撮像装置、撮像方法
【課題】撮像素子部に対して入射される電磁波を透過状態/遮蔽状態を切り換えて結像画像検出を行う撮像装置の小型化。
【解決手段】複数個の画素を有する撮像素子部と、外部からの電磁波を上記撮像素子部に画像として結像させる撮像光学系とを有する撮像装置において、撮像素子部への電磁波の透過及び遮蔽を行う透過/遮蔽部を、撮像光学系における開口絞り位置に配置する。透過/遮蔽部はアクチュエータによって透過状態と遮蔽状態に反復駆動される。そして透過状態となっているときの撮像素子部の画素の出力と、遮蔽状態となっているときの撮像素子部の画素の出力との差動信号を撮像画像信号出力とする構成とする。
【解決手段】複数個の画素を有する撮像素子部と、外部からの電磁波を上記撮像素子部に画像として結像させる撮像光学系とを有する撮像装置において、撮像素子部への電磁波の透過及び遮蔽を行う透過/遮蔽部を、撮像光学系における開口絞り位置に配置する。透過/遮蔽部はアクチュエータによって透過状態と遮蔽状態に反復駆動される。そして透過状態となっているときの撮像素子部の画素の出力と、遮蔽状態となっているときの撮像素子部の画素の出力との差動信号を撮像画像信号出力とする構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は撮像装置に関わり、赤外線等の電磁波から画像を得る場合に好適なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2004−317152号公報
【背景技術】
【0003】
従来から、例えば、赤外線を検出する画素で構成される赤外線センサを用いて物体を撮像し、撮像対象の物体の温度を測定する赤外線撮像装置(サーモグラフィ等)が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
この赤外線撮像装置は、レンズと撮像素子とから構成されているが、これら2つの構成要素に、それぞれ非常に高価なデバイスを使用している。レンズには、赤外線波長領域での透過率の良好な、Ge(ゲルマニウム)、ZnS(硫化亜鉛)、Si(シリコン)等の非常に高価なレンズ群を使用しなければならない。
例えば、Geレンズは一枚1万円〜5万円であり、レンズを2枚から5枚組にして使用している。そのため、必要な解像度にもよるが、レンズ群だけでトータル2万円〜25万円ものコストになってしまう。
現状のGeレンズに使用されるゲルマニウムは希少金属であり、市場流動量が非常に少ないために、材料単価が5万円〜18万円/kgと非常に高価である。
【0005】
レンズの代替材料として、例えば、より安価なZnS(硫化亜鉛)を使用することが考えられる。しかしながら、ZnSは、材料単価は安いが、加工生産性が悪いために加工コストがかさむことになる。その結果、レンズとしての価格がGeレンズとそれほど変わらなくなってしまう。
Siレンズは、Geレンズよりは廉価であるが、遠赤外領域(8〜14μm)での透過率が落ちるために、サーモグラフィには不向きである。
従って、希少金属を使わずに、コストが安く透過率も落とさないレンズは、現在実現されていない。上述したように、遠赤外線サーモグラフィを代表としたテラヘルツ波全般用の撮像装置に於いて、安価なレンズが提案されていない。
【0006】
一方、撮像素子は、マイクロボロメータと呼ばれる、VOx(酸化バナジウム)で作られた画素を一つ一つ空中で支持する中空構造となっている。
この中空構造が必要とされる理由は、熱型の赤外線センサであり、かつVOxの抵抗温度係数α(TCR:Temperature Coefficient Resistance)が低い為に、回路系の自己発熱等によるノイズレベルとのS/Nが悪く、熱絶縁のために中空構造にせざるを得ないからである。
そのため、このマイクロボロメータは、生産性が非常に悪く、非常に高価なデバイスとなっていた。
また、VOxではスパッタ又は蒸着又は気相成長等により製造しなければならないうえ、空中構造を作る為のエッチング工程が配線や回路を製造するための半導体プロセスとの相性が悪く、別プロセスで作る必要がある。これらもマイクロボロメータが高価になる原因となっている。
【0007】
現状では、上述した高コストの構成であるために、赤外線撮像装置としての価格が低画素品で60万円、高画素品で900万円程となっている。このため、赤外線撮像装置は、業務用市場向けのみが製品化されており、民生用として市場を拡大するに至っていない。
遠赤外線サーモグラフィ以外のテラヘルツ波撮像装置も、サーモグラフィと同様の状況であり、サーモグラフィと比較しても、更に高価なのもある。
【0008】
現状の遠赤外線サーモグラフィの用途としては、産業用の設備温度管理、防衛/保安上の物体温度検出、高級車用の夜間人体検出用ナイトビジョン、医療用の体温検出程度に限られており、全世界出荷量でも年間1万台〜2万台程度にとどまっている。
さらに、テラヘルツ波用の撮像装置に至っては、殆ど生産されていないのが実情である。
【0009】
従来の赤外線撮像装置(サーモグラフィ等)やテラヘルツ撮像装置等の撮像装置と比較して、安価に赤外線センサを構成するには、例えば、焦電素子を使用することが考えられる。焦電素子を遠赤外線検出用途に使用した例としては、自動ドア、エアコン、TVの前に人が居ることを検出する人感センサ等が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、これまで提案されている、焦電素子を使用した赤外線センサは、単画素や4画素程度までの構成であり、それらも被写体をイメージングするようなものではなく、人が横切るかどうかを検出するだけしか機能が無かった。
これは、焦電素子は温度変化に応じてその出力が変化するため、静定している対象物は検出できないからである。
【0011】
そのため、焦電素子を使用したイメージャで撮像するためには、チョッパー機能として、イメージャの全面を解放と遮光を繰り返す光チョッパーを用いなければならない。
例えば、図16に示すように、焦電素子を使用したイメージャ(撮像素子)103の前に、遮光材として、開口102を有する円形の光チョッパー101を配置する。そして、一点鎖線で示す中心線を回転軸として、光チョッパー101を回転させることにより、光Lがイメージャ103に照射されたり、遮光されてイメージャ103には照射されなくなったりする。これにより、入射する光Lに対して、イメージャ103の焦電素子から出力を得て、被写体の画像を得ることができる。
【0012】
しかし、この構成とした場合には、図16から明らかなように、光チョッパー101自体が大型なものとなり、また光チョッパー101を回転させるために、入射する撮像用の光Lの範囲に対して非常に大きなスペースが必要となっていた。
そこで本開示では、より小型化が可能な撮像装置構成を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の撮像装置は、複数個の画素を有する撮像素子部と、外部からの電磁波を上記撮像素子部に画像として結像させる撮像光学系と、上記撮像光学系における開口絞り位置に配置され、上記撮像素子部に対して電磁波の透過及び遮蔽を行う透過/遮蔽部と、上記透過/遮蔽部を、透過状態と遮蔽状態に反復駆動するアクチュエータと、上記透過/遮蔽部が透過状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力と、上記透過/遮蔽部が遮蔽状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力との差動信号を撮像画像信号出力とする出力部とを備える。
【0014】
本開示の撮像方法は、複数個の画素を有する撮像素子部と、外部からの電磁波を上記撮像素子部に画像として結像させる撮像光学系とを有する撮像装置の撮像方法として、上記撮像光学系における開口絞り位置に配置され、上記撮像素子部の複数個の画素に対して電磁波の透過及び遮蔽を行う透過/遮蔽部を、透過状態と遮蔽状態に反復駆動し、上記透過/遮蔽部が透過状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力と、上記透過/遮蔽部が遮蔽状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力との差動信号を撮像画像信号出力とする撮像方法である。
【0015】
このような本開示では、撮像素子部の画素に対して電磁波の透過及び遮蔽を行う透過/遮蔽部を、撮像光学系における開口絞り位置に配置する。開口絞り位置は、各画角からの入射光束が集中する位置であり、この開口絞り位置に透過/遮蔽部を配置することで、小型の透過/遮蔽部により有効な透過状態、遮蔽状態を得ることができる。
なお、開口絞り位置とは、撮像光学系内で絞りが形成される位置近辺であって、各画角からの入射光束が集中する位置をいう。開口絞り位置に配置されるという意味は、透過/遮蔽部が、絞りとしての部材に対して、他の光学素子を介さずに隣接して配置されるか、或いは透過/遮蔽部の一部が絞り部材と一体に形成されるという意味である。
【発明の効果】
【0016】
本開示の技術により、小型の透過/遮蔽部によって撮像素子部に対する電磁波の透過/遮蔽を行うことが可能となる。これによって撮像素子部として例えば焦電素子等を使用した撮像装置の著しい小型化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本開示の第1の実施の形態の撮像光学系の説明図である。
【図2】実施の形態の可動スリット板の説明図である。
【図3】実施の形態の可動スリット板を開口絞り位置に配置することの説明図である。
【図4】実施の形態の撮像装置の構成のブロック図である。
【図5】実施の形態の焦電撮像素子の出力信号の説明図である。
【図6】第2の実施の形態の撮像光学系の説明図である。
【図7】第3の実施の形態の撮像光学系の説明図である。
【図8】第4の実施の形態の撮像光学系の説明図である。
【図9】第5の実施の形態の撮像光学系の説明図である。
【図10】バイモルフピエゾ素子の説明図である。
【図11】バイモルフピエゾ素子を用いたアクチュエータの説明図である。
【図12】ローレンツ力の説明図である。
【図13】ローレンツ力アクチュエータの説明図である。
【図14】実施の形態の筐体構造の説明図である。
【図15】実施の形態の筐体内のアクチュエータ配置の説明図である。
【図16】従来の光チョッパーを用いた撮像装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施の形態を次の順序で説明する。実施の形態の撮像装置は、イメージセンサとして焦電センサを用いた赤外線撮像装置とする。
<1.第1の実施の形態>
[1−1 撮像光学系の構成]
[1−2 撮像装置構成]
<2.第2の実施の形態>
<3.第3の実施の形態>
<4.第4の実施の形態>
<5.第5の実施の形態>
<6.バイモルフピエゾアクチュエータ>
<7.ローレンツ力アクチュエータ>
<8.撮像光学系の筐体構造例>
<9.変形例>
【0019】
<1.第1の実施の形態>
[1−1 撮像光学系の構成]
第1の実施の形態の撮像装置について説明する。まず図1A、図1Bで撮像光学系を説明する。
図1A、図1Bに示すように、撮像光学系として物体側から像面側にかけて第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ14の3つのレンズが設けられている。
この例では第1レンズ11、第3レンズ14は平凸型レンズ、第2レンズ12はメニスカスレンズとされている。
また、第1レンズ11〜第3レンズ14の何れかの間に、開口絞り13が設けられる。図1では一例として、第2レンズ11と第3レンズ14との間に開口絞り13が形成される場合を示している。
また開口絞り13に隣接した位置(開口絞り位置)に、透過/遮蔽部SHを構成する固定スリット板20と可動スリット板30が配置されている。
【0020】
そしてこのような撮像光学系によって導かれた入射光(電磁波)は、カバーガラス15を介してイメージセンサ16に照射される。
なお、第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ14、開口絞り13、固定スリット板20、可動スリット板30は、同一鏡筒内に配置される。
また図1A、図1Bにおいて、赤外光の入射光線を示しているが、実線で示す光線は像高0mmに集光する光線、破線で示す光線は、例えば像高1.5mmに集光する光線、点線で示す光線は例えば像高3.5mmに集光する光線、一点鎖線で示す光線はイメージセンサ16の端部として例えば像高5.0mmに集光する光線、即ち画角端部からの光線としている。なお、このような図示は、後述する図6〜図9も同様とする。
【0021】
イメージセンサ16は、撮像光学系により集光された赤外線を検出し、被写体からの赤外線に応じた赤外線検出信号を得る。
赤外線検出信号を得るにあたってイメージセンサ16が備えるべき赤外線検出素子としては、例えば焦電素子を用いたものを挙げることができる。
ここで、焦電素子による赤外線検出素子が設けられる場合、イメージセンサ16に入射する赤外光を周期的に遮蔽するためのシャッタ(透過/遮蔽部SH)を設けることになる。
これは、焦電素子が、温度自体に応じた値を出力するものではなく、温度差(温度変化)に応じた値を出力する素子とされることに対応させるためである。すなわち、焦電素子に入射される赤外光の周期的な透過状態/遮蔽状態を作り出すことにより、意図的に温度差を発生させ、それにより、静止状態の物体についても、適正な温度分布画像(赤外線撮像画像)が得られるようにするものである。
【0022】
実施の形態では、このように少なくとも第1レンズ11、第2レンズ12、開口絞り13、第3レンズ14を有する撮像光学系を備え、さらに焦電素子を用いたイメージセンサ16を有する撮像装置として、主に遠赤外線領域(8μm〜12μm)に対応し、かつ小型化を実現する撮像装置を構成する。
このために、透過/遮蔽部SHとなる固定スリット板20と可動スリット板30が開口絞り位置に配置されるようにしている。
【0023】
なお、開口絞り位置とは、撮像光学系内で開口絞り13が形成される位置近辺であって、各画角からの入射光束が集中する位置である。図1では、図示の都合上、開口絞り13に対して固定スリット板20と可動スリット板30がやや離れて示しているが、実際には、固定スリット板20と可動スリット板30は、できるだけ開口絞り13に近接して配置される。
【0024】
可動スリット板30の平面図を図2に示している。
可動スリット板30は、図示のように平板本体31にスリットSLが形成された構成とされる。スリットSLにより、透過部32と遮蔽部33が形成される。なお、スリットSLは、スリット線方向(図中横方向)に垂直方向(図中縦方向)となる透過部32の幅と遮蔽部33の幅が同一として、交互に形成されている。
この可動スリット板30は例えば、アルミや銅の平板本体31をエッチング加工によってスリットを形成したものである。
