説明

撮像装置、機能制御方法および機能制御プログラム

【課題】撮像装置をユーザに一番使いやすい状態で使用できるようにすることができると共に、撮像装置の操作に不慣れなユーザであっても、近景から遠景まで失敗無く撮影できるようにする。
【解決手段】操作部40を通じてユーザからの選択入力を受け付け、この受け付けた選択入力に基づいて、ユーザよって選択された撮影モードをモード判別部301により判別する。モード判別部301により、ユーザよって選択された撮影モードが、簡単撮影モードであると判別された場合には、モード変更制御部302を通じてスキャニング制御部303を制御し、被写体の位置を特定するためのスキャニング処理を、強制的に近景から遠景までの最大範囲において実行するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話端末などに搭載されるカメラモジュールなどの種々の撮像装置、当該撮像装置で用いられる撮影モードに応じた機能制御の方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
単体のデジタルカメラや携帯電話端末に搭載されたカメラモジュールなど、種々のデジタルカメラが広く利用されている。このように広く利用されるようになったデジタルカメラにおいては、AE(Automatic Exposure)と呼ばれる自動露出調整機能、AWB(Automatic White Balance)と呼ばれる自動ホワイトバランス調整機能、AF(Automatic Focus)と呼ばれる自動焦点調整機能といった種々の自動制御機能が実現されている。
【0003】
これらの種々の自動制御機能を利用することによって、ユーザ自分のデジタルカメラに対して、複雑な調整操作を行うことなく、目的とする被写体の画像を、適切な露出、適切なホワイトバランスで、しかも適切にピントが合った状態で撮影することができるようにされている。
【0004】
そして、AF機能においては、被写体の位置(カメラから被写体までの距離)を自動検出するために、所定の距離範囲において、焦点を徐々に変えながら被写体の位置を特定するようにするいわゆるスキャニング処理を行うようにしている。このスキャニング処理の具体的な方法の1つとして、所定の距離範囲において、焦点を徐々に変えながら画像を取り込み、取り込んだ画像の周波数解析を行って、高周波成分が一番多い位置を焦点が合った位置(合焦位置)とするようにすることが行われている。高周波成分が一番多い位置を合焦位置とするのは、焦点が合っていれば、被写体の輪郭がはっきりとし、高周波成分が多くなるためである。
【0005】
そして、デジタルカメラを用いて撮影する場合、通常は、1メートルから数メートル離れた位置の人物や数十メートル〜数百メートル離れた風景などを撮影する場合が多い。このため、デジタルカメラのAF機能においては、デジタルカメラから1メートル程度はなれた位置から無限大までの領域を通常領域とし、この領域(範囲)において、スキャニング処理を行うようにしている場合が多い。
【0006】
しかし、上述した通常領域においてのみスキャニングをしていたのでは、例えば、咲いている花の写真をその花にできるだけ接近して(例えばその花から数十センチメートル程度の位置から)撮影したい場合には、AF機能では焦点が合わない。このため、被写体の画像を数十センチ以下の近傍から撮影しようとする場合には、スキャニング範囲を数十センチメートル以下の範囲とするいわゆるマクロモードを用いて、近景の被写体に焦点を合わせることができるよいにしている。
【0007】
したがって、被写体から数十センチメートル程度しか離れずに撮影する場合には、通常領域をスキャニングする通常モードから、スキャニング範囲をカメラから数十センチメートル以下の範囲とするいわゆるマクロモードに切り替える操作が必要になる。最近のデジタルカメラは操作性も向上しており、ガイダンスにしたがって操作することにより、比較的に簡単に通常モードとマクロモード間の切り替え(変更)を行うことができるようにされている。
【0008】
しかしそれでも、デジタルカメラに不慣れなユーザ(フォーカスに関する知識が無いユーザを含む)にとっては、AF機能の通常モードとマクロモードとの切り替えを簡単に行うことができずに、咲いている花の写真を当該花にできるだけ近づいて撮影したが、結局ピントが合っておらず、いわゆるピンボケの写真になってしまっていたということが発生する。
【0009】
そこで、このような問題を解決するため、後に記す特許文献1には、AF機能を通常モードで行うようにしている場合に、通常領域(例えば、カメラから1メートル程度はなれた位置から無限大の範囲)をスキャニングして焦点が合わなかった場合には、自動的にマクロモードに切り替えて、スキャニング範囲をカメラから数十センチメートル以下の範囲としてスキャニング処理を行うことによって、近接位置の被写体の撮影も適切に行うことができるようにする技術が開示されている。
【0010】
この特許文献1に記載の技術を用いることにより、ユーザ、AF機能の通常モードとマクロモードとをいちいち切り替える必要はなくなるので、近接撮影の場合の失敗を防止することができる。
【0011】
なお、上述した特許文献1は、以下の通りである。
【特許文献1】特開2007−249068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上述した特許文献1に開示された技術の場合、焦点が合わないままに撮影をしてしまうことについては効果的に防止することができる。しかし、その他の種々の設定を行わなければならない場合もあり、デジタルカメラに不慣れなユーザ(フォーカスに関する知識が無いユーザを含む)とって、その操作性を大きく改善するものではない。また、デジタルカメラの操作に慣れているユーザ(フォーカスに関する知識のあるユーザ)とっては、例えば近接撮影を連続して行う場合などにおいては、通常モードからマクロモードに切り替えて行うようにしたい場合もある。
【0013】
つまり、1台のデジタルカメラを家族で共用する場合など、デジタルカメラの操作に慣れたユーザやデジタルカメラの操作に不慣れなユーザが1台のデジタルカメラを共用する場合には、1台のデジタルカメラをそれぞれのユーザとって一番使いやすい状態にして使えるようにすることが望ましい。そして、デジタルカメラの操作に不慣れなユーザとっては、操作性の向上だけでなく、特に意識することなく、近景から遠景まで失敗無く確実に撮影できることが重要である。
【0014】
以上のことに鑑み、この発明は、撮像装置をユーザに一番使いやすい状態で使用できるようにすることができると共に、撮像装置の操作に不慣れなユーザであっても、近景から遠景まで失敗無く撮影できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の撮像装置は、
