説明

撮像装置、及びこれを搭載した携帯電話機

【課題】発光手段から照射された光による眩しさを緩和し、人の目に対する安全性を高めるとともに、人を適正な状態で撮像することのできる撮像装置を提供する。
【解決手段】被写体Mを撮像する際に、被写体Mに向けて所定光量の光を照射する発光手段2を備えた撮像装置1は、発光手段2の光量を制御する発光制御手段8を備えており、発光制御手段8は、被写体Mからの光を検出する光検出手段9の検出結果に基づいて、光量を所定光量になるまで次第に多くするように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やデジタルカメラに搭載される撮像装置、及びこれを搭載した携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話機やデジタルカメラに搭載される撮像装置として、被写体を撮像するための撮像素子と、被写体に向けて光を照射する発光手段とを備え、撮像素子で被写体を撮像する際に、発光手段で撮像環境に応じた所定光量の光を被写体に向けて照射するように構成されたものが広く一般に普及している。
【0003】
かかる撮像装置は、撮像素子で被写体を撮像する際に、発光手段で撮像環境に応じた所定光量の光を被写体に向けて照射するように構成されているため、撮像時に光量不足になるのを防止でき、適正光量で被写体を良好に撮像することができるようになっている。
【0004】
ところで、この種の撮像装置は、被写体が人である場合、発光手段の発光が強度の眩しさを感じさせることがある。そして、被写体に対する光の照射を継続的に行う必要のある動画撮像では、強度の眩しさが人の目に悪影響を与えることが顕著であるとして、動画及び静止画を選択的に撮像できるように構成され、被写体までの距離が所定距離よりも小さいことを条件として、動画撮像時に発光手段で発光させる光の輝度を静止画撮像時の輝度よりも低い輝度に制限するように構成された撮像装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
かかる撮像装置は、被写体までの距離が所定距離よりも小さいことを条件として、動画撮像時に発光手段で発光させる光の輝度が静止画撮像時の輝度よりも低い輝度に制限されるため、発光手段の発光による眩しさを緩和することができ、また、被写体距離が所定距離以上のときには制限のない高い輝度の光で遠くの被写体に対しても十分な照度を与えて撮像できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−49572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、目の感度は、人によって異なるため、低い輝度の光を短時間照射した場合であっても一度に所定光量を照射すると強度の眩しさを感じることがある。
【0008】
そのため、上記構成の撮像装置においても、撮影時に発光手段からの光に強度の眩しさを感じることがある。すなわち、上記構成の撮像装置は、被写体までの距離が所定距離よりも小さいことを条件として、動画撮像時に発光手段で発光させる光の輝度が静止画撮像時の輝度よりも低い輝度に制限されるが、動画撮像時及び静止画撮像時の何れにおいても所定光量(一定光量)を被写体に対して一時に照射するため、撮影時に強度の眩しさを感じることがある。
【0009】
特に、上記構成の撮像装置は、静止画の撮像時における発光手段の光の輝度が動画の撮像時よりも高いため、静止画の撮像時において、発光手段からの光の眩しさがより顕著になってしまう。
【0010】
そのため、上記構成の撮像装置は、撮影時に発光手段による発光に眩しさを感じて被写体である人が目を瞑ってしまうことがあり、目の瞑った不適切な状態の被写体を撮像してしまうといった問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、発光手段から照射された光による眩しさを緩和し、人の目に対する安全性を高めるとともに、人を適正な状態で撮像することのできる撮像装置、及びこれを搭載した携帯電話機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の撮像装置は、被写体を撮像する際に、被写体に向けて所定光量の光を照射する発光手段を備えた撮像装置において、発光手段の光量を制御する発光制御手段を備え、発光制御手段は、発光手段の光量を所定光量になるまで次第に多くするように構成されていることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、被写体に向けて照射される光量が次第に多くなる。従って、発光手段から所定光量の光が被写体に対して一時に照射されないため、被写体が人である場合、発光手段の発光による眩しさを緩和することができ、人の目に対する安全性がより高いものになる。また、眩しさが緩和されるため、被写体となる人が目を瞑ることも抑制される。そして、撮影時には、所定光量の光が被写体に照射されるため、光量不足になることがなく、適正な撮像を行うこともできる。
