説明

撮像方法および撮像装置

【課題】 撮影データを事後に他のメディアに対してダビングする時の発生データ量を撮影時に高精度に推定する。
【解決手段】 撮影を開始してS2において、エンコーダ5のビットレートBR1としきい値Thとが比較される。BR1≧Thであれば、S3において、エンコーダ9で符号化した場合のデータ量が実測される。BR1<Thと判定されると、エンコーダ9がデータ量予測動作を停止する。停止期間については、S5において、エンコーダ9で符号化した場合のデータ量がビットレートが固定値として見積られる。撮影が終了すると、撮影期間の容量見積データが求められ、撮影データがメディア7に記録され、容量見積データがダビングする際に利用できるように、撮影データと関連付けて記録される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、静止画、動画等を撮影する撮像方法および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラとレコーダが一体構成とされたカメラ・レコーダが普及している。最近では、記録媒体(以下、単にメディアと称する)としてカセットテープ、光ディスク、ハードディスク、メモリカード等の種々のものが使用されつつある。画像データの情報量が比較的多いので、メディアの容量を有効に活用するために、高能率符号化(以下、圧縮符号化と適宜称する)を施して情報量が圧縮されたデータをメディアに記録するのが普通である。圧縮符号化の方法としては、メディアに適した方法が使用される。
【0003】
カメラ・レコーダによる撮影時には、装置に内蔵のメディアに撮影データが記録され、また、記録された撮影データを再生して表示することができる。しかしながら、カメラ・レコーダを持たない者が撮影データを再生することを考慮して、撮影データを他のメディアにコピーする(以下、ダビングと適宜称する)ことが行われる。カメラ・レコーダに付属のメディアがリムーバブルなものであっても、その再生にパーソナルコンピュータ、専用のリーダーを必要とする場合には、DVD(Digital Versatile Disc)のような多くの者が持っているプレーヤーによって再生可能なメディアに対してダビングすることがなされる。
【0004】
図12は、ダビング処理を説明するための概略的ブロック図である。カメラ部101からの撮影データが圧縮符号化のエンコーダ102によって圧縮され、カメラ・レコーダに内蔵のメディア103に対して記録される。メディア103は、例えばメモリカードである。カメラ・レコーダが手元にない他の人が撮影データを再生して表示することを可能とするために、他のメディア113例えばDVDに対して撮影データがダビングされる。
【0005】
カメラ・レコーダに対してメディアドライブを接続し、メディア103からの撮影データをデコーダ111で復号し、復号データをエンコーダ112で符号化し、メディア113に対して符号化データを記録するようになされる。デコーダ111は、エンコーダ102と対応し、デコーダ111によって撮影データが復号される。エンコーダ112は、カメラ・レコーダが採用する圧縮符号化と異なる圧縮符号化のエンコーダである。例えばカメラ・レコーダが採用する圧縮符号化がMPEG-4 AVC(またはH.264)符号化であり、メディ
ア113に記録するための圧縮符号化がMPEG 2(Moving Picture Experts Group Phase 2)である。
【0006】
カメラ・レコーダにおいて、MPEG 2による記録と同時に、無線などで撮影データを伝送するために圧縮率の高いMPEG-4 AVC(またはH.264)符号化で撮影データを符号化して記録
することが下記の特許文献1に記載されている。異なる圧縮符号化がなされた二つのデータは異なるメディアに記録される。
【0007】
【特許文献1】特開2004−274449号公報
【0008】
特許文献1に記載のものでは、同時記録しているコンテンツのそれぞれの記録ビデオレートの表示、同時記録している二つのメディアのそれぞれの記録量と記録媒体の残量の表示等を行うことが記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載のように、二つのメディアに対して同時記録することは、装置の大型化、消費電力の増大等を招くので、他のメディアに対して撮影データを記録する場合には、図12を参照して説明したように、カメラ・レコーダに内蔵のメディア103に対して撮影データを蓄積し、後でメディア113に対してダビングすることが好ましい。しかしながら、圧縮符号化方式が異なるために、メディア113に対してダビングする場合に、一つのメディアに記録できる容量を撮影データが超える可能性があり、例えば1枚のDVDに対して撮影データを記録できない事態が生じる。
