撮像装置、生体情報取得装置、及び移動体通信端末
【課題】 外乱光の影響によって取得画像の品質が劣化すること。
【解決手段】 撮像装置60は、外界から表面領域に入力する像を撮像する撮像装置である。撮像装置60は、表面領域が分割されることで規定される複数の単位領域夫々における光透過率を、単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された光透過率に電気的制御に基づいて設定する調光手段と、所定の光透過率に設定された単位領域を通過した光を受光する複数の画素を有する光検出器20と、 を備える。
【解決手段】 撮像装置60は、外界から表面領域に入力する像を撮像する撮像装置である。撮像装置60は、表面領域が分割されることで規定される複数の単位領域夫々における光透過率を、単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された光透過率に電気的制御に基づいて設定する調光手段と、所定の光透過率に設定された単位領域を通過した光を受光する複数の画素を有する光検出器20と、 を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、生体情報取得装置、及び移動体通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体認証に関する技術開発の進展が著しい。なお、生体認証とは、検査対象の個体から取得した生体情報が、あらかじめ設定された生体情報に等しいかどうかという判定に基づいて、ある個体を他の個体から識別する技術である。例えば、ヒトの瞳の虹彩に基づいて個体を特定する方法、ヒトの指等の静脈パターンに基づいて個体を特定する方法、及び指の指紋パターンに基づいて個体を特定する方法が挙げられる。なかでも、ヒトの指等の静脈パターンを利用したものは、パターンデータの偽装が困難であり、高いセキュリティーを確保することができる。
【0003】
特許文献1には、生体認証に用いられる撮像装置が開示されている。この撮像装置では、光源(100)、支持台(300)、画像認証部(200)を積層させることで、撮像装置の小型化を図っている。
【特許文献1】特開2001−119008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、移動体通信端末といった情報機器に生体認証装置が組み込まれる場合、屋内に限らず、屋外においても生体認証は実行され得る。このような場合、太陽光線の重畳によって、許容範囲外の強度の光が撮像素子の画素に入力するおそれがある。許容範囲外の強度の光が画素に入力すると、画素が飽和し、取得画像が部分的に白くなってしまう。部分的であっても画質が劣化すると、認証成功と判定されるべき場合であっても認証失敗と判定されてしまうおそれがあり、結果として、生体認証装置の信頼性が失われてしまう。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、外乱光の影響によって取得画像の品質が劣化することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る撮像装置は、外界から表面領域に入力する像を撮像する撮像装置であって、前記表面領域が分割されることで規定される複数の単位領域夫々における光透過率を、前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された光透過率に電気的制御に基づいて設定する調光手段と、所定の光透過率に設定された前記単位領域を通過した光を受光する複数の画素を有する光検出器と、を備える。
【0007】
調光手段が単位領域毎に光透過率を設定することで、許容範囲以上の強度の光が入力することに伴って光検出器の画素が飽和することが抑制される。結果として、高強度の外乱光が入射する場所であっても良質な画像を取得することができる。
【0008】
前記調光手段は、複数の前記単位領域夫々に対応して設けられた複数の単位電極夫々を前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された電圧に設定することに基づいて前記単位領域毎の光透過率を制御する、と良い。
【0009】
前記調光手段は、液晶層と、複数の前記単位電極を上部電極又は下部電極として前記液晶層を挟持する一対の電極層と、複数の前記単位電極夫々を所定の電圧に設定する電圧設定部と、を備える、と良い。
【0010】
前記単位領域を通過した光を複数の前記画素に案内する光案内手段と、を更に備える、と良い。
【0011】
複数の前記単位電極夫々は、順次、予め設定された電圧に設定される、と良い。
【0012】
前記光案内手段は、入力された光を複数の反射面を介して前記画素まで案内する光学部材である、と良い。
【0013】
前記光学部材は、互いに隣り合って配置された複数のガイド部材から構成される、と良い。
【0014】
複数の前記ガイド部材は、前記光検出器上に配置され、前記液晶層は、複数の前記ガイド部材上に配置される、と良い。
【0015】
一対の前記電極層を挟持する一対の偏光板を更に備える、と良い。
【0016】
前記液晶層の上層に配置されると共に、入力された光を集光する複数のレンズを更に備える、と良い。
【0017】
前記液晶層は、当該撮像装置に隣接して配置される液晶表示装置の液晶層と同層に形成される、と良い。
【0018】
前記光検出器は、1列に複数の前記画素が配列されたラインセンサーである、と良い。
【0019】
本発明に係る撮像装置は、外界から表面領域に入力する像を撮像する撮像装置であって、液晶層と、前記表面領域が分割されることで規定される複数の単位領域に対応して設けられる複数の単位電極を上部電極又は下部電極として前記液晶層を挟持する一対の電極層と、前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された電圧に前記単位電極を設定することに基づいて所定の光透過率に設定された前記単位領域の通過光を受光する複数の画素を有する光検出器と、を備える。
【0020】
調光手段として液晶技術を活用することで、許容範囲以上の強度の光が入力することに伴って光検出器の画素が飽和することが抑制される。結果として、高強度の外乱光が入射する場所であっても良質な画像を取得することができる。
【0021】
本発明に係る生体情報取得装置は、被検体に対する光照射に基づいて前記被検体の生体情報を取得する生体情報取得装置であって、前記被検体に照射されるべき光を出射する光源と、前記反射光又は前記透過光が入力する表面領域と、前記表面領域が分割されることで規定される複数の単位領域夫々における光透過率を前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された光透過率に電気的制御に基づいて設定する調光手段と、前記単位領域を通過した光を受光する複数の画素を有する光検出器と、を備える。
【0022】
調光手段が単位領域毎に光透過率を設定することで、許容範囲以上の強度の光が入力することに伴って光検出器の画素が飽和することが抑制される。結果として、高強度の外乱光が入射する場所であっても良質な画像を取得し、生体認証の信頼性を確保することができる。
【0023】
前記調光手段は、前記光源寄りの前記単位領域における光透過率を、前記光源からより離れた位置の前記単位領域における光透過率よりも低く設定する、と良い。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、外乱光の影響によって取得画像の品質が劣化することを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、各実施の形態は、説明の便宜上、簡略化されている。図面は簡略的なものであるから、図面の記載を根拠として本発明の技術的範囲を狭く解釈してはならない。図面は、もっぱら技術的事項の説明のためのものであり、図面に示された要素の正確な大きさ等は反映していない。同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。上下左右といった方向を示す言葉は、図面を正面視した場合を前提として用いるものとする。
【0026】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態について、図1乃至図11を用いて説明する。図1は、携帯電話の構成を示す模式図である。図2は、携帯電話の前面の構成を示す模式図である。図3は、携帯電話の前面の構成を示す拡大模式図である。図4は、撮像装置の概略的な分解斜視図である。図5は、撮像装置の概略的な断面構成を示す模式図である。図6は、撮像素子の前面の構成を説明するための模式図である。図7は、単位電極の配置態様を示す模式図である。図8は、生体情報取得装置の動作を説明するためのフローチャートである。図9は、電圧設定に関する生体情報取得装置の動作を説明するためのフローチャートである。図10は、電圧設定条件の具体例を示す表である。図11は、印加電圧に対する液晶の相対光透過率の変化を示す説明図である。
【0027】
図1に、携帯電話(移動体通信端末)50を示す。携帯電話50には、後述の撮像装置60が組み込まれている。また、携帯電話50には、撮像装置60を活用した生体情報取得装置が組み込まれている。
【0028】
図1に示すように、携帯電話50は、上側本体(第1部材)51、下側本体(第2部材)52、及びヒンジ53を有する。上側本体51と下側本体52とは、共にプラスチック製の平板部材であって、ヒンジ53を介して連結される。上側本体51と下側本体52とはヒンジ53によって開閉自在に構成される。上側本体51と下側本体52とが閉じた状態のとき、携帯電話50は上側本体51と下側本体52とが重ね合わされた平板状の部材になる。
【0029】
上側本体51は、その内面に表示部54を有する。表示部54には、着信相手を特定する情報(名前、電話番号)、携帯電話50の記憶部に格納されたアドレス帳等が表示される。表示部54の下には液晶表示装置が組み込まれている。
【0030】
下側本体52は、その内面に複数のボタン55を有する。携帯電話50の操作者は、ボタン55を操作することによって、アドレス帳を開いたり、電話を掛けたり、マナーモードに設定したりし、携帯電話50を意図したように操作する。
【0031】
本実施形態にかかる携帯電話50は、後述のように、生体認証装置が組み込まれている。携帯電話50の操作者は、このボタン55を操作することに基づいて生体認証機能をオンさせたり、オフさせたりすることができる。
【0032】
図2に、携帯電話50の前面(上面)の構成を示す。図2に示すように、上側本体51の前面には、表面領域R10、および表示領域R20が配置される。
【0033】
表面領域R10には、図2に模式的に示すように、ヒト(被検体)の指(生体部位)57が載せられる。表面領域R10の下には、後述の撮像装置60(図4参照)が配置される。尚、撮像装置60は、液晶層5(図4参照)を有する。
【0034】
表示領域R20には、文字(時間、動作状態、着信相手名など)が表示される。表示領域R20の下には、液晶表示装置が配置される。この液晶表示装置は、上部電極、液晶層、及び下部電極といった要素を含む一般的なものである。
【0035】
図2に模式的に示すように、表面領域R10の左右には複数の光源56が配置される。光源56は、生体認証に適した波長の光(橙色〜近赤外線の帯域(580nm〜1000nm、より好ましくは、600nm〜900nm)の光)を前方に向けて出射する。光源56は、例えば、半導体発光素子(LED(Light Emitting Diode))、又は半導体レーザ素子(LD(Laser Diode))といった半導体光素子ある。
【0036】
携帯電話50に組み込まれる生体認証装置は、インターフェイス部分として生体情報取得装置を有する。この生体情報取得装置は、撮像装置60、光源56を含んで構成される。
【0037】
図3に、携帯電話50の前面の構成を拡大して示す。図3に示すように、表面領域R10および表示領域R20は、液晶層が在る領域R30内にある。本実施形態においては、表面領域R10下にある撮像装置60に含まれる液晶層と、表示領域R20下にある液晶表示装置に含まれる液晶層とは、同層に位置し、同一の製造工程で製造される。
【0038】
表面領域R10下にある撮像装置60と表示領域R20下にある液晶表示装置との部材を共通にすることによって、撮像装置60を携帯電話50に組み込むことに要するコストを低減させることができる。なお、共通に使用される部材は、液晶層のほか、液晶層を挟持する偏光板、液晶層を挟持する透明基板、下部電極又は上部電極であっても良い。いずれの場合にも共通化された部材は、互いに同層に配置される。
【0039】
