説明

携帯電話端末及び通信システム

【課題】 本発明は、形状を小型に維持しながらテレビ放送を長時間録画することができる携帯電話端末を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の携帯電話端末は、テレビ放送を受信可能な携帯電話端末において、テレビ放送局からテレビ放送データを受信するTV放送受信部11と、テレビ放送データを記録可能な電話装置に電話回線を介してTV放送受信部11により受信したテレビ放送データを送信する無線通信部13と、電話回線を介して電話装置に記録されたテレビ放送データを該電話装置から受信する無線通信部13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ放送を受信可能な携帯電話端末及び通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のテレビ放送を受信可能な携帯電話端末として、受信したデジタルテレビ放送を録画し、録画したデジタルテレビ放送を再生することができるものが知られている。この携帯電話端末は、デジタルテレビ放送データを受信するチューナと、録画指示時にチューナが出力したデータを記録するデータメモリと、データメモリに記録したデータを再生するよう制御する制御部とを含む構成を有している(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−348510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の携帯電話端末は、テレビ放送を長時間録画できるようにハードディスクなどの大容量の記録装置を設けると、端末本体の形状が大きくなってしまう。このため、携帯電話端末の形状を小型にしながらテレビ放送を長時間録画することは困難であるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記のような従来の問題を解決するためになされたもので、形状を小型に維持しながらテレビ放送を長時間録画することができる携帯電話端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の携帯電話端末は、テレビ放送を受信可能な携帯電話端末であって、テレビ放送局からテレビ放送データを受信する第1の受信手段と、受信したテレビ放送データを電話回線を介してテレビ放送データを記録可能な電話装置に送信する送信手段と、前記電話回線を介して前記電話装置に記録されたテレビ放送データを該電話装置から受信する第2の受信手段とを有している。
【0006】
この構成により、形状を小型に維持しながらテレビ放送を長時間録画することができる。
【0007】
また、本発明の携帯電話端末は、テレビ放送データを記録する記録手段と、前記記録手段の記録可能な残り容量を検出する検出手段と、を備え、前記記録手段が、前記第1の受信手段により受信したテレビ放送データを記録し、前記送信手段が、前記検出手段により検出した残り容量が所定の容量より少ない場合に前記第1の受信手段により受信したテレビ放送データを前記電話装置に送信する構成を有している。
【0008】
この構成により、携帯電話端末は、一定量のテレビ放送データを記憶手段に記憶し、それを越える量のテレビ放送データを通話相手側の電話装置に送信して記憶させるため、通話相手側の電話装置が記憶するテレビ放送データ量を減らして、通話相手側の負担を軽減することができる。
【0009】
また、本発明の携帯電話端末は、前記記録手段が、前記第1の受信手段により受信したテレビ放送データを前記送信手段により送信した後、前記検出手段により検出した残り容量が所定の容量より多くなった場合に前記第2の受信手段により受信したテレビ放送データを記録する構成を有している。
【0010】
この構成により、携帯電話端末は、記憶手段の記憶可能な残り容量に応じて、通話相手側の電話装置からテレビ放送データを受信して記憶手段に記憶し、更に、通話相手側の電話装置は、携帯電話端末に送信済みのテレビ放送データを削除することにより、通話相手側の電話装置が記憶するテレビ放送データ量を減らして、通話相手側の負担を軽減することができる。
【0011】
また、本発明の携帯電話端末は、前記記録手段が、前記電話装置との間で電話回線が接続された時点から前記第1の受信手段により受信したテレビ放送データの記録を開始する構成を有している。
【0012】
この構成により、携帯電話端末は、テレビ放送視聴中に携帯電話端末に着信がある場合、着信があった時点からのテレビ放送の録画を自動的に開始するため、テレビ放送視聴中の着信のためにテレビ放送を見逃すことを防ぐことができる。
【0013】
また、本発明の携帯電話端末は、前記記録手段が、前記第1の受信手段または前記第2の受信手段により受信したテレビ放送データを間引いて記録する構成を有している。
【0014】
この構成により、携帯電話端末は、記憶手段に記憶するテレビ放送データ量を減らすことができる。
【0015】