【0010】
したがって、この発明の目的は、撮影と並行してダビングする場合に発生するデータ量を見積り、後でダビングする場合に、一つのメディア内に記録可能か否かを撮影中に容易に判断することが可能な撮影方法および撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、この発明は、静止画および動画の一方または双方を撮影し、撮影データを記録媒体に記録する撮像方法において、
撮影データを第1の圧縮符号化方式で符号化する第1の符号化ステップと、
第1の符号化ステップで生成された符号化撮影データをメディアに記録する記録ステップと、
撮影データを第2の圧縮符号化方式で符号化した場合の発生データ量の予測に必要なデータを生成する第2の符号化ステップと、
第2の符号化ステップで生成されたデータから撮影期間の発生データ量を推定するステップと
からなる撮影方法である。
【0012】
また、この発明は、静止画および動画の一方または双方を撮影し、撮影データを記録媒体に記録する撮像装置において、
撮影データを第1の圧縮符号化方式で符号化する第1のエンコーダと、
第1のエンコーダで生成された符号化撮影データをメディアに記録する記録部と、
撮影データを第2の圧縮符号化方式で符号化した場合の発生データ量の予測に必要なデータを生成する第2のエンコーダと、
第2のエンコーダで生成されたデータから撮影期間の発生データ量を推定する処理部と
からなる撮影装置である。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、撮影データの符号化と並行して撮影時と異なる圧縮符号化方式で撮影データを符号化した場合のデータ量を高精度に予測することができ、事後にダビングする時に記録媒体の容量を有効に活用することが可能となる。また、データ量の予測のための符号化を間欠的に行うことによって、消費電力を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態によるカメラ・レコーダの構成を示す。参照符号1がレンズ部を示し、レンズ部1を通った被写体光がCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子2に入射される。撮像素子2に対しては、例えばBayer配列の三原色カラーフィルタが設けられており、撮像素子2の出力として三原色信号が得られる。この三原色信号がA/Dコンバータ3によってディジタル信号へ変換される。
【0015】
カメラ部1から取り出された撮像信号がフロントエンド3に供給される。フロントエンド3は、撮像素子2からの色信号に対して、ノイズ成分を除去する相関二重サンプリング処理(CDS)、ゲインコントロール処理(AGC)、ディジタル変換処理(ADC)等の処理を施す。フロントエンド3からの撮像データがLSI(Large Scale Integrated Circuit:大規模集積回路)の構成とされたカメラ信号処理部4に対して供給される。
【0016】
カメラ信号処理部4では、ホワイトバランス補正処理、マトリクス演算処理、ガンマ補正処理、輝度信号(Y)生成処理、色差信号(Cr,Cb)生成処理等を行う。カメラ信号処理部4によって生成された画像信号がディスプレイ8に供給され、撮像画像が表示される。ディスプレイ8は、撮影中に見ることができ、例えばLCD(Liquid Crystal Display)パネルである。
【0017】
ホワイトバランス補正処理は、被写体の色温度環境の違い、カラーフィルタによる感度の違いによる各色間のアンバランスが補正する。補間処理は、存在していない色信号を補間する処理である。マトリクス演算処理は、撮像信号をsRGBへ変換する処理である。ガンマ補正処理によって、表示装置が有する非線形特性の逆補正を予め行うことで、最終的にリニアな特性が実現される。
【0018】
輝度信号生成処理は、ガンマ補正されたRGB信号を所定の合成比で合成することによって輝度信号を生成する。色差信号生成処理ブロックは、ガンマ補正されたRGB信号を所定の合成比で合成することによって色差信号を生成する。生成された色差信号が帯域制限の処理を受け、色差信号CbおよびCrが生成される。
【0019】
カメラ信号処理部4の出力画像データが撮影用の圧縮符号化のエンコーダ5(図においては、ENC1と表記する)および記録部6を介してカメラ・レコーダに内蔵または外付けのメディア7に記憶される。例えば内蔵のメディアは、リムーバブルな記録メディアであるメモリカードである。エンコーダ5は、例えばMPEG-4 AVC(またはH.264)符号化のエ
ンコーダである。記録部6は、圧縮符号化データからメディア7の記録フォーマットに適した記録データを生成する。
【0020】