図4に、撮像装置60の概略的な分解斜視図を示す。なお、上述のように撮像装置60は、表面領域R10の下に配置され、かつ表示領域R20下の液晶表示装置と共通の工程によって製造される。また、図5に、撮像装置60の概略的な断面構成を示す。
【0040】
図4及び5に示すように、撮像装置60は、撮像素子(光検出器)20、偏光板3、電極層4、液晶層5、電極層6、偏光板7、及びバンドパスフィルタ70をこの順で備える。また、撮像装置60は、図4に示すように、制御部61、記憶部62、及び電圧設定部63を備える。なお、本実施形態における調光手段は、電極層4、液晶層5、電極層6、及び電圧設定部63から構成される。
【0041】
撮像素子20は、図6に模式的に示すように、2次元状に配置された複数の画素Pxを受光面20aに有する。撮像素子20は、CCD(Charge Coupled Device)センサー、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー、TFT(Thin Film Transistor)センサーといった一般的な撮像素子である。
【0042】
偏光板3は、特定の偏光成分の光を透過させる光学部材である。偏光板7も、偏光板3と同様に、特定の偏光成分の光を透過させる光学部材ある。
【0043】
電極層(下部電極)4は、導電性薄膜(ITO:Indium Tin Oxide)からなり、可視光〜近赤外の帯域の光に対して実質的に透明である。電極層(上部電極)6についても、電極層4と同様である。電極層4及び電極層6からなる一対の電極層間に電圧を印加することで、液晶層5には電界が印加される。液晶層5の液晶の配向状態は、電界が印加されることで制御される。なお、図4に示すように、電極層4は電源E1のアノードに接続され、電極層6は電圧設定部63を介して電源E1のカソードに接続される。
【0044】
バンドパスフィルタ70は、生体認証に適した波長の光(橙色〜近赤外線の帯域(580nm〜1000nm、より好ましくは、600nm〜860nm)の光)を選択的に通過させる。
【0045】
図5に示すように、電極層6は、単位電極6a〜6eから構成される。単位電極それぞれは、電圧設定部63に接続される。生体認証に用いる画像を取得する際、電圧設定部63は、各単位電極を予め設定された電圧に設定する。換言すると、単位電極夫々には、電圧設定部63で単位電極毎に設定された電圧が印加される。各単位電極に印加される電圧は、各単位領域(後述する)の入射光量に応じて予め設定される。この点は、後述の説明から明らかになる。
【0046】
なお、図5に示すように、電極層4と電極層6間にはスペーサ8が配置される。スペーサ8によって電極層4と電極層6間に形成されたスペースに液晶層5は充填される。
【0047】
図4に示すように、撮像装置60は、制御部61、記憶部62、及び電圧設定部63を有する。制御部61は、撮像素子20、電圧設定部63、及び記憶部62に接続される。電圧設定部63は、電極層6と電源E1間に接続される。尚、制御部61は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成される。記憶部62は、一時的にデータを保持することが機能なもの半導体メモリである。電圧設定部63は、電源E1から供給される電圧を電極層6に含まれる単位電極毎に設定する機能ブロック(機能回路)である。なお、制御部61、記憶部62、及び電圧設定部63は、通常、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)といった集積回路に組み込まれる。
【0048】
図7に、単位電極の配置態様を示す。図7に示すように、表面領域R10は、軸線(第1軸線)L1〜L4によって5分割され、単位領域R1〜R5が規定される。なお、単位領域は、表面領域が複数の軸線によって分割されることで規定される領域である。図7に示すように、軸線L1より下側に単位領域R1、軸線L1と軸線L2間に単位領域R2、軸線L2と軸線L3間に単位領域R3、軸線L3と軸線L4間に単位領域R4、及び軸線L4より上側に単位領域R5が形成される。
【0049】
電極層6を構成する単位電極6a〜6eは、各単位領域R1〜R5に対応して設けられる。つまり、単位電極6aは、単位領域R1に対応して設けられる。単位電極6bは、単位領域R2に対応して設けられる。単位電極6cは、単位領域R3に対応して設けられる。単位電極6dは、単位領域R4に対応して設けられる。単位電極6eは、単位領域R5に対応して設けられる。
【0050】
図7に示すように、複数の光源56が表面領域R10の周囲に配置される。単位領域R5の上側に2つの光源56a、56bが配置される。単位領域R1の下側に2つの光源56c、56dが配置される。光源56a、56bらの配列方向は、単位電極6a〜6eの長手方向と実質的に平行である。光源56c、56dも同様である。
【0051】
本実施形態においては、電圧設定部63は、生体認証に用いる画像を取得する際、単位電極6a〜6e夫々を単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された電圧に設定する。このように電圧設定することで、その単位電極下の液晶層の光透過率も単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された光透過率に設定することができる。これにより、高強度の外乱光が入射する場所であっても良質な画像を取得し、生体認証の信頼性を確保することができる。尚、撮像素子20は、所定の光透過率に設定された単位領域を通過した光に基づいて表面領域R10に入力された像を撮像する。
【0052】
このように液晶層の光透過率を単位領域毎に設定することによって、外乱光が重畳することによって部分的に許容範囲外の光が入射したとしても、取得画像の劣化が効果的に抑制される。なお、画像の劣化を抑制することは、許容範囲外の光が入射する単位領域の光透過率を低く設定することによって実現される。
【0053】
図8に、携帯電話50の生体認証の動作を説明するためのフローチャートを示す。非動作状態の携帯電話50の表面領域R10上に指57を載せると、携帯電話50は、その生体認証機能を活性化させる(S1)。なお、指57が表面領域R10上に載せられたことを検出する機構は任意である。ボタンの操作等によって、操作者自身が、生態認証機能を活性化させても良い。
【0054】
次に、生体認証機能の活性化に伴って携帯電話50内に組み込まれた生体情報取得装置は、電圧条件の設定をする(S2)。なお、電圧条件の設定の具体的内容については、図9を参照して後述する。電圧条件に従って、各単位電極には所定の電圧が印加される。
【0055】
次に、生体情報取得装置は、静脈パターンを取得する(S3)。指57の内部には静脈が在り、この静脈で検査光は吸収される。静脈以外の生体組織では検査光はあまり吸収されない。従って、指57を透過した光に基づいて指57を撮像すると、静脈に対応する部分は黒くなり、静脈パターンを反映したパターンが写る。このような原理に基づいて、生体情報取得装置は、静脈パターンを撮像する。
【0056】
次に、生体認証装置は、取得した静脈パターン(取得パターン)が予め登録した静脈パターン(マスターパターン)に一致するのかを判定する(S4)。この判定は、生体認証装置に組み込まれた演算部が、所定のアルゴリズムに従って実行する。
【0057】
判定成功の場合には、携帯電話50は、携帯電話50の通常の機能を活性化させる(S5)。例えば、携帯電話50は、ロックモードを解除する。判定不成功の場合には、携帯電話50は、非動作状態を維持する。
【0058】
図9を参照して、上述の電圧条件の設定の動作について説明する。
【0059】
まず、生体情報取得装置は、検査光を生体部位に対して出射する(S1)。具体的には、光源56を駆動し、光源56から前方に検査光を出射させる。
【0060】
次に、生体情報取得装置は、画像を取得する(S2)。具体的には、表面領域R10を介して入力される像を撮像素子20で撮像する。
【0061】
次に、生体情報取得装置は、所定のアルゴリズムを実行し(S3)、画像情報に劣化があるのかどうかを検査する(S4)。具体的には、制御部61は、撮像素子20から出力された画像情報に対して所定のアルゴリズムを適用し、許容範囲外の強度の入射光によって撮像素子20の画素が飽和していないかを検査する。なお、アルゴリズムの具体的な内容は任意である。アルゴリズムを適用することで、所定範囲を超えて画素が飽和しているか、及びどの単位領域の画素が飽和しているか、を検査すると良い。
【0062】
画像情報に劣化がない場合、静脈パターンの取得を通常時の条件で行う。通常時の条件は、例えば、図10(a)に示すとおりである。
【0063】
他方、画像情報に劣化がある場合、静脈パターンの取得を劣化時の条件で行う。劣化時の条件は、例えば、図10(b)に示すとおりである。
【0064】
なお、ここでは電圧印加に応じて液晶の光透過率が低下するノーマリホワイト方式が採用されている。液晶層5の液晶は、図11に示すように、印加電圧の増大に伴って相対光透過率が減少する。なお、液晶の光透過率分布には、印加電圧に応じて光透過率が急激に変化する有効範囲(図26の点線間の範囲)がある。
【0065】
図10(a)では、単位電極6a及び6eに対して電圧を印加している。単位電極6aは、単位電極6bと比較して光源56c、56d寄りに配置されているため、単位領域R1には、単位領域R2よりも高強度の光が入射されるためである。同様に、単位電極6eは、単位電極6dと比較して光源56a、56b寄りに配置されているため、単位領域R5には、単位領域R4よりも高強度の光が入射されるためである。このように設定することによって、光源56寄りの画素が飽和することが抑制される。
【0066】
図10(b)では、すべての単位電極6a〜6eに対して電圧を印加する。S3のアルゴリズムの適用の結果、S2で取得した画像の全域に亘って画質が劣化していたからである。
【0067】
なお、劣化時の条件は、図10(b)に示したものに限定されず、画像の劣化の程度に応じて適宜設定されるものである。例えば、単位領域R3のみに対応して画像が劣化していれば、単位電極6cのみに対して電圧3Vを印加すれば良い。また、印加電圧の具体的な値は、液晶材料の特性を考慮して適宜設定される。
【0068】
屋外にて生体認証を実行する場合、太陽光線も撮像素子2に入力される。太陽光線が重畳されると、撮像素子20の各画素が飽和してしまう場合がある。撮像素子20の画素が部分的であっても飽和してしまうと、最終的に得られる画像が部分的に白く写ってしまい、静脈パターンを認識することが困難になってしまう。結果として生体認証の信頼性が失われてしまうことを招来する。
【0069】
本実施形態においては、単位領域毎の入射光強度に応じて、許容範囲を超える強度の光が入射する単位領域における光透過率を低減させる。換言すると、取得画像の劣化の程度に応じて、光検出器の画素が飽和しないように各単位領域に入力される光を調光する。このようにして光検出器の画素が飽和することが抑制され、結果として、任意の場所で良質な画像を取得し、生体認証の信頼性を確保することができる。
【0070】
また、上述の説明から明らかなように、既存の液晶表示技術を活用して入射光を調光する。具体的には、単位電極に対する印加電圧を所定値に設定することで、単位領域の光透過率を所定値に設定する。高精度に単位領域の光透過率を制御することで、より質の高い画像を取得することも可能である。
【0071】
また、光源寄りの単位領域の光透過率を、光源からより離れた単位領域の光透過率よりも低く設定する。これによって、光源を表面領域R10付近に配置させ、生体情報取得装置の小型化を図ることもできる。また、撮像装置60は、撮像素子20上に液晶表示機構を積層させることで組み立てることができるため製造も容易である。
【0072】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態について、図12乃至図16を用いて説明する。図12は、撮像装置の概略的な分解斜視図である。図13は、単位電極の配置態様を示す模式図である。図14は、画素、単位電極、ガイド部材らの配置関係を説明するための模式図である。図15は、撮像装置の概略的な断面構成を示す模式図である。図16は、撮像装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、以下の説明では、第1実施形態と重複する説明は原則的に省略する。
【0073】
本実施形態においては、液晶層5を透過した光は、ライトガイド2を介して、ラインセンサー1の画素に案内される。このような構成を採用することによって、所望の画像を撮像するために要する画素数を格段に少なくすることができる。なお、第1の実施形態と同様の効果を得ることもできる。