また、後述するが、平板本体31の2カ所(図2中、右上箇所及び左下箇所)が、アクチュエータの接合部55に接合され、平板本体31がアクチュエータによって反復駆動されるように構成されている。
図1A、図1Bは、この可動スリット板30を、スリットSLの断面図として示している。なお図1A、図1Bにおいて遮蔽部33を黒塗り部、透過部32を破線部としている。
【0025】
固定スリット板20は、開口絞り13に隣接して、固定的に配置されており、可動スリット板30と同様に平板状の本体にスリットSLが形成されている。これにより図1に示すように透過部22(破線部)と遮蔽部23(黒塗り部)が交互に形成されたものとされている。
図1A、図1Bからわかるように、固定スリット板20と可動スリット板30は、透過部22、32の幅(透過部幅)W1と遮蔽部23、33の幅(遮蔽部幅)W2は、W1=W2とされている。つまり固定スリット板20、可動スリット板30において透過部幅W1と遮蔽部幅W2は1:1となっている。
【0026】
図1A、図1Bには、この固定スリット板20と可動スリット板30による透過状態と遮蔽状態を示している。
まず図1Aは透過状態である。固定スリット板20と可動スリット板30は、隣接配置されるが、この透過状態においては、遮蔽部23の位置と遮蔽部33の位置が重なり、また透過部22の位置と透過部32の位置が重なるように、固定スリット板20に対して可動スリット板30が位置する。
この透過状態においては、入射光は、透過部22、32を介して透過し、最終的にイメージセンサ16に達する。
【0027】
一方、図1Bは遮蔽状態である。遮蔽状態においては、遮蔽部23の位置と透過部32の位置が重なり、また透過部22の位置と遮蔽部33の位置が重なるように、固定スリット板20に対して可動スリット板30が位置する。つまり、可動スリット板30が、図1Aの状態から、スリット幅分だけ矢印D方向に移動された状態であり、開口絞り13の内径部分全体が遮蔽部(23,33)によって閉じられることとなる。
従ってこの遮蔽状態においては、入射光が全て遮蔽部33、23で遮蔽されることになり、つまりイメージセンサ16に対して入射光が遮蔽される。
【0028】
可動スリット板30が、この図1Aの位置状態と図1Bの位置状態との間で、反復駆動されることで、イメージセンサ16に対する入射光の透過/遮蔽が実行されることになる。これがイメージセンサ16に対するシャッタ動作となる。
【0029】
透過/遮蔽部SH(固定スリット板20と可動スリット板30)を開口絞り位置に設置することの利点について図3で説明する。
図3Aは、イメージセンサ16の中央部(像高0mm)に入る光線(実線)と、端部(例えば像高5.0mm)の画素に入る光線(一点鎖線)を表している。
開口絞り位置PNについてみると、中央部の光線も端部の光線も同じ光束であるが、それ以外の場所では異なっていることがわかる。
【0030】
図3Bは透過/遮蔽部SHを配置する位置を、開口絞り位置PN以外の場所にした場合における透過状態を表している。
この場合、中央部の光線は概ねほとんどが透過部32により透過/遮蔽部SHを通過しているが、端部の光線は透過状態(シャッタ開放状態)にもかかわらず、ほとんどが遮蔽部33で遮られて透過/遮蔽部SHを通過できない状態であることがわかる。
【0031】
そして図3Cは透過/遮蔽部SHを配置する位置を開口絞り位置PNにした場合の透過状態を表している。
このように開口絞り位置PNでは、中央部の光線も端部の光線も同じ光束であるため、どちらも同様の通過光量となっていることがわかる。つまりどの画角からの光も、遮蔽部によるロスは同程度である。
【0032】
即ち本例では、透過部22、32、遮蔽部23,33を形成するスリットSLを有する固定スリット板20と可動スリット板30により透過/遮蔽部SHを設けるに際して、これを開口絞り位置PNに配置することで、透過状態において、すべての画素に均一に光量を通過させることを可能とするものである。
換言すれば、例えば図3Bのように開口絞り位置PN以外の場所に透過/遮蔽部SHを配置しようとする場合、その端部の光線までも含めて適切に透過させるには、全ての光線に対応して広い面積の透過部を備えたシャッタ構成が必要になる。例えば図16の光チョッパー101のような構成である。これは透過/遮蔽部SHの大型化が余儀なくされることになる。本例の場合、光束が同径で集中する開口絞り位置PNに配置することで、透過/遮蔽部SHを大型化せずとも、中央部の光も端部の光も光量差なくイメージセンサ16に照射できる。つまり透過/遮蔽部SHの小型化が実現できることになる。
【0033】
[1−2 撮像装置構成]
以上の撮像光学系を備えた本実施の形態の撮像装置構成を図4に示す。
図示のとおり本例の撮像装置1は、撮像光学系2、イメージセンサ16、画像信号取得部4、画像信号処理部5、制御部6、アクチュエータドライバ7、アクチュエータ8を有して構成される。
【0034】
撮像光学系2は図1で説明したとおり、第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ14、開口絞り13、透過/遮蔽部SH(固定スリット板20と可動スリット板30)により構成されている。
撮像光学系2は、入射光Liとして示す被写体(物体)からの赤外光(赤外線)をイメージセンサ16の撮像面(像面)に集光する。
【0035】
イメージセンサ16は、撮像光学系2により集光された赤外線を検出し、被写体からの赤外線に応じた赤外線検出信号を得る。上述のとおり本例では焦電素子により構成される。
そして、このイメージセンサ16の各画素(焦電素子)に対しては、撮像光学系2内の透過/遮蔽部SHで図1Aの透過状態と図1Bの遮蔽状態が繰り返されることで、入射光Liが断続的に結像される。
【0036】
図5はイメージセンサ16の画素からの出力信号を示している。
図5において期間TAは静定時、期間TBは透過/遮蔽部SHが遮蔽状態から透過状態に至る期間、期間TCは透過/遮蔽部SHが透過状態から遮蔽状態に至る期間である。
【0037】
期間TAは透過/遮蔽部SHが静定している期間であるが、被写体が動かない限り、画素出力は0Vである。
期間TBとして、透過/遮蔽部SHが遮蔽状態から透過状態へ遷移すると、画素には電磁波が入る為、出力電圧は+方向へ推移する。
次に期間TCとして、透過/遮蔽部SHが透過状態から遮蔽状態へ遷移すると、電磁波が遮断される為、−方向へ出力が下がっていく。
以降、透過/遮蔽部SHの可動スリット板30の反復移動に応じて、期間TAの出力と期間TBの出力が繰り返される。
【0038】
このような画素出力において、ピーク時の差動出力分、つまり入射光輝度としての電圧値と遮光時輝度としての電圧値の差分電圧が、画素の純粋な被写体温度出力となる。この動作をくりかえすことによりイメージセンサ16はサーモグラフィーとして機能している。
【0039】
画像信号取得部4は、イメージセンサ16により得られる赤外線検出信号、つまり上記図5のような画素(焦電素子としての赤外線検出素子)ごとの出力信号を入力して、赤外線撮像画像信号を得る。即ち1つの画素の出力信号のピーク時の差動出力値を1画素の被写体温度検出信号とする。そして全画素の当該信号を、赤外線撮像画像信号として後段に出力する。
【0040】
画像信号処理部5は、画像信号取得部4で得られた撮像画像信号について各種の画像信号処理を施す。例えば、黒レベル補正、画素欠陥補完、収差補正、光学シェーディング補正、レンズディストーション補正、温度調整、距離変化量の算出、コーディング等を行う。
画像信号処理部5からの出力は、図示しないがインターフェース等を介して、撮像装置の外部のディスプレイ(画像表示装置)等に送られる。
【0041】
制御部6は、撮像装置1の各部の制御を行う。例えば画像信号処理部5における処理の実行指示や係数設定を行う。また、透過/遮蔽部SHの可動スリット板30の駆動制御を行う。
【0042】
アクチュエータ8は、撮像光学系2における可動スリット板30を反復駆動する。
可動スリット板30を駆動するアクチュエータ8は、ローレンツ力アクチュエータ、ポリマーアクチュエータ、電磁石アクチュエータ、ピエゾアクチュエータ等が考えられる。なお、一例として、ピエゾアクチュエータの一種であるバイモルフピエゾ素子を使用したバイモルフピエゾアクチュエータと、ローレンツ力アクチュエータについては、その構成を後述する。
【0043】
アクチュエータ8はアクチュエータドライバ7によって駆動電力が印加されて駆動される。制御部6がアクチュエータドライバ7に駆動指示することで、アクチュエータドライバ7はアクチュエータ8に駆動電力を印加する。これによって可動スリット板30は、透過状態と遮蔽状態とが交互に切り換えられるように駆動されることになる。
【0044】
以上、第1の実施の形態について説明してきたが、第1の実施の形態では、固定スリット板20と可動スリット板30による透過/遮蔽部SHが形成されるとともに、その透過/遮蔽部SHが開口絞り位置に配置される。このため透過/遮蔽部SHの小型化が可能となり、焦電素子を利用したイメージセンサ16を用いる撮像素子の小型化が実現される。
特に透過/遮蔽部SHは、開口絞り位置における光束範囲にスリットSLを有する固定スリット板20と可動スリット板30を形成すればよく、例えば図16のような光チョッパー101と比較して、著しい小型化が可能である。しかも可動スリット板30は、そのスリット幅分だけ反復移動させる構成とすればよく、可動スリット板30のストローク長も大きくない。これらのことから撮像装置の小型化が促進できるものである。
【0045】
<2.第2の実施の形態>
以下、第2〜第5の実施の形態としての撮像光学系の構成、特に透過/遮蔽部SHの構成を説明していく。以降の実施の形態において、撮像装置全体構成は上記図4と同様と考えればよい。
【0046】
図6A、図6Bに、第2の実施の形態の撮像光学系の構成を示す。図6Aは透過状態、図6Bは遮蔽状態を示している。
図6A、図6Bにおいて第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ14、開口絞り13、カバーガラス15、イメージセンサ16については、図1と同様に示している。
この場合、透過/遮蔽部SHは、1つの固定スリット板20と、2つの可動スリット板30A、30Bにより構成されている。
そしてこの透過/遮蔽部SHは、開口絞り位置において、固定スリット板20の両側を挟むように可動スリット板30A、30Bが配置されている。
【0047】
固定スリット板20には透過部22(破線部)と遮蔽部23(黒塗り部)が設けられ、同様に可動スリット板30A、30Bにも透過部32(破線部)と遮蔽部33(黒塗り部)が設けられる。
この第2の実施の形態の場合、固定スリット板20、可動スリット板30A、30Bにおける透過部幅W1と遮蔽部幅W2は、2:1となっている。
【0048】
この場合、可動スリット板30Aと可動スリット板30Bは、それぞれ独立した図示しないアクチュエータにより、別個に駆動される。可動スリット板30Aは、図6Aの位置状態と、図6Bのように矢印DA方向に移動された位置状態の間を、反復駆動される。可動スリット板30Bは、図6Aの位置状態と、図6Bのように矢印DB方向に移動された位置状態の間を、反復駆動される。
【0049】
図6Aの透過状態では、固定スリット板20と可動スリット板30A、30Bは、遮蔽部23の位置と遮蔽部33の位置が重なり、また透過部22の位置と透過部32の位置が重なる。このため入射光は、透過部22、32を介して透過し、イメージセンサ16に達する。
一方、図6Bの遮蔽状態では、固定スリット板20の透過部22に重なるように、可動スリット板30A、30Bの遮蔽部23が位置する。これにより開口絞り13の内径部分全体が遮蔽部(23,33)によって閉じられることとなる。従ってイメージセンサ16に対して入射光が遮蔽される。
【0050】
このような第2の実施の形態の透過/遮蔽部SHによれば、第1の実施の形態と同様、小型化を実現できるとともに、以下の効果が得られる。
まず、固定スリット板20と可動スリット板30A、30Bにおいて、透過部幅W1と遮蔽部幅W2は、2:1のサイズとなる。これは図6Bからわかるように、遮蔽状態とするには、可動スリット板30A、30Bの遮蔽部33の組で、固定スリット板20の1つの透過部22を覆えばよいためである。そしてこのため図6Aの透過状態において、入射光は、開口絞り13の内径平面のほぼ2/3の領域を通過できる。つまり、先に述べた第1の実施の形態の図1Aの透過状態で、入射光が、開口絞り13の内径平面のほぼ1/2の領域を通過できることに比べて、イメージセンサ16への入射光量を多くできることとなる。従って第2の実施の形態では、第1の実施の形態よりも撮像感度を向上させることができる。
【0051】
また、可動スリット板30A、30Bは、矢印DA方向、矢印DB方向として示したように、互いに逆位相で反復駆動される。このため、可動スリット板を継続的に反復駆動することによる振動ノイズが低減される。
イメージセンサ16における焦電素子は圧電性をもつため、振動成分が加わると、赤外線検出画像上にノイズが発生する。このため可動スリット板の駆動による振動が大きくなることは撮像画像信号品質を劣化させ好ましくない。
この第2の実施の形態の場合、2つの可動スリット板30A、30Bが互いに逆相に駆動される。つまり透過状態から遮蔽状態になるときには、可動スリット板30AはDA方向、可動スリット板30BはDB方向に移動され、遮蔽状態から透過状態になるときには、可動スリット板30AはDB方向、可動スリット板30BはDA方向に移動される。
このような逆相移動によって、互いの移動による振動を打ち消し合うことになり、イメージセンサ16に加わる振動が低減される。これによって振動ノイズの発生を抑え、品質の良い撮像画像信号を得ることができる。
【0052】
<3.第3の実施の形態>
続いて図7A、図7Bで第3の実施の形態としての撮像光学系の構成を説明する。
図7Aは透過状態、図7Bは遮蔽状態を示している。
図7A、図7Bにおいて第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ14、開口絞り13、カバーガラス15、イメージセンサ16を有することは、図1と同様であるが、この例では、第1レンズ11、第2レンズ12をメニスカスレンズとした例を挙げている。また開口絞り13が第1レンズ11と第2レンズ12の間に配置されている例としている。レンズ構成や配置については、図1の例に限らず、例えばこの図7のような他の例も考えられる。また、各レンズの形状、さらにはレンズ枚数も多様に想定される。
【0053】
この第3の実施の形態は、透過/遮蔽部SHが、1つの固定スリット板20と、2つの可動スリット板30A、30Bにより構成されており、この点は第2の実施の形態と同様であるが、固定スリット板20が開口絞り13を兼ねる構成となっている。つまり絞り/スリット兼用板40が設けられている。
この絞り/スリット兼用板40は、円形開口の周囲が絞りとして機能しつつ、開口内径部分は、単純な開口ではなく多数のスリットが形成されて、図のように透過部22(破線部)と遮蔽部23(黒塗り部)が設けられている。