また、本発明の携帯電話端末は、前記記録手段が、前記第1の受信手段または前記第2の受信手段により受信したテレビ放送データの音声データのみを記録する構成を有している。
【0016】
この構成により、携帯電話端末は、記憶手段に記憶するテレビ放送データ量を減らすことができる。
【0017】
本発明の通信システムは、テレビ放送データを記録可能な携帯電話端末と、テレビ放送データを記録可能な電話装置とからなる通信システムであって、前記電話装置が、前記携帯電話端末との間で接続された電話回線を介して該携帯電話端末から送信されたテレビ放送データを受信する受信手段と、受信したテレビ放送データを記録する記録手段と、前記電話回線を介して前記記録したテレビ放送データを前記携帯電話端末に送信する送信手段とを備えた構成を有している。
【0018】
この構成によれば、携帯端末と通話相手側の電話装置との間で確立された通信回線を利用して、携帯電話端末で受信したテレビ放送データを通話相手側の電話装置に送信し、通話相手側の電話装置に記録させることにより、外部記録装置である通話相手側の電話装置にテレビ放送データを確実に送信することができ、かつ、携帯電話端末に大容量の記録装置を設けることなしにテレビ放送を長時間録画することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、テレビ放送局からテレビ放送データを受信する第1の受信手段と、受信したテレビ放送データを電話回線を介してテレビ放送データを記録可能な電話装置に送信する送信手段と、電話回線を介して電話装置に記録されたテレビ放送データを該電話装置から受信する第2の受信手段とを備えたことにより、形状を小型に維持しながらテレビ放送を長時間録画することができるという効果を有する携帯電話端末及び通信システムを提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の形態の携帯電話端末を図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の実施の形態の携帯電話端末の構成を示すブロック図である。この携帯電話端末は、テレビ放送局からのテレビ放送データを受信するTV放送受信部(特許請求の範囲の第1の受信手段に該当)11、受信したデータを処理する画像処理装置12、受信したテレビ放送データを外部の電話装置と電話回線を介して送受信する無線通信部(特許請求の範囲の送信手段)13、受信したテレビ放送データを記録するメモリ(特許請求の範囲の記録手段に該当)14、操作部15、表示部16、及びスピーカ17、マイク18、を含んで構成される。また、無線通信部13は、上記電話装置に記録されたテレビ放送データを該電話装置から電話回線を介して受信する機能を有しており、特許請求の範囲の第2の受信手段としても構成されている。
【0022】
画像処理装置12は、TV復号器121、エンコード(Encode)部とデコード(DEcode)部からなる処理部122、CPUからなる制御部123、音声制御部124、及び外部インターフェース(IF)125から構成されている。
【0023】
制御部123は、メモリ14の記録可能な残り容量を検出する検出手段を含んで構成され、検出したメモリ14の残り容量が所定の容量より少ない場合は受信したテレビ放送データを電話装置に送信して記録し、送信後にメモリ14の残り容量が所定の容量より多くなった場合は電話装置に記録されたテレビ放送データを受信してメモリ14に記録するよう制御する。
【0024】
これにより、携帯電話端末は一定量のテレビ放送データをメモリ14に記録し、それを越える量のテレビ放送データを通話相手側の電話装置に送信して記録させるため、携帯電話端末のメモリ容量を小さくして、形状を小型に維持しながら、テレビ放送を長時間録画することができる。また、メモリ14の記録可能な残り容量に応じて、通話相手側の電話装置からテレビ放送データを受信してメモリ14に記録し、更に、通話相手側の電話装置は、携帯電話端末に送信済みのテレビ放送データを削除することにより、通話相手側の電話装置が記録するテレビ放送データ量を減らして、通話相手側の負担を軽減することができる。
【0025】
また、制御部123は、電話装置との間で電話回線が接続された時点から、受信したテレビ放送データのメモリ14への記録を開始させることもできる。これにより、携帯電話端末は、テレビ放送視聴中に携帯電話端末に着信がある場合、着信があった時点からのテレビ放送の録画を自動的に開始するため、テレビ放送視聴中の着信のためにテレビ放送を見逃すことを防ぐことができる。
【0026】
また、制御部123は、テレビ放送データを間引いて記録したり、音声データのみをメモリ14に記録させるように制御することもできる。これにより、メモリ14に記録するテレビ放送データ量を効率的に減らすことができ、メモリ14の記憶容量を効果的に利用することができる。
【0027】
図2は本実施の形態の携帯電話端末の概略の処理動作を示すフローチャートであり、制御部123によるテレビ放送データの受信開始から録画終了までの処理の流れを示している。
【0028】