【0074】
図12に示すように、撮像装置60は、ラインセンサー(光検出器)1、光案内層2、偏光板3、電極層4、液晶層5、電極層6、偏光板7、及びバンドパスフィルタ70をこの順で備える。更に、撮像装置60は、制御部61、記憶部62、及び電圧設定部63を備える。
【0075】
ラインセンサー1は、複数の画素が1列に配置された光検出器である。ラインセンサー1は、フォトダイオード(Photodiode)が一列に配列されたPDアレイセンサーやMOS(Metal Oxide Semiconductor)型の画素が一列に配列されたMOSアレイセンサー等である。
【0076】
光案内層2は、ラインセンサー1の各画素に対応して配置された複数のガイド部材2a〜2f(図14も併せて参照)からなる光学部材である。ガイド部材2a〜2fは、検査光に対して実質的に透明な光学部材である。光案内層2を構成する各ガイド部材2a〜2fの構成については後述する。
【0077】
偏光板等の他の部材については、第1の実施形態と同様である。
【0078】
図13に単位電極の配置態様を示す。単位電極6a〜6eの配置態様と同様に、ラインセンサー1が表面領域R10の下に配置される。画素PXa〜PXeの配置範囲は、上述の単位領域R1〜R5の設定範囲に対応して設定されている。これにより単位領域毎の像を欠落なく取得することが可能になる。
【0079】
図14に、単位電極6a〜6e、ガイド部材2a〜2f、及び画素PXa〜Pxfの配置関係を示す。なお、各ガイド部材は、上面から入力された光を、反射面を介して、画素にまで案内する。各ガイド部材の構成については後述する。
【0080】
図14に示すように、単位電極6a〜6eは、y軸に沿って延在する長尺な電極である。ラインセンサー1も、y軸に沿って延在する長尺な部材である。ラインセンサー1に形成された画素PXa〜PXfは、y軸に沿って配列される。このように、ラインセンサー1と単位電極6a〜6eらは、互いに平行に配置される。換言すると、ラインセンサー1、単位電極6a、単位電極6b、・・・、単位電極6d、単位電極6eの順で、一定の間隔を置きながら、ラインセンサー1と単位電極6a〜6eは配置される。
【0081】
ガイド部材2aは、y軸に直交するx軸に沿って長尺な光学部材である。ガイド部材2aの一端は、画素PXa上に配置される。また、ガイド部材2aは、画素PXa、単位電極6a、単位電極6b、単位電極6c、単位電極6d、単位電極6eらの下層に配置される。
【0082】
ここでは、ガイド部材2aと単位電極6aとが重ね合わされる領域を領域R1aと定義する。ガイド部材2aと単位電極6bとが重ね合わされる領域を領域R2aと定義する。ガイド部材2aと単位電極6cとが重ね合わされる領域を領域R3aと定義する。ガイド部材2aと単位電極6dとが重ね合わされる領域を領域R4aと定義する。ガイド部材2aと単位電極6eとが重ね合わされる領域を領域R5aと定義する。
【0083】
他のガイド部材2b〜2fについては、ガイド部材2aの説明と同様である。各ガイド部材と単位電極とが重ね合わされる領域に付与した名称は図14に示したとおりである。
【0084】
図15に、撮像装置60の概略的な断面構成を示す。
【0085】
光案内層2に含まれるガイド部材2aは、前面は平坦であるが、背面に複数の溝10が形成されている。溝10は、紙面に向かって手前又は奥行き方向に延在する(y軸に沿って延在する)。ガイド部材2aの背面に複数の溝10が形成されることによって、ガイド部材2aの背面には、複数の反射面(第1反射面)11、12が形成される。また、ガイド部材2aは、その左端部分に反射面(第2反射面)13が形成される。反射面13は、ラインセンサー1の画素上に配置される。ガイド部材2b〜2fについては、ガイド部材2aの説明と同様である。
【0086】
図15を参照して、撮像装置60における光の伝播経路について説明する。なお、ここでは、説明の便宜上、撮像装置60は、電圧印加に応じて透過率が上昇するノーマリブラック方式を採用しているものとする。また、電圧設定部63は、単位電極6dのみに所定電圧を印加するものとする。このとき、単位領域R4が入力光を透過する領域(透過領域)に設定されるものとする。このとき、他の単位領域R1〜R3、単位領域R5は、入力光を透過しない領域(不透過領域)に設定される。なお、生体認証時に用いる画像を取得する際には、第1の実施形態と同様に、各単位電極には予め設定された電圧が印加されるものとする。
【0087】
光源56から出射され、指57を透過した光は、表面領域R10の単位領域R4に入力する。上述のように、単位領域R4は、所定の光透過率の透過領域に設定されている。従って、単位領域R4に入力された光は、偏光板7、電極層6、液晶層5、電極層4、偏光板3を順次通過する。偏光板3を通過した光は、ガイド部材2aの上面を介してガイド部材2aに入力する。ガイド部材2aに入力された光は、その背面に設けられた反射面12によって、ガイド部材2aの左端に向かって進行するように設定される。つまり、ガイド部材2aの反射面12で反射された光は、ガイド部材2aと偏光板3間の界面での反射や反射面11、12における反射を繰り返しながら、ガイド部材2aの左端に向かって進行する。
【0088】
ガイド部材2aの左端には、反射面13が設けられている。従って、ガイド部材2a内を進行してきた光は、反射面13にて反射され、その下に配置されたラインセンサー1の画素PXaに入力する。このように、ガイド部材2aは、反射面を介して、その前面を介して入力された光をラインセンサー1の画素PXaにまで案内する。これは、単位領域R4以外の単位領域が透過領域として選択された場合においても同様である。なお、ガイド部材2aについてした説明は、他のガイド部材2b〜2fについても当てはまる。
【0089】
図16に、撮像装置60の動作を説明するためのタイミングチャートを示す。
【0090】
図16に示すように、撮像装置60は、t1〜t7への時間の経過に従って、単位電極6a〜6eを順次選択し、そして単位領域R1〜R5のいずれかを透過領域に設定する。そして、ラインセンサー1は、単位領域R1〜R5毎の像を検出する。これによって、最終的に表面領域R10に入力された像の全体を取得することが可能になる。なお、生体認証時に用いる画像を取得する際には、第1の実施形態と同様に、各単位電極には予め設定された電圧が印加されるものとする。つまり、各単位電極に印加される電圧は、各単位電極間において一定の電圧ではない場合がある。各単位電極に印加される電圧は、各単位領域の入射光強度に応じて設定されているものである。
【0091】
時刻t1〜t2間は、制御部61から電圧設定部63に制御信号001が伝達される。このとき、電圧設定部63は、単位電極6aに所定値の電圧(図10(b)ならば3V)を印加する。これによって、単位領域R1は所定の光透過率の透過領域に設定される。そして、画素PXaには、領域R1a(図14参照)の範囲の光が導かれる。画素PXbには、領域R1bの範囲の光が導かれる。画素PXcには、領域R1cの範囲の光が導かれる。画素PXdには、領域R1dの範囲の光が導かれる。画素PXeには、領域R1eの範囲の光が導かれる。画素PXfには、領域R1fの範囲の光が導かれる。
【0092】
ある程度の検出時間(又は蓄積時間)が確保された後、制御部61は、ラインセンサー1に対してリード信号(出力指示信号)を出力する。ラインセンサー1は、リード信号に基づいて各画素に蓄積された電荷量を示すデジタル信号を制御部61に出力する。そして、制御部61は、単位領域R1の像を記憶部62に格納する。なお、ここでは、ラインセンサー1は、A/D(Analog/Digital)変換器も具備するものとする。
【0093】
時刻t2〜t3間は、制御部61から電圧設定部63に制御信号010が伝達される。このとき、電圧設定部63は、単位電極6bに所定値の電圧(図10(b)ならば2V)を印加する。これによって、単位領域R2は所定の光透過率の透過領域に設定される。そして、画素PXaには、領域R2aの範囲の光が導かれる。画素PXbには、領域R2bの範囲の光が導かれる。画素PXcには、領域R2cの範囲の光が導かれる。画素PXdには、領域R2dの範囲の光が導かれる。画素PXeには、領域R2eの範囲の光が導かれる。画素PXfには、領域R2fの範囲の光が導かれる。
【0094】
ある程度の検出時間(又は蓄積時間)が確保された後、制御部61は、ラインセンサー1に対してリード信号を出力する。ラインセンサー1は、リード信号に基づいて各画素に蓄積された電荷量を示すデジタル信号を制御部61に出力する。そして、制御部61は、単位領域R2の像を記憶部62に格納する。
【0095】
時刻t3〜t4間は、制御部61から電圧設定部63に制御信号011が伝達される。このとき、電圧設定部63は、単位電極6cに所定値の電圧(図10(b)ならば2V)を印加する。これによって、単位領域R3は所定の光透過率の透過領域に設定される。そして、画素PXaには、領域R3aの範囲の光が導かれる。画素PXbには、領域R3bの範囲の光が導かれる。画素PXcには、領域R3cの範囲の光が導かれる。画素PXdには、領域R3dの範囲の光が導かれる。画素PXeには、領域R3eの範囲の光が導かれる。画素PXfには、領域R3fの範囲の光が導かれる。
【0096】
ある程度の検出時間(又は蓄積時間)が確保された後、制御部61は、ラインセンサー1に対してリード信号を出力する。ラインセンサー1は、リード信号に基づいて各画素に蓄積された電荷量を示すデジタル信号を制御部61に出力する。そして、制御部61は、単位領域R3の像を記憶部62に格納する。
【0097】
時刻t4〜t5間は、制御部61から電圧設定部63に制御信号100が伝達される。このとき、電圧設定部63は、単位電極6dに所定値の電圧(図10(b)ならば2V)を印加する。これによって、単位領域R4は所定の光透過率の透過領域に設定される。そして、画素PXaには、領域R4aの範囲の光が導かれる。画素PXbには、領域R4bの範囲の光が導かれる。画素PXcには、領域R4cの範囲の光が導かれる。画素PXdには、領域R4dの範囲の光が導かれる。画素PXeには、領域R4eの範囲の光が導かれる。画素PXfには、領域R4fの範囲の光が導かれる。
【0098】
ある程度の検出時間(又は蓄積時間)が確保された後、制御部61は、ラインセンサー1に対してリード信号を出力する。ラインセンサー1は、リード信号に基づいて各画素に蓄積された電荷量を示すデジタル信号を制御部61に出力する。そして、制御部61は、単位領域R4の像を記憶部62に格納する。
【0099】
時刻t5〜t6間は、制御部61から電圧設定部63に制御信号101が伝達される。このとき、電圧設定部63は、単位電極6eに所定値の電圧(図10(b)ならば3V)を印加するこれによって、単位領域R5は所定の光透過率の透過領域に設定される。そして、画素PXaには、領域R5aの範囲の光が導かれる。画素PXbには、領域R5bの範囲の光が導かれる。画素PXcには、領域R5cの範囲の光が導かれる。画素PXdには、領域R5dの範囲の光が導かれる。画素PXeには、領域R5eの範囲の光が導かれる。画素PXfには、領域R5fの範囲の光が導かれる。
【0100】
ある程度の検出時間(又は蓄積時間)が確保された後、制御部61は、ラインセンサー1に対してリード信号を出力する。ラインセンサー1は、リード信号に基づいて各画素に蓄積された電荷量を示すデジタル信号を制御部61に出力する。そして、制御部61は、単位領域R5の像を記憶部62に格納する。
【0101】
このような手順によって最終的に、記憶部62には、単位領域R1〜R5のそれぞれで取得された像が格納される。単位領域R1〜R5は、表面領域R10が軸線L1〜L4によって分割されて規定された領域である。従って、単位領域R1〜R5の像を再構成することによって、表面領域R10に入力された像を合成することができる。なお、この合成処理は、制御部61が行うものとする。
【0102】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、透過領域に設定された単位領域を通過した光は、光案内層2を介して、ラインセンサー1の各画素に入力される。透過領域として設定される単位領域を順次シフトさせ、単位領域ごとの像を光検出器で順次検出することによって、表面領域に入力する像全体を撮像することができる。この場合、ラインセンサー1の画素数は単位領域の設定範囲に応じて設定すれば足りる。従って、より少ない画素数の光検出器を用いて所望の像を取得することが可能になる。
【0103】
また、本実施形態においては、単位領域に対応して単位電極を配置させ、この単位電極を利用して液晶層に対する電圧の印加範囲を制御する。これによって、透過領域として設定されるべき単位領域を意図した範囲に設定することができる。
【0104】