撮影モードの選択入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段を通じて前記選択入力を受け付けた場合に、受け付けた前記選択入力に基づいて、選択された撮影モードを判別する判別手段と、
前記判別手段により、ユーザ操作入力を最小限に抑えた上で、被写体の撮影を適切に行えるようにする簡単撮影モードが選択されたと判別された場合に、被写体に焦点を合わせるために、被写体の位置を特定するためのスキャニング処理を、近景から遠景までの最大範囲において実行するようにするスキャニング制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0016】
この請求項1に記載の発明の撮像装置によれば、受付手段を通じてユーザからの選択入力が受け付けられると、この受け付けられた選択入力に基づいて、ユーザよって選択された撮影モードが判別手段により判別される。そして、判別手段により、ユーザよって選択された撮影モードが、簡単撮影モードであると判別された場合には、スキャニング制御手段により、被写体の位置を特定するためのスキャニング処理を、強制的に近景から遠景までの最大範囲において実行するようにされる。
【0017】
これにより、撮像装置の操作に不慣れなユーザ(フォーカスについての知識の無いユーザを含む)のための簡単撮影モードを提供することができるようにされると共に、当該簡単撮影モード時においては、スキャニングの最大範囲を強制的にスキャニング対象とすることができるので、撮像装置の操作に不慣れなユーザであっても、近景から遠景まで失敗無く撮影することができるようにされる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明の撮像装置は、請求項1に記載の撮像装置であって、
前記判別手段により、前記簡単撮影モードが選択されたと判別された場合に、当該撮像装置に設けられている表示素子に表示する表示情報を制限すると共に、表示情報の表示態様を制御する表示制御手段を備えることを特徴とする。
【0019】
この請求項2に記載の発明の撮像装置によれば、判別手段により、ユーザよって選択された撮影モードが、簡単撮影モードであると判別された場合には、表示制御手段により、撮像装置の表示素子に表示さえる表示情報の表示態様が制御するようにされる。例えば、必要な表示情報に絞って表示し、通常よりも大きく表示するなどといった表示制御がなされる。
【0020】
これにより、撮像装置の操作に不慣れなユーザであっても、必要な表示情報だけを確実に見ることができるようにされ、撮像装置の操作に不慣れなユーザにとっても、使い勝手のよい(使いやすい)撮像装置が実現される。
【0021】
また、請求項3に記載の発明の撮像装置は、請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、
前記判別手段により、前記簡単撮影モードが選択されたと判別された場合に、ユーザからの操作入力を受け付ける操作入力受付手段の操作可能な操作キーを制限するように制御する操作制御手段を備えることを特徴とする。
【0022】
この請求項3に記載の発明の撮像装置によれば、判別手段により、ユーザよって選択された撮影モードが、簡単撮影モードであると判別された場合には、操作制御手段により、撮像装置の操作入力受付手段の操作可能な操作キーが制限するようにされる。すなわち、必要最小限の操作キーしか機能しないようにするなどのことがなされる。
【0023】
これにより、不用意に不必要な操作を行ったり、間違った操作を行ったりするなどといった不都合が防止され、撮像装置の操作に不慣れなユーザにとっても、使い勝手のよい(使いやすい)撮像装置が実現される。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、撮像装置をユーザに一番使いやすい状態で使用できるようにすることができる。また、撮像装置の操作に不慣れなユーザ(フォーカスに関する知識の無いユーザを含む)であっても、近景から遠景まで失敗無く撮影できるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図を参照しながら、この発明の位置実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、この発明をデジタルスチルカメラ(以下、単に撮像装置という。)に適用した場合を例にして説明する。
【0026】
[撮像装置の構成例について]
図1は、この実施の形態の撮像装置の構成例を説明するためのブロック図である。図1に示すように、この実施の形態の撮像装置は、撮像レンズ部10と、撮像素子部11と、撮像回路12と、検波回路13と、信号処理回路14と、露出演算・制御回路15と、WB(White Balance)演算・制御回路16と、焦点演算・制御回路17と、TG(Timing Generator)回路18と、表示系19と、記録系20と、制御部30と、操作部40とから構成されている。
【0027】
なお、表示系19は、表示素子やそのコントロール回路等を備えた部分である。ここで、表示系19が備える表示素子は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機ELパネル(Organic Electroluminescence Panel)、CRT(Cathode Ray Tube)などの種々のものを用いることが可能であるが、この実施の形態においては、LCDが用いられたものとして説明する。
【0028】
また、記録系20は、記録媒体ドライバやそのコントロール回路等を備えた部分である。記録系20は、磁気テープ、DVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、ハードディスク、フラッシュメモリなどの半導体メモリなど、種々の記録媒体を用いることができるものであるが、この実施の形態の撮像装置において記録系20は、例えば半導体メモリが用いられたいわゆるメモリカードが着脱可能に構成されたものとして説明する。
【0029】
まず、図1を参照しながら、この実施の形態の撮像装置の全体構成について説明する。撮像レンズ部10は、撮像レンズ(対物レンズ)、露光調整機構、合焦調整機構等を含み、被写体の画像を撮像素子のセンサ面に結像させるようにする部分である。撮像素子部11は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像センサからなるものであり、撮像レンズ部10を通じて自己のセンサ面に結像するようにされた画像を電気信号として取り込んで、これを後段の撮像回路12に供給するものである。