メディア7から読み出されたデータが再生部11を介して圧縮符号化のデコーダ12に供給される。デコーダ12は、エンコーダ5による圧縮を伸張するもので、例えばMPEG-4 AVC(またはH.264)符号化のデコーダである。デコーダ12の出力端子13にメディア7
の再生データが得られる。この再生データが図示しないが、アナログコンポジットビデオ信号等の出力形態に変換されて出力される。なお、メディア7に記録される撮影データは、動画および静止画の一方または双方である。
【0021】
上述した構成は、既存のカメラ・レコーダと同様のものである。一実施形態では、エンコーダ5と同一の入力データがダビング時に使用される他の圧縮符号化例えばMPEG 2のエンコーダ9(図においては、ENC2と表記する)に供給される。エンコーダ5およびエンコーダ9は、可変ビットレートの圧縮符号化を行っている。可変ビットレートは、絵柄が細かいような画像に対しては、より多くのデータ量を割り当て、平坦な画像に対しては、より少ないデータ量を割り当てることによって、平均的なビットレートは、所定のものであっても復号画像の画質を良好とできる符号化方法である。可変ビットレートを実現する方法としては、種々の方法を採用できる。
【0022】
エンコーダ9は、ダビング時に発生するデータ量を見積もるために設けられており、実際に圧縮符号化データを出力する必要がなく、データ量の見積りに必要なデータ例えば圧縮符号化データのビットレートをシステムコントローラ10に対して出力する。システムコントローラ10は、エンコーダ9を間欠的に動作させるための制御信号をエンコーダ9に対して供給する。さらに、全ての撮影データに対してエンコーダ9を動作させるのではなく、ユーザが選択した撮影データに対してのみエンコーダ9を動作させるための制御がシステムコントローラ10によってなされる。
【0023】
後述するように、エンコーダ9の間欠動作は、所定の時間間隔でなされるものと、エンコーダ5のビットレートをしきい値と比較することによって、エンコーダ5のビットレートがしきい値以上の場合にのみ、エンコーダ5を動作させるものとがある。エンコーダ5のビットレートを監視する場合には、エンコーダ5からシステムコントローラ10に対してビットレートの情報が供給される。システムコントローラ10は、データ見積の結果のデータを記録部6に供給し、撮影データと関連付けてメディア7に記録する。
【0024】
システムコントローラ10は、カメラ信号処理部4、ディスプレイ8、カメラの動作等の装置全体を制御するために設けられている。システムコントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)を有している。図示しないが、システムコントローラ10に対し
てユーザが操作するスイッチ、GUI(Graphical User Interface)等で生成されたキーの出力が入力される。さらに、システムコントローラ10は、プログラム等が格納されているROMおよびCPUの作業用のメモリとしてのRAMを有している。なお、メディア7から読み出された圧縮画像データをデコードしてディスプレイ8に表示するための構成については省略されている。
【0025】
上述したこの発明の一実施形態において、撮影時に、ユーザーが撮影開始のボタンを押すと、カメラが撮影を開始する。撮影を開始する信号が送られてくると、このカメラを制御しているシステムコントローラ10は、撮影用の第1のエンコーダ5とエンコーダ5とは別の圧縮符号化方式で符号化するエンコーダ9を起動する。次に、カメラ信号処理部4からの撮影データが撮影用のエンコーダ5と、エンコーダ9の2つのエンコーダに入力される。
【0026】
カメラ撮影の開始後、撮影用のエンコーダ5は、入力された撮影データを撮影データ記録形式の圧縮符号化によって符号化する。符号化後、符号化データを記録部6に出力する。記録部6は、撮影用エンコーダ5から出力されるデータをメディア7に記録する。
【0027】
エンコーダ9は、エンコーダ5が連続的に撮影データを符号化する動作と異なり、カメラ信号処理部4から出力されてくるすべての画像データを符号化せずに、間欠的に符号化動作を行う。この符号化動作は、ダビング時に生じる発生データ量予測のためであるので、データ量予測動作と称する。これは、エンコーダ9を連続的に動作させることによる電力消費の問題を解決するためである。
【0028】
図2Aは、エンコーダ9の間欠動作の第1の例を示す。撮影時間の所定の停止期間A例えば20秒ごとに所定の動作期間B例えば10秒の間のみデータ量予測動作を行う。但し、ダビングデータ記録時の圧縮符号化形式へとエンコードを行った撮影データについては、撮影時に記録が必要なデータではないので、記録部6に出力しない。その代わり、エンコーダ9によって得られた符号化データから、ダビングデータの発生データ量を推定し、この結果をシステムコントローラ10に出力する。