制御部123は、テレビ放送を受信中に着呼があることを検知し(S21)、携帯電話端末利用者がこの着信に応答したことを検知すると(S22、YES)、受信したテレビ放送データの記録、つまり録画処理を行うよう制御する(S23)。そして、通話終了となると(S24)、録画処理を終了するよう制御する。
【0029】
次に、上記ステップS23の録画時の処理について、図3に示す、本発明の実施の形態の携帯電話端末における録画時の処理動作を示すフローチャートを参照して説明する。
【0030】
録画時には、まずテレビ放送データを格納可能なメモリ残容量があるかを判別し(S31、NO)、なければ間引いたテレビ放送データを格納可能なメモリ残容量があるかを判別し(S32、NO)、なければ更に通話相手の電話装置がテレビ放送データを受信可能かを判別し(S33、NO)、なければ処理を終了する。
【0031】
ステップS31でテレビ放送データを格納可能なメモリ残容量があれば(S31、YES)、受信したテレビ放送データの圧縮化(MPEGデータ化)を行って(S311)、メモリ14に格納し(S312)、続いて動画の記録が可能なメモリ残容量があるかを判別する(S313)。動画の記録が可能なメモリ残容量があれば(S313、YES)ステップS31に戻り、なければ(S313、NO)ステップS32の処理に移行する。
【0032】
ステップS32で間引いたテレビ放送データの記録可能なメモリ残容量があれば、TVデータ格納時間間隔をNに設定し(S321)、その格納時間間隔で記録可能なメモリ残容量があるかを判別する(S322)。メモリ残容量があれば(S322、YES)受信したテレビ放送データの圧縮化を行って(S323)、メモリ14に格納し(S324)、続いて上記の格納間隔で記録可能なメモリ残容量があるかを判別する(S325)。容量がなければ(S325、NO)間引いたテレビ放送データを格納可能なメモリ残容量があるかを判別し(S326)、なければステップS33に移行し、あればメモリ格納間隔をN+Xに設定し(S327)、ステップS322の処理に戻る。なお、N、Xは、予め定めた値であり、端末の使用者が設定変更が可能な値である。
【0033】
ステップS33で通話相手の電話装置がテレビ放送データの受信が可能であれば(S33、YES)、テレビ放送データを圧縮し(S331)、その圧縮したテレビ放送データを電話装置に送信する(S332)。そして、通話相手がテレビ放送データの受信が可能であるかを判別し(S333)、可能であればステップS331に戻ってデータの送信を続け、可能でなければ録画を終了する。
【0034】
次に、録画後の時の処理について、図4から図6に示す、フローチャートを参照して説明する。図4に、本発明の実施の形態の携帯電話端末における、録画後のテレビ放送データ要求時の送信側携帯電話端末の処理動作を示すフローチャートを、図5に、本発明の実施の形態の携帯電話端末における、録画後の受信側電話装置の処理動作を示すフローチャートを、図6に、本発明の実施の形態の携帯電話端末における、録画後のテレビ放送データ転送時の送信側携帯電話端末の処理動作を示すフローチャートを、参照して説明する。
【0035】
録画後の処理は送信側となる携帯電話端末と受信側となる電話装置とで相違する。送信側の携帯電話端末では、図4に示すように、他の電話装置に送信したテレビ放送データがあるかを判別する(S41)。他の電話装置に送信したテレビ放送データがあればメモリ容量に空きがあるかを更に判別し(S42)、あれば電話装置から受信すべきテレビ放送データがあることを報知する(S43)。そして、送信側の携帯電話端末は、他の電話装置に送信したテレビ放送データを当該携帯電話端末に送り返すように要求する要求メールを生成して(S44)、他の電話装置に送信する(S45)。
【0036】
一方、受信側の電話装置では、要求メールが携帯電話端末から送信されていないかを監視している(S51)。受信側の電話装置は、当該要求メールが携帯電話端末から送信されたことを検知し(S51、YES)、当該メールが要求しているテレビ放送データを録画している場合(S52)、携帯電話端末に送信すべきテレビ放送データがあることを当該電話装置利用者に報知する(S53)。そして、携帯電話端末がメールにより要求しているテレビ放送データを添付した転送メールを生成し(S54)、その転送メールを携帯電話端末に送信する(S55)。
【0037】
また、送信側の携帯電話端末では、要求メール送信後、受信側の電話装置から転送メールが送信されていないかを監視している(S61)。送信側の携帯電話端末は、転送メールされたことを検知し(S61、YES)、上記の転送メールを受信すると(S62)、転送メールに添付されているテレビ放送データをメモリに格納し(S63)、電話装置からテレビ放送データを受信したことを当該携帯電話端末利用者に報知する(S64)。
【0038】
以上のように、本実施の形態の携帯電話端末及び通信システムでは、携帯電話端末のメモリ容量を小さくして、形状を小型に維持しながらテレビ放送を長時間録画することができる。
【0039】