【0030】
撮像回路12は、図示しないが、CDS(Correlated Double Sampling:2重相関サンプリング)回路やAGC(Automatic Gain Control)回路やA/D(Analog/Digital)変換器などを含み、撮像素子部11からの撮像信号をデジタルデータとして取り込むようにするものである。撮像回路12からの出力信号(デジタル撮像データ)は、検波回路13を通じて信号処理回路14に供給される。
【0031】
検波回路13は、撮像レンズ部10、撮像素子部11、撮像回路12を通じて取り込まれた撮像データについて、所定の画像領域に複数の分割域からなる検波領域を設定し、この検波領域の各分割域の撮像データから、後段の露出演算・制御回路15、WB演算・制御回路16、焦点演算・制御回路17のそれぞれ毎に、それぞれの制御のために用いる処理対象の撮像データについての評価値(検波値)を算出し、これを目的とする回路に供給する。
【0032】
また、TG回路18は、撮像素子部11、AE演算・制御回路部15、AWB演算・制御回路16、AF演算・制御回路17等の各部に供給する駆動タイミング信号等の種々のタイミング信号を形成し、これを必要とする各部に供給する。
【0033】
露出演算・制御回路15は、自動露光調整やユーザ設定による露光調整を制御するものである。例えば、自動露光調整を行う場合、露出演算・制御回路15は、TG回路18からのタイミング信号に同期して、記録系20で画像記録を行う際に適正な明るさおよび露光量になるように撮像レンズ部10のレンズ絞り値を制御する信号を生成し、これを撮像レンズ部10に供給したり、また、電子シャッタースピードを制御する信号を生成し、これをTG回路18に供給し、TG回路18において調整した後に撮像素子部11に供給するようにしたりする。また、露出演算・制御回路15は、撮像回路12内のAGC回路のゲイン制御や検波回路13の露出制御に関わる部分の検波動作の制御も行うため、それぞれに供給する制御信号を形成し、これらを撮像回路12、検波回路13に供給する。
【0034】
WB演算・制御回路16は、自動ホワイトバランス調整やユーザ設定によるホワイトバランス調整を制御するものである。例えば、自動ホワイトバランス調整を行う場合、WB演算・制御回路16は、TG回路18からのタイミング信号に同期して、記録系20で画像記録を行う際に適正なホワイトバランスになるように信号処理回路14のR(赤)信号ゲインおよびB(青)信号ゲインを制御する制御信号を形成し、これらを信号処理回路14に供給する。また、WB演算・制御回路16は、検波回路13の自動ホワイトバランス制御に関わる部分の検波動作の制御も行うため、検波回路13に供給する制御信号を形成し、これを検波回路13に供給する。
【0035】
焦点演算・制御回路17は、自動合焦調整(自動焦点調整)を制御したり、ユーザ操作による合焦を制御したりするものである。例えば、自動合焦(AF)を行う場合、焦点演算・制御回路17は、TG回路18からのタイミング信号に同期して、記録系20で画像記録を行う際に適正に合焦するように撮像レンズ部10のフォーカスを制御する制御信号を形成し、これを撮像レンズ部10に供給する。また、焦点演算・制御回路17は、検波回路13のAF制御に関わる部分の検波動作の制御も行うため、検波回路13に供給する制御信号を形成し、これを検波回路13に供給する。
【0036】
このように、露出演算・制御回路15、WB演算・制御回路16、焦点演算・制御回路17のそれぞれは、検波回路13からの各回路用の評価値である検波値に基づいて、露出制御信号、WB制御信号、焦点制御信号等を形成し、これを目的とする回路部分に供給することにより、露光(露出)、ホワイトバランス、合焦を適切に制御して、被写体の画像を適切に撮影して、その撮像データを得ることができるようにしている。
【0037】
信号処理回路14は、WB演算・制御回路16からの制御信号に基づいて、検波回路13を通じて供給される撮像回路12からの撮像データに対してWB調整(ホワイトバランス調整)等の処理を行って、出力用の画像データとして輝度信号Y、色信号Cr、Cbを形成し、これを表示系19と、記録系20とに供給する。
【0038】
なお、信号処理回路14においては、撮像データに対して、例えば、画素欠陥補正、フリッカ補正、ノイズリダクション、シェーディング補正、色収差補正、ガンマ補正等の各種補正処理も行われる。
【0039】
表示系19は、上述もしたように、例えば表示素子としてLCDを備えると共に、そのコントロール回路を備えたものであり、信号処理回路14からの画像データからLCDに画像を表示するための表示用の画像信号を形成し、これをLCDに供給することによって、信号処理回路14からの画像データに応じた画像をLCDの表示画面に表示する。
【0040】
また、記録系20は、上述もしたように、記録媒体としていわゆるカードメモリが着脱可能にされた媒体ドライバを備えており、信号処理回路14からのデジタル撮像データを、装填されているカードメモリに内蔵された半導体メモリに記録することができるものである。
【0041】
なお、この実施の形態においては、説明を簡単にするため、再生系についての説明は省略したが、記録系20の機能によりカードメモリに記録された撮像データを読み出して、表示系19に供給して再生したり、外部の表示装置や記録再生装置に対して出力したりすることもできるものである。
【0042】
また、制御部30は、この実施の形態の撮像装置の各部を制御するものであり、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)34が、CPUバス35を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータである。
【0043】
ここで、CPU31は、ROM32等に記憶保持されているプログラムを読み出して実行し、各部に供給する制御信号を形成してこれを各部に供給したり、各部からの信号を受け付けて、これを処理したりするなど、制御の主体となるものである。ROM32は、上述もしたように、CPU31によって実行されるプログラムや処理に必要になる各種のデータ等が予め記録されたものである。
【0044】
RAM33は、各種の処理の途中結果を一時記憶するなど、いわゆる作業領域として用いられるものである。EEPROM34は、いわゆる不揮発性メモリであり、例えば、各種の設定パラメータ、機能追加のために新たに提供されたプログラム等のこの実施の形態の撮像装置の電源が落とされても保持しておくべき種々の情報を記憶保持するものである。