また、本実施形態においては、既存の液晶技術を活用して単位領域を透過又は不透過に設定することができる。
【0105】
また、本実施形態においては、複数のガイド部材2a〜2fを用いて、単位領域を透過した光をラインセンサー1の画素に案内する。個々に分割された複数のガイド部材を採用することによって、それらが一体になっているものを採用する場合と比べて各領域(例えば、領域R1a〜R1f)間の光のクロストークを効果的に抑制することができる。また、板状の光学部材を用いることで、撮像装置60の厚みを十分に薄くすることができる。また、ガイド部材の背面に複数の反射面を設けることによって、より効率的に光をラインセンサー1に案内することができる。
【0106】
また、本実施形態においても第1の実施形態と同様に、撮像装置60に隣接する液晶表示装置と部材を共通化させている。これによって、撮像装置60を携帯電話50に組み込むことに要するコストを低減させることができる。
【0107】
なお、撮像装置60は、上述の説明からも明らかなように、撮像装置自体として、また生体情報取得装置の撮像部分としても把握されるものである。なお、生体情報取得装置では、主として静止しているものを撮像する。従って、本実施形態のように、表面領域R10に入力する像を取得するために所定時間(t1〜t7)要するものであったとしても現実的には問題ない。
【0108】
最後に、撮像装置60の製造方法について説明する。予めガイド部材2a〜2fを金型形成等によって製造する。また、通常の液晶装置の製造方法に従って、偏光板3、電極層4、液晶層5、電極層6、偏光板7、バンドパスフィルタ70を積層させる。その上で、ラインセンサー1上にガイド部材2a〜2fを配置させ、次に、ガイド部材2a〜2f上に積層された液晶部品(偏光板3、電極層4、液晶層5、電極層6、及び偏光板7から構成される部品)を配置する。このようにして撮像装置60は製造される。なお、上述したように、撮像装置60は、隣接して配置される液晶表示装置と共通の工程で製造されるものとする。
【0109】
〔第3の実施形態〕
本発明の第2の実施形態について、図17乃至図19を用いて説明する。図17は、撮像装置の概略的な分解斜視図である。図18は、単位電極、ガイド部材、画素、レンズらの配置関係を示す模式図である。図19は、撮像装置の概略的な断面構成を示す模式図である。なお、図17及び図19では、バンドパスフィルタ70の構成は省略されている。
【0110】
本実施形態に係る撮像装置60は、第2の実施形態とは異なり、図17乃至図19に示すように、偏光板7の前面上に複数のレンズ20がマトリクス状に配置されている。従って、より広い範囲で像を取得することが可能になる。また、単位領域におけるガイド部材2a〜2fで規定される領域(例えば、R1a〜R1f)間の光のクロストークを更に抑制することができる。また、レンズ20の焦点位置を適宜設定することによって、特に光案内層2における光の伝播損失を低下させ、撮像装置60の光利用効率を向上させることができる。
【0111】
本発明の技術的な範囲は、上述の実施形態に限定されず、他の様々な実施形態が考えられる。単位領域の設定個数、設定範囲は任意である。撮像装置自体は、生体認証装置以外の他の様々な用途に適用可能である。また、搭載される外部機器は、移動体通信端末といった携帯機器に限定されるものではない。生体認証に際の観察対象は、ヒトの指に限られず、ヒトの手のひらであっても良いし、その他の部位であっても良い。
【0112】
ノーマルブラック方式、又はノーマルホワイト方式といった液晶表示方式に応じて、選択される単位電極は適宜設定される。なお、液晶技術の活用に代えて、印加電圧に応じて透明度が変化する電気光学結晶を活用して単位領域を透過又は不透過に設定しても良い。ただし、この場合には、隣り合う表示領域R20下にある液晶表示装置と部材の共通化を図ることはできない。
【0113】
光案内手段は、ガイド部材といったものには限定されず、透過領域に設定された単位領域からの光を光検出部の画素に案内するものであれば何でも良い。ガイド部材2a〜2fは、個々の部材に限られず、それらが一体に形成された部材であっても良い。また、必ずしもラインセンサー1の画素とガイド部材とを1対1で設ける必要はない。複数の画素に対して1つのガイド部材を割り当てても良い。各部材の具体的な材料は当業者が適宜選択できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯電話の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る携帯電話の前面の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る携帯電話の前面の構成を示す拡大模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の概略的な分解斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の概略的な断面構成を示す模式図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る撮像素子の前面の構成を説明するための模式図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る単位電極の配置態様を示す模式図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る生体情報取得装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る電圧設定に関する生体情報取得装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る電圧設定の具体例を示す表である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る印加電圧に対する液晶の相対光透過率の変化を示す説明図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の概略的な分解斜視図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る単位電極の配置態様を示す模式図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る画素、単位電極、ガイド部材らの配置関係を説明するための模式図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の概略的な断面構成を示す模式図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る撮像装置の概略的な分解斜視図である。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る単位電極、ガイド部材、画素、レンズらの配置関係を示す模式図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係る撮像装置の概略的な断面構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0115】
60 撮像装置
61 制御部
62 記憶部
63 電圧設定部
6a〜6e 単位電極
20 撮像素子
3 偏光板
4 電極層
5 液晶層
6 電極層
7 偏光板
8 スペーサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、生体情報取得装置、及び移動体通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体認証に関する技術開発の進展が著しい。なお、生体認証とは、検査対象の個体から取得した生体情報が、あらかじめ設定された生体情報に等しいかどうかという判定に基づいて、ある個体を他の個体から識別する技術である。例えば、ヒトの瞳の虹彩に基づいて個体を特定する方法、ヒトの指等の静脈パターンに基づいて個体を特定する方法、及び指の指紋パターンに基づいて個体を特定する方法が挙げられる。なかでも、ヒトの指等の静脈パターンを利用したものは、パターンデータの偽装が困難であり、高いセキュリティーを確保することができる。
【0003】
特許文献1には、生体認証に用いられる撮像装置が開示されている。この撮像装置では、光源(100)、支持台(300)、画像認証部(200)を積層させることで、撮像装置の小型化を図っている。
【特許文献1】特開2001−119008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、移動体通信端末といった情報機器に生体認証装置が組み込まれる場合、屋内に限らず、屋外においても生体認証は実行され得る。このような場合、太陽光線の重畳によって、許容範囲外の強度の光が撮像素子の画素に入力するおそれがある。許容範囲外の強度の光が画素に入力すると、画素が飽和し、取得画像が部分的に白くなってしまう。部分的であっても画質が劣化すると、認証成功と判定されるべき場合であっても認証失敗と判定されてしまうおそれがあり、結果として、生体認証装置の信頼性が失われてしまう。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、外乱光の影響によって取得画像の品質が劣化することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る撮像装置は、外界から表面領域に入力する像を撮像する撮像装置であって、前記表面領域が分割されることで規定される複数の単位領域夫々における光透過率を、前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された光透過率に電気的制御に基づいて設定する調光手段と、所定の光透過率に設定された前記単位領域を通過した光を受光する複数の画素を有する光検出器と、を備える。
【0007】
調光手段が単位領域毎に光透過率を設定することで、許容範囲以上の強度の光が入力することに伴って光検出器の画素が飽和することが抑制される。結果として、高強度の外乱光が入射する場所であっても良質な画像を取得することができる。
【0008】
前記調光手段は、複数の前記単位領域夫々に対応して設けられた複数の単位電極夫々を前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された電圧に設定することに基づいて前記単位領域毎の光透過率を制御する、と良い。
【0009】
前記調光手段は、液晶層と、複数の前記単位電極を上部電極又は下部電極として前記液晶層を挟持する一対の電極層と、複数の前記単位電極夫々を所定の電圧に設定する電圧設定部と、を備える、と良い。
【0010】
前記単位領域を通過した光を複数の前記画素に案内する光案内手段と、を更に備える、と良い。
【0011】
複数の前記単位電極夫々は、順次、予め設定された電圧に設定される、と良い。
【0012】
前記光案内手段は、入力された光を複数の反射面を介して前記画素まで案内する光学部材である、と良い。
【0013】
前記光学部材は、互いに隣り合って配置された複数のガイド部材から構成される、と良い。
【0014】
複数の前記ガイド部材は、前記光検出器上に配置され、前記液晶層は、複数の前記ガイド部材上に配置される、と良い。
【0015】
一対の前記電極層を挟持する一対の偏光板を更に備える、と良い。
【0016】
前記液晶層の上層に配置されると共に、入力された光を集光する複数のレンズを更に備える、と良い。
【0017】
前記液晶層は、当該撮像装置に隣接して配置される液晶表示装置の液晶層と同層に形成される、と良い。
【0018】
前記光検出器は、1列に複数の前記画素が配列されたラインセンサーである、と良い。
【0019】
本発明に係る撮像装置は、外界から表面領域に入力する像を撮像する撮像装置であって、液晶層と、前記表面領域が分割されることで規定される複数の単位領域に対応して設けられる複数の単位電極を上部電極又は下部電極として前記液晶層を挟持する一対の電極層と、前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された電圧に前記単位電極を設定することに基づいて所定の光透過率に設定された前記単位領域の通過光を受光する複数の画素を有する光検出器と、を備える。
【0020】
調光手段として液晶技術を活用することで、許容範囲以上の強度の光が入力することに伴って光検出器の画素が飽和することが抑制される。結果として、高強度の外乱光が入射する場所であっても良質な画像を取得することができる。
【0021】