【0029】
このように、エンコーダ9は、撮影時には撮影データを記録するために使用するのではなく、撮影中の撮影データをダビング時の圧縮符号化形式へ変換した場合に必要となるデータ容量を計算および推定するために間欠的に動作する。その結果得られたエンコーダ9でエンコードした場合のデータ量実測値がシステムコントローラ10に出力される。システムコントローラ10は、エンコーダ9が動作していない期間については、下記に示す計算式を用いて計算を行い、ダビング時の容量見積値を求める。
【0030】
A=(エンコーダ5が動作した時間)/(エンコーダ9が動作した時間)
ダビング時の容量見積値=A×エンコーダ9により得られたデータ量実測値
【0031】
図2の例では、A=120秒/40秒=3
【0032】
このように、エンコーダ9が連続的に動作しないので、連続動作と比較して、消費電力が抑えられ、且つ撮影データを別の形式で記録しなおした場合の記録容量を推定することができる。
【0033】
図2Aは、間欠的な容量見積方法の第1の例を示すものである。可変ビットレートの符号化を行っている場合では、エンコーダ9が停止期間中のデータ量を精度良く推定することによって、比較的高い精度でダビング時の容量見積値を求めることができる。エンコーダ9の動作が停止している停止期間における容量見積の第1の方法について、図2Bを参照して説明する。第1の方法では、エンコーダ9が動作している期間については、エンコーダ9が出力する実測値例えばビットレートBR2を用いる。ビットレートBR2と動作期間の長さからデータ量を実測することができる。エンコーダ9が動作していない期間については、その直前のエンコーダ9によるデータ量予測をおこなっていた動作期間の終端近傍例えば最後の瞬間のビットレートが停止期間の固定のビットレートとされて、撮影期間のデータ量が見積られる。
【0034】
図3は、停止期間のデータ量推定方法の第2の方法を示す。エンコーダ9が動作している期間については、エンコーダ9が出力するビットレートBR2を用いる。エンコーダ9が動作していない期間については、その直前のエンコーダ9の動作期間の平均のビットレートが停止期間の固定のビットレートとされて、撮影期間のデータ量が推定される。直前の動作期間が存在しない場合には、適当なビットレートが選択される。
【0035】
図4は、間欠的な容量見積方法の第2の例を示す。上述した間欠的容量見積方法の第1の例は、エンコーダ9の動作期間と停止期間とがそれぞれ所定の長さに設定されている。これに対して、図4に示す第2の例では、システムコントローラ10が撮影用のエンコーダ5からビットレートBR1を受け取り、ビットレートBR1がしきい値Thより高くなる期間でのみエンコーダ9を動作させるものである。
【0036】
図4に示す間欠的動作における容量見積方法の第2の例における容量見積の第3の方法を図5に示す。撮影記録データのビットレートBR1がしきい値Th以上となることをトリガーとしてダビング用のエンコーダ9が動作する。動作期間では、エンコーダ9によるビットレートBR2の実測値が用いられる。エンコーダ9の停止期間については、一定のビットレートであると仮定してデータ量が見積られる。この結果、ダビング時にビットレートが多く必要になる画像、すなわち、記憶容量が多く必要な画像を精度よく予測できることにより、データ全体を通しても高精度の容量見積が可能となる。
【0037】
図6は、上述した図5に示される容量見積の第3の方法をシステムコントローラ10の制御によって実現する場合の動作を示すフローチャートである。最初のステップS1においてユーザが例えば記録ボタンを押すことによって撮影が開始し、撮影の開始によって処理が開始する。撮影開始時点では、一例としてエンコーダ5のみ符号化作業を開始し、エンコーダ9は、データ量予測動作を開始しない。
【0038】
ステップS2において、エンコーダ5のビットレートBR1としきい値Thとが比較される。BR1≧Thであれば、ステップS3において、エンコーダ9で符号化した場合のデータ量が実測される。
【0039】
そして、ステップS4において、撮影終了か否かが判定される。例えばユーザが記録ボタンを押すのを止めると、撮影および記録が終了する。撮影終了でなければ、処理がステップS2(ビットレートBR1としきい値Thとの比較)に戻る。撮影終了であれば、ステップS7に処理が移行する。ステップS7は、撮影データをメディア7に記録し、求められた容量見積データを記録する処理である。
【0040】
得られた容量見積データについては、システムコントローラ10から記録部6に対して送られ、メディア7に記録された撮影データを別の圧縮符号化形式でダビングする際に利用できるように、記録される。例えばダビングする時に使用される記録側のメディアの必要量(例えば記録可能なDVDの必要枚数)が表示される。
