説明

撮像装置、及び撮像装置の制御方法

【課題】光学ファインダーを覗きながらでも、表示品質を落とさず正確な顔検出を行うことができるようにする技術を提供すること。
【解決手段】撮像装置は、被写体像を観察する光学ファインダー16と、光学ファインダー16に向かって導かれる被写体像の光を用いて被写体像中の顔を検出する顔検出手段15と、被写体像中に所定の表示を行う表示部40と、制御手段42を有する。制御手段42は、顔検出手段15により被写体像中の顔の検出を行うときに、表示部40による所定の表示を停止させ、顔検出手段15による顔検出が終了したら、表示部40による所定の表示を再開させるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子スチルカメラ等の撮像装置に関し、特に、顔検出機能を供えた撮像装置の制御技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、多くのデジタルカメラ、特にコンパクトカメラにおいて、人間の顔を検出し、それを利用してオートフォーカス(AF)をより正確に行う機能が搭載されている。顔を検出する一般的な方法としては、次のものが知られている。すなわち、レンズを通して、撮像素子上に結像された被写体像を光電変換して電気信号として取り込み、それをマイクロコンピュータが解析し、眉や人間の黒眼と白眼のコントラストなどの情報を基に、顔の位置を特定する。より正確に顔を検知しオートフォーカスを行うために、特許文献1では、誤ったオートフォーカスをしないように、検出された顔領域よりも一定の割合だけ小さい領域でオートフォーカスすることで背景に抜けることを防ぐといった方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−66458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一眼レフカメラの場合においては、コンパクトカメラと異なり、撮像素子の前面(被写体側)に、ペンタプリズムに光を導くミラーがあり、またその先(撮像素子側)には露光を制御する為のシャッターがある。その為、一眼レフカメラの場合において、顔検出を行うためには、ペンタプリズムに導かれた光を、撮像素子上に取り込む必要がある。しかし、ペンタプリズムに導かれる光を利用する場合、ピント板(フォーカシングスクリーン)上に配置されている、オートフォーカスを行う焦点調節エリア(AF枠)情報を表示する為の液晶表示が被写体の顔と重なり、正確な顔検出が出来ないことが起こり得る。こうしたことがあるので、顔検出を行う時に液晶を消灯する必要が出てくる。且つ、AF枠の表示品質を落とさない為にも、消灯を行い顔検出する間隔は、一定周期で行う必要もある。しかしこのようにすると、もし顔が検知できなかった場合、次の顔検出を行うまで、カメラは、顔がどこか把握出来ない状態になってしまうことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑み、本発明の撮像装置は、被写体像を観察する光学ファインダーと、光学ファインダーに向かって導かれる被写体像の光を用いて被写体像中の顔を検出する顔検出手段と、被写体像中に所定の表示を行う表示部と、制御手段を有する。制御手段は、顔検出手段により被写体像中の顔の検出を行うときに、表示部による前記所定の表示を停止させ、顔検出手段による顔検出が終了したら、表示部による前記所定の表示を再開させるように制御する。
【0006】
また、上記課題に鑑み、本発明の撮像装置の制御方法は、以下の工程を有する。光学ファインダーに向かって導かれる被写体像の光を用いて被写体像中の顔を検出する顔検出工程。前記顔検出工程において、被写体像中の顔の検出を行うときに、表示部による所定の表示を停止させ、顔検出工程における顔検出が終了したら、表示部による前記所定の表示を再開させるように制御する制御工程。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、前記表示部による前記所定の表示を上述した様に制御するので、光学ファインダーを覗きながらでも、表示品質を落とさず且つ顔認識を正確に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例の前提となる構成を示す撮像装置の実施形態の概略ブロック図。
【図2】実施形態として適用した撮像装置の正面外観図と背面外観図。
【図3】測光開始時の基本的な流れを示したフローチャート。
【図4】顔検出機能設定を行う為のGUIイメージ、AF枠選択機能設定を行う為のGUIイメージ、顔検出をしない場合の測光開始時のフローチャートを示す図。
【図5】顔検出をする場合の測光開始時の流れを示したフローチャート。