【0045】
また、操作部40は、この実施の形態の撮像装置の筐体の各所に設けられる、例えば、電源のオン/オフキー、シャッターキー、ズーム調整キー、モード切替キー、各種機能の切替キーや設定キー、表示系19の表示素子へのメニューの表示/非表示を切り替えるメニューキー、メニュー項目を選択したり、設定情報を入力したりするなどのために用いられる上矢印キー、下矢印キー、左矢印キー、右矢印キー、エンターキー等の各種の操作キー等が設けられたものである。操作部40は、ユーザからの操作入力を受け付けて、これを電気信号に変換して制御部30に供給することができるものである。
【0046】
これにより、操作部40を通じて受け付けた操作入力に応じて、制御部30が各部を制御することにより、撮影を行って得た被写体の画像を記録系20の記録媒体ドライブに装填されたカードメモリに記録したり、記録系20の記録媒体ドライブに装填されているカードメモリからこれに記録されている画像データを読み出して、出力したりするなどの各種の処理を行うことができるようにされている。
【0047】
[撮像時の動作(処理)について]
次に、図1に示したこの実施の形態の撮像装置においての撮影時の動作について説明する。操作部40を通じて電源が投入されると、制御部30は、各部を制御して、撮影が可能な状態にし、シャッターキーが押下操作されるのを待つ。
【0048】
撮像素子部11のCCD等の撮像素子の前面には原色フィルタ(図示せず)が装着されており、電源が投入された状態においては、被写体の光像は撮像レンズ部10及び原色フィルタを経て、撮像素子の撮像面に入射される。原色フィルタは、赤、緑及び青のフィルタ部がモザイク状に配列された光学フィルタである。また、この原色フィルタの代わりに、イエロー、シアン、マゼンタ及びグリーンのフィルタ部がモザイク状に配列された補色系光学フィルタを用いてもよい。
【0049】
撮像素子部11の撮像素子は、撮像レンズ部10を経て入射される被写体の光像を光電変換して撮像信号(電荷)を生成する。この生成された撮像信号はラスタスキャン方式で読み取られて出力される。出力された撮像信号は、撮像回路12に供給されて、CDS回路によるノイズ除去、AGC回路によるゲイン調整が行われた後、A/D変換器に供給されて、アナログ撮像信号がデジタル撮像信号(デジタル撮像データ)に変換されて出力される。
【0050】
信号処理回路14は、検波回路13を介して、撮像回路12から供給される撮像信号(デジタル撮像データ)に対し、ガンマ処理、色分離処理、4:2:2の比率によるYUV変換などの信号処理を施して、輝度信号データ及びクロマ信号データからなる画像データを作成する。
【0051】
信号処理回路14からの画像データは、表示系19と記録系20とに供給される。そして、表示系19においては、表示系19が備えるLCDの表示画面に、信号処理回路14からの画像データに応じて画像が表示するようにされる。そして、表示系19が備えるLCDの表示画面に表示された画像を確認し、ユーザがシャッターキーを押下操作すると、上述したようにして取り込まれる画像データが記録系20に供給される。そして、記録系20においては、これに供給された画像データから記録用の画像データが形成され、これが記録系20の記録媒体ドライバに装填されているカードメモリに記録される。
【0052】
また、この実施の形態の撮像装置において、電源が投入された状態においては、露出演算・制御回路15の機能により、露光(露出)やシャッタースピードが自動にあるいはユーザ指示入力に応じて調整され、WB演算・制御回路16の機能により、ホワイトバランスが自動にあるいはユーザ指示入力に応じて調整され、さらに、焦点演算・制御回路17の機能により、焦点が自動にあるいはユーザ指示入力に応じて調整するようにされる。
【0053】
[撮影モードについて]
そして、この実施の形態の撮像装置は、通常撮影モードと、簡単撮影モードとを備えている。通常撮影モードは、電子機器の操作にある程度慣れている一般的なユーザを想定したものであり、種々のモードの切り替えや種々の情報の設定等を行って、目的とする態様で撮影を行うことが可能なものである。また、簡単撮影モードは、電子機器の操作に不慣れなユーザ(フォーカスに関する知識の無いユーザ等を含む)を想定したものであり、モードの切り替え操作や情報の設定操作を必要最小限に止めた上で(制限した上で)、どのような撮影条件下においても適切に被写体の撮影を可能にするものである。
【0054】
図2は、通常撮影モードと簡単撮影モードとの概要を説明するための図である。まず、通常撮影モードの概要について説明する。通常撮影モードの場合には、ユーザによって選択可能な項目が比較的に多く用意されている。
【0055】
図2に示すように、通常撮影モードの場合には、自動焦点調整機能(AF機能)においては、自動的に焦点を合わせるために、被写体の位置(当該撮像装置から被写体までの距離)を特定するためのスキャニング範囲として、通常領域をスキャニングする通常モードと、マクロ領域をスキャニングするマクロモードと、通常領域とマクロ領域とを合わせた領域をスキャニングするオートマクロモードとの選択が可能とされる。
【0056】
図3は、この実施の形態の撮像装置の自動焦点調節機能におけるスキャニングのモードとスキャニングの範囲とを説明するための図である。この実施の形態の撮像装置においては、自動焦点調整機能時におけるスキャニングモードとして、図3(A)に示すように、当該撮像装置から大体50センチメートル離れた位置から無限大までの領域(範囲)を通常領域とし、この通常領域をスキャニングする通常モードと、図3(B)に示すように、当該撮像装置から大体8センチメートル離れた位置から50センチメートルまでの領域(範囲)をマクロ領域とし、このマクロ領域をスキャニングするマクロモードと、図3(C)に示すように、マクロ領域と通常領域とを合わせた最大領域(最大範囲)をスキャニングするオートマクロモードとを備えている。
【0057】
そして、通常撮影モード時においては、上述したように、スキャニングモードとして用意されている通常モードと、マクロモードと、オートマクロモードとの内、いずれを用いるかはユーザ身によって選択することができるようにしている。
【0058】
また、この実施の形態の撮像装置の場合には、通常撮影モードが選択されている状態では、通常は、自動焦点調整機能(AF機能)、自動露出調整機能(AE機能)、自動ホワイトバランス調整機能(AWB機能)のそれぞれが機能するようにされ、焦点、露出、ホワイトバランスが、自動的に調整されて、被写体の撮影ができるようにされる。
【0059】