【0014】
本発明に係る撮像装置の一態様として、被写体からの光を検出する光検出手段を備え、発光制御手段は、光検出手段の検出結果に基づいて発光手段の光量を制御するように構成されていることが好ましい。かかる構成によれば、発光手段の発光による光量が所定光量になるまでに、人(被写体)に対して光が過度に照射されることがなく、確実に眩しさを緩和することができる。すなわち、実情に応じた光量で発光手段から被写体に向けて光が照射されるため、発光手段の発光による眩しさをより確実に緩和することができる。
【0015】
この場合、光検出手段が検出した光から得られる画像を画像処理して被写体の顔の位置を認識する顔認識手段を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、被写体としての人の顔を認識できるため、発光手段の発光による眩しさを確実に緩和することができる。すなわち、眩しさを感じる目を含む領域を認識し、その領域の輝度(明るさ)に応じた光を照射することで、その領域に対して過度の光が照射されるのを防止することができるため、発光手段の発光による眩しさを確実に緩和することができる。
【0016】
また、発光制御手段は、光検出手段により検出された被写体からの光が撮像に必要な所定光量に達したときに、発光手段の光量を所定光量で維持させることが好ましい。かかる構成によれば、発光手段から必要以上の光が照射されないため、消費電力を抑えることができる。
【0017】
そして、発光手段は、LEDであることが好ましい。かかる構成によれば、制御が簡単である上に、消費電力を抑えて必要な光量の光を照射することができる。
【0018】
本発明の携帯電話機は、上記何れかの撮像装置を備えていることを特徴とする。かかる構成によれば、上記撮像装置を備えているため、被写体が人である場合、発光手段の発光による眩しさを緩和することができ、人の目に対する安全性がより高いものになる。また、眩しさが緩和されるため、被写体となる人が目を瞑ることも抑制される。そして、撮影時には、所定光量の光が被写体に照射されるため、光量不足になることがなく、適正な撮像を行うこともできる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、発光手段から照射された光による眩しさを緩和し、被写体となる人の目に対する安全性を高めることができ、さらに、被写体となる人を適正な状態で撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るに係る撮像装置のブロック図
【図2】同実施形態に係る撮像装置が備える発光手段の発光状態を説明するためのグラフ
【図3】同実施形態に係る撮像装置を搭載した携帯電話機の概略図であって、(a)は、正面図、(b)は、背面図
【図4】同実施形態に係る撮像装置(携帯電話機)の処理フロー図
【図5】本発明の他実施形態に係る撮像装置が備える発光手段の発光状態を説明するためのグラフであって、(a)は、所定光量まで一定の割合で段階的に光量を多くするようにした発光手段の発光状態を示すグラフ、(b)は、所定光量まで光量の増加率を変化させつつ段階的に光量を多くするようにした発光手段の発光状態を示すグラフ、(c)は、所定光量まで光量を二次曲線的に多くするようにした発光手段の発光状態を示すグラフ、(d)は、所定光量まで光量を三次曲線的に多くするようにした発光手段の発光状態を示すグラフ、(e)は、所定光量まで光量の一定時間おきに光量を断続的に多くするようにした発光手段の発光状態を示すグラフ、(f)は、所定光量まで光量の変更時間を変えつつ光量を断続的に多くするようにした発光手段の発光状態を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1に示す如く、本実施形態に係る撮像装置1は、被写体Mを撮像する際に、被写体Mに向けて所定光量の光を照射する発光手段2を備えている。
【0023】
より具体的に説明すると、撮像装置1は、光学系3が内装された鏡筒装置4と、光学系3を介して透過する像を撮像する撮像素子5と、自動的に露出を決定するAE手段6と、被写体Mを撮像する際に、被写体Mに向けて所定光量の光を照射する発光手段2と、発光手段2の発光タイミングを出力する発光タイミング出力手段7と、発光手段2の光量を制御する発光制御手段8とを備えている。
【0024】
また、撮像装置1は、被写体Mからの光を検出する光検出手段9を備えている。さらに、撮像装置1は、光検出手段9を備えることを前提に、光検出手段9が検出した光から得られる画像を画像処理して被写体Mの顔の位置を認識する顔認識手段10を備えている。