【図6】測光時の液晶表示と測光センサーと顔検出処理のタイミングチャート、タイミングチャート中の各状態における光学ファインダー内のイメージを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特徴は、表示品質を落とさず且つ顔認識を正確に行える様に、顔検出手段により被写体像中の顔の検出を行うときに、表示部による所定の表示と顔検出手段による顔検出とを交互に行うことにある。この考え方に基づき、本発明の撮像装置及びその制御方法は、課題を解決するための手段のところで述べた様な基本的な構成を有する。
【0010】
以下に、本発明の実施形態ないし実施例を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。まず、図1と図2を用いて、実施例の前提となる構成を示す撮像装置の実施形態を説明する。図1はカメラの構成を示した図であり、図2はカメラの外観形状を示した図である。
【0011】
図1において、100は、交換可能な撮影レンズを搭載するレンズユニットであり、200は、撮像装置全体を表している。レンズ5は通常、複数枚のレンズから構成されるが、ここでは簡略して一枚のレンズのみで示している。6は、レンズがカメラ側と通信を行う為の通信端子であり、10は、カメラがレンズ側と通信を行う為の通信端子である。レンズユニット100は、この通信端子6,10を介して、制御手段であるマイクロコンピュータ42と通信する。そして、内部のレンズシステム制御回路4によって、絞り駆動回路2を介して絞り1の制御を行い、AF駆動回路3を介してレンズ5の位置を変位させることで焦点を合わせる。11はAFセンサーで、マイクロコンピュータ42にデフォーカス量情報を出力し、それに基づいてマイクロコンピュータ42はレンズユニット100を制御する。
【0012】
12はクイックリターンミラーで、露光の際にマイクロコンピュータ42から指示されて、不図示のアクチュエータによりアップダウンされる。13はフォーカシングスクリーンで、撮影者は、ペンタプリズム14と光学ファインダー16を介して、フォーカシングスクリーン13を観察することで、レンズユニット100を通して得た被写体の光学像の焦点調節状態や構図の確認が可能となる。15は、顔を検出する顔検出手段であるAE顔検知処理回路で、レンズユニット100を通した被写体の輝度を測光し、且つ、被写体に顔があるか否かを検出し、顔を発見したか否かの情報や、顔の位置情報、顔の大きさ情報を算出する。また、これらの情報をマイクロコンピュータ42に通知することも行う。マイクロコンピュータ42は、顔検出を行うか否かの判定を行う判定手段をも含む。
【0013】
17はフォーカルプレーンシャッターで、マイクロコンピュータ42の制御で撮像素子20の露光時間を自由に制御できる。18は光学フィルターで、一般的にローパスフィルターなどから構成され、フォーカルプレーンシャッター17より入ってくる光の高周波成分をカットして、撮像素子20に被写体像を導光する。撮像素子20としては、一般的にCCDやCMOS等の撮像素子が用いられ、レンズユニット100を通して撮像素子20上に結像された被写体像を光電変換して電気信号として取り込む。
【0014】
21はAMP回路であり、取り込まれた電気信号に対して、設定されている撮影感度に応じたゲインで撮影信号を増幅する。22は、A/D変換回路で、撮像素子20によって電気信号に変換されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。23は画像処理回路で、A/D変換回路22によってデジタル信号に変換された画像データに対して、フィルター処理、色変換処理、ガンマー/ニー処理を行い、メモリーコントローラ27に出力する。また、この画像処理回路23は、D/A変換回路も内蔵している。そして、A/D変換回路22によってデジタル信号に変換された画像データやメモリーコントローラ27より入力される画像データをアナログ信号に変換して、液晶駆動回路24を介して液晶表示部25に出力することも可能である。これらの画像処理回路23による画像処理及び表示処理は、マイクロコンピュータ42により切り替えられる。また、マイクロコンピュータ42は、撮影画像のカラーバランス情報を基にホワイトバランス調整も行う。
【0015】
メモリーコントローラ27は、画像処理回路23から入力された未処理の画像データをバッファメモリー26に格納したり、或いは画像処理済みの画像データをメモリー28に格納したり、逆にバッファメモリー26やメモリー28から画像データを取り込んで画像処理回路23に出力したりもする。また、メモリーコントローラ27は、USB(Universal Serial Bus)、IEEE(Institute of Electrical and Electronics
Engineers)やHDMI(High-Definition