【0041】
容量見積データは、別データとして撮影データと関連付けて同じメディア7内の同じフォルダ、または見積データ用に作られた別フォルダに撮影データと関連付ける情報が付与されて保存される。同じメディアである必要はなく、撮影データとは異なる記録媒体に、撮影データと関連付ける情報が付与されて保存される。また、このように別データとして撮影データと関連付けて保存する方法以外にも、撮影データ自体に追加情報として容量見積データを埋め込むといった方法も可能である。
【0042】
図6のフローチャートのステップS2において、BR1<Thと判定されると、ダビング用エンコーダ9がデータ量予測動作を停止する。停止期間については、ステップS5において、エンコーダ9で符号化した場合のデータ量がビットレートが固定値として見積られる。すなわち、撮影用のエンコーダ5のビットレートBR1をエンコーダ9を動作させるしきい値Thとして用いているため、エンコーダ9の停止期間については、ダビング時に動画データをエンコードする際にも、ビットレートがある一定以下であると推定し、ビットレートを予め定めておき、その値を用いてエンコーダ9が動作していない期間のビットレートを推定する。
【0043】
ステップS6において、撮影が終了したか否かが判定される。撮影が終了していなければ、ステップS2の処理(ビットレートBR1としきい値Thとの比較)に戻る。撮影終了であれば、ステップS7に処理が移行する。ステップS7は、撮影データをメディア7に記録し、求められた容量見積データを記録する処理である。
【0044】
図5に示す第3の方法では、エンコーダ9の停止期間のビットレートBR9をある一種類の値を決めてすべての場合において、この値を適用してデータ量を見積もっている。しかしながら、このエンコーダ9が動作していない停止期間のビットレートの定め方については、他の方法が可能である。
【0045】
図7は、容量見積方法の第4の方法を示す。エンコーダ5のビットレートBR1がしきい値Th以上でエンコーダ9が動作し、BR1がしきい値Thより小でエンコーダ9が停止する。停止期間のデータ量推定方法として、その直前のエンコーダ9が動作している期間のビットレートの変化量(傾き)に応じたビットレートを使用する。例えば、変化量が大きい場合には、より低いビットレート、変化量がほとんどない場合には、高めのビットレートが選択される。予め、変化量にあわせて数種類のビットレートが設定され、その中から最適な固定値が選択される。直前の動作期間が存在しない場合には、適当なビットレートが選択される。直前の動作期間が存在しない場合には、適当なビットレートが選択される。
【0046】
図8は、エンコーダ9の動作期間をエンコーダ5のビットレートBR1がしきい値Th以上となってから一定期間例えば10秒とするようにした間欠動作の第3の例を示す。この場合には、しきい値ThをビットレートBR1が超えた瞬間から10秒間ダビング用エンコーダ9が動作する。そして、エンコーダ9の動作開始から10秒後に、ビットレートBR1がしきい値Thより小であれば、次にビットレートBR1がしきい値Thを超えるまで、動作を停止する。また、動作開始から10秒後にビットレートBR1がしきい値Th以上であった場合には、再度10秒間動作する。
【0047】
ダビング用エンコーダ9の停止期間については、データ量を推定し、撮影用のエンコーダ5により記録される撮影データのビットレートBR1がしきい値Th以上の期間でのみエンコーダ9による実測値を用いる。この結果、ダビング時にビットレートが多く必要になる場面を精度よく予測することができるので、データ全体を通しても高精度の容量見積が可能となる。
【0048】
エンコーダ9の停止期間におけるデータ量の推定方法としては、上述した方法を使用できる。すなわち、直前の動作期間の最後の瞬間のビットレートを使用する第1の方法、直前の動作期間の平均的ビットレートを使用する第2の方法、予め決めた固定のビットレートを使用する第3の方法、直前の動作期間のビットレートの変化量に応じて選択された値を使用する第4の方法の何れを使用しても良い。
【0049】
間欠動作の第2および第3の方法においては、エンコーダ5のビットレートBR1としきい値Thを比較している。これは、撮影データを符号化する際にビットレートが多く必要な場合について、エンコーダ9を動作させて推定することにより、より精度よく容量を推定できるためである。
【0050】