【0025】
鏡筒装置4に内装された光学系3は、絞り機構11や、単数又は複数のレンズ12等で構成されている。
【0026】
撮像素子5は、被写体Mからの光を像として取得できるように構成されたフォトダイオードやCMOS(CCD等の固体撮像素子)であり、本実施形態においては、CMOSが採用されている。そして、撮像素子5は、撮像中心が光学系3(レンズ12)の光軸に一致させた状態と配置されている。
【0027】
AE手段6は、CPUやRAM等を備えた制御基板(図示しない)で構成され、内部処理によって、撮像素子5が検出した光(像)から輝度値を算出し、その輝度値を基に露出(絞り値とシャッター速度の組み合わせ)を自動的に決定するように構成されている。
【0028】
発光タイミング出力手段7は、CPUやRAM等を備えた制御基板(図示しない)で構成され、撮像素子5による撮像タイミングに対応して発光手段2を発光させる旨の信号を発光制御手段8に向けて出力するように構成されている。
【0029】
発光手段2は、発光タイミング出力手段7から出力される信号に基づき、発光制御手段8から発光する旨の指示を受けて発光するようになっている。発光手段2には、閃光放電管を採用することができるが、本実施形態においては、LEDが採用されている。
【0030】
発光制御手段8は、CPUやRAM等を備えた制御基板(図示しない)で構成される。発光制御手段8は、AE手段6が算出した輝度値や、発光タイミング出力手段7からの信号が入力され、その入力を基に発光手段2に対して発光指示を出すようになっている。
【0031】
また、発光制御手段8は、図2に示す如く、発光手段2の光量を所定光量になるまで次第に多くするように構成されている。すなわち、発光制御手段8は、撮像素子5で被写体Mを撮像するときに撮影環境に応じた所定光量となるように、撮像素子5で被写体Mを撮像する前の所定時間T内(例えば、2秒〜3秒)の間に発光手段2の発光量をゼロから所定光量まで連続的又は断続的に増加させるように構成されている。本実施形態に係る発光制御手段8は、所定時間T内に発光手段2の発光量を連続的で且つ比例的に増加させるように構成されている。
【0032】
さらに、本実施形態に係る発光制御手段8は、光検出手段9による光の検出結果を基に発光手段2の発光量(光量)を制御するようになっている。すなわち、発光制御手段8は、撮像素子5で被写体Mを撮像するまでの所定時間Tの間に光検出手段9が検出した被写体Mからの光を基に、現状の明度を把握し、その現状に応じた発光量になるように発光手段2を制御するようになっている。本実施形態において、発光制御手段8は、光検出手段9の検出結果から得られる光の輝度値を基に発光手段2の光量を制御するようになっている。
【0033】
図1に戻り、光検出手段9は、フォトダイオードやCMOS(CCD等の固体撮像素子)であり、本実施形態においては光検出手段9としてCMOSが採用されている。そして、本実施形態に係る撮像装置1は、撮像素子5が光検出手段9として機能するようになっている。すなわち、被写体Mを画像として撮像する撮像素子5と、被写体Mからの光を検出する光検出手段9とを別個独立に設けることも可能であるが、本実施形態に係る撮像装置1は、撮像素子5が被写体Mからの光を像として取得することに着目し、撮像素子5が光検出手段9として兼用されている。
【0034】
なお、本実施形態において、撮像素子5と光検出手段9とは同一のものではあるが、光検出手段9は、撮像素子5が被写体Mを撮像する前(被写体Mの像を静止画又は動画として取り込んで記憶する(記憶媒体に固定する)前)の光の検出を対象とするものであるため、便宜上、以下の説明において、被写体Mの像を静止画又は動画として取り込んで記憶する前の処理を対象とするときは光検出手段9とし、被写体Mの像を静止画又は動画として取り込むことを対象とするときは撮像素子5として使い分けることとする。
【0035】
顔認識手段10は、少なくとも撮像素子5で被写体Mを撮像する(画像を取り込み)前段階、すなわち、撮像素子5で被写体Mを撮像するまでの所定時間Tの間に被写体Mの顔を認識するようになっている。
【0036】
本実施形態に係る撮像装置1は、光検出手段9が検出した光から得られる画像を画像処理する画像処理手段13を備えており、顔認識手段10は画像処理手段13の一構成として設けられている。画像処理手段13は、CPUやRAM等を備えた制御基板(図示しない)で構成され、内部処理によって画像処理や顔認識を行うようになっている。なお、図1に示すブロック図において、AE手段6、発光タイミング出力手段7、発光制御手段8、及び画像処理手段13は、それぞれ独立しているが、実際には、それぞれの処理が独立しているだけで、これらは共通の制御基板で構成される。
【0037】