Multimedia Interface)などの外部インタフェース29を介して送られてくる画像データをメモリー28に格納したり、逆にメモリー28に格納されている画像データを外部インタフェース29を介して外部に出力したりすることも可能である。メモリー28は、着脱可能な様態でもよく、図1では、着脱可能な場合のメモリーとして図示している。具体的には、コンパクトフラッシュ(登録商標)を用いることができる。
【0016】
32はタイミング制御回路であり、この回路32を介してマイクロコンピュータ42は撮像素子20の駆動タイミングを制御する。35は電源制御回路であり、電力はAC電源部30もしくは2次電池部31より供給され、マイクロコンピュータ42から指示を受けることで電源のオンオフを行う。また、電源状態検知回路34により検知された現在の電源状態の情報や電源種類検知回路33により検知された現在の電源の種類の情報をマイクロコンピュータ42に通知することも行う。
【0017】
36はシャッター制御回路であり、この回路を介してマイクロコンピュータ42はフォーカルプレーンシャッター17を制御する。37は光学フィルター振動制御回路であり、光学フィルター18に接続されている圧電素子19を振動させる回路である。光学フィルター18からのダスト除去のために、振動の振幅、振動時間、振動の軸方向をそれぞれ所定の値で圧電素子19を振動させるように、マイクロコンピュータ42の指示に従い振動させる。38は不揮発性メモリー(EEPROM)で、撮影者が任意に設定したシャッター速度、絞り値、撮影感度などの設定値やデータをカメラに電源が入れられていない状態でも、保存することができる。
【0018】
39は温度検出回路であり、カメラ内部の温度を検出する。40はファインダー内液晶表示部で、ファインダー内液晶駆動回路41を介して、現在オートフォーカスが行われている焦点調節エリア(AF枠)を示す枠や、カメラが認識している被写体の顔の位置を示す枠などが表示される。この様なファインダー内液晶表示部40としては、高いコントラストを得やすいPN(Polymer Network)液晶などを用いて、その光拡散性を利用した遮光型のスーパーインポーズ表示を行うものがある。また、表示部に、EL(エレクトロルミネセンス)などを用いることもできる。
【0019】
図2(a)、(b)は、それぞれ撮像装置全体200の外観形状背面と外観形状前面を示し、図1と共通する部分は、同じ記号で示している。図2(a)において、201はレリーズ釦である。釦201を半押しすることで、被写体の輝度の測定や合焦を行ったり、また、顔検出機能が有効な場合は、被写体の顔がどこにあるかの測定を行ったりする。また、釦201を全押しすることで、シャッターが切られ画像の撮影が行われる。202はメイン電子ダイヤルである。撮影者は、この電子ダイヤル202を回すことで、シャッター速度や絞りなどの設定値の設定を行ったり、拡大モード状態での拡大倍率の微調整を行ったりする。図2(a)では、レンズマウントの開口からミラー12が露出して見えている。
【0020】
図2(b)において、203はサブ電子ダイヤルである。撮影者は、この電子ダイヤル203を回すことで、絞りや露出補正などの設定値の設定を行ったり、画像表示状態での画像の1枚送り操作などを行ったりする。204は電源スイッチである。電源スイッチ204を回すことで電源のON及びOFFを行う。205は、各種設定を行う為のスイッチ群である。これらのスイッチ群205には、カメラ内外の記録媒体に保存されている画像を液晶表示部25に表示させる再生指示釦や、各種設定画面を液晶表示部25に表示させる為の設定画面表示指示釦などがある。撮影者はこれらのスイッチを押下することにより、各種設定を行う為の画面を表示させたり、撮影画像の確認を行ったりすることなどが可能となる。また、スイッチ群205には、顔検出機能を有効にするかを設定する設定手段も含まれる。206はAF枠選択釦である。選択手段であるAF枠選択釦206の操作で、複数のAF枠からカメラが自動でAF枠を選択する自動選択モードと撮影者が任意でAF枠を手動で選択する任意選択モードのいずれかを選択することができる。撮影者は、このスイッチ206を押下し、ファインダー内液晶表示部40や液晶表示部25に、選択可能なAF枠選択機能を表示させる。そして、メイン電子ダイヤル202やサブ電子ダイヤル203を操作することで、任意選択や自動選択といったAF枠選択機能を設定することが出来る。以上の様に、本発明の撮像装置は、被写体像を観察する光学ファインダーと、光学ファインダーに向かって導かれる被写体像の光を用いて被写体像中の顔を検出する顔検出手段と、被写体像中に所定の表示を行う表示部と、制御手段を少なくとも有する。制御手段は、後述する様に、顔検出手段により被写体像中の顔の検出を行うときに、表示部による前記所定の表示を停止させ、顔検出手段による顔検出が終了したら、表示部による前記所定の表示を再開させるように制御する。
【0021】
(実施例)