すなわち、携帯電話端末と通話相手側の電話装置との間で確立された通信回線を利用して、携帯電話端末で受信したテレビ放送データを通話相手側の電話装置に送信し、通話相手側の電話装置に記録させることにより、外部記録装置である通話相手側の電話装置にテレビ放送データを確実に送信することができ、かつ、携帯電話端末に大容量の記録装置を設けることなしにテレビ放送を長時間録画することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明にかかる携帯電話端末及び通信システムは、形状を小型に維持しながらテレビ放送を長時間録画することができるという効果を有し、テレビ放送を受信可能な装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態の携帯電話端末の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態の携帯電話端末の概略の処理動作を示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態の携帯電話端末における録画時の処理動作を示すフローチャート
【図4】本発明の実施の形態の携帯電話端末における、録画後のテレビ放送データ要求時の送信側携帯電話端末の処理動作を示すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態の携帯電話端末における、録画後の受信側電話装置の処理動作を示すフローチャート
【図6】本発明の実施の形態の携帯電話端末における、録画後のテレビ放送データ転送時の送信側携帯電話端末の処理動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0042】
11 TV放送受信部
12 画像処理装置
13 無線通信部
14 メモリ
15 操作部
16 表示部
17 スピーカ
18 マイク
121 TV復号器
122 処理部
123 制御部
124 音声制御部
125 外部インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビ放送を受信可能な携帯電話端末であって、
テレビ放送局からテレビ放送データを受信する第1の受信手段と、
受信したテレビ放送データを電話回線を介してテレビ放送データを記録可能な電話装置に送信する送信手段と、
前記電話回線を介して前記電話装置に記録されたテレビ放送データを該電話装置から受信する第2の受信手段と、
を備えたことを特徴とする携帯電話端末。
【請求項2】
請求項1記載の携帯電話端末であって、
テレビ放送データを記録する記録手段と、
前記記録手段の記録可能な残り容量を検出する検出手段と、を備え、
前記記録手段は、前記第1の受信手段により受信したテレビ放送データを記録し、
前記送信手段は、前記検出手段により検出した残り容量が所定の容量より少ない場合に前記第1の受信手段により受信したテレビ放送データを前記電話装置に送信することを特徴とする携帯電話端末。
【請求項3】
請求項2記載の携帯電話端末であって、
前記記録手段は、前記第1の受信手段により受信したテレビ放送データを前記送信手段により送信した後、前記検出手段により検出した残り容量が所定の容量より多くなった場合に前記第2の受信手段により受信したテレビ放送データを記録することを特徴とする携帯電話端末。
【請求項4】
請求項2または3記載の携帯電話端末であって、
前記記録手段は、前記電話装置との間で電話回線が接続された時点から前記第1の受信手段により受信したテレビ放送データの記録を開始することを特徴とする携帯電話端末。
【請求項5】
請求項2ないし4いずれかに記載の携帯電話端末であって、
前記記録手段は、前記第1の受信手段または前記第2の受信手段により受信したテレビ放送データを間引いて記録することを特徴とする携帯電話端末。
【請求項6】
請求項2ないし5いずれかに記載の携帯電話端末であって、
前記記録手段は、前記第1の受信手段または前記第2の受信手段により受信したテレビ放送データの音声データのみを記録することを特徴とする携帯電話端末。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれかに記載の携帯電話端末と、テレビ放送データを記録可能な電話装置とからなる通信システムであって、
前記電話装置は、
前記携帯電話端末との間で接続された電話回線を介して該携帯電話端末から送信されたテレビ放送データを受信する受信手段と、
受信したテレビ放送データを記録する記録手段と、
前記電話回線を介して前記記録したテレビ放送データを前記携帯電話端末に送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−191349(P2006−191349A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−1277(P2005−1277)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】