のアドレス、題名および本文に含まれる文字列(“重要”、“即時”などのキーワード)を設定しておく。
【0028】また、折りたたみ式の携帯電話端末の場合、待ち受け時に折りたたまれた状態では、メールの表示は行えないので、折りたたまれた状態から開かれた状態に変化したときにメールの内容を最初からディスプレイ27aに表示させる。
【0029】なお、メールの未読・既読の変更については、ユーザによって操作キー24aのうち#キーを押すなどの所定の操作が行われると、表示しているメールは既読メールに変更され、表示されてもキー操作が行われなければ、未読メールのまま変更されない。
【0030】従来は、全ての表示が終わって、次の表示が始まるまで見逃した部分を見ることはできなかったが、本発明では、次の表示を待つことなく見逃した部分をすぐに見ることができる。したがって、操作を簡略化してメールの内容を容易に見ることができるとともに、既に表示した部分をすぐに表示することで全ての内容を確実に確認することができる。また、表示されてもユーザが見ていないメールは既読メールにはならない。
【0031】図2は、携帯電話端末1の電気的な構成を示すブロック図である。携帯電話端末1は、アンテナ21、無線部22、開閉検出部23、操作部24、音声入出力部25、記憶部26、表示部27および制御部28を有する。制御部28は、マイクロコンピュータを主体として構成されており、無線部22、開閉検出部23、操作部24、音声入出力部25、表示部27、および記憶部26が接続されている。
【0032】音声入出力部25は、マイク25aおよびスピーカ25bを有し、マイク25aは、音声を入力すると、その音声を音声信号から電気信号に変換して送話信号を生成して音声入出力部25に出力し、音声入出力部25は、マイク25aから送話信号が与えられると、その与えられた送話信号に増幅処理およびA/D(アナログ/デジタル)変換処理など実行し、無線部22に出力する。無線部22は、音声入出力部25から送話信号が与えられると、与えられた送話信号にベースバンド処理および無線処理などを施してアンテナ21から所定の周波数帯域の電波として放射する。
【0033】また、無線部22は、アンテナ21が所定の周波数帯域の電波を捕捉すると、その電波に無線処理およびベースバンド処理などを実行して受話信号を生成し、その受話信号を音声入出力部25に出力する。音声入出力部25は、無線部22から受話信号が与えられると、その与えられた受話信号にD/A(デジタル/アナログ)変換処理および増幅処理などを実行してスピーカ25bに出力する、スピーカ25bは、音声入出力部25から受話信号が与えられると、その与えられた受話信号を電気信号から音声信号に変換して受話音声を生成し、その受話音声を出力する。
【0034】操作部24は、ユーザが操作キー24aによりキー操作を実行したことに応じて、そのキー操作に対応するキー操作検出信号を制御部28に出力し、制御部28は、操作部24からキー操作検出信号が与えられると、その与えられたキー操作検出信号を識別し、識別結果に応じた所定の処理を実行する。表示部27は、制御部28から表示指令信号が与えられると、その与えられた表示指令信号に応じてディスプレイ27aに表示させる。
【0035】記憶部26は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read OnlyMemory)により構成されており、携帯電話端末のプログラム、受信したメールの情報などが所定の格納エリアに記憶される。
【0036】本発明のメール表示手段は、操作部24、操作キー24a、表示部27、ディスプレイ27aおよび制御部28からなり、ディスプレイ27aにメールの内容を表示しているときに、操作キー24aから所定のキー操作が行われると、操作部24がキー操作検出信号を制御部28に出力し、制御部28から表示部27に対して既に表示した部分を再度表示するように表示指令信号が出力される。表示部27は、表示指令信号に応じてメールの内容をディスプレイ27aに再度表示させる。
【0037】判断手段は、記憶部26および制御部28からなり、制御部28はメールを受信すると、記憶部26に記憶されたメールアドレスおよび検索キーなどとメールの内容とを比較し、一致していればディスプレイ27aにメールの内容を表示させる。
【0038】変更手段は、操作部24、操作キー24a、記憶部26および制御部28からなり、メールの表示中に操作キー24aから所定のキー操作が行われると操作部24がキー操作検出信号を制御部28に出力し、制御部28は記憶部26に記憶されている表示中のメールの属性フラグを未読から既読に変更する。キー操作が行われなければ、属性フラグは未読のままで変更しない。
【0039】図3は、携帯電話端末1のメール表示処理を示すフローチャートである。携帯電話端末1は制御部28であるマイクロコントローラによる擬似マルチタスク制御によって動作する。このフローチャートは待ち受け状態におけるメールの表示を処理するタスクであり、制御部28は待ち受け状態において所定の周期でメールのバナー表示を実行する。制御部28に内蔵された時計が所定の周期を計時すると制御部28はメールの表示処理を行う。なお、フローチャートのスタートから終了までを1ターンとする。