しかし、通常撮影モード時においては、露出をユーザが選択した一定の値に保持したまま撮影することが可能な露出一定モードや、ホワイトバランスをユーザが選択した一定の値に保持したまま撮影することが可能なホワイトバランス一定モードや、シャッタースピードをユーザが選択した一定値に保持したまま撮影することが可能なシャッタースピード一定モードなど、種々のモードを選択して用いることもできるようにされている。
【0060】
また、通常撮影モード時においては、上述した利用可能な種々のモードの選択の他にも、種々のパラメータなどの選択や設定が可能なようにされている。したがって、通常撮影モード時においては、撮像装置のユーザが、撮影の目的に合わせて、上述したように、利用可能とされたモードの選択や、選択、設定が可能とされたパラメータなどを自由に切り替えながら、被写体を目的に合致した条件で撮影することができるようにされる。
【0061】
これに対して、この実施の形態の撮像装置において、簡単撮影モードの場合には、図2に示すように、自動焦点調整機能、自動露出調整機能、自動ホワイトバランス調整機能が用いられるが、自動焦点調整機能においては、スキャニング領域は、図3(C)に示したオートマクロ領域に強制的に固定される。つまり、オートマクロモードに固定される。
【0062】
また、簡単撮影モードの場合には、ユーザが選択可能な項目としては、画像サイズの選択と、フラッシュのオート/禁止の選択と、セルフタイマーのオン/オフの選択との3つの選択設定だけが可能となるようにされている。
【0063】
この実施の形態の撮像装置において、画像サイズとしては、撮影して記録する画像のサイズとして大(8メガバイト)と小(1メガバイト)との2種類の内のいずれかを選択することができる。また、フラッシュについては、周囲の明るさを自動的に感知して、フラュシュを用いるか用いないかを自動的に制御するオートと、フラッシュを全く用いないようにする禁止とを選択することができる。また、セルフタイマーについては、セルフタイマーを用いるか否か(オンかオフか)の選択をすることができる。
【0064】
さらに、簡単撮影モードの場合には、選択や設定が可能な項目が上述したように制限されるので、ユーザが意図しない操作が行われることがないようにすると共に、ユーザに必要以上に詳細な情報を提供し、ユーザが混乱することがないようにしている。すなわち、簡単撮影モードの場合には、操作性、情報の表示性の観点から配慮した機能を設けるようにしている。
【0065】
まず、簡単撮影モード時における主に操作性の面を配慮した機能について説明する。図4、図5は、簡単撮影モード時における主に操作性の面を配慮した機能について説明するための図である。上述もしたように、簡単撮影モード時においては、ユーザが選択可能な項目は、画像サイズの選択と、フラッシュのオート/禁止の選択と、セルフタイマーのオン/オフの選択との3つだけである。
【0066】
このため、この実施の形態の撮像装置に設けられているメニューキーを押下操作した場合には、図4に示すように、表示部19の表示画面19Gには、実際に選択や説定が可能な上述した3つの項目のみのメニューが表示される。すなわち、簡単撮影モードの場合には、図4に示すように、画像サイズの大/小の選択、フラッシュのオート/発光禁止の選択、セルフタイマーの切/入の選択の3項目についての選択だけを行うことができるようにされる。
【0067】
実際の選択操作は、操作部40に設けられている上下矢印キーによって、画像サイズ、フラッシュ、セルフタイマーの何れかを選択し、左右矢印キーによって、選択された項目の選択内容の選択ができるようにされる。また、この他、表示系19の表示画面にタッチパネルを貼付しておき、ユーザにより指などが接触された位置を検出し、その接触位置に対応する表示画面19上の位置に表示されている内容を選択されたものとして処理するようにすることもできる。
【0068】
そして、図4に示した状態から、再度、メニューキーが押下操作された場合には、撮影画面に戻るようにされる。すなわち、撮像レンズ部10を通じて撮像素子部11の撮像素子の結像面に結像するようにされた被写体の画像が表示系19の表示画面に表示するようにされ、シャッターを押下操作することによって、その時点において取り込まれた画像が、記録系20の記録媒体(この実施の形態においてはメモリカード)に記録される。
【0069】
このように、この実施の形態の撮像装置においては、操作可能な項目を、分かりやすい平易な言葉によりユーザに通知し、選択したり設定したりすることができる内容についても、分かりやすく通知することができるようにしている。また、使用される文字フォントも大きめのものを用いるようにしており、表示自体も見やすいように考慮している。
【0070】
また、この実施の形態の撮像装置の操作部40には、よく切り替えるモードや機能を、簡単な操作で切り替えることができるようにする簡易切り替えキー部41が設けられている。そして、簡単撮影モード時においては、簡易切り替えキー部41の操作可能な切り替えキーが制限するようにされる。
【0071】
図5は、この実施の形態の撮像装置に設けられている簡易切り替えキー部41の構成例を説明するための図である。図5に示すように、この例の簡易切り替えキー部41は、Dispキー411、フラッシュキー412、セルフタイマーキー413、マクロ切替キー414、決定キー415が設けられたものである。
【0072】
ここでDispキー411は、通常撮影モード時において、選択可能な複数のアイコンの表示/非表示を切り替えるものである。具体的には、明るさ(EV値)アイコン、感度(ISO値)アイコン、撮影枠オン/オフアイコン、逆光補正のオン/オフアイコンなどのアイコンの表示/非表示を切り替えることができるようにされる。すなわち、通常撮影モード時においては、Dispアイコン411を押下操作することにより、必要に応じて各アイコンを表示して種々の設定を行うことを可能にし、必要のない場合には、各アイコンを非表示とすることができるようにされる。
【0073】
また、フラッシュキー412は、周囲の明るさを自動的に感知して、フラュシュを用いるか用いないかを自動的に制御するオートと、フラッシュを全く用いないようにする禁止とを選択できるようにするものである。また、セルフタイマーキー413は、セルフタイマーを用いるか否かの選択をできるようにするものである。
【0074】
マクロ切替キー414は、被写体の位置を検出するためのスキャニング領域の切り替えキーであり、上述もした通常領域をスキャニングする通常モードと、マクロ領域をスキャニングするマクロモードと、通常領域+マクロ領域をスキャニングするオートマクロほどとの3つのスキャニングモードを押下する毎に切り替えることができるようにするものである。