上述したように、システムコントローラ10によって得られた容量見積値のデータは、撮影データと関連付けて記録されると共に、撮影中にディスプレイ8にOSDによって表示される。表示の態様の一例を図9に示す。図9において、参照符号8aがディスプレイ8の表示画面である。表示画面中には、記録中であることを示すマークと現在記録中のデータの記録時間の表示21と、ダビングで記録されるメディアの残り容量の表示22とがなされる。この表示22を見てユーザは、適切な撮影時間を設定することができる。
【0051】
なお、画像データ以外のヘッダ等の付加情報が存在するために、残り容量を表示する場合、見積もられた容量を10%程度割ります処理を行うようにしても良い。また、ダビングで記録されるメディアとして、1種類に限定せず、複数種類のメディアの一つを選択可能とし、選択されたメディアについての残り容量を表示するようにしても良い。
【0052】
一般的に、ビットレートが高くなる画像とは、シーンチェンジが激しい画像である。家庭用のカメラ・レコーダのような、ユーザーの操作によって、目の前の被写体を撮影・記録する機器の場合、例えばズーム動作やカメラの撮影向き(レンズ方向)が急に変化した場合など、ユーザが何らかの操作をすると、シーンチェンジの多い画像が発生すると考えることができる。
【0053】
この点に着目してエンコーダ9を間欠動作させる方法の第4の例について説明する。第4の例では、ユーザがカメラ・レコーダを用いて撮影をおこなっている時に、ズーム機能を使うためにズームボタンの操作を行った場合、またはカメラが物理的に動かされた場合にエンコーダ9を動作させる。カメラの動きの変化を検知するために、カメラ内に加速度センサー等のカメラの動きを検知するセンサーを新たに追加する。但し、手振れ防止等の他の目的で、既に備えられている加速度センサー等の動きを感知できる機能を利用することもできる。
【0054】
図10に示すフローチャートは、第4の例を説明するものである。ステップS11で撮影が開始されると、ステップS12において、カメラの物理的な動きの有無が判定される。撮影開始時点では、一例としてエンコーダ5のみ符号化作業を開始し、エンコーダ9は、データ量予測動作を開始しない。カメラの動きが有りと判定されると、エンコーダ9がデータ量予測動作を行い、ステップS13において、エンコーダ9が符号化した場合のデータ量が実測される。動作期間の長さは、カメラの動きが検出されてから所定の期間またはカメラが動いている期間に設定される。
【0055】
そして、ステップS14において、撮影終了か否かが判定される。例えばユーザが記録ボタンを押すのを止めると、撮影および記録が終了する。撮影終了でなければ、処理がステップS12(カメラの動き検出)に戻る。撮影終了であれば、ステップS18に処理が移行する。ステップS18は、撮影データをメディア7に記録し、求められた容量見積データを記録する処理である。
【0056】
図10のフローチャートのステップS12において、カメラの動きが無いと判定されると、ステップS15において、ズームボタンが押されているか否かが判定される。ズームボタンが押されていると判定されると、エンコーダ9がズームボタンが押されている間、またはズームボタンが押されたことを検知してからある一定時間、データ量予測動作を行い、ステップS13の処理(データ量の実測)がなされる。
【0057】
ズームボタンが押されていないと判定されると、カメラの動きが無く、且つズームボタンも押されていないので、ダビング用エンコーダ9がデータ量予測動作を開始しないかまたは動作を停止する。エンコーダ9の停止期間におけるデータ量の推定方法としては、上述した第1乃至第4の方法の内の何れかの方法を使用できる。図10のステップS16では、ビットレートを予め設定された固定値としてデータ量が見積られる。
【0058】
ステップS17において、撮影が終了したか否かが判定される。撮影が終了していなければ、ステップS12の処理(カメラの物理的動きの有無の検出)に戻る。撮影終了であれば、ステップS18に処理が移行する。ステップS18は、撮影データをメディア7に記録し、求められた容量見積データを記録する処理である。
【0059】
図10に示される間欠動作の第4の例は、カメラで撮影される画像が大幅に変化する期間にのみ、データ量を推定するためのエンコーダ9を動作させることができ、その結果、エンコーダ9を動作させることによる消費電力を抑えつつ、現在撮影時に用いている記録形式と異なる記録形式に撮影データをを変換する場合、撮影データの容量を精度よく見積もることができる
【0060】
上述したように、エンコーダ9を間欠動作させる方法としては、第1の例から第4の例まである。これらは、単独で使用しても良いし、第1の例乃至第3の例の何れかと、第4の例とを組み合わせて使用しても良い。
【0061】