【0054】
そして絞り/スリット兼用板40に隣接して、可動スリット板30A、30Bが配置される。可動スリット板30A、30Bも、固定スリット板20と同様に透過部32(破線部)と遮蔽部33(黒塗り部)が設けられる。
この第3の実施の形態の場合、固定スリット板20、可動スリット板30A、30Bにおける透過部幅W1と遮蔽部幅W2は、2:1となっている。
【0055】
この場合、可動スリット板30Aと可動スリット板30Bは、それぞれ独立した図示しないアクチュエータにより、別個に駆動される。
可動スリット板30Aは、図7Aの位置状態と、図7Bのように矢印DA方向に移動された位置状態の間を、反復駆動される。可動スリット板30Bは、図7Aの位置状態と、図7Bのように矢印DB方向に移動された位置状態の間を、反復駆動される。
【0056】
図7Aの透過状態では、固定スリット板20と可動スリット板30A、30Bは、遮蔽部23の位置と遮蔽部33の位置が重なり、また透過部22の位置と透過部32の位置が重なる。このため入射光は、透過部22、32を介して透過し、イメージセンサ16に達する。
一方、図7Bの遮蔽状態では、固定スリット板20の透過部22に重なるように、可動スリット板30A、30Bの遮蔽部23が位置する。これにより開口絞り13の内径部分全体が遮蔽部(23,33)によって閉じられることとなる。従ってイメージセンサ16に対して入射光が遮蔽される。
【0057】
このような第3の実施の形態の透過/遮蔽部SHによれば、第1の実施の形態と同様、開口絞り位置に透過/遮蔽部SHが配置されることで、小型化を実現できる。
また第2の実施の形態と同様に、固定スリット板20と可動スリット板30A、30Bにおいて、透過部幅W1と遮蔽部幅W2は、2:1のサイズとなることで、透過状態におけるイメージセンサ16への入射光量を多くでき、撮像感度を向上させることができる。
また、可動スリット板30A、30Bが互いに逆位相で反復駆動されるため、振動ノイズの発生を抑え、品質の良い撮像画像信号を得ることができる。
これらに加えて、絞り/スリット兼用板40を用いることによって、構成を簡略化できる。
【0058】
なお、絞り/スリット兼用板40を用いる例を図1の構成に適用してもよい。即ち図1における開口絞り13と固定スリット板20に代えて、絞り/スリット兼用板40を用いることも当然考えられる。
【0059】
<4.第4の実施の形態>
続いて図8A、図8Bで第4の実施の形態としての撮像光学系の構成を説明する。
図8Aは透過状態、図8Bは遮蔽状態を示している。
図8において第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ14、開口絞り13、カバーガラス15、イメージセンサ16の構成は図1と同様としている。
【0060】
この第4の実施の形態は、透過/遮蔽部SHが、1つの固定スリット板20と、3つの可動スリット板30A、30B、30Cにより構成されている。
開口絞り13側から見て、可動スリット板30A、固定スリット板20、可動スリット板30B、可動スリット板30Cの順番で隣接配置されている。
【0061】
固定スリット板20には透過部22(破線部)と遮蔽部23(黒塗り部)が設けられ、同様に可動スリット板30A、30B、30Cにも透過部32(破線部)と遮蔽部33(黒塗り部)が設けられる。
この第4の実施の形態の場合、固定スリット板20、可動スリット板30A、30Bにおける透過部幅W1と遮蔽部幅W2は、3:1となっている。
【0062】
可動スリット板30A、30B、30Cは、それぞれ独立した図示しないアクチュエータにより、別個に駆動される。
可動スリット板30Aは、図8Aの位置状態と、図8Bのように矢印DB方向に、遮光部幅W2の分だけ移動された位置状態の間を、反復駆動される。
可動スリット板30Bは、図8Aの位置状態と、図8Bのように矢印DA方向に、遮光部幅W2の分だけ移動された位置状態の間を、反復駆動される。
可動スリット板30Bは、図8Aの位置状態と、図8Bのように矢印DA方向に、遮光部幅W2の2倍の分だけ移動された位置状態の間を、反復駆動される。
【0063】
図8Aの透過状態では、固定スリット板20と可動スリット板30A、30B、30Cは、遮蔽部23の位置と遮蔽部33の位置が重なり、また透過部22の位置と透過部32の位置が重なる。このため入射光は、透過部22、32を介して透過し、イメージセンサ16に達する。
一方、図8Bの遮蔽状態では、固定スリット板20の透過部22に重なるように、可動スリット板30A、30B、30Cの各遮蔽部23が位置する。つまり可動スリット板30A、30B、30Cの3つの遮蔽部33の組で、固定スリット板20の1つの透過部22を覆うようにする。これにより開口絞り13の内径部分全体が遮蔽部(23,33)によって閉じられることとなる。従ってイメージセンサ16に対して入射光が遮蔽される。
【0064】
このような第4の実施の形態の透過/遮蔽部SHによれば、第1の実施の形態と同様、開口絞り位置に透過/遮蔽部SHが配置されることで、小型化を実現できる。
また第2,第3の実施の形態よりも撮像感度を向上させることができる。これは透過部幅W1と遮蔽部幅W2が3:1となっていることによる。即ち図8Aの透過状態において、入射光は、開口絞り13の内径平面のほぼ3/4の領域を通過できることで、イメージセンサ16への入射光量を多くできる。
またこの場合、可動スリット板30Aと、可動スリット板30B、30Bとは、互いに逆位相で反復駆動される。逆相駆動される複数の可動スリット板を有することで、振動を低減でき、撮像画像信号に乗る振動ノイズを低減できる。
【0065】
なお、ここでは3枚の可動スリット板30A、30B、30Cを設けた例を述べたが、4枚の可動スリット板など、より多数の可動スリット板30を設けても良い。可動スリット板30の数を多くするほど、遮蔽部幅W2に対して透過部幅W1を広くでき、透過状態における通過光量を多くできるため感度向上に適している。但し、可動スリット板30の数が多いほど構成は複雑化するということはある。
【0066】
ところで、このように3枚以上の多数の可動スリット板30を設ける場合でも、第4の実施の形態で説明した、固定スリット板20と開口絞り13を兼用した、絞り/スリット兼用板40を用いても良い。その場合、配置順序は、絞り/スリット兼用板40、可動スリット板30A、可動スリット板30B、可動スリット板30Cとなるようにすればよい。
【0067】
<5.第5の実施の形態>
続いて図9A、図9Bで第5の実施の形態としての撮像光学系の構成を説明する。
図9Aは透過状態、図9Bは遮蔽状態を示している。
図9において第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ14、開口絞り13、カバーガラス15、イメージセンサ16の構成は図1と同様としている。
【0068】
この第5の実施の形態は、透過/遮蔽部SHが、2つの可動スリット板30A、30Bにより構成されている。固定スリット板20は設けられない例である。
そして2つの可動スリット板30A、30Bが開口絞り位置に隣接配置されている。
【0069】
可動スリット板30A、30Bには透過部32(破線部)と遮蔽部33(黒塗り部)が設けられる。
この第5の実施の形態の場合、可動スリット板30A、30Bにおける透過部幅W1と遮蔽部幅W2は、1:1となっている。
【0070】
可動スリット板30A、30Bは、それぞれ独立した図示しないアクチュエータにより、別個に駆動される。
可動スリット板30Aは、図9Aの位置状態と、図9Bのように矢印DA方向に、遮光部幅W2の1/2分だけ移動された位置状態の間を、反復駆動される。
可動スリット板30Bは、図9Aの位置状態と、図9Bのように矢印DB方向に、遮光部幅W2の1/2分だけ移動された位置状態の間を、反復駆動される。
【0071】
図9Aの透過状態では、可動スリット板30A、30Bは、それぞれの遮蔽部33の位置が重なり、またそれぞれの透過部32の位置が重なる。このため入射光は、透過部32を介して透過し、イメージセンサ16に達する。
一方、図9Bの遮蔽状態では、可動スリット板30A、30Bのそれぞれの透過部32と遮蔽部33が重なる位置状態となることで、開口絞り13の内径部分全体が可動スリット板30A、30Bの遮蔽部33によって閉じられることとなる。従ってイメージセンサ16に対して入射光が遮蔽される。
【0072】
このような第5の実施の形態の透過/遮蔽部SHによれば、第1の実施の形態と同様、開口絞り位置に透過/遮蔽部SHが配置されることで、小型化を実現できる。
またこの場合、可動スリット板30Aと、可動スリット板30Bとは、互いに逆位相で反復駆動される。逆相駆動される複数の可動スリット板を有することで、振動を低減でき、撮像画像信号に乗る振動ノイズを低減できる。
また、可動スリット板30A、30Bは、それぞれ遮光部幅W2の1/2だけ移動されればよく、反復駆動のストロークが短くできる。これによりアクチュエータ8の駆動信号振幅を低減でき、消費電力を低減できる。
【0073】
なお、ここでは2枚の可動スリット板30A、30Bを設けた例を述べたが、3枚の可動スリット板など、より多数の可動スリット板30を設けても良い。可動スリット板30の数を多くするほど、遮蔽部幅W2に対して透過部幅W1を広くでき、透過状態における通過光量を多くできるため感度向上に適している。
【0074】
<6.バイモルフピエゾアクチュエータ>
以上の各実施の形態で採用できるアクチュエータ8の具体例として、バイモルフピエゾアクチュエータの構成を説明する。
図10は、バイモルフピエゾ素子50を示している。この例はパラレル型と呼ばれているもので、中央電極51と、分極方向(矢印Pで示す)が同じ方向に向いている2枚の圧電体52と、2面の表面電極53で構成されている。
【0075】
中央電極51,表面電極53は、電極としての機能を兼ね備えた板状の可撓性部材で形成されている。
中央電極51は、圧電体52及び表面電極53よりも、図中上方に延伸され突出した状態となっている。
また、2面の表面電極53どうしは短絡されている。
このバイモルフピエゾ素子50では、中央電極51と、表面電極53との間に電位差V1を与えると、左右の圧電体52で分極方向と電圧が逆相でかかるため、左右の素子の片方が延び、他方が縮む。このため図中の矢印dACの方向に素子が駆動される。
【0076】
このようなバイモルフピエゾ素子50を用いたアクチュエータ8を図11で説明する。
アクチュエータ8は、2つのバイモルフピエゾ素子50を用いて構成する。
各バイモルフピエゾ素子50は、図10で説明したように、中央電極51、圧電体52、表面電極53を備える。これに加えて、各表面電極53の表面側には、表面を覆うように、表面電極53から絶縁された状態でシールド板54が配置される。
【0077】
各バイモルフピエゾ素子50の中央電極51の先端は、スリット板保持のための接合部55とされ、これが可動スリット板30に接合される。先に図2で示したように、可動スリット板30の平板本体31の対角線関係となる2カ所が、接合部55と接合される。
この構造により、一対のバイモルフピエゾ素子50で構成されるアクチュエータ8に、1つの可動スリット板30が保持される。
【0078】
2つの中央電極51、及び4つのシールド板54はグランドに接続されている。また4枚の表面電極53は短絡され、図4に示したアクチュエータドライバ7から駆動信号S1が印加される構成となっている。
この図11のように構成されるアクチュエータ8に対しては、例えば正弦波信号など、所定周期で+V1電圧/−V1電圧の印可を繰り返す交流電圧としての駆動信号S1を与える。
上記の圧電体52の分極状態及び結線の態様によれば、駆動信号S1の電圧レベルが+V1側に徐々に上昇することに応じては、圧電体52の形状変化に伴い、可撓性部材である中央電極51及び表面電極53が紙面左方向に徐々に撓んでいく。
また逆に、駆動信号S1の電圧レベルが徐々に−V1側低下することに応じては、中央電極51及び表面電極53が紙面右方向に徐々に撓んでいく。
この動作により、一対の中央電極51の先端に保持された可動スリット板30は、矢印dAC方向に往復移動することになる。この往復移動によって、各実施の形態として説明した透過状態と遮蔽状態が実現される。
なお、可動スリット板30の移動量は、駆動信号S1のレベルで調整できる。
【0079】
このようなバイモルフピエゾ素子50を用いたアクチュエータ8では、例えば後述のローレンツ力アクチュエータに比べて低消費電力とすることができる。
またバイモルフピエゾ素子は積層型ピエゾ素子等に比べ薄型化することが可能となり、装置の大型化を防ぐことが可能である。
【0080】
また可動スリット板30は、アルミや銅をエッチング加工によってスリットを形成したものである。そのため中央電極51と可動スリット板30は電気的に短絡してしまう。そのような状態で中央電極51に駆動電圧を印加すると可動スリット板30から電界ノイズが発生してしまう。電界ノイズが発生すると、イメージセンサ16として高感度の撮像素子を用いた場合には映像に乱れが生じてしまう。
そこで本例では、これを防止する為に中央電極51はグランド接続とし、表面電極53側に駆動信号S1を印加するようにしている。
さらに、表面電極53に正弦波が印加されているが、こちらも電界ノイズの発生源となっている。そこで各表面電極53の表面側に、グランド接続された導電板であるシールド板54を配置し、電界ノイズが映像に影響することを防止している。
【0081】
<7.ローレンツ力アクチュエータ>
アクチュエータ8の他の例として、ローレンツ力アクチュエータについて説明する。
ローレンツ力アクチュエータはピエゾアクチュエータよりもコストが下がるといった利点がある。
【0082】
図12はローレンツ力の発生原理について表している。
マグネットMGの表面付近には着磁の方向によって点線矢印Mdのような磁束が存在している。そして対向するコイルCLの実線矢印Cdのように電流を流すと、電流に比例した推力が図の矢印Pdのように発生する。この推力を用いて可動スリット板30を駆動している例を表しているのが図13である。
【0083】
図13A、図13Bはローレンツ力によるアクチュエータ8の模式的な正面図、側面図である。
このアクチュエータ8は、一対の弾性板71,72が基台部73上に設けられている。そして弾性板71,72の各先端の接合部75に、可動スリット板30が接合されて保持される。
また弾性板72の側面にはマグネットMGが装着される。
また図13Bに示すように(図13Aでは図示省略)、基台部73上には固定板74が設けられており、この固定板74にコイルCLが取り付けられている。この状態で、コイルCLはマグネットMGに対向配置される。
【0084】
この構成のアクチュエータ8では、アクチュエータドライバ7がコイルCLに駆動電流を与えることとなる。
コイルCLに電流を流すことによって、矢印Pdの方向に電流に比例した推力が発生し、弾性板71,72が矢印Pd方向に撓む。