顔認識技術として、種々の手法が提供されているが、本実施形態においては、予め設定された顔のパターン(例えば、目、鼻、口等の配置パターン)と、取得した画像とのマッチングを行うことで、顔のパターンと一致する又は概ね一致する領域を人の顔であると認識するようにしている。
【0038】
本実施形態に係る撮像装置1は、携帯電話機15に搭載される。上記構成の撮像装置1を搭載した携帯電話機15は、図3(a)に示す如く、正面に操作画面16や操作ボタン17…を備え、操作ボタン17…に対する押し操作で、通話に関する操作やカメラ(撮像装置1)に対する操作、その他の機能を実行させるための操作を行えるようになっている。また、この携帯電話機15は、図3(b)に示す如く、上記構成の撮像装置1の略全体が内装されており、背面に発光手段2及び光学系3(レンズ12)のみが露呈している。
【0039】
かかる携帯電話機15は、図1に示す如く、各種機能を制御するための携帯電話機15側の制御装置14に撮像装置1の制御基板(画像処理手段13及び発光制御手段8等)が電気的に接続されており、携帯電話機15の操作ボタン17…の操作で発光手段2の発光や撮像素子5による撮像を実行させるようになっている。
【0040】
本実施形態に係る撮像装置1及びこれを搭載した携帯電話機15は、以上の構成からなり、次に、これらの作動について説明する。
【0041】
まず、撮像装置1(光学系3)を被写体Mに向けた状態で、発光手段2を発光させる(実際には撮像素子5による撮像を実行させる)操作ボタン17…を操作する。そうすると、発光タイミング出力手段7から発光制御手段8に信号が入力され、発光制御手段8は、図4に示す如く、発光手段2に対して発光を開始するよう指示し、これに対応して発光手段2が発光を開始する(S10)。
【0042】
そして、発光制御手段8は、発光手段2の光量が所定光量になるまで次第に多くなるように発光手段2に対して発光指示を行う。これに伴い、発光手段2は、時間経過に対応して発光量をゼロから比例的に増加させるように発光する。
【0043】
本実施形態においては、上述の如く、光検出手段9が被写体Mからの光を検出するようになっているため、発光手段2の発光で被写体Mに照射された光(被写体Mで反射する光)を光検出手段9が検出し、発光手段2の光量の増加傾向が適正であるか否かが判断され、適正でないと判断された場合には、発光制御手段8が発光手段2に対して適正発光量で発光するように指示を出す。本実施形態においては、光検出手段9が検知する光についてもAE手段6が輝度値を経時的に算出するようになっており、発光制御手段8は、AE手段6が算出した輝度値を基に被写体Mからの光の状態を把握し、発光手段2の発光量を制御する。
【0044】
本実施形態においては、顔認識手段10が被写体である人Mの顔を認識するようになっているので、発光制御手段8は、顔認識手段10が人Mの顔と認識した領域についての輝度値を基に被写体Mからの光の状態を把握し、発光手段2の発光量を制御する。すなわち、被写体である人Mの顔に照射される光で眩しさを感じない、或いは感じにくいように、発光手段2の光量を制御する。
【0045】
そして、上述の如く、AE手段6が輝度値を算出し(S30)、AE手段6の算出結果(輝度値)が所定光量(撮影環境に応じた必要光量)に到達したかどうかが判断される(S40)。そして、輝度値が所定光量に到達していないと判断される(S40でNO)と、発光制御手段8は、発光手段2に対して光量を増加させるよう指示し、これに対応して発光手段2が光量を増加させて発光する(S20)。
【0046】
そして、発光手段2の光量が増加すると、再度、AE手段6が被写体Mからの光(光検出手段9が検出した光)を基に輝度値を算出(測定)する(S20)。そして、輝度値が所定光量に到達していないと判断される(S40でNO)と、発光制御手段8は、発光手段2に対して光量を増加させるよう指示し、これに対応して発光手段2が光量を増加させて発光する(S20)。このように、輝度値が所定光量に到達しないと判断される(S40でNO)間は、発光制御手段8は、繰り返し発光手段2に対して光量を増加させるよう指示することになる。
【0047】
そして、AE手段6の算出結果が所定光量に到達したと判断される(S40でYES)と、発光制御手段8は、発光手段2に対して光量を増減させることなく一定に維持しつつ発光するよう指示を出し、これに対応して発光手段2は一定の光量(所定光量)で発光を維持することになる。すなわち、発光制御手段8は、撮像素子5による撮像が完了するまで、発光手段2に対して所定光量で発光するように指示し、これに対応して発光手段2が発光する。
【0048】