図11に示すフローチャートは、第2の例と第4の例とを組合せた場合の処理を示すものである。第2の例としては、図6のフローチャートで示す処理を使用している。最初のステップS21においてユーザが例えば記録ボタンを押すことによって撮影が開始し、撮影の開始によって処理が開始する。撮影開始時点では、一例としてエンコーダ5のみ符号化作業を開始し、エンコーダ9は、データ量予測動作を開始しない。
【0062】
ステップS22において、エンコーダ5のビットレートBR1としきい値Thとが比較される。BR1≧Thであれば、ステップS23において、エンコーダ9で符号化した場合のデータ量が実測される。
【0063】
そして、ステップS24において、撮影終了か否かが判定される。例えばユーザが記録ボタンを押すのを止めると、撮影および記録が終了する。撮影終了でなければ、処理がステップS22(ビットレートBR1としきい値Thとの比較)に戻る。撮影終了であれば、ステップS29に処理が移行する。ステップS29は、撮影データをメディア7に記録し、求められた容量見積データを記録する処理である。
【0064】
得られた容量見積データについては、システムコントローラ10から記録部6に対して送られ、メディア7に記録された撮影データを別の圧縮符号化形式でダビングする際に利用できるように、記録される。
【0065】
ステップS22において、BR1<Thと判定されると、ステップS25において、カメラの物理的な動きの有無が判定される。カメラの動きが有りと判定されると、エンコーダ9がデータ量予測動作を行い、ステップS23において、エンコーダ9が符号化した場合のデータ量が実測される。動作期間の長さは、カメラの動きが検出されてから所定の期間またはカメラが動いている期間に設定される。
【0066】
そして、ステップS24において、撮影終了か否かが判定される。例えばユーザが記録ボタンを押すのを止めると、撮影および記録が終了する。撮影終了でなければ、処理がステップS22(ビットレートBR1としきい値Thとの比較)に戻る。撮影終了であれば、ステップS29に処理が移行する。ステップS29は、撮影データをメディア7に記録し、求められた容量見積データを記録する処理である。
【0067】
ステップS25において、カメラの動きが無いと判定されると、ステップS26において、ズームボタンが押されているか否かが判定される。ズームボタンが押されていると判定されると、エンコーダ9がズームボタンが押されている間、またはズームボタンが押されたことを検知してからある一定時間、データ量予測動作を行い、ステップS23の処理(データ量の実測)がなされる。
【0068】
ズームボタンが押されていないと判定されると、エンコーダ5のビットレートBR1がしきい値Thより小であり、カメラの動きが無く、ズームボタンも押されていないので、ダビング用エンコーダ9がデータ量予測動作を開始しないかまたは動作を停止する。エンコーダ9の停止期間におけるデータ量の推定方法としては、上述した第1乃至第4の方法の内の何れかの方法を使用できる。図11中のステップS27では、ビットレートを予め設定された固定値としてデータ量が見積られる。
【0069】
ステップS28において、撮影が終了したか否かが判定される。撮影が終了していなければ、ステップS22の処理(ビットレートBR1としきい値Thとの比較)に戻る。撮影終了であれば、ステップS29に処理が移行する。ステップS29は、撮影データをメディア7に記録し、求められた容量見積データを記録する処理である。
【0070】
図11に示す容量見積方法は、エンコーダ5のビットレートを監視しておき、さらに、カメラの物理的な動きも監視するので、例えば動きの激しい物体を撮影する場合のように、物理的な動きがない場合にエンコーダ9のビットレートが大きく変化する場合にも対応でき、且つ物理的な変化を監視することで、物理的な動きによりエンコーダ9のビットレートが増加するタイミングをすばやく検知することができ、より高精度に容量見積が可能になる。
【0071】
この発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、この発明は、圧縮符号化としては、MPEG 2、MPEG-4 AVC(またはH.264)符号化以外の符号化を使用しても良い。ま
た、この発明において符号化処理は、ハードウェアによる処理に限らず、ソフトウェアによる処理によって実現するようにしても良い。さらに、消費電力の低減を特に必要としない場合には、データ量を推定するためのエンコーダを連続的に動作させても良い。よりさらに、発生データ量の予測のためのエンコーダが符号化データを出力するようにして良い。
【0072】