上記撮像装置の実施形態を前提とした本発明の実施例を図3と図4を参照して説明する。まず、図3を参照して、本実施例による、レリーズ釦201を半押下した時の測光を行う動作について説明する。図3において、ステップS10で、測光開始釦が押下されているか否か(ここではレリーズ釦201が半押しされているか否か)の判定を行い、押下されていればステップS11に進み、押下されていなければ終了する。ステップS11では、顔検出機能の設定がされているか否かの判定を行い、設定がされていれば、ステップS12に進み、されていなければ、ステップS16に進む。なお、顔検出機能の設定は、撮影者が後述の図4(a)に示すGUI画面上から、メイン電子ダイヤル202やサブ電子ダイヤル203を操作し選択することで、マイクロコンピュータ42により設定される。ステップS16については、後に詳述する。
【0022】
ステップS12では、AF枠選択機能が自動選択であるか否かの判定を行い、自動選択が設定されていれば、ステップS13に進み、されていなければ、ステップS16に進む。なお、AF枠選択機能の設定は、撮影者が、AF枠選択機能釦206を押下し、図4(b)に示すGUI画面上から、メイン電子ダイヤル202やサブ電子ダイヤル203を操作し選択することで、設定される。ステップS13では、顔検出周期カウンターを1つ増やす。ステップS14では、顔検出周期カウンターが閾値を超えているか否かを判定し、超えていれば、ステップS15に進み、超えていなければ、ステップS16に進む。この閾値を超えているか否かの判定を行うステップにより、顔検出が一定回数行われたなら顔検出を行わない様にされる。ステップS15に関しては、後に詳述する。ステップS17では、顔検出周期カウンターをクリアする。ここでは、以上の様に、選択手段による選択の結果、自動選択モードが選択されている時で、且つ、設定手段による設定の結果、顔検出機能が有効である時に、判定手段は顔検出を行うと判定することになる。なお、図4(b)の任意選択モードで示されている画面は、左から順に、次の通りである。通常の1点AF。1点AFより狭いポイントにピントを合わせることができるスポット1点AF。任意に選択したAF枠とそれに隣接する上下左右4点のAF枠でピント合わせを行う領域拡大AF。任意に選択したAF枠とそれに隣接する周辺8点のAF枠でピント合わせを行う領域拡大AF。基本的に最も近距離にある被写体にピントを合わせるワンショットAF。ここで、任意選択モードが選択されている時にも顔検出を行うようにすることができる。ただし、その際、顔検出に影響が大きいと思われる表示(例えば、図4(b)の左側の4つ)に対しては後述の消灯制御を行い、影響が小さいと思われる表示(例えば、図4(b)の最右側の1つ)に対しては消灯制御を行わないようにしても良い。
【0023】
次に、図4(c)を用いて、ステップ16について詳述する。まず、ステップS100で、AE顔検知処理回路15に内蔵されているAEセンサーへの蓄積を開始する。ステップS101では、AEセンサーの蓄積が終了したか否かの判定を行い、蓄積が終了していたら、ステップS102に進み、終了していなかったら、ステップS101に戻る。ステップS102では、AE顔検知処理回路15により被写体の輝度が算出される。ここでは、当然、顔検出は行われない。図3のフローチャートに示す様に、この輝度算出が終了したら、ステップ11に戻り、顔検出機能の設定がされているか否かの判定を再び行う。
【0024】
次に、図5を参照して、図3のステップS15の動作を詳細に説明する。まず、ステップS200で、ファインダー内液晶駆動回路41を介して、ファインダー内液晶表示部40に表示されている液晶表示を消灯する。ステップS201では、AE顔検知処理回路15に内蔵されているAEセンサーへの蓄積を開始する。ステップS202では、AEセンサーの蓄積が終了したか否かの判定を行い、蓄積が終了していたら、ステップS203に進み、終了していなかったら、ステップS202に戻る。ステップS203では、AE顔検知処理回路15により被写体の輝度が算出される。ステップS204では、AE顔検知処理回路15により、被写体に顔を発見したか否かの情報や、顔の位置情報、顔の大きさ情報などが算出される。ステップS205では、ステップS204で取得された顔を発見したか否かの情報を基に、顔を発見したか否かの判定を行い、発見している場合は、ステップS206に進み、発見できていない場合は、ステップS200に戻る。ステップS206では、ファインダー内液晶駆動回路41を介して、ファインダー内液晶表示部40に表示されている液晶表示を再度点灯する。なお、本明細書で「液晶表示の消灯」とは、液晶による表示を無くす(停止する)ことで、これは、液晶分子の並び方(配向)を非表示状態に制御したり、配向はそのままでLEDなどの光源を消灯したりすること等を指す。反対に、「液晶表示の点灯」とは、液晶による表示を開始することで、これは、液晶分子の並び方(配向)を表示状態に制御したり、配向はそのままでLEDなどの光源を点灯したりすること等を指す。表示状態と非表示状態との間で、液晶に対する電圧印加状態や光源の状態をどの様に変化させるかは、液晶表示部の種類、構造などによって異なる。したがって、例えば、光源の点灯・消灯を伴わないで、表示状態で液晶への電圧印加をオンし、非表示状態で液晶への電圧印加をオフしたりすることもあるが、必ずしもこうした駆動態様とは限らない。