この動作によって可動スリット板30が矢印dAC方向に往復移動されることになり、この往復移動によって、各実施の形態として説明した透過状態と遮蔽状態が実現される。
【0085】
なお、この図13A、図13Bの例では、可動側である弾性板72にマグネットMGが配置され、固定板74側で対向する位置にコイルCLが配置されている。
これに対して、可動側である弾性板72にコイルCLを配置し、固定板74にマグネットMGを配置する構成でも良い。
コイルCLとマグネットMGのどちらを固定側(固定板74)に配置するかについてはそれぞれ利点、欠点がある。
固定側にコイルCLを配置することの利点は、コイルCLに対する給電が容易であるという点である。可動側にコイルCLを配置すると給電するためのケーブルが可動スリット板30の駆動に伴って振動することとなる。よって耐振動を考慮したケーブルを使用するといった配慮が必要である。そのような配慮を必要としない点において固定側にコイルCLを配置することが好ましい。
一方、欠点としては、可動側の重量増加が挙げられる。一般的にコイルCLよりもマグネットMGの方が重い。よってマグネットMGを可動側に配置すると、可動側の重量増加に応じて駆動電流の増加といった欠点が存在する。
上記のような利点、欠点を総合的に判断し、コイルCLとマグネットMGのどちらを可動側に配置するかを決定することが望ましい。
【0086】
<8.撮像光学系の筐体構造例>
各実施の形態で説明したように、撮像光学系2には複数のレンズ(11,12,14)、開口絞り13、透過/遮蔽部SHが設けられる。
このような撮像光学系2及びイメージセンサ16を配置する筐体構造を説明する。
【0087】
図14Aは撮像光学系2を収納する筐体の外観を示し、図14Bはその断面図である。
なお、筐体内部の光学系構成は、図7A,図7Bで示した第3の実施の形態の構成を用いて例示している。
図14A、図14Bに示されるように筐体全体は、筐体本体60とベース61が組み合わされて形成されている。
そして図14Bに示すように、筐体内部において筐体本体60側に第1レンズ11,絞り/スリット兼用板40(開口絞り13及び固定スリット板20)が組み込まれ、ベース61側に第2レンズ12、第3レンズ14が保持され、またイメージセンサ16が配置されている。
さらに開口絞り位置、つまり絞り/スリット兼用板40に隣接して、可動スリット板30A、30Bが配置されている。
【0088】
このような筐体の材質はアルミ等の金属や樹脂であるが、導電性金属や導電性樹脂による導電性材料とすることが適切である。導電性材料で筐体を構成し、接地することで、外部から入ってくるノイズによって映像に乱れが生じることを防ぐことが可能となる。
また、可動スリット板30の動作不良をおこすような塵や埃が筐体内に入らないように、筐体は密閉構造になっているほうが望ましい。
【0089】
アクチュエータ8は、図15A、図15Bのように配置されている。図15Aは、図11で説明したバイモルフピエゾ素子50を用いたアクチュエータ8A,8Bがベース61上に配置されている様子を示し、図15Bは、アクチュエータ8A,8Bと可動スリット板30A、30Bのみを示したものである。
【0090】
可動スリット板30Aは、アクチュエータ8Aに保持される。即ち可動スリット板30Aの図中右上端部と左下端部が、アクチュエータ8Aにおける一対のバイモルフピエゾ素子50Aの各接合部55A(スリット板保持部)に接合されている。
可動スリット板30Bは、アクチュエータ8Bに保持される。即ち可動スリット板30Bの図中左上端部と右下端部が、アクチュエータ8Bにおける一対のバイモルフピエゾ素子50Bの各接合部55B(スリット板保持部)に接合されている。
【0091】
つまり2つのアクチュエータ8A,8Bは、それぞれ一対のバイモルフピエゾ素子50(図11の中央電極51部分)が互い違いに配置される。
特に、可動スリット板30Aを駆動するアクチュエータ8Aにおける一対の接合部55Aを結んだ線分(図15Bにおける一点鎖線a−a)と、他方の可動スリット板30Bを駆動するアクチュエータ8Bにおける一対の接合部55Bを結んだ線分(図15Bにおける一点鎖線b−b)が、概ね直交するように、各アクチュエータ8A,8Bが配置されている。
このように一点鎖線a−a、b−bが概ね直交するように配置することで、筐体内に省スペースにアクチュエータ8A,8Bを配置することが可能となる。各アクチュエータ8A,8B、それぞれ対角線上の2カ所で可動スリット板30A、30Bを保持することで、安定した保持及び駆動が可能となり、その上でアクチュエータ8A,8Bが重ならない配置とできるためである。
【0092】
なお、図15A、図15Bに示したようなアクチュエータ配置は、可動スリット板30が複数の場合に好適である。従って図7の場合だけでなく、図6、或いは図9の構成の場合の2つの可動スリット板30A、30Bについてのアクチュエータ8A,8Bとしても適している。
さらに、図8のように、より多数の可動スリット板30が設けられる場合も応用可能である。例えば図8における可動スリット板30A、30Bについてのアクチュエータ8A,8Bは、図15のように配置し、可動スリット板30Cのアクチュエータについては、2つのバイモルフピエゾ素子を、アクチュエータ8Aの横に並べる配置などとすればよい。
【0093】
<9.変形例>
以上、実施の形態について説明してきたが、本開示の技術は上述した構成以外にも多様な変形例が考えられる。
まず、固定スリット板20、可動スリット板30におけるスリット構造(透過部22,32と遮蔽部23,33の形状や配置パターン)は、上記例以外でもよい。
例えば上記の可動スリット板30では、直線状のスリット(厳密には長方形上の透過部32)としたが、曲線状、湾曲線状のスリット、折れ曲がり線状のスリットなども考えられる。さらに、透過部32と遮蔽部33が、市松模様を形成するように透過部が千鳥状に形成されたものでもよい。
即ちいずれにしても、透過/遮蔽部SHは、複数のスリット板を有し、その一部又は全部の移動により、透過状態と遮蔽状態を作り出すことができる構成であれば良い。
【0094】
また第2〜第4の実施の形態では、複数の可動スリット板30が、逆相駆動される例を挙げたが、全ての可動スリット板30が同相駆動されるものも考えられる。
【0095】
また光学系構成としては3つのレンズを有する例を述べたが、例えば4以上のレンズ、2以下のレンズを有する撮像光学系の場合でも、本開示の技術は適用できる。
【0096】
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)複数個の画素を有する撮像素子部と、
外部からの電磁波を上記撮像素子部に画像として結像させる撮像光学系と、
上記撮像光学系における開口絞り位置に配置され、上記撮像素子部に対して電磁波の透過及び遮蔽を行う透過/遮蔽部と、
上記透過/遮蔽部を、透過状態と遮蔽状態に反復駆動するアクチュエータと、
上記透過/遮蔽部が透過状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力と、上記透過/遮蔽部が遮蔽状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力との差動信号を撮像画像信号出力とする出力部と、
を備えた撮像装置。
(2)上記透過/遮蔽部は、複数のスリット板を有して形成される上記(1)に記載の撮像装置。
(3)上記透過/遮蔽部は、固定スリット板と、上記アクチュエータによって反復駆動される可動スリット板とを有して形成される上記(1)又は(2)に記載の撮像装置。
(4)上記可動スリット板を複数有する上記(3)に記載の撮像装置。
(5)互いに逆位相で反復駆動される複数の可動スリット板を有する上記(3)又は(4)に記載の撮像装置。
(6)上記固定スリット板は、上記撮像光学系における開口絞りを兼ねる構成とされている上記(3)乃至(5)のいずれかに記載の撮像装置。
(7)上記透過/遮蔽部の複数のスリット板の全部が、それぞれ上記アクチュエータによって反復駆動される可動スリット板とされている上記(2)に記載の撮像装置。
(8)互いに逆位相で反復駆動される複数の可動スリット板を有する上記(2)又は(7)に記載の撮像装置。
(9)上記アクチュエータは、ローレンツ力アクチュエータ、ポリマーアクチュエータ、電磁石アクチュエータ、ピエゾアクチュエータのいずれかである上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の撮像装置。
(10)上記アクチュエータは、バイモルフピエゾ素子を用いたピエゾアクチュエータであり、
上記バイモルフピエゾ素子は、
上記透過/遮蔽部に接続され、かつ接地された中央電極と、
上記中央電極の両面側にそれぞれ配置された圧電体と、
それぞれ上記圧電体の上記中央電極側とは逆側の面に配置され、互いに短絡されると共に交流の駆動電圧が印加される2つの表面電極と、
2つの上記表面電極のそれぞれに対して絶縁されて配置され、接地された導電板と、
を有して形成されている上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の撮像装置。
(11)上記透過/遮蔽部は、上記アクチュエータによって反復駆動される可動スリット板を複数有し、
複数の可動スリット板のうちの、或る可動スリット板を駆動するアクチュエータにおける一対のスリット板保持部を結んだ線分と、他の或る可動スリット板を駆動するアクチュエータにおける一対のスリット板保持部を結んだ線分とが、概ね直交するように、各アクチュエータが配置されている上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の撮像装置。
(12)内部に上記撮像光学系、上記撮像素子部、及び上記透過/遮蔽部を配置する筐体が、導電性材料で構成され、接地されている上記(1)乃至(11)のいずれかに記載の撮像装置。
(13)上記導電性材料は導電性樹脂である上記(12)に記載の撮像装置。
(14)上記撮像光学系、上記撮像素子部、及び上記透過/遮蔽部は、筐体内に密閉されて配置されている上記(1)乃至(13)のいずれかに記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0097】
1 撮像装置、2 撮像光学系、4 画像信号取得部、5 画像信号処理部、6 制御部、7 アクチュエータドライバ、8 アクチュエータ、11 第1レンズ、12 第2レンズ、13 開口絞り、14 第3レンズ、15 カバーガラス、16 イメージセンサ、20 固定スリット板、22 透過部、23 遮蔽部、30,30A,30B,30C 可動スリット板、32 透過部、33 遮蔽部、40 絞り/スリット兼用板
【技術分野】
【0001】
本開示は撮像装置に関わり、赤外線等の電磁波から画像を得る場合に好適なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2004−317152号公報
【背景技術】
【0003】
従来から、例えば、赤外線を検出する画素で構成される赤外線センサを用いて物体を撮像し、撮像対象の物体の温度を測定する赤外線撮像装置(サーモグラフィ等)が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
この赤外線撮像装置は、レンズと撮像素子とから構成されているが、これら2つの構成要素に、それぞれ非常に高価なデバイスを使用している。レンズには、赤外線波長領域での透過率の良好な、Ge(ゲルマニウム)、ZnS(硫化亜鉛)、Si(シリコン)等の非常に高価なレンズ群を使用しなければならない。
例えば、Geレンズは一枚1万円〜5万円であり、レンズを2枚から5枚組にして使用している。そのため、必要な解像度にもよるが、レンズ群だけでトータル2万円〜25万円ものコストになってしまう。
現状のGeレンズに使用されるゲルマニウムは希少金属であり、市場流動量が非常に少ないために、材料単価が5万円〜18万円/kgと非常に高価である。
【0005】
レンズの代替材料として、例えば、より安価なZnS(硫化亜鉛)を使用することが考えられる。しかしながら、ZnSは、材料単価は安いが、加工生産性が悪いために加工コストがかさむことになる。その結果、レンズとしての価格がGeレンズとそれほど変わらなくなってしまう。
Siレンズは、Geレンズよりは廉価であるが、遠赤外領域(8〜14μm)での透過率が落ちるために、サーモグラフィには不向きである。
従って、希少金属を使わずに、コストが安く透過率も落とさないレンズは、現在実現されていない。上述したように、遠赤外線サーモグラフィを代表としたテラヘルツ波全般用の撮像装置に於いて、安価なレンズが提案されていない。
【0006】
一方、撮像素子は、マイクロボロメータと呼ばれる、VOx(酸化バナジウム)で作られた画素を一つ一つ空中で支持する中空構造となっている。
この中空構造が必要とされる理由は、熱型の赤外線センサであり、かつVOxの抵抗温度係数α(TCR:Temperature Coefficient Resistance)が低い為に、回路系の自己発熱等によるノイズレベルとのS/Nが悪く、熱絶縁のために中空構造にせざるを得ないからである。
そのため、このマイクロボロメータは、生産性が非常に悪く、非常に高価なデバイスとなっていた。
また、VOxではスパッタ又は蒸着又は気相成長等により製造しなければならないうえ、空中構造を作る為のエッチング工程が配線や回路を製造するための半導体プロセスとの相性が悪く、別プロセスで作る必要がある。これらもマイクロボロメータが高価になる原因となっている。
【0007】
現状では、上述した高コストの構成であるために、赤外線撮像装置としての価格が低画素品で60万円、高画素品で900万円程となっている。このため、赤外線撮像装置は、業務用市場向けのみが製品化されており、民生用として市場を拡大するに至っていない。
遠赤外線サーモグラフィ以外のテラヘルツ波撮像装置も、サーモグラフィと同様の状況であり、サーモグラフィと比較しても、更に高価なのもある。
【0008】
現状の遠赤外線サーモグラフィの用途としては、産業用の設備温度管理、防衛/保安上の物体温度検出、高級車用の夜間人体検出用ナイトビジョン、医療用の体温検出程度に限られており、全世界出荷量でも年間1万台〜2万台程度にとどまっている。
さらに、テラヘルツ波用の撮像装置に至っては、殆ど生産されていないのが実情である。
【0009】
従来の赤外線撮像装置(サーモグラフィ等)やテラヘルツ撮像装置等の撮像装置と比較して、安価に赤外線センサを構成するには、例えば、焦電素子を使用することが考えられる。焦電素子を遠赤外線検出用途に使用した例としては、自動ドア、エアコン、TVの前に人が居ることを検出する人感センサ等が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、これまで提案されている、焦電素子を使用した赤外線センサは、単画素や4画素程度までの構成であり、それらも被写体をイメージングするようなものではなく、人が横切るかどうかを検出するだけしか機能が無かった。