さらに、ダビング時に必要とされるエンコーダを備えても良い。その場合、ダビング用のエンコーダを符号化データを出力するように、処理を切り換え、実際のダビング時使用しても良い。さらに、この発明は、ビデオデータと共にオーディオデータに関してもデータ量予測処理を行い、ビデオデータおよびオーディオデータ全体のデータ量の見積を行うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】この発明の一実施形態による撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明による撮影方法の間欠動作の第1の例と停止期間の発生データ量の推定の第1の方法とを示すタイミングチャートである。
【図3】この発明による撮影方法の停止期間の発生データ量の推定の第2の方法を示すタイミングチャートである。
【図4】この発明による撮影方法の間欠動作の第2の例を示すタイミングチャートである。
【図5】この発明による撮影方法の停止期間の発生データ量の推定の第3の方法を示すタイミングチャートである。
【図6】図5に示す処理を実現するための処理方法を説明するためのフローチャートである。
【図7】この発明による撮影方法の停止期間の発生データ量の推定の第4の方法を示すタイミングチャートである。
【図8】この発明による撮影方法の間欠動作の第3の例を示すタイミングチャートである。
【図9】容量見積データの表示の一例を示す略線図である。
【図10】この発明による撮影方法の間欠動作の第4の例を説明するためのフローチャートである。
【図11】図6のフローチャートに示される処理と図10のフローチャートに示される処理とを組み合わせた処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】この発明の適用例を説明するための概略的なブロック図である。
【符号の説明】
【0074】
2・・・イメージャ
4・・・カメラ信号処理部
5・・・エンコーダ
6・・・記録部
7・・・メディア
8・・・ディスプレイ
9・・・エンコーダ
10・・・システムコントローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止画および動画の一方または双方を撮影し、撮影データを記録媒体に記録する撮像方法において、
撮影データを第1の圧縮符号化方式で符号化する第1の符号化ステップと、
上記第1の符号化ステップで生成された符号化撮影データをメディアに記録する記録ステップと、
上記撮影データを第2の圧縮符号化方式で符号化した場合の発生データ量の予測に必要なデータを生成する第2の符号化ステップと、
上記第2の符号化ステップで生成されたデータから撮影期間の発生データ量を推定するステップと
からなる撮影方法。
【請求項2】
請求項1において、
上記第2の符号化ステップは、動作期間と停止期間とが混在する間欠的な処理である撮影方法。
【請求項3】
請求項2において、
上記動作期間と上記停止期間とがそれぞれ予め設定された長さとされる撮影方法。
【請求項4】
請求項2において、
上記第1の符号化ステップで出力される符号化データのビットレートがしきい値以上の場合にのみ、上記第2の符号化ステップが動作する撮影方法。
【請求項5】
請求項4において、
上記第1の符号化ステップで出力される符号化データのビットレートがしきい値以上となってから所定の長さの期間のみ、上記第2の符号化ステップが動作する撮影方法。
【請求項6】
請求項2において、
上記撮影データにシーンチェンジを生じさせる動きを検出した時に、上記第2の符号化ステップが動作する撮影方法。
【請求項7】
請求項2において、
上記停止期間における発生データ量を固定値として推定する撮影方法。
【請求項8】
請求項7において、
上記固定値は、直前の動作期間の終端近傍の発生データ量である撮影方法。
【請求項9】
請求項7において、
上記固定値は、直前の動作期間の発生データ量の平均値である撮影方法。
【請求項10】
請求項7において、
上記固定値は、直前の動作期間の発生データ量の変化量に応じたデータ量である撮影方法。
【請求項11】
静止画および動画の一方または双方を撮影し、撮影データを記録媒体に記録する撮像装置において、
撮影データを第1の圧縮符号化方式で符号化する第1のエンコーダと、
上記第1のエンコーダで生成された符号化撮影データをメディアに記録する記録部と、
上記撮影データを第2の圧縮符号化方式で符号化した場合の発生データ量の予測に必要なデータを生成する第2のエンコーダと、
上記第2のエンコーダで生成されたデータから撮影期間の発生データ量を推定する処理部と
からなる撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−311195(P2006−311195A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131115(P2005−131115)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】