本発明に係る生体情報取得装置は、被検体に対する光照射に基づいて前記被検体の生体情報を取得する生体情報取得装置であって、前記被検体に照射されるべき光を出射する光源と、前記反射光又は前記透過光が入力する表面領域と、前記表面領域が分割されることで規定される複数の単位領域夫々における光透過率を前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された光透過率に電気的制御に基づいて設定する調光手段と、前記単位領域を通過した光を受光する複数の画素を有する光検出器と、を備える。
【0022】
調光手段が単位領域毎に光透過率を設定することで、許容範囲以上の強度の光が入力することに伴って光検出器の画素が飽和することが抑制される。結果として、高強度の外乱光が入射する場所であっても良質な画像を取得し、生体認証の信頼性を確保することができる。
【0023】
前記調光手段は、前記光源寄りの前記単位領域における光透過率を、前記光源からより離れた位置の前記単位領域における光透過率よりも低く設定する、と良い。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、外乱光の影響によって取得画像の品質が劣化することを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、各実施の形態は、説明の便宜上、簡略化されている。図面は簡略的なものであるから、図面の記載を根拠として本発明の技術的範囲を狭く解釈してはならない。図面は、もっぱら技術的事項の説明のためのものであり、図面に示された要素の正確な大きさ等は反映していない。同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。上下左右といった方向を示す言葉は、図面を正面視した場合を前提として用いるものとする。
【0026】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態について、図1乃至図11を用いて説明する。図1は、携帯電話の構成を示す模式図である。図2は、携帯電話の前面の構成を示す模式図である。図3は、携帯電話の前面の構成を示す拡大模式図である。図4は、撮像装置の概略的な分解斜視図である。図5は、撮像装置の概略的な断面構成を示す模式図である。図6は、撮像素子の前面の構成を説明するための模式図である。図7は、単位電極の配置態様を示す模式図である。図8は、生体情報取得装置の動作を説明するためのフローチャートである。図9は、電圧設定に関する生体情報取得装置の動作を説明するためのフローチャートである。図10は、電圧設定条件の具体例を示す表である。図11は、印加電圧に対する液晶の相対光透過率の変化を示す説明図である。
【0027】
図1に、携帯電話(移動体通信端末)50を示す。携帯電話50には、後述の撮像装置60が組み込まれている。また、携帯電話50には、撮像装置60を活用した生体情報取得装置が組み込まれている。
【0028】
図1に示すように、携帯電話50は、上側本体(第1部材)51、下側本体(第2部材)52、及びヒンジ53を有する。上側本体51と下側本体52とは、共にプラスチック製の平板部材であって、ヒンジ53を介して連結される。上側本体51と下側本体52とはヒンジ53によって開閉自在に構成される。上側本体51と下側本体52とが閉じた状態のとき、携帯電話50は上側本体51と下側本体52とが重ね合わされた平板状の部材になる。
【0029】
上側本体51は、その内面に表示部54を有する。表示部54には、着信相手を特定する情報(名前、電話番号)、携帯電話50の記憶部に格納されたアドレス帳等が表示される。表示部54の下には液晶表示装置が組み込まれている。
【0030】
下側本体52は、その内面に複数のボタン55を有する。携帯電話50の操作者は、ボタン55を操作することによって、アドレス帳を開いたり、電話を掛けたり、マナーモードに設定したりし、携帯電話50を意図したように操作する。
【0031】
本実施形態にかかる携帯電話50は、後述のように、生体認証装置が組み込まれている。携帯電話50の操作者は、このボタン55を操作することに基づいて生体認証機能をオンさせたり、オフさせたりすることができる。
【0032】
図2に、携帯電話50の前面(上面)の構成を示す。図2に示すように、上側本体51の前面には、表面領域R10、および表示領域R20が配置される。
【0033】
表面領域R10には、図2に模式的に示すように、ヒト(被検体)の指(生体部位)57が載せられる。表面領域R10の下には、後述の撮像装置60(図4参照)が配置される。尚、撮像装置60は、液晶層5(図4参照)を有する。
【0034】
表示領域R20には、文字(時間、動作状態、着信相手名など)が表示される。表示領域R20の下には、液晶表示装置が配置される。この液晶表示装置は、上部電極、液晶層、及び下部電極といった要素を含む一般的なものである。
【0035】
図2に模式的に示すように、表面領域R10の左右には複数の光源56が配置される。光源56は、生体認証に適した波長の光(橙色〜近赤外線の帯域(580nm〜1000nm、より好ましくは、600nm〜900nm)の光)を前方に向けて出射する。光源56は、例えば、半導体発光素子(LED(Light Emitting Diode))、又は半導体レーザ素子(LD(Laser Diode))といった半導体光素子ある。
【0036】
携帯電話50に組み込まれる生体認証装置は、インターフェイス部分として生体情報取得装置を有する。この生体情報取得装置は、撮像装置60、光源56を含んで構成される。
【0037】
図3に、携帯電話50の前面の構成を拡大して示す。図3に示すように、表面領域R10および表示領域R20は、液晶層が在る領域R30内にある。本実施形態においては、表面領域R10下にある撮像装置60に含まれる液晶層と、表示領域R20下にある液晶表示装置に含まれる液晶層とは、同層に位置し、同一の製造工程で製造される。
【0038】
表面領域R10下にある撮像装置60と表示領域R20下にある液晶表示装置との部材を共通にすることによって、撮像装置60を携帯電話50に組み込むことに要するコストを低減させることができる。なお、共通に使用される部材は、液晶層のほか、液晶層を挟持する偏光板、液晶層を挟持する透明基板、下部電極又は上部電極であっても良い。いずれの場合にも共通化された部材は、互いに同層に配置される。
【0039】
図4に、撮像装置60の概略的な分解斜視図を示す。なお、上述のように撮像装置60は、表面領域R10の下に配置され、かつ表示領域R20下の液晶表示装置と共通の工程によって製造される。また、図5に、撮像装置60の概略的な断面構成を示す。
【0040】
図4及び5に示すように、撮像装置60は、撮像素子(光検出器)20、偏光板3、電極層4、液晶層5、電極層6、偏光板7、及びバンドパスフィルタ70をこの順で備える。また、撮像装置60は、図4に示すように、制御部61、記憶部62、及び電圧設定部63を備える。なお、本実施形態における調光手段は、電極層4、液晶層5、電極層6、及び電圧設定部63から構成される。
【0041】
撮像素子20は、図6に模式的に示すように、2次元状に配置された複数の画素Pxを受光面20aに有する。撮像素子20は、CCD(Charge Coupled Device)センサー、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー、TFT(Thin Film Transistor)センサーといった一般的な撮像素子である。
【0042】
偏光板3は、特定の偏光成分の光を透過させる光学部材である。偏光板7も、偏光板3と同様に、特定の偏光成分の光を透過させる光学部材ある。
【0043】
電極層(下部電極)4は、導電性薄膜(ITO:Indium Tin Oxide)からなり、可視光〜近赤外の帯域の光に対して実質的に透明である。電極層(上部電極)6についても、電極層4と同様である。電極層4及び電極層6からなる一対の電極層間に電圧を印加することで、液晶層5には電界が印加される。液晶層5の液晶の配向状態は、電界が印加されることで制御される。なお、図4に示すように、電極層4は電源E1のアノードに接続され、電極層6は電圧設定部63を介して電源E1のカソードに接続される。
【0044】
バンドパスフィルタ70は、生体認証に適した波長の光(橙色〜近赤外線の帯域(580nm〜1000nm、より好ましくは、600nm〜860nm)の光)を選択的に通過させる。
【0045】
図5に示すように、電極層6は、単位電極6a〜6eから構成される。単位電極それぞれは、電圧設定部63に接続される。生体認証に用いる画像を取得する際、電圧設定部63は、各単位電極を予め設定された電圧に設定する。換言すると、単位電極夫々には、電圧設定部63で単位電極毎に設定された電圧が印加される。各単位電極に印加される電圧は、各単位領域(後述する)の入射光量に応じて予め設定される。この点は、後述の説明から明らかになる。
【0046】
なお、図5に示すように、電極層4と電極層6間にはスペーサ8が配置される。スペーサ8によって電極層4と電極層6間に形成されたスペースに液晶層5は充填される。
【0047】
図4に示すように、撮像装置60は、制御部61、記憶部62、及び電圧設定部63を有する。制御部61は、撮像素子20、電圧設定部63、及び記憶部62に接続される。電圧設定部63は、電極層6と電源E1間に接続される。尚、制御部61は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成される。記憶部62は、一時的にデータを保持することが機能なもの半導体メモリである。電圧設定部63は、電源E1から供給される電圧を電極層6に含まれる単位電極毎に設定する機能ブロック(機能回路)である。なお、制御部61、記憶部62、及び電圧設定部63は、通常、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)といった集積回路に組み込まれる。
【0048】
図7に、単位電極の配置態様を示す。図7に示すように、表面領域R10は、軸線(第1軸線)L1〜L4によって5分割され、単位領域R1〜R5が規定される。なお、単位領域は、表面領域が複数の軸線によって分割されることで規定される領域である。図7に示すように、軸線L1より下側に単位領域R1、軸線L1と軸線L2間に単位領域R2、軸線L2と軸線L3間に単位領域R3、軸線L3と軸線L4間に単位領域R4、及び軸線L4より上側に単位領域R5が形成される。
【0049】
電極層6を構成する単位電極6a〜6eは、各単位領域R1〜R5に対応して設けられる。つまり、単位電極6aは、単位領域R1に対応して設けられる。単位電極6bは、単位領域R2に対応して設けられる。単位電極6cは、単位領域R3に対応して設けられる。単位電極6dは、単位領域R4に対応して設けられる。単位電極6eは、単位領域R5に対応して設けられる。
【0050】
図7に示すように、複数の光源56が表面領域R10の周囲に配置される。単位領域R5の上側に2つの光源56a、56bが配置される。単位領域R1の下側に2つの光源56c、56dが配置される。光源56a、56bらの配列方向は、単位電極6a〜6eの長手方向と実質的に平行である。光源56c、56dも同様である。
【0051】
本実施形態においては、電圧設定部63は、生体認証に用いる画像を取得する際、単位電極6a〜6e夫々を単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された電圧に設定する。このように電圧設定することで、その単位電極下の液晶層の光透過率も単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された光透過率に設定することができる。これにより、高強度の外乱光が入射する場所であっても良質な画像を取得し、生体認証の信頼性を確保することができる。尚、撮像素子20は、所定の光透過率に設定された単位領域を通過した光に基づいて表面領域R10に入力された像を撮像する。
【0052】
このように液晶層の光透過率を単位領域毎に設定することによって、外乱光が重畳することによって部分的に許容範囲外の光が入射したとしても、取得画像の劣化が効果的に抑制される。なお、画像の劣化を抑制することは、許容範囲外の光が入射する単位領域の光透過率を低く設定することによって実現される。
【0053】
図8に、携帯電話50の生体認証の動作を説明するためのフローチャートを示す。非動作状態の携帯電話50の表面領域R10上に指57を載せると、携帯電話50は、その生体認証機能を活性化させる(S1)。なお、指57が表面領域R10上に載せられたことを検出する機構は任意である。ボタンの操作等によって、操作者自身が、生態認証機能を活性化させても良い。
【0054】