これは、焦電素子は温度変化に応じてその出力が変化するため、静定している対象物は検出できないからである。
【0011】
そのため、焦電素子を使用したイメージャで撮像するためには、チョッパー機能として、イメージャの全面を解放と遮光を繰り返す光チョッパーを用いなければならない。
例えば、図16に示すように、焦電素子を使用したイメージャ(撮像素子)103の前に、遮光材として、開口102を有する円形の光チョッパー101を配置する。そして、一点鎖線で示す中心線を回転軸として、光チョッパー101を回転させることにより、光Lがイメージャ103に照射されたり、遮光されてイメージャ103には照射されなくなったりする。これにより、入射する光Lに対して、イメージャ103の焦電素子から出力を得て、被写体の画像を得ることができる。
【0012】
しかし、この構成とした場合には、図16から明らかなように、光チョッパー101自体が大型なものとなり、また光チョッパー101を回転させるために、入射する撮像用の光Lの範囲に対して非常に大きなスペースが必要となっていた。
そこで本開示では、より小型化が可能な撮像装置構成を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の撮像装置は、複数個の画素を有する撮像素子部と、外部からの電磁波を上記撮像素子部に画像として結像させる撮像光学系と、上記撮像光学系における開口絞り位置に配置され、上記撮像素子部に対して電磁波の透過及び遮蔽を行う透過/遮蔽部と、上記透過/遮蔽部を、透過状態と遮蔽状態に反復駆動するアクチュエータと、上記透過/遮蔽部が透過状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力と、上記透過/遮蔽部が遮蔽状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力との差動信号を撮像画像信号出力とする出力部とを備える。
【0014】
本開示の撮像方法は、複数個の画素を有する撮像素子部と、外部からの電磁波を上記撮像素子部に画像として結像させる撮像光学系とを有する撮像装置の撮像方法として、上記撮像光学系における開口絞り位置に配置され、上記撮像素子部の複数個の画素に対して電磁波の透過及び遮蔽を行う透過/遮蔽部を、透過状態と遮蔽状態に反復駆動し、上記透過/遮蔽部が透過状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力と、上記透過/遮蔽部が遮蔽状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力との差動信号を撮像画像信号出力とする撮像方法である。
【0015】
このような本開示では、撮像素子部の画素に対して電磁波の透過及び遮蔽を行う透過/遮蔽部を、撮像光学系における開口絞り位置に配置する。開口絞り位置は、各画角からの入射光束が集中する位置であり、この開口絞り位置に透過/遮蔽部を配置することで、小型の透過/遮蔽部により有効な透過状態、遮蔽状態を得ることができる。
なお、開口絞り位置とは、撮像光学系内で絞りが形成される位置近辺であって、各画角からの入射光束が集中する位置をいう。開口絞り位置に配置されるという意味は、透過/遮蔽部が、絞りとしての部材に対して、他の光学素子を介さずに隣接して配置されるか、或いは透過/遮蔽部の一部が絞り部材と一体に形成されるという意味である。
【発明の効果】
【0016】
本開示の技術により、小型の透過/遮蔽部によって撮像素子部に対する電磁波の透過/遮蔽を行うことが可能となる。これによって撮像素子部として例えば焦電素子等を使用した撮像装置の著しい小型化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本開示の第1の実施の形態の撮像光学系の説明図である。
【図2】実施の形態の可動スリット板の説明図である。
【図3】実施の形態の可動スリット板を開口絞り位置に配置することの説明図である。
【図4】実施の形態の撮像装置の構成のブロック図である。
【図5】実施の形態の焦電撮像素子の出力信号の説明図である。
【図6】第2の実施の形態の撮像光学系の説明図である。
【図7】第3の実施の形態の撮像光学系の説明図である。
【図8】第4の実施の形態の撮像光学系の説明図である。
【図9】第5の実施の形態の撮像光学系の説明図である。
【図10】バイモルフピエゾ素子の説明図である。
【図11】バイモルフピエゾ素子を用いたアクチュエータの説明図である。
【図12】ローレンツ力の説明図である。
【図13】ローレンツ力アクチュエータの説明図である。
【図14】実施の形態の筐体構造の説明図である。
【図15】実施の形態の筐体内のアクチュエータ配置の説明図である。
【図16】従来の光チョッパーを用いた撮像装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施の形態を次の順序で説明する。実施の形態の撮像装置は、イメージセンサとして焦電センサを用いた赤外線撮像装置とする。
<1.第1の実施の形態>
[1−1 撮像光学系の構成]
[1−2 撮像装置構成]
<2.第2の実施の形態>
<3.第3の実施の形態>
<4.第4の実施の形態>
<5.第5の実施の形態>
<6.バイモルフピエゾアクチュエータ>
<7.ローレンツ力アクチュエータ>
<8.撮像光学系の筐体構造例>
<9.変形例>
【0019】
<1.第1の実施の形態>
[1−1 撮像光学系の構成]
第1の実施の形態の撮像装置について説明する。まず図1A、図1Bで撮像光学系を説明する。
図1A、図1Bに示すように、撮像光学系として物体側から像面側にかけて第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ14の3つのレンズが設けられている。
この例では第1レンズ11、第3レンズ14は平凸型レンズ、第2レンズ12はメニスカスレンズとされている。
また、第1レンズ11〜第3レンズ14の何れかの間に、開口絞り13が設けられる。図1では一例として、第2レンズ11と第3レンズ14との間に開口絞り13が形成される場合を示している。
また開口絞り13に隣接した位置(開口絞り位置)に、透過/遮蔽部SHを構成する固定スリット板20と可動スリット板30が配置されている。
【0020】
そしてこのような撮像光学系によって導かれた入射光(電磁波)は、カバーガラス15を介してイメージセンサ16に照射される。
なお、第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ14、開口絞り13、固定スリット板20、可動スリット板30は、同一鏡筒内に配置される。
また図1A、図1Bにおいて、赤外光の入射光線を示しているが、実線で示す光線は像高0mmに集光する光線、破線で示す光線は、例えば像高1.5mmに集光する光線、点線で示す光線は例えば像高3.5mmに集光する光線、一点鎖線で示す光線はイメージセンサ16の端部として例えば像高5.0mmに集光する光線、即ち画角端部からの光線としている。なお、このような図示は、後述する図6〜図9も同様とする。
【0021】
イメージセンサ16は、撮像光学系により集光された赤外線を検出し、被写体からの赤外線に応じた赤外線検出信号を得る。
赤外線検出信号を得るにあたってイメージセンサ16が備えるべき赤外線検出素子としては、例えば焦電素子を用いたものを挙げることができる。
ここで、焦電素子による赤外線検出素子が設けられる場合、イメージセンサ16に入射する赤外光を周期的に遮蔽するためのシャッタ(透過/遮蔽部SH)を設けることになる。
これは、焦電素子が、温度自体に応じた値を出力するものではなく、温度差(温度変化)に応じた値を出力する素子とされることに対応させるためである。すなわち、焦電素子に入射される赤外光の周期的な透過状態/遮蔽状態を作り出すことにより、意図的に温度差を発生させ、それにより、静止状態の物体についても、適正な温度分布画像(赤外線撮像画像)が得られるようにするものである。
【0022】
実施の形態では、このように少なくとも第1レンズ11、第2レンズ12、開口絞り13、第3レンズ14を有する撮像光学系を備え、さらに焦電素子を用いたイメージセンサ16を有する撮像装置として、主に遠赤外線領域(8μm〜12μm)に対応し、かつ小型化を実現する撮像装置を構成する。
このために、透過/遮蔽部SHとなる固定スリット板20と可動スリット板30が開口絞り位置に配置されるようにしている。
【0023】
なお、開口絞り位置とは、撮像光学系内で開口絞り13が形成される位置近辺であって、各画角からの入射光束が集中する位置である。図1では、図示の都合上、開口絞り13に対して固定スリット板20と可動スリット板30がやや離れて示しているが、実際には、固定スリット板20と可動スリット板30は、できるだけ開口絞り13に近接して配置される。
【0024】
可動スリット板30の平面図を図2に示している。
可動スリット板30は、図示のように平板本体31にスリットSLが形成された構成とされる。スリットSLにより、透過部32と遮蔽部33が形成される。なお、スリットSLは、スリット線方向(図中横方向)に垂直方向(図中縦方向)となる透過部32の幅と遮蔽部33の幅が同一として、交互に形成されている。
この可動スリット板30は例えば、アルミや銅の平板本体31をエッチング加工によってスリットを形成したものである。
また、後述するが、平板本体31の2カ所(図2中、右上箇所及び左下箇所)が、アクチュエータの接合部55に接合され、平板本体31がアクチュエータによって反復駆動されるように構成されている。
図1A、図1Bは、この可動スリット板30を、スリットSLの断面図として示している。なお図1A、図1Bにおいて遮蔽部33を黒塗り部、透過部32を破線部としている。
【0025】
固定スリット板20は、開口絞り13に隣接して、固定的に配置されており、可動スリット板30と同様に平板状の本体にスリットSLが形成されている。これにより図1に示すように透過部22(破線部)と遮蔽部23(黒塗り部)が交互に形成されたものとされている。
図1A、図1Bからわかるように、固定スリット板20と可動スリット板30は、透過部22、32の幅(透過部幅)W1と遮蔽部23、33の幅(遮蔽部幅)W2は、W1=W2とされている。つまり固定スリット板20、可動スリット板30において透過部幅W1と遮蔽部幅W2は1:1となっている。
【0026】
図1A、図1Bには、この固定スリット板20と可動スリット板30による透過状態と遮蔽状態を示している。
まず図1Aは透過状態である。固定スリット板20と可動スリット板30は、隣接配置されるが、この透過状態においては、遮蔽部23の位置と遮蔽部33の位置が重なり、また透過部22の位置と透過部32の位置が重なるように、固定スリット板20に対して可動スリット板30が位置する。
この透過状態においては、入射光は、透過部22、32を介して透過し、最終的にイメージセンサ16に達する。
【0027】
一方、図1Bは遮蔽状態である。遮蔽状態においては、遮蔽部23の位置と透過部32の位置が重なり、また透過部22の位置と遮蔽部33の位置が重なるように、固定スリット板20に対して可動スリット板30が位置する。つまり、可動スリット板30が、図1Aの状態から、スリット幅分だけ矢印D方向に移動された状態であり、開口絞り13の内径部分全体が遮蔽部(23,33)によって閉じられることとなる。
従ってこの遮蔽状態においては、入射光が全て遮蔽部33、23で遮蔽されることになり、つまりイメージセンサ16に対して入射光が遮蔽される。
【0028】
可動スリット板30が、この図1Aの位置状態と図1Bの位置状態との間で、反復駆動されることで、イメージセンサ16に対する入射光の透過/遮蔽が実行されることになる。これがイメージセンサ16に対するシャッタ動作となる。
【0029】
透過/遮蔽部SH(固定スリット板20と可動スリット板30)を開口絞り位置に設置することの利点について図3で説明する。
図3Aは、イメージセンサ16の中央部(像高0mm)に入る光線(実線)と、端部(例えば像高5.0mm)の画素に入る光線(一点鎖線)を表している。
開口絞り位置PNについてみると、中央部の光線も端部の光線も同じ光束であるが、それ以外の場所では異なっていることがわかる。
【0030】
図3Bは透過/遮蔽部SHを配置する位置を、開口絞り位置PN以外の場所にした場合における透過状態を表している。
この場合、中央部の光線は概ねほとんどが透過部32により透過/遮蔽部SHを通過しているが、端部の光線は透過状態(シャッタ開放状態)にもかかわらず、ほとんどが遮蔽部33で遮られて透過/遮蔽部SHを通過できない状態であることがわかる。
【0031】
そして図3Cは透過/遮蔽部SHを配置する位置を開口絞り位置PNにした場合の透過状態を表している。
このように開口絞り位置PNでは、中央部の光線も端部の光線も同じ光束であるため、どちらも同様の通過光量となっていることがわかる。つまりどの画角からの光も、遮蔽部によるロスは同程度である。
【0032】
即ち本例では、透過部22、32、遮蔽部23,33を形成するスリットSLを有する固定スリット板20と可動スリット板30により透過/遮蔽部SHを設けるに際して、これを開口絞り位置PNに配置することで、透過状態において、すべての画素に均一に光量を通過させることを可能とするものである。
換言すれば、例えば図3Bのように開口絞り位置PN以外の場所に透過/遮蔽部SHを配置しようとする場合、その端部の光線までも含めて適切に透過させるには、全ての光線に対応して広い面積の透過部を備えたシャッタ構成が必要になる。例えば図16の光チョッパー101のような構成である。これは透過/遮蔽部SHの大型化が余儀なくされることになる。本例の場合、光束が同径で集中する開口絞り位置PNに配置することで、透過/遮蔽部SHを大型化せずとも、中央部の光も端部の光も光量差なくイメージセンサ16に照射できる。つまり透過/遮蔽部SHの小型化が実現できることになる。
【0033】
[1−2 撮像装置構成]
以上の撮像光学系を備えた本実施の形態の撮像装置構成を図4に示す。
図示のとおり本例の撮像装置1は、撮像光学系2、イメージセンサ16、画像信号取得部4、画像信号処理部5、制御部6、アクチュエータドライバ7、アクチュエータ8を有して構成される。
【0034】
撮像光学系2は図1で説明したとおり、第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ14、開口絞り13、透過/遮蔽部SH(固定スリット板20と可動スリット板30)により構成されている。
撮像光学系2は、入射光Liとして示す被写体(物体)からの赤外光(赤外線)をイメージセンサ16の撮像面(像面)に集光する。
【0035】
イメージセンサ16は、撮像光学系2により集光された赤外線を検出し、被写体からの赤外線に応じた赤外線検出信号を得る。上述のとおり本例では焦電素子により構成される。
そして、このイメージセンサ16の各画素(焦電素子)に対しては、撮像光学系2内の透過/遮蔽部SHで図1Aの透過状態と図1Bの遮蔽状態が繰り返されることで、入射光Liが断続的に結像される。