その後、撮像素子5による撮像が行われ(S50)、画像が静止画又は動画として取り込まれることで、一連の処理が完了する(END)。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る撮像装置1は、発光手段2の光量を制御する発光制御手段8を備え、発光制御手段8は、発光手段2の光量を所定光量になるまで次第に多くするように構成されているので、被写体Mに向けて照射される光量が次第に多くなる。従って、発光手段2から所定光量の光が被写体Mに対して一度に照射されないため、被写体が人Mである場合、発光手段2の発光による眩しさを緩和することができ、人Mの目に対する安全性がより高いものになる。また、眩しさが緩和されるため、被写体Mとなる人Mが目を瞑ることも抑制される。さらに、発光手段2の光量を次第に多くすることで、人Mの目が発光手段2からの光に徐々に馴染むため、赤目の発生が防止される。そして、撮影時には、所定光量の光が被写体Mに照射されるため、光量不足になることがなく、適正な撮像を行うこともできる。
【0050】
また、本実施形態に係る撮像装置1は、被写体Mからの光を検出する光検出手段9を備え、発光制御手段8は、光検出手段9の検出結果に基づいて発光手段2の光量を制御するように構成されているので、発光手段2の発光による光量が所定光量になるまでの間に、被写体である人Mに対して過度に光が照射されることがなく、確実に眩しさを緩和することができる。
【0051】
さらに、本実施形態に係る撮像装置1は、光検出手段9が検出した光から得られる画像を画像処理して被写体Mの顔の位置を認識する顔認識手段10を備えているので、眩しさを感じる目を含む領域を認識することで、その領域に対して過度な光を照射するのを防止でき、発光手段2の発光による眩しさを確実に緩和することができる。
【0052】
本実施形態に係る撮像装置1は、光検出手段9によって検出された被写体Mからの光が撮像に必要な所定光量に達したときに、発光制御手段8が発光手段2の光量を一定に維持させるように構成されているので、発光手段2から必要以上の光が照射されず、消費電力を抑えることができる。
【0053】
また、本実施形態に係る撮像装置1は、発光手段2にLEDを採用したので、制御が簡単である上に、消費電力を抑えて必要な光量の光を照射することができる。
【0054】
そして、本実施形態に係る携帯電話機15は、上記構成の撮像装置1を搭載しているので、被写体が人Mである場合、発光手段2の発光による眩しさを緩和することができ、人Mの目に対する安全性がより高いものになる。また、眩しさが緩和されるため、被写体Mとなる人Mが目を瞑ることも抑制される。そして、撮影時には、所定光量の光が被写体Mに照射されるため、光量不足になることがなく、適正な撮像を行うこともできる。
【0055】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0056】
上記実施形態において、発光手段2の光量が所定光量になるまで連続的で且つ比例的に多くなるように発光制御手段8が発光手段2を発光させるように構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、発光制御手段8は、図5(a)及び図5(b)に示す如く、発光手段2を連続的に発光させつつその光量を段階的に多くするように構成してもよい。すなわち、発光制御手段8は、図5(a)に示す如く、発光手段2を連続的に発光させつつ、その光量を単位時間毎に一定量多くするようにしたり、図5(b)に示す如く、発光手段2を連続的に発光させつつ、その光量を単位時間毎に異なる割合で多くするようにしたりしてもよい。また、発光制御手段8は、図5(c)及び図5(d)に示す如く、発光手段2を連続的に発光させつつその光量を時間との関係で高次関数的に多くするように構成してもよい。すなわち、発光制御手段8は、図5(c)に示す如く、発光手段2を連続的に発光させつつ、その光量を時間との関係で二次関数的に多くするようにしたり、図5(d)に示す如く、発光手段2を連続的に発光させつつ、その光量を時間との関係で三次関数的に多くするようにしたりしてもよい。
【0057】
さらに、発光制御手段8は、発光手段2を連続的に発光させつつその光量を次第に多くするように構成したが、例えば、発光制御手段8は、図5(e)及び図5(f)に示す如く、発光手段2を間欠的に発光させつつ、発光手段2が発光する度にその光量が多くするようにしてもよい。すなわち、発光制御手段8は、図5(e)に示す如く、発光手段2を間欠的に発光させ、発光手段2が発光する度にその光量を一定量多くするようにしたり、図5(f)に示す如く、発光手段2を間欠的に発光させ、発光手段2が発光する度にその光量を異なる割合で多くするようにしたりしてもよい。
【0058】