次に、生体認証機能の活性化に伴って携帯電話50内に組み込まれた生体情報取得装置は、電圧条件の設定をする(S2)。なお、電圧条件の設定の具体的内容については、図9を参照して後述する。電圧条件に従って、各単位電極には所定の電圧が印加される。
【0055】
次に、生体情報取得装置は、静脈パターンを取得する(S3)。指57の内部には静脈が在り、この静脈で検査光は吸収される。静脈以外の生体組織では検査光はあまり吸収されない。従って、指57を透過した光に基づいて指57を撮像すると、静脈に対応する部分は黒くなり、静脈パターンを反映したパターンが写る。このような原理に基づいて、生体情報取得装置は、静脈パターンを撮像する。
【0056】
次に、生体認証装置は、取得した静脈パターン(取得パターン)が予め登録した静脈パターン(マスターパターン)に一致するのかを判定する(S4)。この判定は、生体認証装置に組み込まれた演算部が、所定のアルゴリズムに従って実行する。
【0057】
判定成功の場合には、携帯電話50は、携帯電話50の通常の機能を活性化させる(S5)。例えば、携帯電話50は、ロックモードを解除する。判定不成功の場合には、携帯電話50は、非動作状態を維持する。
【0058】
図9を参照して、上述の電圧条件の設定の動作について説明する。
【0059】
まず、生体情報取得装置は、検査光を生体部位に対して出射する(S1)。具体的には、光源56を駆動し、光源56から前方に検査光を出射させる。
【0060】
次に、生体情報取得装置は、画像を取得する(S2)。具体的には、表面領域R10を介して入力される像を撮像素子20で撮像する。
【0061】
次に、生体情報取得装置は、所定のアルゴリズムを実行し(S3)、画像情報に劣化があるのかどうかを検査する(S4)。具体的には、制御部61は、撮像素子20から出力された画像情報に対して所定のアルゴリズムを適用し、許容範囲外の強度の入射光によって撮像素子20の画素が飽和していないかを検査する。なお、アルゴリズムの具体的な内容は任意である。アルゴリズムを適用することで、所定範囲を超えて画素が飽和しているか、及びどの単位領域の画素が飽和しているか、を検査すると良い。
【0062】
画像情報に劣化がない場合、静脈パターンの取得を通常時の条件で行う。通常時の条件は、例えば、図10(a)に示すとおりである。
【0063】
他方、画像情報に劣化がある場合、静脈パターンの取得を劣化時の条件で行う。劣化時の条件は、例えば、図10(b)に示すとおりである。
【0064】
なお、ここでは電圧印加に応じて液晶の光透過率が低下するノーマリホワイト方式が採用されている。液晶層5の液晶は、図11に示すように、印加電圧の増大に伴って相対光透過率が減少する。なお、液晶の光透過率分布には、印加電圧に応じて光透過率が急激に変化する有効範囲(図26の点線間の範囲)がある。
【0065】
図10(a)では、単位電極6a及び6eに対して電圧を印加している。単位電極6aは、単位電極6bと比較して光源56c、56d寄りに配置されているため、単位領域R1には、単位領域R2よりも高強度の光が入射されるためである。同様に、単位電極6eは、単位電極6dと比較して光源56a、56b寄りに配置されているため、単位領域R5には、単位領域R4よりも高強度の光が入射されるためである。このように設定することによって、光源56寄りの画素が飽和することが抑制される。
【0066】
図10(b)では、すべての単位電極6a〜6eに対して電圧を印加する。S3のアルゴリズムの適用の結果、S2で取得した画像の全域に亘って画質が劣化していたからである。
【0067】
なお、劣化時の条件は、図10(b)に示したものに限定されず、画像の劣化の程度に応じて適宜設定されるものである。例えば、単位領域R3のみに対応して画像が劣化していれば、単位電極6cのみに対して電圧3Vを印加すれば良い。また、印加電圧の具体的な値は、液晶材料の特性を考慮して適宜設定される。
【0068】
屋外にて生体認証を実行する場合、太陽光線も撮像素子2に入力される。太陽光線が重畳されると、撮像素子20の各画素が飽和してしまう場合がある。撮像素子20の画素が部分的であっても飽和してしまうと、最終的に得られる画像が部分的に白く写ってしまい、静脈パターンを認識することが困難になってしまう。結果として生体認証の信頼性が失われてしまうことを招来する。
【0069】
本実施形態においては、単位領域毎の入射光強度に応じて、許容範囲を超える強度の光が入射する単位領域における光透過率を低減させる。換言すると、取得画像の劣化の程度に応じて、光検出器の画素が飽和しないように各単位領域に入力される光を調光する。このようにして光検出器の画素が飽和することが抑制され、結果として、任意の場所で良質な画像を取得し、生体認証の信頼性を確保することができる。
【0070】
また、上述の説明から明らかなように、既存の液晶表示技術を活用して入射光を調光する。具体的には、単位電極に対する印加電圧を所定値に設定することで、単位領域の光透過率を所定値に設定する。高精度に単位領域の光透過率を制御することで、より質の高い画像を取得することも可能である。
【0071】
また、光源寄りの単位領域の光透過率を、光源からより離れた単位領域の光透過率よりも低く設定する。これによって、光源を表面領域R10付近に配置させ、生体情報取得装置の小型化を図ることもできる。また、撮像装置60は、撮像素子20上に液晶表示機構を積層させることで組み立てることができるため製造も容易である。
【0072】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態について、図12乃至図16を用いて説明する。図12は、撮像装置の概略的な分解斜視図である。図13は、単位電極の配置態様を示す模式図である。図14は、画素、単位電極、ガイド部材らの配置関係を説明するための模式図である。図15は、撮像装置の概略的な断面構成を示す模式図である。図16は、撮像装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、以下の説明では、第1実施形態と重複する説明は原則的に省略する。
【0073】
本実施形態においては、液晶層5を透過した光は、ライトガイド2を介して、ラインセンサー1の画素に案内される。このような構成を採用することによって、所望の画像を撮像するために要する画素数を格段に少なくすることができる。なお、第1の実施形態と同様の効果を得ることもできる。
【0074】
図12に示すように、撮像装置60は、ラインセンサー(光検出器)1、光案内層2、偏光板3、電極層4、液晶層5、電極層6、偏光板7、及びバンドパスフィルタ70をこの順で備える。更に、撮像装置60は、制御部61、記憶部62、及び電圧設定部63を備える。
【0075】
ラインセンサー1は、複数の画素が1列に配置された光検出器である。ラインセンサー1は、フォトダイオード(Photodiode)が一列に配列されたPDアレイセンサーやMOS(Metal Oxide Semiconductor)型の画素が一列に配列されたMOSアレイセンサー等である。
【0076】
光案内層2は、ラインセンサー1の各画素に対応して配置された複数のガイド部材2a〜2f(図14も併せて参照)からなる光学部材である。ガイド部材2a〜2fは、検査光に対して実質的に透明な光学部材である。光案内層2を構成する各ガイド部材2a〜2fの構成については後述する。
【0077】
偏光板等の他の部材については、第1の実施形態と同様である。
【0078】
図13に単位電極の配置態様を示す。単位電極6a〜6eの配置態様と同様に、ラインセンサー1が表面領域R10の下に配置される。画素PXa〜PXeの配置範囲は、上述の単位領域R1〜R5の設定範囲に対応して設定されている。これにより単位領域毎の像を欠落なく取得することが可能になる。
【0079】
図14に、単位電極6a〜6e、ガイド部材2a〜2f、及び画素PXa〜Pxfの配置関係を示す。なお、各ガイド部材は、上面から入力された光を、反射面を介して、画素にまで案内する。各ガイド部材の構成については後述する。
【0080】
図14に示すように、単位電極6a〜6eは、y軸に沿って延在する長尺な電極である。ラインセンサー1も、y軸に沿って延在する長尺な部材である。ラインセンサー1に形成された画素PXa〜PXfは、y軸に沿って配列される。このように、ラインセンサー1と単位電極6a〜6eらは、互いに平行に配置される。換言すると、ラインセンサー1、単位電極6a、単位電極6b、・・・、単位電極6d、単位電極6eの順で、一定の間隔を置きながら、ラインセンサー1と単位電極6a〜6eは配置される。
【0081】
ガイド部材2aは、y軸に直交するx軸に沿って長尺な光学部材である。ガイド部材2aの一端は、画素PXa上に配置される。また、ガイド部材2aは、画素PXa、単位電極6a、単位電極6b、単位電極6c、単位電極6d、単位電極6eらの下層に配置される。
【0082】
ここでは、ガイド部材2aと単位電極6aとが重ね合わされる領域を領域R1aと定義する。ガイド部材2aと単位電極6bとが重ね合わされる領域を領域R2aと定義する。ガイド部材2aと単位電極6cとが重ね合わされる領域を領域R3aと定義する。ガイド部材2aと単位電極6dとが重ね合わされる領域を領域R4aと定義する。ガイド部材2aと単位電極6eとが重ね合わされる領域を領域R5aと定義する。
【0083】
他のガイド部材2b〜2fについては、ガイド部材2aの説明と同様である。各ガイド部材と単位電極とが重ね合わされる領域に付与した名称は図14に示したとおりである。
【0084】
図15に、撮像装置60の概略的な断面構成を示す。
【0085】
光案内層2に含まれるガイド部材2aは、前面は平坦であるが、背面に複数の溝10が形成されている。溝10は、紙面に向かって手前又は奥行き方向に延在する(y軸に沿って延在する)。ガイド部材2aの背面に複数の溝10が形成されることによって、ガイド部材2aの背面には、複数の反射面(第1反射面)11、12が形成される。また、ガイド部材2aは、その左端部分に反射面(第2反射面)13が形成される。反射面13は、ラインセンサー1の画素上に配置される。ガイド部材2b〜2fについては、ガイド部材2aの説明と同様である。
【0086】
図15を参照して、撮像装置60における光の伝播経路について説明する。なお、ここでは、説明の便宜上、撮像装置60は、電圧印加に応じて透過率が上昇するノーマリブラック方式を採用しているものとする。また、電圧設定部63は、単位電極6dのみに所定電圧を印加するものとする。このとき、単位領域R4が入力光を透過する領域(透過領域)に設定されるものとする。このとき、他の単位領域R1〜R3、単位領域R5は、入力光を透過しない領域(不透過領域)に設定される。なお、生体認証時に用いる画像を取得する際には、第1の実施形態と同様に、各単位電極には予め設定された電圧が印加されるものとする。
【0087】
光源56から出射され、指57を透過した光は、表面領域R10の単位領域R4に入力する。上述のように、単位領域R4は、所定の光透過率の透過領域に設定されている。従って、単位領域R4に入力された光は、偏光板7、電極層6、液晶層5、電極層4、偏光板3を順次通過する。偏光板3を通過した光は、ガイド部材2aの上面を介してガイド部材2aに入力する。ガイド部材2aに入力された光は、その背面に設けられた反射面12によって、ガイド部材2aの左端に向かって進行するように設定される。つまり、ガイド部材2aの反射面12で反射された光は、ガイド部材2aと偏光板3間の界面での反射や反射面11、12における反射を繰り返しながら、ガイド部材2aの左端に向かって進行する。
【0088】
ガイド部材2aの左端には、反射面13が設けられている。従って、ガイド部材2a内を進行してきた光は、反射面13にて反射され、その下に配置されたラインセンサー1の画素PXaに入力する。このように、ガイド部材2aは、反射面を介して、その前面を介して入力された光をラインセンサー1の画素PXaにまで案内する。これは、単位領域R4以外の単位領域が透過領域として選択された場合においても同様である。なお、ガイド部材2aについてした説明は、他のガイド部材2b〜2fについても当てはまる。
【0089】
図16に、撮像装置60の動作を説明するためのタイミングチャートを示す。
【0090】
図16に示すように、撮像装置60は、t1〜t7への時間の経過に従って、単位電極6a〜6eを順次選択し、そして単位領域R1〜R5のいずれかを透過領域に設定する。そして、ラインセンサー1は、単位領域R1〜R5毎の像を検出する。これによって、最終的に表面領域R10に入力された像の全体を取得することが可能になる。なお、生体認証時に用いる画像を取得する際には、第1の実施形態と同様に、各単位電極には予め設定された電圧が印加されるものとする。つまり、各単位電極に印加される電圧は、各単位電極間において一定の電圧ではない場合がある。各単位電極に印加される電圧は、各単位領域の入射光強度に応じて設定されているものである。