【0036】
図5はイメージセンサ16の画素からの出力信号を示している。
図5において期間TAは静定時、期間TBは透過/遮蔽部SHが遮蔽状態から透過状態に至る期間、期間TCは透過/遮蔽部SHが透過状態から遮蔽状態に至る期間である。
【0037】
期間TAは透過/遮蔽部SHが静定している期間であるが、被写体が動かない限り、画素出力は0Vである。
期間TBとして、透過/遮蔽部SHが遮蔽状態から透過状態へ遷移すると、画素には電磁波が入る為、出力電圧は+方向へ推移する。
次に期間TCとして、透過/遮蔽部SHが透過状態から遮蔽状態へ遷移すると、電磁波が遮断される為、−方向へ出力が下がっていく。
以降、透過/遮蔽部SHの可動スリット板30の反復移動に応じて、期間TAの出力と期間TBの出力が繰り返される。
【0038】
このような画素出力において、ピーク時の差動出力分、つまり入射光輝度としての電圧値と遮光時輝度としての電圧値の差分電圧が、画素の純粋な被写体温度出力となる。この動作をくりかえすことによりイメージセンサ16はサーモグラフィーとして機能している。
【0039】
画像信号取得部4は、イメージセンサ16により得られる赤外線検出信号、つまり上記図5のような画素(焦電素子としての赤外線検出素子)ごとの出力信号を入力して、赤外線撮像画像信号を得る。即ち1つの画素の出力信号のピーク時の差動出力値を1画素の被写体温度検出信号とする。そして全画素の当該信号を、赤外線撮像画像信号として後段に出力する。
【0040】
画像信号処理部5は、画像信号取得部4で得られた撮像画像信号について各種の画像信号処理を施す。例えば、黒レベル補正、画素欠陥補完、収差補正、光学シェーディング補正、レンズディストーション補正、温度調整、距離変化量の算出、コーディング等を行う。
画像信号処理部5からの出力は、図示しないがインターフェース等を介して、撮像装置の外部のディスプレイ(画像表示装置)等に送られる。
【0041】
制御部6は、撮像装置1の各部の制御を行う。例えば画像信号処理部5における処理の実行指示や係数設定を行う。また、透過/遮蔽部SHの可動スリット板30の駆動制御を行う。
【0042】
アクチュエータ8は、撮像光学系2における可動スリット板30を反復駆動する。
可動スリット板30を駆動するアクチュエータ8は、ローレンツ力アクチュエータ、ポリマーアクチュエータ、電磁石アクチュエータ、ピエゾアクチュエータ等が考えられる。なお、一例として、ピエゾアクチュエータの一種であるバイモルフピエゾ素子を使用したバイモルフピエゾアクチュエータと、ローレンツ力アクチュエータについては、その構成を後述する。
【0043】
アクチュエータ8はアクチュエータドライバ7によって駆動電力が印加されて駆動される。制御部6がアクチュエータドライバ7に駆動指示することで、アクチュエータドライバ7はアクチュエータ8に駆動電力を印加する。これによって可動スリット板30は、透過状態と遮蔽状態とが交互に切り換えられるように駆動されることになる。
【0044】
以上、第1の実施の形態について説明してきたが、第1の実施の形態では、固定スリット板20と可動スリット板30による透過/遮蔽部SHが形成されるとともに、その透過/遮蔽部SHが開口絞り位置に配置される。このため透過/遮蔽部SHの小型化が可能となり、焦電素子を利用したイメージセンサ16を用いる撮像素子の小型化が実現される。
特に透過/遮蔽部SHは、開口絞り位置における光束範囲にスリットSLを有する固定スリット板20と可動スリット板30を形成すればよく、例えば図16のような光チョッパー101と比較して、著しい小型化が可能である。しかも可動スリット板30は、そのスリット幅分だけ反復移動させる構成とすればよく、可動スリット板30のストローク長も大きくない。これらのことから撮像装置の小型化が促進できるものである。
【0045】
<2.第2の実施の形態>
以下、第2〜第5の実施の形態としての撮像光学系の構成、特に透過/遮蔽部SHの構成を説明していく。以降の実施の形態において、撮像装置全体構成は上記図4と同様と考えればよい。
【0046】
図6A、図6Bに、第2の実施の形態の撮像光学系の構成を示す。図6Aは透過状態、図6Bは遮蔽状態を示している。
図6A、図6Bにおいて第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ14、開口絞り13、カバーガラス15、イメージセンサ16については、図1と同様に示している。
この場合、透過/遮蔽部SHは、1つの固定スリット板20と、2つの可動スリット板30A、30Bにより構成されている。
そしてこの透過/遮蔽部SHは、開口絞り位置において、固定スリット板20の両側を挟むように可動スリット板30A、30Bが配置されている。
【0047】
固定スリット板20には透過部22(破線部)と遮蔽部23(黒塗り部)が設けられ、同様に可動スリット板30A、30Bにも透過部32(破線部)と遮蔽部33(黒塗り部)が設けられる。
この第2の実施の形態の場合、固定スリット板20、可動スリット板30A、30Bにおける透過部幅W1と遮蔽部幅W2は、2:1となっている。
【0048】
この場合、可動スリット板30Aと可動スリット板30Bは、それぞれ独立した図示しないアクチュエータにより、別個に駆動される。可動スリット板30Aは、図6Aの位置状態と、図6Bのように矢印DA方向に移動された位置状態の間を、反復駆動される。可動スリット板30Bは、図6Aの位置状態と、図6Bのように矢印DB方向に移動された位置状態の間を、反復駆動される。
【0049】
図6Aの透過状態では、固定スリット板20と可動スリット板30A、30Bは、遮蔽部23の位置と遮蔽部33の位置が重なり、また透過部22の位置と透過部32の位置が重なる。このため入射光は、透過部22、32を介して透過し、イメージセンサ16に達する。
一方、図6Bの遮蔽状態では、固定スリット板20の透過部22に重なるように、可動スリット板30A、30Bの遮蔽部23が位置する。これにより開口絞り13の内径部分全体が遮蔽部(23,33)によって閉じられることとなる。従ってイメージセンサ16に対して入射光が遮蔽される。
【0050】
このような第2の実施の形態の透過/遮蔽部SHによれば、第1の実施の形態と同様、小型化を実現できるとともに、以下の効果が得られる。
まず、固定スリット板20と可動スリット板30A、30Bにおいて、透過部幅W1と遮蔽部幅W2は、2:1のサイズとなる。これは図6Bからわかるように、遮蔽状態とするには、可動スリット板30A、30Bの遮蔽部33の組で、固定スリット板20の1つの透過部22を覆えばよいためである。そしてこのため図6Aの透過状態において、入射光は、開口絞り13の内径平面のほぼ2/3の領域を通過できる。つまり、先に述べた第1の実施の形態の図1Aの透過状態で、入射光が、開口絞り13の内径平面のほぼ1/2の領域を通過できることに比べて、イメージセンサ16への入射光量を多くできることとなる。従って第2の実施の形態では、第1の実施の形態よりも撮像感度を向上させることができる。
【0051】
また、可動スリット板30A、30Bは、矢印DA方向、矢印DB方向として示したように、互いに逆位相で反復駆動される。このため、可動スリット板を継続的に反復駆動することによる振動ノイズが低減される。
イメージセンサ16における焦電素子は圧電性をもつため、振動成分が加わると、赤外線検出画像上にノイズが発生する。このため可動スリット板の駆動による振動が大きくなることは撮像画像信号品質を劣化させ好ましくない。
この第2の実施の形態の場合、2つの可動スリット板30A、30Bが互いに逆相に駆動される。つまり透過状態から遮蔽状態になるときには、可動スリット板30AはDA方向、可動スリット板30BはDB方向に移動され、遮蔽状態から透過状態になるときには、可動スリット板30AはDB方向、可動スリット板30BはDA方向に移動される。
このような逆相移動によって、互いの移動による振動を打ち消し合うことになり、イメージセンサ16に加わる振動が低減される。これによって振動ノイズの発生を抑え、品質の良い撮像画像信号を得ることができる。
【0052】
<3.第3の実施の形態>
続いて図7A、図7Bで第3の実施の形態としての撮像光学系の構成を説明する。
図7Aは透過状態、図7Bは遮蔽状態を示している。
図7A、図7Bにおいて第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ14、開口絞り13、カバーガラス15、イメージセンサ16を有することは、図1と同様であるが、この例では、第1レンズ11、第2レンズ12をメニスカスレンズとした例を挙げている。また開口絞り13が第1レンズ11と第2レンズ12の間に配置されている例としている。レンズ構成や配置については、図1の例に限らず、例えばこの図7のような他の例も考えられる。また、各レンズの形状、さらにはレンズ枚数も多様に想定される。
【0053】
この第3の実施の形態は、透過/遮蔽部SHが、1つの固定スリット板20と、2つの可動スリット板30A、30Bにより構成されており、この点は第2の実施の形態と同様であるが、固定スリット板20が開口絞り13を兼ねる構成となっている。つまり絞り/スリット兼用板40が設けられている。
この絞り/スリット兼用板40は、円形開口の周囲が絞りとして機能しつつ、開口内径部分は、単純な開口ではなく多数のスリットが形成されて、図のように透過部22(破線部)と遮蔽部23(黒塗り部)が設けられている。
【0054】
そして絞り/スリット兼用板40に隣接して、可動スリット板30A、30Bが配置される。可動スリット板30A、30Bも、固定スリット板20と同様に透過部32(破線部)と遮蔽部33(黒塗り部)が設けられる。
この第3の実施の形態の場合、固定スリット板20、可動スリット板30A、30Bにおける透過部幅W1と遮蔽部幅W2は、2:1となっている。
【0055】
この場合、可動スリット板30Aと可動スリット板30Bは、それぞれ独立した図示しないアクチュエータにより、別個に駆動される。
可動スリット板30Aは、図7Aの位置状態と、図7Bのように矢印DA方向に移動された位置状態の間を、反復駆動される。可動スリット板30Bは、図7Aの位置状態と、図7Bのように矢印DB方向に移動された位置状態の間を、反復駆動される。
【0056】
図7Aの透過状態では、固定スリット板20と可動スリット板30A、30Bは、遮蔽部23の位置と遮蔽部33の位置が重なり、また透過部22の位置と透過部32の位置が重なる。このため入射光は、透過部22、32を介して透過し、イメージセンサ16に達する。
一方、図7Bの遮蔽状態では、固定スリット板20の透過部22に重なるように、可動スリット板30A、30Bの遮蔽部23が位置する。これにより開口絞り13の内径部分全体が遮蔽部(23,33)によって閉じられることとなる。従ってイメージセンサ16に対して入射光が遮蔽される。
【0057】
このような第3の実施の形態の透過/遮蔽部SHによれば、第1の実施の形態と同様、開口絞り位置に透過/遮蔽部SHが配置されることで、小型化を実現できる。
また第2の実施の形態と同様に、固定スリット板20と可動スリット板30A、30Bにおいて、透過部幅W1と遮蔽部幅W2は、2:1のサイズとなることで、透過状態におけるイメージセンサ16への入射光量を多くでき、撮像感度を向上させることができる。
また、可動スリット板30A、30Bが互いに逆位相で反復駆動されるため、振動ノイズの発生を抑え、品質の良い撮像画像信号を得ることができる。
これらに加えて、絞り/スリット兼用板40を用いることによって、構成を簡略化できる。
【0058】
なお、絞り/スリット兼用板40を用いる例を図1の構成に適用してもよい。即ち図1における開口絞り13と固定スリット板20に代えて、絞り/スリット兼用板40を用いることも当然考えられる。
【0059】
<4.第4の実施の形態>
続いて図8A、図8Bで第4の実施の形態としての撮像光学系の構成を説明する。
図8Aは透過状態、図8Bは遮蔽状態を示している。
図8において第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ14、開口絞り13、カバーガラス15、イメージセンサ16の構成は図1と同様としている。
【0060】
この第4の実施の形態は、透過/遮蔽部SHが、1つの固定スリット板20と、3つの可動スリット板30A、30B、30Cにより構成されている。
開口絞り13側から見て、可動スリット板30A、固定スリット板20、可動スリット板30B、可動スリット板30Cの順番で隣接配置されている。
【0061】
固定スリット板20には透過部22(破線部)と遮蔽部23(黒塗り部)が設けられ、同様に可動スリット板30A、30B、30Cにも透過部32(破線部)と遮蔽部33(黒塗り部)が設けられる。
この第4の実施の形態の場合、固定スリット板20、可動スリット板30A、30Bにおける透過部幅W1と遮蔽部幅W2は、3:1となっている。
【0062】
可動スリット板30A、30B、30Cは、それぞれ独立した図示しないアクチュエータにより、別個に駆動される。
可動スリット板30Aは、図8Aの位置状態と、図8Bのように矢印DB方向に、遮光部幅W2の分だけ移動された位置状態の間を、反復駆動される。
可動スリット板30Bは、図8Aの位置状態と、図8Bのように矢印DA方向に、遮光部幅W2の分だけ移動された位置状態の間を、反復駆動される。
可動スリット板30Bは、図8Aの位置状態と、図8Bのように矢印DA方向に、遮光部幅W2の2倍の分だけ移動された位置状態の間を、反復駆動される。
【0063】
図8Aの透過状態では、固定スリット板20と可動スリット板30A、30B、30Cは、遮蔽部23の位置と遮蔽部33の位置が重なり、また透過部22の位置と透過部32の位置が重なる。このため入射光は、透過部22、32を介して透過し、イメージセンサ16に達する。
一方、図8Bの遮蔽状態では、固定スリット板20の透過部22に重なるように、可動スリット板30A、30B、30Cの各遮蔽部23が位置する。つまり可動スリット板30A、30B、30Cの3つの遮蔽部33の組で、固定スリット板20の1つの透過部22を覆うようにする。これにより開口絞り13の内径部分全体が遮蔽部(23,33)によって閉じられることとなる。従ってイメージセンサ16に対して入射光が遮蔽される。
【0064】
このような第4の実施の形態の透過/遮蔽部SHによれば、第1の実施の形態と同様、開口絞り位置に透過/遮蔽部SHが配置されることで、小型化を実現できる。
また第2,第3の実施の形態よりも撮像感度を向上させることができる。これは透過部幅W1と遮蔽部幅W2が3:1となっていることによる。即ち図8Aの透過状態において、入射光は、開口絞り13の内径平面のほぼ3/4の領域を通過できることで、イメージセンサ16への入射光量を多くできる。
またこの場合、可動スリット板30Aと、可動スリット板30B、30Bとは、互いに逆位相で反復駆動される。逆相駆動される複数の可動スリット板を有することで、振動を低減でき、撮像画像信号に乗る振動ノイズを低減できる。