【0075】
また、決定キー415は、Dispキー411、フラッシュキー412、セルフタイマーキー413、マクロ切替キー414を用いて選択したり設定したりした内容を決定して、この実施の形態の撮像装置において、種々の処理や制御において用いることができるようにするためのものである。
【0076】
そして、この実施の形態の撮像装置において、簡単撮影モード時においては、図5に示した簡易切替キー41の内、フラッシュキー412とセルフタイマーキー413との2つの操作キーに対して行われた操作だけを有効とし、Dispキー411とマクロキー414と決定キー415との3つ操作キーに対して行われた操作は無効となるようにしている。
【0077】
このように、簡単撮影モード時においては、簡易切替キー部41は、いわゆるショートカットとして利用することができるようにされるが、操作可能な操作キーに対する操作のみを有効にすることによって、使用できない操作キーが操作されることにより、エラーメッセージが表示されるなどして、操作不慣れなユーザが戸惑ってしまうなどの不都合を生じさせることがないようにしている。
【0078】
次に、簡単撮影モード時における主に情報の表示性の面を配慮した機能について説明する。図6、図7は、簡単撮影モード時における主に情報の表示性の面を配慮した機能について説明するための図である。
【0079】
この実施の形態の撮像装置において、簡単撮影モード時において、表示系19の表示画面19Gには、基本的に、電池残量を示す電池残量アイコン194と、撮影可能枚数を示す残り枚数表示195との2つのアイコンが、大きなフォントで表示するようにされる。また、操作部40に設けられているズーム操作キーが操作された場合には、どの程度のズームになっているかを示すズームバー表示196が表示される。また、セルフタイマーがオン(入)にされた場合には、セルフタイマーアイコン197が表示するようにされる。
【0080】
このように、この実施の形態の撮像装置において、簡単撮影モードにおいては、必要最小限と考えられる、わずかに4種類の表示が行われるだけであり、複雑な表示がされることにより、撮像装置の操作に不慣れなユーザが戸惑ってしまうなどといった不都合を防止することができるようにしている。
【0081】
また、図7は、通常撮影モード時に表示されるフォーカスマーク198の表示例を示す図である。通常撮影モード時においては、どこに焦点を合わせるようにしているかを示すフォーカスマーク198を表示するようにしているが、このような表示も撮像装置に不慣れなユーザにとっては、何を意味する表示かを理解できない場合もあり、ユーザを不安にさせてしまうだけの場合もあることを考慮し、簡単撮影モード時においては、図7に示したようなフォーカスマーク198も表示しないようにしている。
【0082】
このように、この実施の形態の撮像装置において、簡単撮影モード時においては、撮像装置に不慣れなユーザにとって見やすい表示となるようにするために、当該撮像装置の表示系19の表示画面19Gには、必要最小限の情報のみを大きなフォントで表示するようにしている。
【0083】
[制御部30の機能について]
そして、この実施の形態の撮像装置において、上述した撮影モードの切替や、各モードに応じた処理は、制御部30の機能によって実現される。図8は、この実施の形態の制御部30が実現する機能を説明するためのブロック図である。図8に示すように、この実施の形態の撮像装置の制御部30は、モード判別部301、モード変更制御部302、フォーカス用スキャニング制御部303、操作制御部304、表示制御部305の各機能を実現することができるものである。
【0084】
この実施の形態の撮像装置の制御部30においては、操作部40を通じて撮影モードの選択入力(切替指示)を受け付けると、モード判別部301は、ユーザによって選択された撮影モードは、通常撮影モードか、簡単撮影モードかを判別し、その判別結果をモード変更制御部302に通知する。モード変更制御部302は、通知された撮影モードに応じて、フォーカス用スキャニング制御部303、操作制御部304、表示制御部305を制御する。
【0085】
すなわち、モード変更制御部302は、モード判別部301から通常撮影モードが選択されたことの通知を受けた場合には、フォーカス用スキャニング制御部303を制御して、通常モード、マクロモード、オートマクロモードの選択をユーザが行うことができるようにする。また、この場合、モード変更制御部302は、操作制御部304を制御して通常撮影モード時において可能なモードの選択やパラメータの設定などを可能にすると共に、表示制御部305を制御して、通常撮影モード時において選択可能となる項目などについての情報や、通知すべき種々の情報を表示するようにする。
【0086】
これに対して、簡単撮影モードが選択されたことをモード判別部301から通知を受けると、モード変更制御部302は、フォーカス用スキャニング制御部303を制御して、スキャニング領域を当該撮像装置からの距離が約8センチメート位の位置から無限大までとするオートマクロモードに強制的に固定する。
【0087】
同時に、モード変更制御部302は、操作制御部304を制御し、簡単撮影モード時において切替が可能とされた画像サイズの大/小、フラッシュのオート/発光禁止、セルフタイマーの切/入の選択入力のみを可能にするようにすると共に、表示制御部305を制御して、簡単撮影モード時において選択可能となる項目についての情報や、必要最小限の通知すべき情報を表示するようにする。
【0088】
これにより、撮像装置の操作に慣れたユーザは、通常撮影モードを用いることにより、比較的に簡単に画像を撮影することができるようにされると共に、ユーザに意図に応じて、通常撮影モード時において選択可能とされる種々のモードへの切り替えや、パラメータの設定などを行って、目的とする態様で画像を撮影することができるようにされる。
【0089】
また、撮像装置の操作に不慣れなユーザは、簡単撮影モードを用いることにより、上述もしたように、画像サイズの大/小、フラッシュのオート/発光禁止、セルフタイマーの切/入の選択入力を行うことができるようにされる以外は、シャッターボタンを押下操作するだけで、目的とする被写体が近景であろうと遠景であろうと、適切にフォーカス(焦点)をあわせ、適切に目的とする被写体の画像を撮影することができるようにされる。
【0090】
したがって、この実施の形態の撮像装置を、家族など、複数のユーザが共用するような場合であって、各ユーザの撮像装置に対する習熟度が異なっている場合であっても、通常撮影モードと簡単撮影モードとをユーザに応じて切り替えるようにすることによって、各ユーザにとって一番使いやすい状態にして撮像装置を利用することができるようにされる。