【0091】
時刻t1〜t2間は、制御部61から電圧設定部63に制御信号001が伝達される。このとき、電圧設定部63は、単位電極6aに所定値の電圧(図10(b)ならば3V)を印加する。これによって、単位領域R1は所定の光透過率の透過領域に設定される。そして、画素PXaには、領域R1a(図14参照)の範囲の光が導かれる。画素PXbには、領域R1bの範囲の光が導かれる。画素PXcには、領域R1cの範囲の光が導かれる。画素PXdには、領域R1dの範囲の光が導かれる。画素PXeには、領域R1eの範囲の光が導かれる。画素PXfには、領域R1fの範囲の光が導かれる。
【0092】
ある程度の検出時間(又は蓄積時間)が確保された後、制御部61は、ラインセンサー1に対してリード信号(出力指示信号)を出力する。ラインセンサー1は、リード信号に基づいて各画素に蓄積された電荷量を示すデジタル信号を制御部61に出力する。そして、制御部61は、単位領域R1の像を記憶部62に格納する。なお、ここでは、ラインセンサー1は、A/D(Analog/Digital)変換器も具備するものとする。
【0093】
時刻t2〜t3間は、制御部61から電圧設定部63に制御信号010が伝達される。このとき、電圧設定部63は、単位電極6bに所定値の電圧(図10(b)ならば2V)を印加する。これによって、単位領域R2は所定の光透過率の透過領域に設定される。そして、画素PXaには、領域R2aの範囲の光が導かれる。画素PXbには、領域R2bの範囲の光が導かれる。画素PXcには、領域R2cの範囲の光が導かれる。画素PXdには、領域R2dの範囲の光が導かれる。画素PXeには、領域R2eの範囲の光が導かれる。画素PXfには、領域R2fの範囲の光が導かれる。
【0094】
ある程度の検出時間(又は蓄積時間)が確保された後、制御部61は、ラインセンサー1に対してリード信号を出力する。ラインセンサー1は、リード信号に基づいて各画素に蓄積された電荷量を示すデジタル信号を制御部61に出力する。そして、制御部61は、単位領域R2の像を記憶部62に格納する。
【0095】
時刻t3〜t4間は、制御部61から電圧設定部63に制御信号011が伝達される。このとき、電圧設定部63は、単位電極6cに所定値の電圧(図10(b)ならば2V)を印加する。これによって、単位領域R3は所定の光透過率の透過領域に設定される。そして、画素PXaには、領域R3aの範囲の光が導かれる。画素PXbには、領域R3bの範囲の光が導かれる。画素PXcには、領域R3cの範囲の光が導かれる。画素PXdには、領域R3dの範囲の光が導かれる。画素PXeには、領域R3eの範囲の光が導かれる。画素PXfには、領域R3fの範囲の光が導かれる。
【0096】
ある程度の検出時間(又は蓄積時間)が確保された後、制御部61は、ラインセンサー1に対してリード信号を出力する。ラインセンサー1は、リード信号に基づいて各画素に蓄積された電荷量を示すデジタル信号を制御部61に出力する。そして、制御部61は、単位領域R3の像を記憶部62に格納する。
【0097】
時刻t4〜t5間は、制御部61から電圧設定部63に制御信号100が伝達される。このとき、電圧設定部63は、単位電極6dに所定値の電圧(図10(b)ならば2V)を印加する。これによって、単位領域R4は所定の光透過率の透過領域に設定される。そして、画素PXaには、領域R4aの範囲の光が導かれる。画素PXbには、領域R4bの範囲の光が導かれる。画素PXcには、領域R4cの範囲の光が導かれる。画素PXdには、領域R4dの範囲の光が導かれる。画素PXeには、領域R4eの範囲の光が導かれる。画素PXfには、領域R4fの範囲の光が導かれる。
【0098】
ある程度の検出時間(又は蓄積時間)が確保された後、制御部61は、ラインセンサー1に対してリード信号を出力する。ラインセンサー1は、リード信号に基づいて各画素に蓄積された電荷量を示すデジタル信号を制御部61に出力する。そして、制御部61は、単位領域R4の像を記憶部62に格納する。
【0099】
時刻t5〜t6間は、制御部61から電圧設定部63に制御信号101が伝達される。このとき、電圧設定部63は、単位電極6eに所定値の電圧(図10(b)ならば3V)を印加するこれによって、単位領域R5は所定の光透過率の透過領域に設定される。そして、画素PXaには、領域R5aの範囲の光が導かれる。画素PXbには、領域R5bの範囲の光が導かれる。画素PXcには、領域R5cの範囲の光が導かれる。画素PXdには、領域R5dの範囲の光が導かれる。画素PXeには、領域R5eの範囲の光が導かれる。画素PXfには、領域R5fの範囲の光が導かれる。
【0100】
ある程度の検出時間(又は蓄積時間)が確保された後、制御部61は、ラインセンサー1に対してリード信号を出力する。ラインセンサー1は、リード信号に基づいて各画素に蓄積された電荷量を示すデジタル信号を制御部61に出力する。そして、制御部61は、単位領域R5の像を記憶部62に格納する。
【0101】
このような手順によって最終的に、記憶部62には、単位領域R1〜R5のそれぞれで取得された像が格納される。単位領域R1〜R5は、表面領域R10が軸線L1〜L4によって分割されて規定された領域である。従って、単位領域R1〜R5の像を再構成することによって、表面領域R10に入力された像を合成することができる。なお、この合成処理は、制御部61が行うものとする。
【0102】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、透過領域に設定された単位領域を通過した光は、光案内層2を介して、ラインセンサー1の各画素に入力される。透過領域として設定される単位領域を順次シフトさせ、単位領域ごとの像を光検出器で順次検出することによって、表面領域に入力する像全体を撮像することができる。この場合、ラインセンサー1の画素数は単位領域の設定範囲に応じて設定すれば足りる。従って、より少ない画素数の光検出器を用いて所望の像を取得することが可能になる。
【0103】
また、本実施形態においては、単位領域に対応して単位電極を配置させ、この単位電極を利用して液晶層に対する電圧の印加範囲を制御する。これによって、透過領域として設定されるべき単位領域を意図した範囲に設定することができる。
【0104】
また、本実施形態においては、既存の液晶技術を活用して単位領域を透過又は不透過に設定することができる。
【0105】
また、本実施形態においては、複数のガイド部材2a〜2fを用いて、単位領域を透過した光をラインセンサー1の画素に案内する。個々に分割された複数のガイド部材を採用することによって、それらが一体になっているものを採用する場合と比べて各領域(例えば、領域R1a〜R1f)間の光のクロストークを効果的に抑制することができる。また、板状の光学部材を用いることで、撮像装置60の厚みを十分に薄くすることができる。また、ガイド部材の背面に複数の反射面を設けることによって、より効率的に光をラインセンサー1に案内することができる。
【0106】
また、本実施形態においても第1の実施形態と同様に、撮像装置60に隣接する液晶表示装置と部材を共通化させている。これによって、撮像装置60を携帯電話50に組み込むことに要するコストを低減させることができる。
【0107】
なお、撮像装置60は、上述の説明からも明らかなように、撮像装置自体として、また生体情報取得装置の撮像部分としても把握されるものである。なお、生体情報取得装置では、主として静止しているものを撮像する。従って、本実施形態のように、表面領域R10に入力する像を取得するために所定時間(t1〜t7)要するものであったとしても現実的には問題ない。
【0108】
最後に、撮像装置60の製造方法について説明する。予めガイド部材2a〜2fを金型形成等によって製造する。また、通常の液晶装置の製造方法に従って、偏光板3、電極層4、液晶層5、電極層6、偏光板7、バンドパスフィルタ70を積層させる。その上で、ラインセンサー1上にガイド部材2a〜2fを配置させ、次に、ガイド部材2a〜2f上に積層された液晶部品(偏光板3、電極層4、液晶層5、電極層6、及び偏光板7から構成される部品)を配置する。このようにして撮像装置60は製造される。なお、上述したように、撮像装置60は、隣接して配置される液晶表示装置と共通の工程で製造されるものとする。
【0109】
〔第3の実施形態〕
本発明の第2の実施形態について、図17乃至図19を用いて説明する。図17は、撮像装置の概略的な分解斜視図である。図18は、単位電極、ガイド部材、画素、レンズらの配置関係を示す模式図である。図19は、撮像装置の概略的な断面構成を示す模式図である。なお、図17及び図19では、バンドパスフィルタ70の構成は省略されている。
【0110】
本実施形態に係る撮像装置60は、第2の実施形態とは異なり、図17乃至図19に示すように、偏光板7の前面上に複数のレンズ20がマトリクス状に配置されている。従って、より広い範囲で像を取得することが可能になる。また、単位領域におけるガイド部材2a〜2fで規定される領域(例えば、R1a〜R1f)間の光のクロストークを更に抑制することができる。また、レンズ20の焦点位置を適宜設定することによって、特に光案内層2における光の伝播損失を低下させ、撮像装置60の光利用効率を向上させることができる。
【0111】
本発明の技術的な範囲は、上述の実施形態に限定されず、他の様々な実施形態が考えられる。単位領域の設定個数、設定範囲は任意である。撮像装置自体は、生体認証装置以外の他の様々な用途に適用可能である。また、搭載される外部機器は、移動体通信端末といった携帯機器に限定されるものではない。生体認証に際の観察対象は、ヒトの指に限られず、ヒトの手のひらであっても良いし、その他の部位であっても良い。
【0112】
ノーマルブラック方式、又はノーマルホワイト方式といった液晶表示方式に応じて、選択される単位電極は適宜設定される。なお、液晶技術の活用に代えて、印加電圧に応じて透明度が変化する電気光学結晶を活用して単位領域を透過又は不透過に設定しても良い。ただし、この場合には、隣り合う表示領域R20下にある液晶表示装置と部材の共通化を図ることはできない。
【0113】
光案内手段は、ガイド部材といったものには限定されず、透過領域に設定された単位領域からの光を光検出部の画素に案内するものであれば何でも良い。ガイド部材2a〜2fは、個々の部材に限られず、それらが一体に形成された部材であっても良い。また、必ずしもラインセンサー1の画素とガイド部材とを1対1で設ける必要はない。複数の画素に対して1つのガイド部材を割り当てても良い。各部材の具体的な材料は当業者が適宜選択できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯電話の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る携帯電話の前面の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る携帯電話の前面の構成を示す拡大模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の概略的な分解斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の概略的な断面構成を示す模式図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る撮像素子の前面の構成を説明するための模式図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る単位電極の配置態様を示す模式図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る生体情報取得装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る電圧設定に関する生体情報取得装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る電圧設定の具体例を示す表である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る印加電圧に対する液晶の相対光透過率の変化を示す説明図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の概略的な分解斜視図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る単位電極の配置態様を示す模式図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る画素、単位電極、ガイド部材らの配置関係を説明するための模式図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の概略的な断面構成を示す模式図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る撮像装置の概略的な分解斜視図である。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る単位電極、ガイド部材、画素、レンズらの配置関係を示す模式図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係る撮像装置の概略的な断面構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0115】