【0065】
なお、ここでは3枚の可動スリット板30A、30B、30Cを設けた例を述べたが、4枚の可動スリット板など、より多数の可動スリット板30を設けても良い。可動スリット板30の数を多くするほど、遮蔽部幅W2に対して透過部幅W1を広くでき、透過状態における通過光量を多くできるため感度向上に適している。但し、可動スリット板30の数が多いほど構成は複雑化するということはある。
【0066】
ところで、このように3枚以上の多数の可動スリット板30を設ける場合でも、第4の実施の形態で説明した、固定スリット板20と開口絞り13を兼用した、絞り/スリット兼用板40を用いても良い。その場合、配置順序は、絞り/スリット兼用板40、可動スリット板30A、可動スリット板30B、可動スリット板30Cとなるようにすればよい。
【0067】
<5.第5の実施の形態>
続いて図9A、図9Bで第5の実施の形態としての撮像光学系の構成を説明する。
図9Aは透過状態、図9Bは遮蔽状態を示している。
図9において第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズ14、開口絞り13、カバーガラス15、イメージセンサ16の構成は図1と同様としている。
【0068】
この第5の実施の形態は、透過/遮蔽部SHが、2つの可動スリット板30A、30Bにより構成されている。固定スリット板20は設けられない例である。
そして2つの可動スリット板30A、30Bが開口絞り位置に隣接配置されている。
【0069】
可動スリット板30A、30Bには透過部32(破線部)と遮蔽部33(黒塗り部)が設けられる。
この第5の実施の形態の場合、可動スリット板30A、30Bにおける透過部幅W1と遮蔽部幅W2は、1:1となっている。
【0070】
可動スリット板30A、30Bは、それぞれ独立した図示しないアクチュエータにより、別個に駆動される。
可動スリット板30Aは、図9Aの位置状態と、図9Bのように矢印DA方向に、遮光部幅W2の1/2分だけ移動された位置状態の間を、反復駆動される。
可動スリット板30Bは、図9Aの位置状態と、図9Bのように矢印DB方向に、遮光部幅W2の1/2分だけ移動された位置状態の間を、反復駆動される。
【0071】
図9Aの透過状態では、可動スリット板30A、30Bは、それぞれの遮蔽部33の位置が重なり、またそれぞれの透過部32の位置が重なる。このため入射光は、透過部32を介して透過し、イメージセンサ16に達する。
一方、図9Bの遮蔽状態では、可動スリット板30A、30Bのそれぞれの透過部32と遮蔽部33が重なる位置状態となることで、開口絞り13の内径部分全体が可動スリット板30A、30Bの遮蔽部33によって閉じられることとなる。従ってイメージセンサ16に対して入射光が遮蔽される。
【0072】
このような第5の実施の形態の透過/遮蔽部SHによれば、第1の実施の形態と同様、開口絞り位置に透過/遮蔽部SHが配置されることで、小型化を実現できる。
またこの場合、可動スリット板30Aと、可動スリット板30Bとは、互いに逆位相で反復駆動される。逆相駆動される複数の可動スリット板を有することで、振動を低減でき、撮像画像信号に乗る振動ノイズを低減できる。
また、可動スリット板30A、30Bは、それぞれ遮光部幅W2の1/2だけ移動されればよく、反復駆動のストロークが短くできる。これによりアクチュエータ8の駆動信号振幅を低減でき、消費電力を低減できる。
【0073】
なお、ここでは2枚の可動スリット板30A、30Bを設けた例を述べたが、3枚の可動スリット板など、より多数の可動スリット板30を設けても良い。可動スリット板30の数を多くするほど、遮蔽部幅W2に対して透過部幅W1を広くでき、透過状態における通過光量を多くできるため感度向上に適している。
【0074】
<6.バイモルフピエゾアクチュエータ>
以上の各実施の形態で採用できるアクチュエータ8の具体例として、バイモルフピエゾアクチュエータの構成を説明する。
図10は、バイモルフピエゾ素子50を示している。この例はパラレル型と呼ばれているもので、中央電極51と、分極方向(矢印Pで示す)が同じ方向に向いている2枚の圧電体52と、2面の表面電極53で構成されている。
【0075】
中央電極51,表面電極53は、電極としての機能を兼ね備えた板状の可撓性部材で形成されている。
中央電極51は、圧電体52及び表面電極53よりも、図中上方に延伸され突出した状態となっている。
また、2面の表面電極53どうしは短絡されている。
このバイモルフピエゾ素子50では、中央電極51と、表面電極53との間に電位差V1を与えると、左右の圧電体52で分極方向と電圧が逆相でかかるため、左右の素子の片方が延び、他方が縮む。このため図中の矢印dACの方向に素子が駆動される。
【0076】
このようなバイモルフピエゾ素子50を用いたアクチュエータ8を図11で説明する。
アクチュエータ8は、2つのバイモルフピエゾ素子50を用いて構成する。
各バイモルフピエゾ素子50は、図10で説明したように、中央電極51、圧電体52、表面電極53を備える。これに加えて、各表面電極53の表面側には、表面を覆うように、表面電極53から絶縁された状態でシールド板54が配置される。
【0077】
各バイモルフピエゾ素子50の中央電極51の先端は、スリット板保持のための接合部55とされ、これが可動スリット板30に接合される。先に図2で示したように、可動スリット板30の平板本体31の対角線関係となる2カ所が、接合部55と接合される。
この構造により、一対のバイモルフピエゾ素子50で構成されるアクチュエータ8に、1つの可動スリット板30が保持される。
【0078】
2つの中央電極51、及び4つのシールド板54はグランドに接続されている。また4枚の表面電極53は短絡され、図4に示したアクチュエータドライバ7から駆動信号S1が印加される構成となっている。
この図11のように構成されるアクチュエータ8に対しては、例えば正弦波信号など、所定周期で+V1電圧/−V1電圧の印可を繰り返す交流電圧としての駆動信号S1を与える。
上記の圧電体52の分極状態及び結線の態様によれば、駆動信号S1の電圧レベルが+V1側に徐々に上昇することに応じては、圧電体52の形状変化に伴い、可撓性部材である中央電極51及び表面電極53が紙面左方向に徐々に撓んでいく。
また逆に、駆動信号S1の電圧レベルが徐々に−V1側低下することに応じては、中央電極51及び表面電極53が紙面右方向に徐々に撓んでいく。
この動作により、一対の中央電極51の先端に保持された可動スリット板30は、矢印dAC方向に往復移動することになる。この往復移動によって、各実施の形態として説明した透過状態と遮蔽状態が実現される。
なお、可動スリット板30の移動量は、駆動信号S1のレベルで調整できる。
【0079】
このようなバイモルフピエゾ素子50を用いたアクチュエータ8では、例えば後述のローレンツ力アクチュエータに比べて低消費電力とすることができる。
またバイモルフピエゾ素子は積層型ピエゾ素子等に比べ薄型化することが可能となり、装置の大型化を防ぐことが可能である。
【0080】
また可動スリット板30は、アルミや銅をエッチング加工によってスリットを形成したものである。そのため中央電極51と可動スリット板30は電気的に短絡してしまう。そのような状態で中央電極51に駆動電圧を印加すると可動スリット板30から電界ノイズが発生してしまう。電界ノイズが発生すると、イメージセンサ16として高感度の撮像素子を用いた場合には映像に乱れが生じてしまう。
そこで本例では、これを防止する為に中央電極51はグランド接続とし、表面電極53側に駆動信号S1を印加するようにしている。
さらに、表面電極53に正弦波が印加されているが、こちらも電界ノイズの発生源となっている。そこで各表面電極53の表面側に、グランド接続された導電板であるシールド板54を配置し、電界ノイズが映像に影響することを防止している。
【0081】
<7.ローレンツ力アクチュエータ>
アクチュエータ8の他の例として、ローレンツ力アクチュエータについて説明する。
ローレンツ力アクチュエータはピエゾアクチュエータよりもコストが下がるといった利点がある。
【0082】
図12はローレンツ力の発生原理について表している。
マグネットMGの表面付近には着磁の方向によって点線矢印Mdのような磁束が存在している。そして対向するコイルCLの実線矢印Cdのように電流を流すと、電流に比例した推力が図の矢印Pdのように発生する。この推力を用いて可動スリット板30を駆動している例を表しているのが図13である。
【0083】
図13A、図13Bはローレンツ力によるアクチュエータ8の模式的な正面図、側面図である。
このアクチュエータ8は、一対の弾性板71,72が基台部73上に設けられている。そして弾性板71,72の各先端の接合部75に、可動スリット板30が接合されて保持される。
また弾性板72の側面にはマグネットMGが装着される。
また図13Bに示すように(図13Aでは図示省略)、基台部73上には固定板74が設けられており、この固定板74にコイルCLが取り付けられている。この状態で、コイルCLはマグネットMGに対向配置される。
【0084】
この構成のアクチュエータ8では、アクチュエータドライバ7がコイルCLに駆動電流を与えることとなる。
コイルCLに電流を流すことによって、矢印Pdの方向に電流に比例した推力が発生し、弾性板71,72が矢印Pd方向に撓む。
この動作によって可動スリット板30が矢印dAC方向に往復移動されることになり、この往復移動によって、各実施の形態として説明した透過状態と遮蔽状態が実現される。
【0085】
なお、この図13A、図13Bの例では、可動側である弾性板72にマグネットMGが配置され、固定板74側で対向する位置にコイルCLが配置されている。
これに対して、可動側である弾性板72にコイルCLを配置し、固定板74にマグネットMGを配置する構成でも良い。
コイルCLとマグネットMGのどちらを固定側(固定板74)に配置するかについてはそれぞれ利点、欠点がある。
固定側にコイルCLを配置することの利点は、コイルCLに対する給電が容易であるという点である。可動側にコイルCLを配置すると給電するためのケーブルが可動スリット板30の駆動に伴って振動することとなる。よって耐振動を考慮したケーブルを使用するといった配慮が必要である。そのような配慮を必要としない点において固定側にコイルCLを配置することが好ましい。
一方、欠点としては、可動側の重量増加が挙げられる。一般的にコイルCLよりもマグネットMGの方が重い。よってマグネットMGを可動側に配置すると、可動側の重量増加に応じて駆動電流の増加といった欠点が存在する。
上記のような利点、欠点を総合的に判断し、コイルCLとマグネットMGのどちらを可動側に配置するかを決定することが望ましい。
【0086】
<8.撮像光学系の筐体構造例>
各実施の形態で説明したように、撮像光学系2には複数のレンズ(11,12,14)、開口絞り13、透過/遮蔽部SHが設けられる。
このような撮像光学系2及びイメージセンサ16を配置する筐体構造を説明する。
【0087】
図14Aは撮像光学系2を収納する筐体の外観を示し、図14Bはその断面図である。
なお、筐体内部の光学系構成は、図7A,図7Bで示した第3の実施の形態の構成を用いて例示している。
図14A、図14Bに示されるように筐体全体は、筐体本体60とベース61が組み合わされて形成されている。
そして図14Bに示すように、筐体内部において筐体本体60側に第1レンズ11,絞り/スリット兼用板40(開口絞り13及び固定スリット板20)が組み込まれ、ベース61側に第2レンズ12、第3レンズ14が保持され、またイメージセンサ16が配置されている。
さらに開口絞り位置、つまり絞り/スリット兼用板40に隣接して、可動スリット板30A、30Bが配置されている。
【0088】
このような筐体の材質はアルミ等の金属や樹脂であるが、導電性金属や導電性樹脂による導電性材料とすることが適切である。導電性材料で筐体を構成し、接地することで、外部から入ってくるノイズによって映像に乱れが生じることを防ぐことが可能となる。
また、可動スリット板30の動作不良をおこすような塵や埃が筐体内に入らないように、筐体は密閉構造になっているほうが望ましい。
【0089】
アクチュエータ8は、図15A、図15Bのように配置されている。図15Aは、図11で説明したバイモルフピエゾ素子50を用いたアクチュエータ8A,8Bがベース61上に配置されている様子を示し、図15Bは、アクチュエータ8A,8Bと可動スリット板30A、30Bのみを示したものである。
【0090】
可動スリット板30Aは、アクチュエータ8Aに保持される。即ち可動スリット板30Aの図中右上端部と左下端部が、アクチュエータ8Aにおける一対のバイモルフピエゾ素子50Aの各接合部55A(スリット板保持部)に接合されている。
可動スリット板30Bは、アクチュエータ8Bに保持される。即ち可動スリット板30Bの図中左上端部と右下端部が、アクチュエータ8Bにおける一対のバイモルフピエゾ素子50Bの各接合部55B(スリット板保持部)に接合されている。
【0091】
つまり2つのアクチュエータ8A,8Bは、それぞれ一対のバイモルフピエゾ素子50(図11の中央電極51部分)が互い違いに配置される。
特に、可動スリット板30Aを駆動するアクチュエータ8Aにおける一対の接合部55Aを結んだ線分(図15Bにおける一点鎖線a−a)と、他方の可動スリット板30Bを駆動するアクチュエータ8Bにおける一対の接合部55Bを結んだ線分(図15Bにおける一点鎖線b−b)が、概ね直交するように、各アクチュエータ8A,8Bが配置されている。
このように一点鎖線a−a、b−bが概ね直交するように配置することで、筐体内に省スペースにアクチュエータ8A,8Bを配置することが可能となる。各アクチュエータ8A,8B、それぞれ対角線上の2カ所で可動スリット板30A、30Bを保持することで、安定した保持及び駆動が可能となり、その上でアクチュエータ8A,8Bが重ならない配置とできるためである。
【0092】
なお、図15A、図15Bに示したようなアクチュエータ配置は、可動スリット板30が複数の場合に好適である。従って図7の場合だけでなく、図6、或いは図9の構成の場合の2つの可動スリット板30A、30Bについてのアクチュエータ8A,8Bとしても適している。
さらに、図8のように、より多数の可動スリット板30が設けられる場合も応用可能である。例えば図8における可動スリット板30A、30Bについてのアクチュエータ8A,8Bは、図15のように配置し、可動スリット板30Cのアクチュエータについては、2つのバイモルフピエゾ素子を、アクチュエータ8Aの横に並べる配置などとすればよい。
【0093】
<9.変形例>
以上、実施の形態について説明してきたが、本開示の技術は上述した構成以外にも多様な変形例が考えられる。
まず、固定スリット板20、可動スリット板30におけるスリット構造(透過部22,32と遮蔽部23,33の形状や配置パターン)は、上記例以外でもよい。