【0091】
[撮像装置における撮影モードに応じた処理のまとめ]
次に、この実施の形態の撮像装置において行われる撮影モードの切り替えと、切り替えられた撮影モードに応じた処理についてまとめる。図9は、この実施の形態の撮像装置において実行される撮影モードの切り替え処理について説明するためのフローチャートである。この図9に示すフローチャートの処理は、この実施の形態の撮像装置の制御部30によって実行されるメイン処理の中で所定のタイミング毎に実行されるものである。
【0092】
そして、図9に示す処理が実行されると、制御部30は、操作部40を通じて、ユーザからの撮影モードの選択入力(切替入力)を受け付けるようにし(ステップS101)、ステップS101において、撮影モードの選択入力を受け付けたか否かを判断する(ステップS102)。ステップS102の判断処理において、撮影モードの選択入力を受け付けていないと判断したときには、図9に示す処理を抜けて、メインルーチンに戻るようにする。
【0093】
また、ステップS102の判断処理において、撮影モードの選択入力を受け付けたと判断したときには、制御部30は、自己が実現するモード判別部301の機能を用いて、ユーザによって選択された撮影モードは、通常撮影モードか否かを判断する(ステップS103)。
【0094】
ステップS103の判断処理において、ユーザにより通常撮影モードが選択されたと判断したときには、制御部30は、自己が実現するモード変更制御部302の機能を用い、同じく制御部30が実現するフォーカス用スキャニング制御部303を制御するようにして、スキャニング領域の選択(スキャニングモードの選択)を可能にすると共に、同じく制御部30が実現する操作制御部304、表示制御部305を制御するようにして、種々のモードやパラメータなどの選択、設定を行えるようにし、また、必要な情報を表示系19の表示画面に表示してユーザに提供する(ステップS104)。
【0095】
このステップS104の処理の後、当該撮像装置においては、通常撮影モードに応じた撮影ができる状態となり(ステップS105)、この図9に示す処理を抜けて、メインルーチンに戻るようにする。
【0096】
また、ステップS103の判断処理において、ユーザにより選択された撮影モードは通常撮影モードではないと判断したときには、制御部30は、自己が実現するモード判定部301の機能を用い、選択された撮影モードは、簡単撮影モードか否かを判断する(ステップS106)。
【0097】
ステップS106の判断処理において、簡単撮影モードが選択されたと判断したときには、制御部30が実現するモード変更制御部302の機能により、同じく制御部30が実現するフォーカス用スキャニング制御部303を制御するようにして、通常領域とマクロ領域との両方をスキャニングするオートマクロモードに強制的に固定する(ステップS107)。
【0098】
そして、制御部30が実現するモード変更制御部302は、同じく制御部30が実現する操作制御部304、表示制御部305を制御するようにして、選択したり設定したりすることが可能な項目を制限すると共に(ステップS108)、不要な情報は表示しないように、表示情報も必要最小限に制限する(ステップS109)。このステップS109の処理の後、当該撮像装置においては、簡単撮影モードに応じた撮影ができる状態となり(ステップS110)、この図9に示す処理を抜けて、メインルーチンに戻るようにする。
【0099】
また、ステップS106の判断処理において、選択された撮影モードは簡単撮影モードではないと判断したときには、制御部30が実現するモード変更制御部302は、そのモードに変更するように、各部を制御するようにし(ステップS111)、この図9に示す処理を抜けて、メインルーチンに戻るようにする。
【0100】
このように、この実施の形態の撮像装置においては、通常撮影モードと簡単撮影モードとを切り替えて、ユーザ毎に適した撮影モードで撮影を行うことができるようにしている。特に、簡単撮影モードに切り替えた場合には、ユーザはモード切替操作や種々の設定操作を行うことなく、目的とする被写体にカメラを向けて、シャッターボタンを押下操作するだけで、目的とする被写体の画像を適切に撮影することができるようにされる。
【0101】
このように、この実施の形態の撮像装置が備える簡単撮影モードは、初心者や難しい設定操作を行うことが困難なユーザが、マクロについての知識を必要とせずに自動的に近景・遠景に自由にフォーカスを設定させることをできるようにしており、これを簡単撮影モードが設定されると自動的にオートマクロ機能を有効にすることで実現させている。
【0102】
また、簡単撮影モードは、初心者や難しい設定操作を行うことが困難なユーザを対象としており、メニューやモードダイヤル等を用いて設定することが可能で、他の撮影モードより可能な設定操作が少なく、簡単撮影モードを用いた場合には、他の撮影モードよりも表示される文字が大きい等見やすい表示に変わることを特徴としている。
【0103】
そして、上述した実施の形態の撮像装置の場合には、初心者や難しい設定操作を行うことが困難なユーザが、マクロについての知識や設定を必要とせずに自動的に近景・遠景に自由にフォーカスを設定することが可能となり、当該撮像装置からの位置が種々の位置の被写体を適切に撮影することができるようにされる。
【0104】
また想定されるユーザ向けの設定である簡単撮影モードと、オートマクロの設定をリンクさせることで、想定されるユーザが距離撮影を意識せずに撮影可能とする為のステップを減らすことが出来る。つまり、簡単撮影モードを用いるようにした場合には、オートマクロモードに変更するための操作を行う必要がなくなる。
【0105】
[その他]
なお、上述した実施の形態においては、デジタルスチルカメラに適用した場合を例にして説明したが、これに限るものではない。携帯電話端末などのモバイル機器に搭載されるカメラモジュールやデジタルビデオカメラなど、自動焦点調整機能(AF機能)において、スキャニング領域が異なる、通常モードと、マクロモードと、オートマクロモードとの切替が可能な種々の撮像装置にこの発明を適用することができる。
【0106】
また、上述した実施の形態においては、簡単撮影モードが選択された場合には、自動焦点調整機能のスキャニングモードをオートマクロモードとすると共に、選択、設定可能な項目を制限すると共に、表示される情報も必要最小限に制限するようにしたが、これに限るものではない。
【0107】