【0025】
ここで、より具体的に説明する為に、図6を用いて、1回目の顔検出処理では顔が発見できたが、2回目の顔検出処理で顔が発見できずリトライし、リトライの結果顔が発見できた場合の表示の見え方について説明する。
【0026】
まず、1回目の顔検出処理を行うために、図6(A)の(a)から(b)に示すタイミングで、液晶が消灯される。この時の光学ファインダー内の表示は、図6(B)の(a)から(b)に示すイメージ図のように、表示が切り替わる。次に、図6(A)の(b)から(c)に示すタイミングで、AE顔検知処理回路15により顔に関する情報が算出され、顔が発見されているので、液晶が再点灯される。この時の光学ファインダー内の表示は、図6(B)の(b)から(c)に示すイメージ図のように、表示が切り替わる。その後、2回目の顔検出処理を行うために、図6(A)の(c)から(d)に示すタイミングで、液晶が消灯される。この時の光学ファインダー内の表示は、図6(B)の(c)から(d)に示すイメージ図のように、表示が切り替わる。この様に、判定手段は、顔が発見された場合は、一回前の顔検出から一定周期経過後に顔検出を行うと判定する。
【0027】
ここで、先程と同様、AE顔検知処理回路15により顔に関する情報が算出されるが、顔が発見できなかったので、液晶は消灯したままとなる。この時の光学ファインダー内の表示は、図6(B)の(d)から(e)に示すイメージ図のように、表示される。顔が発見できなかった場合のリトライとして、図6(A)の(e)から(f)に示すタイミングで、AE顔検知処理回路15により顔に関する情報が算出され、今度は、顔が発見されているので、液晶が再点灯される。この時の光学ファインダー内の表示は、図6(B)の(e)から(f)に示すイメージ図のように、表示が切り替わる。ここでは、図6(A)に示す様に、顔検出手段による顔検出の結果、顔が見つからなかった場合、判定手段は、次の一定周期が経過するよりも前に、再度顔検出を行うと判定することになる。以上の様に、本発明の撮像装置の制御方法は、少なくとも次の工程を有する。光学ファインダーに向かって導かれる被写体像の光を用いて被写体像中の顔を検出する顔検出工程。顔検出工程において、被写体像中の顔の検出を行うときに、表示部による所定の表示を停止させ、顔検出工程における顔検出が終了したら、表示部による前記所定の表示を再開させるように制御する制御工程。
【0028】
以上のように制御することで、光学ファインダー16を覗きながらでも、顔認識を正確に行うことが可能になる。また、実際には、上述した液晶の点灯と消灯の間の間隔は、非常に短い時間の為、表示品質上で撮影者が気になることはない。それゆえ、撮影者は、ストレスを感じることもなく、光学ファインダーを見ながら、被写体に集中して撮影に臨むことが出来るようになる。以上の構成において、表示部40による所定の表示は、典型的にはAF枠であるが、カメラが認識している被写体の顔の位置を示す枠や、AF枠と顔の位置の枠の両方などであってもよい。いずれにせよ、本発明は、こうした表示による正確な顔検出への悪影響を無くそうとするものである。
【0029】
なお、上述した実施例の処理は、各機能を具現化したソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或いは装置に提供してもよい。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによって、前述した実施例の機能を実現することができる。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピィ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどを用いることができる。或いは、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROMなどを用いることもできる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施例の機能が実現されるだけではない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれている。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリーに書きこまれてもよい。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含むものである。
【0030】