例えば上記の可動スリット板30では、直線状のスリット(厳密には長方形上の透過部32)としたが、曲線状、湾曲線状のスリット、折れ曲がり線状のスリットなども考えられる。さらに、透過部32と遮蔽部33が、市松模様を形成するように透過部が千鳥状に形成されたものでもよい。
即ちいずれにしても、透過/遮蔽部SHは、複数のスリット板を有し、その一部又は全部の移動により、透過状態と遮蔽状態を作り出すことができる構成であれば良い。
【0094】
また第2〜第4の実施の形態では、複数の可動スリット板30が、逆相駆動される例を挙げたが、全ての可動スリット板30が同相駆動されるものも考えられる。
【0095】
また光学系構成としては3つのレンズを有する例を述べたが、例えば4以上のレンズ、2以下のレンズを有する撮像光学系の場合でも、本開示の技術は適用できる。
【0096】
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)複数個の画素を有する撮像素子部と、
外部からの電磁波を上記撮像素子部に画像として結像させる撮像光学系と、
上記撮像光学系における開口絞り位置に配置され、上記撮像素子部に対して電磁波の透過及び遮蔽を行う透過/遮蔽部と、
上記透過/遮蔽部を、透過状態と遮蔽状態に反復駆動するアクチュエータと、
上記透過/遮蔽部が透過状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力と、上記透過/遮蔽部が遮蔽状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力との差動信号を撮像画像信号出力とする出力部と、
を備えた撮像装置。
(2)上記透過/遮蔽部は、複数のスリット板を有して形成される上記(1)に記載の撮像装置。
(3)上記透過/遮蔽部は、固定スリット板と、上記アクチュエータによって反復駆動される可動スリット板とを有して形成される上記(1)又は(2)に記載の撮像装置。
(4)上記可動スリット板を複数有する上記(3)に記載の撮像装置。
(5)互いに逆位相で反復駆動される複数の可動スリット板を有する上記(3)又は(4)に記載の撮像装置。
(6)上記固定スリット板は、上記撮像光学系における開口絞りを兼ねる構成とされている上記(3)乃至(5)のいずれかに記載の撮像装置。
(7)上記透過/遮蔽部の複数のスリット板の全部が、それぞれ上記アクチュエータによって反復駆動される可動スリット板とされている上記(2)に記載の撮像装置。
(8)互いに逆位相で反復駆動される複数の可動スリット板を有する上記(2)又は(7)に記載の撮像装置。
(9)上記アクチュエータは、ローレンツ力アクチュエータ、ポリマーアクチュエータ、電磁石アクチュエータ、ピエゾアクチュエータのいずれかである上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の撮像装置。
(10)上記アクチュエータは、バイモルフピエゾ素子を用いたピエゾアクチュエータであり、
上記バイモルフピエゾ素子は、
上記透過/遮蔽部に接続され、かつ接地された中央電極と、
上記中央電極の両面側にそれぞれ配置された圧電体と、
それぞれ上記圧電体の上記中央電極側とは逆側の面に配置され、互いに短絡されると共に交流の駆動電圧が印加される2つの表面電極と、
2つの上記表面電極のそれぞれに対して絶縁されて配置され、接地された導電板と、
を有して形成されている上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の撮像装置。
(11)上記透過/遮蔽部は、上記アクチュエータによって反復駆動される可動スリット板を複数有し、
複数の可動スリット板のうちの、或る可動スリット板を駆動するアクチュエータにおける一対のスリット板保持部を結んだ線分と、他の或る可動スリット板を駆動するアクチュエータにおける一対のスリット板保持部を結んだ線分とが、概ね直交するように、各アクチュエータが配置されている上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の撮像装置。
(12)内部に上記撮像光学系、上記撮像素子部、及び上記透過/遮蔽部を配置する筐体が、導電性材料で構成され、接地されている上記(1)乃至(11)のいずれかに記載の撮像装置。
(13)上記導電性材料は導電性樹脂である上記(12)に記載の撮像装置。
(14)上記撮像光学系、上記撮像素子部、及び上記透過/遮蔽部は、筐体内に密閉されて配置されている上記(1)乃至(13)のいずれかに記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0097】
1 撮像装置、2 撮像光学系、4 画像信号取得部、5 画像信号処理部、6 制御部、7 アクチュエータドライバ、8 アクチュエータ、11 第1レンズ、12 第2レンズ、13 開口絞り、14 第3レンズ、15 カバーガラス、16 イメージセンサ、20 固定スリット板、22 透過部、23 遮蔽部、30,30A,30B,30C 可動スリット板、32 透過部、33 遮蔽部、40 絞り/スリット兼用板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の画素を有する撮像素子部と、
外部からの電磁波を上記撮像素子部に画像として結像させる撮像光学系と、
上記撮像光学系における開口絞り位置に配置され、上記撮像素子部に対して電磁波の透過及び遮蔽を行う透過/遮蔽部と、
上記透過/遮蔽部を、透過状態と遮蔽状態に反復駆動するアクチュエータと、
上記透過/遮蔽部が透過状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力と、上記透過/遮蔽部が遮蔽状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力との差動信号を撮像画像信号出力とする出力部と、
を備えた撮像装置。
【請求項2】
上記透過/遮蔽部は、複数のスリット板を有して形成される請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記透過/遮蔽部は、固定スリット板と、上記アクチュエータによって反復駆動される可動スリット板とを有して形成される請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
上記可動スリット板を複数有する請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
互いに逆位相で反復駆動される複数の可動スリット板を有する請求項3に記載の撮像装置。
【請求項6】
上記固定スリット板は、上記撮像光学系における開口絞りを兼ねる構成とされている請求項3に記載の撮像装置。
【請求項7】
上記透過/遮蔽部の複数のスリット板の全部が、それぞれ上記アクチュエータによって反復駆動される可動スリット板とされている請求項2に記載の撮像装置。
【請求項8】
互いに逆位相で反復駆動される複数の可動スリット板を有する請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
上記アクチュエータは、ローレンツ力アクチュエータ、ポリマーアクチュエータ、電磁石アクチュエータ、ピエゾアクチュエータのいずれかである請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
上記アクチュエータは、バイモルフピエゾ素子を用いたピエゾアクチュエータであり、
上記バイモルフピエゾ素子は、
上記透過/遮蔽部に接続され、かつ接地された中央電極と、
上記中央電極の両面側にそれぞれ配置された圧電体と、
それぞれ上記圧電体の上記中央電極側とは逆側の面に配置され、互いに短絡されると共に交流の駆動電圧が印加される2つの表面電極と、
2つの上記表面電極のそれぞれに対して絶縁されて配置され、接地された導電板と、
を有して形成されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
上記透過/遮蔽部は、上記アクチュエータによって反復駆動される可動スリット板を複数有し、
複数の可動スリット板のうちの、或る可動スリット板を駆動するアクチュエータにおける一対のスリット板保持部を結んだ線分と、他の或る可動スリット板を駆動するアクチュエータにおける一対のスリット板保持部を結んだ線分とが、概ね直交するように、各アクチュエータが配置されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項12】
内部に上記撮像光学系、上記撮像素子部、及び上記透過/遮蔽部を配置する筐体が、導電性材料で構成され、接地されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
上記導電性材料は導電性樹脂である請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
上記撮像光学系、上記撮像素子部、及び上記透過/遮蔽部は、筐体内に密閉されて配置されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項15】
複数個の画素を有する撮像素子部と、外部からの電磁波を上記撮像素子部に画像として結像させる撮像光学系とを有する撮像装置の撮像方法として、
上記撮像光学系における開口絞り位置に配置され、上記撮像素子部の複数個の画素に対して電磁波の透過及び遮蔽を行う透過/遮蔽部を、透過状態と遮蔽状態に反復駆動し、
上記透過/遮蔽部が透過状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力と、上記透過/遮蔽部が遮蔽状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力との差動信号を撮像画像信号出力とする撮像方法。
【請求項1】
複数個の画素を有する撮像素子部と、
外部からの電磁波を上記撮像素子部に画像として結像させる撮像光学系と、
上記撮像光学系における開口絞り位置に配置され、上記撮像素子部に対して電磁波の透過及び遮蔽を行う透過/遮蔽部と、
上記透過/遮蔽部を、透過状態と遮蔽状態に反復駆動するアクチュエータと、
上記透過/遮蔽部が透過状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力と、上記透過/遮蔽部が遮蔽状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力との差動信号を撮像画像信号出力とする出力部と、
を備えた撮像装置。
【請求項2】
上記透過/遮蔽部は、複数のスリット板を有して形成される請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記透過/遮蔽部は、固定スリット板と、上記アクチュエータによって反復駆動される可動スリット板とを有して形成される請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
上記可動スリット板を複数有する請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
互いに逆位相で反復駆動される複数の可動スリット板を有する請求項3に記載の撮像装置。
【請求項6】
上記固定スリット板は、上記撮像光学系における開口絞りを兼ねる構成とされている請求項3に記載の撮像装置。
【請求項7】
上記透過/遮蔽部の複数のスリット板の全部が、それぞれ上記アクチュエータによって反復駆動される可動スリット板とされている請求項2に記載の撮像装置。
【請求項8】
互いに逆位相で反復駆動される複数の可動スリット板を有する請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
上記アクチュエータは、ローレンツ力アクチュエータ、ポリマーアクチュエータ、電磁石アクチュエータ、ピエゾアクチュエータのいずれかである請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
上記アクチュエータは、バイモルフピエゾ素子を用いたピエゾアクチュエータであり、
上記バイモルフピエゾ素子は、
上記透過/遮蔽部に接続され、かつ接地された中央電極と、
上記中央電極の両面側にそれぞれ配置された圧電体と、
それぞれ上記圧電体の上記中央電極側とは逆側の面に配置され、互いに短絡されると共に交流の駆動電圧が印加される2つの表面電極と、
2つの上記表面電極のそれぞれに対して絶縁されて配置され、接地された導電板と、
を有して形成されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
上記透過/遮蔽部は、上記アクチュエータによって反復駆動される可動スリット板を複数有し、
複数の可動スリット板のうちの、或る可動スリット板を駆動するアクチュエータにおける一対のスリット板保持部を結んだ線分と、他の或る可動スリット板を駆動するアクチュエータにおける一対のスリット板保持部を結んだ線分とが、概ね直交するように、各アクチュエータが配置されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項12】
内部に上記撮像光学系、上記撮像素子部、及び上記透過/遮蔽部を配置する筐体が、導電性材料で構成され、接地されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
上記導電性材料は導電性樹脂である請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
上記撮像光学系、上記撮像素子部、及び上記透過/遮蔽部は、筐体内に密閉されて配置されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項15】
複数個の画素を有する撮像素子部と、外部からの電磁波を上記撮像素子部に画像として結像させる撮像光学系とを有する撮像装置の撮像方法として、
上記撮像光学系における開口絞り位置に配置され、上記撮像素子部の複数個の画素に対して電磁波の透過及び遮蔽を行う透過/遮蔽部を、透過状態と遮蔽状態に反復駆動し、
上記透過/遮蔽部が透過状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力と、上記透過/遮蔽部が遮蔽状態となっているときの上記撮像素子部の画素の出力との差動信号を撮像画像信号出力とする撮像方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−93692(P2013−93692A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233687(P2011−233687)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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