【0040】ステップs101においてメールをバナー表示するバナー表示モードが設定されているか否を判断する。設定されていればステップs102に進み、設定されていなければステップs108に進む。ステップs102では、受信したメールの内容とバナー表示の条件とが一致しているか否かを判断する。一致していればステップs103に進み、一致していなければステップs108に進む。ステップs103では、開閉検出部23により携帯電話端末1が開いた状態か否を判断する。開いた状態であればステップs104に進み、開いた状態でなければステップs108に進む。ステップs108では、メールをバナー表示せずに終了する。
【0041】ステップs104では、ユーザによってメールを再表示する操作が行われたか否かを判断する。予め割り振っておいたキーの入力が前回のターン終了後に行われた場合は再表示操作ありとしてステップs110に進む。再表示操作がなければステップs105に進む。ステップs105では、前回のターン終了後、今回のターンまでに携帯電話端末1が閉じた状態から開いた状態に変わったかどうかを判断する。このターンで開かれた場合は、ステップs110に進み、状態が変わっていない場合はステップs106に進む。ステップs110では、既に表示したメールの最初の部分を再度表示する。
【0042】ステップs106では、ユーザによって表示しているメールを既読メールに変更する操作が行われたか否かを判断する。予め割り振っておいたキーの入力が前回のターン終了後に行われた場合はステップs107に進み、行われなければステップs109に進む。ステップs107では、表示しているメールを既読メールに変更し、ステップs109に進む。ステップs109では、表示しているメールを続けて表示する。
【0043】なお、ステップs104、s105、s106の再表示操作の有無、開閉の有無、既読操作の有無は専用のフラグを用意し、当該操作が行われたときにフラグをONにすると良い。
【0044】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、メールの内容を容易に見ることができるとともに、次の表示を待つことなく見逃した部分をすぐに表示して全ての内容を確実に確認することができる。
【0045】また本発明によれば、無駄な表示をせずに、表示させたいメールのみを表示することができる。
【0046】また本発明によれば、確実にユーザが内容を確認したメールのみを既読メールとすることができる。
【0047】また本発明によれば、折りたたみ式の携帯電話端末であっても、メールの全ての内容を確実に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である携帯電話端末1の外観図である。
【図2】携帯電話端末1の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】携帯電話端末1のメール表示処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 携帯電話端末
11 第1の筐体
12 第2の筐体
21 アンテナ
22 無線部
23 開閉検出部
23a 孔
23b 突起部
24 操作部
24a 操作キー
25 音声入出力部
25a マイク
25b スピーカ
26 記憶部
27 表示部
27a ディスプレイ
28 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 メールの送受信機能を有する携帯電話端末において、表示画面の一部にメールの内容を表示するメール表示領域を有するディスプレイと、待ち受け時に、受信したメールの内容を前記メール表示領域に文頭から順次表示し、所定の操作が行われると、既に表示したメールの内容を再度表示するメール表示手段とを有することを特徴とする携帯電話端末。
【請求項2】 受信したメールの内容が予め定める条件に一致するか否かを判断する判断手段を有し、前記メール表示手段は、前記判断手段が一致したと判断したときにメールの内容を表示することを特徴とする請求項1記載の携帯電話端末。
【請求項3】 所定の操作が行われなければ前記メール表示領域に表示されているメールを未読メールのまま変更せず、所定の操作が行われれば未読メールから既読メールに変更する変更手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の携帯電話端末。
【請求項4】 前記携帯電話端末は折りたたみ式であって、折りたたまれた状態から開かれた状態に変化したとき、前記メール表示手段はメールの内容を文頭から表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の携帯電話端末。
【請求項5】 メールの送受信機能を有する携帯電話端末のメール表示方法において、待ち受け時に、受信したメールの内容をディスプレイの表示画面の一部であるメール表示領域に文頭から順次表示し、所定の操作が行われると、既に表示したメールの内容を再度表示することを特徴とする携帯電話端末のメール表示方法。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【公開番号】特開2003−150506(P2003−150506A)
【公開日】平成15年5月23日(2003.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−348676(P2001−348676)
【出願日】平成13年11月14日(2001.11.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】