以上、本発明の好ましい実施形態ないし実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態ないし実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0031】
15・・顔検出手段(AE顔検知処理回路)、16・・光学ファインダー、40・・表示部(液晶表示部)、42・・制御手段(マイクロコンピュータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を観察するための光学ファインダーと、
前記光学ファインダーに向かって導かれる被写体像の光を用いて被写体像中の顔を検出するための顔検出手段と、
前記光学ファインダーに導かれる被写体像中に所定の表示を行うための表示部と、
前記顔検出手段により被写体像中の顔の検出を行うときに、前記表示部による前記所定の表示を停止させ、前記顔検出手段による顔検出が終了したら、前記表示部による前記所定の表示を再開させるように制御するための制御手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記表示部は、焦点調節エリアの表示を行うための液晶表示部であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
複数の焦点調節エリアから自動で焦点調節エリアを選択する自動選択モードと手動で焦点調節エリアを選択する任意選択モードのいずれかを選択するための選択手段と、
前記顔検出手段の顔検出機能を有効にするか否かを設定するための設定手段と、
前記顔検出手段による顔検出を行うか否かを判定するための判定手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記判定手段による判定の結果、顔検出を行うと判定された場合に、前記表示部による前記所定の表示を停止させ、前記顔検出手段による顔検出が終了したら、前記表示部による前記所定の表示を再開させるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記判定手段は、一回前の顔検出から一定周期経過後に顔検出を行うと判定することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記選択手段による選択の結果、自動選択モードが選択されている時で、且つ、前記設定手段による設定の結果、顔検出機能が有効である時に、顔検出を行うと判定することを特徴とする請求項3または4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記顔検出手段による顔検出の結果、顔が見つからなかった場合は、次の一定周期が経過するよりも前に、再度顔検出を行うと判定することを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
被写体像を観察するための光学ファインダーと、前記光学ファインダーに導かれる被写体像中に所定の表示を行うための表示部を具備する撮像装置の制御方法であって、
前記光学ファインダーに向かって導かれる被写体像の光を用いて被写体像中の顔を検出する顔検出工程と、
前記顔検出工程において、被写体像中の顔の検出を行うときに、前記表示部による前記所定の表示を停止させ、前記顔検出工程における顔検出が終了したら、前記表示部による前記所定の表示を再開させるように制御する制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項8】
複数の焦点調節エリアから自動で焦点調節エリアを選択する自動選択モードと手動で焦点調節エリアを選択する任意選択モードのいずれかを選択する選択工程と、
前記顔検出工程における顔検出機能を有効にするか否かを設定する設定工程と、
顔検出を行うか否かを判定する判定工程と、
を有し、
前記制御工程において、前記判定工程における判定の結果、顔検出を行うと判定された場合に、前記表示部による前記所定の表示を停止させ、前記顔検出工程における顔検出が終了したら、前記表示部による前記所定の表示を再開させるように制御することを特徴とする請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記表示部として、焦点調節エリアの表示を行うための液晶表示部を用いることを特徴とする請求項7または8に記載の制御方法。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−247736(P2012−247736A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121537(P2011−121537)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】