上記実施形態において、顔認識手段10を設け、被写体である人Mの顔に対する光の輝度(光量)が適正になるように発光手段2の光量を制御するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、顔認識手段10を設けることなく、光検出手段9が検出した光全体から得られる像(画像)を基に光量(輝度)を把握するようにしてもよい。但し、被写体である人Mに対して眩しさを効率的に軽減させるには、眩しさを感じる目を含む領域(顔)を認識した上で、発光手段2の光量を制御することが好ましいことは言うまでもない。
【0059】
上記実施形態において、光検出手段9と撮像素子5とを共通した構成にしたが、これに限定されるものではなく、被写体Mの画像を取り込むことを目的とする撮像素子5と、被写体Mからの光を検出することを目的とする光検出手段9とを別個独立して設けるようにしてもよい。但し、撮像装置1の小型化を考慮すれば、上記実施形態と同様に光検出手段9と撮像素子5とを共通した構成にすることが好ましいことは言うまでもない。
【0060】
上記実施形態において、発光手段2の光量が所定光量になったときに、発光手段2の光量を一定状態で維持させるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、発光手段2の光量が所定光量になるのに併せて撮像素子5が被写体Mの撮像を行い、この撮像の完了に併せて発光手段2の発光を終了させるようにしてもよい。
【0061】
上記実施形態において、発光手段2にLEDを採用したが、これに限定されるものではなく、例えば、発光手段2に閃光放電管を採用してもよい。但し、発光手段2に閃光放電管を採用した場合、連続的な発光をさせることができないため、例えば、図5(e)及び図5(f)に示す如く、発光手段2(閃光放電管)を間欠的に発光させるように構成し、発光手段2が発光するたびに光量が多くなるように構成すればよい。
【0062】
上記実施形態において、撮像装置1を搭載した携帯電話機15について説明したが、上記構成の撮像装置1は携帯電話機15に搭載されることに限定されるものではなく、例えば、一般的なデジタルカメラの撮像装置1としても勿論よい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、被写体を撮像する際に、被写体に向けて所定光量の光を照射する発光手段と、発光手段の光量を制御する発光制御手段を備え、発光制御手段が発光手段の光量を所定光量になるまで次第に多くするように構成されることによって、発光手段から照射された光による眩しさを緩和し、被写体となる人の目に対する安全性を高めることができ、さらに、被写体となる人を適正な状態で撮像することが必要な用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0064】
1 撮像装置
2 発光手段
3 光学系
4 鏡筒装置
5 撮像素子
6 AE手段
7 発光タイミング出力手段
8 発光制御手段
9 光検出手段
10 顔認識手段
11 絞り機構
12 レンズ
13 画像処理手段
14 制御装置
15 携帯電話機
16 操作画面
17 操作ボタン
M 被写体(人)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する際に、被写体に向けて所定光量の光を照射する発光手段を備えた撮像装置において、発光手段の光量を制御する発光制御手段を備え、発光制御手段は、発光手段の光量を所定光量になるまで次第に多くするように構成されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体からの光を検出する光検出手段を備え、発光制御手段は、光検出手段の検出結果に基づいて発光手段の光量を制御するように構成されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
光検出手段が検出した光から得られる画像を画像処理して被写体の顔の位置を認識する顔認識手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
発光制御手段は、光検出手段により検出された被写体からの光が撮像に必要な所定光量に達したときに、発光手段の光量を所定光量で維持させることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
発光手段は、LEDであることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の撮像装置を備えていることを特徴とする携帯電話機。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−13459(P2011−13459A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157604(P2009−157604)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】