少なくとも、目的とする被写体に対して確実に焦点を合わせて撮影を行えるようにするために、簡単撮影モードが選択された場合には、自動焦点調整機能のスキャニングモードをオートマクロモードにするようにし、操作性や表示性の観点からの機能については特別に考慮しないようにしてもよい。しかし、ユーザの利便性の観点からは、操作性や表示性の少なくとも一方、好ましくは両方を考慮し、操作項目を制限したり、表示情報を必要最小限にしたりすることが望ましい。
【0108】
また、種々の撮像装置において、図9を用いて説明した方法を適用することにより、この発明を種々の撮像装置において実現することができる。また、図9に示したフローチャートに合致したプログラムを作成し、これを種々の撮像装置において実行できるようにすることによって、種々の撮像装置にこの発明を適用することができる。
【0109】
なお、図9に合致したプログラムを、種々の記録媒体に記録して配布したり、インターネットなどの高域ネットワークを通じて配布したりして、既存の撮像装置に対して追加搭載できるようにすることによって、既存の撮像装置にもこの発明を適用することができる。なお、既存の撮像装置にこの発明を適用する場合には、関連するプログラムの修正が必要になる場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】この発明の一実施の形態が適用された撮像装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【図2】通常撮影モードと簡単撮影モードとの概要を説明するための図である。
【図3】自動焦点調節機能におけるスキャニングのモードとスキャニングの範囲とを説明するための図である。
【図4】簡単撮影モード時における主に操作性の面を配慮した機能について説明するための図である。
【図5】簡単撮影モード時における主に操作性の面を配慮した機能について説明するための図である。
【図6】簡単撮影モード時における主に情報の表示性の面を配慮した機能について説明するための図である。
【図7】簡単撮影モード時における主に情報の表示性の面を配慮した機能について説明するための図である。
【図8】実施の形態の撮像装置の制御部30が実現する機能を説明するためのブロック図である。
【図9】撮影モードの切り替え処理について説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0111】
10…撮像レンズ部、11…撮像素子部、12…撮像回路、13…検波回路、14…信号処理回路、15…露出演算・制御回路、16…WB(White Balance)演算・制御回路、17…焦点演算・制御回路、18…TG(Timing Generator)回路、19…表示系、20…記録系、30…制御部、31…CPU、32…ROM、33…RAM、34…EEPROM、35…CPUバス、40…操作部、301…モード判別部、302…モード変更制御部、303…フォーカス用スキャニング制御部、304…操作制御部、305…表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影モードの選択入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段を通じて前記選択入力を受け付けた場合に、受け付けた前記選択入力に基づいて、選択された撮影モードを判別する判別手段と、
前記判別手段により、ユーザ操作入力を制限して被写体の撮影を適切に行えるようにする簡単撮影モードが選択されたと判別された場合に、被写体に焦点を合わせるために行う被写体の位置を特定するためのスキャニング処理を、近景から遠景までの最大範囲において実行するようにするスキャニング制御手段と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記判別手段により、前記簡単撮影モードが選択されたと判別された場合に、当該撮像装置に設けられている表示素子に表示する表示情報を制限すると共に、表示情報の表示態様を制御する表示制御手段を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、
前記判別手段により、前記簡単撮影モードが選択されたと判別された場合に、ユーザからの操作入力を受け付ける操作入力受付手段の操作可能な操作キーを制限するように制御する操作制御手段を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記近景から遠景までの最大範囲は、当該撮像装置からの距離が50センチメートル以下となる位置から当該撮像装置からの距離が無限大となる位置までの範囲であることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
撮像装置において用いられる撮影モードに応じた機能制御方法であって、
受付手段を通じて撮影モードの選択入力を受け付ける受付工程と、
前記受付工程において、前記選択入力を受け付けた場合に、受け付けた前記選択入力に基づいて、判別手段により選択された撮影モードを判別する判別工程と、
前記判別工程において、ユーザの操作入力を制限して被写体の撮影を適切に行えるようにする簡単撮影モードが選択されたと判別した場合に、被写体に焦点を合わせるために行う被写体の位置を特定するためのスキャニング処理を、スキャニング制御手段によって近景から遠景までの最大範囲において実行するように制御するスキャニング制御工程と
を有することを特徴とする機能制御方法。
【請求項6】
撮像装置に搭載されたコンピュータに実行される撮影モードに応じた機能制御プログラムであって、
受付手段を通じて撮影モードの選択入力を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにおいて前記選択入力を受け付けた場合に、受け付けた前記選択入力に基づいて、判別手段により選択された撮影モードを判別する判別ステップと、
前記判別ステップにおいて、ユーザ操作入力を制限して被写体の撮影を適切に行えるようにする簡単撮影モードが選択されたと判別した場合に、被写体に焦点を合わせるために行う被写体の位置を特定するためのスキャニング処理を、スキャニング制御手段によって近景から遠景までの最大範囲において実行するように制御するスキャニング制御ステップと
を前記撮像装置の前記コンピュータが実行することを特徴とする機能制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−157329(P2009−157329A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338955(P2007−338955)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】