60 撮像装置
61 制御部
62 記憶部
63 電圧設定部
6a〜6e 単位電極
20 撮像素子
3 偏光板
4 電極層
5 液晶層
6 電極層
7 偏光板
8 スペーサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外界から表面領域に入力する像を撮像する撮像装置であって、
前記表面領域が分割されることで規定される複数の単位領域夫々における光透過率を、前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された光透過率に電気的制御に基づいて設定する調光手段と、
所定の光透過率に設定された前記単位領域を通過した光を受光する複数の画素を有する光検出器と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記調光手段は、
複数の前記単位領域夫々に対応して設けられた複数の単位電極夫々を前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された電圧に設定することに基づいて前記単位領域毎の光透過率を制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記調光手段は、
液晶層と、
複数の前記単位電極を上部電極又は下部電極として前記液晶層を挟持する一対の電極層と、
複数の前記単位電極夫々を所定の電圧に設定する電圧設定部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記単位領域を通過した光を複数の前記画素に案内する光案内手段と、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
複数の前記単位電極夫々は、順次、予め設定された電圧に設定されることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記光案内手段は、入力された光を複数の反射面を介して前記画素まで案内する光学部材であることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記光学部材は、互いに隣り合って配置された複数のガイド部材から構成されることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
複数の前記ガイド部材は、前記光検出器上に配置され、
前記液晶層は、複数の前記ガイド部材上に配置されることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
一対の前記電極層を挟持する一対の偏光板を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記液晶層の上層に配置されると共に、入力された光を集光する複数のレンズを更に備えることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記液晶層は、当該撮像装置に隣接して配置される液晶表示装置の液晶層と同層に形成されることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記光検出器は、1列に複数の前記画素が配列されたラインセンサーであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項13】
外界から表面領域に入力する像を撮像する撮像装置であって、
液晶層と、
前記表面領域が分割されることで規定される複数の単位領域に対応して設けられる複数の単位電極を上部電極又は下部電極として前記液晶層を挟持する一対の電極層と、
前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された電圧に前記単位電極を設定することに基づいて所定の光透過率に設定された前記単位領域の通過光を受光する複数の画素を有する光検出器と、
を備える撮像装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の撮像装置を備える移動体通信端末。
【請求項15】
被検体に対する光照射に基づいて前記被検体の生体情報を取得する生体情報取得装置であって、
前記被検体に照射されるべき光を出射する光源と、
前記反射光又は前記透過光が入力する表面領域と、
前記表面領域が分割されることで規定される複数の単位領域夫々における光透過率を前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された光透過率に電気的制御に基づいて設定する調光手段と、
前記単位領域を通過した光を受光する複数の画素を有する光検出器と、
を備える生体情報取得装置。
【請求項16】
前記調光手段は、
複数の前記単位領域夫々に対応して設けられた複数の単位電極夫々を前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された電圧に設定することに基づいて前記単位領域毎の光透過率を制御することを特徴とする請求項15に記載の生体情報取得装置。
【請求項17】
前記調光手段は、
液晶層と、
複数の前記単位電極を上部電極又は下部電極として前記液晶層を挟持する一対の電極層と、
複数の前記単位電極夫々を所定の電圧に設定する電圧設定部と、
を備えることを特徴とする請求項16に記載の生体情報取得装置。
【請求項18】
前記調光手段は、前記光源寄りの前記単位領域における光透過率を、前記光源からより離れた位置の前記単位領域における光透過率よりも低く設定することを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一項に記載の生体情報取得装置。
【請求項19】
請求項15乃至18のいずれか一項に記載の生体情報取得装置を備える移動体通信端末。
【請求項1】
外界から表面領域に入力する像を撮像する撮像装置であって、
前記表面領域が分割されることで規定される複数の単位領域夫々における光透過率を、前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された光透過率に電気的制御に基づいて設定する調光手段と、
所定の光透過率に設定された前記単位領域を通過した光を受光する複数の画素を有する光検出器と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記調光手段は、
複数の前記単位領域夫々に対応して設けられた複数の単位電極夫々を前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された電圧に設定することに基づいて前記単位領域毎の光透過率を制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記調光手段は、
液晶層と、
複数の前記単位電極を上部電極又は下部電極として前記液晶層を挟持する一対の電極層と、
複数の前記単位電極夫々を所定の電圧に設定する電圧設定部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記単位領域を通過した光を複数の前記画素に案内する光案内手段と、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
複数の前記単位電極夫々は、順次、予め設定された電圧に設定されることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記光案内手段は、入力された光を複数の反射面を介して前記画素まで案内する光学部材であることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記光学部材は、互いに隣り合って配置された複数のガイド部材から構成されることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
複数の前記ガイド部材は、前記光検出器上に配置され、
前記液晶層は、複数の前記ガイド部材上に配置されることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
一対の前記電極層を挟持する一対の偏光板を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記液晶層の上層に配置されると共に、入力された光を集光する複数のレンズを更に備えることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記液晶層は、当該撮像装置に隣接して配置される液晶表示装置の液晶層と同層に形成されることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記光検出器は、1列に複数の前記画素が配列されたラインセンサーであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項13】
外界から表面領域に入力する像を撮像する撮像装置であって、
液晶層と、
前記表面領域が分割されることで規定される複数の単位領域に対応して設けられる複数の単位電極を上部電極又は下部電極として前記液晶層を挟持する一対の電極層と、
前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された電圧に前記単位電極を設定することに基づいて所定の光透過率に設定された前記単位領域の通過光を受光する複数の画素を有する光検出器と、
を備える撮像装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の撮像装置を備える移動体通信端末。
【請求項15】
被検体に対する光照射に基づいて前記被検体の生体情報を取得する生体情報取得装置であって、
前記被検体に照射されるべき光を出射する光源と、
前記反射光又は前記透過光が入力する表面領域と、
前記表面領域が分割されることで規定される複数の単位領域夫々における光透過率を前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された光透過率に電気的制御に基づいて設定する調光手段と、
前記単位領域を通過した光を受光する複数の画素を有する光検出器と、
を備える生体情報取得装置。
【請求項16】
前記調光手段は、
複数の前記単位領域夫々に対応して設けられた複数の単位電極夫々を前記単位領域毎の入射光強度に応じて予め設定された電圧に設定することに基づいて前記単位領域毎の光透過率を制御することを特徴とする請求項15に記載の生体情報取得装置。
【請求項17】
前記調光手段は、
液晶層と、
複数の前記単位電極を上部電極又は下部電極として前記液晶層を挟持する一対の電極層と、
複数の前記単位電極夫々を所定の電圧に設定する電圧設定部と、
を備えることを特徴とする請求項16に記載の生体情報取得装置。
【請求項18】
前記調光手段は、前記光源寄りの前記単位領域における光透過率を、前記光源からより離れた位置の前記単位領域における光透過率よりも低く設定することを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一項に記載の生体情報取得装置。
【請求項19】
請求項15乃至18のいずれか一項に記載の生体情報取得装置を備える移動体通信端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−105601(P2009−105601A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274779(P2007−274779)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】
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